特許第6076619号(P6076619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076619
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】ユニット式真空フライヤ
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   A47J37/12 351
【請求項の数】1
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-116946(P2012-116946)
(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公開番号】特開2012-232143(P2012-232143A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2015年3月27日
(31)【優先権主張番号】13/068,108
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505384380
【氏名又は名称】ヒート アンド コントロール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エー カリディス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エー パディーヤ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー エー カリディス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジョン ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド ジャイルズ
【審査官】 田中 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−132527(JP,A)
【文献】 特開昭52−156942(JP,A)
【文献】 特開昭63−023628(JP,A)
【文献】 特開2001−218687(JP,A)
【文献】 特開2010−94295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
A47J 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の低圧雰囲気真空調理用に構成されたユニット式真空フライヤであって、
気密シールされた細長い調理トンネルを有し、前記調理トンネルは、水平面に沿って上フード部分と下ベース部分とに分離可能であり、
さらに、前記上フード部分を前記下ベース部分から持上げる持上げ手段を有し、前記持上げ手段は、メンテナンス及び清掃のために、前記調理トンネルの内部への容易なアクセスを可能にするのに使用され、
さらに、前記上フード部分及び前記下ベース部分の接合面に配置され、前記調理トンネル内の真空状態の形成及び解放に応じてシールを形成したり解除したりするように作動可能な真空シール手段と、
前記調理トンネル内に配置され、真空状態下の食品を、選択された調理油温度、真空チャンバ圧力及び調理時間で調理するように連続的に作動可能な食品フライヤ手段と、を有し、
前記調理トンネルは、製品入口端部及び製品排出端部を有し、
さらに、製品の進入及び排出を最小の空気の侵入で可能にするのに使用され、且つ、前記入口端部及び前記排出端部の各々に配置された気密ロック部と、
前記調理トンネルと連通した真空装置と、を有し、前記真空装置は、調理状態の食品によって発生した蒸気を除去すること、及び、蒸気を前記トンネルから−14psi(−96.5kPa)程度の負圧まで排気することを連続して行う、ユニット式真空フライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧雰囲気において食品をフライすることに関し、特に、取外し可能なフライヤシステムを囲む独立した圧力容器を必要としないユニット式フライヤ装置であって、それ自体が圧力容器である改良されたユニット式フライヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
減圧雰囲気又は真空中で食品をフライする利点が、よく理解されている。調理環境が約−14psi(−96.5kPa)絶対圧又は28.5mmHg真空の範囲にある場合、食物を低温で調理することができる。調理油又は脂が調理媒体である場合、有効温度は、約120℃〜約140℃の程度である。この温度範囲において、製品による油吸収が減少することにより、食品内のアクリルアミドの成長が著しく減少し、製品の品質が向上する。カラメル化に類似する非酵素褐変反応の形態であるメイラード反応も、低圧・低温のパラメータの範囲内で、良好に制御される。既知のように、メイラード反応は、通常は熱の存在下で、アミノ酸と還元糖の化学反応により生じる。高温では、好ましくないアクリルアミドを形成することがある。
【0003】
この分野の作業者は、これらの利点を認識し、ポテトチップ/クリスプ等を含む種々の食品を真空フライする装置を開発した。従来技術の真空調理装置は、一般的には、2つの設計形態のうちのいずれか一方に従っている。第1の形態は、バッチ式調理機であり、バッチ式調理機は、調理すべき製品を、真空を維持するのに十分な強度のチャンバ内に配置し、次いで、チャンバを排気し、調理熱を所望の時間付与し、その後、真空を解除して、チャンバを再び開くサイクルに使用される。次いで、製品を取出し、バッチ調理法において、上記サイクルを普通に繰返す。結果として生じる調理済み食品は満足できるものであるけれども、生産量は少なく、その生産量の少なさに鑑みると、装置は割高である。チャンバの清掃及びメンテナンスは面倒で、時間がかかる。この構造は、特許文献1(Tippmanmに1998年6月16日に許可)に記載されたものに代表される。
