特許第6076451号(P6076451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6076451
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】荷役車両の操作装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/20 20060101AFI20170130BHJP
   G05G 5/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B66F9/20 B
   G05G5/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-239052(P2015-239052)
(22)【出願日】2015年12月8日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】ニチユ三菱フォークリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 雅博
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−086995(JP,U)
【文献】 実開平01−075172(JP,U)
【文献】 実開昭58−173699(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 − 11/04
G05G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役具の動作のために操作される荷役車両の操作装置であって、
第1シャフトと、
前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられた第1揺動部材と、
前記第1揺動部材とともに前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられ前記第1シャフトに対して直角にのびる第2シャフトと、
前記第1シャフトの周りに揺動可能にかつ前記第2シャフトの周りに揺動可能に設けられた操作レバーと、
前記操作レバーの基端側に設けられて前記操作レバーとともに前記第2シャフトの周りに揺動する第2揺動部材と、
前記荷役具を第1動作させるための第1切替手段に接続され、前記操作レバーの前記第1シャフトの周りの揺動によって作動して前記第1切替手段を切り替える第1リンク機構と、
前記荷役具を第2動作させるための第2切替手段に接続され、前記操作レバーの前記第1シャフトの周りの揺動によって作動して前記第2切替手段を切り替える第2リンク機構と、を備え、
前記操作レバーは、前記第1リンク機構に接続されて前記第1リンク機構を作動可能であるが前記第2リンク機構に接続されず前記第2リンク機構を作動不能な第1状態と、前記第2リンク機構に接続されて前記第2リンク機構を作動可能であるが前記第1リンク機構に接続されず前記第1リンク機構を作動不能な第2状態と、の間で前記第2シャフトの周りに揺動可能であり、
前記第2揺動部材は、その前記第2シャフトの周りの揺動方向の一方側に設けられた第1凸部と、その前記第2シャフトの周りの揺動方向の他方側に設けられた第2凸部とを備え、
前記第1リンク機構は、前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記第1凸部を受容するための第1受容部材を備え、
前記第2リンク機構は、前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記第2凸部を受容するための第2受容部材を備え、
前記第1凸部が前記第1受容部材に受容されることで前記操作レバーが前記第2揺動部材を介して前記第1リンク機構に接続され、前記第2凸部が前記第2受容部材に受容されることで前記操作レバーが前記第2揺動部材を介して前記第2リンク機構に接続される、
ことを特徴とする荷役車両の操作装置。
【請求項2】
前記荷役具は、一対のクランプアームであり、
前記第1動作は、前記一対のクランプアームを互いに反対方向に水平移動させるクランプ動作であり、
前記第2動作は、前記一対のクランプアームを互いに同じ方向に水平移動させるシフト動作である、
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役車両の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト等の荷役装置において、荷役具を操作するための操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷役車両、例えばフォークリフトは、運転席が設けられた車両本体と、車両本体の前方に設けられた荷役装置とを備えたものがある。
【0003】
