(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記偏光子は、水溶性還元剤の酸化体を含有し、かつ水溶性還元剤およびその酸化体の合計含有量が20〜200ppmであることを特徴とする請求項1記載の偏光子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のように、ポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸含有水溶液中で浸漬処理する際に、ホウ酸含有水溶液中に亜硫酸塩を含有させたとしても、得られる偏光子(フィルム)の幅方向の直交透過率のバラツキを低く制御することができていなかった。
【0007】
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素が吸着配向されている偏光子の作製にあたっては、ポリビニルアルコール分子を配向させ、かつ、ヨウ素錯体を配向させるため、ポリビニルアルコール系フィルム原反に対して、少なくともヨウ素染色工程および一軸延伸工程が施される。前記一軸延伸工程は、ポリビニルアルコール系フィルム原反の長手方向での延伸のため、幅方向では長手方向に比べて均一な延伸が実質的に困難であった。そのため、ポリビニルアルコール分子の配向・ヨウ素錯体の配向は偏光子の幅方向では均一ではなかった。特に、ネックイン率(原反フィルムの幅に対する、原反フィルムの幅と偏光子の幅の差の割合)が低い方法で偏光子を作製した場合には幅方向の延伸のバラツキが顕著になって、直交透過率にバラツキが生じることが分かった。また、ネックイン率が高い方法で偏光子を作製した場合にはポリビニルアルコール分子は一軸配向しやすいが、ネックイン率が低い方法で偏光子を作製した場合にはポリビニルアルコール分子の一軸配向性が低いため、幅方向での一軸配向性の乱れは大きくなるものであった。直交透過率のバラツキ発生の主要因はヨウ素錯体の配向バラツキと考えられ、ヨウ素錯体の配向バラツキを改善することで直交透過率のバラツキも改善できると考えられる。そのため、これまでの偏光子の製法では、幅方向のポリビニルアルコール分子の配向性を均一化させることによってヨウ素錯体の配向性を均一化させてきた。しかし、この方法では、幅方法の直交透過率の均一化は困難であった。
【0008】
本発明は、ネックイン率が低い場合であっても、幅方向の直交透過率のバラツキが小さくなるように抑制された偏光子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、前記偏光子を用いた偏光板、光学フィルムを提供することを目的とする。さらに本発明は、前記偏光子、偏光板、光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す偏光子等により前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、ポリビニルアルコール系フィルム原反に対して、少なくともヨウ素染色工程および一軸延伸工程が施され、かつ少なくとも一つの水溶性還元剤を含有する処理浴による処理が施され、さらに最終的に乾燥処理が施された偏光子であって、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系フィル原反の幅(mm)をA、乾燥処理後の偏光子の幅(mm)をBとする場合に、式:ネックイン率(%)={(A−B)/A}×100、で表わされるネックイン率(%)が45〜55%であり、
かつ単体透過率が42.5〜43.5%、偏光度が99.9%以上であり、
波長410nmにおける直交透過率の幅方向の標準偏差が0.02以下であることを特徴とする偏光子、に関する。
【0012】
前記偏光子は、水溶性還元剤の酸化体を含有し、かつ水溶性還元剤およびその酸化体の合計含有量が20〜200ppmであることが好ましい。
【0013】
前記偏光子において、水溶性還元剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、チオ硫酸およびこれらの塩のいずれか少なくとも1種を例示できる。
【0014】
また本発明は、ポリビニルアルコール系フィルム原反に対して、少なくともヨウ素染色工程および一軸延伸工程が有し、かつ少なくとも一つの水溶性還元剤を含有する処理浴による処理工程を有し、さらに最終的に乾燥処理工程を有し、 前記一軸延伸工程は、ポリビニルアルコール系フィル原反の幅(mm)をA、乾燥処理後の偏光子の幅(mm)をBとする場合に、式:ネックイン率(%)={(A−B)/A}×100、で表わされるネックイン率(%)が45〜55%、になるように行い、かつ、
得られる偏光子は、単体透過率が42.5〜43.5%、偏光度が99.9%以上であり、波長410nmにおける直交透過率の幅方向の標準偏差が0.02以下であることを特徴とする偏光子の製造方法、に関する。
【0015】
また本発明は、前記偏光子の少なくとも片面に、透明保護フィルムを有することを特徴とする偏光板、に関する。
【0016】
また本発明は、前記ヨウ素偏光子または偏光板を有すことを特徴とする光学フィルム、に関する。
【0017】
また本発明は、前記ヨウ素偏光子、偏光板または光学フィルムを有することを特徴とする画像表示装置、に関する。
【発明の効果】
【0018】
