(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076511
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】粒子分離器のための支持構造を含む流動層ボイラ
(51)【国際特許分類】
F23C 10/10 20060101AFI20170130BHJP
F23C 10/18 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
F23C10/10
F23C10/18
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-563192(P2015-563192)
(86)(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公表番号】特表2016-521838(P2016-521838A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】FI2015050364
(87)【国際公開番号】WO2015185796
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】20145506
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】エイメック フォスター ウィーラー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランキネン、ペンッティ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルツネン、ヴェリ − マッティ
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0031967(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0025658(US,A1)
【文献】
国際公開第00/045089(WO,A1)
【文献】
国際公開第01/065175(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/135238(WO,A2)
【文献】
特開平05−099402(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/041764(WO,A2)
【文献】
特開2014−234976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 10/10
F23C 10/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子分離器(20)のための支持構造を備えた流動層ボイラ(10)であって、
底部支持型炉(12)と、
支持構造を備え、前記炉の上側部分とガス流れ連通する少なくとも1つの粒子分離器(20)であって、炉側部分、前記炉側部分と反対の外側部分、及び錐形下側部分(22)を有する少なくとも1つの粒子分離器(20)と、
蒸気ドラム(16)と流体連通し、且つ前記粒子分離器の前記外側部分に隣接する少なくとも2つの底部支持型降水管(18)と
を有する流動層ボイラ(10)において、
前記支持構造が、前記錐形下側部分の少なくとも一部分を取り囲む枠組状支持部材(26)を有し、前記支持部材の外側部分(36)が、前記少なくとも2つの降水管に取り付けられ、それにより前記少なくとも1つの粒子分離器を支持することを特徴とする、流動層ボイラ(10)。
【請求項2】
前記支持部材(26)が、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記錐形下側部分の水平高さにおいて前記少なくとも2つの降水管に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項3】
前記支持部材の内側部分(38)が前記炉の側壁(14)に取り付けられ、それにより前記少なくとも1つの粒子分離器を支持することを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項4】
