(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076720
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】シート巻取機構およびシート巻取機構を備えたプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 15/16 20060101AFI20170130BHJP
B65H 18/06 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
B41J15/16
B65H18/06
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-267187(P2012-267187)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-113697(P2014-113697A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】穀田 博
【審査官】
西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
実開平07−024843(JP,U)
【文献】
特開2004−256283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/00 − 15/24
B65H 18/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部に連結され回転可能であり、長尺状のシートをロール状に巻回する巻取軸と、
前記巻取軸に沿ってスライド可能で、前記巻取軸に巻回されたシートを前記巻取軸の開放端側に引き出すための係止爪を有するレバーと、
前記レバーが前記巻取軸の開放端側に引き出されたときに、前記巻取軸から前記レバーが外れるのを防止する外れ防止部材と、
を有し、
前記レバーは前記係止爪を除き前記巻取軸の外周面より内側に位置するシート巻取機構。
【請求項2】
前記レバーが位置決め部材を有し、前記巻取軸は前記位置決め部材と係合する2個の位置決め溝を有し、前記2個の位置決め溝の一方は前記レバーが前記巻取軸の開放端側に引き出された状態を維持する位置に形成され、前記2個の位置決め溝の他方は前記レバーが前記駆動部側に押し込まれた状態を維持する位置に形成される請求項1に記載のシート巻取機構。
【請求項3】
駆動部に連結され回転可能であり、長尺状のシートをロール状に巻回する巻取軸と、
前記巻取軸に沿ってスライド可能で、前記巻取軸に巻回されたシートを前記巻取軸の開放端側に引き出すための係止爪を有するレバーと、
前記レバーが前記巻取軸の開放端側に引き出されたときに、前記巻取軸から前記レバーが外れるのを防止する外れ防止部材と、
前記レバーが前記巻取軸の開放端側に引き出された状態および前記レバーが前記駆動部側に押し込まれた状態を維持する位置決め部と、
を有するシート巻取機構。
【請求項4】
前記位置決め部は
前記レバーに設けられた位置決め部材と、
前記巻取軸に設けられ、前記位置決め部材と係合する位置決め溝を有し、
前記位置決め溝は前記レバーが前記巻取軸の開放端側に引き出された状態を維持する位置に形成された第一の位置決め溝および前記レバーが前記駆動部側に押し込まれた状態を維持する位置に形成された第二の位置決め溝を有する請求項3に記載のシート巻取機構。
【請求項5】
前記巻取軸内の前記駆動部側にベアリングホルダを備え、前記レバーが前記駆動部側に押し込まれた状態において、前記外れ防止部材が前記ベアリングホルダと当接する請求項1から4のいずれか1項記載のシート巻取機構。
【請求項6】
前記レバーには
前記巻取軸に沿ってスライドする際に前記レバーを巻取軸方向に案内するスライドガイドと、
前記レバースライドガイドより幅広で、その上部において更に幅方向に突出する庇部を有する外れ防止部材と、が設けられ、
前記巻取軸には
前記レバースライドガイドの幅よりも少し広く、前記外れ防止部材の幅よりも狭いスリット幅の第1領域および前記外れ防止部材の幅より少し広く、前記庇部の幅よりも狭いスリット幅を有する第2領域を有するスリットと、
