特許第6076788号(P6076788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6076788被検査基板の基板固定装置およびその基板固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076788
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】被検査基板の基板固定装置およびその基板固定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   G01R31/28 J
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-61272(P2013-61272)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-185950(P2014-185950A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100166752
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 典子
(72)【発明者】
【氏名】田澤 純也
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−032405(JP,A)
【文献】 特開2002−257900(JP,A)
【文献】 特開2000−338164(JP,A)
【文献】 特開2004−101463(JP,A)
【文献】 特開平05−109871(JP,A)
【文献】 特開2010−203933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/26
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査基板の底面側の検査領域を露出させる開口部を備える基台と、上記開口部を挟んで上記基台上に配置される一対の基板保持部とを含み、上記一対の基板保持部により上記被検査基板の対向する側縁部を狭持して、上記被検査基板を上記開口部の位置に固定するようにした被検査基板の基板固定装置において、
上記基板保持部の各々は、上記基台上に上記開口部側に向けて進退可能に配設され、所定の付勢手段により常時開口部側に向けて付勢される支持プレート部と、上記被検査基板の対向する側縁部の端面と面接触可能な狭持面を有するとともに、上記支持プレート部上で所定の駆動手段により上記開口部側に向けて進退するように駆動される基板チャック部とを有し、
上記基板チャック部は、上記駆動手段により、上記狭持面が上記支持プレート部の先端部よりも後退した非チャック位置と、上記狭持面が上記非チャック位置から上記支持プレート部の先端部にまで前進するチャック位置とに駆動され、
上記基板チャック部が上記チャック位置に前進して、上記狭持面が上記被検査基板に当接した際に生ずる反力にて上記支持プレート部が上記付勢手段に抗して反開口部側に後退することを特徴とする被検査基板の基板固定装置。
【請求項2】
上記駆動手段より上記基板チャック部にかけられる上記チャック位置に向けての推力をFc,上記付勢手段により上記支持プレート部にかけられる上記開口部に向けての推力をFsして、Fc>Fsであることを特徴とする請求項1に記載の被検査基板の基板固定装置。
【請求項3】
上記付勢手段が圧縮ばねであることを特徴とする請求項1または2に記載の被検査基板の基板固定装置。
【請求項4】
上記駆動手段がエアシリンダもしくは油圧シリンダであることを特徴とする請求項1または2に記載の被検査基板の基板固定装置。
【請求項5】
上記基台と上記支持プレート部との間および上記支持プレート部と上記基板チャック部との間には、それぞれ直線運動ガイド手段が設けられていることを特徴とする請求項1,2,3または4のいずれか1項に記載の被検査基板の基板固定装置。
【請求項6】
被検査基板の底面側の検査領域を露出させる開口部を備える基台と、上記開口部を挟んで上記基台上に配置される一対の基板保持部とを含み、上記一対の基板保持部により上記被検査基板の対向する側縁部を狭持して、上記被検査基板を上記開口部の位置に固定するようにした被検査基板の基板固定方法において、
上記基板保持部の各々は、上記基台上に上記開口部側に向かって進退可能に配設され、所定の付勢手段により常時上記開口部側に向けて付勢され支持プレート部と、上記被検査基板の対向する側縁部の端面と面接触可能な狭持面を有するとともに、上記支持プレート部上で所定の駆動手段により上記開口部側に向けて進退するように駆動される基板チャック部とを有し、
上記基板チャック部は、上記駆動手段により、上記狭持面が上記支持プレート部の先端部よりも後退した非チャック位置と、上記狭持面が上記非チャック位置から上記支持プレート部の先端部にまで前進するチャック位置とに駆動され、上記駆動手段により上記基板チャック部にかけられる上記チャック位置に向けての推力をFc,上記付勢手段により上記支持プレート部にかけられる上記開口部側に向けての推力をFsとしてFc>Fsであり、
