(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮蔽トリガの少なくとも前記近位部分は、閉じられると、円錐台若しくはドームとして形作られ、或いは、切頭円錐形又は漏斗形又はテーパー付きである請求項1乃至11の何れか1項に記載の腹腔鏡ポート。
前記遮蔽トリガは、柔軟性があり且つ/或いは外方に回動可能であり、それにより前記シール部材を圧縮することによって前記開放を行わせる請求項10乃至13の何れか1項に記載の腹腔鏡ポート。
前記遮蔽トリガの剛性リーフレットの先端部は、前記剛性リーフレットの開閉により連結状態のリップの開閉が行われるよう前記ゼロシール部材の対応のリップに連結されている請求項20記載の腹腔鏡ポート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明及び理解を容易にするために以下の好ましい実施形態を例示の腹腔鏡下又は顕微鏡的腹腔鏡下外科的処置との関連において説明する。しかしながら、本発明は、具体的に説明した器具及び方法には限定されず、本発明の全体的範囲から逸脱することなく種々の臨床用途に適合可能である。例えば、本明細書において説明する技術的思想を含む装置及び関連方法を他の外科的処置、例えば、旧式腹腔鏡下手術、シングルポート腹腔鏡検査法及びNOTES支援内視鏡又は腹腔鏡下手術(これらには限定されない)のために使用できる。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態の一観点は、体内腔と外部環境をリンクさせるようになった腹腔鏡ポートに関する。
図1を参照すると、
図1は、本発明の実施形態に従って体内腔内に配備された例示の腹腔鏡ポート100及び外科用マニプレータ200の挿絵図付き概略断面図である。外科用マニプレータ200は、遠位自由端部212及び近位端部214(説明の目的上、手動操作型ハンドル220に連結された状態で示されている)を備えた細長くほっそりとしたシャフト210を有する。シャフト210及び/又は近位端部212は、オプションとして12mm以下、オプションとして5mm以下、オプションとして3mm以下、オプションとして1mm〜5mm、オプションとして1.5mm〜2.5mmの最大外径を有するのが良い。外科用マニプレータ200は、例示目的で示されると共に説明され、かかる外科用マニプレータは、本発明の範囲を手動で実施可能な腹腔鏡下手術になんら限定しない。シャフト210は、腹腔鏡下手術用ツールマニプレータ又はニードルとしてこれに連結された外科用エンドエフェクタの有無を問わず、手動で又はロボットにより操作可能である。
【0013】
腹腔鏡ポート100は、管状部材110を有し、この管状部材は、その近位端部112と遠位端部114との間に延びるルーメン120を有している。弁130が、オプションとして、ルーメン120を包囲した管状部材110の内周部分に固定された状態でルーメン120内に設けられている。本発明の幾つかの実施形態では、弁130は、遠位端部114から近位端部112へのこの弁を通る加圧ガスの流れを常時阻止するようになっている。弁130は、単一の弾性封止装置又は材料(例えば、メンブレン)を有しても良く、或いはルーメン120内である長さに沿って順次設けられた複数個の互いに異なる封止部材を有しても良い。弁130は、シャフト又は器械周囲回りに半径方向に引き伸ばし可能な中央孔を備えた器械封止部材として少なくとも1つの器械封止部材及び少なくとも1つのゼロクロージャ封止部材(図示せず)を有するのが良い。本発明の幾つかの実施形態では、弁130は、遠位端部、例えば外科用マニプレータ200の遠位端部212を通ってルーメン内に内方に突き出た状態で弁を通って移動している1本の
人工物を受け入れるよう構成されている。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態では、トリガ140が弁130の遠位側に設けられており、このトリガは、遠位端部114を通ってルーメン120内に内方に突き出た到来する
人工物と関連して弁及び/又は弁の任意の封止部材の開放をトリガ動作するようになっている。説明するように、
人工物は、人工の又は部分的に人工の器械、例えばシャフト、針、外科用ツール、腹腔鏡器械その他であるのが良い。本発明の幾つかの実施形態では、センサがトリガとして又はトリガと組み合わせて設けられ、このセンサは、到来する
人工物と関連したパラメータを検出するようになっている。オプションとして、センサは、機械センサ、プローブ、アンテナ、電気センサ、近接センサ、磁気センサ、圧力センサ、光学センサ及び音響センサのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施形態では、トリガ及び/又はセンサは、ルーメン内に設けられ又は変形例として
