(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6076559
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】半導体パッケージのEMIシールド処理工法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/00 20060101AFI20170130BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H01L23/28 F
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-548238(P2016-548238)
(86)(22)【出願日】2015年4月15日
(86)【国際出願番号】KR2015003750
(87)【国際公開番号】WO2016047880
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2016年7月21日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0127067
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516219521
【氏名又は名称】ジェノセム インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】GENESEM INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ボク ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒ ドン
【審査官】
木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−159786(JP,A)
【文献】
特開2005−276980(JP,A)
【文献】
特開2013−38270(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0300412(US,A1)
【文献】
米国特許第8084300(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0260301(US,A1)
【文献】
特開2012−9746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00
H01L 23/28−23/31
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(1)の下面にテープ(10)の縁部を付着させて、前記フレーム(1)の内周に前記テープ(10)を形成するテープ付着段階(S10)と、
前記テープ(10)にホール(11)を一定の間隔で形成するテープカッティング段階(S15)と、
半導体パッケージ(20)の下面に形成されたバンプ(21)が前記テープ(10)の前記ホール(11)に挿入されるように、前記半導体パッケージ(20)の下面縁部を前記テープ(10)の上面に配置して前記半導体パッケージ(20)を前記テープ(10)の上面に一定の間隔で接着設置する半導体パッケージ接着設置段階(S20)と、
前記テープ(10)の上部でコーティング作業を施して、前記テープ(10)の上面に接着された前記半導体パッケージ(20)および前記テープ(10)の上面をコーティング(30)処理するコーティング段階(S30)とを含み、
前記半導体パッケージ(20)の下面を除いた5面のコーティング(30)がなされる
ことを特徴とする半導体パッケージのEMIシールド処理工法。
【請求項2】
前記テープカッティング段階(S15)で、前記ホール(11)はレーザーカッティングまたはパンチング加工で形成され、前記ホール(11)の大きさは前記バンプ(21)が形成された分布広さ(D1)よりは広く、前記半導体パッケージ(20)の広さ(D2)よりは狭い
請求項1に記載の半導体パッケージのEMIシールド処理工法。
【請求項3】
前記コーティング段階(S30)におけるコーティング(30)処理は真空蒸着または無電解メッキで行われる
請求項1に記載の半導体パッケージのEMIシールド処理工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージのEMI(electro magnetic interference)シールド処理工法に係り、より具体的には、一回のコーティング作業で、テープの上面に一定の間隔で多数取り付けられている半導体パッケージを同時にコーティング処理することができるだけでなく、半導体パッケージの下面にバンプが形成されているとしても、半導体パッケージの下面縁部がテープに接着されてバンプがホールに挿設されるようにすることにより、コーティング処理の際に、バンプ付き半導体パッケージの下面を除いた5面のコーティング処理を同時に行うことができ、これにより、製造コストの削減だけでなく、生産性の向上を図ることができる、半導体パッケージのEMIシールド処理工法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、最近の電子機器は、小型化、薄型化、多機能化に伴い、大量の情報を短時間で処理することが可能な高集積化半導体チップが求められている。最近、このような問題を解決することが可能なBGA半導体パッケージが出現している。
【0003】
このようなBGA半導体パッケージは、ファインピッチ表面実装技術と高集積化の限界に対する機能と品質を補完するために、既存のリード(Lead)の損傷防止、体積およびサイズの最小化、電気的機能特性および熱的特性の優秀性、パッケージの歩留まり向上、基板組立の歩留まり向上、その他のマルチチップモジュールの拡張、並びに迅速なデザインから生産までのサイクルの最小化を図ることができるという長所を持つように開発されている。
また、高集積化されたBGA半導体パッケージの品質信頼度が向上することにより、利用の多様性が高く、超小型化が要求される各種電子周辺機械への適用が容易であり、価格競争力が高いため、高付加価値を得ることができるという利点を持っている。
