(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、ハウジングの左右の端壁にそれぞれ検出弁を配置したので、左方の端壁をテーブル等の固定台に取付けた場合には、その左方の検出弁にアクセスすることが困難になり、その左方の検出弁のメンテナンスに手間がかかる。
本発明の目的は、検出弁のメンテナンスが容易なシリンダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1Aから
図5Bに示すように、シリンダ装置を次のように構成した。
【0006】
ハウジング1内にピストン10を昇降可能に挿入し、そのピストン10の上側に配置された駆動室11に駆動用の加圧流体を供給および排出可能に構成する。前記ハウジング1の上壁2に挿入された出力ロッド15を前記ピストン10に連結する。その出力ロッド15の外周側で前記の上壁2に、下降検出用の第1検出弁31及び上昇検出用の第2検出弁32を周方向へ所定の間隔をあけて配置する。これら第1検出弁31及び第2検出弁32は、それぞれ、前記ピストン10に上側から対面される被操作部49,79を有する。前記第1検出弁31及び第2検出弁32の各入口31a,32aに第1供給路B1及び第2供給路B2を介して検出用の加圧エアを供給可能に構成する。
【0007】
本発明は、次の作用効果を奏する。
ハウジングの上壁に挿入された出力ロッドの外周側で、当該上壁に、下降検出用の第1検出弁と上昇検出用の第2検出弁との2つの検出弁を配置したので、そのハウジングの下壁をテーブル等の固定台に取付けたり、当該ハウジングの下半部を固定台の取付け穴に挿入した場合などでも、上記2つの検出弁に上側からアクセスすることが可能となる。このため、検出弁のメンテナンスに手間がかからない。
しかも、上記2つの検出弁は、上壁内に設置される際に、その上壁の余剰空間を設置スペースとして利用可能なので、シリンダ装置をコンパクトな状態に維持できる。
従って、検出弁のメンテナンスが容易でコンパクトなシリンダ装置を提供できる。
【0008】
本発明においては、前記第1検出弁31及び第2検出弁32の各軸心を、下方へ向かうにつれて前記ピストン10の軸心に近づくように傾斜させ、
前記ピストン10の軸心に対する前記第1検出弁31及び第2検出弁32の各軸心の傾斜角度を5度から15度の範囲内に設定することが好ましい。
上記発明によれば、出力ロッドの外周側で上壁に装着された封止部材やスクレーパ等に2つの検出弁が干渉するのを防止することと、ハウジングの半径方向の寸法を小さくすることとを両立できるので、シリンダ装置をコンパクトに造れる。
【0009】
また、本発明においては、前記の上壁2を平面視で長方形状または正方形状に形成し、その上壁2の周方向の4辺に対応する4つの壁部分のうちのいずれかの壁部分に、前記駆動室11へ連通される給排路21を形成し、前記4つの壁部分のうちの前記給排路21を形成した壁部分を除いた壁部分のいずれかに、前記第1検出弁31及び第2検出弁32を設けることが好ましい。
上記構成によれば、シリンダ装置をさらにコンパクトに造れる。
【0010】
さらに、本発明においては、前記の上壁2は取付け用のフランジ7を有し、そのフランジ7の外周部の下面に形成した据付面7aに、前記給排路21へ連通される給排ポートP1を開口させることが好ましい。
【0011】
上記の各発明においては、下記のように構成することが好ましい。
即ち、下降検出用の前記第1検出弁31は、前記ピストン10が下限位置から上限位置へ移動する途中で当該ピストン10によって開弁されると共に、そのピストン10が前記の上限位置から所定の第1ストロークS1下降したときに閉弁されるように構成し、上昇検出用の前記第2検出弁32は、前記ピストン10が前記の下限位置から前記の上限位置又はその近傍位置へ移動したときに当該ピストン10によって閉弁されると共に、そのピストン10が前記の上限位置から所定の第2ストロークS2下降したときに開弁されるように構成し、その第2ストロークS2の長さを前記第1ストロークS1の長さよりも小さい値に設定する。
