(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、並走する他のレールにチェーンブロック基端を引掛ける一方、軌間を拡張すべきレールにチェーンブロック先端を引掛けて広げる方法では、チェーンブロック基端を引掛けた他のレールに負荷がかかるため、悪影響を及ぼすという問題が発生する。
【0005】
その一方、特許文献1に記載された軌道の敷設替え用軌道建設機械では、大型の重機であるため、機械自体のコストが非常にかかるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、並走する他のレールに悪影響を与えることなく、かつ、大型の重機も使用せずにレールの間隔を広げることができるレールストレッチャーおよびレール間拡張方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のレールストレッチャーは、レールの間隔を広げるレールストレッチャーであって、レールの高さ以上の高さを有し、マクラギに固定されて使用される足場台と、その足場台に着脱可能に固定され、2本のレールの内側からそれぞれ各レールを外側に移動させて軌間を拡張する軌間を拡張する軌間拡張機構部とを有することを特徴とする。
ここで、前記軌間拡張機構部は、油圧により伸縮するピストン先端にレールを掴むレールキャッチ部が設けられた2本の油圧シリンダと、前記足場台の上部に着脱可能に装着され、前記2本の油圧シリンダのレールキャッチ部をそれぞれ外側に向けて設置する2箇所の油圧シリンダ設置部が設けられた油圧シリンダ設置台とを有するようにすると良い。
また、前記油圧シリンダ設置台の2箇所の油圧シリンダ設置部には、それぞれ、2本の油圧シリンダそれぞれの設置位置を2段階でレールを押し広げることができるように1段目位置固定孔および2段目位置固定孔が設けられていると良い。
また、前記軌間拡張機構部には、2本の油圧シリンダそれぞれを前記1段目位置固定孔を利用して各油圧シリンダ設置部の1段目の設置位置に装着し、レールを1段目の間隔で押し広げた後、そのレール間隔を1段目の間隔で保持するための1段目間隔保持ブロックが設けられていると良い。
また、前記軌間拡張機構部には、2本の油圧シリンダそれぞれを前記2段目位置固定孔を利用して各油圧シリンダ設置部の2段目の設置位置に装着し、レールを2段目の間隔で押し広げた後、そのレール間隔を2段目の間隔で保持するための2段目間隔保持ブロックが設けられていると良い。
また、油圧シリンダ設置台の上部には、2本の油圧シリンダそれぞれによって押し広げた2本のレールの復元力によって2本の油圧シリンダが油圧シリンダ設置部から起き上がらないように、2本の油圧シリンダの起き上がりを防止する起立防止ピンが挿入される起立防止ピン挿入孔が設けられているとさらに良い。
また、足場台は、マクラギの両側まで延びる脚部と、脚部それぞれの先端に設けられマクラギに固定される足部とを有し、その足部は、レールの断面形状を有しており、その足部がレールと同様にマクラギに固定可能であると良い。
また、本発明に係るレールストレッチャーを使用したレール間拡張方法は、上述のいずれかのレールストレッチャーを使用したレール間拡張方法であって、間隔を広げるべきレール間に油圧シリンダ設置台に設置したレールストレッチャーを取り付けると共に、レール山越器から吊下げたチェーンブロックの先端部にレールを取り付ける第1工程と、レールストレッチャーを取り付けたレールを、山越器のチェーンブロックを使用してそのレールストレッチャーおよびそのレールストレッチャーが設置された油圧シリンダ設置台と共に吊り上げる第2工程と、レールと共に吊り上げたレールストレッチャーが設置された油圧シリンダ設置台の下に足場台を移動させ、その足場台の足部をマクラギに固定すると共に、その足場台に油圧シリンダ設置台を固定する第3工程と、足場台に油圧シリンダ設置台を固定した後、油圧シリンダ設置台に設置されたレールストレッチャーによって2本のレールの内側からそれぞれ各レールを外側に1段階だけ移動させて軌間を1段階拡張することによりレールの間隔を広げる第4工程と、各レールを外側に1段階だけ移動させて軌間を拡張した後、油圧シリンダ設置台に1段目間隔保持ブロックを挿入する第5工程と、油圧シリンダ設置台に1段目間隔保持ブロックを挿入後、油圧シリンダ設置台からレールストレッチャーを取外して、取外したレールストレッチャーを油圧シリンダ設置台の2段目の位置に設置する第6工程と、油圧シリンダ設置台の2段目の位置に設置されたレールストレッチャーにより各レールを外側に2段階目の移動を実行して軌間を2段階拡張することによりレールの間隔を広げる第7工程とを有することにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るレールストレッチャーおよびレール間拡張方法によれば、レールの高さ以上の高さを有し、マクラギに固定されて使用される足場台と、その足場台に着脱可能に固定され、2本のレールの内側からそれぞれ各レールを外側に移動させて軌間を拡張する軌間を拡張する軌間拡張機構部とを有するレールストレッチャーを拡張すべきレール間に挿入して内側からレールの間隔を広げるため、並走する他のレールに悪影響を与えることなく、かつ、大型の重機も使用せずにレールの間隔を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るレールストレッチャーの正面図である。
【
図2】本発明に係るレールストレッチャーの平面図である。
【
図3】本発明に係るレールストレッチャーを構成する足場台の正面図である。
【
図4】本発明に係るレールストレッチャーを構成する足場台の正面図である。
【
図5】本発明に係るレールストレッチャーを構成する油圧シリンダ設置台の正面図である。
【
図6】本発明に係るレールストレッチャーを構成する油圧シリンダ設置台の平面図である。
【
図7】本発明に係るレールストレッチャーを構成する油圧シリンダの正面図である。
【
図8】本発明に係るレールストレッチャーを構成する油圧シリンダの平面図である。
【
図9】(a),(b)それぞれ本発明に係るレールストレッチャーを構成する1段目間隔保持ブロックの平面図、正面図である。
【
図10】(a),(b)それぞれ本発明に係るレールストレッチャーを構成する2段目間隔保持ブロックの平面図、正面図である。
【
図11】本発明に係るレール間拡張方法の第1工程の作業を示す正面図である。
【
図12】第2工程時の油圧シリンダの位置を示す平面図である。
【
図13】本発明に係るレール間拡張方法の第2工程の作業を示す正面図である。
【
図14】本発明に係るレール間拡張方法の第3工程の作業を示す正面図である。
【
図15】本発明に係るレール間拡張方法の第4工程の作業を示す正面図である。
【
図16】本発明に係るレール間拡張方法の第5工程の作業を示す正面図である。
【
図17】第5工程によりレール間を拡張した状態を示す平面図である。
【
図18】本発明に係るレール間拡張方法の第6工程の作業を示す正面図である。
【
図19】本発明に係るレール間拡張方法の第7工程の作業を示す正面図である。
【
図20】本発明に係るレール間拡張方法の第7工程の作業を示す正面図である。
【
図21】第7工程によりレール間を2100mm以上拡張した状態を示す平面図である。
【
図22】第7工程によりレール間を2100mm以上拡張したときの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態のレールストレッチャー1について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
本実施形態に係るレールストレッチャー1は、
図1〜
図3に示すように、レールの間隔を広げるもので、足場台11と、軌間拡張機構部を構成する油圧シリンダ設置台12、2本の油圧シリンダ13,13、および後述の
