特許第6076905号(P6076905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6076905制御されたガス雰囲気を備えたマイクロプレートリーダー、対応する方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076905
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】制御されたガス雰囲気を備えたマイクロプレートリーダー、対応する方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/03 20060101AFI20170130BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20170130BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20170130BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   G01N21/03 Z
   G01N21/27 Z
   G01N21/64 F
   G01N21/78 C
【請求項の数】24
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-527607(P2013-527607)
(86)(22)【出願日】2011年9月8日
(65)【公表番号】特表2013-541000(P2013-541000A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2011065566
(87)【国際公開番号】WO2012032124
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/380,783
(32)【優先日】2010年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】CH01446/10
(32)【優先日】2010年9月8日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】501442699
【氏名又は名称】テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・グラスル
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト・プロプスト
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・シュルフ
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/001759(WO,A1)
【文献】 特表2003−527558(JP,A)
【文献】 特開2003−015056(JP,A)
【文献】 特表2004−514878(JP,A)
【文献】 特表2002−538477(JP,A)
【文献】 特表2009−505070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/83
G01N 33/48−33/98
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/36
C12M 1/00− 3/10
C12N 1/00− 7/08
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロプレートリーダー(1)であって、
a)下記a1)〜a3)を含むグループから選択された、少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)と、
a1)マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で第1照明装置(11’)を用いて光を通過させるサンプルの吸光度を測定するために設計された第1測定装置(2’)。
a2)マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で、第1照明装置(11’)の光が照射されたサンプルの蛍光を測定するために設計された第2測定装置(2”)。
a3)マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で、サンプルのルミネセンスを測定するために設計された第3測定装置(2”’)。
b)少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)を用いた測定の際に、ウェル内にサンプルを収容する少なくとも1つのマイクロプレート(4)を収納し、保持するように構成された保持装置(5)と、
c)マイクロプレートリーダー(1)のハウジング(17)の内部空間(16)を機器区画(18)とサンプル区画(19)とに区分する、分離プレート(15)または内部ハウジング(39)として代替的に構成された区割り手段であって、
サンプル区画(19)は、ほぼ気密性を保って機器区画(18)から分離され、
区割り手段は、ハウジング(17)内に固定的に設置され、
マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で、照射されまたはサンプルによって影響された光がこれを通過してサンプル区画(19)から機器区画(18)に到達するように設計された開口(20)を備える区割り手段と、
d)サンプル区画(19)内のガス雰囲気(7)の組成を制御するための制御ユニット(6,6’)であって、サンプル区画(19)内に設置され、サンプル区画(19)内のガス雰囲気の少なくとも1つのガスを測定するためのガスセンサを含む制御ユニット(6,6’)と、を備え、
