特許第6076621号(P6076621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076621
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】搾油装置
(51)【国際特許分類】
   C11B 1/06 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   C11B1/06
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-121229(P2012-121229)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-245319(P2013-245319A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年5月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔販売年月日〕 平成24年1月27日 〔販売した場所〕株式会社椿 大島工場(東京都大島町元町字北の山125番地の4)
(73)【特許権者】
【識別番号】512139124
【氏名又は名称】有限会社エムエ機械設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100161458
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 淳郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】水島 彰治
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−256698(JP,A)
【文献】 特開平04−072393(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3162808(JP,U)
【文献】 実開昭58−023299(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00−15/00
C11C 1/00− 5/02
B01J 2/00− 2/30
B30B11/00−11/34
C10L 5/00− 7/04
C10L 9/00−11/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒形を有するシリンダ、該シリンダの中空部に挿入可能な中実柱形を有してシリンダの軸線方向に移動可能なピストン、及びシリンダの軸線方向端部の上側開口を覆って設けられるアームにより形成される搾油空間を有し、前記ピストンの上昇により搾油を行う搾油部と、
この搾油部に向けて搾油用原料を供給する原料供給部と、
容器回収装置と、
を備え、
前記原料供給部は、搾油用原料の貯蔵器と、中空円筒形状の外筒を有し該貯器からの搾油用原料を、搾油部における搾油1回の分量で収容する容器と、該搾油用原料を収容した複数の該容器が配列され、該容器を搾油部に向けて搾油1回ごとに搬送する搬送装置と、
を有し、
該搬送装置が、1回の搾油前に、前記搾油用原料が収容された前記容器を、前記シリンダ直近の位置から前記シリンダの上部開口の位置まで移動させて搾油用原料を前記ピストン上に置き、前記容器の外筒の内径より小さい円盤を下端に有するロッドで前記容器内の搾油用原料を前記シリンダと共に押し下げて前記搾油空間に入れ、該ロッドを上昇させた後、前記搾油部に搾油用原料を供給した後の空の容器を前記シリンダの位置から前記シリンダ直近の位置まで引き戻し、
1回の搾油後に、前記空の容器を前記シリンダ直近の位置から移動させて前記容器回収装置に導くと共に、次回に搾油を行う搾油用原料を収容した容器を、前記シリンダ直近の位置まで移動させ、前記シリンダ直近の位置から前記シリンダの上部開口の位置まで移動させ、該容器によりピストン上面に残る前回の搾油後の搾りカスを押して排出すると共に該容器内の搾油用原料を前記ピストン上に置くものであり、
前記容器回収装置が、前記搾油部に搾油用原料を供給した後の空の容器を、原料供給部に戻すものであり、容器の供給から回収までの循環回路を形成する
ことを特徴とする搾油装置。
