特許第6076508号(P6076508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076508
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】ヘッドレスト移動装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/48 20060101AFI20170130BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B60N2/48
   A47C7/38
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-560133(P2015-560133)
(86)(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公表番号】特表2016-508472(P2016-508472A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】KR2014011775
(87)【国際公開番号】WO2015088177
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2015年8月27日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0152809
(32)【優先日】2013年12月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514302562
【氏名又は名称】ウーボ テク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヘイル
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−342379(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/175371(WO,A1)
【文献】 実開昭58−091955(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0221250(US,A1)
【文献】 特表2011−504433(JP,A)
【文献】 特表2006−523497(JP,A)
【文献】 米国特許第6926363(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0175421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/48
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の歯形が幅方向及び長手方向に沿って形成された第1歯車と、
複数の歯形が幅方向及び長手方向に沿って形成された第2歯車と、を含み、
前記第1歯車と前記第2歯車のうちの1つがシートに連結され、残りの1つがヘッドレストに連結され、
前記第1歯車と前記第2歯車が噛合する際に複数の幅方向歯形及び複数の長手方向歯形が互いに噛合され、
前記シートに連結される水平ロッドに設けられた第1ブラケットと、
前記水平ロッドに回動可能に設けられて前記ヘッドレストに連結された第2ブラケットと、をさらに含み、
前記第1ブラケットに前記第1歯車が回動可能に設けられ、
前記第2ブラケットに前記第2歯車が設けられ、
前記第1ブラケットと前記第1歯車に両端がそれぞれ連結され、前記第1、2歯車の噛合状態を維持したり、前記第1、2歯車の離脱状態を維持するスプリングが備えられることを特徴とするヘッドレスト移動装置。
【請求項2】
前記第1歯車と前記第2歯車のうちの少なくとも1つは、長手方向に沿って複数の歯形が形成された複数個のプレートが結合して形成されて、幅方向に沿って歯形が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドレスト移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレスト移動装置(Headrest Moving Device)に関し、特に、複数の歯形が幅方向及び長手方向に沿って形成された第1、2歯車が噛合する際に複数の幅方向歯形及び複数の長手方向歯形が互いに噛合されるが、歯形が複数備えられているためにヘッドレストの位置を微細に調節できると共に高荷重に耐えることができ、歯形を微細に形成することができるので、装置がコンパクト化し、操作感が向上して、一部の歯形が離脱しても作動が可能である、耐久性に優れたヘッドレスト移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘッドレスト移動装置は、ヘッドレストをバックレスト上に固定した状態で固定支点を中心に回転させて所定角度に傾くようにし、搭乗者の後頭部との間隔を任意で調節できるティルト(Tilt)構造及びスライド構造のヘッドレストが提案されていた。