図9に示す1段目間隔保持ブロック14および2段目間隔保持ブロック15と、これらを連結するため後述するように起立防止ピン16や台同士固定ピン17、シリンダ固定ピン18等の各種ピンを備えている。なお、
図1および
図2に示すレールストレッチャー1では、2本の油圧シリンダ13,13それぞれを油圧シリンダ設置部12R,12Lの後述する2段目位置固定孔12R2,12L2を使用して2段目に固定した状態を示している。
【0012】
<足場台の構成>
足場台11は、
図3および
図4に示すように、レールの高さ以上の高さを有し、マクラギMに固定して使用されるもので、マクラギMの両側まで延びる脚部11a,11aと、その脚部11a,11aを連結する胴部11bと、脚部11a,11aそれぞれの先端に設けられマクラギMに固定される足部11c,11cと、足場台11を移動する際、作業者が掴む把持部11d等を有する。
【0013】
胴部11bには、
図3に示すように油圧シリンダ設置台12を確実に所定位置に位置決めして固定できるように凹部11b1と貫通孔11b2とが設けられている。
【0014】
足部11c,11cは、レールを切断して使用しているため、レールの断面形状を有しており、その足部11c,11cがレールRと同様にマクラギMに固定可能にしている。そのため、足場台11はレールRと同様にマクラギMに固定することが可能になり、足場台11のマクラギMへの固定に何ら新しい部材が必要ではなく、作業が容易である。ただし、足部11c,11cとしてレールRの端切れを使用することは任意であり、マクラギMにボルト等により固定しても良い。
【0015】
<油圧シリンダ設置台の構成>
油圧シリンダ設置台12は、
図1や
図2等に示すように足場台11に着脱可能に固定され、2本のレールRの内側からそれぞれ各レールRを外側に移動させて軌間を拡張する2本の油圧シリンダ13,13がそれぞれ後述する2段式で設置される油圧シリンダ設置部12R,12Lを有する。
【0016】
油圧シリンダ設置部12R,12Lは、
図6に示すように油圧シリンダ設置台12の底板121と、その底板121に所定間隔を開けて立設された上側板122,123,124によって形成されている。つまり、油圧シリンダ設置部12Rは、底板121と上側板122,123によって形成されている。また、油圧シリンダ設置部12Lは、底板121と上側板123,124によって形成されている。なお、底板121の底面には、上側板122,124の幅で、下側板125,126が設けられている。
【0017】
また、油圧シリンダ設置部12R,12Lを形成する上側板122,123,124には、
図5および
図6に示すように、それぞれ油圧シリンダ13,13を2段階で設置して、2段階でレールRを押し広げることができるよう、各油圧シリンダ13,13それぞれの基端部13d,13d(
図8参照。)を2段階の位置で固定するための1段目位置固定孔12R1,12L1および2段目位置固定孔12R2,12L2が設けられている。その際、シリンダ固定ピン18を使用する。
【0018】
これは、1067mmのレール間隔(軌間)をそのレールRの内側から2100〜2200mm以上広げるためには、1段階(一度)に1067mmから2100〜2200mm以上広げることはピストンを伸長させる通常の油圧シリンダ13では不可能だからである。そのため、本発明では、後述するように2本の油圧シリンダ13,13それぞれを油圧シリンダ設置部12R,12Lの1段目位置固定孔12R1,12L1および2段目位置固定孔12R2,12L2を使用して2段階で設置して、レールR間を2段階で広げることにした。勿論、3段階以上で広げるようにして良いが、その場合にはその分だけ手間がかかることになる。なお、各油圧シリンダ13,13それぞれの基端部13d,13dには、後述する
図7や
図8でも説明するようにシリンダ固定孔13d1,13d1が設けられている。
【0019】
さらに、油圧シリンダ設置部12R,12Lを形成する上側板122,123,124には、
図5および
