(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1面、前記第1面に形成された複数の第1電極、前記第1面とは反対側の第2面、前記第2面に形成された複数の第2電極、および前記第1面および前記第2面のうちの一方側から他方側に向かって形成された複数の孔を有する第1配線基板と、
半導体チップ、前記半導体チップと電気的に接続された第2配線基板、前記第2配線基板の実装面側に設けられた複数の外部端子を有し、前記第1配線基板の前記第1面側に固定された半導体パッケージと、
第1端子および第2端子を有し、前記第1配線基板の前記第2面側に搭載されたコンデンサと、
を備え、
前記半導体パッケージの前記複数の外部端子は、前記第1配線基板の前記複数の第1電極とそれぞれ電気的に接続され、
前記コンデンサの前記第1端子は前記第1配線基板の前記複数の第2電極のうちの第1端子用電極と、前記コンデンサの前記第2端子は前記第1配線基板の前記複数の第2電極のうちの第2端子用電極と、それぞれ電気的に接続され、
前記第1配線基板の厚さは、前記第2配線基板の厚さよりも大きく、
前記複数の第1電極は、複数の電源電位用第1電極と、複数の基準電位用第1電極と、複数の信号用第1電極と、を有し、
前記複数の孔は、電源電位用孔と、基準電位用孔と、複数の信号用孔と、を有し、
前記電源電位用孔および前記基準電位用孔のそれぞれの径は、前記複数の信号用孔のそれぞれの径よりも大きく、
平面視において、前記電源電位用孔は、前記複数の電源電位用第1電極のそれぞれの一部および前記第1端子用電極と重なり、
平面視において、前記基準電位用孔は、前記複数の基準電位用第1電極のそれぞれの一部および前記第2端子用電極と重なり、
前記複数の電源電位用第1電極のそれぞれは、前記電源電位用孔の内部に形成された電源電位用配線を介して、互いに繋がり、
前記複数の基準電位用第1電極のそれぞれは、前記基準電位用孔の内部に形成された基準電位用配線を介して、互いに繋がり、
前記複数の信号用第1電極は、互いに分離され、
前記複数の電源電位用第1電極のそれぞれは、前記電源電位用配線を介して、前記第1端子用電極と電気的に接続され、
前記複数の基準電位用第1電極のそれぞれは、前記基準電位用配線を介して、前記第2端子用電極と電気的に接続される、電子装置。
第1面、前記第1面に形成された複数の第1電極、前記第1面とは反対側の第2面、前記第2面に形成された複数の第2電極、および前記第1面および前記第2面のうちの一方側から他方側に向かって形成された複数の孔を有する第1配線基板と、
半導体パッケージを収容する収容部、および前記収容部内に設けられた複数のテスト端子を有し、前記第1配線基板の前記第1面側に固定されたテストソケットと、
第1端子および第2端子を有し、前記第1配線基板の前記第2面側に搭載されたコンデンサと、
を備え、
前記テストソケットの前記複数のテスト端子は、前記第1配線基板の前記複数の第1電極とそれぞれ電気的に接続され、
前記コンデンサの前記第1端子は前記第1配線基板の前記複数の第2電極のうちの第1端子用電極と、前記コンデンサの前記第2端子は前記第1配線基板の前記複数の第2電極のうちの第2端子用電極と、それぞれ電気的に接続され、
前記複数の第1電極は、複数の電源電位用第1電極と、複数の基準電位用第1電極と、複数の信号用第1電極と、を有し、
前記複数の孔は、電源電位用孔と、基準電位用孔と、複数の信号用孔と、を有し、
前記電源電位用孔および前記基準電位用孔のそれぞれの径は、前記複数の信号用孔のそれぞれの径よりも大きく、
平面視において、前記電源電位用孔は、前記複数の電源電位用第1電極のそれぞれの一部および前記第1端子用電極と重なり、
平面視において、前記基準電位用孔は、前記複数の基準電位用第1電極のそれぞれの一部および前記第2端子用電極と重なり、
前記複数の電源電位用第1電極のそれぞれは、前記電源電位用孔の内部に形成された電源電位用配線を介して、互いに繋がり、
前記複数の基準電位用第1電極のそれぞれは、前記基準電位用孔の内部に形成された基準電位用配線を介して、互いに繋がり、
前記複数の信号用第1電極は、互いに分離され、
前記複数の電源電位用第1電極のそれぞれは、前記電源電位用配線を介して、前記第1端子用電極と電気的に接続され、
前記複数の基準電位用第1電極のそれぞれは、前記基準電位用配線を介して、前記第2端子用電極と電気的に接続される、テストボード。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0013】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0014】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0015】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0016】
また、本願では、上面、あるいは下面という用語を用いる場合があるが、半導体パッケージの実装態様には、種々の態様が存在するので、半導体パッケージを実装した後、例えば上面が下面よりも下方に配置される場合もある。本願では、半導体チップの素子形成面側の平面を表面、表面の反対側の面を裏面として記載する。また、配線基板のチップ搭載面側の平面を上面あるいは表面、上面の反対側に位置する面を下面として記載する。
【0017】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0018】
<電子装置>
まず、本実施の形態の電子装置の構成の概要について説明する。
図1は、本実施の形態の電子装置の半導体パッケージ実装面側の一部を示す拡大平面図、
図2は
図1に示す実装基板の反対面側を示す拡大平面図である。また、
図3は、
図2のA−A線に沿った拡大断面図である。また、
図4は、
図3に示す半導体装置の実装面側の平面図である。また、
図5は、
図3に示す実装基板の半導体パッケージ搭載面側の拡大平面図である。なお、本実施の形態で説明する各図では、電極や端子を見やすくするため、端子数が少なく、かつ各端子の平面寸法が大きい例を取り上げて説明している。また、平面視における実装基板MB1の電極Mp1、Mp2と半導体チップ2の位置関係を示すため、
図2には、半導体チップ2の輪郭を二点鎖線で示している。また、
図2では、配線基板3の輪郭も二点鎖線で示している。
【0019】
図1および
図2に示すように、本実施の形態の電子装置ED1は、実装基板(ボード、マザーボード、配線基板、支持基板)MB1、および実装基板に搭載された半導体装置(半導体パッケージ)SP1を備えている。また、
図2に示すように、電子装置ED1は、実装基板MB1に搭載される、少なくとも1個以上のコンデンサ(コンデンサ素子、チップコンデンサ)CP1を備えている。
【0020】
半導体装置SP1は、半導体集積回路が形成された半導体チップ2、および半導体集積回路と電気的に接続された複数の外部端子である複数の半田ボールSBが形成された配線基板3を有する半導体パッケージである。
【0021】
半導体チップ2は、
図3に示すように表面(主面、上面)2a、表面2aとは反対側の裏面(主面、下面)2b、および、表面2aと裏面2bとの間に位置する側面2cを有し、平面視において四角形の外形形状を成す。半導体チップ2の平面サイズ(平面視における寸法、表面2aおよび裏面2bの寸法、外形サイズ)は、例えば一辺の長さが5mm〜10mm程度である。半導体チップ2は、例えばシリコン(Si)から成る半導体基板の半導体素子形成面に、複数の半導体素子が形成されている。この複数の半導体素子は、半導体素子上に積層された配線層を介して表面2a側に形成された複数のパッド(電極、電極パッド)2pdと電気的に接続されている。半導体チップ2には、上記した半導体素子およびこの半導体素子に接続される配線層によって構成される、複数の回路が形成されている。この複数の回路には、例えば、演算処理回路や記憶回路など、半導体チップ2が備える主要な機能を構成する主回路(コア回路)と、半導体チップ2に電気信号を入出力するための入出力回路と、が含まれる。
