(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
すべてのレオロジー測定は、RFS3レオメータ(TA instruments)にて、25mm平行プレートを用いて1Hzの周波数で行った;使用された方法は、5℃の温度ステップにて、各温度の間は120秒の浸漬(平衡)時間で、1Hzの一定周波数にて高温から低温に温度を一掃させた。
【0008】
相変化インク技術は、多くの市場に対して印刷能および顧客基盤を拡大し、印刷用途の多様性は、プリントヘッド技術、プリントプロセスおよびインク材料の有効な集積によって促進される。相変化インク組成物は、室温で固体であり、溶融インクが基材に適用される高温において溶融状態であることを特徴とする。現在のインク選択肢は多孔質紙基材について成功しているが、これらの選択肢はコーティングされた紙基材については必ずしも満足するものではない。
【0009】
以前には、固体インク配合物における結晶性および非晶質小分子化合物の混合物を用いることにより、堅牢性インクを提供し、特にコーティングされた紙上に堅牢性の画像を示す固体インクを提供することが見出された。(米国特許出願整理番号13/095,636)。しかし、この手法を用いることは、結晶性材料または非晶質材料の既知の特性からは、驚くべきことである。結晶性材料について、小分子は、一般に固化するときに結晶化する傾向があり、低分子量有機固体は一般に結晶である。結晶性材料は一般により硬質であり、より抵抗性であるが、こうした材料は相当脆弱でもあり、結果として主に結晶性のインク組成物を用いて製造された印刷物は損傷に対して非常に感受性となる。非晶質材料に関して、高分子量非晶質材料、例えばポリマーは、高温で粘稠になり、粘着性の液体になるが、高温では十分に低い粘度を示さない。結果として、ポリマーは、所望の噴出温度(≦140℃)にてプリントヘッドノズルから噴出させることができない。しかし、本実施形態において、堅牢性の固体インクは、結晶性および非晶質化合物のブレンドを通して得ることができることを見出した。
【0010】
こうした相変化インクを用いて製造されたプリントサンプルは、現在利用可能な相変化インクに比べてスクラッチ、曲げおよび曲げオフセットに対して良好な堅牢性を示す。
【0011】
しかし、本発明者らは、多くの場合、結晶性および非晶質材料で構成され、任意の染料着色剤を有する混合物が、溶融状態から基材上に印刷される場合に徐々に固化することを見出した。このように徐々に固化するインクは、高速印刷環境、例えば毎分100フィートよりも速い速度での印刷が必要とされるプロダクション印刷には不向きである。インクの固化は、冷却時にインク中の結晶性構成成分の結晶化によるものである。
【0012】
本発明者らは、結晶性および非晶質構成成分で構成された組成物の迅速な結晶化は、組成物の固有の特性ではないことを見出した。
【0013】
本実施形態は、迅速に結晶化する結晶性材料および非晶質ジウレタン材料を含む新規な相変化インク組成物を提供し、そのためコーティングされた紙上での印刷を含む高速インクジェット印刷に好適である。
【0014】
本実施形態は、一般にそれぞれ約60:40〜約95:5の重量比において(1)結晶性および(2)非晶質構成成分のブレンドを含むインクジェット相変化インク組成物の新規なタイプを提供する。実施形態において、結晶性構成成分と非晶質構成成分との重量比は、約65:35〜約95:5、または約70:30〜約90:10、または約70:30〜約80:20である。他の実施形態において、結晶性および非晶質構成成分は、それぞれ約1.5〜約20または約2.0〜約10の重量比でブレンドされる。各構成成分は、相変化インクに特定の特性を付与し、構成成分のブレンドは、コーティングされていない基材およびコーティングされた基材に優れた堅牢性を示すインクを与える。インク配合物中の結晶性構成成分は、冷却時の迅速な結晶化を通して相変化を駆動する。結晶性構成成分はまた、最終インクフィルムの構造を設定し、非晶質構成成分の粘着性を低下させることによって硬質インクを創製する。非晶質構成成分は、粘着性を提供し、印刷されたインクに堅牢性を付与する。
【0015】
非晶質化合物
本実施形態は、線状ジウレタンを含むジウレタン化合物およびそれらの誘導体の群から選択される非晶質材料を含む。非晶質ジウレタンは、市販のジイソシアネートとアルコールとを用いて1工程無溶媒反応により合成される。この無溶媒プロセスは、低コストであり、副生成物を避け、高い反応器処理量を有する。これらの非晶質材料はまた、良好な相転移を示すとともに、特定の熱的特性およびレオロジー的特性を有し、それが材料を、相変化インクにおける使用に好適にすることを見出した。例えば、ウレタンにおける水素結合部位は、他の非晶質材料、例えばジエステルよりも強力な分子間力を提供し、これが結果として、同じ媒体に対する現在市販されている相変化インクに比べて、スクラッチ、曲げおよび曲げオフセットに対する顕著な堅牢性を提供するインクをもたらす。
【0016】
これらの材料は、噴出温度付近において(≦140℃、または約100〜約140℃、または約105〜約140℃)、相対的に低い粘度(<10
2センチポイズ(cps)、または約1〜約100cps、または約5〜約95cps)を示し、室温において非常に高い粘度(>10
5cps)を示す。
【0017】
噴出範囲(100〜140℃)での低い粘度が、高い配合自由度を与える。室温での高い粘度は、堅牢性を付与する。これらの特徴が、材料を、非晶質構成成分のための良好な選択肢にする。さらに、ジウレタンおよびそれらの誘導体は、市販材料から合成されるので、相変化インクのコストを低減する。
【0018】
本開示の非晶質ジウレタンは、以下の式を有する:
【化6】
式中、Zは:
【化7】
からなる群から選択され;
さらに式中、Zは、
*で標識された結合を通してジウレタン式の窒素原子のいずれかの側に結合することができ;R
3およびR
