前記スリーブ状挿入片(5、5′)は、前記第1の係合部(13)が前記第2の係合部(51)に係合するように前記スリーブ状挿入片を前記収容空間(11)内に進めることによって、前記下部開口部(12)から前記収容空間(11)に挿入可能であり、前記第1の係合部(13)と前記第2の係合部(51)との係合が外れた後、前記スリーブ状挿入片は前記収容空間(11)内で自由に回動可能である、請求項2に記載の多軸骨アンカー固定システム。
前記スリーブ状挿入片(5、5′)および前記第1のアンカー固定要素(1)は、前記第1のアンカー固定要素(1)の前記シャンク(2)と前記スリーブ状挿入片(5、5′)の前記下縁(5b)とが接触していないときに、独立して回動可能である、請求項1〜6のいずれかに記載の多軸骨アンカー固定システム。
前記第1のアンカー固定要素(1)の前記シャンク(2)は回動して前記スリーブ状挿入片(5、5′)の前記下縁(5b)に係合し、前記第1のアンカー固定要素(1)をさらに回動させると、前記スリーブ状挿入片(5)が前記第1のアンカー固定要素(1)とともに回動する、請求項1〜7のいずれかに記載の多軸骨アンカー固定システム。
前記収容空間(11)は、前記スリーブ状挿入片(5、5′)または前記第2の頭部(103)用の座部をそれぞれ形成する、球状に形成された中空部を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の多軸骨アンカー固定システム。
前記第1のアンカー固定要素(1)は第1の最大回動角度まで回動可能であり、前記第2のアンカー固定要素(101)は、第1の最大回動角度よりも小さい第2の最大回動角度まで回動可能である、請求項1〜13のいずれかに記載の多軸骨アンカー固定システム。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る、脊椎ロッドおよび回動角度が大きい骨アンカー固定要素を有する多軸骨アンカー固定装置の斜視分解図である。
【
図2】組立後の状態の
図1の骨アンカー固定装置の斜視図である。
【
図3】ロッド軸に沿った、ロッドおよび固定ねじがない、組立後の状態の
図1および2の骨アンカー固定装置の断面図である。
【
図4】ロッド軸に沿った、ロッドおよび固定ねじが挿入された、組立後の状態の
図1および2の骨アンカー固定装置の断面図である。
【
図5】
図1〜4の骨アンカー固定装置の受け部の下からの斜視図である。
【
図6】ロッド軸に垂直な、
図5の受け部の断面図である。
【
図7】第1の実施例に係るスリーブ状挿入片の側面図である。
【
図9】中心軸を含む平面内の、スリーブ状挿入片の断面図である。
【
図10】
図9のスリーブ状挿入片の拡大部を示す図である。
【
図11】多軸骨アンカー固定装置の圧力部材の斜視図である。
【
図15】スリーブ状挿入片の別の実施例の下からの斜視図である
【
図16】ロッド軸を含む平面内の、
図15のスリーブ状挿入片の断面図である。
【
図17】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図18】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図19】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図20】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図21】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図22】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図23】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図24】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図25】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図26】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図27】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図28】多軸骨アンカー固定装置の組立工程を示す図である。
【
図29】多軸骨アンカー固定装置の受け部に対するねじ要素の角度を調節する工程を示す図である。
【
