(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁気検知素子は、感度軸方向において、前記2つの側板を結ぶ線の中点に配置され、感度軸と直交する方向において、前記入力側端板及び前記出力側端板を結ぶ線の中点に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電流検出装置。
前記磁気検知素子は、前記2つの側板、前記入力側端板、前記出力側端板、及び前記天板によって囲まれる空間において、上下方向において中心より上側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電流検出装置。
感度軸と直交する方向に沿って前記入力側端板から前記出力側端板に至るように前記底板を貫通するスリット部を備えることを特徴とする請求項6に記載の電流検出装置。
前記入力側端板の中央部に入力用突出部が一体に形成され、前記出力側端板の中央部に出力用の突出部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電流検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコアレス型の電流検出装置においては、測定磁界以外の外乱磁界(外部磁界)がある場合、この外乱磁界の影響を抑えるためのシールドとして、例えば、板状の磁性材料(例えば、パーマロイ(Fe−Ni合金)やけい素鋼板など)を磁気検知素子の周辺に配置するため、装置全体として大型化していた。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の電流検出器では、バスバーとシールド部材が別部品であり、バスバーには磁気検出器を嵌め込むことが可能なコの字状の凹部が設けられ、この凹部をシールド部材内に嵌め込むことによって、隣接するバスバーからの磁束の影響を低減している。しかしながら、この電流検出器は、部品数が多く、組立が煩雑であるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の電流検出装置は、中空の管状バスバー内に電流センサを配置した構造を備える。管状バスバーには、電流センサ用の信号線の導入及びバスバー内の熱の放出のために、長手方向の一部にスリットが設けられている。しかしながら、この電流検出装置では、バスバーを管状にするために装置としての大きな占有空間が必要となる。さらに、管状のバスバーにスリットを加工する必要があるため、製造が煩雑になるという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、外部磁界の影響を抑えつつ、装置の大型化を招くことなく容易に製造・組立を行うことのできる電流検出器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、磁気検知素子とバスバーとを備えた電流検出装置であって、前記バスバーは、導電性及び磁性を有する金属材料で一体に形成されて、前記磁気検知素子の上方を覆う天板と、前記磁気検知素子の左右両側に対向する2つの側板と、前記磁気検知素子の前後に対向する入力側端板ならびに出力側端板と、を有しており、前記2つの側板の対向方向が、前記磁気検知素子の感度軸方向で、前記入力側端板と前記出力側端板の対向方向が、前記感度軸と直交する方向であり、前記入力側端板の左右方向の中央部に電流が与えられ、前記出力側端板の左右方向の中央部から電流が出力されることを特徴としている。
【0010】
本発明の電流検出装置は、導電性及び磁性を有する金属材料によって、磁気検知素子を少なくとも5方向から覆うバスバーを形成したことによって、外部磁界に対するシールド機能を高めることができる。バスバーは、2つの側板、入力側端板、出力側端板、及び天板を金属材料で一体に形成することにより、容易に電流検出装置の製造・組立を行うことができる。
【0011】
本発明の電流検出装置では、前記磁気検知素子は、感度軸方向において、前記2つの側板を結ぶ線の中点に配置され、感度軸方向と直交する方向において、前記入力側端板及び前記出力側端板を結ぶ線の中点に配置されていることが好ましい。
【0012】
磁気検知素子を、2つの側板を結ぶ線の中点ならびに2つの端板を結ぶ線の中点に配置することによって、感度軸以外の方向の磁界をキャンセルでき、これにより精度良く電流磁界を検出することができ、バスバーを流れる電流を正確に測定することが可能となる。
【0013】