人工物に設けられる。
図2A及び
図2Bを参照すると、
図2A及び
図2Bは、本発明の実施形態に従って例示の腹腔鏡ポートを通って移動している到来する
人工物を検出する前及び後における例示の腹腔鏡ポート100の概略断面図である。オプションとして、センサは、トリガ140であり若しくはトリガ140の一部であり(
図1及び
図2に示されているように)、又はトリガ140とは別体であり或いはトリガ140(図示せず)に代えて設けられる。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態では、弁アクチュエータ150がトリガ及び/又はセンサ140にリンクされた状態で設けられ、この弁アクチュエータは、トリガ動作時に又はトリガ動作に続いて弁130を開き、それにより弁を通る加圧ガスの流れを可能にするようになっている(
図2Bに示されているように)。オプションとして、このリンクは、機械的及び/又は電気的直接連結又は接続又は変形例としてワイヤレス接続を含む。本発明の幾つかの実施形態では、弁130は、この弁と到来する
人工物遠位端部との物理的接触が生じる前に到来する
人工物遠位端部を受け入れるようトリガ動作され、従って、オプションとして、体内腔内からの加圧ガスの漏れが生じる場合があり又は増大する場合がある。幾つかの実施形態では、流れ方式又は体内腔中へのガス流の少なくとも1つのパラメータを変化させる(例えば、増大させる)ための手段(図示せず)が設けられる。幾つかの実施形態では、腹腔鏡ポート100とガス源とをリンクさせるガス圧力制御装置(図示せず)が設けられ、このガス圧力制御装置は、トリガ動作に続いて体内腔内に流れるガスの流れパラメータを変化させることができるよう構成されている。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態では、心出し手段が設けられ、かかる心出し手段は、
人工物をルーメンの軸線と選択された位置合わせ状態に、オプションとして、これと同心性を持った状態で位置合わせするようになっている。次に、
図3A及び
図3Bを参照すると、
図3A及び
図3Bは、本発明の幾つかの実施形態に従ってトリガ動作前後におけるトリガ及び心出し手段を有する例示の腹腔鏡ポート2000の概略断面図である。腹腔鏡ポート2000は、両端が開口した中空本体2100を有し、この中空本体内には弁2130が組み込まれ、この弁は、これに連結されたアクチュエータ2150によって選択的に開放可能である。幾つかの実施形態では、弁2130は、所定のしきい値を超えた場合、その遠位側とその近位側との間の正の圧力差の状態では、常態では閉じられる。変形例として且つオプションとして、弁2130は、アクチュエータ2150を用いて要望に応じて選択的に閉じられる。腹腔鏡ポート2000は、アクチュエータ2150の近位側に位置決めされた状態でこのアクチュエータに連係された感覚トリガ2140を更に有し、このトリガは、物体がこのトリガに対する所定の検出(例えば、近接)範囲内に且つ/或いは視線内に位置決めされると共に/或いは通過するとき又はそのような状態である間、アクチュエータ2150に指令を送って弁2130を開くようになっている。心出し機構体2300が感覚トリガ2140の近位側に位置決めされた状態で示されており、ただし、心出し機構体は、感覚トリガの近位側に位置決めされても良い。変形例として、心出し機構体は、感覚トリガと同一の場所に位置決めされても良い。本発明の幾つかの実施形態では、心出し機構体2300は、オプションとして、検出時及び/又は検出に続き且つ/或いは弁開放前に膨張することができる膨張可能な部分を有する。オプションとして、膨張可能な部分は、インフレート可能である。
図3Aに示されているように、腹腔鏡ポート2000の最小内径よりも小さい最大直径を有することを特徴とする長手方向
人工物2200が感覚トリガ2140の検出範囲に到達する前に腹腔鏡ポート2000のルーメン中に斜めに突き出る。この段階では、弁2130は、閉鎖状態に維持され、この弁は、ガスが通常の条件下においてこの弁の遠位側から近位側に流れるのを阻止する。
人工物2200が弁2130を通って非位置合わせ状態で依然として移動しようとする場合、これは、損傷を引き起こす場合があり且つ/或いはその周囲に対する適正な封止を阻止する場合がある。
図3Bに示されているように、
人工物2200は、感覚トリガ2140によるこの検出に続き、そして弁2130を通って移動する
人工物2200を受け入れるよう弁2130の開放で終わる検出‐トリガ動作‐作動シーケンスが生じた後、腹腔鏡ポート2000内に更に突き出される。さらに、感覚トリガ2140は又、心出し機構体2300の内方への膨張を開始させ、それにより