上記基板チャック部を上記非チャック位置として、上記被検査基板の対向する側縁部を上記支持プレート部の先端部側に跨がるように載置したのち、上記基板チャック部を上記チャック位置にまで前進させて上記基板チャック部の上記狭持面間で上記被検査基板を狭持して固定し、これに伴って上記支持プレート部が上記付勢手段の推力に抗して反開口部側に後退し、上記被検査基板の底面全体が上記開口部内に露出するようにしたことを特徴とする被検査基板の基板固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサーキットテスタなどの基板検査装置において、被検査基板を所定位置に固定する基板固定装置およびその基板固定方法に関し、さらに詳しく言えば、被検査基板の底面側の検査領域の全面を露出させた状態で固定することができる被検査基板の基板固定装置およびその基板固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インサーキットテスタやベアボードテスタ等の回路基板検査装置では、被検査基板の検査ポイントにプローブを接触させて、例えばショート/オープン検査やインピーダンス測定等を行うが、プローブを検査ポイントに正確に接触させるうえで、被検査基板を決められた位置に固定する必要がある。
【0003】
多くの場合、被検査基板の固定には、バキュウムによる真空吸着方式やシリンダ駆動による押圧固定ピン方式等のフィクスチャが用いられているが、これらの方式はいずれも装置が大掛かりで高価でもある。
【0004】
そこで、構成をより簡素化した安価な基板固定装置の一つとして、特許文献1には、図3に示すような基板固定装置が提案されており、この基板固定装置1は、基台(図示省略)と、基台上に配設され、被検査基板Pを狭持して固定する一対の基板保持部2,2を備えている。
【0005】
基板保持部2,2は、それぞれチャック部材としての支持爪3,3と狭持爪4,4とを有し、支持爪3,3には被検査基板Pの側縁部が載置される載置面3a,3aが設けられており、また、狭持爪4,4には、被検査基板Pの側面と当接する当接壁4a,4aが設けられている。
【0006】
この例においては、基板保持部2,2は、被検査基板Pの隣接2辺Pa,Pbおよびその対向する隣接2辺Pc,Pdを狭持するようにしているため、基板保持部2,2の対向する側辺には、被検査基板Pの隣接2辺Pa,Pb:Pc,Pdの形状と同様にほぼ直角V字形状に切り欠かれた開口5,5が形成されている。
【0007】
そのため、図3(a)に示すように、支持爪3,3の載置面3a,3aは、開口5,5に沿って平面視ほぼ直角V字状に形成されているとともに、狭持爪4,4の当接壁4a,4aは、載置面3a,3aに沿って平面視ほぼ直角V字状に形成されている。
【0008】
そして、開口5,5により形成されたほぼ矩形状の開口部Sが被検査基板Pの底面側検査領域とされ、これにより、プローブを被検査基板Pの上面の検査ポイントのみならず底面の検査ポイントにも接触可能としている。
【0009】
なお、この例で、一方の狭持爪4は、ボールねじ直動機構からなる駆動手段6により一方の支持爪3上を摺動可能とされており、これにより、他方の狭持爪4側への進退を可能としている。
【0010】
被検査基板Pを固定するにあたっては、まず、図4(a)に示すように、被検査基板Pの隣接2辺Pa,Pb:Pc,Pdを支持爪3,3の載置面3a,3a上に掛け渡すことができるように、基板保持部2,2を所定の間隔に調整したのち、図4(b)に示すように、被検査基板Pの隣接2辺Pa,Pb:Pc,Pdを載置面3a,3a上に載置する。
【0011】
次に、図4(c)に示すように、駆動手段6により一方の可動爪4を被検査基板P側に移動させ、被検査基板Pの隣接2辺Pa,Pb:Pc,Pdを可動爪4,4で狭持する。
【0012】
これにより、駆動手段6を介して、一方の狭持爪4により被検査基板Pに加えられる押圧力が、他方の狭持爪4により受け止められ、被検査基板Pの隣接2辺Pa,Pb:Pc,Pdが一方の支持爪3,狭持爪4と、他方の支持爪3,狭持爪4との間に狭持され固定される。
【0013】
上記従来の基板固定装置1によれば、被検査基板Pを一対の基板保持部2,2の支持爪3,3の間に掛け渡して載置し、一方の狭持爪4を他方の狭持爪4側に移動させる、という簡単な構成により、基板保持部2,2間において被検査基板Pを容易に狭持して固定することができる。
【0014】
また、被検査基板Pは、その底面側を支持爪3,3により下支えされて固定されるため安定性に富むとともに、被検査基板Pの高さ調整が必要な場合でも、支持爪3,3の高さを調整することで対応させることができる。
【0015】