図6に示すように、油圧シリンダ設置部12R,12Lそれぞれに設置した油圧シリンダ13,13が広げたレールRの復元力によって起き上がらないように起立防止ピン16,16(
図1等参照。)を挿入するための起立防止ピン挿入孔16a,16aが設けられている。
【0020】
また、油圧シリンダ設置部12R,12Lの後端部には、それぞれ
図6に示すように、それぞれ、1段目間隔保持ブロック14または2段目間隔保持ブロック15それぞれの一端部14a,15aが固定されるブロック固定孔127a,128aを設けたブロック固定フランジ部127,128が設けられている。
【0021】
なお、この油圧シリンダ設置台12の下側板125,126には、
図5および
図6に示すように、それぞれ、足場台11の胴部11bの凹部11b1,11b1に上方から嵌って位置決めを行う凸部125a,126aと、足場台11の胴部11bの貫通孔11b2,11b2と位置が合致して後述する台同士固定ピン17が挿入される台同士固定ピン挿入孔125b,126bが設けられている。
【0022】
<油圧シリンダの構成>
2本の油圧シリンダ13は、それぞれ、
図7および
図8に示すように油圧によってピストン13bを伸縮させるシリンダ13aと、そのピストン13b先端部に取り付けられてレールRを掴むレールキャッチ部13cと、レールキャッチ部13cと反対側となるシリンダ13aの基端部13dには、後述する
図7や
図8でも説明するようにシリンダ固定孔13d1が設けられている。
【0023】
レールキャッチ部13cは、それぞれ、ピストン13b先端部に取り付けられてレールRを掴むもので、
図7および
図8に示すように作業者が掴む把持部13c1,13c1と、レールRの頭頂面が当接するローラー13c2,13c2と、レールRの首部(あご部)に当接するほぼコ字状のキャッチ本体部13c3と、キャッチ本体部13c3のレール当接部とは反対側端部に螺合して設けられ進退動する固定ネジ13c4とを備える。
【0024】
また、レールキャッチ部13cのキャッチ本体部13c3の反対側には、1段目間隔保持ブロック14または2段目間隔保持ブロック15それぞれの他端部14b,15bが固定されるブロック固定孔13c51を設けたブロック固定フランジ部13c5が設けられている。
【0025】
<1段目間隔保持ブロック14および2段目間隔保持ブロック15の構成>
図9(a),(b)はそれぞれ1段目間隔保持ブロック14の平面図、正面図である。また、
図10(a),(b)はそれぞれ2段目間隔保持ブロック15の平面図、正面図である。
【0026】
1段目間隔保持ブロック14は、
図9(a),(b)に示すように油圧シリンダ設置台12において2本の油圧シリンダ13それぞれの油圧シリンダ設置部12aR,12aLにおける設置位置を1段目の設置位置に装着して、レールRを1段目の間隔で押し広げた後、各油圧シリンダ13を2段目の設置位置に移動するために各レールRを1段目の間隔で保持するもので、その一端部14aにはブロック固定孔14a1が設けられている一方、他端部14bにはブロック固定孔14b1が設けられている。なお、1段目間隔保持ブロック14の上側面には、作業者がこの1段目間隔保持ブロック14を掴むための把持部14cが取り付けられている。
【0027】
また、2段目間隔保持ブロック15は、
図10(a),(b)に示すように、2本の油圧シリンダ13,13それぞれの油圧シリンダ設置部12R,12Lにおける設置位置を2段目の設置位置に装着して、レールRを2段目の間隔で押し広げた後、そのレール間隔Rを2段目の間隔で保持する2段目間隔保持ブロック15が設けられるもので、その一端部15aにはブロック固定孔15a1が設けられている一方、他端部15bにはブロック固定孔15b1が設けられている。なお、2段目間隔保持ブロック15の上側面には、作業者がこの2段目間隔保持ブロック15を掴むための把持部15cが取り付けられている。
【0028】
<レールストレッチャーを使用したレール間拡張方法>