前記第1領域と前記第2領域とのスリット幅の違いにより形成され、前記外れ防止部材と当接することにより前記レバーが前記巻取軸から抜け出ることを防止する段差と、が設けられている請求項1から5のいずれか1項項記載のシート巻取機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載のシート巻取機構を備えたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタにおいて、そのラベルを剥離した後の台紙や、インクリボン等を巻き取るシート巻取機構およびシート巻取機構を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベルが仮着された長尺状の台紙が巻回された連続体を使うラベルプリンタにおいては、ラベル剥離後の台紙を収容する等の目的から、台紙を巻取軸に巻き取っている。そして、印字が終了すると、巻き取られた台紙が巻取軸から外され、廃棄される。
【0003】
しかしながら、台紙が巻取軸に巻き締められているため、台紙を巻取軸から外すのが困難な場合がある。
【0004】
そこで、特許文献1は、台紙を巻取軸から容易に取り外すため、台紙ホルダのクランプ保持部に引き出し自在に取り付けられたクランプによって台紙を挾持し、台紙の回収時、クランプの一端に設けられた把持部をつかんでクランプを引き抜くことで、クランプの他端に設けられた台紙引掛部に引っ掛けられた台紙をクランプと一緒に台紙ホルダから引き抜くことを記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−26418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記述されている方法では台紙を取り出す際にクランプが台紙ホルダから完全に引き抜かれてしまう。そのため、新しい台紙を巻き取るときにクランプをクランプ保持部に戻さなければならず作業が煩雑となる。また、クランプを紛失する恐れがあった。
【0007】
本発明は、巻き取られたシートを簡便な作業で取り外すことができ、新しいシートを巻き取る際の作業が容易であるシート巻取機構およびシート巻取機構を備えたプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によるシート巻取機構は、駆動部に連結され回転可能であり、長尺状のシートをロール状に巻回する巻取軸と、前記巻取軸に沿ってスライド可能で、前記巻取軸に巻回されたシートを前記巻取軸の開放端側に引き出すための係止爪を有するレバーと、前記レバーが前記巻取軸の開放端側に引き出されたときに、前記巻取軸から前記レバーが外れるのを防止する外れ防止部材と、を有することを特徴とする。
本発明の第2の態様によるシート巻取機構は、前記レバーが位置決め部材を有し、前記巻取軸は前記位置決め部材と係合する2個の位置決め溝を有し、前記2個の位置決め溝の一方は前記レバーが前記巻取軸の開放端側に引き出された状態を維持する位置に形成され、前記2個の位置決め溝の他方は前記レバーが前記駆動部側に押し込まれた状態を維持する位置に形成される。
本発明の第3の態様によるシート巻取機構は、前記レバーは前記係止爪を除き前記巻取軸の外周面より内側に位置する。
本発明の第4の態様によるシート巻取機構は、前記巻取軸内の前記駆動部側にベアリングホルダを備え、前記レバーが前記駆動部側に押し込まれた状態において、前記外れ防止部材が前記ベアリングホルダと当接する。
本発明の第5の態様によるシート巻取機構は、前記レバーには、前記巻取軸に沿ってスライドする際に前記レバーを巻取軸方向に案内するスライドガイドと、前記レバースライドガイドより幅広で、その上部において更に幅方向に突出する庇部を有する外れ防止部材と、が設けられ、前記巻取軸には、前記レバースライドガイドの幅よりも少し広く、前記外れ防止部材の幅よりも狭いスリット幅の第1領域および前記外れ防止部材の幅より少し広く、前記庇部の幅よりも狭いスリット幅を有する第2領域を有するスリットと、前記第1領域と前記第2領域とのスリット幅の違いにより形成され、前記外れ防止部材と当接することにより前記レバーが前記巻取軸から抜け出ることを防止する段差と、が設けられている。
本発明の第6の態様によるプリンタは上記のシート巻取機構を備えている。
【発明の効果】
【0009】
第1の態様によれば、外れ防止部材を有しているので、巻取軸からレバーが外れるのを防止することができる。
【0010】
第2の態様によれば、レバーの位置決め部材と、2個の位置決め溝のいずれかと係合することで、レバーが巻取軸の開放端側に引き出された状態、又はレバーが駆動部側に押し込まれた状態を維持することができる。
【0011】
