特許第6076842号(P6076842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076842
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】自動二輪車の後部部品の支持構造
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/20 20060101AFI20170130BHJP
   B62J 25/00 20060101ALI20170130BHJP
   B62J 11/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B62K25/20
   B62J25/00 C
   B62J11/00 B
   B62J11/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-125296(P2013-125296)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2015-616(P2015-616A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】國貞 洋平
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−234913(JP,A)
【文献】 特開2007−076499(JP,A)
【文献】 特開2008−018891(JP,A)
【文献】 特開2012−076485(JP,A)
【文献】 特開2002−264868(JP,A)
【文献】 特開平05−085457(JP,A)
【文献】 特開平08−216953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00,11/00,25/00
B62K 25/20
F01N 13/00,13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車における後部部品の支持構造であって、
車体フレームに取り付けられて同乗者用のフットステップを支持するステップステーと、
前記ステップステーのユニット支持部に取り付けられて後輪懸架装置の特性を手動で調整する操作ユニットと、
前記ステップステーに設けられて、車体側部に装着された物品収納用のパニアの前部を支持するパニア支持部と、
ブレーキオイル用のリザーバタンクを支持するタンク支持部とを備え、
前記ユニット支持部の後方に前記パニア支持部が配置され、
前記操作ユニットの操作部が、外側方から見て前記ステップステーおよびパニアとの重合を回避した位置に配置されている、
自動二輪車の後部部品の支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の支持構造であって、前記ステップステーがマフラを支持するマフラ支持部を備えた自動二輪車の後部部品の支持構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の支持構造であって、前記操作ユニットはユニット防振部材を介して前記ステップステーに支持されている自動二輪車の後部部品の支持構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の支持構造であって、前記パニアはパニア防振部材を介して前記ステップステーに支持されている自動二輪車の後部部品の支持構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の支持構造であって、前記操作ユニットは、その回動軸心が車体のリヤフレームの後ろ上がりの下縁とほぼ平行に設定され、前記ユニット支持部の後方下方に前記タンク支持部が配置され、前記タンク支持部の後方に前記パニア支持部が配置されている自動二輪車の後部部品の支持構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の支持構造であって、前記操作ユニットに、その操作量を示す目盛りが付されている自動二輪車の後部部品の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車における車体後部に複数の部品を支持する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車における車体後部には、後輪懸架装置の操作ユニット、物品収納用のパニアおよびリヤブレーキのリザーバタンクなどの後部部品が取り付けられる場合がある。