【0004】
このようなBGA半導体パッケージは、より多くの高集積化回路を持つために、回路基板上に回路パターンと半導体チップが取り付けられるチップ搭載部を備え、半導体チップの回路と回路基板の回路パターンにはワイヤーを連結させてボンディングし、半導体チップとワイヤーと回路パターンの一部を含む領域のパッケージ成形部にコンパウンド材のパッケージを成形し、回路基板の金属層にはボールを融着固定させることにより、半導体チップの回路がボールと接続されるようにする基本構成を成している。
前記回路基板は、内部にプレーン層(Plane Layer)、該プレーン層の外側にはエポキシ層、エポキシ層の外側にはシグナル層、シグナル層の外側には半田マスク層をそれぞれ備えて、厚さの薄い薄板形状を成している。
【0005】
一方、最近では、電子製品のユーザーを、使用中に発生する電磁波から保護するために、それぞれの国ごとに半導体電子装置のEMI(electro magnetic interference)シールドをお勧めまたは義務付けしており、このようなEMIシールドを用いた電磁波遮蔽構成は、特許文献1の「半導体パッケージ」から確認することができる。
【0006】
しかし、前述したような従来のEMIシールドは、開放部が形成された遮蔽手段にコンパウンド材を充填させて設置する構成であって、小さく形成される半導体パッケージにいちいち適用することは困難であるという問題だけでなく、低い生産性および高い工程コストの問題もあったうえ、EMI遮蔽効果も不十分であるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10−0258351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、半導体パッケージにEMIシールドをより容易に実現することができるようにする、半導体パッケージのEMIシールド処理工法を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一回のコーティング作業で、テープの上面に一定の間隔で多数取り付けられている半導体パッケージを同時にコーティング処理することができるだけでなく、半導体パッケージの下面にバンプが形成されているとしても、半導体パッケージの下面縁部がテープに接着された状態でバンプがホールに挿設されるようにすることにより、コーティング処理の際に、バンプ付き半導体パッケージの下面を除いた5面のコーティング処理を同時に行うことができ、これにより、製造コストの削減だけでなく、生産性の向上を図ることができる、半導体パッケージのEMIシールド処理工法を提供する。
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、フレームの下面にテープの縁部を付着させてフレームの内周にテープを形成するテープ付着段階と、前記テープにホールを一定の間隔で形成するテープカッティング段階と、半導体パッケージの下面に形成されたバンプがテープのホールに挿設されるように、半導体パッケージの下面縁部をテープの上面に配置して前記半導体パッケージをテープの上面に一定の間隔で接着設置する半導体パッケージ接着設置段階と、前記テープの上部でコーティング作業を施して、テープの上面に接着された半導体パッケージおよびテープの上面をコーティング処理するコーティング段階とを含んでなり、半導体パッケージの下面を除いた5面のコーティングがなされることを特徴とする、半導体パッケージのEMIシールド処理工法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体パッケージのEMIシールド処理工法は、一回のコーティング作業で、テープの上面に一定の間隔で多数取り付けられている半導体パッケージを同時にコーティング処理することができるだけでなく、半導体パッケージの下面にバンプが形成されているとしても、テープに形成されたホールに半導体パッケージのバンプが挿入された状態で半導体パッケージの下面縁部がテープに接着されて設置されるので、コーティング処理の際に、バンプ付き半導体パッケージの下面を除いた5面のコーティング処理を同時に行うことができ、これにより、製造コストの削減だけでなく、生産性の向上を図ることができる有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の半導体パッケージのEMIシールド処理工法を示すフローチャート
【
図3】本発明の半導体パッケージ接着段階を示す斜視図
【
図7】本発明のテープカッティング段階を示す斜視図
【
図8】本発明のホール付きテープにバンプ付き半導体パッケージを接着させる半導体パッケージ接着段階を下方から見た斜視図
【
図9】本発明のバンプ付き半導体パッケージをコーティング処理するコーティング段階を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、上述した問題点を解決するための本発明の構成について説明する。
本発明は、
図1〜11に示すように、半導体パッケージにコーティング処理を施すことにより、EMI(electro magnetic interference)シールド処理をなす半導体パッケージのEMIシールド処理工法であって、フレーム1の下面にテープ10の縁部を付着させてフレーム1の内周にテープ10を形成するテープ付着段階(S10)と、半導体パッケージ20をテープ10の上面に一定の間隔で接着設置する半導体パッケージ接着設置段階(S20)と、前記テープ10の上部でコーティング作業を施し、テープ10の上面に接着された半導体パッケージ20およびテープ10の上面をコーティング30処理するコーティング段階(S30)とを含んでなり、半導体パッケージ20の下面を除いた5面のコーティング30をなすことを特徴とし、以下でより詳細に説明する。
【0014】
第一に、テープ付着段階(S10)は、
図1および2に示すように、内部にホールが形成されるように中空状に形成されたフレーム1にテープ10を付着させて前記フレーム1の内周にテープ10を形成する段階であって、フレーム1の下面にテープ10の縁部を付着させることにより完了する。