【0022】
また、配線基板3は、半導体チップ2が搭載された上面(面、チップ搭載面)3a、上面3aとは反対側の下面(面、実装面)3b、および上面3aと下面3bの間に配置された側面3cを有し、平面視において四角形の外形形状を成す。配線基板3の平面サイズ(平面視における寸法、上面3aおよび下面3bの寸法、外形サイズ)は、例えば一辺の長さが10mm〜20mm程度である。また、配線基板3の厚さ、すなわち、
図3に示す上面3aから下面3bまでの距離は、例えば0.2mm〜2.0mm程度である。
【0023】
配線基板3は、上面3a側に搭載された半導体チップ2と実装基板MB1とを電気的に接続するため、平面視における端子の位置を調整するインタポーザである。配線基板3のチップ搭載面である上面3aには、半導体チップ2と電気的に接続される複数のボンディングフィンガ(端子、チップ搭載面側端子、電極、ボンディングリード)3fが形成されている。
【0024】
また、実装基板MB1に搭載される実装面である下面3bには、複数のランド3gが形成されている。そして複数のボンディングフィンガ3fと複数のランド3gは、上面3a側と下面3b側とを電気的に接続する配線層に形成された複数の配線3dを介して電気的に接続されている。複数の配線3dには、絶縁層3eの上面または下面に形成される引出配線、および絶縁層3eを厚さ方向に貫通するように形成されている層間導電路であるビア配線(絶縁層3eのビアの内部に形成された配線)が含まれる。なお、
図3に示す例では、配線基板3が、四層の配線層を有している例を示している。ただし、配線基板3が備える配線層数は、
図3に示す例の他、三層以下、あるいは五層以上の配線層を有する種々の変形例がある。
【0025】
また、
図3に示す例では、半導体チップ2の表面2aは、配線基板3の上面3aと対向している。このような実装方式は、フェイスダウン実装方式(フリップチップ実装方式ともいう)と呼ばれる。フェイスダウン実装方式の場合、半導体チップ2のインタフェース端子であるパッド2pdと、配線基板3のインタフェース端子であるボンディングフィンガ3fとは、突起電極(バンプ)2bpを介して電気的に接続される。また、半導体チップ2の表面2aと配線基板3の上面3aの間には、絶縁材料から成る樹脂(アンダフィル樹脂、絶縁性フィルム)4が配置され、半導体チップ2と配線基板3の電気的接続部分(突起電極2bp)の周囲は、樹脂4により封止されている。
【0026】
フェイスダウン実装方式の場合、配線基板3と半導体チップ2の電気的接続経路には、図示しない金属ワイヤが介在せず、接続経路距離を短くすることができる。また、ワイヤループを形成しなくても良いので、半導体パッケージの厚さを薄くできるという利点がある。
【0027】
ただし、
図3に対する変形例としては、半導体チップ2の裏面2bが配線基板3の上面3aと対向する、いわゆるフェイスアップ実装方式により半導体チップ2を搭載することもできる。この場合、半導体チップ2の複数のパッド2pdと配線基板3のボンディングフィンガ3fとは、図示しないワイヤを介して電気的に接続される。また、フェイスアップ実装方式を適用する場合、隣り合うワイヤ同士が接触しないように保護するため、半導体チップ2および半導体チップ2に接続される複数のワイヤを樹脂で封止する。
【0028】
また、配線基板3の複数のランド3gには、半導体装置SP1の外部端子である複数の半田ボールSBがそれぞれ接合されている。詳しくは、配線基板3の下面3bは、絶縁膜(ソルダレジスト膜)SRにより覆われている。絶縁膜SRには開口部が形成され、この開口部において、複数のランド3gの少なくとも一部が絶縁膜SRから露出している。そして、ランド3gの露出部分に、半田ボールSBが接合されている。
【0029】
また、
図4に示すように、配線基板3の下面3bの複数のランド3gに接合される複数の半田ボール(外部端子、電極、外部電極)SBは、行列状(アレイ状、マトリクス状)に配置されている。言い換えれば、複数のランド3gおよび複数の半田ボールSBは、配線基板3の下面3bの各辺に沿って、かつ複数列に亘って配置されている。このように、配線基板3の実装面側に、複数の外部端子(半田ボールSB、ランド3g)を行列状に配置する半導体装置を、エリアアレイ型の半導体装置と呼ぶ。エリアアレイ型の半導体装置は、配線基板3の実装面(下面3b)側を、外部端子の配置スペースとして有効活用することができるので、外部端子数が増大しても半導体装置の実装面積の増大を抑制できる点で好ましい。つまり、高機能化、高集積化に伴って、外部端子数が増大する半導体装置を省スペースで実装することができる。
【0030】
また、
図3に示す、半導体装置SP1が実装される実装基板MB1は、半導体装置SP1の搭載面である上面Ma、および上面(面、半導体装置実装面)Maの反対側の下面(面、裏面)Mbを有している。実装基板MB1は、半導体装置SP1およびコンデンサCP1を含む、複数の電子部品を搭載して電気的に接続し、モジュールを形成する基板であり、複数の電子部品を支持する強度が要求される。このため、実装基板MB1の厚さは半導体装置SP1の配線基板3の厚さよりも大きい(厚い)。例えば、
図3に示す例では、実装基板MB1の厚さは、4mm〜5mm程度である。実装基板MB1の厚さは、上面Maおよび下面Mbのうち、一方の面から他方の面までの距離である。また、配線基板3の厚さは、上面3aおよび下面3bのうち、一方の面から他方の面までの距離である。また、実装基板MB1の基材である絶縁材NC1は、例えばガラス布にエポキシ系の樹脂を含浸させた、プリプレグ材などが用いられる。
【0031】
実装基板MB1の上面Maには、複数の電極Mp1が形成されている。複数の電極Mp1は、
図3に示す半導体装置SP1の外部端子である半田ボールSBを接続するための、実装基板MB1側のインタフェース用端子である。したがって、電極Mp1の配列は、
図4に示す半田ボールSBの配列に対応している。すなわち、本実施の形態では、
図5に示すように、複数の電極Mp1は、平面視において、行列状(アレイ状、マトリクス状)に配置されている。詳しくは、実装基板MB1の上面Maには、上面Maを覆う絶縁膜(ソルダレジスト膜)SRが形成されている。そして絶縁膜SRには、開口部が形成され、複数の電極Mp1のそれぞれの少なくとも一部が、開口部において絶縁膜SRから露出している。電子装置ED1では、絶縁膜SRの開口部において露出する電極Mp1の一部に半田ボールSBが接続されることで、実装基板MB1と半導体装置SP1とが電気的に接続される。
【0032】
また、実装基板MB1の下面Mbには、複数の電極Mp2が形成されている。複数の電極Mp2は、コンデンサCP1を含む複数の電子部品と、実装基板MB1とを電気的に接続するための実装基板MB1側のインターフェース端子である。
図3に示すように、複数の電極Mp2は、実装基板MB1に形成された複数のスルーホール配線THmを介して上面Ma側の複数の電極Mp1と、それぞれ電気的に接続されている。
【0033】