本発明の電流検出装置において、前記磁気検知素子は、前記2つの側板、前記入力側端板、前記出力側端板、及び前記天板によって囲まれる空間において、上下方向において中心より上側に配置されていることが好ましい。
【0014】
磁気検知素子を、上下方向において中心より上側に配置することにより、2つの側板を流れる電流による磁界の影響を相対的に小さくし、天板を流れる電流による磁界をより正確に測定することができる。
【0015】
本発明の電流検出装置では、例えば、前記金属材料はパーマロイで形成される。
本発明の電流検出装置において、前記バスバーは、前記磁気検知素子の下方が開放されていることが好ましい。
【0016】
磁気検知素子の下方を開放した構成、すなわち、磁気検知素子の下方に導電性及び磁性を有する金属材料で形成された部材を配置しない構成により、天板を流れる電流によって発生する磁界を正確に測定することができる。
【0017】
ただし、本発明の電流検出装置においては、前記バスバーは、前記磁気検知素子の下方を覆う底板を備えてもよいし、前記感度軸と直交する方向に沿って前記入力側端板から前記出力側端板に至るように、前記底板を貫通するスリット部を備えるものであってもよい。
【0018】
底板を設けることにより、磁気検知素子が配置される空間が、導電性及び磁性を有する金属材料で形成された部材で囲まれるため、外部磁界に対するシールド性が向上する。
【0019】
本発明の電流検出装置において、前記磁気検知素子は磁気抵抗効果素子であることが好ましい。ただし、磁気検知素子は、ホール素子などであってもよい。
【0020】
本発明の電流検出装置において、前記入力側端板の中央部に入力用突出部が一体に形成され、前記出力側端板の中央部に出力用の突出部が一体に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電流検出装置では、外部磁界の影響を抑えつつ、装置の大型化を招くことなく容易に製造・組立を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る電流検出装置について図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0024】
本発明の電流検出装置は、コアレスの磁気センサを用いて、外乱磁界の影響を受けない検出装置を提供するものである。この電流検出装置では、バスバーをシールド素材と電流路を兼ねた構成とすることにより、外乱磁界の影響を受けずに正確な電流検出を行うことのできる小型の電流検出装置を実現可能としている。
【0025】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電流検出装置では、磁気検知素子として磁気抵抗効果素子を用いている。
【0026】
磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR素子、トンネル効果を利用したTMR素子、または異方性磁気抵抗効果を利用したAMR素子である。
【0027】
磁気抵抗効果素子は2つの電極部とその間に位置する素子部を有している。この素子部は、1つの平面内でミアンダパターンに形成されており、固定磁性層/非磁性層/フリー磁性層が積層されて構成されている。固定磁性層の固定磁化方向が素子の感度軸Pの方向に一致している。フリー磁性層は外部磁界Hによって磁化の向きが変えられる。
【0028】
磁気抵抗効果素子の電気抵抗は、固定磁化方向とフリー磁性層の磁化の向きとの相対角度に応じて変化する。外部磁界が感度軸Pの向きに与えられると磁気抵抗効果素子の電気抵抗値が最小となり、外部磁界が感度軸Pに対して逆向きに与えられると電気抵抗値が最大となる。外部磁界が感度軸Pと直交する向きに与えられると、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値が中点の値となる。
【0029】
固定磁性層は反強磁性層と重ねられて磁場中で熱処理されることで磁化方向が固定される。または、固定磁性層を磁性層/非磁性中間層/磁性層の積層フェリ構造として、各磁性層を反平行に磁化固定したセルフピン止め型とすることも可能である。
【0030】
図1は、磁気抵抗効果素子を用いた電流検出のためのブリッジ回路の構成図である。
図1に示すように、感度軸Pの第1の磁気抵抗効果素子17と第1の抵抗19は、第1の出力取出し部26を介して直列接続されている。また、感度軸Pの第2の磁気抵抗効果素子18と第2の抵抗20は、第2の出力取出し部21を介して直列接続されている。
【0031】
