(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ遊技機として、所謂デジパチと呼ばれるものが知られている。
デジパチと称されるパチンコ遊技機においては、遊技球が打ち込まれて流下する遊技盤面に形成された遊技領域に始動入賞口が設けられ、当該始動入賞口に遊技球が始動入賞することに基づいて、内部の制御装置において、大当たりまたははずれの抽選が行われ、抽選で大当たりになると遊技領域に設けられたアタッカが開放して、アタッカに遊技球が入賞可能になる大当たり遊技状態(特別遊技状態)が発生する。
【0003】
この大当たりまたははずれの抽選結果は、特別図柄(以下、特図と略す)表示装置と演出用の可変表示装置で表示される変動表示ゲームにより遊技者に報知される。また、大当たりを報知する変動表示ゲームが終了することを条件に大当たり遊技状態が発生し、アタッカが開放して閉塞する開閉動作を繰り返す。アタッカの一回の開閉動作をラウンドと称し、大当たりの種類によって、変動表示ゲームが大当たりで終了した後の大当たり遊技状態で行われるラウンド数が決まるようになっている。
【0004】
また、大当たりの種類には、ラウンド数だけではなく、大当たり遊技状態後の遊技状態が、所謂確変遊技状態となる大当たりと、確変遊技状態とならず通常遊技状態(非確変遊技状態)となる大当たりとがある。確変遊技状態では、大当たり確率が高く、かつ、始動入賞口に設けられた所謂電動チューリップ(電チュー)が頻繁に開放される電チューサポート(電サポ)状態が発生する。
【0005】
非確変遊技状態では、確変遊技状態より大当たり確率が低く電サポ状態も発生しない。但し、時短遊技状態になる場合には、大当たり確率が低い状態で電サポ状態が発生する。なお、一般的に、確変遊技状態の期間は、大当たり遊技状態が終了してから次の大当たり遊技状態発生までであるが、大当たり遊技状態が終了してから所定回数の変動表示ゲームが終了するまでの場合もある。時短遊技状態の期間は、基本的に大当たり遊技状態が終了してから所定回数の変動表示ゲームが終了するまであるが、状況によって、上述の所定回数が変わる場合がある。
【0006】
このようなパチンコ遊技機の制御装置は、主制御基板と、副制御基板とに分けられており、主制御基板に搭載される主制御装置には、各入賞口で遊技球を検知するセンサが接続され、各入賞口への遊技球の入賞に対応する制御が行われる。例えば、遊技球の入賞に対応して主制御基板は、遊技球払出装置を制御する払出制御装置にコマンドを出力して遊技球を賞球として払い出せる制御を行う。また、主制御装置は、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて変動表示ゲームの変動開始と変動停止を制御するとともに大当たりおよびはずれを制御する。
【0007】
それに対して、副制御基板に搭載されるサブ制御装置は、主制御装置からのコマンドに基づいて、可変表示装置での変動表示ゲームの表示制御や、音声、音楽、効果音等の音の出力の制御や、各種演出用LEDの制御等を行うようになっている。
【0008】
このようなパチンコ遊技機において、例えば、短期間の停電等が発生して、主制御基板や副制御基板が電源断となると、揮発性メモリであるRAMに記憶されている遊技情報が消失してしまう。そこで、主制御基板側では、パチンコ遊技機での遊技の制御に必要な遊技情報が記憶されるメモリは、電池等で電源がバックアップされた状態となっており、停電となっても情報が保持されるようになっている。
【0009】
したがって、停電等による電源断から復帰後に、電源断前の遊技の状況に対応して、遊技を継続することができる。
それに対して、副制御基板側は、メモリの電源がバックアップされておらず、電源断等の異常となるとメモリに記憶された遊技情報が消失してしまう。なお、副制御基板のサブ制御装置による可変表示装置等の制御に必要な遊技情報は、主制御基板の主制御装置から入力されるコマンドに含まれている。
【0010】
したがって、主制御基板側が電源断から復帰した際に、遊技情報を消失した副制御基板側と遊技情報の同期がとれるような、電源復帰プロセスが実施され、電源復帰後に可変表示装置での変動表示ゲームや大当たり遊技状態での演出表示が早急に再開されるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0011】
ここで、極稀にではあるが、主制御基板には正常に電力が供給されているのに、副制御基板だけ電源断となる場合があるとともに、稀に、ノイズや静電気やプログラム上の問題や、ハード構成上の問題などにより、副制御基板のCPUが制御不能になるような不具合が発生した場合に、制御困難なCPUを正常な状態に復帰させるために、副制御基板でCPUやRAMがリセットされて初期化される場合がある。これらの場合には、RAMに記憶された情報が消失してしまう。
これらの場合に、主制御基板側では、電源断等の不具合が生じておらず、変動表示ゲームや大当たり遊技が正常に進行するとともに、時短や確変などの遊技状態の情報も正常となっているので、変動表示ゲームや大当たり遊技は、正常に進行されることになるが、副制御基板のサブ制御装置では、可変表示装置の制御に必要な遊技情報が消失しており、可変表示装置での正常な表示が困難な状況となる。なお、以下の説明では、不具合を主に電源断として説明しているが、上述のリセットの場合も含まれる。
【0012】
また、副制御基板が電源断となってから復帰するまでの間は、可変表示装置の表示やスピーカからの音の出力が停止した状態である。副制御基板が電源断から復帰しても、主制御基板からコマンドが入力するまでは、遊技情報が全くない状態であり、例えば、可変表示装置では、デフォルトの表示としてカラーバーが表示されている。
【0013】
次に、主制御装置からコマンドが入力すると、コマンドに含まれる遊技情報に基づいて、可変表示装置の表示制御が行われることになる。但し、各コマンドが提供する遊技情報は、必ずしも、可変表示装置の制御に必要なものを全て含むものではなく、複数のコマンドが入力して遊技情報が蓄積されることで、可変表示装置の表示制御に必要とされる遊技情報が揃った状態になる場合が多い。
【0014】
したがって、復帰したサブ制御装置においては、状況に応じて主制御装置から出力されるコマンドに含まれる遊技情報だけでは、可変表示装置を制御できず、サブ制御装置が復帰してから、可変表示装置の演出表示が正常に行われるまでにさらに時間が必要となる可能性がある。
【0015】
例えば、第1始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて行われる第1変動表示ゲームの第1保留数を示す第1保留図柄と、第2始動入賞口への入賞に基づいて行われる第2変動表示ゲームの第2保留数を示す第2保留図柄とを、遊技球の第1始動入賞口または第2入賞口への入賞順に並べて表示することが行われる場合がある。
【0016】
この場合に、第1始動入賞口または第2始動入口への遊技球の入賞時や変動表示ゲームの開始時に、主制御装置からサブ制御装置に出力されるコマンドに、第1保留数および第2保留数が遊技情報として含まれていても、第1保留図柄および第2保留図柄を入賞順に並べるための入賞順を示す遊技情報が含まれていない。このためサブ制御装置が電源断から復帰して上述のコマンドが入力しても第1および第2保留図柄を表示できない可能性がある。
【0017】
そこで、上述のコマンドに入賞順を示す遊技情報を含ませることで、副制御基板が異常から復帰した際に、第1および第2保留図柄の表示を可能とした遊技機が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、主制御基板側が変動表示ゲームの変動開始および変動停止、大当たりまたははずれの決定、大当たり遊技の開始および終了、入賞に対する賞球の払出等の遊技全般を制御し、副制御基板側は、主制御基板側で決定された内容をコマンドの遊技情報として受け取り、このコマンドの遊技情報に基づいて表示や音による演出を制御する。
【0020】
したがって、主制御基板側に電力が供給され、副制御基板側だけがリセットされた場合に、主制御基板側が正常に動作していることから、変動表示ゲームや大当たり遊技の進行に問題はなく、音や表示だけが一旦途絶え、その後、音や表示が復帰することになる。したがって、正常に動作している主制御基板側をリセットするなどすることなく、できるだけ円滑に演出表示や効果音等の出力が復帰することが求められる。
【0021】
また、副制御基板側だけがリセットされる現象は、極めて稀な現象であり、その稀な現象のために、ハード構成に規制がある主制御基板の主制御装置の処理が増えることは好ましくない。したがって、主制御装置におけるコマンド体系等は変更することなく、サブ制御装置側でリセット後の円滑な演出表示等の復帰が可能になる構成が求められている。
【0022】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたものであり、サブ制御装置がリセットされた後に主制御装置から入力されるコマンドに含まれる遊技情報だけでは、演出表示等の処理に遊技情報が不足する場合に、仮の遊技情報を設定することにより円滑に演出表示等を復帰させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、本発明の遊技機は、変動表示ゲームの演出表示および前記変動表示ゲームが大当たりになった場合に行われる大当たり遊技の演出表示を表示する演出表示手段と、
大当たりまたははずれの決定を含む前記変動表示ゲームの制御と、前記大当たり遊技の制御とを行うとともに、前記変動表示ゲームおよび前記大当たり遊技の前記演出表示手段への演出表示の表示制御に必要な遊技情報を含むコマンドを出力する主制御手段と、
揮発性メモリからなり前記主制御手段から出力される前記コマンドに含まれる前記遊技情報を記憶する遊技情報記憶手段を備え、前記遊技情報記憶手段に記憶されている前記遊技情報に基づいて前記演出表示手段における演出表示を制御する副制御手段と、
前記演出表示手段、前記主制御手段および前記副制御手段に電力を供給する電力供給手段とを有する遊技機において、
前記主制御手段に前記電力供給手段から電力が供給されている状態で、前記副制御手段において異常が生じて前記遊技情報記憶手段に記憶されている遊技情報が消失した後に、前記副制御手段が復帰し、前記主制御手段から前記コマンドが入力されるとともに当該コマンドに含まれる前記遊技情報が前記遊技情報記憶手段に記憶され、前記遊技情報記憶手段に記憶された前記遊技情報に基づいて、前記副制御手段が前記演出表示手段を制御して前記演出表示を行う際に、前記