さらに、フラッシュランプ(36)、第1ファイバ光学ライン(33’)および第1波長選択モノクロメータ(35’)を有する少なくとも1つの第1照明装置(11’)を備え、
第1照明装置(11’)は、マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内のサンプルに、選択した波長の光を通過または照射するように構成され、
マイクロプレートリーダー(1)の第1照明装置(11’)は、分離プレート(15)の開口(20)または内部ハウジング(39)の壁に設置された第1光学システム(23’)を少なくとも備え、
区割り手段の開口(20)内の第1光学システム(23’)は、デカルト座標系のZ軸の方向に高さ調整可能であり、
保持装置(5)は、少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)に対して、この少なくとも1つのマイクロプレート(4)のサンプル収容ウェル(3)を位置決めするように構成され、保持装置(5)は、少なくともデカルト座標系のある軸の方向に、区割り手段およびその開口に対して移動可能であり、保持装置(5)は、全体としてサンプル区画(19)内に設置され、サンプル区画(19)内のガス雰囲気によって取り囲まれるようにした、マイクロプレートリーダー(1)。
【請求項2】
サンプル区画(19)は、分離プレート(15)または内部ハウジング(39)を用いて、ほぼ遮光性を保って機器区画(18)から分離され、開口(20)の周りに延びる防止装置が遮光性かつ気密性の分離のために設けられることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項3】
サンプル区画(19)に存在するガス及び/又はサンプル区画(19)に流入するガスを混合及び/又は循環させるための移動装置が、サンプル区画(19)内に配置されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項4】
移動装置は、ブロワ(22)、1つ又はそれ以上のバッフル板、1つ又はそれ以上のパドルを含む撹拌装置、または構造化されたジェットノズルシステムのうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項3記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項5】
制御ユニット(6,6’)は、対応のソフトウエアを有するコンピュータ(28)を備え、
前記コンピュータ(28)は、マイクロプレートリーダー(1)の中央コンピュータ(29)と接続可能なように、またはそこに内蔵されるように構成されることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項6】
制御ユニット(6,6’)によって作動可能なように構成され、サンプル区画(19)へのガス流入を許容するためのガス入口(21)を備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項7】
制御ユニット(6,6’)は、サンプル区画(19)での種々のガスを測定するため、そして、このマイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のサンプル収容ウェル(3)を取り囲むガス雰囲気(7)の組成を制御するためのガスセンサを備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項8】
制御ユニット(6,6’)は、サンプル区画において、ガス雰囲気(7)の湿度を測定するための湿度センサと、ガス雰囲気(7)の温度を測定するための温度センサとを備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項9】
第2ファイバ光学ライン(33”)および、蛍光を測定するための第2波長選択モノクロメータ(35”)を有する第2測定装置(2”)を備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項10】
第2測定装置(2”)は、光電子増倍管(24)と、第2ファイバスライド34”とを備えることを特徴とする請求項9記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項11】
第1、第2および第3測定装置(2’,2”,2”’)を備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項12】
第1、第2または第3測定装置(2’,2”,2”’)は、第1、第2または第3光学システム(23’,23”,23”’)を含み、これらの光学システム(23’,23”,23”’)の少なくとも1つ及び/又は保持装置(5)及び/又は挿入されたマイクロプレート(4)は、デカルト座標系のZ軸の方向に互いに相対移動可能に設計されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項13】
マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内にあるサンプルに試薬を添加するように設計された注入装置(10)を備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項14】
吸光度、蛍光及び/又はルミネセンスを測定するために、「上読み取り」を用いる、マイクロプレート(4)の上方に設置された第1または第2光学システム(23’,23”)及び/又は、「下読み取り」を用いる、マイクロプレート(4)の下方に設置された第2または第3光学システム(23”,23”’)を備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)。
【請求項15】
内部空間(16)を取り囲むハウジング(17)を備えたマイクロプレートリーダー(1)において生体細胞を測定する方法であって、