荷役装置は、昇降方向に立てて設けられたマストと、ブラケットを介してマストに沿って案内可能に設けられたフォーク等の荷役具と、荷役具を動作させるための各油圧シリンダに油圧を供給するための油圧回路等を備えている。荷役具は、代表的には左右1対のフォークであるが、この他に左右一対のクランプアーム、回転クランプ等のアタッチメントも挙げられる。
【0004】
さらに、フォークリフトは、オペレータが荷役具の動作のために操作する操作装置を運転席の前部に備えている。操作装置は、荷役具の動作毎に設けられた複数の操作レバーを備えている。操作レバーは、代表的には、リフト用レバー、ティルト用レバーである。また、クランプアームのようなアタッチメントに対応可能な荷役車両においては、操作レバーは、さらに、クランプ用レバー、シフト用レバーを含む。このように、荷役具の動作毎に操作レバーを設けたフォークリフトは、特許文献1等に開示されている。
【0005】
オペレータがクランプ用レバーを操作すると、油圧回路中のクランプ用バルブが切り替わり、一対のクランプアームが互いに反対方向に水平移動する。それによって、一対のクランプアームは、荷物を把持する、または荷物の把持を解除する。オペレータがシフト用レバーを操作すると、油圧回路中のシフト用バルブが切り替わり、一対のクランプアームが互いに同じ方向に水平移動する。それによって、一対のクランプアームは、把持している荷物を水平移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−62989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
操作レバーは、運転席の前部に並べて配置されている。そのため、オペレータが荷役具を誤動作させることがあった。具体的には、荷役具が一対のクランプアームである場合に、例えば、一対のクランプアームで把持した荷物を左側に寄せるべくシフトレバーを動かすつもりが、その隣にあるクランプレバーを動かしてしまう、またはシフトレバーとクランプレバーの両方を動かしてしまうことがあった。クランプレバーを誤って操作する結果、一対のクランプアームが開き、把持していた荷物を落としてしまうことがあった。
【0008】
そこで、本発明は、荷役具の2つの動作を1つのレバーで切り替えて実現し、誤操作をより少なくする荷役車両の操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、荷役具の動作のために操作される荷役車両の操作装置であって、
第1シャフトと、
前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられた第1揺動部材と、
前記第1揺動部材とともに前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられ前記第1シャフトに対して直角にのびる第2シャフトと、
前記第1シャフトの周りに揺動可能にかつ前記第2シャフトの周りに揺動可能に設けられた操作レバーと、
前記操作レバーの基端側に設けられて前記操作レバーとともに前記第2シャフトの周りに揺動する第2揺動部材と、
前記荷役具を第1動作させるための第1切替手段に接続され、前記操作レバーの前記第1シャフトの周りの揺動によって作動して前記第1切替手段を切り替える第1リンク機構と、
前記荷役具を第2動作させるための第2切替手段に接続され、前記操作レバーの前記第1シャフトの周りの揺動によって作動して前記第2切替手段を切り替える第2リンク機構と、を備え、
前記操作レバーは、前記第1リンク機構に接続されて前記第1リンク機構を作動可能であるが前記第2リンク機構に接続されず前記第2リンク機構を作動不能な第1状態と、前記第2リンク機構に接続されて前記第2リンク機構を作動可能であるが前記第1リンク機構に接続されず前記第1リンク機構を作動不能な第2状態と、の間で前記第2シャフトの周りに揺動可能であり、
前記第2揺動部材は、その前記第2シャフトの周りの揺動方向の一方側に設けられた第1凸部と、その前記第2シャフトの周りの揺動方向の他方側に設けられた第2凸部とを備え、
前記第1リンク機構は、前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記第1凸部を受容するための第1受容部材を備え、
前記第2リンク機構は、前記第1シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記第2凸部を受容するための第2受容部材を備え、
前記第1凸部が前記第1受容部材に受容されることで前記操作レバーが前記第2揺動部材を介して前記第1リンク機構に接続され、前記第2凸部が前記第2受容部材に受容されることで前記操作レバーが前記第2揺動部材を介して前記第2リンク機構に接続される、
ことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記荷役具は、一対のクランプアームであり、
