(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたシステムを病院内に導入するに際し、それ相応のコストを要する。そこで、開業医を含む比較的小規模な病院では、医師は、患者に対して定期的に通院するよう促すと共に、診察の都度、次回までに測定すべき総回数を伝える場合がある。このとき、測定の際の身体的負担や、測定結果の信頼性という観点から、複数日にわたる測定を計画的に遂行することが肝要である。しかしながら、患者は、測定スケジュールを自ら作成しなければならず、その煩に堪えなかった。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、被検体にとって、測定スケジュールを管理する煩雑さを低減すると共に、無理のない計画的な測定の支援を実現可能な成分測定装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る成分測定装置は、被検体の体液中の成分を測定する測定部と、複数日である測定期間及び該測定期間中に要する測定の総回数を取得する測定条件取得部と、前記測定条件取得部により取得された前記測定期間及び前記総回数に基づき、前記測定期間中の日毎の回数の差が最大で1回になるように測定タイミングを割り当てることで測定スケジュールを作成するスケジュール作成部と、前記スケジュール作成部により作成された前記測定スケジュールに従って、前記測定部による測定の実施を前記被検体に催促する測定催促部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように、測定期間及び総回数に基づき、測定期間中の日毎の回数の差が最大で1回になるように測定タイミングを割り当てることで測定スケジュールを作成するスケジュール作成部と、作成された前記測定スケジュールに従って、測定部による測定の実施を被検体に催促する測定催促部とを設けたので、略均等な測定タイミングにて各測定を被検体に実施させることが可能になる。これにより、被検体にとって、測定スケジュールを管理する煩雑さを低減すると共に、無理のない計画的な測定の支援を実現できる。
【0009】
また、前記測定条件取得部は、1日のうちの測定の時間区分を更に取得し、前記スケジュール作成部は、前記測定期間中の時間区分毎の回数の差が最大で1回になるように前記測定スケジュールを作成することが好ましい。
【0010】
また、前記スケジュール作成部は、前記測定期間中の週毎の回数の差が最大で1回になるように前記測定スケジュールを作成することが好ましい。
【0011】
また、前記測定スケジュールの変更時点を指定する変更時点指定部と、前記変更時点指定部により指定された前記変更時点での測定の残り期間及び残り回数に基づき、前記測定スケジュールを変更するスケジュール変更部とを更に備えることが好ましい。
【0012】
また、前記変更時点指定部は、前記測定催促部が前記被検体に対する催促を開始してから所定時間が経過した時点、前記被検体による所定の指定操作を受け付けた時点、及び直近の前記測定タイミングを徒過した時点のうち少なくとも1つの時点を前記変更時点として指定することが好ましい。
【0013】
また、前記スケジュール変更部は、前記変更時点の後の前記測定スケジュールに、前記変更時点の前に測定されなかった回数分の前記測定タイミングを追加することで、前記測定スケジュールを変更することが好ましい。これにより、前もって決定された測定タイミングを変更することなく、測定スケジュールを再設定できる。
【0014】
本発明に係る成分測定方法は、被検体の体液中の成分を測定する測定部を有する成分測定装置を用いた方法であって、複数日である測定期間及び該測定期間中に要する測定の総回数を取得する取得ステップと、取得された前記測定期間及び前記総回数に基づき、前記測定期間中の日毎の回数の差が最大で1回になるように測定タイミングを割り当てることで測定スケジュールを作成する作成ステップと、作成された前記測定スケジュールに従って、前記測定部による測定の実施を前記被検体に催促する催促ステップとを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプログラムは、被検体の体液中の成分を測定する測定部を有する成分測定装置に、複数日である測定期間及び該測定期間中に要する測定の総回数を取得する取得ステップと、取得された前記測定期間及び前記総回数に基づき、前記測定期間中の日毎の回数の差が最大で1回になるように測定タイミングを割り当てることで測定スケジュールを作成する作成ステップと、作成された前記測定スケジュールに従って、前記測定部による測定の実施を前記被検体に催促する催促ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る成分測定装置、方法及びプログラムによれば、測定期間及び総回数に基づき、測定期間中の日毎の回数の差が最大で1回になるように測定タイミングを割り当てることで測定スケジュールを作成し、該測定スケジュールに従って、測定部による測定の実施を被検体に催促するようにしたので、略均等な測定タイミングにて各測定を被検体に実施させることが可能になる。