人工物2200を心出ししてこれを腹腔鏡ポート2000の長手方向軸線と整列させる。
【0017】
次に、
図4A及び
図4Bを参照すると、
図4A及び
図4Bは、本発明に従ってトリガ動作前(
図4A)及びトリガ動作後(
図4B)におけるトリガ動作及び心出し手段を含む
人工物3200でトリガ動作可能に構成された例示の腹腔鏡ポート3000の概略断面図である。腹腔鏡ポート3000は、両端が開口した中空本体3100を有し、この中空本体内には弁3130が組み込まれ、この弁は、これに連結されたアクチュエータ3150によって選択的に開放可能である。幾つかの実施形態では、弁3130は、所定のしきい値を超えた場合、その遠位側とその近位側との間の正の圧力差の状態では、常態では閉じられる。変形例として且つオプションとして、弁3130は、アクチュエータ3150を用いて要望に応じて選択的に閉じられる。幾つかの実施形態では、アクチュエータ3150には感覚及び/又はトリガ手段が埋め込まれており、その結果、弁3130の作動が
人工物が近づくと開始されるようになっており、或いは、アクチュエータ3150は、以下において説明するように
人工物を備えた感覚トリガ動作手段とワイヤレスで通信可能である。細長い
人工物3200がその自由端部に隣接して設けられた感覚トリガ3400を有し、このトリガは、物体がこのトリガに対する所定の検出(例えば、近接)範囲内に且つ/或いは視線内に位置決めされると共に/或いは通過するとき又はそのような状態である間、アクチュエータ3150に指令を送って弁3130を開くようになっている。オプションとして且つ変形例として、コードシグナル送信又は受信可能な装置(例えば、RFIDタグ(図示せず))が感覚トリガ3400に代えて設けられ、かかる装置は、感覚型アクチュエータとワイヤレス通信するよう構成されている。
人工物3200は、オプションとして膨張可能な部分を含む心出し機構体3300を更に有し、この膨張可能な部分は、オプションとして検出時及び/又は検出に続き且つ/或いは弁開放前に膨張することができる。オプションとして、膨張可能な部分は、インフレート可能である。
図4Aに示されているように、長手方向
人工物3200が感覚トリガ3140とアクチュエータ3150との間の検出範囲に到達する前に腹腔鏡ポート3000のルーメン中に斜めに突き出る。この段階では、弁3130は、閉鎖状態に維持され、この弁は、ガスが通常の条件下においてこの弁の遠位側から近位側に流れるのを阻止する。
図4Bに示されているように、
人工物3200は、感覚トリガ3140によるこの検出に続き、そして弁3130を通って移動する
人工物3200を受け入れるよう弁3130の開放で終わる検出‐トリガ動作‐作動シーケンスが生じた後、腹腔鏡ポート3000中に更に突き出される。さらに、感覚トリガ3400は又、心出し機構体3300の外方への膨張を開始させ、それにより
人工物3200を心出ししてこれを腹腔鏡ポート3000の長手方向軸線と整列させる。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態では、弁は、少なくとも1つ、オプションとして少なくとも2つ、オプションとして全ての検出、トリガ動作、心出し及び作動機能を有する。本発明のトリガ、例えば機械的トリガも又、
人工物との接触及び/又は押圧を検出するために利用可能であると共に/或いは弁内のシールの最初の、部分的な又は完全な開放を行わせることができる。弁は、オプションとして順次分布して設けられ、オプションとして少なくとも1つのゼロシール及び/又は少なくとも1つの器械シールを含む複数個のシールを有するのが良い。トリガは、方向を静的に且つ/或いは動的に変えると共に/或いはトリガに沿って又はトリガを通って進む
人工物を位置合わせすると共に心出しするよう設計されているのが良い。特にこれが硬化材料(例えば、超硬合金又はプラスチック)及び/又は補強柔軟性又は半柔軟性材料で作られている場合、弁の弾性部材の一部分、例えばシール又はシールの一部分のためのシールドとしても使用でき又は提供されるのが良い。したがって、トリガを「遮蔽トリガ」とみなすことができる。かかる遮蔽トリガは、到来する
人工物と弾性部材との間に設けられるのが良く、それにより特に
人工物が鋭利にされ又はもしそうでなければ危険な接触部分又は自由端部を有する場合、
人工物による弾性部材に対する潜在的な損傷を阻止する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの遮蔽トリガが弁の遠位端部の周りに、この遠位端部内に若しくはこの遠位端部に隣接して又は弾性部材若しくはシールに対して設けられ、それによりこれらを腹腔鏡ポートルーメンを通る遠位側から近位側に到来する