4のそれぞれは、i)約1〜約8個の炭素原子を有する線状または分岐状であることができるアルキル基、またはii)アリール基であるが、ただしZが−(CH
2)
6−である場合に、R
3およびR
4の両方は、−(CH
2)
n−C
6H
5ではなく、式中、n=0〜4である。R
3およびR
4のそれぞれは、線状または分岐状アルキル(メチル、エチル、プロピル、(n−、イソ−、sec−、およびt−)ブチル、(n−、イソ−、t−など)ペンチル、(n−、イソ−、t−など)ヘキシル、(n−、イソ−、t−など)ヘプチル、または(n−、イソ−、t−など)オクチルが挙げられる)であることができる。
【0019】
特定実施形態において、R
3およびR
4は、独立に、
【化8】
からなる群から選択されるが、ただしZが−(CH
2)
6−である場合、R
3およびR
4の両方は、−(CH
2)
n−C
6H
5ではない(式中、n=0〜4)。
【0020】
特定実施形態において、zは−(CH
2)
6−であり、R
3およびR
4の両方は
【化9】
である。R
3およびR
4はまた、縮合環アルコール、ヒドロアビエチルアルコール(例えば、ロジンアルコール)、イソボルネオール、およびエトキシル化ノニルフェノール(例えばRhodiaからのIgepal CA210)であることができる。
【0021】
結晶性化合物
本実施形態の非晶質材料との組み合わせにおいて、結晶性材料も使用される。
【0022】
好適な結晶性構成成分としては、米国特許出願整理番号13/456,619に開示されるものが挙げられる。これらの結晶性材料は、一般式:
【化10】
を有するジウレタンを含み、式中、Qは、アルカンジイルであり;R
6およびR
7のそれぞれは、独立に、1つ以上のアルキルで場合により置換されたフェニルまたはシクロヘキシルであり;iは0または1であり;jは0または1であり;pは1〜4であり;qは1〜4である。こうした特定実施形態において、R
6およびR
7のそれぞれは、独立に、1つ以上のメチルまたはエチルで場合により置換されたフェニルまたはシクロヘキシルである。こうした特定実施形態において、R
6およびR
7はフェニルである。
【0023】
実施形態において、Qは、−(CH
2)
n−であり、nは4〜8である。実施形態において、nが6である。
【0024】
結晶性ジウレタン化合物は、以下に示されるような一般スキームによって合成できる:
【化11】
式中、Rは−(CH
2)
p−(O)
i−R
6であり、R’は−(CH
2)
q−(O)
j−R
7である。
【0025】
本開示に使用するために好適なアルコール(ROHまたはR’OH)としては、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、2−フェノキシエタノール、3−フェニルプロパン−1−オール、ヒドロシンナミルアルコール、シンナミルアルコール、C
6H
5(CH
2)
4OH、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール;2−メチルシクロヘキシルメタノール、3−メチルシクロヘキシルメタノール、4−メチルシクロヘキシルメタノール、および4−エチルシクロヘキサノールが挙げられ、これらに限定されない。ROHおよびR’OHのそれぞれは、独立に、上記で開示され、列挙されたものから選択される。
【0026】
または、RおよびR
’(またはR
6およびR
7のそれぞれ)は、独立に、ベンジル、2−フェニルエチル、2−フェノキシエチル、ヒドロシンナミル、シンナミル、C
6H
5(CH
2)
4−、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、3−フェニルプロパニル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−メチルシクロヘキシルメチル、3−メチルシクロヘキシルメチル、4−メチルシクロヘキシルメチル、および4−エチルシクロヘキサニルから選択される。
【0027】
上記反応は、スズ触媒、例えばジブチルスズジラウレート(Fascat4202)、ジブチル酸化スズ(Fascat4100);亜鉛触媒、例えばBi cat Z;またはビスマス触媒、例えばBi cat8124;Bi cat8108の存在下、ジイソシアネートおよびアルコールを溶融状態で合わせることによって行われ得る。トレース量の触媒だけがプロセスのために必要である。無溶媒プロセスにおけるジウレタンの相対的に速い形成は、以前の結晶性構成成分の合成よりも顕著に改善される。加えて、無溶媒プロセスは、副生成物に関する問題を排除し、さらに、より高い反応器処理量を意味する。
【0028】
結晶性材料は、シャープな結晶化を示し、約140℃の温度において、相対的に低い粘度(≦10
1センチポイズ(cps)、または約0.5〜約20cps、または約1〜約15cps)を示すが、室温にて非常に高い粘度(>10
6cps)を示す。これらの材料は、150℃未満、または約65〜約150℃、または約66〜約145℃の溶融温度(T
溶融)を有し、60℃を超える、または約60℃〜約140℃、または約65〜約120℃の結晶化温度(T
結晶)を有する。T
溶融とT
結晶との間のΔTは約55℃未満である。
【0029】
本実施形態の結晶性および非晶質材料は、互いに混和性であることがわかっており、結晶性および非晶質材料を用いて配合されて得られたインク組成物は、良好なレオロジープロファイルを示す。K−プルーフによってコーティングされた紙に相変化インク組成物によって創製された画像サンプルは、優れた堅牢性を示す。K−プルーファーは、印刷所での共通の試験装置である。
【0030】
本実施形態は、液体から固体へのシャープな相転移を実現するためにバランスのとれた非晶質および結晶性材料を含み、所望のレベルの粘度を維持しながら、硬質および堅牢性の印刷画像を促進する。このインクで製造されたプリントは、市販のインクにも優る利点、例えばスクラッチに対する良好な堅牢性を示した。故に、相変化インクのために非晶質構成成分を提供する本ジウレタン化合物およびそれらの誘導体は、所望のレオロジープロファイルを有する堅牢性インクを製造すること、およびインクジェット印刷に関する多くの要件を満たすことを見出した。