図30】多軸骨アンカー固定装置の受け部に対するねじ要素の角度を調節する工程を示す図である。
【
図31a】多軸骨アンカー固定装置の受け部に対するねじ要素の角度を調節する工程を示す図である。
【
図31b】多軸骨アンカー固定装置の受け部に対するねじ要素の角度を調節する工程を示す図である。
【
図32】多軸骨アンカー固定装置の受け部に対するねじ要素の角度を調節する工程を示す図である。
【
図33】本発明の実施例に係る、脊椎ロッドおよび回動角度が縮小した骨アンカー固定要素を有する多軸骨アンカー固定装置の斜視分解図である。
【
図34】組立後の状態の
図33の骨アンカー固定装置の斜視図である。
【
図35】ロッド軸に垂直な、
図34の骨アンカー固定装置の断面図である。
【
図36】
図33の骨アンカー固定要素を受け部に装着して回動させる工程を示す図である。
【
図37】
図33の骨アンカー固定要素を受け部に装着して回動させる工程を示す図である。
【
図38】
図33の骨アンカー固定要素を受け部に装着して回動させる工程を示す図である。
【
図39】
図33の骨アンカー固定要素を受け部に装着して回動させる工程を示す図である。
【
図40】回動角度が大きい骨アンカー固定要素と回動角度が縮小した骨アンカー固定要素との相互交換可能性を、ロッドが挿入された受け部とともに概略的に示す斜視図である。
【
図41】ロッド軸に垂直な、回動角度が縮小した骨アンカー固定要素を有する骨アンカー固定装置を用いて達成される最大回動角度の断面図である。
【
図42】ロッド軸に垂直な、回動角度が縮小した骨アンカー固定要素を有する骨アンカー固定装置を用いて達成される最大回動角度の断面図である。
【
図43】ロッド軸に垂直な、回動角度が大きい骨アンカー固定要素を有する骨アンカー固定装置の断面図である。
【
図44】ロッド軸に垂直な、回動角度が大きい骨アンカー固定要素を有する骨アンカー固定装置の断面図である。
【
図45】変更された受け部を圧力部材とともに示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜
図32を参照して、多軸骨アンカー固定システムの一部である骨アンカー固定要素の回動角度が大きい、多軸骨アンカー固定装置を説明する。
【0016】
図1〜
図4に示すように、第1の実施例に係る多軸骨アンカー固定装置は、ねじ山シャンク2および頭部3を有する骨ねじの形態の、骨アンカー固定要素1を含む。頭部3は典型的に、球状に形成された外面部3aと、ドライバに係合するための自由端における凹部3bとを有する。頭部3は、骨アンカー固定要素1を安定化ロッド100に結合する受け部4内に保持される。受け部4内には、頭部3用の座部を提供するスリーブ状挿入片5と、骨アンカー固定要素の頭部3に圧力をかける圧力部材6とが配置される。さらに、ロッド100を受け部4内に取付けて固定するために、固定ねじ7の形態の固定要素が設けられる。
【0017】
受け部4は、上端4aおよび下端4bと、多軸骨アンカー固定装置の中心軸Cを規定する中心軸と、上端4aから下端4bの方向に延在する同軸ボア8とを有する。上端4aに隣接して、ロッド100を受けるためのチャネルを形成する、実質的にU字型の凹部9が設けられる。この凹部によって、固定ねじ7と協働する雌ねじ山10が設けられた2本の自由脚部が形成される。
【0018】
同軸ボア8は、受け部4の下部に設けられた収容空間11に開口する。収容空間11は、受け部4の下端4bに下部開口部12を有し、最大内径Dを有する中空球体の部分として成形される。収容空間11によってスリーブ状挿入片5用の座部が与えられ、座部およびスリーブ状挿入片は玉およびソケット継ぎ手を形成する。なお、座部はテーパ状であってもよいし、玉およびソケット継ぎ手を実現するために使用可能な別の形状であってもよい。下部開口部12の内径は、収容空間11の最大内径Dよりもわずかに小さい。
【0019】
開口部12に隣接して、受け部は、雌ねじ山が設けられたねじ山部13を有する。ねじ山部13の高さは、ねじ山部13がわずかなねじ山回転数しか有しないような、すなわち、少なくとも1つのねじ山回転数であり、最大で、スリーブ状挿入片が挿入時にねじ山部13を通過すると収容空間で自由に回動可能であるようなねじ山回転数しか有しないような高さである。いずれの場合も、ねじ山部13は、最大内径Dを有する収容空間11の部分からある距離まで延在する。
【0020】
なお、同軸ボア8の内径は、上端4aと収容空間11との間で一定である必要はない。異なる直径を有する異なる部分を有し得る。
【0021】
図3、
図4および