これにより、被検体にとって、測定スケジュールを管理する煩雑さを低減すると共に、無理のない計画的な測定の支援を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る成分測定方法について、成分測定装置との関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0019】
[血糖計10の構成]
図1は、この実施形態に係る成分測定装置の一例である血糖計10の斜視図である。
【0020】
血糖計10は、ボディ12と、チップ14が装着されるチップ装着部16と、チップ装着部16の近傍上面に設けられたイジェクタ18と、ボディ12の上面中央に設けられたディスプレイ20(第1の測定催促部)と、ディスプレイ20の周辺に設けられた操作部22とを備える。
【0021】
血糖計10には、その先端に試験具としてのチップ14が装着される。チップ14は、有底筒状のベース筒23と、ベース筒23から半径外方向に突出するフランジ24と、ベース筒23の底部から突出するノズル25と、ベース筒23の底部内面に設置された試験紙26とを有する。ノズル25の中心には、先端の点着部27から試験紙26に連通する直線状の血液導入路が設けられている。
【0022】
試験紙26の材質としては、例えば、ポリエーテルスルホンが挙げられる。試験紙26に含浸される発色試薬としては、例えば、グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)、4−アミノアンチピリン、N−エチルN−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)等の発色剤が挙げられる。また、試薬には所定の緩衝剤が含まれていてもよい。
【0023】
血糖計10のボディ12は、被検体(ユーザ)が片手で把持し易いやや細長い形状であり、その先端部は先端方向に向かって細くなると共に、やや下側に屈曲して血液の点着操作が容易な形状となっている。
【0024】
チップ装着部16は、血糖計10の先端部に設けられており、上述したチップ14を装着可能な円筒型に構成されている。被検体が血糖計10を用いて血糖値を計測する際には、チップ装着部16にチップ14を装着し、装着されたチップ14の先端の点着部27から血液を吸引する。チップ装着部16の中心には、測定窓30が設けられており、測定の際にはこの測定窓30を介して、測定部44(
図2)による投光及び受光が行われる。
【0025】
イジェクタ18は、前方への押圧動作に応じて、装着されたチップ14を前方に押し出し、チップ装着部16から離脱させる。これにより、血糖値の測定が済んだチップ14を廃棄できる。
【0026】
ディスプレイ20は、血糖値の測定結果、操作手順の案内、治療ガイダンスを表示する他、催促メッセージを含む測定プログラム(詳細は後述する)の支援表示等が可能である。
【0027】
操作部22は、測定プログラムに関する測定条件62(
図2)を設定・入力可能に設けられた設定ボタン群32と、電源46(同図)のオン・オフをする電源ボタン34と、未実施である測定をスキップするスキップボタン36を有する。
【0028】
[血糖計10の電気ブロック図]
図2は、血糖計10の電気的な構成を示すブロック図である。
【0029】
血糖計10は、ディスプレイ20、設定ボタン群32、電源ボタン34、スキップボタン36に加え、血糖計10の全体を統括的に制御する制御部40、スピーカ42(第2の測定催促部)、測定部44、電源46、時計48、及びメモリ50を更に備える。
【0030】
スピーカ42は、制御部40(より詳細には、催促・報知指示部60)からの指示に応じて、警報音、音声メッセージ等の出力を行う。
【0031】
測定部44は、例えば光学系で構成され、試験紙26(