前記第1動作は、前記一対のクランプアームを互いに反対方向に水平移動させるクランプ動作であり、
前記第2動作は、前記一対のクランプアームを互いに同じ方向に水平移動させるシフト動作である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、荷役具の2つの動作を1つのレバーで切り替えて実現し、誤操作をより少なくする荷役車両の操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る操作装置を備えるフォークリフトの概略的側面図である。
図2】操作装置の上部を概略的に示す斜視図である。
図3】操作装置の全体構成を示す斜視図である。
図4図4Aは、操作レバーの切替構造を部分的に示す斜視図であり、図4Bは、その側面図である。
図5】操作レバーの切替構造を示す斜視図であり、操作レバーが中間状態にある図である。
図6】操作レバーの切替構造を示す斜視図であり、操作レバーが第1状態にある図である。
図7】操作レバーの切替構造を示す斜視図であり、操作レバーが第2状態にある図である。
図8】規制プレートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る荷役車両の操作装置について説明する。本実施形態では、荷役車両がフォークリフトである場合について説明する。また、以下で例示されるフォークリフトは、カウンタバランス型であるが他のタイプであってもよい。
【0016】
図1を参照して、フォークリフトは、車両本体1と、車両本体1の前方に設けられた荷役装置2とを備えている。車両本体1の前部は、オペレータが搭乗する運転席10となっている。
【0017】
荷役装置2は、昇降方向(上下方向)に立てて設けられたマスト20と、マスト20に沿って昇降方向に案内されるブラケット21と、ブラケット21に支持された荷役具としての左右一対のクランプアーム22(他方のクランプアームは図示されない)とを備えている。一対のクランプアーム22は、ブラケット21から前方にのびており、左右方向に互いに間隔をあけて設けられている。荷役具は、代表的には左右一対のフォークであるが、本実施例では、フォークに代わるアタッチメントとして、クランプアーム22が設けられている。
【0018】
荷役装置2は、図示されていないが、一対のクランプアーム22を動作させるための複数の油圧シリンダと、各油圧シリンダに対して作動油を供給するための油圧回路とを備えている。
【0019】
油圧シリンダは、一対のクランプアーム22をマスト20に沿って昇降させるためのリフト用シリンダ、一対のクランプアーム22をマスト20とともに前後方向Yに傾倒させるためのティルト用シリンダを含む。油圧シリンダは、一対のクランプアーム22を互いに反対方向に水平(左右)に移動させるためのクランプ用シリンダと、一対のクランプアーム22を互いに同じ水平(左右)に移動させるためのシフト用シリンダとを含む。
【0020】
油圧回路は、リフト用シリンダに対して作動油を給排するためのリフト用回路、ティルト用シリンダに対して作動油を給排するためのティルト用回路、クランプ用シリンダに対して作動油を給排するためのクランプ用回路、シフト用シリンダに対して作動油を給排するためのシフト用回路を含む。
【0021】
図2は、運転席10の前部を部分的に示す斜視図である。フォークリフトの運転席10の前部には、クランプアーム22を動作させるために、運転席10に搭乗したオペレータによって操作される操作装置3が設けられている。
【0022】
操作装置3は、クランプアーム22をリフト動作させるためのリフト用操作レバー30、クランプアーム22をティルト動作させるティルト用操作レバー31、クランプアーム22をクランプ動作及シフト動作させるためのクランプ・シフト用操作レバー32と、を含む。これらは30、31、32は、左右方向Xに並べて配置されている。
【0023】
図3は、操作装置3の全体的な斜視図であり、車両本体1のフレームの図示を省略したものである。操作装置3は、左右方向Xに間隔をあけて配置された一対の支持部材33(図3)と、両端が一対の支持部材33に支持されて左右方向Xにのびる第1シャフト34とを備えている。操作装置3は、リフト用リンク機構4及びティルト用リンク機構5を備えている。
【0024】
リフト用リンク機構4は、第1シャフト34の周りに揺動可能に第1シャフト34に外嵌めされた筒部材40と、筒部材40の外周に設けられ、リフト用操作レバー30の基端側に接続された接続部材41と、一端が接続部材41に接続され、他端がリフト回路中のリフト用バルブ23に接続されたリンク42とを備えている。リフト用操作レバー30が筒部材40及び接続部材41とともに第1シャフト34の周りに前後方向Yに揺動されると、リンク42がその長手方向に進退移動し、リフト用バルブ23が切り替わる。それによって、リフト回路が開き、リフト用シリンダが作動し、一対のクランプアーム22がリフト動作する。
【0025】