遊技情報記憶手段から消失した前記遊技情報を必要とする場合に、消失した前記遊技情報の代わりに仮の遊技情報を設定する仮遊技情報設定手段を備え、
前記仮遊技情報設定手段は、消失した前記遊技情報に代えて設定可能な仮の前記遊技情報として、遊技者の有利さのレベルが
異なる複数種類の遊技情報
のうち、復帰後に受信したコマンドに対応して設定可能
で、遊技者の有利さのレベルが
低い前記遊技情報を設定することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、主制御手段に電力が供給された状態で、副制御手段だけが異常(例えば、電源断や後述のリセット機能によるリセット)となった後に復帰し、主制御手段からのコマンドに基づいて副制御手段が演出表示手段を制御する際に、上述の異常により消失した遊技情報が必要となる場合に、必要となる遊技情報を仮に設定する。これにより、遊技情報が不足することで、演出表示手段の表示制御に支障を来すのを防止できる。
【0025】
但し、仮の遊技情報は、遊技情報の内容に複数種類ある場合に、その一つの種類を仮に設定したものであり、消失した遊技情報と異なる可能性が高く、仮の遊技情報に基づいた演出表示手段の演出表示には、間違いがある可能性がある。すなわち、主制御手段側の遊技情報と、仮に設定された副制御手段側の遊技情報とが異なる可能性がある。
基本的には、演出のための表示に通常と異なる部分があっても、演出の一部と見なされる可能性あり、大きな問題とならない。
【0026】
しかし、遊技情報に基づいて行われる演出表示において、遊技情報が異なることで遊技者の有利さのレベルが異なる演出表示が行われる場合、例えば、5ラウンド大当たりなのに15ラウンド大当たりの演出表示が行われる場合に、15ラウンド大当たりを期待して遊技者が遊技を続行すると15ラウンドの演出表示が行われているのに、主制御手段では、5ラウンド大当たりと判断され、5ラウンドで大当たり遊技が終了してしまうことになる。
【0027】
この場合に、遊技者が副制御手段のリセットにより表示制御手段の表示等がおかしくなった後の遊技機に対して不信感を抱いてしまう可能性があるので、遊技者により有利な15ラウンドの演出表示と、遊技者により不利な5ラウンドの演出表示とがある場合に、遊技者に不利な5ラウンドの遊技情報を仮に設定するようになっている。すなわち、仮に設定される遊技情報として、遊技者の有利さの異なる場合がある複数の遊技情報から選択される遊技情報を設定可能な場合に、入力したコマンドに応じて設定可能な遊技情報から遊技者に最も不利な遊技情報を設定するようになっている。
【0028】
この場合に、遊技者に最も不利な演出表示、例えば、5ラウンド大当たりの演出表示が行われても、実際には15ラウンド大当たりの場合に、5ラウンドが終了しても大当たり遊技状態が終了せず、15ラウンドまで大当たりが継続する。
【0029】
したがって、遊技者は、5ラウンドと思った大当たり遊技が15ラウンドまで続いたことを喜ぶことになり、遊技機への不信感が発生するのを抑制できる。なお、遊技者に対する有利さは、必ずしも明確なものではなく、場合によっては遊技者によって、有利と思う状況が異なる可能性もあるが、例えば、予め遊技情報に対して有利さの順位を付与し、コマンドに対応して仮に設定可能な遊技情報の中から有利の順位が最も低いものを選択するものとしてもよい。
【0030】
本発明の上記構成において、発射された遊技球が流下する遊技領域を備える遊技盤と、
前記遊技球が入賞不可能な閉状態と、前記遊技球が入賞容易な開状態との間で開閉動作可能な変動入賞装置とを備え、
前記主制御手段は、前記大当たり遊技として、通常時に閉状態となっている前記変動入賞装置に開閉動作を繰り返させることにより当該変動入賞装置に遊技球を入賞可能とさせ、かつ、大当たり遊技中の全開閉動作の回数の設定値を、複数の所定の設定値から一つ選択し、前記大当たり遊技開始からの前記開閉動作の回数が選択された前記設定値となった場合に、前記設定値となった回数目の前記開閉動作が終了した後に大当たり遊技を終了させ、
かつ、前記大当たり遊技開始時に選択された前記設定値としての全開閉動作の回数を示す全開閉動作回数情報を含む大当たり遊技開始コマンドを出力するとともに、各開閉動作開始時に前記大当たり遊技開始時からの前記開閉動作の現状回数を示す現状回数情報を含む開閉動作開始コマンドを出力し、
前記仮遊技情報設定手段は、前記大当たり遊技開始後に前記副制御手段が異常となって前記遊技情報記憶手段に記憶された前記全開閉動作回数情報が消失した後に前記開閉動作開始コマンドが復帰した前記副制御手段に入力された場合に、前記全開閉動作回数情報として、前記開閉動作開始コマンドに含まれる現状回数情報が示す現状回数の値以上で、かつ、選択可能な前記設定値としての前記全開閉動作の回数の中で最小の全開閉動作の回数を仮遊技情報として設定し、
前記副制御手段は、前記仮遊技情報として設定された前記全開閉動作回数情報が示す全開閉動作の回数と前記開閉動作開始コマンドに含まれる現状回数情報が示す現状回数とに対応する前記大当たり遊技の開閉動作の演出表示を前記演出表示手段に表示することが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、例えば、上述のように5ラウンド大当たりと、15ラウンド大当たりがあるような場合に、大当たり遊技開始後で終了前にサブ制御装置がリセットして遊技情報としての全開閉動作の回数が消失した状態で、リセット後に開閉動作開始コマンドが入力し、例えば、現状回数情報として、5ラウンド以下のラウンド数が入力した場合、例えば、現状の回数として3ラウンドが入力した場合に、大当たりに5ラウンド大当たりと、15ラウンド大当たりがあることから、3ラウンド以上で、かつ、最も遊技者に不利なのは、5ラウンド大当たりとなる。
【0032】
したがって、全開閉動作の回数である遊技情報として、5が仮の遊技情報として設定される。この場合に、例えば、3ラウンド、4ラウンドおよび5ラウンドの開閉動作が行われる際に、演出表示手段では、例えば、5ラウンド大当たりの場合の3,4,5ラウンドの演出表示が行われる。
【0033】
そして、5ラウンドが終了する際に、消失する前の全開閉動作の回数が5であれば、大当たり遊技が終了することになる。この場合には、演出表示手段の3,4,5ラウンド目の演出表示が合っていたことになり、演出表示に対応して当たり遊技が終了することになる。
【0034】
一方、消失した全開閉動作の回数が15の場合には、演出表示手段の演出表示が5ラウンドで終了するものであったのに、リセットしていない主制御手段の制御により、6ラウンド目となる開閉動作が発生し、演出表示手段の表示と、実際の変動入賞装置の動作とがずれることになる。しかし、この場合には、5ラウンドで終了するはずだったのに6ラウンド目が発生したことを遊技者が不快に思う可能性が低く、遊技機への不満を訴えるような状況に成り難い。
【0035】
また、開閉動作開始時のコマンドに含まれる現状回数情報の現状回数が6以上の場合には、6ラウンド以上が全開閉動作の回数の候補となるが、6ラウンド以上の候補として15ラウンドしかない場合に、15ラウンドより多い候補がないことから、15ラウンドがもっとも低いラウンドとなり、15ラウンドが設定される。この場合には、15ラウンド大当たり用の演出表示が6ラウンドから15ラウンドまで行われた後に大当たり遊技が終了することになる。
【0036】
消失した遊技情報に代えて仮の遊技情報を設定することにより、主制御手段からコマンドが入力した際に消失した遊技情報を必要とする状況であっても、消失した遊技情報の代わりの遊技情報が仮に設定され、副制御手段での演出表示の制御が可能になり、演出表示手段での演出表示を円滑に復帰させることができる。但し、仮に設定された遊技情報は、主制御手段側に記憶されている遊技情報と一致しない場合がある。
【0037】
この場合に、主制御手段による変動入賞装置の制御の状況と、演出表示が示す状況とにくい違いが発生してしまう。この際に、演出表示示される状況より、実際の変動入賞装置の状況が遊技者に不利な状態となると、遊技者に遊技機の遊技に対して不信感を抱かれ、不満に思われる可能性がある。
【0038】
逆に演出表示される状況より、実際の変動入賞装置の状況の方が遊技者に有利な場合に、遊技者は、自分に有利な状況であることから、演出表示が間違っていてもあまり気にしない可能性が高く、遊技者が演出表示の間違いを不満に思う可能性が低い。
すなわち、上述の構成によれば、演出表示を速やかに復帰させ、かつ、遊技者の不満の発生も抑制することができる。
【0039】
また、本発明の上記構成において、前記主制御手段は、前記大当たり遊技終了後に遊技者への有利さが異なる複数の
遊技状態から一つの前記遊技状態を発生させるとともに、前記大当たり遊技開始時に大当たり遊技後の前記遊技状態を示す遊技状態情報を含む前記大当たり遊技開始コマンドを出力し、
かつ、前記演出表示手段に前記大当たり遊技を終了させる際に表示される大当たり遊技終了演出表示の開始の際に大当たり遊技後の遊技状態の一部を示唆する終了時遊技状態情報を含む大当たり遊技終了演出開始コマンドを出力し、
前記仮遊技情報設定手段は、前記大当たり遊技開始後に前記副制御手段が異常となって前記遊技情報記憶手段に記憶された前記遊技状態情報が消失した後に前記大当たり遊技終了演出開始コマンドが復帰した前記副制御手段に入力された場合に、前記大当たり遊技終了後の遊技状態を決定する遊技情報であって、消失した前記遊技状態情報に含まれ、前記終了時遊技状態情報には含まれない遊技情報がある場合に、
前記遊技情報として、前記終了時遊技状態情報に対応して設定可能な遊技情報のうちの最も遊技者に不利な遊技状態を示す前記遊技情報を仮の前記遊技情報として設定すること
が好ましい。
【0040】
このような構成によれば、大当たり遊技開始後に副制御手段がリセットされ、その復帰後に大当たり遊技終了演出開始コマンドが入力した場合に、大当たり遊技終了演出で大当たり遊技終了後の遊技状態を示す演出表示を行う際に、大当たり遊技開始コマンドに含まれる遊技情報が必要になる場合がある。しかし、大当たり遊技開始後に副制御手段がリセットされているので、大当たり遊技開始コマンドの遊技情報は消失している。
【0041】
この場合に、消失した遊技情報に代えて仮の遊技情報を設定する。この際に、遊技状態を示す遊技情報の一部が消失した状態になっているので、その一部を遊技情報として設定するが、この際に、遊技状態に対応する遊技情報として、遊技者の有利さが異なる遊技状態に対応する遊技情報の場合に、最も遊技者の有利さが低い遊技状態に対応する遊技情報を設定する。