【0003】
また、ヘッドレストのスライド構造またはティルト構造を適用した場合、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5に提示されたように、長手方向に沿って歯形を複数形成してヘッドレストの位置を調節することができる。このような従来構造において、ヘッドレストの位置を微細に調節するために歯形を小さくした場合、歯形の耐久性が低下し、歯形が損傷しやすくなる問題点のために限界があった。また、一部の歯形が離脱した場合、作動しなくなる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第790535号明細書
【特許文献2】大韓民国公開実用新案公報第2000−0015501号明細書
【特許文献3】大韓民国登録特許第403478号明細書
【特許文献4】大韓民国公開特許公報第2007−0105210号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開公報第2011/0221250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために案出されたものであり、ヘッドレストの位置を微細に調節できると共に高荷重に耐えることができ、一部の歯形が離脱しても作動が可能である耐久性に優れたヘッドレスト移動装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明のヘッドレスト移動装置は、複数の歯形が幅方向及び長手方向に沿って形成された第1歯車と、複数の歯形が幅方向及び長手方向に沿って形成された第2歯車とを含み、前記第1歯車と前記第2歯車のうちの1つはシートに連結され、残りの1つはヘッドレストに連結され、前記第1歯車と前記第2歯車とが噛合する際に複数の幅方向歯形及び複数の長手方向歯形が互いに噛合することを特徴とする。
【0007】
このような構造において、前記第1歯車と前記第2歯車のうちの少なくとも1つは、長手方向に沿って複数の歯形が形成された複数個のプレートを結合して形成され、幅方向に沿って歯形が形成される。
【0008】
また、前記シートに連結された第1リンクと、前記第1リンクの一側に回動可能に設けられた第2リンクと、前記第1リンクの他側に回動可能に設けられた第3リンクと、前記第2リンクに一側が回動可能に連結され、前記第3リンクに他側が回動可能に連結された第4リンクとをさらに含み、前記第4リンクにヘッドレストが連結され、前記第1歯車が前記第1リンクに連結され、前記第2歯車が前記第2リンクに連結される。
【0009】
このような構造において、前記シートに連結された水平ロッドに設けられた第1ブラケットと、前記水平ロッドに回動可能に設けられて前記ヘッドレストに連結された第2ブラケットとをさらに含み、前記第1ブラケットに前記第1歯車が回動可能に設けられ、前記第2ブラケットに前記第2歯車が設置され、前記第1ブラケットと前記第1歯車に両端がそれぞれ連結され、前記第1、2歯車の噛合状態を維持したり、前記第1、2歯車の離脱状態を維持するスプリングが備えられる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明のヘッドレスト移動装置によれば、次のような効果がある。
【0011】
複数の歯形が幅方向及び長手方向に沿って形成された第1、2歯車が噛合する際、複数の幅方向歯形及び複数の長手方向歯形が互いに噛合され、歯形の大きさを極微細に成形(長手方向/幅方向の微細歯車が互いに複数個噛合)しても歯形が高荷重に耐えられ、ヘッドレストの位置をさらに微細に調節できるので、多段極大化が可能となる。例えば、従来にはヘッドレストを3段階程度しか調節できなかったが、本発明は9段階以上に大幅な微細調節が可能となった。
【0012】
また、歯形を微細に形成することができるので、装置がコンパクト化し、操作感が向上する利点がある。
【0013】
また、一部の歯形が離脱しても作動可能であり耐久性にも優れる。
【0014】
前記第1歯車と前記第2歯車のうちの少なくとも1つは、長手方向に沿って複数の歯形が形成された複数個のプレートが結合して形成され、幅方向に沿って歯形が形成されるので、組立時に各プレートの位置を精密に維持する必要がないために組み立てがしやすく、一部の歯形が離脱しても損傷した歯形があるプレートだけを入れ替ればよいので、維持補修費が安くなる利点がある。また、従来は、歯車を鋳造や鍛造加工した後、さらに仕上げ加工をしなければならないなど、加工工程が複雑であったが、本発明はプレートをプレスにより加工が可能で、加工工程が単純化される利点がある。
【0015】
また、前記シートに連結された第1リンクと、前記第1リンクの一側に回動可能に設けられた第2リンクと、前記第1リンクの他側に回動可能に設けられた第3リンクと、前記第2リンクに一側が回動可能に連結され、前記第3リンクに他側が回動可能に連結された第4リンクとをさらに含み、前記第4リンクにヘッドレストが連結され、前記第1歯車が前記第1リンクに連結され、前記第2歯車が前記第2リンクに連結され、ヘッドレストを前後方向に微細にスライドさせて位置を調節することができる。