図1)にパルス状の光を照射する発光部(図示しない)と、呈色した試験紙26からの反射光を受光信号として検出する受光部(図示しない)と、該受光信号に基づき血糖値を定量する定量部(図示しない)とを有する。測定部44の方式は光学式に限定されるものではなく、例えば、血糖値をグルコースオキシダーゼ(GOD)等の酵素を用いた酵素電極法等による電気的(電気化学方式)に測定する方式を適用してもよい。
【0032】
電源46は、例えばアルカリ電池で構成され、電源ボタン34の作用下に電力を制御部40に供給する。時計48は、制御部40からの要求指示に応じて、現在時刻を制御部40に通知する。
【0033】
メモリ50は、揮発性又は不揮発性の記憶媒体で構成され、測定条件データ(以下単に「測定条件62」)、測定スケジュールデータ(以下単に「測定スケジュール64」)及び測定結果データ(以下単に「測定結果66」)がそれぞれ格納されている。
【0034】
制御部40は、例えば、中央演算処理装置(CPU)で構成され、メモリ50に格納されたプログラムを読み出し実行することで、タスク実行部52、測定条件取得部54、スケジュール作成部56、変更時点指定部57、スケジュール変更部58、及び、催促・報知指示部60としてそれぞれ機能する。
【0035】
[血糖計10の動作説明]
続いて、
図2に示す血糖計10の動作について、
図3、
図8及び
図9のフローチャートを主に参照しながら説明する。この動作の際に、タスク実行部52は、それぞれ後述する「管理タスク」、「測定タスク」及び「催促タスク」の3つのタスクの実行制御を司る。
【0036】
<管理タスク実行下の動作>
先ず、管理タスクの実行下における血糖計10の動作について、
図3のフローチャートを主に参照しながら説明する。ここで、「管理タスク」とは、被検体毎の測定プログラムの生成・変更・進捗管理を行うタスクである。
【0037】
ステップS1において、制御部40は、設定ボタン群32を介して、測定条件62の入力を受け付けたか否かを判定する。ここで、測定条件62とは、測定プログラムを生成するための各種条件であり、例えば、測定開始時点、複数日である測定期間、測定の総回数、1日のうちの最大測定回数、測定モード等が含まれる。測定モードとして、例えば、食事前での測定回数を相対的に増やす「食前強化」モード、食事後での測定回数を相対的に増やす「食後強化」モードを含む、複数のモードが予め用意されている。
【0038】
入力の操作をまだ受け付けていない場合、制御部40は、この操作を受け付けるまでステップS1に留まる。一方、この操作を受け付けた場合には、制御部40は、入力された測定条件62をメモリ50に記憶させた上で、次のステップ(S2)に進む。
【0039】
ここで、制御部40は、測定開始時点として「入力の操作を受け付けた時点の翌日午前零時」を、測定期間として「30日間」を、1日の最大測定回数を「7回」としてそれぞれ入力したとする。
【0040】
ステップS2において、制御部40は、ステップS1で入力された測定条件62に従って、被検体に適した測定プログラムを生成・開始する。開始に先立ち、測定条件取得部54は、測定条件62をメモリ50から読み出し、スケジュール作成部56側に供給する。そして、スケジュール作成部56は、所定の規則に従って、測定期間中に要する測定の総回数を略均等に割り当てる。なお、スケジュール作成部56による動作の詳細については後述する。
【0041】
ステップS3において、タスク実行部52は、測定プログラムが完了したか否かを示すフラグ(以下、完了フラグ)の状態を確認する。完了フラグが「OFF」である場合(ステップS3:OFF)、次のステップ(S4)に進む。
【0042】
ステップS4において、タスク実行部52は、測定スケジュール64を変更するか否かを示すフラグ(以下、変更フラグ)の状態を確認する。変更フラグが「ON」である場合(ステップS4:ON)、スケジュール変更部58は、タスク実行部52からの実行指示に応じて測定スケジュール64を変更し(ステップS5)、メモリ50に上書き更新させる。
【0043】
ステップS6において、タスク実行部52は、変更フラグの状態を「ON」から「OFF」に切り替えた後、ステップS3に戻って、以下ステップS3〜S6を繰り返す。なお、ステップS4にて変更フラグが「OFF」である場合(ステップS4:OFF)、ステップS5、S6を実行することなく、ステップS3に戻る。
【0044】
一方、ステップS3にて変更フラグが「ON」である場合(ステップS3:ON)、タスク実行部52は、すべての測定が完了したと判定し、ステップS2で作成された測定プログラムを終了する。
【0045】
<スケジュール作成部56の動作説明>
ところで、ステップS2(
図3)におけるスケジュール作成部56の具体的な動作について、
図4〜