さらに、ボールねじ直動機構等の駆動手段6により可動爪4を被検査基板Pの一方の隣接2辺Pc,Pdと当接する位置にまで移動させることで、種々サイズの被検査基板Pに対応させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−032405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の基板固定装置1によると、被検査基板Pの対向する隣接2辺Pa,Pb:Pc,Pdのうちの底面側が支持爪3,3の載置面3a,3aによって隠されるため、その部分に検査領域がある場合には、プローブによる検査ができない、という問題があった。
【0018】
そこで、本発明の課題は、被検査基板のサイズの違いにかかわらず、被検査基板の底面全面を露出させた状態で被検査基板を位置決めして固定することができるようにした被検査基板の基板固定装置およびその基板固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、被検査基板の底面側の検査領域を露出させる開口部を備える基台と、上記開口部を挟んで上記基台上に配置される一対の基板保持部とを含み、上記一対の基板保持部により上記被検査基板の対向する側縁部を狭持して、上記被検査基板を上記開口部の位置に固定するようにした被検査基板の基板固定装置において、上記基板保持部の各々は、上記基台上に上記開口部側に向けて進退可能に配設され、所定の付勢手段により常時開口部側に向けて付勢される支持プレート部と、上記被検査基板の対向する側縁部の端面と面接触可能な狭持面を有するとともに、上記支持プレート部上で所定の駆動手段により上記開口部側に向けて進退するように駆動される基板チャック部とを有し、上記基板チャック部は、上記駆動手段により、上記狭持面が上記支持プレート部の先端部よりも後退した非チャック位置と、上記狭持面が上記非チャック位置から上記支持プレート部の先端部にまで前進するチャック位置とに駆動され、上記基板チャック部が上記チャック位置に前進して、上記狭持面が上記被検査基板に当接した際に生ずる反力にて上記支持プレート部が上記付勢手段に抗して反開口部側に後退することを特徴としている。
【0020】
請求項2に係る発明は、上記請求項1において、上記駆動手段より上記基板チャック部にかけられる上記チャック位置に向けての推力をFc,上記付勢手段により上記支持プレート部にかけられる上記開口部に向けての推力をFsして、Fc>Fsであることを特徴としている。
【0021】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2において、上記付勢手段が圧縮ばねであることを特徴としている。
【0022】
請求項4に係る発明は、上記請求項1または2において、上記駆動手段がエアシリンダもしくは油圧シリンダであることを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1,2,3または4のいずれか1項において、上記基台と上記支持プレート部との間および上記支持プレート部と上記基板チャック部との間には、それぞれ直線運動ガイド手段が設けられていることを特徴としている。
【0024】
請求項6に記載の発明は、被検査基板の底面側の検査領域を露出させる開口部を備える基台と、上記開口部を挟んで上記基台上に配置される一対の基板保持部とを含み、上記一対の基板保持部により上記被検査基板の対向する側縁部を狭持して、上記被検査基板を上記開口部の位置に固定するようにした被検査基板の基板固定方法において、上記基板保持部の各々は、上記基台上に上記開口部側に向かって進退可能に配設され、所定の付勢手段により常時上記開口部側に向けて付勢され支持プレート部と、上記被検査基板の対向する側縁部の端面と面接触可能な狭持面を有するとともに、上記支持プレート部上で所定の駆動手段により上記開口部側に向けて進退するように駆動される基板チャック部とを有し、上記基板チャック部は、上記駆動手段により、上記狭持面が上記支持プレート部の先端部よりも後退した非チャック位置と、上記狭持面が上記非チャック位置から上記支持プレート部の先端部にまで前進するチャック位置とに駆動され、上記駆動手段により上記基板チャック部にかけられる上記チャック位置に向けての推力をFc,上記付勢手段により上記支持プレート部にかけられる上記開口部側に向けての推力をFsとしてFc>Fsであり、上記基板チャック部を上記非チャック位置として、上記被検査基板の対向する側縁部を上記支持プレート部の先端部側に跨がるように載置したのち、上記基板チャック部を上記チャック位置にまで前進させて上記基板チャック部の上記狭持面間で上記被検査基板を狭持して固定し、これに伴って上記支持プレート部が上記付勢手段の推力に抗して反開口部側に後退し、上記被検査基板の底面全体が上記開口部内に露出するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被検査基板の底面側の被検査領域を露出させる開口部を有する基台の上面に、第1スライド体として、基台の開口部側に向けて進退可能で、所定の付勢手段により常時開口部側に向けて付勢される支持プレート部を配設し、さらに、支持プレート部の上に、第2スライド体として、被検査基板の対向する側縁部の端面と面接触可能な狭持面を有し、所定の駆動手段により開口部側に向けて進退するように駆動される基板チャック部を配設して基板保持部を構成し、
