特許第6076465号(P6076465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6076465リチウムイオンバッテリモジュールを製造する方法および相応のリチウムイオンバッテリモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076465
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】リチウムイオンバッテリモジュールを製造する方法および相応のリチウムイオンバッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170130BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20170130BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20170130BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20170130BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20170130BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20170130BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 F
   H01M10/653
   H01M10/613
   H01M10/647
   H01M10/643
   H01M10/6557
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-509337(P2015-509337)
(86)(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公表番号】特表2015-520480(P2015-520480A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】EP2013054892
(87)【国際公開番号】WO2013164119
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2015年1月5日
(31)【優先権主張番号】102012207162.8
(32)【優先日】2012年4月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ニコ ドアシュ
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/101391(WO,A1)
【文献】 特開2009−170687(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0209759(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0151304(US,A1)
【文献】 特開2013−187088(JP,A)
【文献】 特開2007−173030(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0177377(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/044934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/52 − 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンバッテリモジュール(B)を製造する方法において、該方法が、
1つのバッテリモジュール(B)の少なくとも2つのセル(Z)の間に膨張黒鉛を配置するステップと、
バッテリモジュール(B)の前記少なくとも2つのセル(Z)と、該少なくとも2つのセル(Z)の間に配置された膨張黒鉛とを、セル(Z)と膨張黒鉛とから成るスタックの長手方向に、膨張黒鉛が塑性変形をする力でプレスを行うステップと、
含むことを特徴とする、リチウムイオンバッテリモジュールを製造する方法。
【請求項2】
2つの隣り合ったセル(Z)の間にそれぞれ1つの膨張黒鉛配置する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記セル(Z)の形状が、角柱状または円形である、請求項1または2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオンバッテリモジュールを製造する方法および相応のリチウムイオンバッテリモジュールに関する。
【0002】
背景技術
図3は、機械的に緊締される複数のセルの例示的なアッセンブリの構造の概略図である。
【0003】
図3では、符号10が、電子装置のカバープレートを示しており、符号20が、制御電子装置を示しており、符号30が、レーザ溶接されるセルコネクタを示しており、符号40が、接続カバーを示しており、符号50が、加圧バンドを示しており、符号60が、加圧プレートを示しており、符号70が、角柱状のリチウムイオンセルを示しており、符号80が、冷却体を示している。
【0004】
所定の状況下では、リチウムイオンセルに加えられる機械的な圧力が、リチウムイオンセルの寿命にプラスの影響を与えることが知られている。
【0005】
さらに、機械的な位置固定のために、機械的なプレス結合がしばしば利用される。また、セルを冷却するための熱的な接触のためにも、セルはしばしばプレス結合される。機械的にプレス結合されたセルは、特に薄くかつ軽く形成されたセル構造形態、たとえばポーチセルまたは幾分より剛性的な角柱状の金属ケースセルにおいて特に頻繁に認められる。
【0006】
公知先行技術は、独国特許出願公開第102009010148号明細書に相応して、たとえばガルバニセルの導体またはガルバニセルを接触させるための接触要素である。この導体または接触要素は、少なくとも部分的に表面構造を有している。この表面構造は、導体と接触要素との摩擦接続的な結合に際して、導体と接触要素とが互いに加える圧力を増加させる。