前記少なくとも2つの底部支持型降水管のそれぞれが、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記外側部分に隣接するフルハイト垂直降水管(18)と、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記炉側部分に隣接する前記降水管の追加分岐管(18’)とを有し、前記支持部材の前記外側部分(36)が、前記フルハイト垂直降水管(18)に取り付けられ、前記支持部材の前記内側部分(38)が、前記降水管の前記追加分岐管に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項5】
前記少なくとも2本の底部支持型降水管のそれぞれが、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記炉側部分に隣接するフルハイト垂直降水管(18)と、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記外側部分に隣接する前記降水管の追加分岐管(18’)とを有し、前記支持部材の前記外側部分(36)が、前記降水管の前記追加分岐管(18’)に取り付けられ、前記支持部材の前記内側部分(38)が、前記フルハイト垂直降水管(18)に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの粒子分離器(20)の重量が、前記フルハイト降水管(18)及び前記降水管の前記追加分岐管(18’)によって支えられることを特徴とする、請求項4又は5に記載の流動層ボイラ。
【請求項7】
前記支持部材の前記内側部分(38)が前記炉の側壁(14)に取り付けられ、それにより前記支持構造の水平方向の動きを妨げることを特徴とする、請求項6に記載の流動層ボイラ。
【請求項8】
前記枠組状支持部材(26)の水平内部断面が、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記錐形下側部分(22)の水平外部断面に対応しており、また前記内部断面は、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記錐形下側部分の前記外部断面と接触して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項9】
前記枠組状支持部材(26)が、前記少なくとも1つの粒子分離器の前記錐形下側部分の水平外部断面の一部分のみと接触して配置される水平内部断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項10】
2つの粒子分離器及び3つの降水管を有することを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項11】
3つの粒子分離器及び4つの降水管を有することを特徴とする、請求項1に記載の流動層ボイラ。
【請求項12】
前記流動層ボイラは循環流動層ボイラであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の流動層ボイラ。
【請求項13】
前記流動層ボイラは気泡型流動層ボイラであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の流動層ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による粒子分離器のための支持構造を含む底部支持型流動層ボイラに関する。より詳細には、本発明は、底部支持型炉と、炉の上側部分とガス流れ連通し且つ炉側部分、炉側部分に対向する外側部分、及び
錐形下側部分を含む、支持構造を有する少なくとも1台の粒子分離器と、蒸気ドラムと流体連通し且つ粒子分離器の外側部分に隣接する少なくとも2本の底部支持型降水管とを備える、流動層ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
流動層ボイラは、燃料を燃焼させるための炉と、炉から煙道ガス及び固体粒子を排出するための、炉の上側部分に接続された少なくとも1つの排出チャネルとを備える。固体粒子は一般に、粒子のうちの少なくとも一部分を戻りチャネルを介して炉の下側部分に戻すために、粒子分離器において煙道ガスから分離される。戻りチャネルは、分離された粒子から熱を回収するための熱交換チャンバを備えることが多い。
【0003】
流動層ボイラで使用される粒子分離器は一般に、円筒形上側部分及び
錐形下側部分を有するサイクロン分離器である。従来の構成によれば、円筒形上側部分は円形の断面を有するが、この20年の間に、方形断面又は八角形断面などの多角形断面がますます一般的になってきた。それに応じて、