【0004】
第2の形態は、圧力容器内に作動可能に配置された取外し可能なフライヤ装置であり、かかる取外し可能なフライヤ装置は、真空フライによる連続生産を達成するように構成された設計形態である。これは、特許文献2(Hashiguchi他に1999年11月23日に許可)、特許文献3(Van Der Doeに2005年8月16日に許可)、及び、特許文献4(Yangに1989年8月1日に許可)に記載されたものに代表される。圧力容器内の取外し可能なフライヤ形態は、製造コストがかかり、所定の生産能力が与えられた工場内で大きな床面積を占めていた。これは、圧力容器の外側のメンテナンス領域及び外部フライヤ支持構造の必要性のためであり、フライヤは整備のためにメンテナンス領域及び外部フライヤ支持構造の中に移動可能である。さらに、フライヤが圧力容器内で作動するため、フライヤを清掃及びメンテナンスのために圧力容器から出したりそれに入れたりできるように、圧力容器は、その一端部に、シール可能な大きいハッチを必要としていた。製造コスト及びかなり大きい工場作動スペースが、圧力容器内フライヤ形態の不利な点であると認識されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5767487号明細書
【特許文献2】米国特許第5988051号明細書
【特許文献3】米国特許第6929812号明細書
【特許文献4】米国特許第4852475号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改良されたユニット式真空フライヤの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、概略的には、内部の完全真空から通常の大気圧への繰返しサイクルに耐えるように構成されたモノコック構造の真空フライヤトンネルに関し、真空フライヤトンネルは、作動可能な高温オイルフライヤを、気密シールされた2つのシェル部分(フード及びベース)の中に収容する。フードシェル部分をベースシェル部分から持上げるための持上げ装置が設けられ、整備及びメンテナンス目的のためにフライヤへのアクセスを可能にすする。製品入口気密ロック部及び製品出口気密ロック部が、真空フライヤトンネルの各端部に設けられ、食品を調理するとき、かかるロック部を通して、食品がフライ処理のために受入れられ、排出される。トンネルに結合された真空装置は、トンネル内の蒸気雰囲気を選択的に除去し、圧力を−14.7psi(−101.3kPa)つまり28mmHgの実質的に完全真空まで下げる。従って、高温油フライヤはそれ自体、圧力容器であり、従来技術のような任意の別体の外部圧力容器を必要としない。
【0008】
本発明の一般的な目的は、外部圧力包囲体なしに完全に作動し、整備及びメンテナンスのための任意の外部支持構造体なしに容易に開放され、その後に閉鎖されて作動的な気密シール状態に戻ることが可能なユニット式真空フライヤを提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、製造するのに比較的経済的であり、圧力容器内フライヤ設計と比較して、加工プラント内に適度な占有面積を有する、ユニット式真空フライヤを提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる目的は、内部真空を保持するために2つのトンネルシェル部分を確実にシールし、長い使用期間にわたって劣化せず且つ繰返し真空サイクルに耐えるシール手段を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、食品の外観、油含有量及び低アクリルアミド含有量などの利点を達成するように、食品を極低圧又は無圧雰囲気においてフライすることを可能にし、さらに、製造して長い試用期間にわたって維持及び運転するのに経済的である真空フライヤを提供することである。
【0012】
本発明のこれら及びその他の目的は、添付の図面と関連した好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の特徴及び特性に従いこれらを実施するように製作されたユニット式真空フライヤの1つの実施形態の斜視図である。
図2図1に示すユニット式真空フライヤの長手方向縦断面図である。
図3図2に示すフライヤ組立体の平面図である。
図4A】清掃及びメンテナンスのために上フード組立体が上昇位置にあるフライヤ組立体の横断面図である。
図4B】上フード組立体が下降位置にあるフライヤ組立体の横断面図である。
図4C】フライヤの上フード組立体とパン組立体との気密結合を可能にするシール構造の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の原理に従ってそれを具体化するように製作されたユニット式真空フライヤ10を図示し、図1図2及び図4に示すように、ユニット式真空フライヤ10は、気密シール可能な細長い調理トンネル11を有している。調理トンネル11は、水平面12に沿って、上フード組立体13とベース又はパン組立体14とに分離可能である。真空フライヤ10は、支持脚16の対を有し、図面では、3対の支持脚16が示されている。
【0015】
図1に明らかに示すように、ジャッキ又はホイスト機構(持上げ機構)17が支持脚16の各々の上に取付けられ、且つ、上フード組立体13に結合されている。図4A及び図4Bに示すように、持上げ機構17の各々は、電気モータ及び変速機19によって駆動される駆動トレイン18に結合され、持上げ機構17は、電気モータの選択的な作動により、上フード組立体13をベース組立体14に対して上昇させたり下降させたりするのに使用される。変形例として、ケーブルプーリホイストシステムが同じ目的で使用されてもよい。