図7を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
スケジュール作成部56は、測定期間中に要する測定の総回数を、「時間区分」、「週」、及び「日」の順に略均等に割り当てる。時間区分は、1日のうちに測定を実施する時間帯の属性を意味する。この実施形態では、「朝食前」(時間区分「A」ともいう)、「朝食後」(時間区分「B」ともいう)、「昼食前」(時間区分「C」ともいう)、「昼食後」(時間区分「D」ともいう)、「夕食前」(時間区分「E」ともいう)、「夕食後」(時間区分「F」ともいう)、「就寝前」(時間区分「G」ともいう)の7つに区分する。
【0047】
[1]第1に、総回数を時間区分に応じて略均等に割り当てる。原則的には、総回数を測定区分の数(ここでは、7)で除算して得た商を、時間区分毎の回数とする。この除算にて割り切れない場合、剰余の回数を、優先順位が高い時間区分順にそれぞれ1回ずつ割り当てる。この時間区分の優先順位は、予め設定された測定モードの種類に応じて異なっている。
【0048】
図4は、食前強化モードにおける時間区分毎の割り当て結果を示す概略説明図である。本図のテーブルにおいて、「行項目」は総回数、「列項目」は時間区分、「セルの値」は割り当てられた回数をそれぞれ表す。
【0049】
食前強化モードにおいて、時間区分の優先順位は、朝食前(A)、昼食前(C)、夕食前(E)、朝食後(B)、昼食後(D)、夕食後(F)、就寝前(G)であったとする。ここで、総回数がそれぞれ、3回、7回、30回、60回、100回、210回であった場合、時間区分毎の回数は以下のように割り当てられる。
【0050】
総回数が3回の場合、商が「0」、剰余が「3」であるから、3つの時間区分A、C、Eには「1」回が割り当てられ、残りの時間区分B、D、F、Gには「0」回が割り当てられる。総回数が7回の場合、商が「1」、剰余が「0」であるから、すべての時間区分A〜Gには「1」回が割り当てられる。
【0051】
総回数が30回の場合、商が「4」、剰余が「2」であるから、2つの時間区分A、Cには「5」回が割り当てられ、残りの時間区分B、D、E、F、Gには「4」回が割り当てられる。総回数が60回の場合、商が「8」、剰余が「4」であるから、4つの時間区分A、B、C、Eには「9」回が割り当てられ、残りの時間区分D、F、Gには「8」回が割り当てられる。
【0052】
総回数が100回の場合、商が「14」、剰余が「2」であるから、2つの時間区分A、Cには「15」回が割り当てられ、残りの時間区分B、D、E、F、Gには「14」回が割り当てられる。総回数が210回の場合、商が「30」、剰余が「0」であるから、すべての時間区分A〜Gには「30」回が割り当てられる。
【0053】
図5は、食後強化モードにおける時間区分毎の割り当て結果を示す概略説明図である。本図のテーブルの定義については、
図4の定義と同一であるため、その説明を省略する。
【0054】
食後強化モードにおいて、時間区分の優先順位は、朝食後(B)、昼食後(D)、夕食後(F)、朝食前(A)、昼食前(C)、夕食前(E)、就寝前(G)であったとする。この場合、総回数が7回又は210回である場合、すなわち剰余が「0」である場合には、
図4に示す割り当て結果に一致する。一方、剰余が「0」でない場合は、時間区分の優先順位の差異に起因して、
図4に示す割り当て結果と異なっている。
【0055】
[2]第2に、時間区分毎の回数を週に応じて略均等に割り当てる。原則的には、時間区分毎の回数を7(週当たりの日数)で除算して得た商を、週毎の回数とする。この除算にて割り切れない場合、剰余の回数を、例えば奇数番目の週を優先して1回ずつ割り当てる。
【0056】
[3]第3に、時間区分毎、週毎の回数を日に応じて略均等に割り当てる。ここでは、任意の規則に従って割り当てることができる。
【0057】
図6は、測定スケジュール64の第1の作成結果を示す概略説明図である。ここで、測定条件62は、測定期間は「30日」、測定の総回数は「30回」、測定モードは「食後強化モード」に設定されたとする。この場合、測定期間中の日毎にそれぞれ1回が割り当てられる。
【0058】
図7は、測定スケジュール64の第2の作成結果を示す概略説明図である。ここで、測定条件62は、測定期間は「30日」、測定の総回数は「100回」、測定モードは「食前強化モード」に設定されたとする。この場合、測定期間中の日毎にそれぞれ1回が割り当てられる。この場合、測定期間中の10日分に4回が、残りの20日分に3回がそれぞれ割り当てられる。
【0059】