図7〜10を参照して、スリーブ状挿入片5を説明する。スリーブ状挿入片5は、上縁5aおよび下縁5bを有する。上縁5aと下縁5bとの間に、ねじ山外面部51が設けられる。ねじ山は、受け部のねじ山部13のねじ山に対応する。また、ねじ山外面部51は球状に形成される。ねじ山外面部51の寸法は、スリーブ状挿入片5をねじ込みによって開口部12から挿入でき、スリーブ状挿入片5がねじ山部13を通過すると、収容空間11によって与えられる座部内にあるときに受け部内で回動および回転可能であるような寸法である。挿入片5の外面は、部分的にのみ、最大径を有する部分を含むねじ山部51によってねじ山を切られていてもよい。
【0022】
スリーブ状挿入片5は中空であり、アンカー固定要素1の頭部3の球状に形成された外面部3aの半径に対応する半径を有する、球状に形成された中心部52を有する。この中心部52の下端は肩部53を形成する。球状頭部3が玉およびソケット継ぎ手と同様にスリーブ状挿入片5の中心球状部52内で回転および回動可能であるように、肩部53の内径は頭部3の最大外径よりも小さい。肩部53と下縁5bとの間に、外向きにテーパ状であり、シャンク2が下縁5bと接触するまで骨アンカー固定要素1の角度形成を可能にするテーパ部54が設けられ得る。球状中心部52と上縁5aとの間に、外向きにテーパ状であるテーパ部55が設けられる。テーパ部55の内径、およびテーパ部55と球状中心部52との間の移行部の内径は頭部3の最大外径よりも大きいため、頭部3を上縁5aから挿入できる。
【0023】
球状中心部52の中心点と球状外面部51の中心点とは、球状中心部52の中心点が下縁5bに向かう方向においてシフトするようにずれていてもよい。これによって、骨アンカー固定要素1の形成角度範囲をさらに拡大することができる。中心軸Cに沿った軸方向におけるスリーブ状挿入片5の高さは、軸方向における頭部3の高さよりも低いため、頭部3をスリーブ状挿入片5に挿入しても、
図3および4に示すように頭部3の球状外面部3aの一部がスリーブ状挿入片5の上縁5aから突出している。球状外面部51の内径は、摩擦嵌めによって発生するわずかな張力によって頭部3がスリーブ状挿入片5を保持可能であるように寸法決めされる。これによって、スリーブ状挿入片5を用いてねじ要素をねじ込むために必要なトルクが、ねじからスリーブ状挿入片5に伝達され得る。
【0024】
スリーブ状挿入片5は剛性を有し、すなわち、たとえば可撓性を有する原因となるスリットなどの可撓性部分をまったく有しない。
【0025】
圧力部材6を、特に
図3、
図4および
図11〜14に示す。圧力部材6は実質的に円筒形であり、同軸ボア8および収容空間11の内部で動くことができるような外径を有する。圧力部材6は、上縁6aおよび下縁6bを有する。下縁6bに隣接して、頭部3の球状外面部3aの球状と一致する球状を有する球状凹部61が設けられる。
【0026】
圧力部材6は上縁6aに、ロッド100を内部に受けるための円筒凹部63を有する。圧力部材6はさらに、工具を用いてねじ頭部3に届くことができるようにするための同軸ボア64を有する。同軸ボア64はさらに、たとえば
図3に示すように骨アンカー固定要素が回動状態にあるときに、頭部3の一部がボア64を通って延在できるように構成される。中心軸Cに沿った軸方向における圧力部材6の高さは、固定ねじ7を締めると固定ねじ7がロッド100を押圧し、これによって圧力部材6を押圧し、これによって引いては骨アンカー固定要素の頭部3に作用するような高さである。
【0027】
圧力部材6の外面には、円周方向にある長さだけ延在する、2つの外向きに延在する突起部65が設けられる。各突起部65は、収容空間11の中空球状と一致する球状を有する上縁6aに対向する上面65aを有する。突起部65は180°互いにずれており、たとえば
図13に示すように、ロッド軸Lに垂直な位置に配置される。突起部65は、下縁6bからある距離をおいて、かつ中心軸Cの方向に見て下縁6bに向かって円筒凹部63の底部からある距離をおいて配置される。突起部65の上方には、2つの凹部66が180°互いにずれて設けられる。これらの凹部は、突起部65の球状上面65aへ延在する部分66aを有する。凹部66は、以下に説明するようなかしめによって発生する受け部の内壁の材料を受入れる空間として作用する。
【0028】
さらなる実施例のスリーブ状挿入片5′を
図15および
図16に示す。
図15および