【0031】
実施形態において、結晶性材料は、インク組成物の総重量の約60重量%〜約95重量%、約65重量%〜約95重量%、または約70重量%〜約90重量%の量で存在する。実施形態において、非晶質材料は、インク組成物の総重量の約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約35重量%、または約10重量%〜約30重量%の量で存在する。
【0032】
実施形態において、溶融状態において、得られた固体インクは、噴出温度で約1〜約22cps、または約4〜約15cps、または約6〜約12cpsの粘度を有する。噴出温度は、通常、約100℃〜約140℃の範囲に含まれる。実施形態において、固体インクは、室温にて約>10
6cpsの粘度を有する。実施形態において、固体インクは、10℃/分の速度にてDSCによって測定される場合に、約65〜約140℃、または約70〜約140℃、または約80〜約135℃のT
溶融、および約40〜約140℃、または約45〜約130℃、約50〜約120℃のT
結晶を有する。
【0033】
本発明者らは、特定のジウレタン化合物が、相変化インク組成物中の非晶質材料として使用するための要件を満たすことを見出した。相変化インクのための一次要件は、それが噴出温度(通常約100〜約140℃)において液体状態であり、室温では固体状態であることである。好適なジウレタン選択肢は、以下に示されるような一般反応スキームによって合成できる:
【化12】
式中、Rは−(CH
2)
p−(O)
i−R
5であり、R’は−(CH
2)
q−(O)
j−R
6である。
【0034】
上記反応は、スズ触媒、例えばジブチルスズジラウレート(Fascat4202)、ジブチル酸化スズ(Fascat4100);亜鉛触媒、例えばBi cat Z;またはビスマス触媒、例えばBi cat8124;Bi cat8108の存在下、ジイソシアネートおよびアルコールを溶融状態で合わせることによって行われた。トレース量の触媒だけがプロセスのために必要である。好適なジイソシアネート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、(ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート(HDI);トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI);2,5−ビス−イソシアナトメチレンジイソシアネート(BIMC)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI);イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI);水素化ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H
12MDI);フェニルイソシアネート;トルエンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネートが使用できる。種々のジイソシアネートは、非晶質ジウレタンの調製に使用したが、それらとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(BIMC)、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)および2,4,4−トリメチルヘキサメチレン(methlene)ジイソシアネート(TMHDI)が挙げられる。これらのジイソシアネートは、広く市販されていることおよび低コストに基づいて選択された。
【0035】
無溶媒プロセスにおけるジウレタンの相対的に速い形成は、以前の非晶質構成成分の合成よりも顕著に改善される。加えて、無溶媒プロセスは、副生成物に関する問題を排除し、さらに、より高い反応器処理量を意味する。わかるように、末端基アルコールの性質は、形成され得られたウレタンのTgおよび粘度特性に影響を与える。ウレタンにおける機能−水素−結合部位は、より堅牢性の画像を形成できるインクを提供するために、他の非晶質構成成分、例えばジエステルよりも強い分子間力を提供することができると考えられる。
【0036】
いくつかの好適なジウレタンは、表1および2に示されるように、種々のアルコールおよびジイソシアネートを用いることによって調製された。
【表1】
【表2】
【0037】
通常、非晶質材料は、約−20℃〜約50℃のTg範囲を有する。室温未満のTgを有する材料は、室温にて流動する粘着性または流動性材料である。反対に、室温を超えるTgを有する材料は、脆弱であり、硬質な材料である。一般的な傾向は、Tgが高くなるにつれて、材料の粘度が高くなる。構造上の活性関係は、完全には理解されていないが、イソシアネート誘導される樹脂のTgは、アルコールおよびジイソシアネート出発材料の適切な選択によって制御されることが既知である。1つ以上のアルコールおよびイソシアネートを変動させることにより、非晶質樹脂の生成物のTg特性の特別な調整を可能にする。
【0038】
実施形態のインクは、従来の添加剤をさらに含み、こうした従来の添加剤と関連した既知の機能を活用してもよい。こうした添加剤としては、例えば少なくとも1つの酸化防止剤、消泡剤、スリップおよび平滑剤、浄化剤、粘度調整剤、接着剤、可塑剤などを挙げることができる。
【0039】