次に、上述のように構成されたレールストレッチャー1を使用した本発明に係るレール間拡張方法の作業について、図面を参照して説明する。なお、
図14以降では、適宜、レール山越器2,2やチェーンブロック3,3等の図示を省略して説明する。
【0029】
(第1工程)
まず、第1工程では、
図11に示すように間隔を広げるべきレールR間に油圧シリンダ設置台12に設置した油圧シリンダ13,13それぞれを取り付けると共に、2台のレール山越器2,2それぞれから吊下げたチェーンブロック3,3の先端部のレールチャック部31,31にレールR,Rを取り付ける。
【0030】
その際、
図12に示すように油圧シリンダ13,13を、それぞれ油圧シリンダ設置台12の油圧シリンダ設置部12R,12Lにおける1段目の位置に設置する。具体的には、油圧シリンダ13,13のレールキャッチ部13cをそれぞれレールR,Rの方向に向けて対応する油圧シリンダ設置部12R,12Lに設置すると共に、各油圧シリンダ13,13それぞれの基端部13d,13dのシリンダ固定孔13d1,13d1と、各油圧シリンダ設置部12R,12Lの1段目位置固定孔12R1,12L1との位置合わせを行ってシリンダ固定ピン18,18を通して、各油圧シリンダ13,13を油圧シリンダ設置部12R,12Lの1段目の位置に設置する。
【0031】
また、油圧シリンダ設置台12の上部に設けた起立防止ピン挿入孔16a,16aにそれぞれ起立防止ピン16を挿入する。これより、内側から押し広げた2本のレールR,Rの復元力によって2本の油圧シリンダ13,13が油圧シリンダ設置部12から起き上がろうとしても、起立防止ピン挿入孔16a,16aそれぞれに挿入された起立防止ピン16によって2本の油圧シリンダ13,13の起き上がりを防止できる。
【0032】
(第2工程)
第2工程では、
図13に示すように2台のレール山越器2,2それぞれから吊下げたチェーンブロック3,3を使用してレールR,Rを吊上げる。その際、レールR,Rには圧シリンダ設置台12に設置した油圧シリンダ13,13が固定されているので、レールR,R共に油圧シリンダ13,13が設置された油圧シリンダ設置台12も吊り上げられる。
【0033】
(第3工程)
第3工程では、
図13に示すようにレールR,Rと共に吊り上げられた油圧シリンダ13,13が設置された油圧シリンダ設置台12の下に足場台11を移動させ、その足場台11の足場11c,11cをマクラギMに固定すると共に、
図14に示すようにその足場台11に油圧シリンダ設置台12を固定する。
【0034】
(第4工程)
第3工程によって足場台11に油圧シリンダ設置台12を固定した後、第4工程では、油圧シリンダ設置台12の油圧シリンダ設置部12R,12Lの1段目の位置に設置された油圧シリンダ13,13それぞれを動作させて、
図15に示すように油圧シリンダ13,13それぞれのシリンダからピストン13bR,13bLを両側に向けて伸長させる。
【0035】
これにより、
図15に示すように2本のレールRの内側からそれぞれ各レールR,Rを外側に1段階だけ移動させて軌間を1段階拡張することによりレールRの間隔を広げることができる。なお、この第4工程によって油圧シリンダ13,13それぞれのピストンを最大限伸長させても、油圧シリンダ13,13は、それぞれ油圧シリンダ設置台12の油圧シリンダ設置部12R,12Lにおける1段目の位置に設置されているため、レールR間の間隔である軌間は、拡張を予定している2100mm以上には達しない。
【0036】
(第5工程)
第4工程によって油圧シリンダ設置部12R,12Lの1段目の位置に設置した油圧シリンダ13,13によりレールR間の間隔である軌間を拡張した後、次の第5工程では、油圧シリンダ13,13それぞれをそれぞれ油圧シリンダ設置部12R,12Lの2段目の位置に移動して装着し直すため、
図16に示すように油圧シリンダ設置台12に1段目間隔保持ブロック14,14(
図9(a),(b)参照。)を挿入して固定する。
【0037】
具体的には、