これらの後部部品の支持構造として、同乗者の足置き用のフットステップを支持するステップステーに、前記操作ユニットおよび前記パニアを支持させた構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−234913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の支持構造は、ステップステーを操作ユニットおよびパニアの支持部材に兼用することによって簡素化を図れる利点はあるが、操作ユニットの手動操作部の一部分が車体側方から見てステップステーの内側でステップステーと重合しているために、操作ユニットを車体外側方から操作する際の操作性が悪い。さらに、ステップステーは、複数の後部部品のうちの操作ユニットとパニアの支持部材に兼用されているだけであるから、支持部材として十分に有効利用されているとは言い難い。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、操作ユニットを、高い操作性が得られる配置でステップステーに取り付けることができるとともに、ステップステーを他の後部部品の支持にも有効利用できる、自動二輪車の後部部品の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動二輪車の後部部品の支持構造は、車体フレームに取り付けられて同乗者用のフットステップを支持するステップステーと、前記ステップステーのユニット支持部に取り付けられて後輪懸架装置の特性を手動で調整する操作ユニットと、前記ステップステーに設けられて、車体側部に装着された物品収納用のパニアの前部を支持するパニア支持部と、ブレーキオイル用のリザーバタンクを支持するタンク支持部とを備え、前記ユニット支持部の後方に前記パニア支持部が配置され、前記操作ユニットの操作部が、外側方から見て前記ステップステーおよびパニアとの重合を回避した位置に配置されている。
【0007】
この後部部品の支持構造によれば、操作ユニットの操作部は、外側方から見てステップステーおよびパニアとの重合を回避した位置、つまり操作部の全体が外側方に露出する配置でステップステーに支持されているから、操作ユニットの優れた操作性を確保できる。また、ステップステーは、操作ユニットおよびパニアを支持するのに加えて、リザーバタンクの支持部材も兼ねているから、支持部材として十分に有効利用されており、リザーバタンクの支持部材を別途設ける必要がない。
【0008】
本発明において、前記ステップステーがマフラを支持するマフラ支持部を備えていることが好ましい。これにより、ステップステーは、操作ユニット、パニアおよびリザーバタンクの支持に加えて、さらにマフラの支持部材も兼ねるので、支持部材として一層十分に有効利用され、マフラの支持部材を別途設ける必要がない。また、パニアとマフラとが、共にステップステーに支持されることから、互いの位置関係を確保でき、パニアが高温のマフラに近づき過ぎるのを防止できる。
【0009】
本発明において、前記操作ユニットはユニット防振部材を介して前記ステップステーに支持されていることが好ましい。これにより、ステップステーから操作ユニットに伝達される車体走行時の振動が減衰されるので、振動による操作ユニットの不測の作動を防止できる。
【0010】
本発明において、前記パニアはパニア防振部材を介して前記ステップステーに支持されていることが好ましい。これにより、ステップステーのパニア支持部からパニアに伝達される車体走行時の振動が減衰されるので、パニアに収納された物品に与える振動を抑制できる。
【0011】
本発明において、前記操作ユニットは、その回動軸心が車体のリヤフレームの後ろ上がりの下縁とほぼ平行に設定され、前記ユニット支持部の後方下方に前記タンク支持部が配置され、前記タンク支持部の後方に前記パニア支持部が配置されていることが好ましい。これにより、操作ユニットが後ろ上がりに傾斜するから、その後方の下方に大きなスペースが生じるので、ユニット支持部の後方下方に、リザーバタンク用のタンク支持部およびパニア用のパニア支持部を、操作ユニットの操作部から十分離して配置することが容易となる。
【0012】
本発明において、前記操作ユニットに、その操作量を示す目盛りが付されていることが好ましい。これにより、操作ユニットの目盛りを見ながら操作部を手動操作することで、後輪懸架装置の特性を迅速、かつ、正確に調整することができ、操作ユニットの操作性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作ユニットの操作部は、外側方から見てステップステーおよびパニアとの重合を回避した位置、つまり操作部の全体が外側方に露出する配置でステップステーに支持されているから、操作ユニットの優れた操作性を確保できる。また、ステップステーは、操作ユニットおよびパニアを支持するのに加えて、リザーバタンクの支持部材をも兼ねており、支持部材として十分に有効利用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る後部部品の支持構造を備えた自動二輪車の後部を示す側面図である。
図2図1の支持構造におけるステップステーを車体外側から見た拡大側面図である。