上記構成によれば、下降位置と上昇位置とを確実に区分けして検出できる。
【0012】
また、本発明の第1検出弁31は、例えば
図4A及び
図4Bに示すように、下記のように構成することが好ましい。
即ち、下降検出用の前記第1検出弁31は、前記駆動室11に上側から対面するように前記の上壁2に形成された第1装着孔M1と、その第1装着孔M1に取付けられる第1ケーシングC1と、その第1ケーシングC1に挿入された第1検出ロッド41であって、下受圧部45と当該下受圧部45よりも受圧面積が大きい上受圧部47と前記被操作部49とを有する第1検出ロッド41と、前記の上受圧部47の上側に形成された圧力室51と、その圧力室51を前記駆動室11へ連通させるように前記第1検出ロッド41に形成した貫通孔52と、前記の上受圧部47の下部に形成したポペット形の弁面55と、前記第1検出ロッド41が下降したときに前記弁面55によって閉じられるように前記第1ケーシングC1に形成された弁座54と、を備える。
上記構成によれば、下降検出用の第1検出弁は、簡素な構成で確実に閉弁できる。
【0013】
さらに、本発明の第2検出弁32は、例えば
図5A及び
図5Bに示すように、下記のように構成することが好ましい。
即ち、上昇検出用の前記第2検出弁32は、前記駆動室11に上側から対面するように前記の上壁2に形成された第2装着孔M2と、その第2装着孔M2に取付けられる第2ケーシングC2と、その第2ケーシングC2に挿入された第2検出ロッド42であって、下受圧部75と当該下受圧部75よりも受圧面積が大きい上受圧部77と前記被操作部79とを有する第2検出ロッド42と、前記の上受圧部77の上側に形成された圧力室81と、その圧力室81を前記駆動室11へ連通させるように前記第2検出ロッド42に形成した貫通孔82と、その第2検出ロッド42の外周面に形成したスプール形の弁面85と、前記第2検出ロッド42が上昇したときに前記弁面85によって閉じられるように前記第2ケーシングC2に形成した弁孔84と、を備える。
上記構成によれば、上昇検出用の第2検出弁は、簡素な構成で確実に閉弁できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を
図1Aから
図5Bによって説明する。
この実施形態では、シリンダ装置をワーク固定用の旋回式クランプに適用した場合を例示してある。まず、
図1Aから
図2Bに基づいて上記の旋回式クランプの全体構造を説明する
【0016】
固定台としてのテーブルTにハウジング1が取付けられる。そのハウジング1は、一端壁としての上壁2と、他端壁としての下壁3と、上下方向へ延びる胴壁4と、その胴壁4の内側に形成されたシリンダ孔5とを備える。上壁2は、その外周部に取付け用のフランジ7を有し、平面視で長方形状に形成される。上記フランジ7の4隅部分にボルト孔8が上下方向に貫通される。各ボルト孔8に挿入した締結ボルト(図示せず)により、上記フランジ7の下面に形成した据付面7aがテーブルTの上面に固定される。
【0017】
シリンダ孔5にピストン10が昇降可能で保密状に挿入される。そのピストン10の上側と下側には、クランプ用の第1駆動室11とアンクランプ用の第2駆動室12とが配置される。
また、上壁2の周方向の4辺に対応する4つの壁部分のうちの平面視で左側の壁部分に、第1駆動室11へ連通される第1給排路21が形成されると共に、第2駆動室12へ連通される第2給排路22が形成される。
さらに、上壁2の上記の左側の壁部分において、フランジ7の前記据付面7aに、第1給排路21へ連通される第1給排ポートP1が開口されると共に、第2給排路22へ連通される第2給排ポートP2が開口される。上記の第1駆動室11及び第2駆動室12には、それぞれ、第1給排ポートP1及び第2給排ポートP2と、第1給排路21及び第2給排路22とを介して、圧油(駆動用の加圧流体)が供給および排出される。
【0018】
上壁2の中央部に設けた貫通孔14に出力ロッド15が上下方向へ移動可能で保密状に挿入される。この実施形態では、上記出力ロッド15はピストン10と一体に形成されている。その出力ロッド15の上部にクランプアーム16がナット17で固定される。上記出力ロッド15の外周側で前記の上壁2には、封止部材18とスクレーパ19とが装着されている。