図9(a),(b)に示すように1段目間隔保持ブロック14,14それぞれの一端部14a,14aのブロック固定孔14a1,14a1は、
図6に示すように油圧シリンダ設置台12の油圧シリンダ設置部12aR,12aLの左右両側に設けたブロック固定フランジ部127,128のブロック固定孔127a,128aと合わせてブロック固定ピン19により連結する。また、1段目間隔保持ブロック14,14の他端部14b,14bのブロック固定孔14b1,14b1は、
図7および
図8に示すようにレールキャッチ部13c,13cのキャッチ本体部13c3,13c3の反対側のブロック固定フランジ部13c5,13c5のブロック固定孔13c51,13c51と合わせてブロック固定ピン20により連結する。
【0038】
なお、
図17は、第4工程により2本のレールR,R間を第1段階まで拡張し、かつ、1段目間隔保持ブロック14,14(
図9(a),(b)参照。)を挿入した状態を上から見た平面図である。
【0039】
(第6工程)
第5工程によって油圧シリンダ設置台12の左右にそれぞれ1段目間隔保持ブロック14,14を挿入後、この第6工程では、油圧シリンダ設置台12から油圧シリンダ13,13それぞれを取外して、油圧シリンダ13,13それぞれのピストンをシリンダ内に縮ませた後、
図18に示すように取外した油圧シリンダ13,13それぞれを油圧シリンダ設置台12の2段目の位置に設置する。
【0040】
具体的には、
図2や
図5、
図6等に示すように各油圧シリンダ13,13のレールキャッチ部13cをそれぞれレールR,Rの方向に向けて対応する油圧シリンダ設置部12R,12Lに設置すると共に、各油圧シリンダ13,13の基端部13d,13dのシリンダ固定孔13d1,13d1と、各油圧シリンダ設置部12R,12Lの2段目位置固定孔12R2,12L2との位置合わせを行ってシリンダ固定ピン18,18を通し、各油圧シリンダ13,13を油圧シリンダ設置部12R,12Lの2段目の位置に設置する。
【0041】
(第7工程)
第6工程によって油圧シリンダ設置台12の2段階の位置に設置した後、次の第7工程により油圧シリンダ13,13それぞれを動作させて、
図19に示すように油圧シリンダ13,13それぞれのシリンダからピストン13bR,13bLを伸長させる。
【0042】
この第7工程によって、油圧シリンダ設置台12の2段階の位置に設置された油圧シリンダ13,13それぞれによりピストンを最大限伸長させると、油圧シリンダ13,13は、それぞれ油圧シリンダ設置台12の油圧シリンダ設置部12R,12Lにおける2段目の位置に設置されているため、レールR間の間隔である軌間は、拡張を予定している2100mm以上には達することになる。
【0043】
その後は、
図20や、
図21、
図22に示すように油圧シリンダ設置台12に2段目間隔保持ブロック15,15(
図10(a),(b)参照。)を挿入する。
【0044】
具体的には、
図10(a),(b)に示すように2段目間隔保持ブロック15,15それぞれの一端部15a,15aのブロック固定孔15a1,15a1は、
図6に示すように油圧シリンダ設置台12の油圧シリンダ設置部12aR,12aLの左右両側に設けたブロック固定フランジ部127,128のブロック固定孔127a,128aと合わせてブロック固定ピン19により連結する。また、1段目間隔保持ブロック15,15の他端部15b,15bのブロック固定孔15b1,15b1は、
図7および
図8に示すようにレールキャッチ部13c,13cのキャッチ本体部13c3,13c3の反対側のブロック固定フランジ部13c5,13c5のブロック固定孔13c51,13c51と合わせてブロック固定ピン20により連結する。
【0045】
その結果、1067mmのレール間隔(軌間)を、
図21および
図22に示すように上述の第1工程〜第7工程を経ることにより、レールRの内側から2100〜2200mm以上に広げることができる。
【0046】