インクは、場合により、酸化から画像を保護するための酸化防止剤を含有してもよく、インク貯蔵器にて加熱された溶融物として存在する間、酸化からインク構成成分を保護してもよい。酸化防止剤の例としては、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)(IRGANOX1098、BASF)、2,2−ビス(4−(2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ))エトキシフェニル)プロパン(TOPANOL−205、Vertellus)、トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート(Aldrich)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスホナイト(ETHANOX−398、Albermarle Corporation)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(ALDRICH46)、ペンタエリスリトールテトラステアレート(TCI America)、トリブチルアンモニウム次亜リン酸塩(Aldrich)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(Aldrich)、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(4−メトキシベンジル)フェノール(Aldrich)、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール(Aldrich)、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノ−ル(Aldrich)、4−ブロモ−2−ニトロフェノール(Aldrich)、4−(ジエチルアミノメチル)−2,5−ジメチルフェノール(Aldrich)、3−ジメチルアミノフェノール(Aldrich)、2−アミノ−4−tert−アミルフェノール(Aldrich)、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール(Aldrich)、2,2’−メチレンジフェノール(Aldrich)、5−(ジエチルアミノ)−2−ニトロソフェノール(Aldrich)、2,6−ジクロロ−4−フルオロフェノール(Aldrich)、2,6−ジブロモフルオロフェノール(Aldrich)、α−トリフルオロ−o−クレゾール(Aldrich)、2−ブロモ−4−フルオロフェノール(Aldrich)、4−フルオロフェノール(Aldrich)、4−クロロフェニル−2−クロロ−1,1,2−トリ−フルオロエチルスルホン(Aldrich)、3,4−ジフルオロフェニル酢酸(Adrich)、3−フルオロフェニル酢酸(Aldrich)、3,5−ジフルオロフェニル酢酸(Aldrich)、2−フルオロフェニル酢酸(Aldrich)、2,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸(Aldrich)、エチル−2−(4−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェノキシ)プロピオネート(Aldrich)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(Aldrich)、4−tert−アミルフェノール(Aldrich)、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルアルコール(Aldrich)、NAUGARD76、NAUGARD445、NAUGARD512、およびNAUGARD524(Chemtura Corporationが製造)ならびにこれらの混合物が挙げられる。存在する場合、酸化防止剤は、いずれかの所望の量、例えばインクの0.25重量%〜10重量%または1重量%〜5重量%でインク中に存在してもよい。
【0040】
実施形態において、本明細書で記載される相変化インク組成物はまた、着色剤を含んでいてもよい。いずれかの所望の着色剤は、着色剤がインクキャリア中に溶解または分散できる限り、相変化インク組成物に利用されることができ、それらとしては染料、顔料、これらの混合物などが挙げられる。インクキャリア中に分散または溶解でき、他のインク構成成分と相溶性である限り、いかなる染料または顔料が選択されてもよい。相変化キャリア組成物は、従来の相変化インク着色剤材料、例えばカラーインデックス(C.I.)溶媒染料、分散染料、改質酸および直接染料、塩基性染料、硫黄染料、バット染料などと組み合わせて使用できる。好適な染料の例としては、Neozapon Red492(BASF);Orasol Red G(Pylam Products);Direct Brilliant PinkB(Oriental Giant Dyes);Direct Red3BL(Classic Dyestuffs);Supranol Brilliant Red3BW(Bayer AG);Lemon Yellow6G(United Chemie);Light Fast Yellow3G(Shaanxi);Aizen Spilon Yellow C−GNH(Hodogaya Chemical);Bemachrome Yellow GD Sub(Classic Dyestuffs);Cartasol Brilliant Yellow4GF(Clariant);Cibanone Yellow2G(Classic Dyestuffs);Orasol Black RLI(BASF);Orasol Black CN(Pylam Products);Savinyl Black RLSN(Clariant);Pyrazol Black BG(Clariant);Morfast Black101(Rohm&Haas);Diaazol Black RN(ICI);Thermoplast Blue670(BASF);Orasol BlueGN(Pylam Products);Savinyl Blue GLS(Clariant);Luxol Fast Blue MBSN(Pylam Products);Sevron Blue5GMF(Classic Dyestuffs);Basacid