図16のスリーブ状挿入片は、スリーブ状挿入片を受け部にねじ込むための工具を用いた係合のための駆動特徴がさらに設けられている点で、上述のスリーブ状挿入片5とは異なる。ほかのすべての部分は第1の実施例と同一であり、同一の参照符号で示す。これらの説明は繰返さない。スリーブ状挿入片5′は下縁5bに、工具用の係合部として作用するスリット56を有する。スリット56は、工具との係合を可能にする任意の形状を有し得る。複数のスリット56が円周方向に設けられ得る。スリーブ状挿入片5′を用いる場合、頭部3をスリーブ状挿入片5′内に締付ける必要はない。
【0029】
骨アンカー固定装置は全体として、または部分的に、たとえばチタン、ステンレス鋼などの生体適合性金属、たとえばニチノールなどのニッケル−チタン合金などの生体適合性合金、またはたとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの生体適合性プラスチック材料などの、生体適合性材料からなる。
【0030】
図17〜
図28を参照して、骨アンカー固定装置の組立工程を説明する。
図17は、組立の第1の工程の側面図である。圧力部材6を、
図18に示すようなその円筒凹部が受け部4のU字型凹部のわずか上方に突出して凹部と位置合わせされるまで、上部または下部開口部12から受け部4に挿入する。
図21の断面図に示すように、圧力要素はかしめによって受け部に装着され、かしめ工具によって受け部4の内壁がわずかに変形して、凹部66に突出する変形部41を形成する。凹部66は軸方向において内壁の変形部41よりも大きいため、圧力部材6は受け部の中で軸方向にわずかに動くことができる。受け部4および圧力部材6は、このような組立済みの状態で予め組立られて提供され得る。
【0031】
図19および
図20の側面図に示すように、スリーブ状挿入片5を骨アンカー固定要素1に装着する。骨アンカー固定要素を、球状頭部3が球状に形成された中心部52内に停止して中心部52内でわずかに締付けられるまで、上縁5aからスリーブ状挿入片5に挿入する。各々にスリーブ状挿入片が装着されたか装着されていない、さまざまな骨アンカー固定要素が提供され得る。
【0032】
図21〜
図24に見られるように、スリーブ状挿入片5が装着された骨アンカー固定要素を、下端4bから受け部4に挿入する。
図21は、ロッド軸に垂直な、多軸骨アンカー固定装置の断面図である。
図22は、骨アンカー固定要素を受け部と組立てる前の多軸骨アンカー固定装置の側面図である。
図23は骨アンカー固定装置の断面図、
図24はその側面図であり、骨アンカー固定要素を下部開口部12から受け部4に挿入する。スリーブ状挿入片5の外面部51のねじ山が、受け部4のねじ山部13に係合する。スリーブ状挿入片5は骨アンカー固定要素の頭部3上にわずかに締付けられるため、シャンクに印加されるトルクは、ねじ山部13に係合する挿入片に伝達される。スリーブ状挿入片5′を用いる場合、スリーブ状挿入片5′でねじをねじ込むための工具を用いてもよい。
【0033】
図25および
図26はそれぞれ、多軸骨アンカー固定装置の断面図および対応する側面図であり、骨アンカー固定要素およびスリーブ状挿入片が完全に挿入されている。この位置において、圧力部材6は自身の最上位置にあり、突起部65の球状上部65aが収容空間11の内壁に当接する。ねじの頭部およびスリーブ状挿入片は、受け部内で回動可能である。
【0034】
図19〜
図26に示す組立工程は、誰でもどこでも実行可能である。したがって、要求に応じて、受け部とともに組立られるさまざまな骨アンカー固定要素から、好適な多軸骨アンカー固定装置を選択することができる。
【0035】
図27および
図28はそれぞれ、多軸骨アンカー固定装置の断面図および対応する側面図であり、
図27および28に示す最終工程において、圧力部材6をかしめによってさらに固定する。さらなるかしめによって、圧力部材6が球状凹部61でねじ頭部3をわずかに押圧するまで、圧力部材6を下向きに動かす。この付加的なかしめ工程によって、予め定められた予備位置に圧力部材を保持する変形部42が形成される。かしめ作業の力を調節することによって、ねじ頭部と圧力部材との間に、規定された摩擦嵌めが達成される。こうして、骨アンカー固定要素を、圧力部材6とねじ頭3との間の摩擦力を克服するだけで回動させることができる。
【0036】
骨アンカー固定要素および第2の実施例のスリーブ状挿入片5′が装着された受け部の組立は、スリット56に係合してスリーブ状挿入片5′を回転させるための工具を用いる以外は、第1の実施例と同様に行われる。
【0037】
骨アンカー固定装置の使用工程を
図29〜
図32の断面図に示す。固定ねじおよびロッドは省略している。まず、アンカー固定要素を骨部または椎骨に挿入する。通常、安定化ロッドを骨部に固定するため、または椎骨を安定化させるために、いくつかの骨アンカー固定装置が必要である。
図29〜