【請求項2】
前記容器が、外筒と上板とが分離されたものであり、該容器に、搾油1回の分量の搾油用原料が入れられた油透過性袋を収容する請求項1記載の搾油装置。
【請求項3】
前記シリンダが、冷却手段を有する請求項1又は2記載の搾油装置。
【請求項4】
前記搾油用原料が、未破砕の植物種子である請求項1〜3のいずれか1項記載の搾油装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾油装置に関する。
【背景技術】
【0002】
椿等の植物種子を圧搾して油分を分離する搾油装置に関し、上シリンダと下シリンダとを有するスタンドを備え、上シリンダと下シリンダとの間に、原料が収容されるフィルタタンクを設けて、このフィルタタンク内の原料を、上シリンダのピストンを降下させることにより圧搾して搾油する装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3162808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の搾油装置は、保管されている原料をフィルタバッグに詰める作業や、原料が詰められたフィルタバッグを搾油装置まで搬送する作業や、搬送されたフィルタバッグをフィルタタンク内に置く作業のすべてを、作業者の人力で行う必要がある。また原料が詰められたフィルタバックをフィルタタンク内に置く作業は、フィルタタンクの上部に取り付けられたカバーを締結固定しているボルトを取り外し、該カバーを取り外し、フィルタタンク内の加圧パネルを取り出し、原料が詰められたフィルタバックをフィルタタンク内に置き、該フィルタバック上に加圧パネルを置き、カバーを取り付け、カバーをボルトで締結固定する作業を必要とする。これらの作業を圧搾一回ごとに行う必要がある。したがって、作業者の労力の負担が大きく、また、煩雑な作業を強いられていた。
【0005】
そこで本発明の目的は、圧搾のための原料の供給を、好ましい装置により自動化して労力の負担を軽減し、また作業を簡易化することのできる搾油装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搾油装置は、中空筒形を有するシリンダ、該シリンダの中空部に挿入可能な中実柱形を有してシリンダの軸線方向に移動可能なピストン、及びシリンダの軸線方向端部の上側開口を覆って設けられるアームにより形成される搾油空間を有し、前記ピストンの上昇により搾油を行う搾油部と、この搾油部に向けて搾油用原料を供給する原料供給部と、容器回収装置と、を備え、前記原料供給部は、搾油用原料の貯蔵器と、中空円筒形状の外筒を有し該貯蔵器からの搾油用原料を、搾油部における搾油1回の分量で収容する容器と、該搾油用原料を収容した複数の該容器が配列され、該容器を搾油部に向けて搾油1回ごとに搬送する搬送装置と、を有し、該搬送装置が、1回の搾油前に、前記搾油用原料が収容された前記容器を、前記シリンダ直近の位置から前記シリンダの上部開口の位置まで移動させて搾油用原料を前記ピストン上に置き、前記容器の外筒の内径より小さい円盤を下端に有するロッドで前記容器内の搾油用原料を前記シリンダと共に押し下げて前記搾油空間に入れ、該ロッドを上昇させた後、前記搾油部に搾油用原料を供給した後の空の容器を前記シリンダの位置から前記シリンダ直近の位置まで引き戻し、1回の搾油後に、前記空の容器を前記シリンダ直近の位置から移動させて前記容器回収装置に導くと共に、次回に搾油を行う搾油用原料を収容した容器を、前記シリンダ直近の位置まで移動させ、前記シリンダ直近の位置から前記シリンダの上部開口の位置まで移動させ、該容器によりピストン上面に残る前回の搾油後の搾りカスを押して排出すると共に該容器内の搾油用原料を前記ピストン上に置くものであり、前記容器回収装置が、前記搾油部に搾油用原料を供給した後の空の容器を、原料供給部に戻すものであり、容器の供給から回収までの循環回路を形成することを特徴とする。
【0007】
本発明の搾油装置においては、前記容器が、外筒と上板とが分離されたものであり、該容器に、搾油1回の分量の搾油用原料が入れられた油透過性袋を収容することが好ましい。
更に、本発明の搾油装置のシリンダが、冷却手段を有することは、搾油により得られる油の品質を向上させることができるので好ましい。