【0042】
この場合に、大当たり遊技状態の終了時演出では、遊技者の有利さが低い遊技状態を示す演出表示が行われるが、実際に大当たり遊技が終了すると、演出表示が示した遊技状態より遊技者に有利な遊技状態が発生する場合がある。
この場合も、消失した遊技情報に代えて仮の遊技情報が設定されることで、副制御手段は主制御手段からのコマンド入力時に演出表示を再開することが可能になる。但し、仮の遊技情報が消失した遊技情報と異なると、正しい内容の演出表示が行われず、間違った内容となる。例えば、実際に開始される遊技状態と、異なる遊技状態が告知されてしまうが、間違って告知された遊技状態より、遊技者に有利な遊技状態が発生することになり、間違った演出表示を行ったことに対する遊技者の不満を抑制することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、主制御手段に電力が供給された状態で、副制御手段だけリセットされた場合に、副制御手段側で遊技情報が消失することにより遊技情報に不足あっても演出表示手段の演出表示を迅速に復帰させることができる。また、遊技情報が不足していることにより、副制御手段に制御される演出表示と主制御手段に制御される実際の遊技機の動作とにくい違いが生じた場合に、それを遊技者が不満に思うのを抑制することができる。また、主制御手段ではなく、副制御手段側だけの処理で演出表示を早期に復帰させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、このパチンコ遊技機は、発射された遊技球が流下する遊技領域2を備える遊技盤1を有する。
遊技盤1の盤面上の遊技領域2内には、演出表示手段として、可変表示装置3が設けられている。可変表示装置3は遊技領域2内の略中央部に設けられている。また、可変表示装置3は液晶表示装置からなるもので、主制御手段としての主制御装置(主制御手段)14で行われる抽選の各種大当り(当たり)およびはずれの抽選結果を表示するものであり、抽選結果の表示に際し、識別情報としての装飾図柄の変動表示ゲームを表示し、この変動表示ゲームの大当りおよびはずれによって抽選結果を報知するようになっている。
【0046】
遊技盤1の下部には、第1および第2特図表示装置4a,4bが設けられている。第1および第2特図表示装置4a,4bは、例えば、7セグ等のセグメント型のLED表示装置からなる。第1および第2特図表示装置4a,4bは、変動表示ゲーム(特別ゲーム)における図柄の変動の変動パターンの一部として設定される変動表示時間だけ変動表示(一部のセグメントを点滅表示)した後に識別情報としての特別図柄(特図)を停止表示する。
【0047】
ここで、第1および第2特図表示装置4a,4bの前記点滅表示後に複数種類の特図から1種類の特図(停止図柄)を停止表示する特図の変動表示ゲームには、第1特図表示装置4aで行われる第1変動表示ゲームと、第2特図表示装置4bで行われる第2変動表示ゲームとがある。第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとは、同時に行われることがなく、後述の変動表示ゲームの開始条件に基いて、第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームが優先的に開始される。
【0048】
言い換えれば、開始可能な第2変動表示ゲームが後述のように保留されている場合には、第1変動表示ゲームの開始条件が成立しない。また、可変表示装置3に表示される装飾図柄の変動表示ゲームは、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームのうちの実行されている第1または第2変動表示ゲームと略同時に表示されるとともに、実行されている第1または第2変動表示ゲームと同じ結果になる実質的に同一のゲームである。
【0049】
また、可変表示装置3には、画面の周縁部分に後述の保留数の表示が行われる保留数表示領域31a、31bが設定されている。主制御装置14では、第1始動球検知センサ53aから第1始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(例えば4)の範囲内で第1保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて第1変動表示ゲームおよび装飾図柄の変動表示ゲームが開始される場合に、保留数から1減算する。この第1保留数が後述のサブ制御装置(副制御手段)30を介して保留数表示領域31aに保留表示マークの数として表示される。
【0050】
同様に、主制御装置14では、第2始動球検知センサ53bから第2始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(例えば4)の範囲内で第2保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて第2変動表示ゲームおよび装飾図柄の変動表示ゲームが開始される場合に、保留数から1減算する。この第2保留数がサブ制御装置30を介して保留数表示領域31bに保留表示マークの数として表示される。なお、後述のようにこれら保留数は、状態表示装置9でも表示される。
【0051】
前記可変表示装置3の直ぐ下には、第1始動入賞口52が設けられている。
また、第1始動入賞口52の下に第2始動入賞口54を備えた所謂電動チューリップ(電チュー)と呼ばれる普通変動入賞装置5が設けられている。
この普通変動入賞装置5は、開閉動作自在な1対の可動片51,51を備え、第2始動入賞口54に遊技球が入賞できない可動片51,51が閉じた状態(閉状態)と、第2始動入賞口54に遊技球が入賞し易くなるように可動片51,51が開いた状態(開状態)との間で可変するようになっている。
【0052】
なお、閉じた状態の2つの可動片51,51の間には、遊技球が通過可能な遊技球の直径より少し広い間隔が開けられているが、この例では、閉じた可動片51,51の直上に第1始動入賞口52があり、可動片51,51が閉じた状態で遊技球が第2始動入賞口54に入賞できないようになっている。
【0053】
第1始動入賞口52には、遊技球の入賞を検知する第1始動球検知センサ53a(
図2に図示)が設けられており、第1始動球検知センサ53aは、主制御装置14に、遊技球が第1始動入賞口52に入賞した際に第1始動入賞信号を出力する。また、第2始動入賞口54には、遊技球の入賞を検知する第2始動球検知センサ53b(
図2に図示)が設けられており、第2始動球検知センサ53bは、主制御装置14に、遊技球が第2始動入賞口54に入賞した際に第2始動入賞信号を出力する。主制御装置14は、第1始動入賞信号の入力に基づいて第1変動表示ゲームの大当りおよびはずれを決める乱数を取得し、第2始動入賞信号の入力に基づいて第2変動表示ゲームの大当りおよびはずれを決める乱数の取得を行う。これら第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームの大当たり判定に用いられる乱数は、後述のハード乱数発生回路14eで生成されたハード乱数が用いられる。
【0054】
普通変動入賞装置5の下側に、大入賞口61を有する特別変動入賞装置(アタッカ)6が設けられている。このアタッカ6には、大入賞口61を開閉する可動扉62が備えられている。通常遊技状態では可動扉62は、遊技球を大入賞口61に流入させないように立って閉じた閉状態になっている。また、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームの結果が大当りになり、大当たり遊技状態が発生した場合に遊技球が流入し易いように可動扉62が前に略水平に倒れて開いた開状態になる。この場合に、可動扉62は、設定されたラウンド数だけ開閉動作を繰り返す。また、大入賞口61には、大入賞口61に入賞した遊技球を検知する大入賞球検知センサ63(
図2に図示)が設けられている。
【0055】
大当たり遊技状態では、特別変動入賞装置6が閉状態から開状態になって再び閉状態になる開閉動作としての1ラウンドの動作を、設定されたラウンド数だけ繰り返し行う。
【0056】
可変表示装置3の左側方には、普通図柄(普図と略す)ゲート7が設けられている。また、普図ゲート7には、普図ゲート7内を通過した遊技球を検知する通過球検知センサ7a(
図2に図示)が設けられ、通過球検知センサ7aは遊技球を検知すると主制御装置14に通過球検知信号を出力する。当該通過球検知信号の入力に基づいて主制御装置14は、普通変動入賞装置5を開状態とする当たりと、普通変動入賞装置5を閉状態のままとするはずれとを抽選する普図抽選を行う。この普図抽選の結果は、普図の変動表示ゲーム(普図ゲーム:普通ゲーム)を可変表示装置3の端の部分と、後述の状態表示装置9内の普図表示装置8(
図2に図示)とに表示することにより報知される。
【0057】
普図ゲームが当たりになった場合に、普通変動入賞装置5が開放し、第2始動入賞口54への遊技球の入賞率が高まり、第2変動表示ゲームの開始機会が増加するようになっている。また、遊技領域2の左側部には、複数の一般入賞口10,10が設けられている。また、一般入賞口10,10に対応して、一般入賞口10,10に入賞した遊技球を検知する一般入賞球検知センサ11(
図2に図示)がそれぞれ設けられている。
【0058】
また、遊技盤1には、大当たり遊技状態の際の大当たりの種類に基づくラウンド数、第1変動表示ゲームの保留数、第2変動表示ゲームの保留数、また、これら保留数と同様に求められる普図の変動表示ゲームの普図保留数等を表示するとともに、普図表示装置8を備えた状態表示装置9が設けられている。
【0059】
なお、普図保留数は、主制御装置14により、普図ゲート7を遊技球が通過して、通過球検知センサ7aから主制御装置14に通過球検知信号が入力した際に、上限になる数(例えば、4)の範囲で、1加算され、普図の変動表示ゲームが開始されると1減算される。なお、普図の表示ゲームの開始条件は、普図の変動表示ゲームおよび普通変動入賞装置5の開放が行われていない状態で普図保留数が1になるか、はずれになる普図の変動表示ゲームが終了した際、または、当たりになる普図の変動表示ゲームが終了して普通変動入賞装置5が開放し、その開放が終了した際に普図保留数が1以上の場合である。
【0060】