Blue750(BASF);Keyplast Blue(Keystone Aniline Corporation);Neozapon Black X51(BASF);Classic Solvent Black7(Classic Dyestuffs);Sudan Blue670(C.I.61554)(BASF);Sudan Yellow146(C.I.12700)(BASF);Sudan Red462(C.I.26050)(BASF);C.I.Disperse Yellow238;Neptune Red Base NB543(BASF、C.I.Solvent Red49);Neopen Blue FF−4012(BASF);Lampronol Black BR(C.I.Solvent Black35)(ICI);Morton Morplas Magenta36(C.I.Solvent Red172);金属フタロシアニン着色剤、例えば米国特許第6,221,137号明細書(この開示は、本明細書に参考として完全に組み込まれる)に開示されるものなどが挙げられる。ポリマー染料はまた、例えば米国特許第5,621,022号明細書および米国特許第5,231,135号明細書(これらそれぞれの開示は、参考として本明細書に完全に組み込まれる)に開示されるものが使用でき、例えばMilliken&CompanyからMilliken Ink Yellow869、Milliken Ink Blue92、Milliken Ink Red357、Milliken Ink Yellow1800、Milliken Ink Black8915−67、uncut Reactint Orange X−38、uncut Reactint Blue X−17、Solvent Yellow 162、Acid Red52、Solvent Blue44、およびuncut Reactint Violet X−80として市販される。
【0041】
顔料はまた、相変化インクのための好適な着色剤である。好適な顔料の例としては、PALIOGEN Violet5100(BASF);PALIOGEN Violet5890(BASF);HELIOGEN Green L8730(BASF);LITHOL Scarlet D3700(BASF);SUNFAST Blue15:4(Sun Chemical);Hostaperm Blue B2G−D(Clariant);Hostaperm Blue B4G(Clariant);Permanent Red P−F7RK;Hostaperm Violet BL(Clariant);LITHOL Scarlet4440(BASF);Bon Red C(Dominion Color Company);ORACET Pink RF(BASF);PALIOGEN Red3871K(BASF);SUNFAST Blue15:3(Sun Chemical);PALIOGEN Red3340(BASF);SUNFAST Carbazole Violet23(Sun Chemical);LITHOL Fast Scarlet L4300(BASF);SUNBRITE Yellow17(Sun Chemical);HELIOGEN Blue L6900、L7020(BASF);SUNBRITE Yellow74(Sun Chemical);SPECTRA PAC C Orange16(Sun Chemical);HELIOGEN Blue K6902、K6910(BASF);SUNFAST Magenta122(Sun Chemical);HELIOGEN Blue D6840、D7080(BASF);Sudan Blue OS(BASF);NEOPEN Blue FF4012(BASF);PV Fast Blue B2GO1(Clariant);IRGALITE Blue GLO(BASF);PALIOGEN Blue6470(BASF);Sudan Orange G(Aldrich)、Sudan Orange220(BASF);PALIOGEN Orange3040(BASF);PALIOGEN Yellow152、1560(BASF);LITHOL Fast Yellow0991K(BASF);PALIOTOL Yellow1840(BASF);NOVOPERM Yellow FGL(Clariant);Ink Jet Yellow4G VP2532(Clariant);Toner Yellow HG(Clariant);Lumogen Yellow D0790(BASF);Suco−YellowL1250(BASF);Suco−Yellow D1355(BASF);Suco Fast Yellow D1355、D1351(BASF);HOSTAPERM Pink E02(Clariant);Hansa Brilliant Yellow5GX03(Clariant);Permanent Yellow GRL02(Clariant);Permanent RubineL6B05(Clariant);FANAL Pink D4830(BASF);CINQUASIA Magenta(DU PONT);PALIOGEN Black L0084(BASF);Pigment Black K801(BASF);およびカーボンブラック、例えばREGAL330(商標)(Cabot)、Nipex150(Evonik)Carbon Black5250およびCarbon Black5750(Columbia Chemical)など、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
インクベース中の顔料分散液は、共力剤および分散剤によって安定化されてもよい。一般に、好適な顔料は、有機材料または無機材料であってもよい。
【0043】
実施形態において、溶媒染料が利用される。本明細書に使用するのに好適な溶媒染料の例としては、本明細書に開示されるインクキャリアとの相溶性のためにスピリットソルブル染料を挙げることができる。