また更に、本発明の搾油装置を用いて搾油を行う搾油用原料は、未破砕の植物種子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の搾油装置によれば、搾油機に向けて搾油用原料を供給する原料供給部を備え、この原料供給部が、搾油用原料の貯留器と、該貯留器からの搾油用原料を、搾油部における搾油1回の分量で収容する容器と、該容器を搾油部に向けて搾油1回ごとに搬送する搬送装置と、を有するものとしたことから、搾油部での圧搾のための搾油用原料の供給を自動化して労力の負担を軽減し、また作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の搾油装置の一実施形態の平面図である。
図2】本発明の搾油装置の一実施形態のA−A線視の側面図である。
図3】本発明の搾油装置の一実施形態の背面図である。
図4】本発明の搾油装置の一実施形態における上シリンダの説明図である。
図5】本発明の搾油装置一実施形態における容器の一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の搾油装置の実施の形態について、図面を用いてより具体的に説明する。なお、以下に示す図面では、本発明の特徴部分の理解を容易にするために、シリンダ用センサ、制御盤等の記載を省略している。
【0011】
図1〜3に示す本実施形態の搾油装置1は、搾油用原料を圧搾して油分を回収する搾油部10と、この搾油部10に向けて搾油用原料を導く原料供給部20とを備えている。
【0012】
搾油部10は、シリンダとして中空円筒形状を有し、中心軸が垂直方向に設けられた金属製の上シリンダ11Aと、この上シリンダ11Aに挿入されるように該上シリンダ11Aの内径よりも若干小さな直径になる中実の円柱形状を有し、垂直方向に昇降可能な、金属製のピストン12と、上シリンダ11Aの上側開口を覆って固定可能な金属製のアーム13とを有している。これらの上シリンダ11A、ピストン12及びアーム13により囲われて搾油空間が形成される。ピストン12の外周は、下シリンダ11Bで囲われている。
【0013】
上シリンダ11Aは、図4に平面図(図4(a))及びB−B線断面図(図4(b))に示すように、冷却液の導入口111、排出口112が複数設けられ、これらの導入口111、排出口112と接続する冷却液の通路113が上シリンダ11Aの側壁の内部に形成されている構成とすることもできる。この導入口111から水等の冷却液が上シリンダ11Aの側壁の内部に入り、該側壁の内部の通路113を通って排出口112から排出されることにより、上シリンダ11Aを効果的に冷却することができる。
【0014】
下シリンダ12Bの側面には油受け14が設けられ、圧搾時にピストン12の側面に沿って流れ落ちる油を受け止めている。油受け14に溜められた油は、この油受け14に取り付けられたコック141を通じて、図示しない貯蔵容器に回収される。
ピストン12の下端には油圧シリンダ15が設けられている。この油圧シリンダ15は、油圧ポンプ16からの油圧を受けて、ピストン12を上昇させる。
【0015】
アーム13は、上シリンダ11Aを挟むように立設された二本の柱17A及び柱17Bに架け渡される長さを有する。アーム13は、その長手方向の一端部で柱17Aの中心軸に対して回動可能に取り付けられるとともにアーム13を回動させるためのアーム開閉用シリンダ18が取り付けられ、その長手方向の他端部は柱17Bに係合する溝13aが形成されている。アーム開閉用シリンダ18によってアーム13が柱17Aを中心に回動させることにより、該アーム13が上シリンダ11Aの上側開口を開閉可能になっている。柱17A及び柱17Bの上端には、アーム13の垂直方向の移動を規制するボルト17Cがそれぞれ取り付けられ、圧搾時にアーム13に加わる力を受け止めて固定している。
【0016】
上シリンダ11Aの上側開口の近傍に、搾りカス排出シュート19が設けられ、搾油後の搾油用原料を搾りカス排出シュート19を通じて搾油装置1の外に排出する。
【0017】
原料供給部20は、搾油用原料を一時的に貯める貯蔵器としてのホッパ21を有している。
【0018】