スルーホール配線THmは、実装基板MB1の上面Ma側と下面Mb側とを電気的に接続する配線である。実装基板MB1には、上面Maおよび下面Mbのうちの一方から他方側に向かって形成された複数のスルーホール(孔)TH1、TH2、TH3が形成されている。スルーホールTH1、TH2、TH3の内部には、スルーホールTH1、TH2、TH3の壁面に沿って金属膜を埋め込むことにより、スルーホール配線THmが形成されている。スルーホール配線THmの上記以外の詳細な特徴については後述する。
【0034】
また、
図3に示すように、実装基板MB1の下面Mbには、電源電位用端子ERdおよび基準電位用端子ERsを有するコンデンサCP1が搭載されている。コンデンサCP1は、半導体装置SP1が有する回路に供給される直流電源の電圧の変動を抑制する目的で電源電位供給経路と基準電位供給経路との間に接続される、いわゆるバイパスコンデンサである。したがって、コンデンサCP1は、実装基板MB1が有する電極Mp1、Mp2およびスルーホール配線THmを介して半導体装置SP1と電気的に接続されている。詳しくは、コンデンサCP1の電源電位用端子ERdは、実装基板MB1の複数の電極Mp2のうちの電源電位用電極Pd2と半田材(符号による図示は省略)を介して電気的に接続されている。また、コンデンサCP1の基準電位用端子ERsは実装基板MB1の複数の電極Mp2のうちの基準電位用電極Ps2と、半田材を介して電気的に接続されている。
【0035】
なお、パッド2pdとボンディングフィンガ3fを接続する半田材および
図3に示す半田ボールSBは、鉛(Pb)を実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田からなり、例えば錫(Sn)のみ、錫−ビスマス(Sn−Bi)、または錫−銀−銅(Sn−Ag−Cu)などである。ここで、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHs(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。以下、本願において、半田について説明する場合には、特にそうでない旨明示した場合を除き、鉛フリー半田を指す。
【0036】
<バイパスコンデンサと半導体装置の接続経路>
次に、
図3に示すコンデンサCP1と半導体装置SP1の接続経路の詳細について説明する。
図6は、
図3に示す電子装置が有する電子部品の電気的接続関係を示す回路ブロック図である。また、
図7は、
図5のB部の拡大平面図、
図8は
図7のA−A線に沿った拡大断面図、
図9は
図5のC部の拡大平面図、
図10は
図9のA−A線に沿った拡大断面図である。なお、
図3に示す半導体チップ2には、
図6に示す回路以外に複数の回路が形成されているが、
図6では、半導体チップ2が有する回路のうちの一部を、代表的に示している。また、
図7および
図9では、電極Mp1やスルーホールランドTHL(
図9参照)を構成する金属パターンの輪郭、および平面視におけるスルーホールTH1、TH2の輪郭を、点線を付して示している。また、
図9および
図10では、
図5に示す複数の電極Mp1のうち、複数の電源電位用電極Pd1が配置された領域を代表例として示しているが、
図5に示す複数の基準電位用電極Ps1が配置された領域の構造も同様なので、基準電位用電極Ps1の符号も付している。
【0037】
図6に示すように、半導体チップ2には、コア回路CR1および入出力回路CC1が形成されている。入出力回路CC1は、半導体チップ2の外部から入力された電気信号をコア回路CR1に入力する機能、およびコア回路CR1から出力された電気信号を半導体チップ2の外部に出力する機能を備えている。また、コア回路CR1は、入出力回路以外の能動回路であって、例えば、演算処理回路、制御回路、記憶回路、電力変換回路、駆動回路、センサ回路、等を例示することができる。なお、
図6では、入出力回路CC1に電気信号の伝送経路である一本の信号線SG1が接続された例を示しているが、信号線SG1の数は一本には限定されず、複数の信号線SG1を接続する場合もある。
【0038】
また、コア回路CR1および入出力回路CC1には、それぞれの回路の駆動電圧を供給する電力供給線が接続されている。詳しくは、コア回路CR1には、電源RG1からコア用電源電位を供給する電源電位線VD1と、電源RG1からコア用基準電位を供給する基準電位線VS1と、が接続されている。また、入出力回路CC1には、電源RG2から入出力用電源電位を供給する電源電位線VD2と、電源RG2から入出力用基準電位を供給する基準電位線VS2と、が接続されている。
【0039】
また、コア回路CR1と電源RG1の間には、コンデンサCP1が電源RG1と並列に接続されている。また、コンデンサCP1は、電源電位用端子ERdおよび基準電位用端子ERsを有している。コンデンサCP1の電源電位用端子ERdは電源電位線VD1に接続され、基準電位用端子ERsは基準電位線VS1に接続されている。すなわち、コンデンサCP1は、コア回路CR1に供給される直流電源の電圧の変動を抑制する目的で電源電位線VD1と基準電位線VS1との間に接続される、バイパスコンデンサである。
図6に示すように、本実施の形態では、コア回路CR1と電源RG1の間には、複数の(
図6では2個)コンデンサCP1が接続されている。ただし、コンデンサCP1の数は、バイパスコンデンサとして必要な電気的特性に応じて、適宜変更することができる。
【0040】
また、入出力回路CC1と電源RG2の間には、コンデンサCP2が電源RG2と並列に接続されている。また、コンデンサCP2は、電源電位用端子ERdおよび基準電位用端子ERsを有している。コンデンサCP2の電源電位用端子ERdは電源電位線VD2に接続され、基準電位用端子ERsは基準電位線VS2に接続されている。すなわち、コンデンサCP2は、入出力回路CC1に供給される直流電源の電圧の変動を抑制する目的で電源電位線VD2と基準電位線VS2との間に接続される、バイパスコンデンサである。
【0041】
ここで、バイパスコンデンサは、直流電源の電圧の変動を抑制するための容量素子なので、電源が消費される回路(
図6に示す例では、コア回路CR1または入出力回路CC1)からバイパスコンデンサまでの電源回路の距離は小さくすることが好ましい。バイパスコンデンサと電源消費回路との距離が大きくなると、経路中の抵抗成分が増大する。また、バイパスコンデンサと電源消費回路との距離が大きくなると、経路中のインダクタンス成分が増大する。特に、コア回路CR1の場合、入出力回路CC1と比較して、電圧の変動による特性劣化の影響が相対的に大きい。
【0042】
ここで、本実施の形態のように外部端子が行列状に配置されるエリアアレイ型の半導体装置SP1の場合、多数の外部端子が、密集している。このため、実装基板MB1の半導体パッケージ搭載面である上面Maには、バイパスコンデンサを配置するスペースが確保し難い。また、半導体チップ2の高機能化に伴い、多数、かつ多種類のコア回路が形成される場合には、必要なバイパスコンデンサの数が増大するので、バイパスコンデンサのレイアウトの制約が大きくなる。そこで、本実施の形態では、
図2および
図3に示すようにバイパスコンデンサであるコンデンサCP1およびコンデンサCP2を実装基板MB1の下面Mbに配置している。
【0043】
図3に示すように、半導体装置SP1とコンデンサCP1のそれぞれを、実装基板MB1の厚さ方向(
図3のZ方向)において、重なるように搭載すれば、バイパスコンデンサであるコンデンサCP1とコア回路CR1(
図6参照)の経路距離(経路長)を小さくすることができるので、特に好ましい。
【0044】