【0044】
着色剤は、いずれかの所望の色または色相を得るためにいずれかの所望の量または有効量、例えば少なくともインクの0.1重量%〜50重量%、少なくともインクの0.2重量%〜20重量%、または少なくともインクの0.5重量%〜10重量%で相変化インク中に存在してもよい。
【0045】
実施形態において、溶融状態では、相変化インクのためのインクキャリアは、噴出温度で約1〜約22cps、または約4〜約15cps、または約6〜約12cpsの粘度を有してもよい。噴出温度は、通常、約100℃〜約140℃の範囲に含まれる。実施形態において、固体インクは、室温にて約>10
6cpsの粘度を有する。実施形態において、固体インクは、10℃/分の速度にてDSCによって測定される場合に、約65〜約140℃、または約70〜約140℃、約80〜約135℃のT
溶融、および約40〜約140℃、または約45〜約130℃、約50〜約120℃のT
結晶を有する。
【0046】
インク組成物は、いずれかの所望のまたは好適な方法によって調製できる。例えば、インクキャリアの各構成成分は、共に混合されることができ、その後この混合物を少なくともその融点、例えば約60℃〜約150℃、80℃〜約145℃および85℃〜約140℃に加熱する。着色剤は、インク成分を加熱する前またはインク成分を加熱した後に添加されてもよい。顔料が選択された着色剤である場合、溶融混合物は、磨砕機またはボールミル装置または他の高エネルギー混合装置での粉砕に供されることができ、インクキャリア中の顔料の分散に影響を与える。次いで加熱された混合物は、約5秒〜約30分以上撹拌され、実質的に均質で、均一な溶融物が得られ、続いてインクを周囲温度(20℃〜25℃)まで冷却する。インクは周囲温度にて固体である。1つの実施形態において、形成プロセス中、それらの溶融状態におけるインクは、モールドに注がれ、次いで冷却され、固化されてインクスティックを形成する。好適なインク調製技術は、米国特許第7,186,762号明細書に開示される。
【0047】
インクは、直接印刷インクジェットプロセスのための装置および間接(オフセット)印刷インクジェット用途に利用できる。本明細書に開示される別の実施形態は、本明細書に開示されるインクをインクジェット印刷装置に組み込む工程、インクを溶融する工程、および溶融したインクの液滴を記録基材上の画像様パターンに放出させる工程を含むプロセスを対象とする。直接印刷プロセスはまた、例えば米国特許第5,195,430号明細書に開示される。本明細書に開示されるさらに別の実施形態は、本明細書に開示されるインクをインクジェット印刷装置に組み込む工程、インクを溶融させる工程、溶融したインクの液滴を中間転写部材上に画像様パターンに放出させる工程および中間転写部材から画像様パターンのインクを最終記録基材に転写する工程を含むプロセスを対象とする。特定実施形態において、中間転写部材を最終記録シートを超える温度で、印刷装置の溶融したインクの温度未満の温度に加熱する。別の特定実施形態において、中間転写部材および最終記録シート両方を加熱し;この実施形態において、中間転写部材および最終記録シートの両方を印刷装置の溶融インクの温度未満の温度に加熱し;この実施形態において、中間転写部材および最終記録シートの相対温度は、(1)中間転写部材を、最終記録基材の温度を超える温度で、印刷装置の溶融したインクの温度未満の温度に加熱する;(2)最終記録基材を、中間転写部材の温度を超える温度で、印刷装置の溶融したインクの温度未満の温度に加熱する;または(3)中間転写部材および最終記録シートをほぼ同じ温度に加熱することであることができる。オフセットまたは間接印刷プロセスはまた、例えばその開示全体が参考として本明細書に完全に組み込まれる米国特許第5,389,958号明細書に開示されている。1つの特定実施形態において、印刷装置は、圧電印刷プロセスを利用するが、ここでインクの液滴は、圧電振動素子の振幅によって画像様パターンに放出される。本明細書に開示されたインクはまた、他のホットメルト印刷プロセス、例えばホットメルト音響インクジェット印刷、ホットメルト熱インクジェット印刷、ホットメルト連続ストリームまたは偏向インクジェット印刷などに利用されることができる。本明細書に開示される相変化インクはまた、ホットメルトインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスに使用できる。
【0048】
こうした堅牢性インクは、高速での印刷設備と共に使用されてもよい。通常、プロダクションデジタルプレスは、約100〜500フィート/分以上を含む速度にて印刷する。これは、印刷紙が積み重ねられている(カット−シート印刷機)または巻かれている(連続フィード印刷)のいずれかである場合に、迅速な印刷プロセス中に印刷された画像のオフセットを防止するために、紙上に配置されたら非常に迅速に固化できるインクを必要とする。迅速な結晶化は、結晶性−非晶質堅牢性インクの一般的なまたは固有の特性ではない。そのため、すべての結晶性−非晶質インクが、迅速な印刷に向いているわけではない。本発明者らは、特定の非晶質化合物と関連して使用される場合に、迅速に結晶化するので、迅速な印刷が可能である特定の結晶性アミド化合物を見出した。
【0049】
迅速な印刷のための試験インクの好適性を評価するために、結晶性構成成分を含有する固体インクの結晶化速度を測定するための定量方法が開発された。TROM(時間分解光学顕微鏡法)は、種々の試験サンプルを比較でき、結果として、迅速な結晶化インクの設計に関して行われた進行をモニターするための有用なツールである。
【0050】
TROMは、同時係属中の米国特許出願番号13/456,847号明細書に記載されている。
【0051】