一般的に、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素が吸着配向されている偏光子では、当該偏光子中に形成させるヨウ素錯体(I
3−ヨウ素錯体とI
5−ヨウ素錯体)が可視波長領域の光を吸収することで、偏光特性を示す。かかる観点から偏光子の光漏れを抑制するために、偏光子中のヨウ素錯体を高配向に配列させることが望まれる。偏光子中に配向性の低いヨウ素錯体が存在すると、偏光子の光学特性が低下する。
【0019】
本発明の偏光子では、所定量の水溶性還元剤を含有させることで、偏光子中に存在する低配向のヨウ素錯体を優先的に還元し、除去することができる。即ち、ポリヨウ素(フリーI
3−)、偏光子中に形成させるヨウ素錯体(I
3−ヨウ素錯体とI
5−ヨウ素錯体)を、I
−に還元する水溶性還元剤を用いて、配向性の悪いヨウ素錯体を選択的に還元除去することによって、配向性の高いヨウ素錯体を偏光子中に残存させることができる。その結果、本発明の偏光子によれば、配向性の高いヨウ素錯体を選択的に偏光子中に存在させることができ、前記ネックイン率(%)が低く(45〜55%)、幅方向のポリビニルアルコール分子配向が均一ではない状態であっても、ヨウ素錯体の配向性を幅方法で均一にするこができ、幅方向の直交透過率のバラツキを改善することができる。
【0020】
特に、水溶性還元剤はポリビニルアルコール系フィルム中の配向性の低いI
3−ヨウ素錯体を優先的に還元して、除去するので、偏光子中に存在するI
3−ヨウ素錯体の配向性が向上すると考えられる。I
3−ヨウ素錯体が偏光子の短波長領域(380〜450nm付近)の吸光度に関与するので、短波長領域における直交透過率の幅方向のバラツキを小さく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルム原反に対して、少なくともヨウ素染色工程および一軸延伸工程が施され、かつ少なくとも一つの水溶性還元剤を含有する処理浴による処理が施され、さらに最終的に乾燥処理が施された偏光子である。
【0022】
かかる本発明の偏光子は、前記ネックイン率(%)が45〜55%であり、ネックイン率が小さい。幅方向の直交透過率のバラツキは偏光子のネックイン率が小さい時に起こりやすい。前記ネックイン率(%)は46〜54%、さらには47〜53%の範囲の小さい範囲に設定することもできる。
【0023】
このように、本発明の偏光子は、ネックイン率が小さく、幅方向の直交透過率のバラツキが生じやすい場合であっても、短波長領域における直交透過率の幅方向のバラツキを小さく抑えることができる。本発明の偏光子の波長410nmにおける直交透過率の幅方向の標準偏差は0.02以下に制御されている。前記標準偏差は、0.015以下であるのが好ましく、さらには0.01以下であるのが好ましい。
【0024】
また本発明の偏光子は、単体透過率が42.5〜43.5%、偏光度が99.9%以上であり、高偏光度でありながら、単体透過率は高くなるように制御されている。通常、単体透過率が低いと幅方向の直交透過率のバラツキ(絶対値)は小さくなる。前記単体透過率は42.8〜43.5%であるのが好ましく、さらには43.0〜43.5%であるのが好ましい。また前記偏光度は99.95%以上であるのが好ましく、さらには99.98%であるのが好ましい。
【0025】
本発明の偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムとしては、可視光領域において透光性を有し、ヨウ素を分散吸着するものを特に制限なく使用できる。通常、ポリビニルアルコール系フィルムは厚さ10〜300μm程度のものが用いられる。好ましくは20〜100μmである。ポリビニルアルコール系フィル原反の幅(mm)は、通常、2000〜4500mmであり、さらには2400〜4000mmであるのが好ましい。
【0026】
ポリビニルアルコール系フィルムとしては、例えば、従来、偏光子に用いられているポリビニルアルコール系フィルムが好適に用いられる。ポリビニルアルコール系フィルムの材料としては、ポリビニルアルコールまたはその誘導体があげられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜10000程度が好ましく、1000〜10000がより好ましい。ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
【0027】
上記の他、ポリビニルアルコール系フィルムとしては、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルム、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。
【0028】
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。可塑剤等の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
【0029】
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素染色工程、一軸延伸工程を少なくとも施すことにより得られる。かかる偏光子は、通常は、ヨウ素染色工程、一軸延伸工程に加えて、架橋工程が少なくとも施される。前記各工程には、それぞれ、染色浴、架橋浴および延伸浴の各処理浴が用いられ、これら各処理浴は各工程に応じた処理液(水溶液等)が用いられる。