駆動手段により、基板チャック部を、その狭持面が支持プレート部の先端部よりも後退した非チャック位置と、狭持面が非チャック位置から支持プレート部の先端部にまで前進するチャック位置とに駆動するようにし、
基板チャック部がチャック位置に前進して、その狭持面が被検査基板に当接した際に生ずる反力にて、支持プレート部が付勢手段に抗して反開口部側に後退するようにしたことにより、被検査基板をその底面全体が開口部内に露出するようにして固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る基板固定装置の構成を示す模式的な断面図。
図2】上記基板固定装置で、(a)基板チャック部が非チャック位置にある状態を示す断面図、(b)基板チャック部がチャック位置にある状態を示す断面図。
図3】(a)〜(c)上記従来の基板固定装置の構成と、被検査基板の載置前から固定後までの各工程を模式的に示す平面図。
図4】(a)〜(c)上記従来の基板固定装置における被検査基板の載置前から固定後までの各工程を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図1および図2により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
図1および図2を参照して、この実施形態に係る基板固定装置10は、被検査基板Pが載置される基台20と、被検査基板Pの対向する側縁部Pe,Pe側を挟持する、横置き型の場合は左右一対、縦置き型の場合は上下一対の基板保持部30,30とを備えている。
【0029】
基台20は、好ましくは金属、アクリル樹脂等の硬質基板からなり、この実施形態において、基台20の基板載置面は、被検査基板Pが両面基板であることを想定して、その表裏両面に図示しないプローブを接触し得るように、基板固定時に被検査基板の底面側(裏面側)の検査領域を露出させるための開口部Sが設けられている。
【0030】
また、この例において、一対の基板保持部30,30は、開口部Sを挟んで基台20の上面(基台面)21側に配置されるようになっている。なお、一対の基板保持部30,30は同一構成であるため、以下の説明においては、一方の基板保持部30の構成のみについて説明する。
【0031】
基板保持部30は、基台面21に沿って進退可能に配設される第1スライド体としての支持プレート部31と、支持プレート部31に沿って進退可能に配設される第2スライド体としての基板チャック部32とを有している。
【0032】
支持プレート部31と基板チャック部32とは、好ましくは金属、アクリル樹脂等の硬質基板からなり、基台20と支持プレート部31の間および支持プレート部31と基板チャック部32との間には、支持プレート部31と基板チャック部32とを、その進退方向に直動移動させる直動運動ガイド手段が設けられている。
【0033】
この例において、直動運動ガイド手段は、スライド体としての支持プレート部31と基板チャック部32とを進退方向にガイドするものであればよく、例えば、図示はされていないが、支持プレート部31と基板チャック部32の底面側に設けられる凸部と、基台面21と支持プレート部31の上面側に凸部と嵌合可能な凹溝を有するガイドレールとにより構成することができる。
【0034】
図1および図2に示すように、支持プレート部31は、開口部S側に突設して設けられる突出片311を有し、圧縮ばね等の付勢手段40を介して支持台22に支持されており、この例で、支持プレート部31は、付勢手段40を介して常時開口部S側へと付勢されている。
【0035】
また、支持プレート部31には、図2(a)に示すように、常態(基板チャック部32が後述する非チャック位置にある状態)においては、突出片311の先端側(開口部側)に被検査基板Pの側縁部Peが載置可能な載置スペース312が現れるようになっている。
【0036】
基板チャック部32は、開口部S側に被検査基板Pの側縁部Peの端面Pfと面接触可能な狭持面321を有し、所定の駆動手段50により支持プレート部31の突出片311上を移動可能とされている。
【0037】
本実施形態において、駆動手段50はエアシリンダからなり、基板チャック部32には、支持プレート部31に設けられているガイドロッド51に摺動可能に嵌合するシリンダ室52と、シリンダ室52へと圧縮空気を給排出するエア給排出口53が設けられている。
【0038】
この例で圧縮空気のエア給排出口53への切り替えは、図示しない電磁弁のエア供給側ポートまたはエア排出側ポートへの切り替えにより、図示しないコンプレッサにより圧縮された空気をエア給排出口53へと給排出するようになっている。
【0039】
そして、図1に示すように、電磁弁をエア供給ポート側に切り替えコンプレッサからエア給排出口53へと圧縮空気を供給することにより、基板チャック部32が開口部S側(図1の矢印方向側)に移動し、電磁弁をエア排出ポート側に切り替えることにより、基板チャック部32が反開口部S側に移動するようになっている。