従って、上述のレールストレッチャー1によれば、レールRの高さ以上の高さを有し、マクラギMに固定されて使用される足場台11と、足場台11に着脱可能に固定され、2本のレールR,Rの内側からそれぞれ各レールR,Rを外側に移動させて軌間を拡張する軌間を拡張する軌間拡張機構部である油圧シリンダ設置台12および油圧シリンダ13を有するため、並走する他のレールに悪影響を与えることなく、かつ、大型の重機を使用せずにレールRの間隔である軌間を広げることができる。
【0047】
また、レールストレッチャー1は、足場台11と軌間拡張機構部とに分割できる共に、軌間拡張機構部は油圧シリンダ設置台12と油圧シリンダ13とに分割できるため、レールストレッチャー1を分割して保存や運搬を行うことが可能となり、保存スペースが少なくて済むと共に、運搬も楽になり、非常に便利である。
【0048】
特に、このレールストレッチャー1では、油圧シリンダ設置台12の2箇所の油圧シリンダ設置部12R,12Lには、それぞれ、2本の油圧シリンダ13,13それぞれの設置位置を2段階でレールR、Rを押し広げることができるように1段目位置固定孔12R1,12L1および2段目位置固定孔12R2,12L2を設けたため、これら1段目位置固定孔12R1,12L1および2段目位置固定孔12R2,12L2を使用して2段階でレールR,Rの間隔を広げることにより、レールR,R間にセットした2本の油圧シリンダ13,13でも1067mmのレール間隔(軌間)をそのレールRの内側から2100〜2200mm以上広げることができる。
【0049】
また、このレールストレッチャー1では、2本の油圧シリンダ13,13それぞれを1段目位置固定孔12R1,12L1および2段目位置固定孔12R2,12L2を使用してレールR,Rを1段目および2段目の間隔で押し広げた後、そのレール間隔を保持する1段目間隔保持ブロック15および2段目間隔保持ブロック16を設けたため、レール間隔の拡張作業に油圧シリンダ13,13を使用しても安全に作業を行うことができる。
【0050】
また、このレールストレッチャー1では、油圧シリンダ設置台12の上部に、内側から押し広げた2本のレールR,Rの復元力によって2本の油圧シリンダ13,13が油圧シリンダ設置部12から起き上がらないように、2本の油圧シリンダ13,13の起き上がりを防止する起立防止ピン16が挿入される起立防止ピン挿入孔16a,16aを設けたため、それぞれ起立防止ピン16を挿入することにより、レール間隔の拡張作業に油圧シリンダ13,13を使用しても安全に作業を行うことができる。
【0051】
また、このレールストレッチャー1では、足場台11の足部11c,11cはレールRの断面形状にしたため、ボルト等を使用しなくてもレールRと同様に簡単にマクラギMに固定できる。
【0052】
また、本実施形態のレール間拡張方法によれば、足場台11と、足場台11に着脱可能に固定して2本のレールR,Rの内側からそれぞれ各レールR,Rを外側に移動させて軌間を拡張する軌間を拡張する油圧シリンダ設置台12および油圧シリンダ13を有するレールストレッチャー1を使用して上述の第1工程〜第7工程を経ることにより並走する他のレールに悪影響を与えることなく、かつ、大型の重機を使用せずにレールRの間隔を1067mmのレール間隔(軌間)を2100〜2200mm以上に広げることができる。
【0053】
その結果、ロングレールと言われる全長の長いレールでもそのレールを切断せずに、並走する他のレールにも悪影響を与えることなく、かつ、大型の重機を使用せずに、レール間にレールストレッチャー1を設置して、例えば1067mmのレール間隔(軌間)を2100〜2200mm以上に広げて、連接軌道等の踏切を交換することが可能になる。
【0054】
なお、上述のレールストレッチャー1では、軌間拡張機構部として2本の油圧シリンダ13,13を使用して説明したが、本発明では、これに限らず、左右両側の端部からそれぞれピストンが伸長するような油圧シリンダがあればその油圧シリンダ1本で済むし、あるいは油圧式でなく機械式の軌間拡張機構部でも勿論良い。