【0016】
前記シートに連結される水平ロッドに設けられた第1ブラケットと、前記水平ロッドに回動可能に設けられて前記ヘッドレストに連結された第2ブラケットとをさらに含み、前記第1ブラケットに前記第1歯車が回動可能に設けられ、前記第2ブラケットに前記第2歯車が設けられ、前記第1ブラケットと前記第1歯車に両端がそれぞれ連結され、前記第1、2歯車の噛合状態を維持したり、前記第1、2歯車の離脱状態を維持するスプリングが備えられ、ヘッドレストを前後方向に微細にティルトして位置を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るヘッドレスト移動装置の斜視図である。
図2図2は、図1の第1歯車の斜視図である
図3図3は、図1の第2歯車の斜視図である。
図4図4は、図1の結合斜視図である。
図5図5は、図4の正面図である。
図6図6は、図4の側面図である。
図7図7は、図4の後面斜視図である。
図8図8は、図4の平面図である。
図9図9は、図8のA−A断面図である。
図10図10は、本発明の第1実施形態に係るヘッドレスト移動装置作動状態を示す作動状態図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態に係るヘッドレスト移動装置の斜視図である。
図12図12は、図11の結合斜視図である。
図13図13は、図12の側面図である。
図14図14は、図12の正面図である。
図15図15は、図13で第2ブラケットの右側に配置される側壁を除去した状態図である。
図16図16は、本発明の第2実施形態に係るヘッドレスト移動装置作動状態を示す作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
参照として、以下に説明する本発明の構造のうち従来技術と同一の構造については、上述の従来技術を参照するものとし、別途の詳細な説明は省略する。
【0020】
<第1実施形態>
図1ないし図10に示すように、本実施形態のヘッドレスト移動装置は、複数の歯形150が幅方向及び長手方向に沿って形成された第1歯車100と、複数の歯形240が幅方向及び長手方向に沿って形成された第2歯車200とを含み、前記第1歯車100と前記第2歯車200のうちの1つはシートに連結され、残りの1つはヘッドレストに連結され、前記第1歯車100と前記第2歯車200が噛合する際に複数の幅方向歯形150、240及び複数の長手方向歯形150、240が互いに噛合することを特徴とする。
【0021】
第1歯車100は、前後方向に沿って垂直に配置されて板状に形成され、複数の歯形150が幅方向及び長手方向に沿って上部に形成される。
【0022】
第1歯車100は、以下に述べる第1リンク300に設けられてシートに連結される。
【0023】
第1歯車100は、長手方向に沿って複数の歯形150が形成された複数個のプレート100aが幅方向に沿って結合して形成されて幅方向に沿って複数の歯形150が形成される。
【0024】
第1歯車100は、前方下部に第1突出部130が形成され、後方下部に締結孔110が幅方向に貫通されて形成される。
【0025】
第1歯車100下部には、締結孔110の前方に配置されるようにスプリング嵌孔120が形成される。
【0026】
第1歯車100上部後方には、歯形150の後方に配置されるように第1係止部140が後方に突出するように形成される。
【0027】
また、第1歯車100後方下部には、第2突出部160が後方に突出するように形成される。第2突出部160の下部には、以下に述べる第1リンク300の係止突起304が配置される。
【0028】
第2歯車200は、前後方向に沿って垂直するように配置されて板状に形成され、複数の歯形240が幅方向及び長手方向に沿って下部に形成される。
【0029】
第1、2歯車100、200の歯形150、240は、一方向(前方)への移動は許容されるが、反対方向(後方)への移動は許容されないように形成される。
【0030】
第2歯車200は、以下に述べる第2リンク400に設けられてヘッドレストに連結される。
【0031】
第2歯車200は、長手方向に沿って複数の歯形240が形成された複数個のプレート200aが幅方向に沿って結合して形成されて幅方向に沿って複数の歯形240が形成される。
【0032】
長手方向に沿って形成される歯形240は円弧形状に沿って形成される。
【0033】
第2歯車200の後方には、第1歯車100の第1係止部140と係止される第2係止部230が前方を向くように突出して形成される。第2係止部230は歯形240の後方下部に配置される。
【0034】
第2歯車200は、左側にガイド板220が設けられ、右側に補助板210が設けられる。第2歯車200とガイド板220と補助板210には締結孔が形成されて第2リンク400に設けられる。