【0016】
特に図4Cを参照すると、調理トンネル11のための真空シール装置21が、上フード組立体13及びベース組立体14の水平方向縁部に沿って配置されている。横方向外向きに延びるフランジ部材22及び23がそれぞれ、上フード組立体13及びベース組立体14の側壁の各々に堅固に固着され、対向表面を有している。エラストマーシール材24が、真空圧力を調理トンネル11内に付与したり解放したりするときの繰返しの圧縮解放サイクルに耐えるように、対向表面の間に配置されている。シール材24は、既知のOリング銘柄から選択されるのがよく、図示のように円形断面を有し、フランジ22内の凹部に部分的に着座している。図4Cから分かるように、シール材24の一部分は、上フード組立体13及びベース組立体14が閉じた状態にあるときにフランジ23に係合するように、凹部から突出している。したがって、フランジ22及び23が、調理トンネル11内の真空状態に応じて(又は、フランジ22、23に対して作用する図示していない機械的クランプの絞り作用に応じて)互いに引かれると、エラストマーシール材24が変形して、上フード組立体13とベース組立体14との間の気密状態を形成するように機能し、かくして、調理トンネル11内で調理するための真空の維持を確保する。真空を解放し、フランジ22、24を分離して上フード組立体13を持上げると、シール材24は、一般的に、その最初の状態に戻り、長い耐用年数にわたってこれを繰返す。当業者に明らかなように、他の型式のシール材及び幾何学的形状を使用して、所望の気密状態を達成してもよい。
【0017】
上フード組立体13及びベース組立体14の両方を有する細長い調理トンネル11は、長い耐用年数にわたり、実質的な反り、変形又は劣化なしに、−14.7psi(−101.3kPa)程度の低い内圧に耐えるように製作される。この目的のため、相当な厚さと、製造を容易にする全体的に平坦な金属パネルが、モノコック構造で採用される。図1に明らかに示すように、横方向に延び且つ長手方向に離間した複数の剛性リブが、上フード組立体13及びベース組立体14の両方にしっかりと固着され、真空状態下のユニット式フライヤの作動中における金属パネルの任意の反りを規制する。
【0018】
製品連続調理作動中に、調理トンネル11内の真空チャンバの低圧完全性を維持するために、気密シールロック部が、製品入口端及び製品排出端に取付けられ、食品を真空チャンバに受入れ、調理し、排出する。より具体的には、図1及び図2に示すように、製品入口ロック部27が、調理トンネル11の左端部に作動的に取付けられ、製品排出ロック部28が、調理トンネル11の右端部に作動的に取付けられている。種々の気密シールロック部の設計が存在するが、多羽根回転ロック部27を供給端部に採用し、ダブルフラップドアロック部28を排出端部に採用している。これらの設計により、意図した機能を非常によく発揮するが、これらの設計形態に排他的に限定されるわけではない。図2及び図3に示すように、製品入口コンベア29が、生のポテトスライスなどの食品を入口ロック部27に配送するのに使用される。製品取出しコンベア31が、製品排出ロック部28に隣接して位置決めされ、ポテトチップス/クリスプスなどの調理済み製品を製品排出ロック部28から受入れ、次の加工ステーションに搬送する。
【0019】
装置10は、製品を調理するために連続的に作動する真空フライヤとして機能することを理解すべきである。この目的のために、ベース組立体14は、この分野でよく知られている仕方で作動する調理油槽及び製品搬送手段32を収容するように構成されている。すなわち、調理油を所望の温度に維持するために、加熱制御及び温度制御が行われ、調理中の食品を調理油槽の中を通して進めるために、コンベア手段の速度制御が行われる。油加熱及びポンプ組立体36が図3に示され、それにより、調理油をベース組立体14から導管37(図2)を介して排出し、フィルタ処理し、再加熱し、ベース組立体14の中に再循環させるのがよい。図1に示すように、複数の目視検査ポート34が上フード組立体13に配置され、工場のオペレータは、調理トンネル11に沿ういくつかの位置における調理作動を確認することができる。
【0020】
図3に示すように、真空装置41が設けられ、調理トンネル11に取付けられているマニホルド42にダクト40を介して接続されている。真空装置41は、製品調理によって発生した大量のエア、油ミスト及び湿気を調理トンネル11から排出するように選択され且つ設計される。さらに、真空装置41は、調理作動中、連続的に作動し、それにより、調理チャンバ内を約−14.7psi(−101.3kPa)までの約−14psi(−96.5kPa)程度の高真空に維持する。
【0021】
本発明の範囲を逸脱することなしに、様々な変更を本発明のユニット式真空フライヤに行うことができることが容易に理解される。特に、当業者は、本発明による装置が、真空装置、油処理装置、気密な製品入口ロック部及び製品出口ロック部、及びその他の構成要素の調整及び修正に備えていることを、上述した説明から容易に理解すべきである。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び精神の範囲内にのみ限定される。
【符号の説明】
【0022】
10 ユニット式真空フライヤ
11 調理トンネル
12 水平面
13 上フード組立体
14 ベース組立体
17 持上げ機構
21 真空シール装置
22、23 フランジ部材
24 エラストマーシール材
27 製品入口ロック部
28 製品排出ロック部
29 製品入口コンベア
31 製品取出しコンベア
32 製品搬送手段
36 油加熱及びポンプ組立体
41 真空装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C