図3】同上のステップステーを車体内側から見た拡大側面図である。
図4】同上の支持構造の斜め上方前側から見た斜視図である。
図5】同上の支持構造の車体内側から見た斜視図である。
図6】同上の支持構造における操作ユニットの支持部分を示す断面図である。
図7】同上の支持構造におけるマフラの支持部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る後部部品の支持構造を備えた自動二輪車の側面図である。この自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を構成するメインフレーム1と、メインフレーム1の後部に連結されて車体フレームFRの後半部を構成するリヤフレーム2とを有しており、メインフレーム1の前端部に図示しないフロントフォークを介して前輪が支持されている。メインフレーム1の後端下部には、スイングアームブラケット12が設けられ、このスイングアームブラケット12に、前端部のピポット軸13を介してスイングアーム14が上下揺動自在に支持され、スイングアーム14の後端部に後輪15が支持されている。メインフレーム1の中央下部にはエンジンEが支持されており、このエンジンEにより後輪15を駆動する。エンジンEは例えば並列多気筒4サイクルエンジンである。
【0016】
エンジンEの排気は、エンジンEの前方および下方を経て後方に延びる排気管16から消音チャンバ17に入り、ある程度消音されたのち、接続管18から後輪15の右側方のマフラ20に入ってさらに消音され、このマフラ20から外部に排出される。
【0017】
前記リヤフレーム2にライダー用シート21と同乗者用シート22とが支持されている。リヤフレーム2の下部にリヤフェンダ(図示せず)が取り付けられている。ライダー用シート21の下方に、メインフレーム1とスイングアーム14との間に連結されたほぼ前後方向向きの1本の後輪懸架装置24が配置されている。リヤフレーム2におけるライダー用シート21の下方でマフラ20の上方には、同乗者用の足乗せであるフットステップ28を支持するステップステー30が取り付けられている。フットステップ28およびステップステー30は左右一対設けられている。
【0018】
前記ステップステー30には、一対の突片からなるステップ支持部29に加えて、種々の後部部品が支持されている。すなわち、ステップステー30の上部には操作ユニット25が取り付けられており、この操作ユニット25は、前端部24aが車体フレームFRのクロスメンバー(図示せず)に連結された後輪懸架装置24の油圧特性を、手動操作により、油圧ホース9を介して調整する。物品収納用のパニア3は車体後部におけるマフラ20の後側上方に配置されており、その上部がリヤフレーム2に支持された状態で、前部がステップステー30に支持されている。さらに、ステップステー30には、リヤブレーキのブレーキオイル用のリザーバタンク4およびマフラ20も支持されており、これらの支持構造の詳細については後述する。
【0019】
つぎに、ステップステー30の形状について、図2および図3を参照しながら説明する。先ず、図1のステップステー30の拡大図である図2において、ステップステー30は、金属製の一体成形品であり、フットステップ29を支持する平板状の本体部31を有し、この本体部31に、リヤフレーム2に取り付けるための2本の取付アーム部32A、32Bが、前方斜め上方に向けて延びた状態で一体形成されており、両取付アーム部32A、32Bの各々の上端部に、ねじ挿通孔33、33が形成され、これら上端部間が補強用の連結バー34により連結されている。
【0020】
後側の取付アーム部32Bの上部には、操作ユニット25(図1)が取り付けられるユニット支持部38が後方に突出して設けられている。このユニット支持部38は、取付アーム部32Bから後方に突設された取付片39に一対の取付孔40、40が形成されてなる。ステップステー30の本体部31の後部には、パニア3(図1)の前部を支持するパニア支持部41が、後方へ向け突出して設けられている。このパニア支持部41は、鉤形の外形を有している。
【0021】
ステップステー30におけるユニット支持部38の後方下方に位置する本体部31の上部に、リザーバタンク4(図1)を支持するタンク支持部42が設けられている。このタンク支持部42は、ねじ孔43を有する取付片44と、図3に示すねじ孔48を有するボス49とを備えており、これら取付片44とボス49が前後に離間して配置されている。
【0022】
ステップステー30には、さらに、本体部31の下端部に、マフラ20(図1)を支持するマフラ支持部50が設けられており、このマフラ支持部50は、本体部31の下端部から外側方に突設された筒状の支持体51と、これに同心状の配置で形成された円形の支持孔52とを備えている。このように、ステップステー30は、一対の取付アーム部32A、32Bの後方にユニット支持部38が設けられ、このユニット支持部38の後方下方にタンク支持部42が配置され、このタンク支持部42の後方にパニア支持部41が配置され、タンク支持部42の下方にマフラ支持部50が配置されている。これにより、各支持部38、42、41、50が互いに適切なスペースを保っている。