図32に一例として示すように骨アンカー固定要素を挿入した後、安定化ロッドをU字型凹部9に挿入できるように、受け部4を回動および/または回転させることによって調節する。
図29〜
図32に示す状態では、スリーブ状挿入片5、および骨アンカー固定要素1の頭部3の両方が独立して自由に回動可能である。スリーブ状挿入片5は受け部4内で回転可能および回動可能であり、受け部4およびスリーブ状挿入片は骨アンカー固定要素の頭部3に対して回転可能および回動可能である。シャンク2と受け部の下端4bとの間の距離が長くなるため、スリーブ状挿入片5は、頭部3を受け部4内に直接受ける場合と比べて、拡大した形成角度範囲を提供する。スリーブ状挿入片5が受け部4内で回転可能および回動可能であるため、形成角度範囲は、受け部の中心軸Cを中心として360°内で、受け部が骨アンカー固定要素に対してどの位置にあっても拡大可能である。
図30に示すように、受け部4を反対方向に回動させると、スリーブ状挿入片5も回動する。
【0038】
図31aおよび
図31bの拡大図に示すように、受け部をさらに回動させても、スリーブ状挿入片5の位置は本質的に維持される。
図31aおよび
図31bに示すように骨アンカー固定要素のシャンク2がスリーブ状挿入片の下縁5bと接触するとすぐに、スリーブ状挿入片5も回動する。
図32に示すように、シャンク2は、シャンク2が受け部の下部開口部12の縁に当接するまで挿入片5を押す。したがって
図32では、受け部は骨アンカー固定要素1に対して最大回動角度で回動する。達成される最大回動角度は、スリーブ状挿入片5、受け部、および骨アンカー固定要素の寸法に依存するが、典型的に、直線、すなわちのゼロ角度位置から測定して45°以上である。
【0039】
図29〜
図32には、ロッド軸を含む平面内で回動が行われる例を示しているが、同一の工程は、受け部4の中心軸Cを中心として360°内の任意の他の方向で実行可能である。
【0040】
ねじ山部13によって提供される障害のため、スリーブ状挿入片は骨アンカー固定要素とともに下部開口部12から抜けることができない。圧力部材6とねじの頭部3との間の摩擦嵌めによって、受け部4を骨アンカー固定要素に対して任意の位置で一時的に維持できるという効果が得られる。
【0041】
最後に、ロッドを挿入し、雌ねじ7を締めて圧力部材6を頭部に押圧し、頭部およびスリーブ状挿入片5を同時にロック固定する。
【0042】
図33〜
図39を参照して、多軸骨アンカー固定システムの一部である骨アンカー固定要素の回動角度が縮小した多軸骨アンカー固定装置を説明する。
【0043】
図33〜
図35に示す骨アンカー固定装置は、骨アンカー固定要素の設計において、
図1〜
図32に示す骨アンカー固定装置とは異なる。受け部、圧力部材6および雌ねじ7は先の図面と同一であるため、これらの説明は繰返さない。
【0044】
骨アンカー固定要素101は、ねじ山シャンク102および頭部103を有する。頭部103は、ねじ山シャンク102に隣接した、ねじ山シャンク102から離れるにつれて直径が増大する半球として実質的に形成された第1の部分104を有する。ねじ山シャンク102から離れた半球の端に、ねじ山外面部105が設けられる。この外径は、受け部4の下部のねじ山部13の内径と一致する。換言すれば、頭部103のねじ山外面部105の外径は、先の実施例の骨アンカー固定要素1のスリーブ状挿入片5、5′の外径に実質的に対応する。頭部103はさらに、ねじ山がなく、かつシャンク102に向かう方向において直径が増大する球状である、第2の部分106を有する。第2の部分106の直径は第1の部分104の直径よりも小さく、圧力部材6の球状凹部61の内径に実質的に対応する。頭部103はさらに、シャンク102と反対側の自身の自由端に、工具に係合するための凹部108を有する。第1の部分104と第2の部分106との間に、圧力部材6の下縁による係合のために作用する円周方向の溝107が設けられる。
【0045】
また、第2のアンカー固定要素101は、シャンクの長さ、直径および設計に関して、異なる種類のシャンクを有し得る。
【0046】
骨アンカー固定要素101は、下端4bから受け部4に装着される。
図36および
図37示すように、まず、ねじ山外面部105が受け部の下端のねじ山部13に係合するまで、骨アンカー固定要素101をその頭部103とともに下部開口部12に向かって動かす(
図37)。そして、
図38に示すように、骨アンカー固定要素101をゼロ角度位置で受け部にさらにねじ込む。頭部103のねじ山部105が受け部4のねじ山部13を通過すると、