また、上記ピストン10から下ロッド24が下方へ一体に突出され、その下ロッド24が前記の下壁3の支持孔25に移動可能に挿入される。下ロッド24の外周面に3つのガイド溝26が周方向へ所定の間隔をあけて形成される。各ガイド溝26は、周知の構造であって、上下に連ねて形成されたストレートな直進溝26a及び螺旋状の旋回溝26bを備える。支持孔25の周壁の上部には3つの横孔27が周方向へ所定の間隔をあけて形成され、各横孔27に挿入されたボール28がガイド溝26に嵌合している。上記の複数のボール28の外周にリング29が回転自在に外嵌めされる。
【0019】
前記の上壁2において、前記4つの壁部分のうちの平面視で右側の壁部分で出力ロッド15の外周側に、下降検出用の第1検出弁31と上昇検出用の第2検出弁32とが周方向へ所定の間隔をあけて設けられる。これら第1検出弁31及び第2検出弁32の各軸心は、下方へ向かうにつれてピストン10の軸心に近づくように傾斜されている。このため、出力ロッド15の外周側で上壁2に装着された前記の封止部材18や前記スクレーパ19に2つの検出弁31,32が干渉するのを防止することと、ハウジング1の半径方向の寸法を小さくすることとを両立できるので、シリンダ装置をコンパクトに造れる。なお、上記の傾斜角度は、5度から15度の範囲内に設定することが好ましい。
また、上記の右側の壁部分において、フランジ7の下面に形成した据付面7aには、検出用の加圧エアを供給するように、第1供給ポートA1と第2供給ポートA2とが開口される。第1供給ポートA1及び第2供給ポートA2は、それぞれ、第1供給路B1及び第2供給路B2を介して、前記第1検出弁31及び第2検出弁32の各入口31a,32aに連通される。
【0020】
以下、上記の第1検出弁31と第2検出弁32について詳しく説明する。
まず、下降検出用の第1検出弁31について、主として
図4A及び
図4Bに基づいて説明する。
図4Aは、前記
図1Aの部分拡大図である。
図4Bは、前記
図3Aの部分拡大図である。
【0021】
第1検出弁31は、前記ピストン10が
図4Bの下限位置から
図4Aの上限位置へ移動する途中で当該ピストン10によって開弁される(
図4Aは、第1検出弁31が既に全開された状態を示している)。また、その第1検出弁31は、ピストン10が
図4Aの上限位置から所定の第1ストロークS1だけ下降したときに閉弁される(
図4Bは、第1検出弁31が既に全閉された状態を示している)。より具体的にいえば、第1検出弁31は、
図4A及び
図4Bに示すように、次のように構成されている。
【0022】
前記の上壁2に段付きの第1装着孔M1が斜め下向きに貫通される。その第1装着孔M1は、下向きに順に連通されたメネジ孔34と大径孔35と中径孔36と小径孔37とを備え、その小径孔37が第1駆動室11に上側から対面される。
第1装着孔M1に取付けられる第1ケーシングC1は、大径孔35の下部に装着された弁筒38と、メネジ孔34に螺合された押筒39とを備える。その押筒39が弁筒38を大径孔35の底部に押し付けている。
【0023】
上記第1ケーシングC1に第1検出ロッド41が挿入される。その第1検出ロッド41は、中径孔36に下封止部材44を介して保密状に挿入された小径の下受圧部45と、押筒39の筒孔に上封止部材46を介して保密状に挿入された大径の上受圧部47と、これら下受圧部45と上受圧部47との間に設けた連結ロッド48とを備える。上受圧部47の受圧面積は、下受圧部45の受圧面積よりも大きい値に設定されている。
下受圧部45の下端部には、前記ピストン10に接当可能な被操作部49が設けられる。上受圧部47の上側に圧力室51が形成される。その圧力室51は、前記第1検出ロッド41の軸心に沿って形成した貫通孔52を介して、前記第1駆動室11へ連通される。
【0024】
前記の弁筒38の筒孔の上開口の周囲に環状の弁座54が形成されると共に、前記の上受圧部47の下部にポペット形の弁面55が形成される。