【0023】
図4に示すように、ステップステー30は、一対の取付アーム部32A,32Bのねじ挿通孔33、33をリヤフレーム2のねじ孔(図示せず)に合致させた状態で、ねじ挿通孔33、33に挿通したねじ体53、53をねじ孔にねじ込むことにより、リヤフレーム2に取り付けられる。ステップ支持部29に支持されているフットステップ28は、使用時に起立して水平姿勢とされ、不使用時には車体側部に沿うように回動して収納姿勢と。される。
【0024】
つぎに、操作ユニット25のユニット支持部38への支持構造について、図5および図6を参照しながら説明する。先ず、図5において、操作ユニット25は、ユニット本体部54の一端部である後部に操作ノブからなる操作部55が回転自在に設けられ、ユニット本体部54が油圧ホース9を介して後輪懸架装置24(図1)に接続されている。この操作ユニット25は、操作部55を手動操作で回動させることにより、その回動操作量に応じて後輪懸架装置24の特性が調整される。操作部55の回動軸心Cは、リヤフレーム2の後ろ上がりの下縁とほぼ平行で、この下縁との間に手が入る十分なスペースが確保されている。
【0025】
この操作部55の回動操作を容易、かつ、正確に行うために、ユニット本体部54における車体外側方から視認できる箇所に、操作部55の回動操作量を示す目盛り56(図4)が付されている。また、操作ユニット25には、ユニット本体部54における操作部55とは反対側箇所に取付基部58が連設されており、この取付基部58を介して操作ユニット25が、ステップステー30のユニット支持部38に支持される。
【0026】
図6に示すように、操作ユニット25の取付基部58の表裏には、互いに平行な平坦面からなる締結面59および取付面60が形成されている。一方、ステップステー30のユニット支持部38には、一対の取付孔40、40のそれぞれにゴムのような弾性体からなるグロメット61、61が、弾性変形させながら嵌め込まれており、グロメット61、61の中空部にカラー62、62が内装されている。
【0027】
この状態のユニット支持部38に対して、外側から操作ユニット25の取付基部58の取付面60を当て付け、内側に、一対の溶接ナット68、68およびこれと同心のねじ挿通孔69が設けられた取付プレート64を当てがい、ねじ体70,70を外側から取付基部58の一対のねじ挿通孔63、カラー62の中空部62aおよび取付プレート64のねじ挿通孔69に挿通して、溶接ナット68、68にねじ込む。これにより、操作ユニット25がステップステー30に強固に取り付けられる。この状態でグロメット61が防振部材として作用し、ステップステー30から操作ユニット25への振動伝達を抑制する。
【0028】
図5に示すように、パニア3の前面部からは、下方に開放した開口72を有する断面ほぼ逆U字形状の支持受部71が前方に向け突設されており、ステップステー30のパニア支持部41は、ゴム製の防振キャップ73が被せられた状態で、支持受部71の開口72から中空部に嵌め込まれて、パニア3の前部を下方から支持する。
【0029】
図1に示すように、後輪15に制動を加えるリヤブレーキ・キャリパ74に、ブレーキペタル75の作動により駆動されるマスタシリンダ78がブレーキホース79を介して接続され、マスタシリンダ78に、リザーバタンク4がリザーバホース80を介して接続されている。リザーバタンク4は以下のような構造でステップステー30のタンク支持部42に支持されている。
【0030】
まず、リザーバタンク4は、図3に示すように、タンクボディ4aの上部開口がねじ込み式の開閉自在なタンクキャップ4bにより覆われている。このリザーバタンク4には、一方(前側)と他方(後側)に取付ブラケット81,87が設けられており、各取付ブラケット81,87に、ねじ挿通孔81a,87aが形成されている。タンクキャップ4bは、図1からわかるとおり、外側方から見て、後端部の下部の一部分を除く大部分、この実施形態では約90%が、ステップステー30と重合しないで、外側方に露出している。したがって、タンクキャップ4bを手で回転操作する際の操作性がよい。
【0031】
図3のリザーバタンク4の一方の取付ブラケット81のねじ挿通孔81aに、図4に示す外側からねじ体82が挿通されて、ステップステー30の取付片44のねじ孔43(図3)に螺合される。このとき、リザーバタンク4のタンクキャップ4bの脱落を防止するための規制部材88が、リザーバタンク4の一方の取付ブラケット81とともに、ねじ体82により取付片44に共締めされる。さらに、図5に示すように、リザーバタンク4の他方(後側)の取付ブラケット87のねじ挿通孔87a(図3)に、内側からねじ体83が挿通されて、ボス49のねじ孔48(図3)に螺合される。これにより、リザーバタンク4がステップステー30のタンク支持部42に締結される。