人工物から遮蔽するようになっている。
【0019】
次に、
図5A〜
図5Dを参照すると、
図5A〜
図5Dは、本発明の実施形態によるメンブレン型自己トリガ動作弁4200を有する例示の腹腔鏡ポート4000の概略断面図である。腹腔鏡ポート4000は、細長い本体4100を有し、この細長い本体を貫通して且つ近位端部4110及び遠位端部4120のところで開かれたルーメン4130が設けられている。円周方向突出部4140がルーメン4130内で本体4100の壁から内方且つ半径方向に突き出ており、この本体4100の壁は、複数個の(しかしながら、オプションとして、たった1つの)貫通開口部4150を有する。加圧手段(図示せず)が腹腔鏡ポート4000にこれに連結された状態で利用されるのが良く且つ/或いは公知の腹腔鏡ポート設計で実施されているように腹腔鏡ポート4000(図示せず)に設けられた開口部又は通路を経て体内腔を加圧するために用いられるのが良い。弁4200は、弾性部材で作られると共に、鼓形(砂時計形)の断面を有する膨張可能な、オプションとしてインフレート可能な環状封止部材4210を有する。環状封止部材4210は、その近位部分が本体4100の内周部の部分4260に固定されると共にその遠位部分が開口部4150上で内方に突き出た突出部4140に設けられている部分4250に固定され、それにより開口部4150を備えた遠位側だけが開いた密閉チャンバが作られている。幾つかの実施形態では、環状封止部材4210は、加圧ガスによりインフレートされたときにその中心に向かって内方に膨張するよう設計されており、この加圧ガスは又、開口部4150を経て体内腔を加圧する。近位遮蔽トリガ4220及び遠位遮蔽トリガ4230がそれぞれ、環状封止器具又は部材4210の遠位部分及び近位部分内に埋め込まれ又はこれらを覆っており、後には覆われていない中央部分4240が残されている。覆われていない部分4240は、この場合、ゼロ型シール及び/又は器械型シールのいずれとも同様に封止部分として機能するよう利用される。近位遮蔽トリガ4220及び遠位遮蔽トリガ4230は、一体物として又は別々の物体として設けられ、一般に、各々円錐台又はドームとして形作られ、オプションとして、各々、単一部品として設けられ又はオプションとしてスリット付きであり、又はオプションとして相互連結遮蔽部材を有する。本発明の幾つかの実施形態の観点では、弁4200は、封止機能、トリガ動作機能及び/又は検出機能、心出し機能及びシール作動機能のうちの少なくとも2つを有する。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態では、腹腔鏡ポート4000の弁4200は、トリガ(例えば、遠位遮蔽トリガ4230)を含む少なくとも1つのトリガ動作部分及びシール(例えば、中央部分4240)を含む封止部分を備えた心出し手段を有する。本発明の幾つかの実施形態では、弁4300は、近位側に到来する
人工物を受け入れるようになった遠位側の末広がり表面、遠位側に引き出されている
人工物を受け入れるようになった近位側の先細表面、及び遠位側の末広がり表面と近位側の先細表面との間に設けられた常態では封止された通路を有する鼓形のオプションとして柔軟性のある且つ/或いは弾性のあるメンブレンを有する。本発明の幾つかの実施形態では、メンブレンは、その遠位及び近位縁がルーメンの長さに沿って管状部材の内面に円周方向に連結されている。オプションとして、メンブレンの遠位縁は、管状部材の内方円周方向突出部に連結されている。幾つかの実施形態では、遠位側の末広がり表面及び/又は内方円周方向突出部は、流入する加圧ガスによってメンブレンの内方膨張を可能にする少なくとも1つの細孔を有する。
【0021】
図5Aに示されているように、尖った先端部4310を有する針4300が遠位端部4120から弁4200に向かってルーメン4130内に斜めに(即ち、細長い本体4100の長手方向軸線と整列していない状態で)導入されている。斜め導入により、直径がルーメン4130よりも実質的に小さい針4300は、その中心点即ち中央部分4240から離れたところで弁4200に係合し、その結果、この針は、遠位遮蔽トリガ4230に必然的に接触するようになっている。遠位遮蔽トリガ4230は、比較的剛性又は硬質なので、尖った先端部4310が弾性メンブレンに対する損傷を生じさせる(例えば、これを切断し又は突き通す)のを阻止する。かくして、遮蔽トリガは、環状封止部材4210を構成する弾性メンブレンを保護する。オプションとして、代替的に又は追加的に、遠位遮蔽トリガ4230は、滑らかであり且つ/或いは針4300のそれ以上の斜めの運動に抵抗し、それにより針4300が中央部分4240に向かって摺動しながら整列すると共に心出しするようにする。幾つかの実施形態では、針4300は、遠位遮蔽トリガ4230に圧接し、それにより遠位遮蔽トリガは、外方に回動して環状封止部材4210を穏やかに圧縮する。幾つかの実施形態では、圧縮されると、ガスが開口部4150を経て環状封止部材4210内から噴出するようになる。本発明の幾つかの実施形態では、環状封止部材4210が圧縮されると、その中央部分4210は、開くようになり、それによりこの中央部分を通る針4300の導入を可能にする。幾つかの実施形態では、遠位遮蔽トリガ4230が外方に回動すると共に/或いは環状封止部材4210が縮むと、近位遮蔽トリガ4220も又、外方に回動するようになり、オプションとしてその逆の関係が生じる。