図4Bに示すように、前記第1検出ロッド41が下降したときに前記弁面55が弁座54に接当可能に構成される。また、弁筒38の筒孔と連結ロッド48の外周面との間に環状の入口路56が形成される。さらに、弁筒38の周壁に横孔57が貫通され、その横孔57の内端部によって前記第1検出弁31の入口31aが構成される。その入口31aは、前記の第1供給路B1を介して第1供給ポートA1へ連通される。なお、参照数字58はプラグ用のボールである。
【0025】
前記押筒39の下端面には、周方向へ所定の間隔をあけて複数の放射溝59が形成される。また、その押筒39の外周面の下部と前記の大径孔35の内周面との間に環状流路60が形成され、その環状流路60の途中高さ部によって前記第1検出弁31の出口31bが構成される。その出口31bが、排出路61に設けた逆止弁62を介して外気側へ連通される。その逆止弁62は、弁座62aと、その弁座62aにボール62bを付勢するバネ62cとを備える。
【0026】
上昇検出用の前記第2検出弁32は、前記ピストン10が
図5Bの下限位置から
図5Aの上限位置又はその近傍位置へ移動したときに当該ピストン10によって閉弁される(
図5Aは、第2検出弁32が既に全閉された状態を示している)。また、その第2検出弁32は、前記ピストン10が
図5Aの上限位置から所定の第2ストロークS2下降したときに開弁される(
図5Bは、第2検出弁32が既に全開された状態を示している)。その第2ストロークS2の長さは、前記第1ストロークS1の長さよりも小さい値に設定されている。
上記第2検出弁32は、
図5A及び
図5Bに示すように、前記の第1検出弁31とほぼ同様に次のように構成されている。
【0027】
前記の上壁2に段付きの第2装着孔M2が斜め下向きに貫通される。その第2装着孔M2は、下向きに順に連通されたメネジ孔64と大径孔65と中径孔66と小径孔67とを備え、その小径孔67が第1駆動室11に上側から対面される。
第2装着孔M2に取付けられる第2ケーシングC2は、大径孔65の下部に装着された弁筒68と、メネジ孔64に螺合された押筒69とを備える。その押筒69が弁筒68を大径孔65の底部に押し付けている。
【0028】
上記第2ケーシングC2に第2検出ロッド42が挿入される。その第2検出ロッド42は、中径孔66に下封止部材74を介して保密状に挿入された小径の下受圧部75と、押筒69の筒孔に上封止部材76を介して保密状に挿入された大径の上受圧部77と、これら下受圧部75と上受圧部77との間に設けた連結ロッド78とを備える。上受圧部77の受圧面積は、下受圧部75の受圧面積よりも大きい値に設定されている。
下受圧部75の下端部には、前記ピストン10に接当可能な被操作部79が設けられる。上受圧部77の上側に圧力室81が形成される。その圧力室81は、前記第2検出ロッド42の軸心に沿って形成した貫通孔82を介して、前記第1駆動室11へ連通される。
【0029】
前記の弁筒68の周壁に弁孔84が貫通されると共に、連結ロッド78の外周面にスプール形の弁面85と環状の出口溝86とが下から順に形成される。
図5Aに示すように、前記第2検出ロッド42が上昇したときに前記弁面85が弁孔84を閉じるように構成される。
前記の弁孔84の内端部によって第2検出弁32の入口32aが構成される。その入口32aは、前記の第2供給路B2を介して第2供給ポートA2へ連通される。なお、参照数字88はプラグ用のボールである。
【0030】
前記弁筒68の上端面に、周方向へ所定の間隔をあけて複数の放射溝87が形成される。また、前記押筒69の下端面に、周方向へ所定の間隔をあけて複数の放射溝89が形成される。その押筒69の外周面の下部と前記の大径孔65の内周面との間に環状流路90が形成され、その環状流路90の途中高さ部によって前記第2検出弁32の出口32bが構成される。その出口32bが、出口孔91と前記排出路61と前記逆止弁62(
図4Aを参照)を介して外気側へ連通される。
【0031】
上記構成の旋回式クランプは次のように動作する。
図1A及び