【0030】
ヨウ素染色工程は、上記ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させることにより行う。ヨウ素染色工程は、一軸延伸工程とともに行うことができる。染色は、上記フィルムをヨウ素溶液に浸漬することにより一般に行われる。ヨウ素溶液として用いられるヨウ素水溶液は、ヨウ素および溶解助剤であるヨウ化化合物によりヨウ素イオンを含有させた水溶液などが用いられる。ヨウ化化合物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が用いられる。ヨウ化化合物としては、ヨウ化カリウムが好適である。本発明で用いるヨウ化化合物は、他の工程で用いる場合についても、上記同様である。
【0031】
ヨウ素溶液中のヨウ素濃度は0.01〜10重量%程度、好ましくは0.02〜5重量%、さらに好ましくは0.02〜0.5重量%である。ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜8重量%で用いるのが好ましい。ヨウ素染色にあたり、ヨウ素溶液の温度は、通常20〜50℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。
【0032】
架橋工程は、架橋剤として、ホウ素化合物を用いて行う。架橋工程の順序は特に制限されない。架橋工程は、染色工程、延伸工程とともに行うことができる。架橋工程は複数回行うことができる。ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂等があげられる。ホウ素化合物は、水溶液または水−有機溶媒混合溶液の形態で一般に用いられる。通常は、ホウ酸水溶液が用いられる。ホウ酸水溶液のホウ酸濃度は、1〜10重量%程度、好ましくは2〜7重量%である。架橋度により耐熱性を付与するには、前記ホウ酸濃度とするのが好ましい。ホウ酸水溶液等には、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させることができる。ホウ酸水溶液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.5〜8重量%で用いるのが好ましい。
【0033】
架橋工程は、前記ポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸水溶液等へ浸漬することにより行うことができる。架橋工程における処理温度は、通常、25℃以上、好ましくは30〜85℃、さらには30〜60℃の範囲である。処理時間は、通常、5〜800秒間、好ましくは8〜500秒間程度である。
【0034】
延伸工程は、通常、一軸延伸を施すことにより行う。この延伸方法は、染色工程、架橋工程とともに施すことができる。延伸方法は、湿潤式延伸が用いられる。湿潤式延伸方法は、例えば、染色工程を施した後、延伸を行うことが一般的である。また架橋工程とともに延伸を行うことができる。延伸工程は多段で行うこともできる。
【0035】
湿潤式延伸方法に用いる処理液にヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させることができる。当該処理液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜5重量%で用いるのが好ましい。湿潤式延伸方法における処理温度は、通常、25℃以上、好ましくは30〜85℃、さらには50〜70℃の範囲である。浸漬時間は、通常、10〜800秒間、好ましくは30〜500秒間程度である。
【0036】
延伸工程では、総延伸倍率が、ポリビニルアルコール系フィルムの元長に対して、総延伸倍率で3〜10倍の範囲になるように行う。好ましくは4〜8倍、さらに好ましくは4.5〜7倍である。すなわち、前記総延伸倍率は、延伸工程以外の、後述の膨潤工程等において延伸を伴う場合には、それらの工程における延伸を含めた累積の延伸倍率をいう。総延伸倍率は、膨潤工程等における延伸倍率を考慮して適宜に決定される。総延伸倍率が低いと、配向が不足して、高い光学特性(偏光度)の偏光子が得られにくい。一方、総延伸倍率が高すぎると延伸切れが生じ易くなり、また偏光子が薄くなりすぎて、続く工程での加工性が低下するおそれがある。
【0037】
本発明の偏光子の製造にあたっては、上記染色工程、架橋工程および延伸工程を施す前に、膨潤工程を施すことができる。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。
【0038】
膨潤工程において用いられる処理液としては、通常、水、蒸留水、純水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。また、当該処理液にはヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は0.1〜10重量%程度、さらには0.2〜5重量%で用いるのが好ましい。
【0039】
膨潤工程における処理温度は、通常、20〜45℃程度に調整するのが好ましい。さらには、25〜40℃であるのが好ましい。なお、膨潤ムラがあるとその部分が染色工程において染色のムラになるため膨潤ムラは発生させないようにする。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。