時間分解光学顕微鏡法(TROM)は、偏光顕微鏡法(POM)を用いることによって結晶の外観および成長をモニターする。サンプルは、顕微鏡の直交偏光子間に置かれる。結晶性材料は、それらが複屈折であるために視覚可能である。光を通さない、例えばそれらの溶融状態のインクと同様の非晶質材料または液体は、POMの下では黒色に見える。故に、POMは、結晶性構成成分を見る場合に画像コントラストを可能にし、溶融状態から設定温度に冷却された場合に結晶性−非晶質インクの結晶化動力学を追跡できる。偏光顕微鏡法(POM)は、結晶性構成成分を見る場合に特別な画像コントラストを可能にする。
【0052】
異なるおよび種々のサンプルを比較できるデータを得るために、実際の印刷プロセスに関連する多くのパラメータを含むことを目的として標準化TROM実験条件を設定した。インクまたはインクベースは、0.2mm〜0.5mmの厚さの16〜25mmの円形の薄いガラススライド間に狭持される。インク層の厚さは、実際に印刷されたインク層に近い5〜25μmに維持される(ファイバーガラススペーサを用いて制御される)。結晶化速度の測定に関して、サンプルは、オフラインホットプレートを介して予測される噴出温度(粘度約10〜12cps)に加熱され、次いで光学顕微鏡と連結された冷却段階に移される。冷却段階は、熱および液体窒素の制御された供給によって維持される予備設定温度にサーモスタッドで調節する。この実験の準備作業は、インク液滴が実際の印刷プロセスにて噴出される予測ドラム/紙温度(この開示で報告される実験に関しては40℃)をモデルとする。結晶形成および成長は、カメラで記録される。
【0053】
TROMプロセスにおける重要な工程を
図1に例示するが、非晶質および結晶性構成成分だけを含有する(染料または顔料を含まない)メインラインインクベースを用いる測定プロセスにおいて重要な工程を強調している。POMの下で見る場合に、溶融状態および時間ゼロにおいて、結晶性−非晶質インクは、光を通さない場合に黒色に見える。サンプルが結晶化したときに、結晶性領域はより明るく見える。TROMによって報告される数は、最初の結晶(結晶化オンセット)から最後の結晶(結晶化終了)までの時間を含む。
【0054】
TROMプロセスの重要な測定されたパラメータの定義を以下に記載する:
時間ゼロ(T=0s)−溶融サンプルは、顕微鏡の下で冷却段階に置かれる。
Tオンセット=第1の結晶が現れる時間
T成長=第1の結晶(Tオンセット)から結晶化終了までの結晶成長期間(T合計)
T合計=Tオンセット+T成長
【0055】
選択されたインクのためのTROM方法を用いて得られた結晶化時間は、実際の印刷デバイスにおけるインク液滴の結晶化時間であることとは同一ではないことが理解されるべきである。実際の印刷デバイス、例えば印刷機において、インクは相当速く固化する。本発明者らは、TROM方法によって測定される合計結晶化時間と印刷機内のインクの固化時間との間には良好な相関が存在することを決定した。上記で記載される標準化条件において、本発明者らは、インクは、TROM方法によって測定される10〜15秒以内に固化し、通常100フィート/分以上の速度での迅速な印刷に好適であることを決定した。そのため、本開示の趣旨上、15秒未満の結晶化速度は、迅速な結晶化であると考えられる。
【0056】
特定実施形態において、相変化インクは、15秒未満で結晶化する。
【0057】
いずれかの好適な基材または記録シートが利用でき、これらとしては、普通紙、例えばXEROX4200紙、XEROX Image Series紙、Courtland4024DP紙、罫線入りノート紙、ボンド紙、シリカコーティングされた紙、例えばSharp Companyシリカコーティングされた紙、JuJo紙、HAMMERMILL LASERPRINT紙など、光沢コーティングされた紙、例えばXEROX Digital Color Elite Gloss、Sappi Warren PapersLUSTROGLOSS、特殊紙、例えばXerox DURAPAPERなど、透明材料、布地、繊維製品、プラスチック、ポリマーフィルム、無機記録媒体、例えば金属および木材など、透明材料、布地、繊維製品、プラスチック、ポリマーフィルム、無機基材、例えば金属および木材などが挙げられる。
【0058】
実施例1
ジウレタン化合物1の合成
撹拌マグネットを備えた250mLの容器に、50.3gのAbitol E(Eastman Corporationから入手可能)(4.8%OH含有量、計算されたMw=354g/mol,339mmol)および1滴のFascat4202触媒を充填した。ジャーを約130℃の油浴に置いた。次いで11.4gのHDI(MW=168g/mol,169mmol)を添加した。発熱が認められた。赤外(IR)は、1時間の反応後に確認した。IRは、約2265cm
−1のイソシアネートピークを示さず、反応が完了したことを示した。反応内容物をスズ製パンに注ぎ、冷却し、ガラス状の非晶質固体として固化した。
【化13】
【0059】
実施例2
ジウレタン化合物2の合成 撹拌マグネットを備えた100mLの容器に、9gのベンズヒドロール(Aldrichから入手可能)(Mw=184g/mol,652mmol)および1滴のFascat4202触媒を充填した。ジャーを約130℃の油浴に置いた。次いで4.7gのBIMC(Mw=194g/mol,326mmol)を添加した。発熱が認められた。IRは、1時間の反応後に確認した。IRは、約2265cm
−1のイソシアネートピークを示さず、反応が完了したことを示した。反応内容物をスズ製パンに注ぎ、冷却し、ガラス状の非晶質固体として固化した。
【化14】
【0060】
実施例3
ジウレタン化合物3の合成
撹拌マグネットを備えた100mLの容器に、13.0gのベンジルアルコール(Aldrichから入手可能)(Mw=108g/mol,1,111mmol)および1滴のFascat4202触媒を充填した。ジャーを約130℃の油浴に置いた。次いで14.6gTMXDI(Mw=244g/mol,555mmol)を添加した。発熱が認められた。IRを1時間の反応後に確認した。反応混合物からのサンプルのIRは、イソシアネートピークを示したので、さらに0.5グラムのベンジルアルコールを添加し、30分間反応させた。反応混合物からのサンプルのIRは、イソシアネートピークを示したので、さらに1.0グラムのベンジルアルコールを添加し、さらに30分間反応させた。反応混合物からのサンプルのIRは、約2265cm