図3に示す例では、コンデンサCP2は、実装基板MB1の厚さ方向において、半導体装置SP1と重ならない位置に搭載されている。これは、実装基板MB1の下面Mbにおいて、複数のコンデンサCP1の配置スペースを確保するために、相対的に優先順位が低いコンデンサCP2の位置を、半導体装置SP1と重ならない位置にずらして配置したものである。ただし、変形例としては、コンデンサCP2も、コンデンサCP1と同様に、実装基板MB1の厚さ方向において、半導体装置SP1と重なる位置に搭載することもできる。
【0045】
ところが、本願発明者は以下の課題を見出した。すなわち、実装基板MB1には、半導体装置SP1およびコンデンサCP1を含む種々の電子部品を支持する強度が要求されるため、半導体装置SP1の小型化に対応して、微細加工を施すことが難しい。
【0046】
半導体パッケージに対する小型化の要求や高機能化の要求に伴って、多数の外部端子を密集させて(言い換えれば狭いピッチで)配置する必要がある。例えば、
図4に示す例では、行列状に配置された複数の半田ボールSBのうち隣り合う半田ボールSBの中心間距離(
図7に示す距離L1)は、設計寸法が例えば0.4mmになっている。また、
図3に示すように実装基板MB1の複数の電極Mp1のそれぞれには半田ボールSBが接続されるので、
図5に示す複数の電極Mp1のうち、隣り合う電極Mp1の中心間距離も設計寸法が0.4mmになっている。
【0047】
このように、多数の外部端子を狭いピッチで配置する場合、隣り合う外部端子同士の短絡を抑制する観点から、実装基板の上面3a側と下面3b側とを電気的に接続するスルーホール配線THm(
図3参照)を形成するための貫通孔(スルーホール)の孔径(開口径)を小さくする必要がある。例えば、
図7および
図8に示すように、複数の電極Mp1のそれぞれに接続される複数のスルーホールTH2の孔径L2(
図7参照)は、0.27μm程度である。
【0048】
この0.27μmの孔径を有するスルーホールTH2は、例えば図示しないドリルを用いて形成される。ところが、上記したように実装基板MB1の厚さは、
図3に示す配線基板3よりも厚いため、実装基板MB1を厚さ方向に貫通する孔を小さい孔径で安定的に形成することが難しい。また、実装基板MB1の基材である絶縁材NC1は、プリプレグなどの固い材料で構成されているので、この点でも、実装基板MB1を厚さ方向に貫通する孔を小さい孔径で安定的に形成することが難しい。
【0049】
したがって、
図3に示すように、相対的に孔径が小さいスルーホールTH2は、実装基板MB1の上面Maから下面Mbまでは貫通せず、上面Maと下面Mbの間まで形成されている。また、スルーホールTH2に接続される電極Mp1は、上面Maと下面Mbの間に形成された迂回配線CW1を介して下面Mb側の電極Mp2と電気的に接続されている。詳しくは、
図3に示すように実装基板MB1の厚さ方向において半導体装置SP1と重ならない位置に、スルーホールTH2よりも孔径が大きいスルーホールTH3が形成されている。スルーホールTH3の孔径は、スルーホールTH2の孔径よりも大きく、例えば、0.35mm〜0.42mm程度である。相対的に孔径が大きいスルーホールTH3は、実装基板MB1を厚さ方向に貫通することができるので、スルーホールTH3は、実装基板MB1の下面Mbに形成された電極Mp2に接続される。そして、迂回配線CW1は、スルーホールTH3の壁面に沿って形成されたスルーホール配線THm、およびスルーホールTH2の壁面に沿って形成されたスルーホール配線THmのそれぞれに接続されている。つまり、スルーホールTH2に接続される電極Mp1は、迂回配線CW1およびスルーホールTH3に形成されたスルーホール配線THmを介して電極Mp2と電気的に接続されている。
【0050】
上記した通り、バイパスコンデンサは、電力が消費される回路までの経路距離を短くすることが好ましい。このため、
図3に示す迂回配線CW1を経由して実装基板MB1の上面Ma側と下面Mb側とを接続する場合、迂回配線CW1を経由しない場合と比較して、経路距離が長くなる。この結果、電圧の供給経路のインピーダンス成分が大きくなり、電圧の変動を抑制する効果が減少する。また、バイパスコンデンサに接続される電源供給経路の経路距離が大きくなると、経路中のインダクタンスが大きくなるので、特に高周波回路においては、反共振の影響を回避するためのマージンが小さくなる。なお、ここでのインダクタンスとは、自己インダクタンスを指す。
【0051】
そこで、本願発明者は、電圧の変動による特性劣化の影響が大きいコア回路CR1(
図6参照)に電圧を供給する経路について、実装基板MB1を厚さ方向に貫通するスルーホールTH1を介して上面Ma側の電極Mp1と下面Mb側の電極Mp2とを接続する技術について検討した。
【0052】
本実施の形態では、
図5に示す複数の電極Mp1のうち、コア回路CR1(
図6参照)に電源電位を供給する複数の電源電位用電極Pd1およびコア回路CR1に基準電位を供給する複数の基準電位用電極Ps1が、
図3に示すスルーホールTH2よりも孔径が大きいスルーホールTH1内に形成されたスルーホール配線THmに接続される。
【0053】
スルーホールTH1は、平面視において、電極Mp1の数個分のスペースを使用できるので、孔径を大きくすることができる。
図9に示す例では、スルーホールTH1の孔径L3は、
図7に示すスルーホールTH2の孔径L2よりも大きく、例えば、0.35mm〜0.42mm程度である。スルーホールTH1は、孔径L3が大きいので、例えばドリルを用いて貫通孔を形成する技術を用いて、安定的に実装基板MB1を厚さ方向に貫通させることができる。この結果、
図3に示すように迂回配線CW1を介さずに、バイパスコンデンサであるコンデンサCP1が接続される電極Mp2と半導体装置SP1が接続される電極Mp1とを接続することができる。以下、本実施の形態の詳細について説明する。
【0054】
まず、
図5に示す複数の電極Mp1のうち、コア回路CR1(
図6参照)に電源電位を供給する複数の電源電位用電極Pd1のそれぞれが隣り合うように形成されている。また、複数の電極Mp1のうち、コア回路CR1に基準電位を供給する複数の基準電位用電極Ps1のそれぞれが隣り合うように形成されている。つまり、本実施の形態では、コア回路CR1に電圧を供給する複数の端子を形成し、この複数の端子を集約配置している。上記したように、コア回路CR1とバイパスコンデンサを接続する電圧の供給経路は、インピーダンス成分を低減することが好ましい。本実施の形態のように、コア回路CR1に電圧を供給する端子を複数設ける構造は、電圧の供給経路のインピーダンス成分を低減する観点からも好ましい。
【0055】
また、
図10に示すように、実装基板MB1の厚さ方向において、電源電位用孔であるスルーホールTH1dは、複数の電源電位用電極Pd1のそれぞれの一部、および電源電位用電極Pd2と重なっている。また、スルーホール(電源電位用孔)TH1dの内部に形成されたスルーホール配線(電源電位用配線)THmdは、スルーホールTH1の壁に沿って円筒形に形成されている。このため、複数の電源電位用電極Pd1のそれぞれは、スルーホールTH1dの内部に形成されたスルーホール配線THmdを介して、互いに繋がっている。したがって、複数の電源電位用電極Pd1のそれぞれは、スルーホールTH1dの内部に形成された電源電位用のスルーホール配線THmdを介して、電源電位用電極Pd2と電気的に接続されている。
【0056】
また、
図10に示すように、実装基板MB1の厚さ方向において、基準電位用孔であるスルーホールTH1sは、複数の基準電位用電極Ps1のそれぞれの一部、および基準電位用電極Ps2と重なっている。また、スルーホール(基準電位用孔)TH1sの内部に形成されたスルーホール配線(基準電位用配線)THmsは、スルーホールTH1の壁に沿って円筒形に形成されている。このため、複数の基準電位用電極Ps1のそれぞれは、スルーホールTH1sの内部に形成されたスルーホール配線THmsを介して、互いに繋がっている。したがって、複数の基準電位用電極Ps1のそれぞれは、スルーホールTH1sの内部に形成された基準電位用のスルーホール配線THmsを介して、基準電位用電極Ps2と電気的に接続されている。