同様に、ティルト用リンク機構5は、第1シャフト34の周りに揺動可能に第1シャフト34に外嵌めされた筒部材50と、筒部材50の外周に設けられて、ティルト用操作レバー31の基端側に接続された接続部材51と、一端が接続部材51に接続され、他端がティルト用回路中のティルト用バルブ24に接続されたリンク52とを備えている。ティルト用操作レバー31が筒部材50及び接続部材51とともに第1シャフト34の周りに前後方向Yに揺動されると、リンク52が進退移動し、ティルト用バルブ24が切り替わる。それによって、ティルト用回路が開き、ティルト用シリンダが作動し、一対のクランプアーム22がマスト20とともにティルト動作する。
【0026】
クランプ・シフト用の操作レバー32(以下、単に操作レバーとする)は、切替式の操作レバーであって、この1つの操作レバー32によってクランプ動作とシフト動作とが選択的に実現される。以下、この構成について説明する。
【0027】
図3を参照して、クランプ用回路中には、一対のクランプアーム22をクランプ動作させるためのクランプ用バルブ25(第1切替手段の一例)が設けられている。シフト用回路中には、一対のクランプアーム22をシフト動作させるためのシフト用バルブ26(第2切替手段の一例)が設けられている。
【0028】
操作装置3は、クランプ用バルブ25に接続された、クランプ用バルブ25を切り替えるためのクランプ用リンク機構6(第1リンク機構の一例)と、シフト用バルブ26に接続された、シフト用バルブ26を切り替えるためのシフト用リンク機構7(第2リンク機構の一例)とを備えている。
【0029】
図4A図4Bは、クランプ・シフト用操作レバー32(以下、単に操作レバーとする)をクランプ動作の位置とシフト動作の位置との間で切り替えるための切替構造を示すものであってシフト用リンク機構7の図示を省略したものである。
【0030】
図4を参照して、操作装置3は、第1シャフト34の周りに揺動可能に設けられた第1揺動部材35と、第1揺動部材35とともに第1シャフト34の周りに揺動可能に設けられた第2シャフト36とを備えている。第1揺動部材35は、第1シャフト34に外嵌めされている。第2シャフト36は、第1揺動部材35に差し込まれて前後方向Yに、即ち第1シャフト34に対して直角にのびている。
【0031】
操作装置3は、操作レバー32の基端側に設けられ、かつ第2シャフト36の周りに揺動可能に設けられた第2揺動部材37を備えている。第2揺動部材37は、前後方向Yにのびる水平部と、水平部の後端から下方にのびる垂直部とからなり、側面視で略L字形状である。第2揺動部材37は、その垂直部に第2シャフト36が差し込まれることで、第2シャフト36の周りに揺動可能になっている。操作レバー32の基端は、第2揺動部材37の水平部に接続されている。
【0032】
このような構成によって、操作レバー32は、第1揺動部材35、第2シャフト36、及び、第2揺動部材37とともに第1シャフト34の周りに前後方向Yに揺動可能でありある。操作レバー32は、さらに第2揺動部材37とともに第2シャフト36の周りに左右方向Xに揺動可能である。
【0033】
クランプ用リンク機構6及びシフト用リンク機構7は、操作レバー32の第1シャフト34の周りの揺動(前後方向Yの揺動)によって作動して、クランプ用バルブ25及びシフト用バルブ26をそれぞれ切り替えるものである。
【0034】
図5は、操作レバー32の切替構造の斜視図を示す。クランプ用リンク機構6は、第2揺動部材37より左側において第1シャフト34の周りに揺動可能に第1シャフト34に外嵌された第1筒部材60と、第1筒部材60の外周に設けられた第1受容部材61とを備えている。シフト用リンク機構7は、第2揺動部材37より右側において第1シャフト34の周りに揺動可能に第1シャフト34に外嵌された第2筒部材70と、第2筒部材70の外周に設けられた第2受容部材71とを備えている。第1受容部材61には第1切欠き610が形成されており、第2受容部材71には第2切欠き710が形成されている。
【0035】
さらに、クランプ用リンク機構6は、第1リンク62を備えている。第1リンク62の一端は、図4Bの通り第1受容部材61に接続されており、他端は、図3の通りクランプ用バルブ25に接続されている。シフト用リンク機構7は、同様に、一端が第2受容部材71に接続され、他端がシフト用バルブ26に接続された第2リンク72を備えている。
【0036】
第2揺動部材37の水平部には、その第2シャフト36の周りの揺動方向の一方側(左側)に、左方向に突出する第1凸部370と、その第2シャフト36の周りの揺動方向の他方側(右側)に、右方向に突出する第2凸部371とが形成されている。
【0037】
図5において、操作レバー32が第2シャフト36の周りに左方向に揺動されると、図6の通り、第2揺動部材37の第1凸部370はクランプ用リンク機構6の第1受容部材61の第1切欠き610に受容される一方、第2凸部371は第2受容部材71の第2切欠き710に受容されない状態となる。即ち、操作レバー32は、第2揺動部材37を介してクランプ用リンク機構6に接続されるが、シフト用リンク機構7に接続されない状態となる。