第1の磁気抵抗効果素子17と第2の抵抗20とが入力端子22を介して接続されるとともに、第2の磁気抵抗効果素子18と第1の抵抗19とがグランド端子23を介して接続されている。また、第1の出力取出し部26と第2の出力取出し部21とが差動増幅器24を介して外部出力端子25に接続されている。
【0032】
図1に示す回路においては、各磁気抵抗効果素子17、18、及び、各抵抗19、20の電気抵抗値に基づき差動出力が生じる。
【0033】
バスバーに流れる電流によって生じる磁界の向きに応じて各磁気抵抗効果素子17、18の電気抵抗値が変動するため、差動出力を測定することによってバスバーに流れる電流を検出することができる。
【0034】
図2は、第1実施形態に係る電流検出装置100の構成を示す斜視図である。
磁気抵抗効果素子17,18を含むブリッジ回路は、樹脂パッケージ32に収納されている。樹脂パッケージ32からは、複数のリード端子31A,31Bが突出しており、ブリッジ回路の電源端子や接地端子ならびに前記外部出力端子25がリード端子31A,31Bのそれぞれに導通している。樹脂パッケージ32は基板40の上に実装され、リード端子31A,31Bが基板40の表面の配線パターンに接続されている。また、基板40からは複数の延出端子41が下向きに延びており、基板40の表面の配線パターンは、これら延出端子41に個別に導通している。
【0035】
図2に示すように、基板40は、バスバー50内に形成された空間51の内部に収納されて固定されている。バスバー50は、マザー基板に固定されるが、このとき延出基板41が、マザー基板の表面のマザー配線パターンに接続される。
【0036】
図3は、電流検出装置100の構成を示す斜視図である。
図4は、電流検出装置100の構成を示す、
図3のIV−IV’線における断面図である。
図3においては、バスバー以外の構成の図示を省略している。
【0037】
図3と
図4に示すように、バスバー50は、樹脂パッケージ32内の磁気検知素子の感度軸Pの方向(
図3、
図4のY方向:左右方向)において、磁気検知素子を挟んで互いに対向した2つの側板52、53と、磁気検知素子に与える磁界を発生させる電流を入力する入力側端板54と、入力側端板54から入力された電流を出力する出力側端板55と、磁気抵抗効果素子17,18の上方(
図3、
図4のZ方向の上側)を覆う天板56と、を備える。側板52と側板53は互いに同一の形状であり、入力側端板54と出力側端板55も互いに同一の形状である。また、側板52、53、入力側端板54、出力側端板55は、互いに同じ厚みを備える。基板40の下方、すなわち磁気抵抗効果素子17,18の下方は開放されている。
【0038】
入力側端板54及び出力側端板55は、磁気検知素子を挟んで互いに対向し、その対向方向(
図3、
図4のX方向)は磁気抵抗効果素子17,18の感度軸Pに直交している。
【0039】
側板52、53、入力側端板54、出力側端板55、及び天板56と、側板52、53、入力側端板54、及び出力側端板55の各下端面を含む仮想面60(
図4)とによって、バスバー50の内部に空間51が形成されている。前述のように、空間51の下側は解放されている。
【0040】
磁気抵抗効果素子は、感度軸Pにおいては、2つの側板52、53を結ぶ線の中点に配置され、入力側端板54と出力側端板55の対向方向においては、入力側端板54と出力側端板55を結ぶ線の中点に配置されている。別言すると、磁気抵抗効果素子は、空間51をZ方向から見たときに、長方形状の空間51の中心に配置されている。ここで、磁気抵抗効果素子及びこれを含むブリッジ回路は、バスバー50に対して十分小さいため、ブリッジ回路の位置を磁気抵抗効果素子の位置とみなすことができる。
【0041】
図4に、磁気抵抗効果素子17,18が配置されている配置レベルLが示されている。配置レベルLは、空間51の内部のZ方向(上下方向)の高さ中心よりも上側に配置されている。空間51の内部において、磁気抵抗効果素子17,18をZ方向の中心より上側に配置すると、天板56に近い位置に配置されることになるため、側板52、53を流れる電流による磁界の影響が相対的に小さくなり、天板56を流れる電流による磁界をより正確に測定することができる。
【0042】
入力側端板54のY方向中央部(左右方向の中央部)には、電流を入力するための第1突出部54aが一体に形成され、出力側端板55のY方向中央部(左右方向の中央部)には電流を出力するための第2突出部55aが一体に形成されている。第1突出部54aと第2突出部55aは互いに同一の形状で同一寸法である。また、第1突出部54aと第2突出部55aは、側板52、53、入力側端板54、出力側端板55、天板56と同じ材料で、同じ厚みに形成している。