また、特別変動入賞装置6の下方の遊技領域2の最下端部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域2の外部になる遊技盤1裏面に排出させるアウト口12が設けられている。また、遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するとともに流下方向を転換する遊技釘13(一部だけ図示)や風車(図示略)等の流下規制転換部材が設けられている。
【0061】
次に、パチンコ遊技機の制御系を
図2に示されるブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機の制御系は、大きく分けて主制御部15と、副制御部16と、これら主制御部15および副制御部16の各装置に電力を供給する電源供給装置18とから構成されている。電源供給装置18は、遊技店に設けられた遊技機外のAC24V電源(電力供給手段)21に接続され、交流を直流に変換して電力を供給する。
【0062】
主制御部15には、例えば、遊技機用のワンチップマイコン等で構成される主制御装置14(主制御基板の主制御手段)が備えられ、主制御装置14には、プログラムを実行するCPU14a、プログラムやプログラムで使用するデータを記憶したROM14bや、ROM14bから読み出したプログラムを実行可能に記億するとともに、プログラムの実行に基づいて発生したデータやROM14bから読み出した各種データ等を記憶するRAM14cや、同期用のクロック(周波数)信号を出力するクロック14dや、変動表示ゲームの大当たり判定に用いる乱数(擬似乱数)を発生するハード乱数発生回路14e等が備えられている。
【0063】
主制御装置14(CPU14a)には、パチンコ遊技機に設けられた各種センサからの信号が入力可能になっており、前述の第1および第2始動球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、通過球検知センサ7a、一般入賞球検知センサ11が接続されるとともに、パチンコ遊技機におけるエラー(例えば、磁気検知、電波検知等)を検知するエラー検知センサ19等が接続されている。
【0064】
また、主制御装置14は、パチンコ遊技機の各種装置を動作させるため各種信号を出力するようになっている。例えば、主制御装置14には、外部情報端子基板40が接続されており、この外部情報端子基板40を介して各種データを遊技機外のホールコンピュータ20に出力可能になっている。ホールコンピュータ20は、各遊技機からのデータを集中管理し、各遊技機の稼動状況を出力可能になっている。
【0065】
また、主制御装置14には、副制御部16のサブ制御装置30、主制御部15の払出制御装置22等が接続され、これらに対してコマンド(制御指令)を出力可能とされている。
サブ制御装置30は、可変表示装置3における画像表示を制御する図柄制御部、演出用の後述のランプ(LED)の点灯及び消灯を制御するランプ制御装部、各種音声、効果音、音楽等の出力を制御する音声制御部としての機能を有する。
また、払出制御装置22は、賞球としての遊技球の払い出しの制御を行う払出制御部としての機能と、遊技領域2への遊技球の発射を制御する発射制御部としての機能を有する。
【0066】
また、主制御装置14には、第1および第2特図表示装置4a,4bと普図表示装置8と状態表示装置9が接続され、主制御装置14が第1および第2特図表示装置4a,4bにおける第1変動表示ゲーム、第2変動表示ゲームの表示制御と、普図表示装置8における普図の変動表示ゲームの表示制御と、状態表示装置9における上述の各種の状態を示すLEDの表示制御とを行う。
【0067】
また、主制御装置14には、普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通可変入賞駆動装置55が接続されている。また、主制御装置14には、特別変動入賞装置6の可動扉62を駆動する特別可変入賞駆動装置64が接続されている。この主制御装置14が、普通変動入賞装置5、特別変動入賞装置6の開閉動作を制御する。
【0068】
主制御装置14は、パチンコ遊技機における遊技の進行を制御するもので、第1および第2始動球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、一般入賞球検知センサ11から遊技球の検知信号が入力された場合、すなわち、各入賞口に遊技球が入賞した場合に、払出制御装置22にコマンドを出力して、賞球として遊技球の排出を行なう。
【0069】
また、主制御装置14は、通過球検知センサ7aから遊技球の検知信号が入力した場合に、普図保留数が上限未満ならば、上述の普図保留数に1加算する処理を行うとともに、普図ゲームの当たり外れを決定する抽選処理で用いられる各種乱数を取得し、乱数を記憶する。なお、この乱数は、主制御装置14で生成されるソフト乱数である。また、主制御装置14は、上述の所定の開始条件にしたがって普図ゲームを開始し、普図保留数を1減算する。この際に乱数による抽選処理によって、普図ゲームの当たり外れを決定し、この決定に基づいて当たりまたははずれになる普図ゲームを普図表示装置8に表示する。
【0070】
また、主制御装置14は、第1および第2始動球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力に基づいて、第1変動表示ゲームの第1保留数および第2の変動表示ゲームの第2保留数が上限未満の場合に、上述の第1および第2保留数の加算処理を行い、変動表示ゲームが開始される際に減算処理を行う。また、変動表示ゲームの大当り外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数(当たり種類乱数)、演出乱数)を取得し、当該乱数をRAM14cに記憶する。
【0071】
なお、当たり判定乱数は、上述のハード乱数を用い、その他は上述のソフト乱数を用いる。また、前記抽選処理によって、当たり判定乱数に基づいて第1および第2変動表示ゲームの大当りおよびはずれを決定し、第1および第2特図表示装置4a,4bを制御して第1および第2変動表示ゲームを表示するとともに、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示や結果の報知や演出のためにサブ制御装置30にコマンドを出力する。
【0072】
主制御装置14で設定されている第1変動表示ゲームの所定の開始条件は、前の第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームがはずれで終了した際と、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになったことにより、特別変動入賞装置6を開放する大当たり遊技状態になり、この大当たり遊技状態が終了した際とのいずれかにおいて、第2保留数が0で、第1保留数が1以上になっている場合と、第1変動表示ゲーム、第2変動表示ゲーム、大当たり遊技状態のいずれでもない場合に、第1始動入賞信号が入力して第1保留数が1になった場合(第2保留数は0)である。
【0073】
主制御装置14で設定されている第2変動表示ゲームの開始条件は、前の第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームがはずれで終了した際と、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになったことにより、特別変動入賞装置6を開放する大当たり遊技状態になり、この大当たり遊技状態が終了した際とのいずれかにおいて、第2保留数が1以上になっている場合と、第1変動表示ゲーム、第2変動表示ゲーム、大当たり遊技状態のいずれでもない場合に、第2始動入賞信号が入力して第2保留数が1になった場合である。
【0074】
また、主制御装置14は、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲーム開始から上述の演出乱数を用いた抽選により決定される変動パターンに設定された変動表示時間に、特図(停止図柄)を停止表示する所定の停止表示時間を加えたゲーム時間が終了した際に第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームを終了させる。
【0075】
また、主制御装置14は、普図ゲームが当たりになった場合に、普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通可変入賞駆動装置55を制御して普通変動入賞装置5を閉状態から開状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになった場合、すなわち、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当たりを報知して終了した場合に、特別変動入賞装置6の可動扉62の特別可変入賞駆動装置64を制御して所定の条件に基づいて特別変動入賞装置6を閉状態から開状態に可変させて大当たり遊技状態を発生させる制御を行う。
【0076】
また、主制御装置14は、前述の始動入賞信号に基づいて第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになるかはずれになるかを決める抽選処理を行う。
【0077】
また、主制御装置14は、大当りとはずれとのいずれかを示す第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームを順次表示する際に、確変遊技状態等の発生に基づいて前記抽選処理により第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになる確率を低確率状態より高い高確率状態へ移行し、通常遊技状態の発生に基づいて前記抽選処理により第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになる確率を高確率状態より低い低確率状態に移行する移行制御を行う。
【0078】
また、主制御装置14は、高確率状態としての確変遊技状態となった際に、普図の変動表示ゲームの当たり確率を通常より高確率にし、普図の変動表示ゲームの変動表示時間を通常より短くした電チューサポート状態(電サポ状態)にする。また、電サポ状態では、普図の変動表示ゲームが当たりとなった場合の普通変動入賞装置5の開放時間を通常より長く(開放回数を通常より多く)している。大当たり遊技状態の開始が確変遊技状態等を含む電サポ状態の終了条件になっている。