【0035】
ガイド板220は、プレート200aよりも下部に突出するように設けられて第2歯車200に噛合される第1歯車100をガイドする。
【0036】
補助板210は、第2リンク400と第2歯車200との間に配置されて第2リンク400と第2歯車200との間の隔離距離を調節する。
【0037】
第1リンク300は、前記シートに連結されるステイロッド730の水平ロッドの中央部分に設けられて前記シートに連結される。
【0038】
第1リンク300は、両側に垂直に配置される側壁301、302と、側壁301、302の下部を連結し、前記水平ロッド上部に設けられる底面303とを含む。
【0039】
側壁301、302には、締結孔310、320が幅方向に貫通されて形成される。締結孔310、320は前方と後方にそれぞれ配置される。
【0040】
右側に配置される側壁301には、締結孔310、320の上部に配置されるように、第1歯車締結孔330が幅方向に貫通されて形成される。第1歯車締結孔330と第1歯車100の締結孔110とに軸が挿入されて、第1歯車100が第1リンク300で回動可能に設けられる。
【0041】
側壁301には、締結孔310、320の上部及び第1歯車締結孔330の前方に配置されるようにスプリング嵌孔340が形成される。
【0042】
側壁301後方には、第1歯車締結孔330の下部に配置されるように、係止突起304が後方に突出するように形成される。
【0043】
第2リンク400は、第1リンク300一側(前方)に軸を介して回動可能に設けられる。
【0044】
第2リンク400は、前面401と、前面401の両側に形成される側壁402、403を含む。
【0045】
側壁402、403には、上部及び下部に締結孔430、420が形成され、締結孔430、420に前記軸が挿入されて、第2リンク400は第1リンク300及び第4リンク600と回動可能に連結される。締結孔430、420は、下部に配置された締結孔420が前方に配置されるように交差して配置される。
【0046】
右側に配置される側壁402には、締結孔430、420間に配置されるように第2歯車締結孔410が前後方向に沿って複数形成される。側壁402外側には第2歯車締結孔410に連通されるように溝が形成され、該溝は側壁402の一部が内側に曲折されて形成される。
【0047】
第2歯車200に形成された締結孔と第2歯車締結孔410にボルトのような締結部材が挿入され、第2歯車200は第2リンク400に固定設置される。
【0048】
第3リンク500は、第1リンク300の他側(後方)に回動可能に設けられる。
【0049】
第3リンク500は、後面502と後面502の両側に形成される側壁501、503を含む。
【0050】
右側に配置される側壁501の前方下部には突出板504が形成される。
【0051】
側壁501、503上下部には締結孔510、520が形成される。
【0052】
下部に配置される締結孔520が前方に配置されるように、第3リンク500は傾くように配置される。
【0053】
締結孔510、520に軸が挿入され、第3リンク500は第1リンク300及び第4リンク600と回動可能に連結される。
【0054】
第4リンク600は、第2リンク400に一側(前方)が回動可能に連結され、第3リンク500に他側(後方)が回動可能に連結される。
【0055】
第4リンク600は、装置の両側にそれぞれ配置される。
【0056】
第4リンク600は、側板602と側板602の前方に、外側に切曲されて形成される取付板601を含む。
【0057】
取付板601にはヘッドレストが設置される。
【0058】
側板602には、締結孔610、620が前後方にそれぞれ形成される。
【0059】
締結孔610、620に軸が挿入され、第4リンク600の前方と後方は第2リンク400及び第3リンク500に回動可能に設けられる。
【0060】
スプリング710は、第1歯車100と第1リンク300のスプリング嵌孔120、340に両端がそれぞれ嵌合され(連結され)、第1、2歯車100、200の噛合状態を維持したり、第1、2歯車100、200の離脱状態を維持する。すなわち、スプリング710は、オメガ形状に形成されて、第1、2歯車100、200が噛合状態にあるときには噛合状態が維持されるように第1歯車100に弾性力が加えられ、第1、2歯車100、200が互いに離脱した状態にあるときには離脱された状態が維持されるように第1歯車100に弾性力が加えられる。
【0061】
さらに、第1、2歯車100、200が離脱された状態にある場合、ヘッドレストに別途の力が加えられなければ、自動でヘッドレストが後方に移動(原位置に復帰)することができるように、メインスプリング720が備えられる。
【0062】
メインスプリング720は、第1リンク300と第3リンク500を連結する軸に嵌合されて設置され、両端が第1リンク300と第3リンク500に連結される。
【0063】
以下、上述のような構造を有する本実施形態の作用を説明する。