図39に示すようにアンカー固定要素101は収容空間内で自由に回動可能である。アンカー固定要素101は、停止部として作用するねじ山部13のため、抜け落ちることができない。圧力部材6は、摩擦力を克服する力を印加するだけで骨アンカー固定要素101を回動させることができるように圧力部材6が頭部103に予荷重を及ぼすように、位置決めされ得る。骨アンカー固定要素101が収容空間11内に受けられると、圧力部材6が頭部103の第2の部分106に係合する。
【0047】
図40に示すように、スリーブ状挿入片5が装着された骨アンカー固定要素1および骨アンカー固定要素101は、下部開口部12からの挿入によって、受け部4に選択的に接続可能である。
【0048】
骨アンカー固定要素101の頭部103の第1の部分104の外側寸法は、第1の骨アンカー固定要素1のスリーブ状挿入片5、5′の外径が受け部の収容空間11のねじ山部13の内側寸法に合うのと同様に、当該内側寸法に合うため、骨アンカー固定要素1、101を相互に交換可能に使用することができる。したがって、骨アンカー固定装置を、スリーブ状挿入片5、5′が装着された骨アンカー固定要素1を有する回動角度が大きい骨アンカー固定装置とするか、または骨アンカー固定要素101を有する回動角度が縮小した骨アンカー固定装置とするかを選択することができる。
【0049】
図41および
図42は、回動角度が縮小した骨アンカー固定要素101を有する骨アンカー固定装置を示し、骨アンカー固定要素は、その最大角度まで一方の側に向かって(
図41)および他方の側に向かって(
図42)回動する。最大回動角度は、ねじ山外面部105がねじ山部13との係合を外れ始める状態によって規定される。圧力部材6は頭部103を押圧し、その下縁が溝107に係合する。
【0050】
図43および
図44は、骨アンカー固定要素101がその最大回動角度まで一方の側に(
図43)および他方の側に(
図44)回動している状態の、骨アンカー固定要素101を有する骨アンカー固定装置を示す。最大回動角度は、ねじ山シャンク2が下端4bに当接するときに規定される。スリーブ状挿入片のため、最大回動角度は、
図41および
図42に示すような骨アンカー固定要素101を有する骨アンカー固定装置の最大回動角度よりも実質的に大きい。
【0051】
一方に圧力部材6が装着された受け部を有し、他方にスリーブ状挿入片5、5′が装着された骨アンカー固定要素1および骨アンカー固定要素101を有する骨アンカー固定システムの部品はすべて組立が容易であるため、広範な臨床応用に対応するモジュールシステムが提供される。
【0052】
説明した実施例のさらなる変形例が考えられる。たとえば、骨アンカー固定要素については、すべての種類のアンカー固定要素が使用可能であり、受け部と組合わせ可能である。これらのアンカー固定要素は、たとえば、異なる長さ、異なる直径のねじ、中空ねじ、異なるねじ山形態のねじ、釘、フック等である。頭部およびシャンクも、互いに接続可能な別個の部品であってもよい。
【0053】
変形例の受け部は、中心軸に垂直なU字型凹部の代わりに、ある側に傾斜または開口しているか、閉じたチャネルの形態である、ロッド用凹部を含む。外側ナット、外側キャップ、差込ロック固定装置などを含む、他の種類のロック固定装置が可能である。ロック固定装置は、頭部をロック固定する1つのロック固定要素およびロッドをロック固定する別のロック固定要素を有する、2つの部品からなるロック固定装置であってもよい。すべての実施例において、頭部3と接触する圧力部材の内面部を球状に形成する必要はない。頭部に圧力をかけるのに好適な別の形状であってもよい。
【0054】
別の変形例の受け部を
図45および
図46に示す。圧力部材6を上端4aから挿入できるように、受け部は、同軸ボア8および収容空間11の内壁に2つの対向する凹部400a、400bを有する。凹部400a、400bはU字型凹部9と位置合わせされ、U字型凹部9の底部から収容空間11に延在する。凹部400a、400bのサイズは、突起部65がU字型凹部9内に位置決めされるように圧力部材6を受け部4の上端4aから挿入できるようなサイズである。突起部65が収容空間に入るとすぐに、圧力部材は回転され得、圧力部材の凹部63が受け部4′のU字型凹部9と位置合わせされ得る。
【0055】
多軸骨アンカー固定システムは、任意の受け部、第1の最大回動角度まで受け部内で回動可能な第1の骨アンカー固定要素、および第2の最大回動角度まで受け部内で回動可能な第2の骨アンカー固定要素によっても実現可能であり、第1の最大回動角度は第2の最大回動角度よりも大きく、第1および第2の骨アンカー固定要素は相互に交換可能であるように構成される。