第3の態様によれば、レバーは係止爪を除き巻取軸の外周面より内側に位置するので、巻き取られた台紙とレバーとは係止爪を除き接触しない。したがって、レバーを巻取軸の溝に沿って容易に引き抜くことができる。
【0012】
第4の態様によれば、外れ防止部材がベアリングホルダと当接するので、レバーの位置を規制することができる。
【0013】
第5の態様によれば、レバースライドガイドに設けられた庇部を有する外れ防止部材と、巻取軸に設けられた異なるスリット幅の第1領域及び第2領域を有するスリットと、からなる簡易な構成で、レバーが巻取軸から抜け出るのを防止することができる。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、巻き取られたシートを簡便な作業で取り外すことができ、新しいシートを巻き取る際の作業が容易であるプリンタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】開閉カバーを開放した状態のラベルプリンタの斜視図。
【
図3】開閉カバーを開放した状態のラベルプリンタの側面図。
【
図6】レバーを巻取軸に取り付けてスライドさせた状態を示す斜視図。
【
図7】レバーを巻取軸に押し付けた状態を示す断面図。
【
図8】レバーを巻取軸から引き出した状態を示す断面図。
【
図9】レバーを巻取軸に取り付ける際の状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0017】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、
図1〜3を参照して説明する。
【0018】
図1は、ラベルプリンタの外観図である。
図2は、開閉カバーを開放した状態のラベルプリンタの斜視図である。
図3は開閉カバーを開放した状態のラベルプリンタの側面図である。
【0019】
ラベルプリンタ1は、プリンタ本体2と、プリンタ本体2の右側面から上面にかけて一体であり、上面側に設けたヒンジを軸にして開閉可能な開閉カバー4とを備えている。ラベルプリンタ1の外部には、 エラー等のラベルプリンタ1に関する情報を表示するための液晶モニタ6と、ラベルプリンタ1の操作を行うための操作パネル8と、印字作成されたラベルを取り出すためのラベル発行口10とが設けられる。
図1には図示されていないが、ラベルプリンタ1は、別設のパソコン(PC)からデータを取り込むように、プリンタケーブルに接続されており、PCからの印字データがオンラインで送信されることにより、ラベルを印字発行する。
【0020】
図2は、開閉カバー4を開放した状態のラベルプリンタ1の斜視図である。プリンタ本体2は、主に、ラベル供給軸12と、台紙巻取機構14と、リボン供給軸16と、リボン巻取軸18と、印字機構20と、ラベル剥離機構22と、ヘッド開閉レバー24と、から構成される。
【0021】
ラベル供給軸12は、ラベルを台紙に仮着したラベル連続体をロール状に保持して繰り出す。シート巻取機構としての台紙巻取機構14は、ラベル供給軸12から繰り出されたラベルが剥離された台紙を巻取る。台紙巻取機構14については後述する。
【0022】
リボン供給軸16は、帯状のカーボンリボンをロール状に保持して繰り出す。リボン巻取軸18は、リボン供給軸16から繰り出されたカーボンリボンを巻取るための軸である。
【0023】
図3に示すように、印字機構20は、プラテンローラ26と印字ヘッド(サーマルヘッド)28を有する。プラテンローラ26の回転によりラベル連続体LおよびカーボンリボンRを搬送するとともに、印字ヘッド28に印字情報信号を供給してラベルに所定の印字情報を印字する。印字されたラベル連続体Lはラベル剥離機構22へ搬送される。なお、ヘッド開閉レバー24を操作することにより、印字ヘッド28をプラテンローラ26に対して接離(開閉)することができる。
【0024】
ラベル剥離機構22は、印字機構20のラベル搬送方向の下流にラベル剥離板30と剥離ローラ32とを有する。このラベル剥離板30により、印字機構20と後述の台紙巻取機構14との間においてラベル連続体の台紙Mの経路を鋭角に屈曲する。剥離ローラ32はプラテンローラ26に対し従動回転し、剥離ローラ32とプラテンローラ26とにより台紙Mはニップされる。剥離ローラ32とプラテンローラ26とにより下流側に引っ張る張力が台紙Mに付与されることになる。これにより、ラベルを自身の剛性によりラベルが台紙Mから剥離される。
【0025】
台紙Mは台紙巻取機構14により巻き取られ、巻取りが完了すると台紙Mは廃棄される。
【0026】