a)請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)を用意するステップと、
b)このマイクロプレートリーダー(1)の保持装置(5)に、サンプルを収容するウェル(3)を備えた少なくとも1つのマイクロプレート(4)を収納するステップと、
c)保持装置(5)を用いて、このマイクロプレート(4)のサンプル収容ウェル(3)を、このマイクロプレートリーダー(1)の少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)に対して位置決めするステップと、
d)サンプル区画(19)でのガス雰囲気(7)の組成を制御するステップと、
e)光を検出する少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)を使用するステップであって、この光は、
・このマイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内でサンプルが放射した光、及び/又は、
・このマイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で光が通過したサンプルによって影響された光であるステップと、を含み、
マイクロプレート(4)は、少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)を用いた測定の際、保持装置(5)によって保持され、
少なくとも1つのガスの濃度は、サンプル区画(19)内に設置されたガスセンサを用いて測定されるようにした方法。
【請求項16】
下記ステップf),g),h)の少なくも1つ又はそれ以上をさらに含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
f)サンプルの吸光度を測定するために、マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で光が通過したサンプルによって影響された光を測定するステップ。
g)サンプルの蛍光を測定するために、マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で光を照射したサンプルから放出された光を測定するステップ。
h)サンプルのルミネセンスを測定するために、マイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のウェル(3)内で光を照射したサンプルから放出された光を測定するステップ。
【請求項17】
所定のガス雰囲気がサンプル区画(19)において調整され、前記ステップf),g),h)の少なくとも1つ又はそれ以上を前記ステップd)の調整したガス雰囲気で実行することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
サンプル区画(19)でのガス雰囲気(7)における種々のガスのうちの少なくとも1つの特定のガスの割合を制御し、
特定のガスは、窒素(N)、二酸化炭素(CO)、酸素(O)、一酸化炭素(CO)、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)を含むグループから選択されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
サンプル区画(19)でのガス雰囲気(7)の湿度及び/又は温度を、制御ユニット(6,6’)を用いて制御することを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
サンプル区画(19)でのガス雰囲気(7)の湿度及び/又は温度を、制御ユニット(6,6’)を用いて制御することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
注入装置(10)を用いて、マイクロプレート(4)の少なくとも1つのウェル(3)内の少なくとも1つのサンプルに試薬を添加して、少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)を用いて検出できる化学反応を生じさせることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項22】
制御ユニット(6,6’)は、このマイクロプレートリーダー(1)に挿入されたマイクロプレート(4)のサンプル収容ウェル(3)を取り囲むガス雰囲気(7)の酸素含量及び/又は二酸化炭素含量を制御するためのOセンサ及び/又はCOセンサを備え、
このガス雰囲気の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度は、微好気性、通性嫌気性または偏性嫌気性の微生物、菌類、または真核細胞の測定の際、二酸化炭素及び/又は窒素を意図的に導入することによって、所定の値に保持されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項23】
請求項1記載のマイクロプレートリーダー(1)の使用方法であって、
生体細胞は、制御されたガス雰囲気(7)中で測定され、
生体細胞は、微好気性、通性嫌気性および偏性嫌気性の微生物、菌類、真核細胞を含むグループから選ばれる方法。
【請求項24】
請求項15記載のマイクロプレートリーダー(1)において生体細胞を測定する方法であって、
生体細胞は、制御されたガス雰囲気(7)中で測定され、