ホッパ21は、図示した実施形態では、上シリンダ11A及びピストン12から見て搾りカス排出シュート19の反対側に設けられている。このホッパ21は、上から見て矩形形状であって、上端に上部開口21aを有し、下端には、この上部開口よりも幅が狭く、上部開口21aの長手方向中央部に沿って形成された下部開口21bを有している。下部開口21bの開口の大きさに適合させるように、ホッパ21は図3から理解できるように、横断面において下部が先細り形状になっている。下部開口21bにはゲート21cが取り付けられて原料供給部20の運転に応じて適宜に下部開口21bを開閉可能となっている。
【0019】
ホッパ21の下部開口21bの下方には、該下部開口21bから降下する搾油用原料を受けて水平方向に搬送するベルトコンベヤ23が設けられている。図示したベルトコンベヤ23は、エンドレスベルト23aと、下部開口21bの長手方向両端部近傍に設けられた駆動ローラ23b及び従動ローラ23cと、駆動ローラ23bを駆動するモータ23dとを備え、駆動ローラ23bと従動ローラ23cとに巻きかけられたエンドレスベルト23aが、モータ23dから駆動力を受けて回転する駆動ローラ23bによって循環移動する。
【0020】
エンドレスベルト23aの移動方向は、図示した例では、エンドレスベルト23a上に積載された搾油用原料が、上シリンダ11A、ピストン12から遠い側のホッパ21の端部に移動されるような方向としている。これにより、上シリンダ11A、ピストン12から遠い側のホッパ21の端部が容器22への原料供給位置となる。これにより容器22に搾油用原料を収容させることの確認が容易である。また、容器22を複数個用意して、搾油前に各容器22にあらかじめ搾油用原料を収容させておき、それらの容器22を搬送装置24が設けられた搬送経路、具体的には本実施形態では後述する第1搬送部に配列させることができ、よって配列させた複数の容器22に収容された搾油用原料を、順次に圧搾することができる。もっとも、エンドレスベルト23aの移動方向は上述した方向に限定されず、ホッパ21に形成される下部開口21bの任意の平面形状、長手方向に応じて、他の方向であってもよい。
【0021】
原料供給部20は、ホッパ21から、搾油一回分の分量の搾油用原料を収容する容器22を有している。この容器22の好ましい一例は、金属製であって、図5に示すように中空円筒形状の外筒22aと上板22bとの、分離可能な2つの部材からなる。図示した容器22は底部とする部材を有しないものであって、搬送装置24の平坦な板よりなる容器供給ベース上を搾油部10に向けて摺動する。容器22が底部とする部材を有しないで、外筒22aと上板22bとに分離可能であることにより、容器内に収容された原料を、搾油部10の搾油空間内に、外筒22aを傾動させることなく、上板22bと一緒に挿入することができる。上板22bは、搾油部10で圧搾を終えた時にアーム13に搾油用原料又は後述するフィルタFが固着するのを防止して、アーム13の開放を容易にすることができる。
【0022】
外筒22aは、図示した例では、上シリンダ11Aの直径と同じ長さの内径を有している。もっとも、外筒22aの内径は、上シリンダ11Aの直径と同じものに限定されるものではない。外筒22aは、軽量化及び内容物の確認の容易化のために、多数の孔が形成されているもの又は網状のものとすることができる。また、外筒22aは、鋼材などの磁性体よりなることが好ましい。外筒22aが磁性体であることにより、後述する搬送装置24の第3搬送部243において、搾油用原料を上シリンダ11Aの中空部に投入した後に外筒22aを回収することが容易になる。
【0023】
容器22に搾油用原料を収容させる際は、ベルトコンベヤ23からの搾油用原料を、そのまま容器22に収容させてもよいが、当該搾油用原料を、油透過性袋としての袋形状のフィルタF(図5参照)に入れ、このフィルタFと共に容器22に収容させることが好ましい。それは、フィルタFに搾油用原料を入れることにより、搾油部10の搾油空間内に、搾油用原料を当該フィルタFと一緒に挿入することができるので、搾油時に、フィルタFを別途に用意する必要がなくなるからである。そして、フィルタFと一緒に搾油用原料を搾油することにより、油はフィルタFを経て搾油空間から流出するので、そのままで不純物の少ない油を得ることができる。また、容器22が図5に示すように外筒22aと上板22bとからなる場合は、フィルタFが、容器22内で搾油用原料を収容する袋を兼ねることから、原料供給部20で容器22が移動するときに容器22内の搾油用原料が零れるのを防止することができる。袋形状のフィルタFは、布製、例えば不織布のものを用いることができる。