次に、本実施形態の台紙巻取機構14について
図4〜
図8を参照して説明する。
図4は台紙巻取機構14の分解斜視図である。台紙巻取機構14は、巻取軸40と、レバー60とを備える。巻取軸40の駆動部と連結される側、つまり根元側(支持端側)において、巻取軸40はフランジ42を備えている。巻取軸40の外周面44に、対向する位置に2本の溝46が、巻取軸40の軸方向と平行に形成されている。駆動部側と反対方向、つまり巻取軸40の開放端側において、溝46の底面50に、スリット48が形成されている。
【0027】
レバー60は、平行に対向配置された脚部60Aと、脚部60Aを連結する連結部60Bとから一体的に構成され、レバー60は全体としてU字形状(またはコの字形状)を有している。各脚部60Aの端部には係止爪64が形成されている。係止爪64は脚部60Aと略平行であり、係止爪64は脚部60Aを折返した形状となっている。
【0028】
レバー60は、U字形状の内周に沿って、幅狭の直立壁であるレバースライドガイド66が形成されている。
【0029】
レバースライドガイド66の端部には、外れ防止部材68が形成されている。外れ防止部材68は、レバースライドガイド66より幅広で、その上部において更に幅方向に突出する庇部70を備えている。レバースライドガイド66を巻取軸40のスリット48に挿入したとき、庇部70が底面50に対し巻取軸40の内側から当接する。庇部70を底面50に当接させることで、レバー60が巻取軸40から外れるのを防止することができる。外れ防止部材68と脚部60Aの端部との間に、レバー60は突起部である位置決め部材72を備えている。
【0030】
図5は、巻取軸40の上面図である。巻取軸40の外周面44に溝46が形成されている。溝46の底面50には、巻取軸40の開放端側からフランジ42に向けてスリット48が形成されている。スリット48は、巻取軸40の開放端側から狭いスリット幅の第1領域48Aがあり、次に第1領域48Aよりスリット幅の広い第2領域48Bがあり、最もスリット幅の広い第3領域48Cへと繋がっている。第1領域48Aはレバー60のレバースライドガイド66の幅より少し広く、外れ防止部材68の幅よりも狭いスリット幅を有している。第2領域48Bは外れ防止部材68の幅より少し広く、庇部70の幅よりも狭いスリット幅を有している。第3領域48Cは外れ防止部材68の庇部70の幅より少し広いスリット幅を有している。溝46の底面50で、第1領域48Aと第2領域48Bとの境界に、スリット幅の違いにより段差56が形成されている。
【0031】
なお、レバー60を巻取軸40に組み立てる際には、レバー60の弾性により脚部60A、60Aの間隔を広げ、外れ防止部材68を、第3領域48C内に挿入させ、レバースライドガイド66を第1の領域48Aおよび第2の領域48Bに挿入する。
【0032】
底面50には、スリット48と直交する2つの位置決め溝52、54が形成されている。位置決め溝52、54のいずれかとレバー60の位置決め部材72とが係合し、巻取軸40に対するレバー60の位置を固定できる。
【0033】
図6は、レバー60が巻取軸40に押し込まれた状態と、レバー60が巻取軸40から引き出された状態を示す斜視図である。
図6(A)は、レバー60が巻取軸40の根元側に押し込まれた状態を示している。これは台紙巻取機構14で台紙を巻き取るときの状態である。なお、レバー60は、係止爪64を除き巻取軸40の外周面44より内側に位置させ、係止爪64を外周面44の外側に位置させている。また、連結部60Bは、
図6(A)に示すようにレバー60を巻取軸40の根元側(支持端側)に押し込んだ状態で巻取軸40の開放端から所定距離離れた位置に位置し、巻取軸40の開放端とレバー60の連結部60Bとの間に空間が形成される。この空間は、指を入れてレバー60を引き出す際の空間として活用される。
【0034】
台紙Mの巻取り方法について説明する。最初にレバー60を巻取軸40の根元側に押し込んで、次に台紙Mを係止爪64で挟みこむ。巻取軸40を駆動部(不図示)により回転させて、台紙Mを巻取軸40に巻き取る。巻取軸40を回転させて台紙Mを巻き取る際に、レバー60が巻取軸40の開放端側にスライドしないように、レバー60の位置決め部材72と巻取軸40の位置決め溝54とを係止させ、レバー60の駆動部側に押し込まれた状態が維持されている。したがって、レバー60が巻取軸40に固定され、安定して台紙Mを巻き取ることができる。
【0035】