生体細胞は、微好気性、通性嫌気性および偏性嫌気性の微生物、菌類、真核細胞を含むグループから選ばれる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国仮出願番号第61/380783号(2010年9月8日付)の優先権を主張するものであり、その開示は任意の目的で全体としてここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの測定装置と、1つの保持装置を備えたマイクロプレートリーダーに関する。少なくとも1つの測定装置は、前記マイクロプレートリーダーに挿入されたマイクロプレートのウェル内のサンプルによって放出された光、及び/又は、前記マイクロプレートリーダーに挿入されたマイクロプレートのウェル内で、光が通過したサンプルによって影響された光の検出のために用いられる。保持装置は、少なくとも1つのマイクロプレートを収納し、少なくとも1つの測定装置に対して、サンプルを収容する前記マイクロプレートのウェルを位置決めするために用いられる。本発明はさらに、個々の方法およびこうしたマイクロプレートリーダーの特殊な使用に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術として長年にわたって知られている一般のマイクロプレートリーダーは、試薬を用いて処理されたサンプルのルミネセンス(luminescence)及び/又は蛍光(fluorescence)の測定の原理をベースとしている。ルミネセンスまたは蛍光は、一般にサンプルから到来する光の放出に関するものであり、ルミネセンスはサンプル中の化学反応の進行によって生じ、蛍光は励起光の照射によって生ずる。こうしたマイクロプレートリーダーは、試薬が添加されたサンプル中の反応を観測するため、または蛍光となる特定のサンプル成分を検出するために使用される。
【0004】
個々のマイクロプレートリーダーは、ルミネセンス反応を引き起こす目的で、このマイクロプレートリーダーにそれぞれ挿入され使用されるマイクロプレートのウェル内のサンプルに試薬を添加するための注入装置を備えたものが知られている。マイクロプレートリーダーはまた、このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内のサンプルを照射または光を通過させるための照明装置を備えたものが知られている。こうしたマイクロプレートリーダーが、サンプル中で励起された蛍光、またはサンプルで生じた透明度(吸光度)の減少を測定するために用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、マイクロプレートリーダー、マイクロプレートリーダーにおいて生体細胞を測定する個々の方法、ならびにサンプルでの反応の観測および少なくともほぼ生理学的条件下での特定のサンプル成分の検出を可能にするこうしたマイクロプレートリーダーの使用を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、第1態様に関して、ここで開示するようなマイクロプレートリーダーによって達成される。このマイクロプレートリーダーは、下記の構成a)〜c)を備える。
a)下記a1)〜a3)を含むグループから選択された、少なくとも1つの測定装置。
a1)マイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内でサンプルの吸光度を測定するために設計された第1測定装置。
a2)マイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内で、光が照射されたサンプルの蛍光を測定するために設計された第2測定装置。
a3)マイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内で、サンプルのルミネセンスを測定するために設計された第3測定装置。
b)少なくとも1つのマイクロプレートを収納し、少なくとも1つの測定装置に対して、前記マイクロプレートのサンプル収容ウェルを位置決めするための保持装置。
c)このマイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の組成を制御するための制御ユニット。
【0007】
マイクロプレートリーダーは、代替として、下記の構成d1)またはd2)をさらに備える。
d1)マイクロプレートリーダーのハウジングの内部空間を機器(appliance)区画とサンプル区画とに区分する分離プレートであって、少なくとも1つの開口を備える。分離プレートは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で、照射されまたはサンプルによって影響された光がこれを通過してサンプル区画から機器区画に到達するように設計される。
d2)マイクロプレートリーダーのハウジング内に配置された内部ハウジング。その内部に保持装置が配置される。内部ハウジングは、マイクロプレートリーダーのハウジングの内部空間を機器区画と、保持装置を取り囲むサンプル区画とに区分するものであり、少なくとも1つの開口を備える。これは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で、照射されまたはサンプルによって影響された光がこれを通過してサンプル区画から機器区画に到達するように設計される。
【0008】
分離プレートおよび内部ハウジングの主要な機能が、これらの代替の区割り(zoning)手段にとって共通しており、即ち、サンプル区画でのサンプルが機器によって必要な場合にのみ影響されるように、サンプル区画を機器区画から分離することである。
【0009】
ハウジングの内部空間において、マイクロプレートリーダーは、分離プレートや内部ハウジングを用いて、サンプル区画が機器区画からほぼ遮光性かつほぼ気密性を保って分離されるように設計できる。そのため開口は、相応の防止(proofing)装置を備えてもよい。代替または追加として、開口の周りに延びる防止装置を設けてもよい。説明した実施形態において、防止装置は、主として光が開口をほぼ通過するのに影響を与えるように、即ち、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で放出され、またはサンプルによって影響された光が、開口を通ってサンプル区画から機器区画へ通過するとともに、他の光(放出されていない光、またはサンプルによって影響されていない光)が開口を通過するのを可能な限り阻止されるように設計される。