【0064】
ヘッドレストを前方にスライドさせるようとする場合、使用者がヘッドレストを前方に押すことで、歯形150、240は、第2歯車200が第1歯車100に対して前方移動を許容するように形成されているので、ヘッドレスト(第2歯車、第2、3、4リンク)はステイロッド730(第1歯車、第1リンク)に対して前方にスライドされる。使用者が所望する位置までヘッドレストが達したとき、ヘッドレストの前方に押す力を除去することで、第1、2歯車100、200が互いに噛合され、スプリング710で噛合状態が安定的に維持されてヘッドレストの位置が固定される。
【0065】
このように、第1歯車100と第2歯車200が噛合する際、複数の幅方向歯形150、240及び複数の長手方向歯形150、240が互いに噛合される。
【0066】
これにより、複数の幅方向歯形150、240のうちいずれか1つが離脱しても同一幅方向線上の他の歯形150、240が噛合された状態となるので、噛合状態が安定的に維持される。また、噛合時に複数個の幅方向歯形150、240及び長手方向歯形150、240が同時に噛合された状態となり、高荷重でも耐久性を維持することができる。
【0067】
また、図10に示すように、ヘッドレストは、複数の長手方向歯形150、240により前後方向位置を微細に調整(1〜9段階)することができる。
【0068】
ヘッドレストを後方に移動させようとする場合には、ヘッドレストを最前方まで押すことで、第1歯車100の第1係止部140が第2歯車200の第2係止部230に係止されて第1歯車100が回転し、第1歯車100は第2歯車200から離脱することになる。第1、2歯車100、200の離脱された状態はスプリング710によって維持される。これにより、メインスプリング720の弾性力によりヘッドレスト、第2リンク400、第2歯車200、第3リンク500、第4リンク600は、ステイロッド730、第1リンク300、第1歯車100に対して後方に移動される。次いで、前記ヘッドレストが最後方に移動されると、第1、2歯車100、200が第2リンク400の前面401に係止されて第2歯車200の前方に第1歯車100が噛合されることになる。
【0069】
このように、ヘッドレストの位置が固定される場合は2つの歯車が噛合され、ヘッドレストを後方に移動させる場合にはヘッドレストを最前方に移動させた後に力を除去することで、自動でヘッドレストが最後方に移動され、2つの歯車の噛合及び離脱を維持させるスプリングが備えられたヘッドレスト移動装置は、従来技術にも開示されているので、これについての詳細な説明は省略する。
【0070】
<第2実施形態>
上述のような第1実施形態とは異なって、図11ないし図16に示すように、第2実施形態に係るヘッドレスト移動装置は、前記シートに連結されたステイロッド730’の水平ロッドに設けられた第1ブラケット900と、前記水平ロッドに回動可能に設けられ、前記ヘッドレストに連結された第2ブラケット800とをさらに含み、前記第1ブラケット900に前記第1歯車100’が回動可能に設けられ、前記第2ブラケット800に前記第2歯車200’が設けられ、前記第1ブラケット900と前記第1歯車100’に両端がそれぞれ連結され、前記第1、2歯車100’、200’の噛合状態を維持したり、前記第1、2歯車100’、200’の離脱状態を維持するスプリング710’が備えられる。
【0071】
上述のような実施形態と同一構造に対しては詳細な説明を省略する。
【0072】
第1歯車100’は、上部に歯形150’が前後方向及び幅方向に複数形成され、歯形150’後方に第1係止部140’が上部に突出するように形成される。
【0073】
第1歯車100’は、上部から前後方に複数のプレート100a’が互いに結合するように結合孔が形成される。
【0074】
第1歯車100’には、前記結合孔の下部に軸が挿入される締結孔が形成される。
【0075】
第1歯車100’には、前記締結孔の前方に配置するようにスプリング710’の一端が嵌められるスプリング嵌孔が形成される。
【0076】
第2歯車200’は、複数のプレート200a’が互いに結合されると共に、第2歯車200’が第2ブラケット800に固定されるように締結孔が形成される。
【0077】
第2歯車200’の下部には、歯形240’が前後方向及び幅方向に複数形成される。
【0078】
第1ブラケット900は、両側に前後方向に垂直するように配置される側壁910、920と、側壁910、920の後方を連結する後面930を含む。
【0079】
側壁910、920上部には、第1歯車締結孔901が幅方向に形成される。第1歯車締結孔901には、第1歯車100’を貫通する軸が設けられ、第1歯車100’が第1ブラケット900に回動可能に設けられる。
【0080】
側壁910、920下部には、前記水平ロッドが貫通される貫通孔904が形成され、第1ブラケット900が前記水平ロッドに固定される。よって、第1ブラケット900がシートに連結される。
【0081】