ここで、前記テープ10は、テープ10をフレーム1に対応する大きさに予め切断し、位置に合わせて付着させてもよいが、テープ10がフレーム1の内周を埋めるように付着させた状態で、フレーム1の大きさに合わせてテープ10の外郭を切断処理することが好ましい。
【0015】
第二に、半導体パッケージ接着設置段階(S20)は、
図1または3に示すように、半導体パッケージ20をテープ10に一定の間隔で装着させることにより、半導体パッケージ20の下面をテープ10の上面に接着設置する段階であって、通常の移送装置(図示せず)、たとえば公知のピッカーなどを介して一定の間隔で自動配置することが好ましい。
【0016】
第三に、コーティング段階(S30)は、
図1、4〜6に示すように、テープ10の上面に接着されている半導体パッケージ20をコーティング30処理する段階であって、テープ10の上部でコーティング作業を行う。
【0017】
したがって、前記コーティング段階(S30)によれば、テープ10の上面だけでなく、半導体パッケージ20の前面、後面、左面、右面、上面の5面全体でコーティング30が行われ、フレーム1の一部または全体にもコーティング30が行われ得る。つまり、テープ10に接着されている半導体パッケージ20の下面を除くすべての面をコーティングすることができる。
併せて、前記コーティング段階(S30)でのコーティング30は、通常の蒸着、例えば真空蒸着などによって行うことが好ましいが、浸漬や無電解メッキのようなメッキなどの様々な方法によって行うこともできる。
本発明を用いてコーティングを行うと、一回のコーティングで全体部位をコーティング30することができるので、EMIシールド処理された半導体パッケージ20の製造が容易となり、製造コストの削減だけでなく、生産性の向上を実現することができるというメリットがある。
【0018】
一方、本発明によれば、下面にバンプ21が形成されている半導体パッケージ20のコーティングを実現することもできるが、この際には、
図1または7に示すように、バンプ21が挿入されるホール11をテープ10に一定の間隔で形成するテープカッティング段階(S15)が、前記テープ付着段階(S10)と、半導体パッケージ接着設置段階(S20)との間にさらに含んで構成されなければならない。
このときの半導体パッケージ接着設置段階(S20)は、
図8に示すように、通常の移送装置(図示せず)、例えば公知のピッカーなどを介してバンプ21がテープ10のホール11に挿設されるように、半導体パッケージ20の下面縁部をテープ10の上面に自動配置することが好ましく、上述のように半導体パッケージ20が所定の位置に配置されると、テープ10の上面の接着性質によって、前記テープ10に密接している半導体パッケージ20の縁部がテープ10に接着されて設置される。
【0019】
したがって、
図9〜11に示すように、前記テープ10の上部でコーティング作業を行うと、テープ10の上面だけでなく、半導体パッケージ20の前面、後面、左面、右面、上面の5面が全てコーティング30されるので、バンプ21付き半導体パッケージ20の下面を除いた5面のコーティングがなされる。
【0020】
また、上述したテープカッティング段階(S15)は、
図1または7に示すように、半導体パッケージ20の下面に突設されたバンプ21を挿入することができるようにするホール11を形成する段階であって、移動装置(図示せず)、例えば公知のピッカーを介して一定の間隔で移動配置される半導体パッケージ20の容易な接着設置のために一定の間隔で離隔して形成され、半導体パッケージ20の大きさや形状に応じて多様に形成される。
併せて、前記ホール11は、より容易かつ正確に形成されるようにレーザーカッティングによって加工されることが好ましいが、この他にも、金型などを用いたパンチング加工で形成されてもよい。
【0021】
加えて、
図10に示すように、前記ホール11の大きさは、半導体パッケージ20の下側縁部がテープ10の上面に接着設置されるように、半導体パッケージ20の下部に形成されるバンプ21の分布広さD1よりは広く、半導体パッケージ20の広さD2よりは狭くされるべきである。
前記半導体パッケージ20の下部には、バンプ21ではなく、ボール(図示せず)が接着されて設置されてもよいが、前述のように、半導体パッケージ20の下部にボールが設置されているときでも、同じ工法を使用することができるので、本発明で説明されるバンプ21は、半導体パッケージ20の下側へ突出できる構成を意味する。
【0022】
以上で説明したように、本発明の半導体パッケージのEMIシールド処理工法を用いると、半導体パッケージ20を、下面を除く前面、後面、左面、右面、上面の5面のコーティングを同時に実現することができるだけでなく、テープ10の上面に接着されている全ての半導体パッケージ20を一回のコーティング作業で完了することができるので、製造コストの削減および生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0023】
D1、D2 広さ
1 フレーム
10 テープ
11 ホール
20 半導体パッケージ
21 バンプ
30 コーティング
【要約】
【課題】半導体パッケージのEMIシールド処理工法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る半導体パッケージのEMIシールド処理工法は、フレームの下面にテープの縁部を付着させて前記フレームの内周に前記テープを形成するテープ付着段階と、前記テープにホールを一定の間隔で形成するテープカッティング段階と、半導体パッケージの下面に形成されたバンプが前記テープのホールに挿入されるように、前記半導体パッケージの下面縁部を前記テープの上面に配置して前記半導体パッケージを前記テープの上面に一定の間隔で接着設置する半導体パッケージ接着設置段階と、前記テープの上部でコーティング作業を施して、前記テープの上面に接着された前記半導体パッケージおよび前記テープの上面をコーティング処理するコーティング段階とを含んでなり、前記半導体パッケージの下面を除いた5面のコーティングがなされることを特徴とする。
【選択図】
図1