【0024】
容器22に、圧搾の一回分の量で搾油用原料を収容させるために、計量を行うことが好ましい。この計量は、ベルトコンベヤ23と連動する図示しない計量装置を設けることにより行うことができる。また、計量は、計量装置によらず手作業で行ってもよい。
【0025】
原料供給部20は、容器を搾油部10まで搬送する搬送装置24を有している。
搬送装置24は、容器22をホッパ21の側面と平行に搬送する第1搬送部241と、第1搬送部で搬送された容器22を上シリンダ11A直前まで搬送する第2搬送部242と、第2搬送部で搬送された容器22を上シリンダ11Aの上側開口の直近まで搬送する第3搬送部243とを有している。
【0026】
第1搬送部241は、容器22の移動路としての容器供給ベース241aを有している。容器供給ベース241aは、平坦な板よりなる。容器供給ベース241aの高さは、図示した例では、上シリンダ11Aの上側開口とほぼ同じ高さであり、容器22が、容器供給ベース241a上を水平方向に移動される。容器供給ベース241aにおける容器22の進行方向の両脇には、容器22を移動させるための櫛241bを容器供給ベース241aの下方から容器供給ベース241a上に突出させるための溝が、容器22の移動方向に沿って形成されている。
【0027】
櫛241bは、容器供給ベース241aの両脇で、容器22の直径よりも小さい間隔を開けて直立する二本の棒を一対とする突出部材が、容器22の個数に応じた複数個で、容器供給ベース241aの長手方向に容器22の直径よりも大きな間隔を空けて設けられてなる。櫛241bを容器22の進行方向に所定長さ、例えば容器22一個分の長さで移動させるための櫛送りシリンダ241cが、櫛241bの下部に取り付けられている。また、櫛241bの突出部材を、容器供給ベース241aの下方から容器供給ベース241aの溝を通して容器供給ベース241a上に突出させ、また、容器供給ベース241aより下方に没入させるための櫛上下シリンダ241dが、櫛送りシリンダ241cに取り付けられている。上記櫛送りシリンダ241cと櫛上下シリンダ241dとにより、櫛241bは、容器22を容器供給ベース241aの長手方向に、一回分の搾油作業ごとに間欠的に移動させる。
【0028】
第2搬送部242は、容器供給ベース241a上の容器22よりも高い位置で、当該容器供給ベース241aを横切る方向に設けられた容器横断シリンダ242aを有している。この容器横断シリンダ242aに、容器22の外筒22aと当接可能な位置に垂下された送り板242bが取り付けられている。送り板242bは、容器横断シリンダ242aの動作によって容器供給ベース241aを横切る方向に移動し、この送り板242bに当接させた容器22を、上シリンダ11Aの直近の所定位置まで直線的に移動させることが可能になる。
【0029】
第3搬送部243は、第2搬送部242により容器22が移動された所定位置から見て、上シリンダ11Aとは反対側に、搬送手段としての容器排出シリンダ243aを備えている。この容器排出シリンダ243aは、そのロッドが、容器22の上記所定位置と上シリンダ11Aの上側開口とを結ぶ直線上を進退可能に設けられている。このロッドを前進させることにより、上記位置に搬送された容器22をロッドの先端で押し、上シリンダ11Aの開口まで前進させることが可能になる。これにより、容器22内にフィルタFに包まれて収容された搾油用原料を、当該フィルタF及び容器22の上板22bと共に、ピストン12上に位置させる。
【0030】
また、容器排出シリンダ243aのロッドの先端には、図示した例では、磁石が取り付けられている。この磁石は、磁力の発生、停止が可能な電磁石とすることができるが、永久磁石を用いることもできる。この磁石に、磁性体よりなる容器22の外筒22aを吸着させる。これにより搾油空間内への搾油用原料の収容後は、ロッドに吸着された空の外筒22aを、ロッドの後退とともに上記所定位置まで引き戻すことができる。なお、空の外筒22aを、ロッドの後退とともに上記所定位置まで引き戻す手段は、上述した磁石に限定されない。例えば、ロッドの先端に外筒22aとの掛止具を設け、この掛止具を外筒22aと掛止させることにより引き戻す構成としてもよい。