【0038】
この状態で、操作レバー32が第1シャフト34の周りに前後方向Yのどちらかに揺動されると、これとともに第1筒部材60及び第1受容部材61も第1シャフト34の周りに揺動し、第1リンク62がその長手方向に沿って進退移動する。その結果、クランプ用バルブ25が切り替えられて、クランプ回路が開き、クランプ用シリンダが作動し、一対のクランプアーム22がクランプ動作する。即ち、クランプ用リンク機構6が作動して一対のクランプアーム22がクランプ動作する。このとき、シフト用リンク機構7は、操作レバー32に接続されていないので作動することはない。
以下、この状態を第1状態とする。
【0039】
一方、図5において、操作レバー32が第2シャフト36の周りに右方向に揺動されると、図7の通り、第2揺動部材37の第2凸部371は第1リンク機構7の第2受容部材71の第2切欠き710に受容される一方、第1凸部370は第1受容部材61の第1切欠き610に受容されない状態となる。即ち、操作レバー32は、第2揺動部材37を介してシフト用リンク機構7に接続されるが、クランプ用リンク機構6に接続されない状態となる。
【0040】
この状態で、操作レバー32が第1シャフト34の周りに前後方向Yのどちらかに揺動されると、これとともに第2筒部材70及び第2受容部材71が第1シャフト34の周りに揺動し、第2リンク72がその長手方向に沿って進退移動する。その結果、シフト用バルブ26が切り替えられて、シフト用回路が開き、シフト用シリンダが作動し、一対のクランプアーム22がシフト動作する。即ち、シフト用リンク機構7が作動して一対のクランプアーム22がシフト動作する。このとき、クランプ用リンク機構6は、操作レバー32に接続されていないので作動することはない。
以下、この状態を第2状態とする。
【0041】
このように、操作レバー32は、クランプ用リンク機構6に接続されてクランプ用リンク機構6を作動可能であるがシフト用リンク機構7に接続されずシフト用リンク機構7を作動不能な第1状態(図6)と、シフト用リンク機構7に接続されてシフト用リンク機構7を作動可能であるがクランプ用リンク機構6に接続されずクランプ用リンク機構6を作動不能な第2状態(図7)と、の間で第2シャフト36の周りに揺動可能である。
【0042】
即ち、操作レバー32が第2シャフト36の周りに左右方向Xに揺動されることで、クランプ動作とシフト動作との切り替えが行われ、1つの操作レバー32だけでクランプ動作及びシフト動作が実現される。従って、従来技術に記載したように、一対のクランプアーム22で把持した荷物を左側に寄せるべくシフトレバーを動かすつもりが、その隣にあるクランプレバーを動かしてしまう、またはシフトレバーとクランプレバーとの両方を動かしてしまうような、2つのレバーで2つの動作を実現する場合に生じ得る誤操作が防止される。
【0043】
なお、本実施例では、第1受容部材61と第2受容部材71との間の左右方向Xの間隔が狭いために、図5のように、操作レバー32が第1状態と第2状態との間の中間状態にあるとき、第1凸部370が第1受容部材61に受容されるとともに、第2凸部371が第2受容部材71に受容されている。即ち、操作レバー32は、中間状態にあるとき両リンク機構6、7に接続されている(以下、図5の状態を中間状態とする)。それ故に、中間状態の操作レバー32を第1シャフト34の周りに前後方向Yに揺動すると、両リンク機構6、7が作動し、その結果、一対のクランプアーム22がクランプ動作するとともにシフト動作する。しかしながら、通常、このような同時動作は不要である。
【0044】
そこで、図2の通り、操作装置3は、同時動作を防止すべく、操作レバー32の揺動範囲を規制する規制プレート8を備えている。規制プレート8には、平面視でH字状のガイド孔80が形成されている。操作レバー32は、このガイド孔80に挿通されて、ガイド孔80の範囲内でのみ揺動することができる。
【0045】
図8を参照して、規制プレート8のガイド孔80について詳述する。
ガイド孔80は、第1孔部81と、第2孔部82と、中央孔部83とからなる。第1孔部81と第2孔部82とは、前後方向Yにのびており、互いに左右方向Xに間隔をあけて形成されている。中央孔部83は、第1孔部81の中央と第2孔部82の中央との間で左右方向Xにのびている。
【0046】
図5の中間状態の操作レバー32は、ガイド孔80の中央孔部83に位置する。このとき、中央孔部83を規定する前縁830と後縁831がストッパーとして機能し、中間状態の操作レバー32の第1シャフト34の周りの前後方向Yの揺動を規制する。即ち、操作レバー32の両リンク機構6、7に接続された状態での前後方向Yの揺動が規制され、その結果、クランプ動作とシフト動作との同時動作が防止される。
【0047】