図1Bのアンクランプ状態では、上側の第1駆動室11の圧油が第1給排ポートP1から排出されると共に、第2給排ポートP2の圧油が下側の第2駆動室12へ供給される。これにより、ピストン10が上限位置へ上昇し、そのピストン10が出力ロッド15及びクランプアーム16を上昇させている。
【0032】
上記アンクランプ状態では、
図1Aに示す下降検出用の第1検出弁31が開弁されている。より詳しくいえば、
図4Aに示すように、ピストン10が被操作部49を介して第1検出ロッド41を押し上げ、上受圧部47の弁面55が弁座54から離れている。このため、第1供給ポートA1へ供給された加圧エアは、第1供給路B1と入口31aと環状の入口路56と放射溝59と出口31bとを通って排出路61へ流れ、その排出路61の加圧エアが逆止弁62のボール62bを押し開いて外気側へ排出される。
【0033】
また、上記アンクランプ状態では、
図1Bに示す上昇検出用の第2検出弁32が閉弁されている。より詳しくいえば、
図5Aに示すように、ピストン10が被操作部79を介して第2検出ロッド42を押し上げ、連結ロッド78の弁面85が弁孔84を閉じている。このため、第2供給ポートA2の圧力が設定値に上昇し、その圧力上昇をセンサで検出することにより、クランプがアンクランプ状態であることを確認できる。
【0034】
上記アンクランプ状態から
図3A及び
図3Bのクランプ状態へ切り換えるときには、
図1A及び
図1Bのアンクランプ状態において、下側の第2駆動室12の圧油を第2給排ポートP2から排出すると共に、第1給排ポートP1の圧油を上側の第1駆動室11へ供給して、ピストン10を下降させていく。すると、まず、前記の下ロッド24(及びピストン10と出力ロッド15とクランプアーム16)が前記旋回溝26bに沿って旋回しながら下降し、引き続いて、その下ロッド24が直進溝26aに沿って真っ直ぐに下降していく。これにより、
図3Aに示すように、クランプアーム16がワークピースを固定台の上面(いずれも図示せず)に押圧する。
【0035】
上記ピストン10の下降時には、下降検出用の第1検出弁31と上昇検出用の第2検出弁32とが次のように動作する。
【0036】
第1駆動室11へ供給された圧油がピストン10を
図5Aの上限位置から下降させていくと、その第1駆動室11の圧油が第2検出ロッド42の貫通孔82を通って圧力室81へ供給され、その圧力室81の圧油が第2検出ロッド42を
図5Aの上限位置から下降させていく。
引き続いて、
図5Bの二点鎖線図に示すように、ピストン10が第2ストロークS2だけ下降したときに、連結ロッド78の環状の出口溝86が弁孔84に対面して、第2検出弁32が全開される。このため、第2供給ポートA2へ供給された加圧エアは、第2供給路B2と弁孔84と出口溝86と2つの放射溝87,89と環状流路90と出口孔91とを通って前記排出路61(
図4Aを参照)へ流れる。その排出路61の加圧エアが逆止弁62のボール62bを押し開いて外気へ排出される(
図4Aを参照)。
その後、上記ピストン10は、
図5Bの実線図(及び
図3B)に示す下限位置へ下降していく。
【0037】
また、上記ピストン10の下降時には、第1駆動室11から圧力室51へ供給された圧油が第1検出ロッド41を
図4Aの上限位置から下降させていく。引き続いて、
図4Bの二点鎖線図に示すように、上記ピストン10が第1ストロークS1だけ下降したときに、上受圧部47の弁面55が弁座54に接当して、第1検出弁31が全閉される。このため、第1供給ポートA1の加圧エアの圧力が設定値に上昇し、その圧力上昇をセンサで検出することにより、クランプがクランプ状態であることを確認できる。
その後、上記ピストン10は、
図4Bの実線図(及び
図3A)に示す下限位置へ下降していく。
なお、上記クランプ状態では、
図5Bの第2検出ロッド42が第1駆動室11内へ突出する長さは、
図4Bの第1検出ロッド41が第1駆動室11内へ突出する長さよりも小さくなっている。
【0038】
上記クランプ状態から
図1A及び
図1Bのアンクランプ状態へ切り換えるときには、
図3A及び