このように、スケジュール作成部56は、測定期間及び総回数に基づき、測定期間中の日毎の回数の差が最大で1日になるように測定スケジュール64を作成する。また、スケジュール作成部56は、測定期間中の時間区分毎の回数の差が最大で1回になるように測定スケジュール64を作成してもよい。また、スケジュール作成部56は、測定期間中の週毎の回数の差が最大で1回になるように測定スケジュール64を作成してもよい。
【0060】
<測定タスク実行下の動作>
次いで、測定タスクの実行下における血糖計10の動作について、
図8のフローチャートを主に参照しながら説明する。ここで、「測定タスク」とは、被検体における血糖値の測定を行うタスクである。
【0061】
ステップS11において、制御部40は、設定ボタン群32又はスキップボタン36の操作による測定指示を受け付けたか否かを判定する。
【0062】
ステップS12において、血糖計10は、測定部44を介した血糖値の測定を実行する。制御部40は、現在の測定結果66に対して最新の血糖値を追加した上でメモリ50に上書き更新させる。なお、測定結果66は、血糖値及びその測定時刻のみならず、測定の進捗情報を更に備える。この進捗情報には、現時点から測定期間の満了時までの期間(以下、残り期間)、現時点でまだ測定していない残りの回数(以下、残り回数)、測定タイミング毎の測定の実施履歴等が含まれる。
【0063】
ステップS13において、制御部40は、測定結果66のうちの残り回数をカウントダウンすることでその値を1つ減らす。
【0064】
ステップS14において、タスク実行部52は、測定結果66のうちの残り回数が0であるか否かを判定する。0値でないと判別された場合(ステップS14:NO)、ステップS15、S16を実行することなく測定タスクを終了する。一方、0値であると判定された場合にステップS15に進む。
【0065】
ステップS15において、催促・報知指示部60は、ディスプレイ20に報知指示を与えてメッセージを表示させることで、測定プログラムにて予定された測定がすべて完了した旨を被検体に報知させる。メッセージ表示と併せて、又はこれとは別に、スピーカ42を介して音声を出力させて報知してもよい。
【0066】
ステップS16において、タスク実行部52は、完了フラグの状態を「OFF」から「ON」に切り替えた後、測定タスクを終了する。
【0067】
<催促タスク実行下の動作>
最後に、催促タスクの実行下における血糖計10の動作について、
図9のフローチャートを主に参照しながら説明する。催促タスクとは、測定スケジュール64に従って測定を実施する旨を被検体に催促するタスクである。
【0068】
ステップS21において、制御部40は、測定タイミングが到来したか否かを判定する。具体的には、制御部40は、時計48から取得した現在時刻と、測定スケジュール64のうち最も近い測定タイミングとの関係に基づいて判定する。まだ到来していないと判定された場合は、制御部40は、その測定タイミングに到来するまでステップS21に留まる。一方、到来したと判定された場合は、次のステップ(S22)に進む。
【0069】
ステップS22において、催促・報知指示部60は、ディスプレイ20に催促指示を与えてメッセージを表示させることで、測定スケジュール64に従って測定を実施する旨を被検体に催促させる。メッセージ表示と併せて、又はこれとは別に、スピーカ42を介して音声を出力させて報知してもよい。
【0070】
ステップS23において、制御部40は、スキップボタン36の押下操作を受け付けたか否かを判定する。操作を受け付けた場合(ステップS23:YES)、タスク実行部52は、変更フラグの状態を「OFF」から「ON」に切り替えた後(ステップS25)、催促タスクを終了させる。
【0071】
ここで、変更時点指定部57は、被検体による所定の指定操作(スキップボタン36の押下)を受け付けた時点を、測定スケジュール64の変更時点として指定する。なお、変更時点指定部57は、上記した時点以外にも、被検体に対する催促(ステップS22)を開始してから所定時間が経過した時点、又は、直近の測定タイミングを徒過した時点を、変更時点として指定してもよい。
【0072】
一方、操作をまだ受け付けていない場合(ステップS23:NO)、タスク実行部52は、測定タスクの呼び出しがあったか否かを判定する(ステップS24)。呼び出しがあった場合(ステップS24:YES)、タスク実行部52は、催促タスクを終了させると共に、測定タスクを開始させる。
【0073】
また、測定タスクの呼び出しがなかった場合(ステップS24:NO)、ステップS22に戻って、以下、ステップS22〜S24を繰り返す。
【0074】