−1のイソシアネートピークを示さず、反応が完了したことを示した。反応内容物をスズ製パンに注ぎ、冷却し、非晶質固体として固化した。
【化15】
【0061】
非晶質ジウレタン化合物1およびそれを含有するインクの特徴付け
図2に示されるように、ジウレタン化合物1は、10℃/分の加熱/冷却速度にて、TA instruments DSC Q1000でのDSC技術を用いてT
g(ガラス転移温度)の測定によって特徴付けた。表3は、ジウレタン化合物1、2および3についてのT
gのデータを要約する。わかるように、表3におけるデータはさらに、非晶質樹脂としてのこれらの材料の有用性を支持する。
【表3】
【0062】
ジウレタン化合物1のレオロジーをまた、
図3に示されるように、Peltier加熱プレートを備えたRFS3制御された歪レオメータ(TA instruments)にて、25mm平行プレートを用いて測定した。使用された方法は、5℃の温度ステップにて、各温度の間は120秒の浸漬(平衡)時間で、1Hzの一定周波数にて高温から低温に温度を一掃させた。
【0063】
1つのサンプルインクは、以前に米国特許出願整理番号13/456,619_”に開示された結晶性ジウレタン化合物、ジベンジルヘキサン−1,6−ジイルジカルバメートおよび非晶質ジウレタン化合物1の80:20ブレンドを含有するように調製した。インク配合物を表4に示す。
【表4】
【0064】
サンプルインクを調製するために、結晶性および非晶質樹脂および染料を撹拌棒を有する25mLの瓶に添加した。加熱ブロック中、140℃にて混合物を加熱し、1時間撹拌し、次いで溶融混合物をフォイルパンに注ぎ、冷却し、固化した。
【0065】
インク特徴付け
インクのレオロジーは、
図4に示されるように、Peltier加熱プレートを備えたRFS3制御された歪レオメータ(TA instruments)にて、25mm平行プレートを用いて測定された。
【0066】
このインクおよび2つの市販インクの比較データは、結晶化に関して得られたが、以下の表6に示す。結晶化速度を時間分解光学顕微鏡法(TROM)手順によって測定した。
【0067】
TROM結果を、迅速なインク(市販インクA)について、遅いインク(市販インクB)および表4に記載されるインクについて、表5に示す。この例は、迅速に結晶化するインクは、非晶質ジウレタン構成成分を用いることによって設計できることを示す。非晶質ジウレタンを含有する結晶性−非晶質インクの迅速な結晶化は、必ずしも非晶質ウレタンの固有の特性でない。最終的に、結晶化速度は、非晶質および結晶性構成成分の対の選択に依存する。このように、遅いおよび迅速な結晶化速度の間で、所望の範囲内にこうしたインクの結晶化速度を調整できる。迅速および遅いインクの両方は、それぞれが利点を有するので、望ましい場合がある。迅速に結晶化するインクは、高速印刷が可能である。より遅く結晶化するインクの1つの可能性としての利益は、紙により深く浸透することができ、これが画像の堅牢性を改善し得る。
【表5】
【0068】
巻取印刷機を用いて行われた相関実験は、市販インクAと同様の約4秒の合計結晶化時間を示すインクが、迅速な速度での印刷に好適である一方で、TROM手順において20秒を要するインクは非常に遅く、次世代印刷機が必要とするような迅速な印刷速度は不可能であることを示す。15秒以下に近い結晶化時間を有するインクは、迅速印刷に好適であることが予測される。提示されるデータからわかるように、本実施形態の利益の1つは、迅速な印刷インクでもある堅牢性インクを提供することである。2つの比較市販インクのいずれも両方の要件を満たさない。例えば、市販インクAは、迅速プリントを提供するが、所望でない堅牢性を与える一方で、市販インクBは、良好な堅牢性を提供するが、徐々に印刷される。
【0069】
堅牢性性能
K−プルーフによってコーティングされた紙に相変化インク組成物によって創製された画像サンプルは、優れた堅牢性を示す。上述したように、K−プルーファーは、印刷所での共通の試験装置である。この場合、プルーファーは、印刷プレートを加熱して相変化インクを溶融するために変更されている。使用されるK−プルーファーは、それぞれ約9.4×4.7cmの3つの長方形グラビアパターンを有する。第1の長方形のセル密度は、通常100%であり、第2のセル密度は80%、第3のセル密度は60%である。実際、このK−プルーフプレートは、厚さ約5ミクロン(または高さ)のフィルム(またはピクセル)をもたらす。試験インクは、加熱されたグラビアプレートにわたって展延され、試験プリントは、試験紙が固定されているプレート表面にわたってワイピングブレードを通過させ、その直後にゴムロールを通過させることによって製造される。紙ロールが通過するときに、インクはグラビアセルから紙に転写される。
【0070】
K−プルーフ分析は、市販インク、例えば市販インクAおよび市販インクBと比較した場合に、インクの優れたスクラッチ抵抗性、および同じ市販のインクと比較した場合に、匹敵する曲げ皺および曲げオフセットを示した。
【0071】
要約すれば、本実施形態は、少なくとも1つの結晶性材料および少なくとも1つの非晶質材料を含有するインクジェット印刷について開発された堅牢性の相変化インク配合物を提供する。インクはまた、顔料または染料のような着色剤を含んでいてもよい。非晶質材料は、相変化インク組成物において非晶質構成成分として使用するために好適な特性を有することを示しており、結晶性材料と混和性である選択されたジウレタン化合物である。非晶質材料は、他の市販の相変化インクに比べて、スクラッチ、曲げオフセットおよび曲げ皺に対して改善された堅牢性を有するインクを提供する所望の物理的特性を有する。
【0072】
本明細書において言及されるすべての特許および出願は、それら全体が具体的に本明細書に参考として完全に組み込まれる。