【0007】
さらに、荷重力をストローク制御して加えるために、しばしば弾性的なエレメント、たとえば弾性的なシートを使用することが知られている。
【0008】
したがって、圧着力を加えるための頑丈で廉価な新規のコンセプトが所望されている。この場合、セルがその寿命にわたって、より厚くかつより膨らんだ状態になることを特に考慮する必要がある。さらに、セル厚さにおける差を招いてしまう生産プロセス中の変動に対して強いコンセプトを利用する必要がある。
【0009】
発明の開示
本発明は、上述した課題を、リチウムイオンバッテリモジュールを製造する方法において、この方法が、1つのバッテリモジュールの少なくとも2つのセルの間に弾塑性的な装置を配置するステップと、バッテリモジュールの少なくとも2つのセルと、これらの少なくとも2つのセルの間に配置された弾塑性的な装置とをストローク制御してプレス結合するステップとを有していることによって解決している。
【0010】
さらに、本発明は、相応のリチウムイオンバッテリモジュールを提供している。
【0011】
好適な変化態様は、各従属請求項の対象である。
【0012】
発明の利点
好適な改良態様によれば、弾塑性的な装置が弾塑性的なシートである。この弾塑性的なシートは、所定の割合分の弾性的なスプリングバックしか有していない。純粋に弾塑性的なシートを使用し、ひいては、時間に関連して塑性的な特性を示す粘弾性的なシートを使用しないことによって、以下の利点が得られる。
【0013】
シートの塑性的な割合分は、製造プロセスにより生じてしまうようなセルにおける厚さ差を補償する。セルの呼吸やセルの充放電時のセル厚さの膨張および収縮は、弾性的な割合分を介して補償され、したがって、シートの全プレス結合にほぼ無関係である。老化によるセルの嵩増しは、塑性的な割合分によって補償され、これによって、セルに加えられる圧力がほんの僅かしか増加しないようになっている。セル表面における表面粗さ、たとえば膨らんだ形状は、塑性によって補償され、セルに均等な荷重が加えられる。
【0014】
弾塑性的なシートが膨張黒鉛である好適な改良態様によれば、膨張黒鉛が、優れた熱伝導性を有していて、したがって、セルの温度調整にプラスの影響を与えるという利点が得られる。
【0015】
セルの形状が円形である好適な改良態様によれば、良好な熱的な結合の利点が得られる。
【0016】
純粋に塑性的なシートが使用され、弾性的な特性が少なくとも1つの弾性的なエレメントによって提供される好適な改良態様によれば、本発明に係る方法に多種の材料が適用可能であるという利点が得られる。
【0017】
本発明の態様の更なる特徴および利点は、添付の図面に相俟った以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a】本発明の1つの実施の形態に係る方法により製造されたリチウムイオンバッテリモジュールの概略図である。
図1b図1a)に示したリチウムイオンバッテリモジュールの筐体の概略図である。
図2】本発明の別の実施の形態に係る方法により製造されたリチウムイオンバッテリモジュールの概略図である。
図3】機械的に緊締される複数のセルの例示的なアッセンブリの構造の概略図である。
【0019】
図中、同じ符号は、同一のもしくは同機能のエレメントを示している。
【0020】
図3は、機械的に緊締される複数のセルの例示的なアッセンブリの構造の概略図である。
【0021】
図3では、符号10が、電子装置のカバープレートを示しており、符号20が、制御電子装置を示しており、符号30が、レーザ溶接されるセルコネクタを示しており、符号40が、接続カバーを示しており、符号50が、加圧バンドを示しており、符号60が、加圧プレートを示しており、符号70が、角柱状のリチウムイオンセルを示しており、符号80が、冷却体(ヒートシンク)を示している。
【0022】
図1a)は、本発明の1つの実施の形態に係る方法により製造されたリチウムイオンバッテリモジュールの概略図であり、図1b)は、本発明の1つの実施の形態に係る方法により製造されたリチウムイオンバッテリモジュールの筐体の概略図である。
【0023】
図1a)および図1b)では、符号Zが、バッテリモジュールのセルを示している。符号Fは、弾塑性的なシートを示しており、符号Lは、セルZとシートFとから成るモジュール全体の長手方向延在長さを示している。符号Bは、バッテリモジュールを示している。符号Pは、ストローク制御されるプレス工程が行われる方向を示している。
【0024】
本発明の第1の実施の形態に係る方法に相応して、1つのバッテリモジュールの、一般的に角柱状のセルZ同士の間には、たとえば膨張黒鉛から成る弾塑性的なシートFが設置される。
【0025】
スタックの圧縮時には、弾塑性的なシートFに加えられる圧力が増加し、このシートFが、その材料特性により調整された圧力を上回ると、塑性的に降伏する。セルZと弾塑性的なシートFとから成るスタックは、ストローク制御されてプレス結合される。
【0026】
「ストローク制御されて」とは、プレス工程が、設定されたストローク方向Pに沿って、規定された最終点に達するまで行われることを意味している。
【0027】
本発明の別の有利な実施の形態に係る方法では、膨張黒鉛から成っていない別の弾塑性的なシートFが使用されてよい。
【0028】
図2は、本発明の別の実施の形態に係る方法により製造されたリチウムイオンバッテリモジュールの概略図である。
【0029】
図2では、符号Zが、バッテリモジュールのセルを示している。符号F’は、塑性的なシートを示しており、符号Eは、弾性的なエレメント、たとえばばねを示している。
【0030】
特に本発明に係る方法は、良好に熱的に結合される円形のセルZに適用されてもよい。
【0031】
本発明を好適な複数の実施の形態に基づき説明したにもかかわらず、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。特に記載した材料およびトポロジは例示的なものでしかなく、説明した形態に限定されるものではない。
図1a)】
図1b)】
図2
図3