【0010】
サンプル区画に存在するガス及び/又はサンプル区画に流入するガスを混合及び/又は循環させるための移動装置をサンプル区画内に配置してもよい。移動装置は、次の装置、即ち、ブロワ、1つ又はそれ以上のバッフル板、1つ又はそれ以上のパドルを含む撹拌装置、構造化されたジェットノズルシステムのうち少なくとも1つを備えてもよい。ここで、1つ又はそれ以上のバッフル板を備えた装置は、サンプル区画へのガス入口の近くに配置してもよい。1つ又はそれ以上のパドルを含む撹拌装置は、保持装置の近くに配置してもよい。構造化されたジェットノズルシステムは、複数の入口ノズルを備えてもよく、これらはサンプル区画内にほぼ均等に配置され、入口ノズルを通るガス流入の際、サンプル区画内のガス雰囲気が移動して、ほぼ均等に混合されるようになる。入口ノズルは、ガス入口ラインに沿って、好ましくは均等な間隔で分布するように配置してもよい。ガス入口ラインは、ほぼ全体として、サンプル区画の天井または底壁面などの壁面に対してほぼ平行となる配置でそれぞれ入り込んでもよい。配置は、略S字状の配置、複数の略S字状の配置、及び/又は、略らせん状の配置を含んでもよい。代替または追加として、ガス入口ラインは、代替または追加として、ガス入口ラインは、少なくともセクション、1つ又は複数のセクション、2つ又はそれ以上のガス入口サブラインに区分または分岐していてもよい。
【0011】
制御ユニットは、対応のソフトウエアを有する、例えば、内蔵したコンピュータを備えてもよく、前記コンピュータは、マイクロプレートリーダーの中央コンピュータと接続したり、そこに内蔵してもよい。代替として、制御ユニットは、対応のソフトウエアを有するコンピュータを備えてもよく、このコンピュータは、マイクロプレートリーダーの中央コンピュータと接続され、別個のハウジングに配置される。
【0012】
制御ユニットは、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の異なるガスを含むガス雰囲気の組成を制御するように設計してもよい。このため制御ユニットは、サンプル区画での種々のガスを測定するため、即ち、このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の組成を制御するためのガスセンサを備えてもよい。これとは独立して、マイクロプレートリーダーは、ガス入口、特に、ガスセンサ無しのガス入口を備えてもよく、その入口は制御ユニットによって作動可能であり、サンプル区画へのガス流入を許容するためである。
【0013】
種々のガスの少なくとも1つのガスが、窒素(N)、二酸化炭素(CO)、酸素(O)、一酸化炭素(CO)、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)を含むグループから選択してもよい。
【0014】
制御ユニットは、好ましくは、このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の酸素含量を測定し制御するためのOセンサと、このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の二酸化炭素含量を測定し制御するためのCOセンサとを備える。
【0015】
これとは独立して及び/又はこれに追加として、制御ユニットは、ガス雰囲気の湿度および温度を制御するように設計してもよい。このため制御ユニットは、サンプル区画において、ガス雰囲気の湿度を測定するための湿度センサと、ガス雰囲気の温度をを測定するための温度センサとを備えてもよい。
【0016】
これとは独立して及び/又はこれに追加として、制御ユニットは、サンプル区画を冷却するための冷却装置及び/又はサンプル区画を加熱するための加熱装置を備えてもよい。好ましくは、加熱装置は、これにより分離プレートまたは内部ハウジングの上に搭載され、サンプル区画内のガス雰囲気と熱交換で連通している。冷却装置は、サンプル区画の底部に搭載され、サンプル区画内のガス雰囲気と熱交換で連通している。加熱装置は、分離プレートのサンプル区画側や内部ハウジングの内部空間側に配置されたプレートの上に搭載してもよい。好ましくは、プレートは、分離プレートや内部ハウジングと非熱伝導性で接続される。マイクロプレート上やマイクロプレートのウェルでの湿度や水分の凝縮が、加熱装置および冷却装置のこれらの配置によって解消される。冷却装置や加熱装置に関してここで開示したものは同様に、分離プレートや内部ハウジングを有するマイクロプレートリーダーの設計にも適用される。
【0017】
別個の換気装置が、機器区画に配置してもよく、マイクロプレートリーダー内に設けてもよい。換気装置は、光源(例えば、ランプ)、及び/又は熱を発生する他の装置を冷却するために機能する。換気装置は、サンプル区画内に配置された加熱装置やサンプル区画内に配置された冷却装置から独立して作動、動作してもよい。
【0018】
マイクロプレートリーダーにおいて、第1測定装置、第2測定装置及び/又は第3測定装置はそれぞれ、光用の入口ポイントおよび光用の出口ポイントを有する光ガイドと、出口ポイントから出てくる光を測定するために配置された光検出装置とを備えてもよい。第1測定装置への光のアクセスポイント、第2測定装置への光のアクセスポイント、第3測定装置への光のアクセスポイントはそれぞれサンプル区画内に配置してもよい。
【0019】
ここで、用語「光ガイド」は、光ファイバ、光ファイバ束、またはミラーシステムを意味するものと理解される。光ファイバまたは光ファイバ束として具体化された光ガイド、およびミラーシステムとして具体化された光ガイドが、光用の入口ポイントと、光用の出口ポイントと、入口ポイントから出口ポイントへ延びる光ガイド通路とを備え、これに沿って光が光ガイドによって案内可能になる。