【0057】
ところで、実装基板MB1の上面Ma側に形成される複数の電極Mp1の全てについて、
図9に示す複数の電源電位用電極Pd1または基準電位用電極Ps1と同様な構造を適用することも考えられる。この場合、実装基板MB1に形成される貫通孔の全てがスルーホールTH1と同じ寸法で形成される。しかし、複数の電極Mp1の中には、実装基板MB1を貫通するスルーホールTH1やスルーホールTH3と接続する必要がない電極Mp1がある。そこで、本実施の形態では、複数の電極Mp1のうち、流れる電流の種類に応じて、
図9および
図10に示す構造と、
図7および
図8に示す構造と、を混在させている。
【0058】
まず、
図6に示すように、電気信号の伝送経路である信号線SG1は、バイパスコンデンサに接続されていない。したがって、
図5に示す複数の電極Mp1のうち、信号伝送用に用いられる複数の信号用電極Pg1は、
図7および
図8に示す構造を適用する。すなわち、複数の信号用電極Pg1のそれぞれは、
図7および
図8に示すようにスルーホール(信号用孔)TH2gに繋がっている。また、複数の信号用電極Pg1のそれぞれは、スルーホールTH2gの内部に形成されたスルーホール配線(信号用配線)THmgと電気的に接続されている。
図3に示すように、スルーホールTH2は、実装基板MB1を貫通せず、上面Maから上面Maと下面Mbの間まで延びる孔なので、孔径L2(
図7参照)は
図9に示すスルーホールTH1の孔径L3よりも小さくできる。したがって、複数の信号用電極Pg1を例えば隣り合って配置した場合でも、隣り合う信号用電極Pg1同士を電気的に分離することができる。そして、電気的に分離された複数の信号用電極Pg1と複数のスルーホール配線THmgのそれぞれが電気的に接続される。つまり、複数の信号用電極Pg1のそれぞれを、互いに異なる電気信号の伝送経路として利用できるので、インタフェース用端子の配置密度を向上させることができる。この結果、半導体装置SP1を小型化できる。
【0059】
また、
図5、
図7、および
図8に示す複数の入出力回路駆動用電極Pz1は、入出力回路CC1(
図6参照)に電源電位を供給する電源電子用電極、および入出力回路CC1に基準電位を供給する基準電位用電極の対である。上記したように、
図6に示す入出力回路CC1に駆動電圧を供給する回路はバイパスコンデンサであるコンデンサCP2に接続される。しかし、入出力回路CC1は、コア回路CR1と比較して、電圧の変動による特性劣化の影響が小さい。
【0060】
このため、本実施の形態では、
図5に示す複数の電極Mp1のうち、入出力回路CC1(
図6参照)の駆動電圧供給に用いられる複数の入出力回路駆動用電極Pz1は、
図7および
図8に示す構造を適用する。すなわち、複数の入出力回路駆動用電極Pz1のそれぞれは、
図7および
図8に示すようにスルーホール(入出力回路駆動用孔)TH2zに繋がっている。また、複数の入出力回路駆動用電極Pz1のそれぞれは、スルーホールTH2zの内部に形成されたスルーホール配線(入出力回路駆動用配線)THmzと電気的に接続されている。スルーホールTH2zの孔径L2は、
図9に示すスルーホールTH1の孔径L3よりも小さいので、隣り合う入出力回路駆動用電極Pz1同士を電気的に分離することができる。そして、電気的に分離された複数の入出力回路駆動用電極Pz1と複数のスルーホール配線THmzのそれぞれが電気的に接続される。つまり、複数の入出力回路駆動用電極Pz1のそれぞれを、互いに異なる電気信号の伝送経路として利用できるので、インタフェース用端子の配置密度を向上させることができる。この結果、半導体装置SP1を小型化できる。
【0061】
ただし、入出力回路CC1に駆動電圧を供給する回路はバイパスコンデンサであるコンデンサCP2に接続される。したがって、入出力回路駆動用電圧の電圧変化が半導体装置SP1の特性劣化に与える影響が懸念される場合には、複数の入出力回路駆動用電極Pz1のそれぞれについて、
図9および
図10を用いて説明した構造を適用することができる。
【0062】
また、
図2に示すように、実装基板MB1の下面Mbに形成された複数の電極Mp2のそれぞれの面積は、
図5に示す複数の電極Mp1のそれぞれの面積よりも大きい。例えば、本実施の形態では、
図2に示す複数の電極Mp2および
図5に示す複数の電極Mp1は、それぞれ円形の平面形状を有し、電極Mp2の直径は電極Mp1の直径よりも大きい。なお、
図9に示す電源電位用電極Pd1や基準電位用電極Ps1のように複数の電極Mp1が一体化されている場合には、一体化された導体パターン全体の面積は
図2に示す電極Mp2の面積よりも大きくなる。
【0063】
また、
図2に示す一つのコンデンサCP1に接続される一対の電源電位用電極Pd2と基準電位用電極Ps2との中心間の距離L4は、
図7に示す隣り合う電極Mp1の中心間の距離L1よりも大きい。
図2に示す例では、距離L4は例えば1.0mm〜1.2mm程度である。
【0064】
上記したように、本実施の形態の実装基板MB1には、実装基板MB1を厚さ方向に貫通するスルーホールTH1と、実装基板MB1を貫通せず、上面Maから上面Maと下面Mbの間まで延びるスルーホールTH2とを有している。したがって、上面Ma側において複数の電極Mp1が狭いピッチで配置されていても、下面Mb側に形成された電極Mp2の配置ピッチはコンデンサCP1の形状に応じて自由に設計できる。すなわち、電極Mp2の配置ピッチに応じて、コンデンサCP1のサイズを決定するのではなく、コンデンサCP1のサイズに対応して電極Mp2を配置することができる。これにより、設計時点でのコンデンサCP1の選択の自由度が向上する。
【0065】
また、
図7に示す複数のスルーホールTH2は、複数の電極Mp1のそれぞれの直下に形成されている。一方、
図9に示すスルーホールTH1は、複数の電極Mp1の間に形成されている。このため、スルーホールTH2とスルーホールTH1の中心間距離は、隣り合うスルーホールTH2の中心間距離よりも大きい。言い換えれば、信号用のスルーホールTH2g(
図7参照)と、電源電位用または基準電位用のスルーホールTH1d、TH1s(
図9参照)の配置ピッチ(中心間距離)は、隣り合う信号用のスルーホールTH2gの配置ピッチ(中心間距離)よりも大きい。このように、スルーホールTH1は複数の電極Mp1に接続されるので、複数のMp1の間の任意の位置に配置できる。この結果、電源電位用のスルーホールTH1dと基準電位用のスルーホールTH1sの中心間距離も、
図2に示す電極Mp2の配置ピッチに対応して、調整することができる。
【0066】
また、
図9に示すように、本実施の形態では、隣り合って配置される複数の電源電位用電極Pd1および隣り合って配置される複数の基準電位用電極Ps1は、スルーホールランド(導体)THLを介して連結されている。スルーホールランドTHLは、複数の電極Mp1と同じ材料で、スルーホールTH1を覆うように形成された導体パターンである。
【0067】
図9および
図10に示すようなスルーホールランドTHLを形成しなくても、複数の電極Mp1を
図10に示すスルーホール配線THmを介して接続することは可能である。しかし、複数の電極Mp1の間に導体パターンを設けることで、電気的特性を安定させることができる。したがって、
図6に示すコア回路CR1を駆動する電圧を供給する経路の特性を安定化させる観点からは、
図9および