第1ブラケット900は、前記水平ロッド中間に嵌まれるメインスプリング720’の左側に配置される。
【0082】
右側に配置される側壁910の前方上部には、スプリング710’の他端が嵌められるスプリング嵌孔902が形成される。
【0083】
また、側壁910の前方下部には、メインスプリング720’の一端が嵌められるメインスプリング嵌孔903が形成される。
【0084】
第2ブラケット800は、両側にそれぞれ配置され、前後方向に垂直に配置される側壁810、820を含む。
【0085】
側壁810、820下部には、前記水平ロッドが貫通する貫通孔805が形成され、第2ブラケット800はステイロッド730’及び第1ブラケット900及び第1歯車100’に対して回動可能となる。
【0086】
右側に配置される側壁810には、メインスプリング720’の他端が嵌められるメインスプリング嵌孔811が形成される。
【0087】
側壁810、820は、中間部分から内側に切曲された第1切曲部806と、第1切曲部806の終端から上部に向かって切曲された第2切曲部807と、第2切曲部807の上端から外側に切曲された第3切曲部801が形成される。
【0088】
側壁810、820の中間部分及び第1切曲部806には、波形に曲折された曲折部804が形成されて耐久性が向上される。
【0089】
第2切曲部807には、幅方向に締結孔803が前後方にそれぞれ形成されて、第2歯車200’が設けられると共に、両側の側壁810、820が互いに結合される。よって、第2歯車200’は、第2ブラケット800に固定設置される。
【0090】
第3切曲部801によって第2ブラケット800にヘッドレストが安定的に連結される。
【0091】
左側に配置される側壁820には、前方に第1係止突出部821が形成され、後方上部に第1歯車100’の第1係止部140’が係止される第2係止部822が形成され、後方下部に第2係止突出部823が形成される。
【0092】
組立時に、第2ブラケット800の左側側壁820上部と第2ブラケット800の右側側壁810上部との間に第2歯車200’が配置され、第1ブラケット900の左側側壁920上部と右側側壁910上部との間に第1歯車100’が配置される。
【0093】
また、左側から第2ブラケット800の左側側壁820、第1ブラケット900の左側側壁920、第1ブラケット900の右側側壁910、メインスプリング720’、第2ブラケット800の右側側壁810が順にステイロッド730’の水平ロッド中央部分に嵌められる。
【0094】
以下、上述のような構造を有する本実施形態の作用を説明する。
【0095】
図16に示すように、ヘッドレストを前方にティルトさせようとする場合に使用者がヘッドレストを前方に押すことで、歯形150’、240’は、第2歯車200が第1歯車100に対して前方移動を許容するように形成されているので、ヘッドレストの第2歯車、第2ブラケットは、ステイロッド730’(第1歯車、第1ブラケット)に対して前方にティルトされる。使用者が所望する位置までヘッドレストが達すると、ヘッドレストに対して前方に押す力を除去することで、第1、2歯車100’、200’は互いに噛合され、スプリング710’によって噛合状態は安定的に維持されてヘッドレストの位置が固定される。
【0096】
ヘッドレストを後方に移動させようとする場合には、ヘッドレストを最前方まで押すことで、第1歯車100’の第1係止部140’は、第2ブラケット800の第2係止部822に係止されるようになって、第1歯車100’は回転し、第1歯車100’は第2歯車200’から離脱されるようになる。第1、2歯車100’、200’の離脱状態はスプリング710’によって維持される。これにより、メインスプリング720’の弾性力によりヘッドレスト及び第2ブラケット800及び第2歯車200’が第1歯車100’及び第1ブラケット900及びステイロッド730’に対して後方に移動される。第2ブラケット800が最後方に移動されると、第1歯車100’が第1係止突出部821に係止されて第2歯車200’の前方に第1歯車100’が噛合される。
【0097】
上述では、本発明の好ましい実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、当該技術分野の熟練した当業者は添付の特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で、本発明を多様に修正及び変更させることができる。
【符号の説明】
【0098】
100 第1歯車
100a プレート
150 歯形
200 第2歯車
200a プレート
240 歯形
300 第1リンク
400 第2リンク
500 第3リンク
600 第4リンク
710 スプリング
720 メインスプリング
730 ステイロッド
図1
図2
図3
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図5
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図16