<スケジュール変更部58の動作説明>
ところで、ステップS4(
図3)におけるスケジュール変更部58の具体的な動作について、
図10A及び
図10Bを参照しながら詳細に説明する。このスケジュール変更部58は、変更時点指定部57により指定された変更時点での測定の残り期間及び残り回数に基づき、測定スケジュール64を変更する。
【0075】
例えば、
図7に示す測定スケジュール64が作成された状態下に、1月4日(「4日目」に相当)の就寝前(「時間区分G」に相当)にスキップボタン36が押下されたとする。スケジュール変更部58は、所定の評価基準に従って、残り期間のうちの全部又は一部の期間、例えば、直近の3日間(1月5日から1月7日までの間)のいずれかの時間区分に1回分の測定タイミングを追加する。
【0076】
図10Aは、測定タイミングの時系列を模式的に示す図である。塗り潰した丸印は、測定タイミングが割り当てられた時間区分(A〜G)に相当する。ここでは、丸印が存在しない11箇所のうちいずれか1箇所を選択する。一例として、隣接する丸印同士の距離の2乗和を、割り当ての均等性を示す評価値として算出する。なお、計算の簡略化のため、隣接する時間区分の距離をすべて1とする。
【0077】
例えば、
図10Aに示す状態での評価値は、3
2+2
2+3
2+2
2+1
2+3
2+4
2+1
2+1
2=54である。これに対して、例えば、「1月5日の時間区分B」に測定タイミングを追加する場合、評価値は、1
2+2
2+2
2+3
2+2
2+1
2+3
2+4
2+1
2+1
2=50である。以下同様に、11箇所すべての評価値を算出すると、
図10Bに示す結果が得られる。この結果、評価値が最小(46)になる「1月7日の時間区分C」が選択される。
【0078】
このようにして、スケジュール変更部58は、変更時点の後の測定スケジュール64に、変更時点の前に測定されなかった回数分の測定タイミングを追加することで、測定スケジュール64を変更する。これにより、前もって決定された測定タイミングを変更することなく、測定スケジュール64を再設定できる。
【0079】
なお、測定スケジュール64の変更方法はこの例に限られず、例えば、スケジュール作成部56の動作と同様の手法を用いて、残り期間及び残り回数に基づき測定スケジュール64を再作成してもよい。この場合、スケジュール変更部58は、測定期間中の日毎、時間区分毎、及び週毎のうちいずれかの回数の差が最大で1回になるように測定スケジュール64を再作成する。
【0080】
また、測定が滞っているため、残り回数のすべてを残り期間内に割り当てられない場合、催促・報知指示部60は、測定モードの実行中にその旨を警告するようにしてもよい。あるいは、スケジュール変更部58は、残り期間(当初の測定期間の満了時)を延長した上で、残り回数のすべてを割り当てるように測定スケジュール64を変更してもよい。
【0081】
[この実施形態による効果]
成分測定装置としての血糖計10は、被検体の体液中の成分(例えば、血糖値)を測定する測定部44と、複数日である測定期間及び該測定期間中に要する測定の総回数を取得する測定条件取得部54と、取得された測定期間及び総回数に基づき、測定期間中の日毎の回数の差が最大で1回になるように測定タイミングを割り当てることで測定スケジュール64を作成するスケジュール作成部56と、作成された測定スケジュール64に従って、測定部44による測定の実施を被検体に催促する測定催促部(例えば、ディスプレイ20、スピーカ42)とを備える。
【0082】
このように構成したので、略均等な測定タイミングにて各測定を被検体に実施させることが可能になる。これにより、被検体にとって、測定スケジュール64を管理する煩雑さを低減すると共に、無理のない計画的な測定の支援を実現できる。
【0083】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0084】
上記の実施形態では、測定対象である体液として、血液を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、リンパ液、髄液、唾液等であってもよい。
【0085】
また、体液中の成分として、ブドウ糖(血糖値)の他、コレステロール、尿酸、クレアチニン、乳酸、ヘモグロビン(潜血)、各種アルコール類、各種糖類、各種タンパク質、各種ビタミン類、ナトリウムを含む各種無機イオン、PCB(ポリ塩化ビフェニル)やダイオキシンを含む環境ホルモンであってもよい。また、測定結果として成分の量のみならず、これとは別に又はこれと併せて成分の性質を得るようにしてもよい。