図10に示すように、複数の電源電位用電極Pd1および複数の基準電位用電極Ps1のそれぞれを、スルーホールランドを介して連結することが好ましい。
【0068】
また、
図8および
図10に示すように、スルーホールTH1およびスルーホールTH2の内部に形成されたスルーホール配線THmは、例えばめっき法により、それぞれ円筒形に形成される。そして、めっき法により形成された金属膜を保護するため、円筒形のスルーホール配線THmの内側には、例えば樹脂などの絶縁材料が埋め込まれている。スルーホール配線THmのインダクタンスは、スルーホールTH1の全体に導体を埋め込んでスルーホール配線THmを形成するよりも、スルーホールTH1の内側に沿って延びるスルーホール配線THmのさらに内側に絶縁性材料を埋め込む方が、小さくなる。したがって、特に高周波回路において、反共振の影響を回避するためのマージンを大きくする場合には、スルーホール配線THmの内側に絶縁性材料を埋め込むことが好ましい。
【0069】
また、
図2に示すように、本実施の形態では、コンデンサCP1は半導体チップ2と厚さ方向に重なる領域に形成されている。言い換えれば、実装基板MB1の下面Mbに形成された複数の電極Mp2のうち、コンデンサCP1が接続される電源電位用電極Pd2および基準電位用電極Ps2は、半導体チップ2と厚さ方向に重なる位置に形成されている。したがって、
図5に示すように、実装基板MB1の上面Ma側に形成された複数の電極Mp1のうち、コア回路CR1(
図6参照)に電源電位を供給する電源電位用電極Pd1および基準電位を供給する基準電位用電極Ps1は、半導体チップ2と厚さ方向に重なる位置に形成されている。
【0070】
図示は省略するが、本実施の形態に対する変形例としては、
図3に示すコンデンサCP1およびコンデンサCP1と電気的に接続される、電源電位用電極Pd1、Pd2、および基準電位用電極Ps1、Ps2が半導体チップ2と厚さ方向に重ならない位置に配置されていても良い。ただし、コンデンサCP1とコア回路CR1(
図6参照)伝送距離を短くする観点からは、本実施の形態のように、コンデンサCP1、電源電位用電極Pd1、Pd2、および基準電位用電極Ps1、Ps2のそれぞれが半導体チップ2と厚さ方向に重なる位置に形成されていることが好ましい。
【0071】
一方、
図5に示す複数の電極Mp1のうち、信号伝送用に用いられる複数の信号用電極Pg1の少なくとも一部は、半導体チップ2と厚さ方向に重ならない位置に形成されている。信号用電極Pg1を、半導体チップ2と厚さ方向に重ならない位置に形成することで、半導体チップ2と重なる領域内に電源電位用電極Pd1および基準電位用電極Ps1の配置スペースを確保できる。
【0072】
<電子装置の製造方法>
次に、
図1〜
図10を用いて説明した電子装置の製造方法、言い換えれば、
図3に示す半導体装置SP1の実装方法について説明する。
図1〜
図3に示す電子装置ED1は、
図11に示すフロー図に沿って製造される。
図11に示すように、本実施の形態の電子装置の製造方法には、半導体装置の組立工程(半導体装置組立工程)と、完成した半導体装置を実装基板に実装する工程(半導体装置実装工程)と、が含まれる。また、半導体装置組立工程には、組み立てた半導体装置の検査を行うテスト工程(半導体装置検査工程)も含まれる。なお、上記テスト工程を行う前の半導体装置(検査体)を組み立てる工程までを半導体装置組立工程としてもよい。以下、前述の分類例に基づいて順に説明する。
【0073】
≪半導体装置の製造方法(半導体装置組立工程)≫
半導体装置組立工程では、
図3に示す実装基板MB1に実装するための半導体装置SP1を組み立てる。なお、以下では、
図3に示す配線基板3に相当するデバイス領域が複数個設けられた、所謂、多数個取り基板を準備して、複数のデバイス領域のそれぞれについて組立を行う方法について説明する。また、
図12に示す複数のデバイス領域30dのそれぞれは、
図1、
図3、
図4、および
図6を用いて説明した配線基板3に相当するので、以下の説明では、必要に応じて
図1〜
図10の各図を参照して説明する。
【0074】
1.基板準備工程
まず、
図11に示す基板準備工程では、例えば
図12に示す配線基板30を準備する。
図12は、
図11に示す基板準備工程で準備する配線基板の全体構造を示す平面図である。
図12に示すように、本工程で準備する配線基板30は、枠部(外枠)30fの内側に行列状に配置される、複数のデバイス領域30dを備えている。複数のデバイス領域30dは、それぞれが、
図3に示す配線基板3に相当する。配線基板30は、複数のデバイス領域30dと、各デバイス領域30dの間に切断ライン(切断領域)30cを有する、所謂、多数個取り基板である。このように、複数のデバイス領域30dを備える多数個取り基板を用いることで、製造効率を向上させることができる。
【0075】
本工程で準備する配線基板30は、
図3に示す半導体チップ2が搭載されていない点、半田ボールSBが未だ接続されていない点、および樹脂4が形成されていない点を除き、
図1、
図3、
図4、および
図6を用いて説明した構成部材が予め形成されている。したがって、重複する説明は省略する。
【0076】
2.チップマウント工程
次に、
図11に示す半導体チップ搭載工程では、
図3に示すように半導体チップ2を配線基板30(
図12参照)のチップ搭載面である上面3a上に搭載する。半導体チップ2が有する複数の半導体素子は、表面2a側に形成された複数のパッド(電極、電極パッド)2pdと電気的に接続されている。
【0077】
本工程では、
図12に示す複数のデバイス領域30dのそれぞれに、半導体チップ2を搭載する。本実施の形態では、
図3に示すように、半導体チップ2は、複数のパッド2pdが形成された表面2aをチップ搭載面(上面3a)と対向させる、所謂、フリップチップ接続方式により、配線基板3上に搭載される。このため、半導体チップ2の複数のパッド2pdにはフリップチップ接続用の導電性部材である複数の突起電極2bpが、それぞれ接続されている。本工程では、半導体チップ2のパッドは突起電極2bpを介して、配線基板3のボンディングフィンガ3fと電気的に接続される。
【0078】
3.封止工程
次に封止工程では、半導体チップ2と配線基板30とを電気的に接続する部分を封止する。本実施の形態では、
図3に示すように、半導体チップ2と配線基板30(
図12参照)の間に樹脂4を供給して、半導体チップ2と配線基板30の電気的な接続部分(突起電極2bp)の周囲を封止する。
【0079】
4.ボールマウント工程
次に、
図11に示すボールマウント工程では、配線基板3の実装面である下面3b側に、複数の半田ボールSBを取り付ける。本工程では、
図3に示すランド3g上に半田ボールSBを配置して、リフロー処理(加熱して半田成分を溶融接合させた後、冷却する処理)を施す。これにより、ランド3gと半田ボールSBは接合される。
【0080】
5.個片化工程
次に、
図11に示す個片化工程では、
図12に示す複数のデバイス領域30dを区画する切断ライン30cに沿って、配線基板30を切断する。これにより、多数個取り基板である配線基板30を、デバイス領域30d毎に個片化(分割)し、複数の半導体装置SP1(
図1参照)を取得する。
【0081】
6.テスト工程
次に、
図11に示すテスト工程(半導体装置検査工程)では、外観検査や電気的試験など、必要な検査、試験を行う。なお、テスト工程として電気的試験を行う場合、上記した実装基板の配線レイアウトに係る技術を、テスト用の基板(テストボード)に適用することができる。上記した技術をテストボードに適用した実施態様の詳細については、後で変形例として説明する。