【0022】
図5Bは、環状封止部材4210を通過しているときの針4300を示している。図示のように、環状封止部材4210は、穏やかに圧縮され、そして、近位遮蔽トリガ4220と遠位遮蔽トリガ4230の両方が僅かに外方に回動され、それにより環状封止部材を通る針4300の受け入れを可能にする。中央部分4240は、ガス漏れが生じないよう封止する仕方で針4300に内方に且つ円周方向に圧接する。
図5Cでは、針4300は、オプションとして、細長い本体4100の軸線との整列状態及び中央部分4240との気密封止状態のうちの少なくとも一方を維持しながら遠位端部4120に向かって一段と送り進められる。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態では、針4300は、その先端部4310のところに取り付け可能なエンドエフェクタ、例えば外科用ヘッド4400を担持すると共に作動させるよう構成された外科用マニプレータである。幾つかの実施形態では、針4300は、体内腔内への遠位端部4120の位置決め箇所の遠位側に位置する箇所のところで体内腔中に入り込み、次に、腹腔鏡ポート4000を経て外部環境まで通過可能であり、これにより外科用ヘッド4400に連結され、次に体内腔中に引き戻され、それにより外科的インターベンションを行う。
図5Dでは、針4300は、先端部4310上に取り付けられた外科用ヘッド4400を担持した状態で示されている。外科用ヘッド4400は、針4300の直径よりも実質的に大きな外径を有するので、環状封止部材4210は、これを通る外科用ヘッド4400の通過を可能にするよう一段と圧縮される。幾つかの実施形態では、かかる一段の圧縮は、近位遮蔽トリガ4220を一段と押して外方に回動させることによって達成される。幾つかの実施形態では、中央部分4240は、外科用ヘッド4400の周囲周りの気密封止状態を維持する。外科用ヘッド4400が完全に導入されて封止部材4210にいったん通されると、封止部材は、
図5に示されているようにその名目上の形状及び膨張形態を再び取る。
【0024】
次に
図6A及び
図6Bを参照すると、
図6A及び
図6Bは、本発明の実施形態による遠位側のシールプロテクタを有する例示の腹腔鏡ポートの幾つかの部分の概略断面図である。
図6Aでは、腹腔鏡ポート5100の一部分5110がその近位側からその遠位側まで延びるルーメンを備えた細長い管状形態を有する状態で示されている。シール5120がこの部分5110内に設けられ、このシールは、この部分を近位領域と遠位領域に分割し、そして遠位領域を封止しており、その結果、流体は、シール5120を通ってその近位領域に逃げ出ることができないようになっている。オプションとして且つ追加的に、シール5120は、この部分5110の近位領域を封止するよう構成されており、その結果、流体は、部分5110の近位領域を通って遠位領域に逃げ出ることができないようになっている。幾つかの実施形態では、
図6Aに示されているように、ポート5100は、圧力により区別された別々の離隔状態の環境相互間に設けられ、この場合、部分5110の遠位領域は、高圧環境、例えば加圧CO
2が注入された腹腔のところに保持され、部分5110の近位領域は、低圧環境下、例えば体外環境下に位置し、その間、シール5120は、高圧領域を封止状態に保つ。シールプロテクタ5130の形態をした遮蔽トリガがシール5120に隣接して且つこの遠位側で部分5110内に設けられており、その目的は、シール5120を高圧環境から現れて部分5110の遠位領域からシール5120を通って部分5110の近位領域に移動する自由端部(図示せず)を備えた到来する
人工物から保護することにある。上述したように、本発明の
人工物は、例えば、エンドエフェクタ(例えば、外科用ツール、例えば把持器)の自由端部に結合し、場合によっては外科的処置を実施するために組み立て状態の器械を腹腔中に引き戻すために腹腔内から外部環境までポート5100を通過するツールマニプレータのシャフトであるのが良い。シールを低圧(近位側の)環境から現れてシールを通ってこの低圧環境から高圧(遠位側の)環境まで通過する