操作レバー32は、図5の中間状態から左方向に揺動して図6の第1状態になるとき、中央孔部83から第1孔部81の中央に移動する。操作レバー32は第1孔部81に沿って前後方向Yに案内されるので、第1状態における操作レバー32の前後方向Yの揺動は保障される。即ち、クランプ動作が保障される。
【0048】
同様に、操作レバー32は、図5の中間状態から右方向に揺動して図7の第2状態になるとき、中央孔部83から第2孔部82の中央に移動する。操作レバー32は第2孔部82に沿って前後方向Yに案内されるので、第2状態における操作レバー32の前後方向Yの揺動は保障される。即ち、シフト動作が保障される。
【0049】
このように、規制プレート8によって、第1状態及び第2状態での前後方向Yの揺動と、第1状態と第2状態との間での中間状態を経た左右方向Xの揺動だけが行われるようにし、中間状態での前後方向Yの揺動が規制される。それによって、クランプ動作及びシフト動作の同時動作が防止され、クランプ動作及びシフト動作のいずれか一方だけが実現されるようになっている。
【0050】
図2に示される通り、操作装置3は、スプリング9を備えている。スプリング9は、操作レバー32と規制プレート8の右側の下方のサイドプレート91とに取り付けられて、操作レバー32を右方向に、即ち図7の第2状態に付勢している。なお、スプリング9が、操作レバー32と規制プレート8の左側の下方のサイドプレート90とに取り付けられて、操作レバー32を図5の第1状態に付勢してもよい。
【0051】
スプリング9により操作レバー32を第1状態または第2状態のどちらかに付勢することで、オペレータが中間状態で操作レバー32から手を離したときに、第1状態(クランプ動作に切り替った状態)または第2状態(シフト動作に切り替った状態)に移動して保持される。即ち、操作レバー32が図5の中間状態という中途半端な状態で保持されることを防止している。
【0052】
図示されていないが、操作レバー32の先端側にスイッチを設け、このスイッチを押しながら操作レバー32を前後方向Yに揺動したときだけ、油圧回路中の油圧モータが作動するように構成されてもよい。即ち、スイッチを押しながら操作レバー32を前後方向Xに揺動したときだけ、クランプアーム22がクランプ動作/シフト動作するように構成されてもよい。それによって、誤動作がより確実に防止され、よりいっそう安全になる。
【0053】
図3の通り、本実施例では、アタッチメントとしてのクランプアーム22のための操作レバー32の切替構造は、フォークリフトに予め備わっているリフト用リンク機構4及びティルト用リンク機構5で使用されている第1シャフト34を用いて実現されている。即ち、操作レバー32の切替構造は、既にフォークリフトに設けられた第1シャフト34を使って、リフト用リンク機構4及びティルト用リンク機構5に隣接させて簡単に設置できるようになっている。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
切替式の操作レバー32は、クランプ動作とシフト動作とを切り替えて実現するものであったがこれに限定されない。即ち、操作レバー32によって実現される動作は何でもよい。例えば、切替式の操作レバー32が、リフト動作とティルト動作とを切り替えて実現するものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車両本体
2 荷役装置
22 クランプアーム(荷役具の一例)
25 クランプ用バルブ(第1切替手段の一例)
26 シフト用バルブ(第2切替手段の一例)
3 操作装置
32 クランプ・シフト用操作レバー
34 第1シャフト
35 第1揺動部材
36 第2シャフト
37 第2揺動部材
370 第1凸部
371 第2凸部
6 クランプ用リンク機構(第1リンク機構の一例)
60 第1筒部材
61 第1受容部材
7 シフト用リンク機構(第2リンク機構の一例)
70 第2筒部材
71 第2受容部材
8 規制プレート
80 ガイド孔
9 スプリング
【要約】
【課題】荷役具の2つの動作を1つのレバーで切り替えて実現し、誤操作をより少なくする荷役車両の操作装置を提供することにある。
【解決手段】操作装置3は、第1シャフト34周りにかつ第2シャフト36周りに揺動可能に設けられた操作レバー32を備える。操作装置3は、荷役具を第1動作させるための第1切替手段に接続され、操作レバー32の第1シャフト34周りの揺動によって作動して第1切替手段を切り替える第1リンク機構6を備える。操作装置3は、荷役具を第2動作させるための第2切替手段に接続され、操作レバー32の第1シャフト34周りの揺動によって作動して第2切替手段を切り替える第2リンク機構7を備える。操作レバー32は、第1リンク機構6に接続されるが第2リンク機構7に接続されない第1状態と、第2リンク機構7に接続されるが第1リンク機構6に接続されない第2状態との間で第2シャフト36周りに揺動可能である。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8