図6(B)は、レバー60が巻取軸40から引き出された状態を示す斜視図である。台紙Mの巻取りが完了すると、巻き取った台紙Mを巻取軸40から取る外すため、レバー60が巻取軸40の開放端側に引き出される。レバー60は係止爪64を除き巻取軸40の外周面44より内側に位置するので、巻き取られた台紙Mとレバー60とは係止爪64を除き接触していない。したがって、台紙Mとレバー60との接触抵抗がほとんどないので、レバー60を巻取軸40の溝46に沿って容易に引き抜くことができる。
【0036】
レバー60が巻取軸40の開放端側に引き出される際、レバースライドガイド66がスリット48に案内されながらスライドされる。レバー60の外れ防止部材68が第1領域48Aのスリット幅より広いので、最終的には外れ防止部材68が段差56に当接する。これにより、レバー60が引き出される際の最大の位置が決定され、レバー60が巻取軸40から完全には引き抜かれないようにすることができる。
【0037】
また、外れ防止部材68を段差56に当接させたとき、レバー60の位置決め部材72と巻取軸40の位置決め溝52とを係合させている。レバー60が駆動部側と反対方向、つまり巻取軸40の開放端側に引き出された状態が維持され、レバー60が巻取軸40に固定される。位置決め部材72と位置決め溝52との係合によって台紙Mをレバー60から取り外す際に、レバー60が移動するのを防止することができる。
【0038】
図7は、レバー60を巻取軸40に押し付けた状態を示す断面図である。
図6(A)の状態に対応するものである。但し、理解を容易にするためレバースライドガイド66を図示していない。巻取軸40の根元部には、空間が形成されており、この空間内にベアリングホルダ80が挿入されている。レバー60を巻取軸40の根元部(支持端側)に押し込んだとき、外れ防止部材68はベアリングホルダ80と当接される。ベアリングホルダ80に当接することによりレバー60がそれ以上巻取軸40の根元部(支持端側)に向けてスライドされるのを抑制している。また、レバー60の位置決め部材72が位置決め溝54に係合し、レバー60が巻取軸40に固定される。
【0039】
ベアリングホルダ80が巻取軸40に挿入されている場合、外れ防止部材68がベアリングホルダ80と当接するので、レバー60をさらに押し込むことはできない。外れ防止部材68は、第3領域48Cにまで移動されることがなく、第2領域48Bに留められる。外れ防止部材68の庇部70の幅は、第2領域48Bのスリット幅より広いので、外れ防止部材68が第2領域48Bから抜けることはない。ベアリングホルダ80が巻取軸40に挿入されている限り、レバー60を巻取軸40から取り外すことはできない。
【0040】
図8は、レバー60を巻取軸40からに引き出した状態を示す断面図である。
図6(B)の状態に対応するものである。レバー60が巻取軸40から引き出されると、外れ防止部材68は段差56と当接される。段差56により巻取軸40の開放端側へのレバー60の最大移動位置(最大引き出し位置)が規制され、段差56はレバー60が巻取軸40の第1領域48A側にスライドされるのを抑制する。つまり、レバー60が巻取軸40から抜け出ることを防止している。
【0041】
図9はレバー60を巻取軸40から取り外す際の状態を示す断面図である。ベアリングホルダ80が巻取軸40に挿入されていない場合、巻取軸40の開放端とレバー60の連結部60Bとの間の空間を利用して、レバー60をさらに押し込むことができる。外れ防止部材68は、第3領域48Cに挿入されることになる。第3領域48Cのスリット幅は、外れ防止部材68の庇部70の幅より広いので、外れ防止部材68と庇部70とを第3領域48CBから抜くことができる。ベアリングホルダ80が巻取軸40に挿入されていなければ、レバー60を巻取軸40から自由に取り外すことができる。
【0042】
本実施の形態では、巻き取られた台紙Mを簡便な作業で取り外すことができ、一方、レバー60は巻取軸40からは取り外されない。したがって、巻取り後の台紙を取り外したり、新しく巻き取る際の台紙のセット作業が容易となる。
【0043】
尚、本実施の形態においてシート巻取機構として、台紙を巻き取る台紙巻取機構14で説明したが、これに限るものではない。例えば、インクを転写させることによりラベルに印字を施す長尺帯状のインクリボンを巻き取るリボン巻取軸に採用しても良い。
【符号の説明】
【0044】
14…台紙巻取機構、40…巻取軸、44…外周面、46…溝、48…スリット、50…底面、52、54…位置決め溝、60…レバー、64…係止爪、66…レバースライドガイド、68…外れ防止部材、72…位置決め部材