【0043】
バスバー50がマザー基板に実装されると、第1の突出部54aが、マザー基板の電流供給パターンに接続され、第2の突出部55aが電流出力パターンに接続される。
【0044】
第1突出部54aから入力された電流Iは、入力側端板54から、側板52、53、及び天板56を通って、出力側端板55に至り、第2突出部55aから出力される。ここで、第1突出部54aから第2突出部55aに至る電流経路は、天板56のY方向中央部を通るものが最短であり、この経路を通る電流が最も多くなる。
【0045】
図5は、バスバー50における電流と磁界の関係を概念的に示す断面図である。
図5は、
図4と同様に、
図3のIV−IV’線における断面図であって、バスバー以外の構成の図示を省略している。
【0046】
図5は説明を容易にするためのものであって、それぞれの箇所を流れる電流の大きさを概念的に説明するために互いに独立した円環で表している。さらにそれぞれの箇所での電流の大きさを概念的に説明するために、電流の大きさに比例するように円環の大きさを変えて図示している。
【0047】
図5に示すように、第1突出部54aから入力された電流Iは、入力側端板54を介して、側板52、53及び天板56を流れ、この電流Iによって磁界Bが発生する。磁界Bの大きさは、電流の最短経路である天板56のY方向中央部が最も大きく、側板52又は側板53に近づくほど小さくなる。側板52及び側板53を流れる電流Iによる磁界Bは天板56を流れる電流Iによる磁界Bよりも小さく、天板56から離れるにしたがって徐々に小さくなる。
【0048】
側板52、53、入力側端板54、出力側端板55、及び天板56は、導電性及び磁性を有する金属材料、例えばパーマロイの成形によって、一体に形成されている。バスバー50の製造方法は、例えばパーマロイなどで形成された長尺状の薄板をプレス成形などの手段で成形し切断して複数のバスバー50を連続して形成し、その後に個々のバスバー50に切断分離することにより製造される。
【0049】
金属材料の板厚寸法は0.5〜1.2mm、空間54の左右方向(Y方向)ならびに前後方向(X方向)の寸法は、5〜15mmで、空間54の内部高さ寸法は2〜4mmである。
図4に示す磁気抵抗効果素子17,18の配置レベルLから空間54の内天井面までの高さ寸法hは0.5〜1mm程度である。前記高さ寸法hは、空間54の内部高さ寸法の1/3以下であることが好ましく、1/4以下であることがさらに好ましい。
【0050】
次に、磁気検知素子によって検出されるX、Y、Zの各方向の磁界成分について説明する。
【0051】
図6は、バスバー50の空間54の内部の各感知位置で測定される磁界強度(単位mT)の変化を示すグラフである。このグラフは、第1突出部54aに対して20A(アンペア)の電流を流したときに、それぞれの感知位置で検知されるX、Y、Z方向の各成分の磁界強度を一点鎖線、実線、破線でそれぞれ示している。
【0052】
図6に示す線図は、バスバー50の空間54の大きさを、X方向の内寸法とY方向の内寸法でそれぞれ8.4mmとし、空間54の高さ方向の内寸法を2.2mmとし、空間54の内天井面から下側へ0.7mm離れた配置レベルにおいて磁界強度を測定したと仮定したときのシミュレーション結果である。
【0053】
図6は、感知位置を、空間54の内部をX方向に二分した中心位置で、且つ空間54の内天井面からの距離を0.7mmに維持させたまま、空間54の内部でY方向の中心から左右両側へ感知位置を移動したときに、それぞれの感知位置において測定されるX、Y、Zの各方向の磁界強度を示している。
【0054】
図6の横軸は、空間54をY方向に二分する中点を原点として、側板53に近づく方向の距離を負の値で示し、側板52に近づく方向の距離を正の値で示している。縦軸は磁界強度である。
【0055】
図6に示すように、入力側端板54と出力側端板54に電流が流れることによりX方向の磁界成分が発生するが、感知位置をX方向の中点に配置することによって、入力側端板54と出力側端板55に流れる逆方向の電流で発生するX方向の逆向きの磁界がキャンセルされる。
【0056】
Z方向の磁界強度は、主に側板52及び側板53に流れる電流によって発生する。Z方向の磁界成分は、側板53に近くなるほど側板53を流れる電流による正の向きの磁界強度が大きくなり、側板52に近くなるほど側板52を流れる電流による負の向きの磁界強度が大きくなる。ただし、側板52と側板53の中点、すなわちY方向の中点では、Z方向の磁界強度による影響はほぼゼロとなる。