【0079】
また、確変遊技状態では、第1および第2変動表示ゲームの大当たり確率が10倍程度高くなる高確率状態にするとともに、第1および第2変動表示ゲームの変動表示時間(装飾図柄や特図を変動表示させている時間)を通常より短くし、さらに上述の電サポ状態にする。
【0080】
また、副制御部16のサブ制御装置30(副制御基板の副制御手段)は、制御装置としてCPU30a、ROM30b、RAM30c等を備える。このサブ制御装置30は、図柄制御部として可変表示装置3を制御するものであり、可変表示装置3がグラフィックプロセッサ38を介して接続されている。
主制御装置14により決定された各大当りおよびはずれと、変動パターンとしての変動表示時間等に基づいて、サブ制御装置30により装飾図柄の変動表示ゲームの可変表示装置3における表示が制御される。
【0081】
また、サブ制御装置30は、ランプ制御部として遊技盤1の盤面に設けられた盤面ランプ32と、パチンコ遊技機のガラス扉に設けられたガラス扉ランプ33とが接続され、これら盤面ランプ32、ガラス扉ランプ33としてのLEDの点灯や消灯による演出を制御する。
【0082】
また、サブ制御装置30は、音声制御装部としてサウンドプロセッサ34およびアンプを介してスピーカ35が接続され、演出用の効果音、音声、音楽等の出力を制御する。
【0083】
また、サブ制御装置30には、パチンコ遊技機の上皿の近傍等に設けられた演出ボタン36が接続され、演出ボタン36が有効な状態で演出ボタン36が操作された場合に、演出ボタン36からのオン信号がサブ制御装置30へ送られ、サブ制御装置30が演出ボタン36が操作された場合のために用意されている演出用の画像表示や音声出力を制御する。
また、遊技盤1に演出可動役物が設けられる場合に、サブ制御装置30は、この演出可動役物を作動させる演出可動役物駆動装置37を制御することにより、演出可動役物による遊技演出を制御する。
【0084】
払出制御装置22は、制御装置としてCPU22a、ROM22b、RAM22c等を備える。この払出制御装置22は、払出制御部として、払出装置29が接続され、上述のように遊技球の入賞に基いて、主制御装置14から出力されるコマンドに対応して払出装置29を制御して、賞球を払い出させる。
【0085】
また、払出制御装置22には、ガラス扉および遊技盤1を収納する内枠の開放を検知する扉開放スイッチ41、払い出された遊技球を保持する皿(例えば、上皿や下皿)に溜まった遊技球が満タンになったことを検知する皿満タンスイッチ42が接続され、これら扉開放スイッチ41、皿満タンスイッチ42からの信号に基づき、払出装置29からの払出や、発射装置からの遊技球の発射が制限される。
【0086】
また、払出制御装置22は、払出装置29から払い出される遊技球の数を計数する払出計数スイッチ43が接続され、実際に払い出された遊技球の数が計数され、この計数結果に基いて払い出すべき遊技球が払い出されるように払出装置29を制御する。
【0087】
また、払出制御装置22には、中継基板23が接続され、この中継基板23に、遊技機外に設けられて、挿入されたプリペイドカード(記録媒体)のデータを読み込んで遊技球の貸出制御を行うためのCRユニット28が接続されている。
また、この中継基板23には、遊技機の例えば、上皿の近傍に設けられる球貸スイッチ24、返却スイッチ25、度数表示装置26、球貸表示装置27が接続されている。
【0088】
度数表示装置26には、CRユニット28に読み込まれたプリペイドカードに記億されて遊技球に変換可能な度数が表示される。度数に残りがある状態で、球貸スイッチ24が操作されると払出制御装置22の制御により、度数の範囲内の設定された度数に対応する数の遊技球が払い出される。球貸表示装置27では、遊技球が払い出される際にLEDが点灯する。度数表示装置26に表示される度数に残りがある状態で、返却スイッチ25が操作されると、CRユニット28に挿入されたプリペイドカードが返却される。
【0089】
また、払出制御装置22は、発射制御部として遊技球発射装置を駆動する発射駆動装置39と、遊技球発射装置の遊技球の発射位置に遊技球を送る球送り装置を駆動する球送り駆動装置47が接続されている。これら球送り駆動装置47および発射駆動装置39を作動させることによって、上皿から供給される遊技球を遊技領域2に向けて発射する制御を行う。
【0090】
また、発射制御部としての払出制御装置22には、遊技球の発射を操作するためのハンドル操作に基いて、発射駆動装置39に供給される電力を変更するための発射ボリューム44が接続され、遊技者のハンドル操作により発射ボリューム44が調整されることにより遊技球発射装置から発射される遊技球の発射勢が調整される。
【0091】
また、払出制御装置22には、発射停止スイッチ45、タッチセンサ46が接続され、発射停止スイッチ45が操作された場合と、タッチセンサ46で操作者の手のタッチが検知されない場合に、球送り駆動装置47および発射駆動装置39を停止することにより、遊技球の発射を停止する。
また、払出制御装置22は、外部情報端子基板40を介してホールコンピュータ20にデータを出力可能に接続されている。
【0092】
このような遊技機の制御系において、主制御装置14では、上述のように第1始動入賞信号が入力された場合、または、第2始動入賞信号が入力された場合に、乱数の取得処理が行われる。主制御装置14は、ハード乱数発生回路14eから第1または第2変動表示ゲームの大当たりの抽選用のハード乱数を取得するとともに、その他の抽選用のソフト乱数を生成して取得する。なお、始動入賞信号が入力された際に、上述の対応する保留数が上限未満の場合に乱数を取得するが、対応する保留数が上限の場合には、乱数を取得しない。
【0093】
また、主制御装置14は、上述のように取得した乱数をRAM14cに記憶し、この乱数に対応する変動表示ゲームの開始条件が成立し、記憶された乱数による抽選処理が行われた場合に乱数消去条件が成立したものとして乱数を消去し、第1または第2変動表示ゲームに用いた第1または第2保留数が一つ減算される。
【0094】
主制御装置14は、変動表示ゲーム開始の際に、上述のように取得された乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を用いて第1および第2変動表示ゲームを表示するための抽選処理を行う。抽選処理においては、まず、当否抽選処理として、当たり判定乱数と、設定されている当たり判定テーブル(低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブル)に記憶された当たり判定値(抽選要素)とを比較する。主制御装置14のROM14bには、当たり判定テーブルが記憶されている。
【0095】
当たり判定値は、当たり判定乱数になる所定範囲の数値(整数)のうちから予め決められた数値であり、大当り確率は、(当たり判定値の数)/(当たり判定乱数になる所定範囲の数値の個数)になる。また、当たり判定値には、当たり確率が低確率になる通常時の低確率判定テーブルに記憶された当たり判定値と、確変決定後の高確率時の高確率判定テーブルに記憶された当たり判定値とがあり、通常時(低確率時)の当たり判定値の数に対して、高確率時の当たり判定値の数が例えば約10倍多く設けられている。これにより、低確率時に対して高確率時の大当り確率が例えば約10倍に設定されている。
【0096】
取得された当たり判定乱数の数値と、当たり判定値とが一致した場合に、大当りになり、一致しない場合にはずれになる。
また、低確率判定テーブルを用いるか、高確率判定テーブルを用いるかは、上述のように制御される確率状態が高確率状態か低確率状態かにより、主制御装置14で決定される。
大当りと判定された場合には、主制御装置14により、大当たりになる変動表示ゲーム終了後に大当たり遊技状態が発生する。
【0097】
当否判定処理の次に、停止図柄抽選処理が行われる。図柄乱数は、第1および第2特図表示装置4a,4bに停止表示される停止図柄(特図)の種類を決定するものであるが、変動表示ゲームがはずれの場合には、はずれに対応した例えば一種類の特図が決定される。大当りの場合には、各大当りの種類にそれぞれ対応して複数種類ずつの特図が設定され、これら特図から1つの特図が抽選で選択される。
【0098】
なお、この実施形態では、大当たりの種類としては、例えば、大当たり遊技状態となった際にアタッカ6を15回だけ開閉動作させる15ラウンド大当たりと、アタッカ6を5回だけ開閉動作させる5ラウンド大当たりとがある。また、このパチンコ遊技機は、所謂ST機として、全ての大当たりにおいて、大当たり遊技状態後が確変遊技状態になり、かつ、確変遊技状態の期間が変動表示ゲームの実行回数で制限されており、例えば、大当たり遊技状態終了後に、変動表示ゲームが8回行われる間だけ確変遊技状態とされるようになっている。
【0099】
また、確変遊技状態中は、電サポ状態となるが、確変遊技状態が終了しても時短遊技状態として電サポ状態が続行する。ここで、上述の15ラウンド大当たりと、5ラウンド大当たりには、電サポ状態が変動表示ゲームの実行回数が所定数になった場合または大当たり遊技状態になった場合に終了する大当たり(回数切り大当たり)と、電サポ状態が大当たり遊技状態になった場合にだけ終了する大当たり(続行大当たり)との2種類が設定されている。すなわち、大当たりの種類は、時短遊技状態(電サポ状態)が所定数の変動表示ゲームの実行で終了する15ラウンド回数切り時短大当たりおよび5ラウンド回数切り時短大当たりと、時短遊技状態が次回大当たり遊技開始まで続行する15ラウンド時短続行大当たりと、5ラウンド時短続行大当たりとがあることになる。
【0100】
さらに、電サポ状態が所定数の変動表示ゲームの実行で終了する大当たりには、電サポ状態(確変遊技状態とその後の時短遊技状態を合わせた状態)が10回の変動表示ゲームの実行で終了する場合と、電サポ状態が100回の変動表示ゲームの実行で終了する場合との2種類の終了条件がある。
この電サポ状態の終了条件の違いは、大当たりの種類で設定されているものではなく、変動表示ゲームが大当たりとなった際の遊技状態によって決定されるようになっている。
【0101】
この遊技状態とは、確変遊技状態および時短遊技状態における電サポ状態のことであり、電サポ状態中に変動表示ゲームが大当たりとなった場合には、この大当たりに基づく大当たり遊技状態後に100回の変動表示ゲームの間だけ時短遊技状態が付与される。電サポ状態終了後(時短遊技状態終了後)の通常遊技状態(非電サポ状態)中に変動表示ゲームが大当たりとなった場合には、この大当たりに基づく大当たり遊技状態後に10回の変動表示ゲームの間だけ時短遊技状態が付与される。