【0040】
膨潤工程では、適宜に延伸することができる。前記延伸倍率は、ポリビニルアルコール系フィルムの元長に対して、通常、6.5倍以下とされる。好ましくは、光学特性の点から、前記延伸倍率は、1.2〜6.5倍、さらには2〜4倍、さらには2〜3倍にするのが好ましい。膨潤工程において、延伸を施すことにより、膨潤工程後に施される延伸工程での延伸を小さく制御することができ、フィルムの延伸破断が生じないように制御できる。一方、膨潤工程での延伸倍率が大きくなると、延伸工程での延伸倍率が小さくなり、特に、架橋工程の後に延伸工程を施す場合には光学特性の点で好ましくない。
【0041】
また本発明の偏光子の製造にあたっては、前記工程の他に、金属イオン処理を施すことができる。金属イオン処理は、金属塩を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。金属イオン処理により、種々の金属イオンをポリビニルアルコール系フィルム中に含有させることができる。
【0042】
金属イオンとしては、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオンが好ましく用いられる。これら金属イオンのなかでも、色調調整や耐熱性付与などの点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などがあげられる。
【0043】
本発明の偏光子の製造方法では、前記工程を施した後に、洗浄工程を施すことができる。
【0044】
洗浄工程は、ヨウ化カリウム等のヨウ化合物溶液により行うことができる。前記ヨウ化合物溶液におけるヨウ化合物濃度は、通常、0.5〜10重量%程度、さらには0.5〜8重量%、さらには1〜6重量%の範囲である。
【0045】
ヨウ化合物溶液による洗浄工程にあたり、その処理温度は、通常15〜60℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。ヨウ化合物溶液による洗浄工程の段階は、乾燥工程前であれば特に制限はない。
【0046】
また、洗浄工程としては、水洗浄工程を施すことができる。水洗浄工程は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。水洗浄温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜40℃の範囲である。浸漬時間は、通常、5〜300秒間、好ましくは10〜240秒間程度である。
【0047】
前記水洗浄工程は、ヨウ化合物溶液による洗浄工程と水洗浄工程を組み合わせてもよく、適宜にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを配合した溶液を用いることもできる。
【0048】
前記各工程を施した後には、最終的に、乾燥工程を施して、偏光子を製造する。乾燥工程は、得られる偏光子(フィルム)に必要とされる水分率に応じて、適宜に、乾燥時間と乾燥温度が設定される。乾燥温度は、通常、20〜150℃、好ましくは40〜100℃の範囲で制御される。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長くなり、効率的な製造ができないため好ましくない。乾燥温度が高すぎると得られる偏光子が劣化し、光学特性および色相の点で悪化する。加熱乾燥時間は、通常、1〜5分間程度である。
【0049】
本発明の偏光子は、少なくとも一つの水溶性還元剤を含有する処理浴による処理が施されており、かつ水溶性還元剤の酸化体を含有する。前記水溶性還元剤としては、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、エリソルビン酸、チオ硫酸、クロロゲン酸、クエン酸、ロスマリン酸およびこれらの塩等があげられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等があげられる。これらのなかでもアスコルビン酸、エリソルビン酸塩、チオ硫酸塩が好ましい。これら水溶性還元剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の偏光子に含有される前記酸化体は、偏光子中に含まれる前記水溶性還元剤に由来する。例えば、アスコルビン酸が偏光子中に含有された場合には、アスコルビン酸はヨウ素錯体を還元した後、アスコルビン酸の酸化体であるデヒドロアスコルビン酸になる。
【0050】
前記水溶性還元剤は、偏光子の製造にあたって前記工程に用いられる各浴のいずれか少なくとも1つに含有させることにより、または、別途、前記水溶性還元剤を含有する処理液による処理工程を施すことにより、偏光子中に含有させることができる。前記水溶性還元剤を含有させる工程は、染色工程により、ポリビルアルコール系フィルムにヨウ素を含有させた後の工程で行うことが好ましい。前記染色工程、架橋工程および延伸工程の処理順序は特に制限はないが、染色工程を施した後に、架橋工程および延伸工程が施される場合が好適に適用できる。
【0051】
前記偏光子の製造に係る各工程は、通常、膨潤工程がまず初めに施される。次いで、例えば、染色工程が施された場合には、架橋工程、延伸工程、さらには金属イオン処理工程、洗浄工程において、または別途の水溶性還元剤の処理工程において、これらの各工程のいずれ少なくとも1つの工程において、水溶性還元剤を含有させることができる。