【0031】
上シリンダ11Aの上側開口の直上には、搾油用原料挿入シリンダ243bが、ロッドを昇降可能に設けられている。搾油用原料挿入シリンダ243bのロッドの下端は、容器22の外筒22aの内径よりも小さい径の円盤形状となっている。搾油用原料挿入シリンダ243bは、上シリンダ11Aの上部開口に搬送された容器22内の搾油用原料を、押し下げて搾油空間内に挿入する。
【0032】
本実施形態の搾油装置は、空の容器22の外筒22aを原料供給部に戻して回収する容器回収装置25を備えている。この容器回収装置25は、容器排出シリンダ243aによって引き戻された外筒22aを、上シリンダ11Aの上側開口の直近の所定位置から,容器供給ベース241aとは反対方向に搬送するために、第2搬送部242の容器横断シリンダ242aに取り付けられた送り板251を備えている。つまり、容器横断シリンダ242aには、搾油用原料が収容された容器22を搬送するための上述した送り板242bと、空の外筒22aを搬送するための送り板251との両方が取り付けられていて、搾油用原料の搬送装置と空の容器の回収装置とを兼ねている。送り板251は、送り板242bと同様に、容器22の外筒22aと当接可能な位置に垂下された形状を有している。
【0033】
送り板251により搬送された外筒22aを、原料供給部20における容器22への原料供給位置の近傍まで搬送するために、容器回収装置25は、外筒22aをホッパ21の側面と平行に搬送するローラコンベヤ252を備えている。このローラコンベヤ252の一端部の上方に容器排出シリンダ253が設けられ、かつ、この容器排出シリンダ253に外筒22aと当接可能に垂下する送り板254が接続されている。容器排出シリンダ253の動作により、当該送り板254がローラコンベヤ252の搬送方向と平行に移動可能になることにより、このローラコンベヤ252上に置かれた外筒22aを順次に送り出すようにしている。
【0034】
次に、本実施形態の搾油装置1の動作について説明する。
この搾油装置1を用いて搾油する搾油用原料には、一例として椿があるが、椿に限定されない。例えばパーム、菜種、コーン、紅花、ひまわり、かや(榧)、ごま、お茶の種等も用いることができる。搾油用原料は、未破砕の植物種子であることが好ましい。破砕した植物種子は、純度が低下し、また変質しているおそれがあるためである。
【0035】
あらかじめ容器22の外筒22a内に袋形状のフィルタFを入れ、このフィルタFの開口部を開口させて用意しておく。また、搾油部10のピストン12を、当該ピストン12の上面が上シリンダ11の上側開口とほぼ同一平面になるように上昇させておく。更に、アーム13を、上シリンダ11の上側開口を開放させた位置にしておく。
【0036】
ホッパ21に貯められた搾油用原料をゲート21cからベルトコンベヤ23上に落下させる。ベルトコンベヤ23を作動させて、外筒22aに取り付けられたフィルタF内に搾油用原料を、一回の搾油作業の分量で入れる。外筒22a内の搾油用原料が入ったフィルタF上に、上板22bを載せる。
【0037】
搾油用原料を入れた容器22の1個又は複数個を、第1搬送部241の容器供給ベース241a上に置く。複数個の容器22の間隔は、容器供給ベース241aの長手方向に複数個が設けられた櫛241bの間隔に合わせる。櫛送りシリンダ241cと櫛上下シリンダ241dとを作動させて、櫛241bを容器供給ベース241a上に突出させ、容器22を容器供給ベース241aの長手方向に移動させる。
【0038】
容器供給ベース241aの容器移動方向先端部に置かれた又は達した先頭の容器22を、第2搬送部242における容器横断シリンダ242aの動作により送り板242bを使って上シリンダ11直近まで移動させる。
【0039】
この容器22を、第3搬送部の容器排出シリンダ243aの動作によりロッドを前進させて、上シリンダ11Aの上部開口の位置まで移動させ、フィルタF内の搾油用原料をピストン12の上面に置く。搾油用原料挿入シリンダ243bを作動させて、ロッドの下端を降下させ、このロッドによりピストン12を押し下げて、容器22内の袋形状のフィルタFに入れられた搾油用原料及び上板22aを搾油空間内に入れる。
【0040】
搾油用原料挿入シリンダ243bのロッドを上昇させる。容器22の外筒22aに容器排出シリンダ243aのロッドを磁力で吸着させ、このロッドの後退と共に外筒22aを上シリンダ11A直近の位置まで引き戻す。