錐形下側部分の断面は、円形から様々な多角形形状に変化しうる。
【0004】
比較的大型の流動層ボイラは一般に、上部支持型で配置される。即ち、炉及び1台又は複数の粒子分離器が堅固な支持構造から吊されて配置される。比較的小型の流動層ボイラは、その代わりに底部支持型で配置されうる。上部支持型構造と底部支持型構造との主な違いは、ボイラがその運転温度まで加熱されたときに、上部支持型ボイラの熱膨張は主に下向きに生じるが、底部支持型ボイラでは熱膨張は主に上向きに生じることである。底部支持型ボイラは一般に、別体の支持構造を必要としないので、特に小型の流動層ボイラの場合に、上部支持型ボイラよりも単純で経済的により有利である。底部支持型構造の欠点は、壁が上方の構造の圧縮負荷を支えるのに十分強くなければならないことである。
【0005】
底部支持型流動層ボイラの特別の問題は、粒子分離器の支持である。粒子分離器の底部は一般に炉の底部よりも高い高さに位置するので、粒子分離器の底部は、従来の解決策によれば、特別の支持脚により、ボイラ設備の地面又は基礎に対して支持される。
【0006】
欧州特許第760071B1号は、2本の底部支持型降水管の上の蒸気ドラムと、炉と共通の壁、及び降水管に接続された対向する壁又は前壁を有する冷却式矩形サイクロン分離器とを備える底部支持型循環流動層ボイラを開示している。この構造の欠点は、2つのユニット、即ち炉及び分離器の共通の壁が、両ユニットの重量の大部分を支えるために特に強固に作られなければならないことである。
【0007】
国際公報第2007/135238A2号は、分離器の上側部分に接続された枠組の助けにより支持構造から吊された粒子分離器を備える上部支持型循環流動層ボイラを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第760071B1号
【特許文献2】国際公報第2007/135238A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、粒子分離器を支持するための単純で信頼性のある手段を含む底部支持型流動層ボイラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの観点によれば、本発明は、底部支持型炉と、炉の上側部分とガス流れ連通し且つ炉側部分、炉側部分に対向する外側部分、及び
錐形下側部分を含む、支持構造を有する少なくとも1台の粒子分離器と、蒸気ドラムと流体連通し且つ粒子分離器の外側部分に隣接する少なくとも2本の底部支持型降水管とを備える、粒子分離器のための支持構造を含む流動層ボイラを提供する。本発明の特徴は、支持構造が、
錐形下側部分の少なくとも一部分を取り囲む枠組状の支持部材を含み、支持部材の外側部分が、少なくとも2本の降水管に取り付けられて、少なくとも1台の粒子分離器を支持することである。
【0011】
本発明は、粒子分離器の
錐形下側部分を取り囲むように枠組状の支持部材を配置すること、及び、支持部材の外側部分を底部支持型降水管に取り付けることにより、底部支持型流動層ボイラの粒子分離器を支持するための新規の解決策を提供する。本発明は、粒子分離器を比較的迅速且つ容易に取り付けることができる、単純で経済的に有利な流動層ボイラを提供する。分離器と炉との共通の壁を有すること、又は粒子分離器の底部とボイラの地面若しくは基礎との間に特別な支持脚を設けることは、必要とされない。
【0012】
本発明の一実施例によれば、枠組状の支持部材は、粒子分離器の
錐形下側部分を取り囲むように配置される閉じた枠組である。別の実施例によれば、支持部材は閉じられず、それにより
錐形下側部分を部分的にのみ取り囲む。支持部材の外側部分という用語は、支持部材のうちの炉から最も遠くに配置される部分又は半体を意味する。外側部分の反対は内側部分であり、これは、支持部材のうちの炉の最も近くに配置される部分又は半体を意味する。
【0013】
枠組状の支持部材の内部断面、即ち枠組状の支持部材の範囲内の断面は、有利には、粒子分離器の
錐形下側部分の外部断面に対応する。それにより、粒子分離器は、その設置の際に、
錐形下側部分が支持部材に嵌まるように支持部材上に下降されうる。例えば、
錐形下側部分の断面が八角形の断面である場合、枠組状の支持部材もまた、八角形断面を有することができる。或いは、枠組状の支持部材は、粒子分離器の
錐形下側部分の外部断面の一部分のみと接触するように配置される内部断面を有してもよい。例えば、