図3Bのクランプ状態において、上側の第1駆動室11の圧油を排出させると共に下側の第2駆動室12へ圧油を供給して、ピストン10を上昇させていく。すると、まず、前記の下ロッド24(及びピストン10と出力ロッド15とクランプアーム16)が前記直進溝26aに沿って真っ直ぐに上昇し、引き続いて、その下ロッド24が旋回溝26bに沿って旋回しながら上昇していく。これにより、
図1Aに示すように、クランプアーム16が退避位置へ切り換えられる。
【0039】
上記ピストン10の上昇時には、下降検出用の第1検出弁31と上昇検出用の第2検出弁32とが次のように動作する。
【0040】
第2駆動室12へ供給された圧油がピストン10を
図4Bの下限位置から上昇させていくと、まず、そのピストン10が、
図4Bの二点鎖線図に示すように第1検出弁31の被操作部49に接当し、引き続いて、第1検出ロッド41を押し上げて、弁面55を弁座54から離間させる。このため、第1検出弁31が全開し、第1供給ポートA1の加圧エアが外気側へ排出されるので、その第1供給ポートA1の圧力が低下する。その後、
図4Aに示すように、上記ピストン10が、上限位置へ上昇し、第1検出ロッド41を上限位置へ押し上げる。
【0041】
また、上記ピストン10の上昇時には、そのピストン10が、
図5Bの二点鎖線図に示すように第2検出弁32の被操作部79に接当する。引き続いて、
図5Aに示すように、上記ピストン10が上限位置に上昇したときに、そのピストン10が第2検出ロッド42を上限位置へ押し上げ、その第2検出ロッド42の弁面85が弁孔84に対面する。このため、第2検出弁32が全閉される。このため、第2供給ポートA2の加圧エアの圧力が設定値に上昇し、その圧力上昇をセンサで検出することにより、クランプがクランプ状態であることを確認できる。
【0042】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
下降検出用の前記第1検出弁31は、前記ピストン10が下限位置から上限位置へ移動する途中で当該ピストン10によって開弁されると共に、そのピストン10が前記の上限位置から所定の第1ストロークS1下降したときに閉弁されるように構成すればよい。従って、その第1検出弁31は、ピストン10が上限位置からクランプストローク領域(前記の直進溝26aのストローク領域に相当する領域)に下降したときに全閉される場合や、当該ピストン10が上限位置から上記クランプストローク領域の近傍に下降したときに全閉される場合などが考えられる。
また、上昇検出用の前記第2検出弁32は、前記ピストン10が下限位置から上限位置又はその近傍位置へ移動したときに当該ピストン10によって閉弁されると共に、そのピストン10が前記の上限位置から所定の第2ストロークS2下降したときに開弁されるように構成すればよい。従って、その第2検出弁32は、上限位置で全閉されることに代えて、上限位置の近傍に上昇したときに全閉されるように構成してもよい。
【0043】
第1検出弁31及び第2検出弁32は、ピストン10の軸心に対して斜め向きに配置することに代えて、そのピストン10の軸心と平行に配置してもよい。
また、上記2つの検出弁31,32の設置箇所は、ハウジング1の上壁2の4辺に対応する4つの壁部分のうちの平面視で右側の壁部分に配置するとしたが、これに代えて、平面視で上側の壁部分や下側の壁部分に配置してもよい。その上壁2は、平面視で長方形状に形成することに代えて正方形状に形成してもよい。
上記の各検出弁31,32の弁構造は、ポペット形とスプール形とのいずれかの構造を任意に選択可能である。
出力ロッド15は、ピストン10に同行駆動可能に連結されておればよく、そのピストン10と一体に形成することに代えて、当該ピストン10とは別体に形成してもよい。
【0044】
シリンダ装置は、例示の複動式に代えて、単動バネ復帰式に構成してもよく、さらには、バネロック式で油圧リリース式に構成することも可能である。そのシリンダ装置に使用される駆動用の加圧流体は、例示した圧油に代えて圧縮空気等のガス体であってもよい。
また、本発明のシリンダ装置は、クランプの技術分野とは異なる技術分野に利用することも可能である。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。