【0041】
アーム開閉用シリンダ18を作動させてアーム13を、柱17Aを中心に回動させ、該アーム13の先端が柱17Bに係合しアーム13が上シリンダ11Aの上側開口を閉鎖するようにする。
【0042】
油圧シリンダを上昇させてピストン12を上昇させ、搾油を行う。所定時間経過後、アーム開閉用シリンダ18を作動させてアーム13を、柱17Aを中心に回動させ、アーム13を上シリンダ11Aの上側開口から開放する。ピストン12を、ピストン12の上面が上シリンダ11の上側開口とほぼ同一平面になるように上昇させる。上板22bを、搾油後の搾りカスから分離して回収する。
【0043】
上記ピストン12を上昇させるまでの時間に、第1搬送部241の櫛送りシリンダ241c及び櫛上下シリンダ241dの動作により、次回に搾油を行う搾油用原料を収容した容器22を容器供給ベース241aの長手方向に移動させ、次に第2搬送部242における容器横断シリンダ242aの動作により送り板242bを使って上シリンダ11直近まで移動させる。なお、この容器横断シリンダ242aの動作により、原料を搬送後の空の外筒22aを、送り板251を用いて容器供給ベース241aとは反対方向に移動させる。移動させた外筒22aを、容器排出シリンダ253の動作によりローラコンベヤ252上を移動させて、原料供給部20に戻す。
【0044】
上記ピストン12の上面が上シリンダ11の上側開口とほぼ同一平面になるように上昇したら、容器22を、第3搬送部の容器排出シリンダ243aの動作によりロッドを前進させて、上シリンダ11Aの上部開口の位置まで移動させ、フィルタF内の搾油用原料をピストン12の上面に置く。この容器排出シリンダ243aの動作により、ピストン12上に残っていた前回の搾油後の搾りカスが、容器22の外筒22aに押されてフィルタFに入れられたままで搾りカス排出シュート19に導かれて排出される。
【0045】
これ以降は、上述した搾油作業と、容器22の搾油部10への供給作業と、空の外筒22aの回収作業とを繰り返す。
【0046】
本実施形態の搾油装置によれば、原料供給部20がホッパ21と、当該ホッパ21からの搾油用原料を、搾油部10における搾油1回の分量で収容する容器22と、当該容器22を搾油部10に向けて搾油1回ごとに搬送する搬送装置24とを、備えていることから、搾油部10での圧搾のための搾油用原料の供給を自動化して労力の負担を軽減し、また作業を簡易化することができる。
【0047】
また、容器22が、外筒22aと上板22bとが分離されたものであり、容器22に、搾油1回の分量の搾油用原料が入れられたフィルタFを収容することから、上シリンダ11Aの上部開口から搾油空間内に容器22を傾動させることなく搾油用原料を挿入することができる。また、搾油用原料をフィルタFに入れて圧搾することから、不純物の少ない油を得ることができる。また、上板22bにより、搾油部10で圧搾を終えた時にアーム13にフィルタFが固着するのを防止して、アーム13の開放を容易にすることができる。
また、搾油部10に搾油用原料を供給した後の空の外筒22aを、原料供給部20に戻す容器回収装置25を備えることから、容器22の供給から回収までの循環回路を形成することができ、よって容器22の回収をも自動化することができる。
また、上シリンダ11Aが、冷却液の通路を側壁内部に有することから、搾油中の油の温度上昇を抑制することができ、よって得られる油の変質を防止して、良質な油を回収することができる。
また、搾油用原料が、未破砕の植物種子であることにより、純度が高く変質がない良質な油を得ることができる。
【0048】
以上、本発明の搾油装置を、実施形態及び図面により説明したが、本発明の搾油装置は、上記実施形態及び図面の記載に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 搾油装置
10 搾油部
11A 上シリンダ
11B 下シリンダ
12 ピストン
13 アーム
14 油受け
15 油圧シリンダ
16 油圧ポンプ
17A 柱
17B 柱
17C ボルト
18 アーム開閉用シリンダ
19 搾りカス排出シュート
20 原料供給部
21 ホッバ
22 容器
23 ベルトコンベヤ
24 搬送装置
25 容器回収装置
図1
図2
図3
図4
図5