【0102】
図柄抽選処理の次に、主制御装置14では、変動パターン(演出)抽選処理が行われる。
上述の演出乱数は、変動表示ゲームの変動表示時間を含む変動パターンを決定するものであり、はずれの場合にリーチになるか否か、また、リーチの場合に変動表示時間が短いノーマルリーチか、変動表示時間の長いスーパーリーチやプレミアムリーチになるか(リーチ演出の種類)を決定するものである。この場合に、各リーチの種類毎に異なる変動パターンになる。
【0103】
また、大当りの場合は、必ずリーチになるので、ノーマルリーチかスーパーリーチやプレミアムリーチなどのリーチの演出の種類を決定するものになる。なお、主制御装置14は、変動パターンの選択に際して、複数の変動パターンと、複数の変動パターンそれぞれに抽選確率の数に対応して関連付けられている判定値との組み合わせからなる変動パターンテーブルに従って抽選を行い、変動パターンを選択する。
【0104】
変動パターンテーブルは、例えば、大当り用と、はずれ用とがあり、主制御装置14のROM14bに記憶されている。各変動パターンテーブルでは、各変動パターン毎に判定値が割り当てられており、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数で、抽選確率が決定される。各判定値は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる整数であり、抽選確率は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる全ての整数の個数を分母とし、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数を分子とした数値である。
【0105】
変動パターンテーブルは、さらに、通常遊技状態用と、確変遊技状態などの電サポ状態用とに分けられる。基本的には、はずれの通常遊技状態用の変動パターンテーブルに比較して、はずれの電サポ状態用の変動パターンテーブルには変動表示時間が短い変動パターンが記憶されている。また、リーチになる変動パターンの場合に、短い変動表示時間のリーチが多くなるとともに、長いリーチ演出の場合には、スーパーリーチやプレミアムリーチになる演出が増加するようになっている。
【0106】
このような変動表示ゲームの制御および大当たり遊技としての特別変動入賞装置の制御においては、主制御装置14において、変動表示ゲームの変動開始(変動表示ゲーム開始)と、変動停止と、変動表示ゲームの終了とが制御されるとともに、変動表示ゲームの大当たりか否か、大当たりの場合の大当たりの種類、大当たりまたははずれの変動パターンが決定される。
【0107】
変動表示ゲームの開始時(変動開始時)に、主制御装置14からサブ制御装置30に変動開始コマンド群のコマンドが順次送信され、変動表示ゲームの変動停止時に、主制御装置14からサブ制御装置30に、図柄確認コマンド群のコマンドが順次送信される。
【0108】
変動開始コマンド群では、基本的に大当たりか否か、大当たりの場合の大当たりの種類に対応する図柄、変動表示ゲームの変動パターン、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームのうちの実行される変動表示ゲームの保留数の減算等の遊技情報が主制御装置14からサブ制御装置30に送信される。また、遊技状態、例えば、確変遊技状態、時短遊技状態、通常遊技状態等を示す遊技情報が主制御装置14からサブ制御装置30に送信される。
【0109】
また、図柄確定コマンド群では、停止表示される特別図柄(停止図柄)、確変遊技状態における変動表示ゲームの実行回数、時短遊技状態における変動表示ゲームの実行回数等の遊技情報が主制御装置14からサブ制御装置30に送信される。
【0110】
また、大当たり遊技(状態)においては、大当たり遊技開始時に大当たり遊技開始コマンドが主制御装置14からサブ制御装置30に送信され、大当たり遊技中の各ラウンド(開閉動作)の開始時に開閉動作開始コマンドが主制御装置14からサブ制御装置30に送信され、全ての開閉動作の終了時(大当たり遊技終了演出開始時)に終了演出開始コマンド群が主制御装置14からサブ制御装置30に送信される。
【0111】
大当たり遊技開始コマンドのコマンドには、大当たりの種類を示す情報が含まれており、上述の15ラウンド回数切り時短大当たり、5ラウンド回数切り時短大当たり、15ラウンド時短続行大当たりおよび5ラウンド時短続行大当たりの各大当たりのいずれかを示す情報があり、ラウンド数が15ラウンドか5ラウンドかと、時短遊技状態が所定回数までか次回大当たりまで継続かを示す遊技情報と、時短遊技状態が継続でない場合に、時短遊技状態が終了となる変動表示ゲームの実行回数が10回か100回かの情報が含まれる。
【0112】
開閉動作開始コマンド群のコマンドには、例えば、大当たり遊技開始からの開閉動作の実行回数としてのラウンド数の情報が含まれており、何ラウンド目の開閉動作かを示す情報が含まれている。但し、開閉動作開始コマンドには、大当たり遊技中の全開閉動作の回数の情報が含まれていない。すなわち、5ラウンド当たりによる大当たり遊技か、15ラウンド大当たりによる大当たり遊技かの情報は含まれていない。
【0113】
また、大当たり遊技終了演出開始コマンドのコマンドには、上述の大当たりの種類に基づく大当たり遊技後の遊技状態の情報が含まれる。すなわち、15ラウンド回数切り時短大当たり、5ラウンド回数切り時短大当たり、15ラウンド時短続行大当たりおよび5ラウンド時短続行大当たりの各大当たりのいずれかを示す情報が大当たり遊技終了演出開始コマンドの遊技情報として含まれている。
【0114】
但し、大当たり遊技終了演出開始コマンドの遊技情報には、15ラウンド回数切り時短大当たり、5ラウンド回数切り時短大当たりの場合の時短遊技状態が終了となる変動表示ゲームの実行回数の情報が含まれていない。すなわち、時短遊技状態(電サポ状態)が変動表示ゲーム10回で終了するのか、変動表示ゲーム100回で終了するのかのデータが含まれていない。
【0115】
このような遊技機において、主制御装置14、サブ制御装置30や、可変表示装置3を含むその他の装置に電源供給装置18から電力が供給されている。この場合に停電でAC24V電源21がダウンすると電源供給装置18から主制御装置14、サブ制御装置30への電力が断たれることになる。
この場合に、主制御装置14のRAM14cは、電池等で電源がバックアップされているので、変動表示ゲームや、大当たり遊技の進行に必要な遊技情報が消失することがない。また、停電後の復帰の仕方が予め定められており、停電後の主制御装置14の復帰処理により、主制御装置14およびサブ制御装置30が停電直前の状態に近い状態に復帰する。
【0116】
それに対して、ノイズ、静電気、ソフト側の不具合、ハード側の不具合等により、サブ制御装置30だけが異常となってその後に復帰した場合に、主制御装置14では、何ら問題が発生していないので、そのまま制御が続行される。したがって、主制御装置14からは遊技の状況に応じてサブ制御装置30に随時コマンドが出力される。
【0117】
なお、異常とは、例えば、電源断や、ノイズ、静電気、ソフト側のバグ等の不具合、ハード側の設計や製造上の不具合やその他の要因により、例えば、プログラムの暴走等が発生した場合のサブ制御装置30のリセットなどである。このサブ制御装置30のリセットは、サブ制御装置30(例えば、マイコン)のCPU30aやRAM30cを初期化することであり、初期化によりRAM30cのデータが消失する。
【0118】
また、上述のリセットはサブ制御装置30により行われるものであり、サブ制御装置30には、上述のようなプログラムの暴走等のようにCPU30aが制御不能になるような不具合を監視し、不具合が検知された場合に、CPU30aをリセットするリセット機能が備えられている。なお、以下の説明では、異常として主に電源断でRAM30cのデータが消失した場合を例に挙げているが、上述のリセット機能によるリセットの場合も電源断と同様にデータが消失した状態でサブ制御装置30が復帰することになり、電源断と同様の処理が行われることになる。また、以下の説明で、リセットと記載した場合に、上述のリセット機能によるリセットだけではなく、電源断からの復帰も含まれる。
【0119】
一方、サブ制御装置30では、電源断から復帰した際に、例えば、電源投入時の初期化処理等が行われた後に、主制御装置14からのコマンドを受信可能になり、コマンドに基づいて、例えば、可変表示装置3の演出表示の制御等を行うことになるが、各種コマンドに含まれる遊技情報の違いから、復帰後に受信したコマンドによっては、表示制御に必要な遊技情報が不足する場合がある。この場合に、遊技情報が不足したままだと、可変表示装置3の表示内容がおかしくなったり、演出表示が行われなかったりする可能性がある。すなわち、遊技情報が足りないことから処理がエラーとなり、エラー処理が行われ、演出表示が行われない虞がある。
【0120】
この実施形態では、大当たり遊技状態において、サブ制御装置30が電源断となってから復帰した場合、すなわり、リセットされた場合について説明する。
【0121】
ここで、大当たり遊技中のサブ制御装置30による可変表示装置3の表示制御の概略を説明する。なお、サブ制御装置30は、可変表示装置3の表示制御の他に、上述の音による演出と、LEDによる演出とを制御し、さらに演出可動役物がある場合に、演出可動役物の動きを制御するが、ここでは可変表示装置3における演出表示の制御について説明し、音、LEDの光、演出可動役物の制御の説明は省略する。
【0122】
大当たりとなる変動表示ゲームが終了した際に、主制御装置14から大当たり遊技開始コマンドが入力すると、サブ制御装置30は、大当たり遊技の開始演出表示を可変表示装置3に表示する制御を行う。開始演出表示においては、上述の大当たりの種類を報知したり、大当たりの種類の一部として終了までのラウンド数を報知したりするものであってもよい。
【0123】
すなわち、大当たり遊技開始演出表示は、大当たりの種類毎に異なる演出表示となっていてもよい。大当たり遊技開始コマンドには、基本的に大当たり遊技開始演出に必要な遊技情報が全て含まれているので、大当たり遊技開始直前にサブ制御装置30が復帰していれば、大当たり遊技開始演出の表示が可能である。また、大当たり遊技開始コマンド以降のコマンドにより必要な遊技状態が随時追加されていくので、大当たり遊技開始演出表示以降の大当たり遊技の演出表示、すなわち、各開閉動作毎の演出表示と、大当たり遊技終了演出表示も可能になる。