【0052】
なお、前記染色工程、架橋工程および延伸工程は、複数の工程を同時に行なう一括工程により行うことができる。複数の工程が同時に行なわれる一括工程が行なわれていた場合には、当該一括工程に用いる浴に、水溶性還元剤を含有させることができる。また、前記染色工程、架橋工程および延伸工程の各工程が多段工程である場合においては、当該多段工程のいずれか少なくとも1つの工程において水溶性還元剤を含有させることができる。
【0053】
本発明の偏光子における水溶性還元剤とその酸化体の合計含有量は、20〜200ppmであることが好ましい。前記水溶性還元剤とその酸化体の合計含有量は、さらには30〜180ppmであるのが好ましく、さらには50〜150ppmであるのが好ましい。前記水溶性還元剤とその酸化体の含有量が20ppm未満では、偏光特性を十分に向上させることできず、また、ネックイン率が高い場合であっても、幅方向の直交透過率のバラツキが十分に抑えることができない。一方、前記水溶性還元剤とその酸化体の含有量が200ppmを超える場合には、配向性の悪いヨウ素錯体に加え、配向性の高い錯体も還元・除去されるので、ムラ等の不具合が発生する。
【0054】
偏光子における水溶性還元剤およびその酸化体の合計含有量を前記範囲に制御するには、水溶性還元剤を含有させる各浴の水溶液における、前記水溶性還元剤の濃度を制御して行うことが好ましい。前記水溶性還元剤濃度としては、0.001〜0.015重量%が好ましく、0.002〜0.012重量%であるのがより好ましい。前記濃度が0.001重量%未満の場合には、前記混合水溶液中での水溶性還元剤の割合が少なくなり、得られる偏光子の短波長側の光漏れを十分に抑えることができなくなる。前記濃度が0.015重量%を超える場合には、前記浴での水溶性還元剤の割合が多くなるため、配向性の悪いヨウ素錯体に加え、配向性の高い錯体も還元・除去されるので、ムラ等の不具合が発生する。
【0055】
得られた偏光子は、常法に従って、その少なくとも片面に透明保護フィルムを設けた偏光板とすることができる。透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。
【0056】
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
【0057】
なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
【0058】
前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
【0059】
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
【0060】
なお、前記位相差を有するフィルムは、位相差を有しない透明保護フィルムに、別途、貼り合せて上記機能を付与することができる。
【0061】
前記透明保護フィルムは、接着剤を塗工する前に、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としてば、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、ケン化処理などがあげられる。
【0062】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0063】
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等があげられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。特に、接着性を満足することが困難であったアクリル樹脂に対しても良好な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
【0064】
本発明の偏光板は、前記透明保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。接着層の厚さは、特に制限されないが、通常30〜1000nm程度である。
【0065】
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0066】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0067】
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0068】
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
【0069】
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0070】
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0071】
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0072】
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0073】
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【実施例】