【0057】
図6に示す結果から、磁気抵抗効果素子17,18を、2つの側板52、53を結ぶ線の中点に配置し、且つ入力側端板54aと出力側端板55aの中点に配置することによって、感度軸P以外の方向(Y方向以外の方向)の磁界成分をゼロにすることができ、これにより感度軸Pを有する磁気抵抗効果素子17,18によって、バスバー50を流れる電流量を精度良く検出することができることが分かる。
【0058】
以上のように構成されたことから、第1実施形態に係る電流検出装置によれば、次の効果を奏する。
(1)バスバー50の天板51と2つの側板52,53ならびに入力側端板54と出力側端板55によって、磁気検知部を覆うことができるので、多方向からの外乱磁界に対してシールド効果を発揮することができる。そのため、バスバー50に流れる電流をノイズの影響を多く受けることなく、精度よく検知できる。
(2)バスバー50を略直方体形状とすることによって大型化を抑えた装置を実現することが可能となる。
(3)バスバー50において、基板40の下方を開放したことによって、バスバー50内の熱を放出することができる。
(4)磁気抵抗効果素子を、2つの側板52、53を結ぶ線の中点、ならびに入力側端板54と出力側端板55を結ぶ線の中点に配置することによって、バスバー50を流れる電流によって発生する磁界のうちの感度軸P以外の方向の磁界成分の影響をほとんどなくすことができる。このため、バスバーにおいて前後方向(X方向)に流れる電流量の変化を正確に測定することが可能となる。
(5)磁気抵抗効果素子17,18を、空間51において、Z方向(上下方向)の中心よりも上側に配置することにより、側板52、53を流れる電流による磁界の影響を相対的に小さくでき、天板56を流れる電流による磁界をより正確に測定することができる。
【0059】
<変形例>
以下に変形例について説明する。
バスバー50への電流の入出力は、上述の実施形態とは逆に、第2突出部55aから入力して第1突出部54aで出力させてもよい。また、磁気検知素子は、磁気抵抗効果素子に代えて、ホール素子を用いても良い。
【0060】
上述の実施形態においては、第1突出部54a及び第2突出部55aを、入力側端板54及び出力側端板55の下部から下側に延びるようにそれぞれ設け、第1の突出部54aを電流入力部、第2の突出部55aを電流出力部としていたが、入力側端板54及び出力側端板55に第1の突出部54aと第2の突出部55aを設けなくてもよい。この場合には、入力側端板54の左右方向(Y方向)の中央部に、電流入力端子を固定し、または電流入力用配線を直接に接続し、出力側端板55の左右方向の中央部に、電流出力端子を固定し、または電流出力用配線を直接に接続する構成となる。
【0061】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る電流検出装置200の構成を示す斜視図である。
図8は、第2実施形態に係る電流検出装置200の構成を示す、
図7のVIII−VIII’線における断面図である。
図9は、電流検出装置200の内部空間の各感知位置におけるX,Y,Z方向の各方向の磁界強度(単位mT)の変化を示すグラフである。
図7、
図8においては、バスバー150以外の部材の図示を省略している。
【0062】
第2実施形態においては、バスバー150に底板157を設けた点が第1実施形態と異なる。底板157は、側板152、153、入力側端板54、第1突出部154a、出力側端板155、第2突出部155a、天板156と同じ材料で、同じ厚みに形成している。その他の構成は第1実施形態と同様であって、側板152、153、入力側端板54、第1突出部154a、出力側端板155、第2突出部155a、天板156は、第1実施形態の側板52、53、入力側端板54、第1突出部54a、出力側端板55、第2突出部55a、天板56とそれぞれ同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0063】
底板157は、天板156に平行になるように、側板152、153、入力側端板54、出力側端板155の各下面に固定配置される。これにより、側板152、153、入力側端板154、出力側端板155、天板156、及び底板157によって、バスバー150の内部に空間151が形成される。空間151が、導電性及び磁性を有する金属材料で形成された部材で囲まれるため、外部磁界に対するシールド性が向上する。
【0064】