錐形下側部分が八角形形状のものであっても、枠組状の支持部材は、方形の内部断面を有することができ、したがって支持部材は、八角形の下側部分のうちの1つおきの傾斜板とだけ接触するように配置される。
【0014】
本発明の好ましい一実施例によれば、支持部材の内側部分が、炉の側壁に取り付けられる。それにより、支持部材は、有利には、少なくとも2本の降水管に接続された外側部分と炉の側壁に取り付けられた内側部分とを有する閉じた枠組となる。支持部材は、有利には、少なくとも2本の降水管から炉の側壁まで実質的に水平に延在する。したがって、支持部材は、粒子分離器の
錐形下側部分の水平高さにおいて炉の側壁に取り付けられる。粒子分離器の
錐形下側部分は、実際には炉壁の中間部分の垂直高さに配置されるので、粒子分離器の重量のうちの一部分は、本実施例によれば炉の側壁の下側部分によってのみ支えられる。したがって、側壁の下側部分のみが、追加の重量を支えるのに十分な強さに作られなければならない。支持部材は炉の側壁及び少なくとも2本の降水管に取り付けられるので、非常に安定した粒子分離器の支持が提供される。
【0015】
ボイラ・システムは、有利には、粒子分離器の外側部分に隣接して蒸気ドラムから設備の地面又は基礎まで延在する、少なくとも2本のフルハイト垂直降水管を備える。粒子分離器の外側部分に隣接するフルハイト降水管に加えて、少なくとも2本の降水管のそれぞれは、粒子分離器の炉側部分に隣接する底部支持型追加分岐管も含みうる。追加分岐管のそれぞれは、水平に延在する管区間により、対応するフルハイト降水管と流体連通する。
【0016】
本発明の好ましい一実施例によれば、支持部材の内側部分は、少なくとも2本の降水管の少なくとも2本の追加分岐管に取り付けられる。それにより、粒子分離器は、2本のフルハイト降水管及び2本の追加分岐管に支持部材を固定することによって支持される。したがって、支持部材は、側壁により粒子分離器の重量を支える形で炉の側壁に取り付けられる必要はない。
【0017】
代替的な構造によれば、フルハイト降水管は、粒子分離器の炉側部分に隣接して配置され、追加降水管分岐管は、粒子分離器の外側部分に隣接して配置される。上述の2つの実施例のうちのいずれかを使用すると、炉の側壁に影響を及ぼす粒子分離器の重量は最小限に抑えられるが、非常に安定した粒子分離器の支持システムが提供される。
【0018】
流動層ボイラが粒子分離器を1台だけ備える場合、粒子分離器は、有利には、上記のように2本のフルハイト降水管によって支持される。ボイラが2台の粒子分離器を並列に備える場合、有利には、各粒子分離器が上記の方法のうちの1つの方法で1対の降水管によって支持されうるように、少なくとも3本の降水管が並列して存在する。2台の粒子分離器を支持するために3本のフルハイト降水管を使用する場合、降水管のうちの1本は、有利には2台の粒子分離器の外側部分間に配置されて、両分離器の重量を支える。相応に、3台の粒子分離器が並列して存在する場合、少なくとも4本の降水管が存在しなければならない。当然ながら、N台の分離器を支持するために2N本のフルハイト降水管を配置することも可能であり、それにより各分離器は、上記のように、1台の分離器の場合と同様に支持されうる。
【0019】
流動層ボイラは、通常、循環流動層ボイラであるが、粒子分離器を備えた気泡型流動層ボイラ(bubbling bed boiler)であってもよい。
【0020】
上記の簡単な説明、並びに本発明のさらなる目的、特徴、及び利点は、目下好ましいが例示的なものである本発明による実施例の以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の好ましい一実施例による、粒子分離器のための支持部材を含む流動層ボイラの側面図を概略的に示す図である。
【
図2a】本発明の一実施例による、
図1の支持部材の断面
図A−Aを概略的に示す図である。
【
図2b】本発明の別の実施例による、
図1の支持部材の断面
図A−Aを概略的に示す図である。
【
図3】
図1による流動層ボイラの背面図を概略的に示す図である。
【
図4】粒子分離器のための別の支持構造を含む流動層ボイラの側断面図を概略的に示す図である。
【
図5】本発明の一実施例による、
図4の支持部材の上部からの断面
図B−Bを概略的に示す図である。
【