人工物から保護するようになっている幾つかの公知の腹腔鏡ポート及びトロカールで用いられているシールプロテクタとは異なり、遠位シールプロテクタ5130が逆の
人工物の移動を容易にするために逆向きモード又は形態で設けられている。シールプロテクタ5130は、その小径部分がシール5120に向かって近位側に差し向けられた中空円錐台部分5132を有している。円錐台部分5132は、
人工物が近位側に進んでこれに圧接した場合、円錐台部分が側方に伸長して開くことができるようにする複数個のフラップ及び/又は折り目を有する。開口部5134が円錐台部分5132を伸長させるようになった
人工物の最小直径に従って寸法決めされた円錐台部分5132の頂点のところに配置されている。シールプロテクタ5130は、硬質、弾性又は柔軟性材料で形成されるのが良く、例えば、このシールプロテクタは、その円錐台部分5132周りに複数個の互いに間隔を置いて配置された側方スリットを有するのが良く、それにより複数個の剛性フラップが作られる。近位側に差し向けられた延長の際、円錐台部分5132は、シール5120が開くようにし、この円錐台部分は、このシールを遮蔽すると共に/或いはこれを横切って遠位側から近位側への方向にまたぎ、それにより到来する
人工物による損傷を阻止する。したがって、シールプロテクタ5130は又、これがシールの開放をトリガしたときにトリガ動作アクチュエータとして機能し、それ故に、かかるシールプロテクタを遮蔽トリガとみなすことができる。シールプロテクタ5130は又、到来する
人工物をこれがシールプロテクタを通って近位側に移動している場合に心出しするよう構成されているのが良い。
【0025】
図6Bは、2つのシールプロテクタ、即ち、シールを自由端部がこのシールを通って遠位側に移動している
人工物から保護するための近位シールプロテクタ及びシールを自由端部がこのシールを通って近位側に移動し又は体内に遠位側に引き戻される
人工物から保護するための遠位シールプロテクタが用いられている第2の実施例を示している。
図6Bでは、腹腔鏡ポート5200の一部分5210がその近位側からその遠位側まで延びるルーメンを備えた細長い管状形態を有する状態で示されている。シール5220がこの部分5210内に設けられ、このシールは、この部分を近位領域と遠位領域に分割し、そして遠位領域を封止しており、その結果、流体は、シール5220を通って近位領域に逃げ出ることができないようになっている。オプションとして且つ追加的に、シール5220は、この部分5210の近位領域を封止するよう構成されており、その結果、流体は、部分5210の近位領域を通ってその遠位領域に逃げ出ることができないようになっている。幾つかの実施形態では、
図6Bに示されているように、ポート5200は、圧力により区別された別々の離隔状態の環境相互間に設けられ、この場合、部分5210の遠位領域は、高圧環境、例えば加圧CO
2が注入された腹腔のところに保持され、部分5210の近位領域は、低圧環境下、例えば体外環境下に位置し、その間、シール5220は、高圧領域を封止状態に保つ。シールプロテクタ5230の形態をした遠位遮蔽トリガがシール5220に隣接して且つこの遠位側で部分5210内に設けられており、その目的は、シール5220を高圧環境から現れて部分52110の遠位領域からシール5220を通って部分52110の近位領域に移動する自由端部を備えた到来する
人工物(図示せず)から保護することにある。シールプロテクタ5230は、その小径部分がシール5220に向かって近位側に差し向けられた中空円錐台部分5232を有している。シールプロテクタ5240の形態をした第2の近位遮蔽トリガがシール5220に隣接して且つこの近位側で部分5210内に設けられており、その目的は、シール5220を低圧環境から現れて部分5210の近位領域からシール5220を通って部分5210の遠位領域に移動する自由端部を備えた到来する
人工物(図示せず)から保護することにある。シールプロテクタ5240は、その小径部分がシール5220に向かって遠位側に差し向けられた中空円錐台部分5242を有している。円錐台部分5232及び5242のうちの任意のものは、
人工物が進んでこれに圧接した場合、円錐台部分が側方に伸長して開くことができるようにする複数個のフラップ及び/又は折り目を有する。開口部5234が円錐台部分5232を伸長させるようになった
人工物の最小直径に従って寸法決めされた円錐台部分5232の頂点のところに配置されている。同様に、開口部5244が円錐台部分5242を伸長させるようになった
人工物の最小直径に従って寸法決めされた円錐台部分5242の頂点のところに配置されている。オプションとして、図示のように、開口部5244は、これがこの開口部を通過する大径