【0074】
以下に本発明を実施例および比較例をあげて具体的に説明する。
【0075】
実施例1
原反フィルムとして、平均重合度2400、厚さ75μm、幅(mm)は2600mmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製のVF−PS7500)を用いた。当該ポリビニルアルコールフィルムに、下記の順番にて、下記各工程を施した。
【0076】
(膨潤工程)
膨潤浴の処理液としては、純水を用いた。上記ポリビニルアルコールフィルムを膨潤浴に搬送し、30℃に調整した純水中に1分間浸漬しながら2.2倍に延伸し、膨潤させた。
【0077】
(染色工程)
染色浴の処理液としては、ヨウ素濃度が0.045重量%で、ヨウ素とヨウ化カリウムをヨウ素:ヨウ化カリウム(重量比=1:7)のヨウ素染色溶液を用いた。上記膨潤処理されたポリビニルアルコールフィルムを染色浴に搬送し、30℃に調整した前記ヨウ素染色溶液に、30秒間浸漬しながら、元長に対して延伸倍率3.3倍まで、一軸延伸しながら、染色した。
【0078】
(架橋工程)
架橋浴の処理液としては、ホウ酸を3重量%、ヨウ化カリウムを3重量%含有する混合水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを架橋浴に搬送し、30℃に調整した前記混合水溶液に、30秒間浸漬しながら、元長に対して総延伸倍率3.6倍まで、一軸延伸した。
【0079】
(延伸工程)
延伸浴の処理液としては、ホウ酸を4重量%、ヨウ化カリウムを5重量%、水溶性還元剤としてアスコルビン酸を0.0015重量%含有する水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを延伸浴に搬送し、60℃に調整した水溶液に、60秒間浸漬しながら、元長に対して総延伸倍率6倍まで、一軸延伸した。
【0080】
(洗浄工程)
洗浄浴の処理液としては、ヨウ化カリウムを3重量%含有する水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを洗浄浴に搬送し、30℃に調整した当該水溶液に、10秒間浸漬した。
【0081】
(乾燥工程)
次いで、上記処理されたポリビニルアルコール系フィルムを、40℃のオーブンで1分間乾燥して、偏光子を得た。得られた偏光子の幅は1220mmであった。得られた偏光子のネックイン率は53%であった。
【0082】
実施例2〜9、比較例1〜3
実施例1において、原反フィルムの幅、得られた偏光子の幅、水溶性還元剤の種類、水溶性還元剤に添加した各工程に係る浴およびその浴における濃度を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同条件で偏光子を作製した。比較例1、2では、水溶性還元剤をいずれの浴にも配合していない。表1にネックイン率を記載する。
【0083】
(評価)
実施例および比較例で得られた偏光子の光学特性を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
【0084】
<水溶性還元剤とその酸化体の含有量>
前記測定対象のポリビニルアルコールフィルムに対して、120℃にて2時間の加熱乾燥を行った後、粉砕したものをサンプルとした。当該サンプルについて、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)(TOSOH,HLC-8120GPC)を用いて、サンプル1g中に存在する還元剤およびその酸化体の合計含有量(ppm)の測定を行った。
【0085】
<光学特性の測定方法>
偏光子の単体透過率(Ts)、偏光度(P)は、積分球付き分光光度計(日本分光(株)製のV7100)にて測定した。
なお、偏光度は、2枚の同じ偏光子を両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:Tp)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:Tc)を以下の式に適用することにより求められるものである。
偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}
1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。測定波長は、波長550nmであった。
【0086】
<二色比の評価>
二色比は単体透過率(Ts(Y))と偏光度(P)の値を下記式に代入して算出された。
【数1】
【0087】
<コントラストの評価>
波長410nmのコントラスト(Cr
410nm)は、波長410nmの平行透過率(Tp
410nm)と波長410nmの直交透過率(Tc
410nm)を用いて、下記式の計算式によって求めた。
コントラスト(Cr
410nm)=平行透過率(Tp
410nm)/直交透過率(Tc
410nm)
なお、これらの透過率は、JlSZ 8701の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
【0088】
<波長410nmにおける直交透過率の幅方向の標準偏差>
得られた偏光子を幅方向の任意の5点の波長410nmにおける直交透過率を、積分球付き分光光度計(日本分光(株)製のV7100)により測定し、標準偏差を算出した。
【0089】
【表1】