図6】2台の粒子分離器のための支持構造を含む流動層ボイラの背断面図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1の概略図は、例えばコンクリート又は鋼で作られた支持基礎34上に配置された底部支持型循環流動層ボイラ10の側面図を示す。以下の説明では、ボイラの熱膨張は、たとえ実際は水平方向の熱膨張も存在するとしても、全面的に上方に向かうものと見なされる。水平方向の熱膨張は一般に、適切な滑り支持システムによって考慮される。
【0023】
ボイラは、後壁とも呼ばれうる側壁14を有する炉12と、炉の後壁側に配置された粒子分離器20と、煙道ガス及び同伴粒子を炉12の上側部分から粒子分離器20へ搬送するための排出導管24と、粒子分離器の外側部分に隣接し蒸気ドラム16と流体連通する従来の底部支持型降水管18とを備える。実際には、ボイラは、熱回収や煙道ガス浄化のための手段などの他のユニットも備えるが、それらは本発明にとって不可欠なものではないので、
図1には示されていない。
【0024】
蒸気ドラム16は、有利には降水管18の上に配置されて、降水管によって支持される。送水管40が、温水を降水管18の下側部分から炉の側壁14上の蒸発管の上流端部へ搬送し、また、蒸気管42が、蒸気と温水の混合物を蒸発管の下流端部から蒸気ドラムへ搬送する。降水管の熱膨張は、循環する水により、炉の側壁の熱膨張とほぼ同じ大きさになる。
【0025】
粒子分離器20は、例えば、水冷パネル又は蒸気冷却パネルで形成されたサイクロン分離器でありうる。粒子分離器は、浄化された煙道ガスを煙道ガス・ダクト32へ搬送するための排出ダクト28と、分離された粒子を炉12の下側部分に戻すための戻りチャネル30とを備える。戻りチャネルは、分離された粒子を冷却するための、
図1には示されていない熱交換チャンバを含みうる。戻りチャネルは、粒子分離器20の
錐形下側部分22に接続され、この
錐形下側部分は、粒子分離器20の断面が
錐形下側部分においてボイラの基礎34に向かって減少するように傾斜した1つ又は複数の囲い壁によって囲まれている。
【0026】
粒子分離器20は、粒子分離器20の
錐形下側部分22を取り囲む枠組状の支持部材26の上に載っている。支持部材26の外側部分36が、降水管18に、又は実際には
図2a若しくは2bから分かるように2本の降水管に取り付けられて、粒子分離器20を支持する。支持部材26の内側部分38が、粒子分離器20に安定した支持を提供するように、炉12の後壁14に取り付けられる。
【0027】
図2aは、
図1の断面
図A−A、即ち、粒子分離器20の
錐形下側部分22の高さにおける水平断面の上面図を概略的に示す。より具体的には、
図2aは、本発明の一実施例による支持部材26を用いた粒子分離器20の支持構成を示す。
図2aの実施例では、粒子分離器の
錐形下側部分の水平断面は、八角形である。しかし実際には、円形又は矩形などの多くの他の形状の粒子分離器の
錐形下側部分の断面も可能である。
【0028】
図2aに示されるように、支持部材26の外側部分36は、2本の降水管18に取り付けられ、支持部材26の内側部分38は、炉12の壁14に取り付けられる。支持部材26は、粒子分離器20の
錐形下側部分22の八角形断面に対応する八角形断面を有する閉じた枠組である。
図2aから分かるように、八角形の形状は、方形の枠組の隅部を面取りすることによって形成される。当然ながら、粒子分離器が例えば六角形の場合には、主たる方形枠組の隅部は、六角形の枠組を得るために違った方法で面取りされるべきである。支持構造は、非常に堅固で安定したものである。
【0029】
図2aによれば、降水管18間の水平方向距離Lは、支持部材26の水平高さにおける粒子分離器20の底部22の直径にほぼ対応するが、実際には水平方向距離Lは、適切な支持構造によって支持部材又は枠組26を降水管18に接続することにより、前述の直径よりも大きくなってもよい。
【0030】
図2bは、本発明の別の実施例による、
図1の断面
図A−Aを概略的に示す。この場合も先と同様に、粒子分離器20、少なくともその
錐形下側部分は、八角形断面を有する。しかしこの実施例では、支持部材26は、その中に粒子分離器20が支持されうる実質的に方形の形状を有する枠組である。支持枠組は、粒子分離器20の
錐形下側部分22の1つおきの壁と適合するための4つの支持梁を有する。したがって、
錐形下側部分22の4つの壁は、支持部材26と接触する。言い換えれば、主たる方形枠組の隅部は、
図2aにおけるようには面取りされない。
【0031】
図3は、
図1による流動層ボイラ10の背面図を示す。
図3は、2本の降水管18の間の粒子分離器20を示す。前述のように、降水管18間の水平方向距離Lは、例えば分離器20を降水管18の間に配置し易くするために、粒子分離器20の直径よりも大きくてもよい。