人工物(例えば、栓塞子又は腹腔鏡)がシール5220の開放をトリガするのを可能にするので、開口部5234よりも大径であり、他方、開口部5234は、小径
人工物(オプションとして、開口部5244の直径よりも小さい)がこの開口部を通って移動してシール5220の開放をトリガするよう構成されている。シールプロテクタ5230及び/又はシールプロテクタ5240は、硬質、弾性又は柔軟性材料で形成されるのが良く、例えば、このシールプロテクタは、その円錐台部分5232/5242周りに複数個の互いに間隔を置いて配置された側方スリットを有するのが良く、それにより複数個の剛性フラップが作られる。
【0026】
図7A及び
図7Bは、本発明の実施形態による第1及び第2の例示のシールプロテクタを概略的に示している。
図7Aは、遠位端部5310及び近位端部5320を備えた全体として管状のプリーツ付きシールプロテクタ5300を示している。遠位端部5310は、対応関係をなす凹部に係合し、オプションとして腹腔鏡ポート壁に定位置で固着するようオプションとしての半径方向フランジ5330を有している。近位端部5320は、切頭円錐形、テーパー付き及び/又は漏斗状であり、開口部5350で終端する複数個の末広がり長手方向プリーツ5340を有している。全体として円筒形の入口領域5352が遠位端部5310と近位端部5320との間に延びている。他の実施形態では、入口領域5352は、別の適当な形状を、例えば、切頭円錐形の形を有し、楕円形断面、多角形角柱を有すると共に/或いはピラミッド形のものである。幾つかの実施形態は、入口領域5352を備えていない。シールプロテクタ5300は、任意適当な弾性材料、例えば、ポリマーで作られるのが良い。適当なポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(ナイロン(Nylon(登録商標))、デルリン(Delrin(登録商標)))、コポリマー、配合物、混合物等が挙げられる。幾つかの実施形態では、シールプロテクタ5300は、ばね用金属及び/又は複合材から成り、オプションとして、このシールプロテクタは、一体型であると共に/或いは一体に製造され、オプションとして、非弾性材料から成り、オプションとして、特に器械をこのシールプロテクタに通す際にエラストマー材料と比較して器械抗力を減少させるための開口部5350を備えた少なくともその一部分を有する。シールプロテクタ5300は、腹腔鏡シール(例えば、ゼロシール、隔膜シール、ワイパーシール及び/又は器械シール、オプションとして単一のシール又は一連のシール)の遠位端部を保護するよう構成されている。この場合、このシールは、器械を腹腔鏡ポート又はトロカールの遠位端部中に挿入したときに損傷から保護される。というのは、このシールは、比較的軟質の材料から成り、従って、これに押し当てられる器械先端部がこの材料を裂くと共に/或いは損傷させる場合があるからである。シールプロテクタ5130は、これがポート軸線に対して角度をなしている場合、かかる器械をシールの中心又は開口部の方へ差し向けるよう構成されており、近位端部5320の切頭円錐形状は、器械を送り進めているときに器械の先端部を開口部5350の方へ差し向ける。プリーツ5340(これらの弛緩状態で示されている)により、近位端部のところの開口部5350は、器械をこの開口部中に送り進めているときに拡張してこの器械の周りに接触することができる。
【0027】
図7Bは、外科用器械の挿入及び抜去中、シール、例えば隔膜シールを保護するための剛性又は硬質シールプロテクタ5400を示している。シールプロテクタ5400は、近位端部及び遠位端部を備えた管状部材5420及び管状部材5420の近位端部から突き出た複数個のブレード又はリーフレット5440を有する。シールプロテクタ5400は、硬質プラスチック筒体で形成されるのが良く、この硬質プラスチック筒体は、器械をその自由端部のところが腹腔鏡ポートの遠位端部から挿入されてこの器械が腹腔鏡シールに係合するときにこの器械を心出しすると共に案内するよう働く。オプションとして且つ変形例(図示せず)として、ブレード又はリーフレット5440は、互いにオーバーラップしていても良い。器械を腹腔中に引き戻しているときの潜在的な「ロックアップ」を回避するため、シールプロテクタ5400は、オプションとして、各ブレード又はリーフレット5440の先端部のところで変形するよう設計されており、その結果、個々のリーフレットの先端部は各々、器械に向かって内方にまるまって器械をシールから取り出すときに器械が滑動するための可変半径を生じさせる。各リーフレットの先端部が内方に変形されると、ブレード又はリーフレット5440の本体が器械の軸方向位置から遠ざけられる。
【0028】
図8A〜