【0124】
次に、1ラウンド以降の各ラウンドの表示が行われる。各ラウンドでは、大当たり遊技開始からのラウンド数が報知されるようになっているとともに、15ラウンド大当たりに基づく大当たり遊技か、5ラウンド大当たりに基づく大当たり遊技かを報知するか、15ラウンド大当たりか5ラウンド大当たりかを区別可能な演出表示をすることになる。すなわち、可変表示装置3における各ラウンド中の演出表示は、大当たり遊技開始からのラウンド数である現状回数と、大当たり遊技中の全開閉動作(全ラウンド)の回数である全開閉動作回数との組み合わせによって異なる演出表示となる。
【0125】
この場合に、サブ制御装置30による可変表示装置の制御に、大当たり遊技開始時のコマンド群のコマンドに含まれる全開閉動作の回数を示す遊技情報と、各ラウンドの開閉動作開始時コマンドに含まれる現在のラウンド数としての現状回数を示す遊技情報とが必要となる。
【0126】
この場合に、サブ制御装置30による演出表示には、各開閉動作開始コマンドに含まれる大当たり遊技開始からのラウンド数の情報だけではなく、大当たり遊技開始コマンドに含まれる大当たりの種類の一部の情報として、5ラウンド大当たりか、15ラウンド大当たりかの情報が必要となる。すなわち、大当たり遊技中の全開閉動作の回数として、5または15の数値の情報が必要になる。
【0127】
次に、最終ラウンドとして5ラウンド目または15ラウンド目が終了すると、大当たり遊技終了演出表示では、大当たり遊技後の遊技状態毎に異なる演出が行われる。大当たり遊技後の遊技状態は、基本的に大当たりの種類によるが、この遊技機では、必ず変動表示ゲームが8回実行されるまで確変遊技状態となるので、遊技状態の違いは、時短遊技状態の終了条件の違いとなる。
【0128】
時短遊技状態(電サポ状態)の終了条件としては、上述のように大当たり遊技が終了してから変動表示ゲームが10回実行された場合と、100回実行された場合と、変動表示ゲームの実行回数に関係なく次回の大当たり遊技が開始された場合となる。なお、10回の変動表示ゲームと100回の変動表示ゲームは確変遊技状態の8回の変動表示ゲームを含むものであり、10回の場合には、確変遊技状態で8回の変動表示ゲームが行われた後に、時短遊技状態で2回の変動表示ゲームが行われることで時短遊技状態終了となる。
【0129】
また、時短遊技状態の終了条件が10回または100回の変動表示ゲームの終了であっても、その前に大当たり遊技が開始されれば時短遊技状態は終了となり、大当たり遊技後(確変遊技状態後)に新たに時短遊技状態が開始されることになる。
【0130】
大当たり遊技終了演出では、大当たり遊技後の遊技状態として、時短遊技状態の終了条件が異なる3種類の演出表示が行われることになる。
【0131】
この3種類の演出表示のうちの回数切りの時短遊技状態となる変動表示ゲーム10回の時短遊技状態と、変動表示ゲーム100回の時短遊技状態は、大当たりの種類としては同じになり、大当たりの種類を示す遊技情報では、10回と100回の区別がつかず、大当たりの種類とは別に時短遊技状態が終了となる変動表示ゲームの実行回数(10回、100回)を示す遊技情報が必要となる。この遊技情報は、大当たり遊技開始コマンドに含まれるが、大当たり遊技終了演出開始コマンドには含まれない。
【0132】
したがって、大当たりの種類を示す遊技情報を有する大当たり遊技終了演出開始コマンドに含まれる遊技情報だけから可変表示装置3の大当たり遊技終了演出表示を制御することができない場合(回数切りの時短遊技状態の場合)があり、大当たり遊技開始コマンドに含まれる回数切りの時短遊技状態の場合の時短遊技状態が終了する変動表示ゲームの回数(10回または100回)の情報が必要となる。
【0133】
このような遊技機において、大当たり遊技中にサブ制御装置30がリセットした場合を想定すると、サブ制御装置30の復帰のタイミングは、大当たり開始コマンドの入力より前の場合には、上述のように大当たり開始コマンドの入力により大当たり遊技開始以降の遊技情報が不足することがなく、大当たり遊技の可変表示装置における演出表示の制御に問題が生じない。
【0134】
主制御装置14から大当たり開始コマンド出力後にサブ制御装置30が電源断から復帰し、復帰後最初にいずれかのラウンドの開始時に開閉動作開始コマンドを受信して、大当たり遊技の開閉動作開始コマンドに含まれる遊技情報としての現状回数(開始されるラウンドのラウンド数)が入力される。しかし、大当たり開始コマンドに含まれる全開閉動作の回数を示す遊技情報は、サブ制御装置30の電源断の際に消失している。
【0135】
そこで、この実施例では、サブ制御装置30において、リセット後(電源断や上述の不具合から復帰して初期化処理された後)に、最初に開閉動作開始コマンドが入力した場合に、消失した遊技情報としての全開閉動作の回数が仮の遊技情報として設定されるようになっている。
【0136】
ここで、全開閉動作の回数は、この実施の形態において、5ラウンド当たりと15ランド当たりとがあるので、5または15が設定されることになる。開閉動作開始コマンドに含まれる現状の回数が6以上の場合には、5ラウンドで大当たり遊技が終了しなかったことから15ラウンド大当たりであったことになり、全開閉動作の回数は15になる。したがって、15を全開閉動作の回数を示す遊技情報として仮設定する。なお、開閉動作開始コマンドに含まれる遊技情報としての現状の回数が6以上の場合には、上述のように選択できる遊技情報が15ラウンドの15だけとなるが、この場合も遊技情報が一つだけなので、それより遊技者に対して不利な遊技情報がないことになり、最も不利な遊技情報を選択したとみなすことができる。
【0137】
それに対して、現状の回数が5以下の場合には、5ラウンド大当たりの可能性と、15ラウンド大当たりの可能性との両方があるが、この場合には、5ラウンド大当たりより15ラウンド大当たりの方が遊技者に有利なので、遊技者に有利な15ラウンド当たりではなく、遊技者に不利な5ラウンド大当たりとする。すなわち、複数の遊技情報から遊技情報を選択して仮に設定する場合には、より遊技者に不利と判定可能な遊技情報を選択することになる。
【0138】
なお、例えば、5ラウンド大当たり、10ラウンド大当たり、15ラウンド大当たりがある場合には、5ラウンド以下では、選択可能な遊技情報としての全開閉動作の回数(5,10,15)から最も遊技者に不利な遊技情報として5(5ラウンド)が選択される。
【0139】
また、現状の回数が示すラウンドが6ラウンドから10ラウンドの場合には、選択可能な遊技情報としての全開閉動作の回数(10,15)から最も遊技者に不利な遊技情報として10(10ラウンド)が選択される。
また、現状の回数が示すラウンドが11ラウンド以上の場合には、選択可能な遊技情報としての1つの全開閉動作の回数(15)から最も遊技者に不利な遊技情報として上述のように15(15ラウンド)が選択される。
【0140】
このように遊技情報が仮に設定された場合に、全開閉動作の回数の選択肢が5と15の場合に、現状の回数が6以上ならば、仮の遊技情報として正しい値が設定されたことになり、サブ制御装置30に制御された可変表示装置3では、15ラウンド大当たりにおける6ラウンド〜15ラウンドのいずれかのラウンドの演出表示が表示される。この場合に、主制御装置14による遊技の制御に対応した15ラウンド当たり用の演出表示が可変表示装置3で行われることになる。
【0141】
また、現状の回数が5以下の場合には、全開閉動作の回数として、5が設定されるため、大当たり遊技開始の契機となった大当たりが5ラウンド大当たりならば、主制御装置14とサブ制御装置30とで、それぞれ5ラウンド当たりの処理を行っていることにより、問題が生じない。
【0142】
15ラウンド大当たりの場合には、主制御装置14で15ラウンド大当たりに対応する処理を行っているのに対して、サブ制御装置30で5ラウンド大当たりに対応する処理を行っていることになり、主制御装置14とサブ制御装置30で処理が食い違うことになる。例えば、
図4に示すように、サブ制御装置30により制御される可変表示装置3に5ラウンド目の演出表示として最終ラウンドであることを示す演出表示が行われた後に、6ラウンド目が開始され、15ラウンド大当たりにおける6ラウンド目の演出表示が行われる。この演出表示おいて、左上の5Rが5ラウンド目であることを示し、6Rが6ラウンド目であることを示す。5ラウンド大当たりの場合と、15ラウンド大当たりの場合とでは、非演出表示の背景の表示や、各キャラクタの表示等が異なるものになり、それも5ラウンド目から6ラウンド目に移行する際に変化する。
【0143】
なお、6ラウンド目では、上述の処理によりサブ制御装置30において全開閉動作の回数の情報として15が仮に設定され、上述のように主制御装置14の処理と、サブ制御装置30の処理が正しく同期することになる。
すなわち、サブ制御装置30が復帰してから5ラウンド目までは、可変表示装置3で5ラウンド大当たりに対応する演出が行われたのに対して、6ラウンド目からは15ラウンド大当たりに対応する演出表示が行われる。
【0144】
なお、大当たり遊技開始コマンド以後の大当たり遊技中にサブ制御装置30が電源断から復帰した場合に、大当たり遊技終了まで仮に設定された遊技情報が使用される。
大当たり遊技中に復帰したサブ制御装置30に大当たり遊技終了演出開始コマンドが入力した場合に、当該コマンドの遊技情報として大当たりの種類が入力されるがこの場合の大当たりの種類が5ラウンドおよび15ラウンドに係わらず、回数切りの時短遊技状態の場合に、時短遊技状態が終了する変動表示ゲームの実行回数である遊技情報として上述の10が設定される。
【0145】
この場合に、大当たり遊技終了演出の際に、時短遊技状態が回数切りの場合(次回大当たりまで継続でない場合)に10回で時短遊技状態が終了か、100回で時短遊技状態が終了かの遊技情報が上述のように大当たり開始コマンドにしか含まれていないので、それ以後に復帰したサブ制御装置30では、上述の回数切りの回数の情報が消失している。そこで、この遊技機では、仮に回数切りの回数として10回を示す遊技情報を設定する。
【0146】
これにより、大当たり遊技終了演出では、
図5に示すように、可変表示装置3に時短遊技状態(特別モード)が変動表示ゲームの10回(確変遊技状態の8回の変動標示ゲームを含む)の実行で終了する場合の演出表示が行われる。