図3は、2本の降水管18と流れ連通している蒸気ドラム16を示し、降水管18は、支持基礎34から蒸気ドラム16まで延在する。同様に、
図2a及び2bにおけるように、支持部材26は、降水管18に接続される。より具体的には、支持部材26の外側部分36は、2本の降水管18に接続されて粒子分離器20を支持し、支持部材26の内側部分38は、
図1におけるように炉12の後壁14に取り付けられる。
【0032】
図4の略図は、本発明による別の底部支持型循環流動層ボイラ10の側面図を概略的に示す。このボイラは、粒子分離器の外側部分に隣接するフルハイト降水管18のそれぞれが、粒子分離器の炉側部分に隣接する降水管の主に垂直方向の底部支持型追加分岐管18’に接続されるという点で、
図1のボイラとは異なる。追加分岐管は、水平方向に延在する管区間により、対応するフルハイト降水管と流体連通している。支持部材26の内側部分38は、降水管の追加分岐管18’に取り付けられて、粒子分離器20のさらなる垂直方向支持を提供する。
【0033】
この実施例の重要な利点は、粒子分離器20の荷重が、
図1に示される実施例に似た形では炉壁14に影響を及ぼさないことである。枠組状の支持部材26が追加の降水管18’により垂直方向において支持されるにしても、支持部材26は、水平方向における構造の剛性を高めるために、炉12の後壁14まで延在することができる。しかし、
図4の実施例によれば、粒子分離器の重量は、支持部材26の助けにより、降水管18及びそれらの追加分岐管18’に分け与えられる。
【0034】
図4に示される実施例によれば、一直線のフルハイト降水管18は、粒子分離器20の外側部分に隣接して配置され、それらの追加分岐管18’は、粒子分離器の炉側部分に隣接して配置される。本発明の別の実施例によれば、フルハイト降水管は、その代わりに粒子分離器20の炉側部分に隣接して配置されてもよく、また、追加の降水管分岐管は、それに応じて粒子分離器の外側部分に隣接して配置される。それにより、支持部材26の内側部分38は、降水管の全高(フルハイト)直線部分に取り付けられ、支持部材の外側部分は、降水管の追加部分即ち分岐管に取り付けられる。
【0035】
図5は、
図4の断面上面
図B−Bを概略的に示す。支持部材26の外側部分36は、2本の降水管18に接続され、支持部材26の内側部分38は、降水管の2本の追加分岐管18’、及び炉12の後壁14に接続されている。支持部材と降水管と壁14との間の接続は、溶接又は機械的固定要素などの、任意の従来の手段によって行うことができる。
【0036】
図6は、2台の粒子分離器201及び202を有する流動層ボイラ100の背面図を概略的に示す。第1の粒子分離器201は、第1の支持部材261の上に載る
錐形下側部分221を有し、第2の粒子分離器202は、第2の支持部材262の上に載る
錐形下側部分222を有する。第1の支持部材261の外側部分361が、第1の降水管181及び第2の降水管182に接続される。同様に、第2の支持部材262の外側部分362が、第2の降水管182及び第3の降水管183に接続される。したがって、支持部材261及び262は、第2の降水管182を取付け箇所として共有する。支持部材261及び262は、粒子分離器201並びに202の
錐形下側部分221及び222の水平高さにそれぞれ配置される。これにより、粒子分離器201及び202に安定した堅固な支持が提供される。
【0037】
蒸気ドラム160が、第1の降水管181、第2の降水管182、及び第3の降水管183のそれぞれと流れ連通している。流動層ボイラ100は、支持基礎340上に配置され、降水管181、182、及び183は、支持基礎340から蒸気ドラム160まで延在する。これにより、重い構成要素又は複雑な構造を使用することなしに、非常に安定した構造が提供される。
【0038】
上記のことから明らかになるように、単純で信頼性のある粒子分離器の支持構造を含む流動層ボイラが提供される。この支持構造は、多数の様々な用途及び目的に適用することができる。本発明は、現在のところ最も好ましい実施例であると考えられるものに関連して実例として本明細書で説明されてきたが、本発明は、開示された実施例に限定されるものではなく、その特徴の様々な組み合わせ又は修正、及び添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に含まれる幾つかの他の応用を含むように意図されていることを理解されたい。