【0082】
≪半導体装置実装工程≫
次に、
図11に示す半導体装置実装工程では、
図3に示すように、半導体装置SP1を、実装基板MB1の半導体パッケージ搭載面である上面Maに搭載する。本工程で準備する実装基板MB1の構造は、
図1〜
図10を用いて説明した通りなので、重複する説明は省略する。
【0083】
図3に示す実装基板MB1は、絶縁材NC1を基材とする2枚の配線基板を、絶縁性の接着層NC2を介して貼りあわせることにより形成される。複数のスルーホールTH2およびスルーホールTH2の内部のスルーホール配線THmは、上面Maを持つ配線基板に、例えばドリルを用いて予め形成されている。一方、スルーホールTH1、TH3およびスルーホールTH1、TH3の内部のスルーホール配線THmは、2枚の配線基板を貼りあわせた後で、例えばスルーホールTH2を形成するものよりも直径が大きいドリルを用いて形成される。
【0084】
また、
図2に示すコンデンサCP1およびコンデンサCP2の実装方法は、本工程の前に予め実装しておく方法、本工程の後で実装する方法、あるいは本工程でリフロー処理を行う際に、一括して実装する方法を適用することができる。本実施の形態では、一例として、半導体装置実装工程の前に、
図2に示すコンデンサCP1およびコンデンサCP2が予め実装基板の下面Mb側に実装されている例について説明する。
【0085】
本工程では、
図3に示すように、半導体装置SP1の実装面である下面3bと実装基板MB1の上面Maとを対向させた状態で、複数の半田ボールSBと複数の電極Mp1とをそれぞれ電気的に接続する。
図4に示す複数の半田ボールSBの中心間距離と、
図5に示す複数の電極Mp1の中心間距離とは、等しい。このため、本工程では、実装基板MB1と半導体装置SP1との位置合わせを行って、複数の半田ボールSBが複数の電極Mp1上にそれぞれ配置することができる。
【0086】
半田ボールSBと電極Mp1とを接続し易くする観点からは、複数の電極Mp1の露出面のそれぞれに、半田材を形成しておくことが好ましい。複数の電極Mp1の露出面に予め半田材を形成しておけば、半田ボールSBの濡れ性を向上させることができる。
【0087】
以上の工程により、上記の電子装置が完成となる。
【0088】
<変形例>
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0089】
(変形例1)
例えば、上記実施の形態では、半導体装置SP1を実装基板MB1に搭載した電子装置ED1を用いて説明したが、変形例として、
図11に示すテスト工程において、半導体装置の機能試験などの電気的試験を行う工程で使用するテストボードTB1に適用することができる。以下では、テスト工程に適用した場合の実施態様について説明する。
図13は、
図11に示すテスト工程において、半導体装置をテスト装置に搭載した状態を示す要部拡大断面図である。また、
図14は、
図13に示すテストソケットの収容部の半導体パッケージ保持面側の平面図である。
【0090】
なお、以下の説明では、検査に合格した製品と、検査前の仕掛かり品を区別するため、
図13に示すように検査前の半導体装置SP1は、検査体SP2として説明する。しかし検査体SP2は、検査が完了していない点を除き、上記実施の形態で説明した半導体装置SP1と同じ構造なので、重複する説明は省略する。
【0091】
図11に示すテスト工程には、
図13に示すように組み立てが完了した検査体SP2に電流を流し、導通試験、電気的特性試験、あるいは、機能試験などの電気的試験を行う、電気的試験工程が含まれる。なお、半導体装置を組み立てた後に行う高温試験として、所謂、バーンインと呼ばれる加速試験があるが、このバーンインにおいて、導通試験など、簡易的な電気的検査を行う場合がある。しかし、このバーンインと本変形例で説明する電気試験工程は区別される。すなわち、バーンインは、半導体装置の初期不良を温度と電圧により加速して検出し、除去するための工程であり、初期故障モード不良の最終検査での検出力を高めることを目的とする。このため、バーンインでは一般に、125℃程度の環境下で、使用が予定される電圧よりも高い電圧を、数時間〜10時間程度の間半導体装置に印加して行う。一方、本変形例で説明する電気的試験工程は、製品仕様の範囲内において、設計上規定された電気的特性が得られるかどうかを試験する。
【0092】
本変形例の電気的試験工程では、まず、
図13に示すように、検査体SP2をテストボードTB1のテストソケットTS1に収納し、固定する。
図13に示す例では、テストボードは、上記実施の形態で説明した実装基板MB1、実装基板MB1の上面(テストソケット形成面)Maに固定されたテストソケットTS1、および実装基板MB1の下面に搭載されたコンデンサCP1を有している。
【0093】
テストソケットTS1は、検査体SP2を固定し、かつ検査体SP2と実装基板MB1とを電気的に接続する機能を備える。詳しくは、テストソケットTS1は、半導体パッケージである検査体SP2を収容する収容部SK1、および、収容部SK1内に設けられた複数のテストピン(テスト端子)Tp1を有している。また、テストソケットTS1は、実装基板MB1の上面Maに形成された複数の電極Mp1と厚さ方向に重なる位置に固定され、複数のテストピンTp1と、複数の電極Mp1は、それぞれ電気的に接続されている。
【0094】
また、平面視において、収容部SK1の中央が窪んでおり、この周囲に対して窪んでいる保持面(半導体パッケージ保持面)SK2に検査体SP2を保持する。検査体SP2を保持する方法には種々の変形例があるが、
図13に示す例では、固定治具SK3で検査体SP2を抑えることにより、検査体SP2を収容部SK1に固定する。
【0095】
また、
図14に示すように、収容部SK1の保持面SK2には複数の貫通孔Tphが形成され、複数の貫通孔Tphの内部には、複数のテストピンTp1がそれぞれ形成されている。複数の貫通孔Tphは、
図5に示す複数のMp1と厚さ方向に重なる位置にそれぞれ配置されており、
図13に示すように、収容部SK1、および収容部SK1と実装基板MB1の間に配置されるスペーサ部材SK4を貫通する。また、貫通孔Tph内に設けられたテストピンTp1の一方の端部は電極Mp1に接続され、テストピンTp1の他方の端部は収容部SK1の保持面SK2に突出している。したがって、貫通孔Tph内に設けられたテストピンTp1は、検査体SP2の外部端子である半田ボールSBと実装基板MB1の電極Mp1とを電気的に接続することができる。
【0096】
また、実装基板MB1には、
図13に模式的に示すように、電気的試験を行うテスト回路を有するテスタTC1と電気的に接続されている。本変形例の電気的試験工程では、テスタTC1から、試験用の信号や駆動用の電圧などが供給され、検査体SP2の電気的試験を行う。
【0097】
ここで、電気的試験に用いる場合に、バイパスコンデンサであるコンデンサCP1から駆動用の直流電圧が消費される回路(例えば
図6に示すコア回路CR1)までの距離が長くなれば、上記実施の形態で説明したように、電圧の供給経路のインピーダンス成分が大きくなり、電圧の変動を抑制する効果が減少する。また、バイパスコンデンサに接続される電源供給経路の経路距離が大きくなると、経路中のインダクタンスが大きくなるので、特に高周波回路においては、反共振の影響を回避するためのマージンが小さくなる。この結果、電圧変動や反共振の影響の程度によっては、電気的試験工程において、正しい結果が得られない場合がある。
【0098】
そこで、本変形例のように、テストボードTB1が備える実装基板MB1を上記実施の形態で説明した構造にすることで、電気的試験工程の信頼性を向上させることができる。