図8Cは、本発明の実施形態による両面保護方式の封止組立体を有する例示の腹腔鏡ポートを概略的に示している。腹腔鏡ポート6000は、大径近位領域6120、小径遠位領域6110、及び近位開口部6130から遠位開口部(図示せず)まで貫通して延びるルーメン6140を備えた細長い管状部材6100を有するトロカールとして形成されている。腹腔鏡ポートは、患者の腹部に設けられた外科用開口部を経て配置可能に構成され、その結果、その遠位端部は、腹腔内に突き出るようになっている。腹腔鏡ポート6000は、その近位領域6120のところに、近位隔膜又は器械シール6300及び遠位ダックビル又はゼロシール6200を含む順次分布して設けられた複数個のシールを有する弁を収容している。近位シールプロテクタ6400の形態をした近位遮蔽トリガが器械シール6300に隣接し且つこの近位側に位置決めされており、オプションとして、先細になると共に/或いは少なくとも部分的に器械シール6300内に嵌まり込むことができるようオプションとして寸法決めされると共に形作られている。近位シールプロテクタ6400は、オプションとして、遠位側に突き出ていて且つ遠位開口部6420を備えた切頭円錐形態に見かけ上近い複数個の剛性リーフレット6410を有する。遠位シールプロテクタ6500の形態をした遠位遮蔽トリガがゼロシール6200に隣接し且つこの遠位側に設けられ、近位シールプロテクタ6400及び更にオプションとしてゼロシール6200及び/又は器械シール6300に逆に差し向けられている。遠位シールプロテクタ6500は、オプションとして、近位側に突き出ていて且つ見かけ上切頭円錐形態に近い複数個の剛性リーフレット6510を有している。幾つかの実施形態では、リーフレット6510の先端部6520は、ゼロシール6200の対応のリップ端部に連結されており、その結果、一方の部材の開閉により他方の部材の開閉が生じるようになっている。
図8Bは、
人工物6600、例えば栓塞子がルーメン6140内で近位開口部6130から遠位側に通され、それによりリーフレット6410を側方に伸長させると共に器械シール6300を引き伸ばし、それにより周辺の封止を生じさせる第1の形態を示している。
人工物6600を遠位側に更に押すと、ゼロシール6200が開き、他方、リーフレットも又必要に応じて側方に延びる。この形態では、遠位シールプロテクタ6500が働いていない状態において器械シール6300を保護するのに役立つ近位シールプロテクタ6400は、
人工物の前進又は封止特性を依然として邪魔することがなかった。
図8Cは、
人工物6700、例えばほっそりとしたシャフトがルーメン6140内でポート6000の遠位開口部から近位側に移動し、それによりリーフレット6510を側方に伸長させると共にゼロシール6200を開く(例えば、引き伸ばす)第2の形態を示している。幾つかの実施形態では、器械シール6300及び近位シールプロテクタ6400は、これらの弛緩収縮状態では最小の開口部を有し、この開口部は、
人工物6700の最大直径とほぼ同じ又はこれよりも大きく、従って、
人工物を開口部中に更に通しても作用効果はなんら生じない。オプションとして且つ変形例として、器械シール6300及び近位シールプロテクタ6400は、これらの弛緩収縮状態では最小の開口部を有し、この開口部は、
人工物6700の最大直径よりも小さいが、かかる器械シール及び近位シールプロテクタは、少なくとも
人工物6700がオプションとして遠位シールプロテクタ6500及び/又は他の心出し手段によって心出しされると共にポート6000の長手方向軸線と整列する場合、損傷なくこの最小開口部を通過することができるよう構成されている。この形態では、近位シールプロテクタ6400が働いていない状態においてゼロシール6200を保護するのに役立つ遠位シールプロテクタ6500は、
人工物の前進又は封止特性を依然として邪魔することがなかった。
【0029】
本発明をその特定の実施形態と関連して説明したが、明らかなこととして、多くの変形例、改造例及び変更例が当業者に想到できる。したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び広い範囲に含まれる全てのかかる変形例、改造例及び変更例を含むものである。
【0030】
本明細書において言及した全ての刊行物、特許及び特許出願を参照により引用し、これらの記載内容全体を、個々の刊行物、特許又は特許出願の各々が具体的に且つ個々に本明細書において記載されているのと同じように本明細書の一部とする。加うるに、本願におけるどのような参考資料であってもこれに対する引用又は識別は、かかる参考資料が本発明にとって先行技術として用いうるという承認として解されるべきではない。項分け記載のための表題を用いているが、これらは、必然的に本発明を限定するものと解されてはならない。