【0040】
このように、駆動手段50は、図2(a)に示すように、基板チャック部32を、その狭持面321が突出片311の先端部よりも後退した位置、すなわち、支持片311に載置スペース312が現れる位置(以下、この位置を「非チャック位置」という。)から、図2(b)に示すように、基板チャック部32を、その狭持面321が突出片311の先端部まで前進した位置、すなわち、狭持面321にて被検査基板Pをチャック可能な位置(以下、この位置を「チャック位置」という。)に移動させるようになっている。
【0041】
また、本実施形態において、図2(b)に示すように、駆動手段50により基板チャック部32にかけられるチャック位置に向けての推力をFc、付勢手段40により支持プレート部31にかけられる開口部S側に向けての推力をFsとすると、それらの関係はFc>Fsとされている。
【0042】
そのため、基板チャック部32がチャック位置に前進した際には、基板チャック部32の狭持面321が被検査基板Pに当接した際に生じる反力により、支持プレート部31は付勢手段40に抗して支持台22側に後退するようになっている。
【0043】
これによれば、図2(b)に示すように、支持プレート部31の後退により、被検査基板Pの底面全体が開口部S内に露出させた状態で基板チャック部32に狭持させることができるため、チャック部材によって被検査基板Pの検査領域が隠されることはなく、被検査基板の底面全体を開口部内に露出して固定することができる。
【0044】
次に、図2を参照して、この基板固定装置10により被検査基板Pを一対の基板保持部30の間で固定する動作を説明する。
【0045】
まず、図2(a)に示すように、基板チャック部32,32が非チャック位置に後退している状態で、図示しない真空吸着等の基板吸着手段を介して、被検査基板Pを開口部Sの上方から下降させ、被検査基板Pの側縁部Peを支持プレート部31,31の載置スペース312,312上に載置する。
【0046】
次に、電磁弁をエア供給ポート側に切り替え、コンプレッサにより圧縮された圧縮空気をエア給排出口53,53からシリンダ室52,52へと供給し、基板チャック部32,32を、図2(b)に示すように、非チャック位置からチャック位置へと移動(前進)させる。
【0047】
そして、基板チャック部32,32をチャック位置まで前進させ、その狭持面321,321を支持プレート部31,31の載置スペース312,312上に載置されている被検査基板Pの端面Pfへと当接させ、被検査基板Pを基板チャック部32,32の狭持面321,321にて狭持して固定する。
【0048】
このとき、図2(b)に示すように、支持プレート部31は、基板チャック部32,32の狭持面321,321が被検査基板Pの端面Pfに当接した際に生じる反力を受け、付勢手段40に抗して支持台22側に後退する。
【0049】
そして、被検査基板Pは基板チャック部32,32の狭持面321,321に狭持された状態で検査され、検査終了後、電磁弁をエア排出ポート側に切り替えてシリンダ室52内を減圧することにより、基板チャック部32,32を非チャック位置に後退させ、被検査基板Pを図示しない真空吸着等の基板吸着手段により開口部Sの上方へと上昇させる。
【0050】
この構成によれば、図2(b)に示すように、被検査基板Pの底面全体を開口部S内に露出させることができるので、チャック部材によって被検査基板Pの検査領域が隠されることはなく、被検査基板Pの検査領域全面を露出させて固定することができる。
【0051】
また、被検査基板Pの支持プレート31,31に備えられる載置スペース312,312は、被検査基板Pを一時的に仮置きするだけのものであるため、従来のような補助台を用いて被検査基板Pを載置面の所定箇所に位置決めする必要はなく、補助台を不要として作業効率を向上させることができる。
【0052】
上記実施形態においては、基板チャック部32を非チャック位置からチャック位置へと移動させる駆動手段50をエアシリンダとしているが、油圧シリンダであってもよく、これによっても、基板チャック部32を非チャック位置からチャック位置へと移動させ、支持プレート部31を付勢手段40に抗して支持台22側に移動させることができる。
【0053】
上記実施形態では、支持プレート部31を開口部S側に付勢する付勢手段を圧縮ばねとしているが、これに限られることはなく、例えば、エアシリンダなどにより、支持プレート部31を開口部S側に向けて所定の推力により基台20の所定位置で支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 基板固定装置
20 基台
21 基台面
22 支持台
30 基板保持部
31 支持プレート部
311 突出片
312 載置エリア
32 基板チャック部
321 狭持面
40 付勢手段
50 駆動手段
51 ガイドロッド
52 シリンダ室
53 エア給排出口
P 基板
Pe 側縁部
Pf 端面
S 開口部
図1
図2
図3
図4