【0099】
(変形例2)
また、上記実施の形態では、配線基板の実装面側に複数の半田ボールSBが行列状に配置された、所謂、BGA(Ball Grid Array)型の半導体パッケージを取り上げて説明した。しかし、半導体パッケージの構造には種々の変形例がある。
図15〜
図17は、
図3に示す半導体装置に対する変形例を示す断面図である。
【0100】
例えば、
図15に示す半導体装置SP3は、
図3に示す半田ボールSBが接続されず、配線基板3の実装面である下面3bにおいて、複数のランド3gが絶縁膜SRから露出している。このような半導体パッケージは、LGA(Land Grid Array)型と呼ばれる。上記実施の形態で説明した技術は、LGA型の半導体パッケージに適用できる。なお、LGA型の半導体パッケージには、半田ボールSBのようなボール状のものではなく、ランド3gの表面に半田材が薄く形成されるものもある。この場合は、この薄い厚さから成る半田材が、上記実施の形態で言う外部端子に相当することになる。
【0101】
また例えば、
図16に示す半導体装置SP4は、
図3の半導体装置SP1のような配線基板3は有していない。半導体装置SP4は、半導体チップ2との対向面である上面3aおよび実装面である下面3b、下面3b側に形成された複数のランド3g、および複数のランド3gと半導体チップ2のパッド2pdとを電気的に接続する複数の配線(再配線)3dを有する再配線層RDLを有している。
【0102】
詳しくは、再配線層RDLは、半導体チップ2の表面2aを覆う絶縁膜(ポリイミド膜)PI1を有する。また絶縁膜PI1には複数の開口部が形成され、複数の開口部において、複数のパッド2pdがそれぞれ露出する。また、再配線層RDLは、上記実施の形態で説明した配線3dに相当する再配線RDwを有する。再配線RDwは、絶縁膜PI1が有する面のうち、半導体チップ2との対向面の反対側に位置する面に形成されている。
【0103】
図16に示す例では、複数の再配線RDwのそれぞれの一部がランド3gになっている。また再配線RDwは、絶縁膜PI1に形成された開口部内にも形成され、開口部内において、半導体チップ2のパッド2pdと再配線RDwとが電気的に接続されている。また、絶縁膜PI1および再配線RDwは絶縁膜(ポリイミド膜)PI2に覆われている。絶縁膜PI2には複数の開口部が形成され、複数の開口部のそれぞれにおいて、再配線RDwのうちのランド3gに相当する部分が絶縁膜PI2から露出している。
【0104】
また、複数のランド3gには、複数の半田ボールSBが接続されている。図示は省略するが、複数の半田ボールSBは、例えば
図4に示す配線基板3の下面3bと同様に、平面視において、行列状に配置されている。半導体装置SP4の複数の外部端子は、平面視において半導体チップ2のパッド2pdとは異なる位置に形成されている。
【0105】
つまり、再配線層RDLは、平面視において半導体チップ2のパッド2pdとは異なる位置に形成された外部端子(ランド3gまたは半田ボールSB)と、パッド2pdとを電気的に接続する、配線基板(インタポーザ)としての機能を有している。
【0106】
再配線層RDLは、半導体チップの製造工程において、半導体ウエハを切断する前に形成される。半導体装置SP4のようなタイプの半導体パッケージは、WPP(Wafer Process Package)型と呼ばれる。また、再配線層RDLは、半導体素子の形成技術を応用して形成できる。このため、微細加工を施し易く、半導体チップ2とは別の配線基板3(
図3参照)を形成する場合と比較して、厚さを薄くできる。また、再配線層RDLは、平面寸法が、半導体チップ2の平面寸法と同じになるので、半導体装置SP4は、
図3に示す半導体装置SP1よりも小型化できる。上記実施の形態で説明した技術は、WPP型の半導体パッケージに適用できる。
【0107】
また例えば、
図17に示す半導体装置SP5は、半導体チップ2の裏面2bが配線基板3の上面3aと対向する、所謂フェイスアップ実装方式が採用されている点で
図3に示す半導体装置SP1と異なる。フェイスアップ方式を適用した場合、ボンディングフィンガ3fは、半導体チップ2と厚さ方向に重ならない位置、すなわち、半導体チップ2の周囲に配置され、パッド2pdとボンディングフィンガ3fとは、ワイヤBWを介して電気的に接続される。また、半導体チップ2と配線基板3を電気的に接続する部分であるワイヤBWを保護するため、樹脂4は、半導体チップ2、複数のワイヤBWおよび複数のボンディングフィンガ3fを覆うように形成される。上記実施の形態で説明した技術は、フェイスアップ実装方式を適用した半導体パッケージに適用できる。
【0108】
半導体装置SP5の場合、
図11に示す半導体チップ搭載工程の後、ワイヤボンディング工程を実施する。また、封止工程では、半導体チップ2、複数のワイヤBWおよび複数のボンディングフィンガ3fは、樹脂4により封止される。
【0109】
また、図示は省略するが、
図4に示すようなエリアアレイ型の半導体パッケージではなく、外部端子が実装面の周縁部に配置されている、所謂、ペリフェラル型の半導体パッケージに対しても、上記実施の形態で説明した技術を適用することもできる。ただし、ペリフェラル型の半導体パッケージは、複数の外部端子が配列されている領域の内側に、外部端子が配置されていない領域がある。このため、孔径が大きいスルーホールTH1を配置するスペースを確保しやすい。したがって、
図3および
図9に示すように孔径が大きいスルーホールTH1を形成するスペースを確保することが難しい、という点において、上記実施の形態で説明した技術は、エリアアレイ型の半導体パッケージに適用すると、特に大きな効果が得られる。
【0110】
(変形例3)
また、上記実施の形態では、
図2に示すように、コンデンサCP1が2個、コンデンサCP2が1個搭載された実施態様について説明したが、コンデンサCP1、CP2の数には種々の変形例がある。例えば、半導体チップ2に多数の回路が形成されている場合、多数の回路のそれぞれに駆動用の電圧を供給する回路が必要になる。この場合、電圧を供給する回路毎に、コンデンサCP1またはコンデンサCP2を搭載することが好ましい。また、電圧の変動により回路の特性が劣化しやすい回路には、
図3に示すコンデンサCP1に接続されるように、相対的に孔径が大きいスルーホールTH1の内部に形成されたスルーホール配線THmを介して駆動用の電圧を供給することが好ましい。
【0111】
(変形例4)
また、上記実施の形態では、
図9に示すように、複数の電極Mp1のうち、4つの電源電位用電極Pd1および4つの基準電位用電極Ps1にそれぞれ一つのスルーホールTH1が繋がる実施態様を説明した。しかし、一つのスルーホールTH1に繋がる電極Mp1の数は4つには限定されず、種々の変形例が適用できる。例えば
図18に示す変形例では、複数の電極Mp1のうち、2つの電源電位用電極Pd1および2つの基準電位用電極Ps1に、それぞれ一つのスルーホールTH1が繋がる。ただし、この場合、スルーホールTHが、他の種類が流れる電極Mp1と繋がってしまうことを避けるため、スルーホールTH1は、複数の電極Mp1が配列される領域の周縁部に配置されることが好ましい。あるいは、
図5に示す複数の電極Mp1が等間隔で配置されず、配置ピッチが相対的に大きい領域がある場合には、その配置ピッチが大きい領域に、スルーホールTH1を形成することが好ましい。これにより、スルーホールTHが、他の種類が流れる電極Mp1と繋がってしまうことを避けることができる。
【0112】
(変形例5)
さらに、上記実施の形態で説明した技術思想の要旨を逸脱しない範囲内において、変形例同士を組み合わせて適用することができる。