【0032】
つぎに、マフラ20のステップステー30への支持構造について、図4および図7を参照しながら説明する。まず、図4において、マフラ20の上部には2枚重ねの板材からなる支持片89が固着されており、この支持片89がマフラ支持部50に取り付けられている。具体的には、図7に示すように、マフラ支持部50の支持孔52には、ゴムのような弾性体からなるグロメット90が、弾性変形させながら嵌め込まれており、グロメット90の中空部に、両端につば部91aを有するブッシング91が内装されている。
【0033】
上述の状態で、マフラ支持部50に対して、支持片89に設けたねじ挿通孔92をマフラ支持部50のブッシング91の中空部91bに合致するよう位置決めし、ブッシング91の外側にキャップ93を嵌め込み、ねじ体98をキャップ93のねじ挿通孔94、ブッシング91の中空部91bおよび支持片89のねじ挿通孔92に挿通して、ナット99で締め上げることにより、マフラ21の上部がステップステー30のマフラ支持部50に強固に取り付けられる。この状態で、グロメット90が防振部材として作用し、ステップステー30からマフラ20への振動伝達を抑制する。
【0034】
上記構成において、図2に示すステップステー30は、操作ユニット25を支持するユニット支持部38が、後側の取付アーム部32Bから後方へ向け突設されてタンク支持部42の上方に離間した位置に配置され、パニア支持部41がユニット支持部38の後方側に配置されている。これにより、図1に明示されたように、操作ユニット25の操作部55は、外側方から見てステップステー30、リザーバタンク4およびパニア3との重合を回避した位置、つまり全体が外側方に露出する配置でステップステー30に支持されている。したがって、外側方から操作部55を容易に摘んで回動操作できるから、操作ユニット25の高い操作性を確保できる。
【0035】
また、ステップステー30は、操作ユニット25およびパニア3を支持するのに加えて、リザーバタンク4およびマフラ20の支持部材も兼ねているので、支持部材として十分に有効利用されており、リザーバタンク4およびマフラ20の支持部材を別途設ける必要がない。さらに、パニア3とマフラ20とが、共にステップステー30に支持されることから、互いの位置関係を確保でき、パニア3が高温のマフラ20に近づき過ぎるのを防止できる。
【0036】
また、図6に示したように、操作ユニット25はユニット防振部材であるグロメット61,61を介してステップステー30に支持されているから、ステップステー30から操作ユニット25に伝達される車体走行時の振動が減衰されるので、振動による操作ユニット25の操作部55の不測の回動を防止できる。さらに、図1に示すように、パニア3はパニア防振部材である防振キャップ73を介してステップステー30に支持されているから、ステップステー30からパニア3に伝達される車体走行時の振動が減衰されるので、パニア3に収納された物品に与える振動を抑制できる。
【0037】
操作ユニット25は、その回動軸心Cが車体のリヤフレーム2の後ろ上がりの下縁とほぼ平行に設定され、図4に示す操作ユニット25を支持するユニット支持部38の後方下方にリザーバタンク4を支持するタンク支持部42が配置され、このタンク支持部42の後方にパニア3を支持するパニア支持部41が配置されている。このように、操作ユニット25が後ろ上がりに傾斜するから、その後方の下方に大きなスペースが生じるので、ユニット支持部38の後方下方に、リザーバタンク4用のタンク支持部42およびパニア3用のパニア支持部41を、操作ユニット25から十分離して配置することが容易となる。その結果、操作ユニット25の操作部55は、外側方から見てステップステー30、リザーバタンク4およびパニア3との重合を回避した、外側方に露出する位置に容易に配置できる。
【0038】
また、図4に明示したように、操作ユニット25のユニット本体部26に操作部55のの操作量を示す目盛り56が付されているから、目盛り56を見ながら操作部55を手動操作することにより、後輪懸架装置24の特性を迅速、かつ、正確に調整することができ、操作ユニット25の操作性が向上する。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
3 パニア
4 リザーバタンク
20 マフラ
24 後輪懸架装置
25 操作ユニット
28 フットステップ
30 ステップステー
38 ユニット支持部
41 パニア支持部
42 タンク支持部
50 マフラ支持部
55 操作部
56 目盛り
61 グロメット(ユニット防振部材)
73 防振キャップ(パニア防振部材)
C 回動軸心
FR 車体フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7