底板157の上面は、第1実施形態の仮想面60に一致するため、空間151は、第1実施形態の空間51と同一サイズである。さらに、空間151中における磁気抵抗効果素子(感度軸P)の配置も第1実施形態の配置と同じにしている。
【0065】
磁気抵抗効果素子17,18は、空間151において、Z方向(上下方向)の中心より天板156に近い側に配置されている。これにより、
図9に示すように、底板157を流れる電流によって発生する磁界の影響を低減して、天板156に流れる電流で発生するY方向成分の磁界を検知でき、バスバー250を流れる電流量を検知できるようになる。
【0066】
この場合も、磁気抵抗効果素子17,18を2つの側板152,153を結ぶ線の中点で、且つ入力側端板154と出力側端板155を結ぶ線の中点に配置することによって、
図9に示すように、X方向とZ方向の磁界成分の影響を受けることなく、バスバー150に流れる電流量を検知できるようになる。
【0067】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係る電流検出装置300の構成を示す斜視図である。
図11は、第3実施形態に係る電流検出装置300の構成を示す、
図10のXI−XI’線における断面図である。
図12は、電流検出装置300の内部空間の各感知位置におけるX,Y,Z方向の各方向の磁界強度(単位mT)の変化を示すグラフである。
図10、
図11においては、バスバー250以外の部材の図示を省略している。
【0068】
第3実施形態においては、バスバー250に対して、互いに同一形状の2枚の底板257a、257bを設けた点が第1実施形態と異なる。底板257a、257bは、側板252、253、入力側端板254、第1突出部254a、出力側端板255、第2突出部255a、天板256と同じ材料で、同じ厚みに形成している。その他の構成は第1実施形態と同様であって、側板252、253、入力側端板254、第1突出部254a、出力側端板255、第2突出部255a、天板256は、第1実施形態の側板52、53、入力側端板54、第1突出部54a、出力側端板55、第2突出部55a、天板56とそれぞれ同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0069】
第1の底板257aは、天板256に平行になるように、側板252、入力側端板254、出力側端板255の各下面に固定配置される。第2の底板257bも、天板256に平行になるように、側板253、入力側端板254、出力側端板255の各下面に固定配置される。これらの底板257a、257bは、X方向に延びるスリット部257sを介して、Y方向に並列に配置される。Y方向において、スリット部257sは、第1突出部254a及び第2突出部255aに対応する位置に設けられている。
【0070】
この構成により、側板252、253、入力側端板254、出力側端板255、天板256、及び、2つの底板257a、257bと、側板252、253、入力側端板254、及び出力側端板255の各下面によって形成される仮想面260(
図11)とによって、バスバー250の内部に空間251が形成される。空間251が、導電性及び磁性を有する金属材料で形成された部材でほぼ囲まれるため、外部磁界に対するシールド性が向上する。
【0071】
底板257a、257bの上面及び仮想面260は、第1実施形態の仮想面60に一致するため、空間251は、第1実施形態の空間51と同一サイズである。さらに、空間251中における磁気抵抗効果素子(感度軸P)の配置も第1実施形態の配置と同じにしている。
【0072】
磁気抵抗効果素子は、空間251において、天板256に近い側に配置されている。これにより、
図12に示すように、底板257a,257bを流れる電流によって発生する磁界の影響を低減して、天板256に流れる電流で発生するY方向成分の磁界を検知でき、バスバー250を流れる電流量を検知できるようになる。
【0073】
特に、磁気検知素子17,18の真下にスリット部257sが位置し、真下がバスバー250の金属材料で覆われていないので、底板257a,257bを流れる電流による磁界の影響を受けにくくなる。
【0074】
この場合も、磁気抵抗効果素子17,18を2つの側板252,253を結ぶ線の中点で、且つ入力側端板254と出力側端板255を結ぶ線の中点に配置することによって、
図12に示すように、X方向とZ方向の磁界成分の影響を受けることなく、バスバー250に流れる電流量を検知できるようになる。
【0075】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。