この場合に、サブ制御装置30により可変表示装置3に大当たり遊技状態終了演出として、変動表示ゲームを10回実行することにより時短遊技状態が終了する場合に演出が行われ、その後に主制御装置14側で時短遊技状態を変動表示ゲーム10回で終了する処理を開始する場合に、主制御装置14とサブ制御装置30とで処理が同期した状態であり、正常な演出表示が行われている状態となる。
【0147】
それに対して、
図5に示すように、サブ制御装置30により可変表示装置3に大当たり遊技状態終了演出として、変動表示ゲームを10回実行することにより時短遊技状態が終了する場合の演出表示が行われ、その後に主制御装置14側で時短遊技状態を変動表示ゲーム100回で終了する処理を開始する場合に、可変表示装置で時短遊技状態が変動表示ゲーム10回で終了する場合の演出表示を行ったのにもかかわらず、時短遊技状態は、変動表示ゲーム10回で終了せずに、変動表示ゲームが100回行われた段階で終了することになる。この場合に例えば、
図5に示すように、大当たり遊技終了時に変動表示ゲーム10回の特別モードが開始される演出表示を行った後に、変動表示ゲームが開始されると特別モードとしての時短遊技状態の残り回数が99回等の表示が行われる。すなわち、時短遊技状態が100回の場合の演出表示が行われる。
【0148】
上述の大当たり遊技状態において、主制御装置14に電力が供給された状態で、サブ制御装置30において電源断となった後に復帰した場合のサブ制御装置30における大当たり遊技中コマンド受信処理を
図3のフローチャートを参照して説明する。この処理は、短期間毎に繰り返し行われる処理である。
【0149】
まず、サブ制御装置30では、大当たり遊技中のいずれかのラウンドの開閉動作開始コマンドまたは大当たり遊技終了演出開始コマンドが入力したか否かを判定する(ステップS1)。コマンドが入力していない場合には、この処理を終了する。なお、大当たり遊技開始コマンドが入力した場合には、サブ制御装置30で電源断により失われた遊技情報を仮に設定する処理が行われることなく、通常の処理が行われる。
コマンドが入力したタイミングの場合には、サブ制御装置30の復帰後の最初のコマンドか否かを判定する(ステップS2)。
【0150】
最初のコマンドでない場合には、大当たり遊技中のサブ制御装置30の復帰後に最初にコマンドが入力した際にセットされる復帰フラグがセットされているか否か、すなわち、サブ制御装置30の復帰後の処理か否かを判定する(ステップS3)。
【0151】
サブ制御装置30の復帰後の最初のコマンドでなく、かつ、復帰フラグがセットされていない場合には、サブ制御装置30の電源断からの復帰後の大当たり遊技の処理ではなく、サブ制御装置30が正常に動作している状態なので、入力したコマンドに対応する通常の処理を開始して(ステップS4)この処理を終了する。
【0152】
ここでは、開閉動作開始コマンドまたは大当たり遊技終了演出開始コマンドに基づく、大当たり遊技中のいずれかのラウンドの演出表示、または、大当たり遊技終了時の終了演出の演出表示が通常通り行われる。
ステップS2で、サブ制御装置30の復帰後の最初の開閉動作開始コマンドまたは大当たり遊技終了演出開始コマンドの入力タイミングと判定された場合には、各ラウンド毎の開閉動作開始コマンドの入力か、全ラウンド終了後の大当たり遊技終了演出開始コマンドの入力かを判定する(ステップS5)。
【0153】
開閉動作開始コマンドの入力の場合には、当該コマンドに含まれる遊技情報としての現状回数(開始されるラウンドのラウンド数)が5以下か、6以上かを判定する(ステップS6)。
【0154】
6以上の場合には、上述の全開閉動作の回数として15をセットし、15ラウンド大当たりの場合の6ラウンド以降の開閉動作開始コマンド受信時の処理として、開閉動作開始コマンドに含まれる現状回数の値と同じラウンド数におけるラウンドの演出表示を開始させる(ステップS7)。
【0155】
すなわち、6ラウンドから15ラウンドまでのラウンドのうちの開閉動作開始コマンドの遊技情報に示されるラウンド数のラウンドの演出表示を可変表示装置3に表示させる処理を開始させる。なお、各ラウンドの演出表示では、ラウンド数が表示されるとともに、5ラウンド大当たりと、15ラウンド大当たりでは、例えば、表示されるキャラクタや背景が異なる演出表示が行われる。この場合、消失した前開閉動作の回数の選択肢は15しかなく、15を選択することで、消失した遊技情報を正しい遊技情報に設定しなおしたことになる。
【0156】
ステップS6において、入力した開閉動作開始コマンドに含まれる遊技情報としての現状の回数(ラウンド数)が5ラウンド以下の場合には、上述の全開閉動作の回数として5をセットし、5ラウンド大当たりの場合の、5ラウンド以前のラウンドとして、1ラウンドから5ラウンドのいずれかのラウンドのうち開閉動作開始コマンドに含まれる現状回数としてのラウンド数のラウンドの演出表示を開始する(ステップS8)。この場合には、全開閉動作の回数の選択肢として(消失した遊技情報として)、5と15があるのに対して5を設定したので、実際の全開閉動作の回数が15の場合には、誤りとなる。
【0157】
すなわち、5ラウンドで大当たり遊技が終了する5ラウンド大当たりの演出表示を5ラウンドまで行ったのに、5ラウンドで大当たりが終了せずに、6ラウンド目が開始されることになる。この場合に、演出表示が誤りであっても、5ラウンドで終わると思われた大当たり遊技が15ラウンドまで続くことになることから、遊技者が演出表示の誤りに対して不満に思うのを防止できる。
復帰後最初の大当たり遊技中のコマンド入力に対応して上述のように演出表示を開始させた後に復帰フラグをセットして(ステップS9)、処理を終了する。
【0158】
ステップS5において、大当たり遊技終了演出開始コマンドが入力したと判定された場合には、当該コマンドの遊技情報として、この大当たり遊技を発生させた変動表示ゲームが当たりとなった際の大当たりの種類の情報に基づいて、この大当たり遊技後の時短遊技状態が次回大当たりまで継続か、変動表示ゲーム10回または100回の実行で時短遊技状態終了となる回数切りかを判定する(ステップS10)
【0159】
次回大当たりまで時短遊技状態が継続する場合には、時短遊技状態が継続する場合の大当たり遊技終了演出の表示を開始させ(ステップS11)、時短遊技状態が回数切りの場合には、時短遊技状態が終了する変動表示ゲームの実行回数として10を設定し、時短遊技状態が10回の変動表示ゲームで終了する場合の大当たり遊技終了演出の表示を開始させ(ステップS12)この処理を終了する。
【0160】
ステップS3で復帰フラグがセットされていると判定された場合には、入力したコマンドが開閉動作開始コマンドか、大当たり遊技終了演出開始コマンドかを判定する(ステップS13)。開閉動作開始コマンドが入力した場合には、当該コマンドの遊技情報としての現状回数の値が5以下か否かを判定する(ステップS14)。
【0161】
5以下の場合には、既に、ステップS8において、遊技情報としての全開閉動作回数に5がセットされているので、開閉動作コマンドに含まれる現状の回数が示す5以下のラウンドのラウンド演出表示を5ラウンド大当たりの場合のラウンド演出表示として開始する(ステップS15)。
【0162】
開閉動作開始コマンドに含まれる遊技情報としての現状の回数が5以下でない場合には、6か否かを判定する(ステップS16)。既に、サブ制御装置30が大当たり遊技中に復帰後、一度以上開閉動作開始コマンドが入力している状況で、入力した開閉動作開始コマンドに含まれる現状回数が6の場合には、既に、5以下のラウンドでのラウンド演出表示を5ラウンド大当たりに対応する演出表示で行ったのに、5ラウンドで終了せずに6ラウンドに至った場合である。
【0163】
この場合には、5ラウンド大当たりでは有り得ないので、上述の全開閉動作の回数を5から15に変更し、15ラウンド大当たりの場合における6ラウンドのラウンド演出表示を開始させる(ステップS17)。
【0164】
現状回数が5以下でも6でもない場合は7以上となり、この場合には、サブ制御装置30の復帰後最初の開閉動作開始コマンド入力時に、現状回数が6以上であることにより消失した全開閉動作回数として15がセットされるか、上述のように復帰後、ラウンドが6になって消失した全開閉動作回数として5がセットされた後に15に変更されたことになる。いずれにしろ、既に、全開閉動作回数として15がセットされているので、15ラウンド大当たりに対応する7ラウンド以降の開閉動作開始コマンドに含まれる現状回数のラウンドのラウンド演出表示を開始する(ステップS18)。
【0165】
また、ステップS13において、大当たり遊技終了演出開始コマンドが入力した場合には、復帰フラグをリセットし(ステップS19)、ステップS10に移行する。この場合には、復帰フラグがリセットされるとともに、上述のステップS11またはステップS12の処理が行われ、大当たり遊技状態が終了する。
【0166】
このような遊技機にあっては、主制御装置からサブ制御装置30に大当たり遊技開始コマンドが出力された後に、サブ制御装置30が電源断から復帰した場合には、大当たり遊技開始コマンドに含まれる遊技情報が電源断によりRAM30cから消失しているか、または、復帰してコマンドの入力が可能になる前に大当たり遊技開始コマンドが入力したことにより、大当たり遊技開始コマンドに含まれる遊技情報がサブ制御装置30のRAM30cに記憶されていないことになる。
【0167】
それに対して、大当たり遊技開始コマンドに含まれる遊技情報を仮に設定することにより、必要な遊技情報がないためにサブ制御装置30での処理に支障をきたしたり、エラーにより処理が止まってしまったりすることがなく、可変表示装置3での演出表示の復帰が遅れるのを防止できる。
また、この際に仮に設定可能な遊技情報に基づく演出表示に、遊技者に対する有利さに差がある場合には、演出表示が遊技者に最も不利となるような遊技情報を仮に選択することにより、サブ制御装置30側で仮に設定された遊技情報と、主制御装置14側の本来の遊技情報とが違っていた場合に、遊技者に不利な演出表示が行われたにもかかわらず、主制御装置14により制御される実際の状況が遊技者に有利な場合に、演出表示と実際の状況とにくい違いが生じても遊技者に有利な状況であることにより、遊技者が演出表示を不信に思うのを抑制できる
【0168】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。