【0020】
マイクロプレートリーダーにおいて、第1測定装置、第2測定装置及び/又は第3測定装置の個々の光ガイドは、光ファイバまたは光ファイバ束として具体化してもよい。代替として、個々の光ガイドがミラーシステムとして具体化できる。光ファイバとミラーの組合せが、サンプルの照明のためやサンプルから到来する光の検出のために実現可能である。第1測定装置、第2測定装置及び/又は第3測定装置の光検出装置は、サンプル区画内または機器区画内に配置してもよい。
【0021】
マイクロプレートリーダーにおいて、第1測定装置の第1光検出装置及び/又は第3測定装置の第3光検出装置は、サンプル区画内に配置してもよい。マイクロプレートリーダーにおいて、ウェル内の蛍光を測定するために設計された第2測定装置の第2光検出装置は、機器区画内に配置してもよい。
【0022】
マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内のサンプルに光を通過させ照射するために設計された少なくとも1つの照明装置を備えてもよい。照明装置は、光源と、光源で発生した光の少なくとも一部を、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェルやウェル内に配置されたサンプルに案内するための光ガイドとを備えてもよい。
【0023】
第1、第2及び/又は第3照明装置を第1、第2及び/又は第3測定装置のためにそれぞれ設けてもよい。しかしながら、照明装置を、第1及び第2測定装置、第2及び第3測定装置、第1及び第3測定装置について共通で設けたり、第1、第2及び第3測定装置に共通で設けることが可能である。
【0024】
照明装置の個々の光源が、レーザ、フラッシュランプ、LED(発光ダイオード)、レーザダイオードを含むグループから選択してもよい。
【0025】
特に、マイクロプレートリーダーの使用において、マイクロプレートのウェル内にサンプルとして配置された細胞培養の成長や変態(transformation)の速度を測定し検出することが重要であろう。速度の測定や検出は、細胞培養(サンプル)の吸光度、蛍光及び/又はルミネセンスの変化、好ましくは細胞培養(サンプル)のルミネセンスの変化を、時間の関数として測定、検出することによって達成できる。
【0026】
時間とともに比較的速く進行する速度を測定、検出するためには、照明装置の光源は、特に好都合には、比較的短い光パルスを発生することが必要であろう。従って、パルスレーザ、フラッシュランプ、パルスモードで動作するLED(発光ダイオード)、及び/又はパルスモードで動作するレーザダイオードが、この目的に適した光源であろう。積極的に冷却していないフラッシュランプを光源としてマイクロプレートリーダー内に設けてもよい。このラッシュランプは、機器区画内に配置してもよい。さらに、この光源から発生した光は、サンプルに光を照射及び/又は通過させるために、光ガイドによって、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内に配置されたサンプルに案内してもよい。
【0027】
マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を通過させるために設計された第1照明装置を備えてもよく、これは機器区画内に配置される。ここで第1測定装置は、サンプル区画内に配置してもよい。第2測定装置は、機器区画内に配置してもよい。第3測定装置は、サンプル区画内または機器区画内に配置してもよい。ここで第1測定装置への第1光アクセスポイント、第2測定装置への第2光アクセスポイント、および第3測定装置への第3光アクセスポイントは、サンプル区画内に配置してもよい。
【0028】
マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を通過させるために設計された第1照明装置を備えてもよい。ここで第1照明装置の出口ポイントをサンプル区画内に配置してもよい。マイクロプレートリーダーは、機器区画内に配置され、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を照射するために設計された第2照明装置をさらに備えてもよい。ここで第1照明装置の出口ポイントをサンプル区画内に配置してもよい。第2照明装置は、レーザ、フラッシュランプ、LED(発光ダイオード)およびレーザダイオードを含むグループから選択してもよい。
【0029】
第1、第2及び/又は第3測定装置は、第1、第2及び/又は第3光学システムを含んでもよく、これらの光学システムの少なくとも1つおよび使用(挿入)したマイクロプレートは、デカルト座標系のZ軸の方向に互いに相対移動可能に設計される。ここで使用(挿入)したマイクロプレートをZ軸の方向に移動可能に設計してもよい。代替や追加として、第1、第2及び/又は第3光学システムをZ軸の方向に移動可能に設計してもよい。好ましくは、第1、第2及び/又は第3光学システムは、分離プレートや内部ハウジングの壁、例えば、天井壁にある少なくとも1つの開口を通って、サンプル区画内に部分的に降下できるように設計される。
【0030】
マイクロプレートリーダー(下記参照)での生体細胞を測定するための対応した方法、及び/又はマイクロプレートリーダー(下記参照)の使用において、例えば、注入装置を用いて、マイクロプレートの少なくとも1つのウェルにある少なくとも1つのサンプルに試薬を添加して、化学反応を引き起こすようにできる。化学反応を引き起こす場合、ルミネセンス反応とともに、サンプルのルミネセンス特性の変化、蛍光の変化及び/又は吸光度の変化が生ずる。これらは、例えば、測定装置の少なくとも1つを用いて、例えば、サンプルのルミネセンス及び/又は蛍光及び/又は吸光度を観測(測定や検出)することによって検出できる。
【0031】
試薬を添加するために、マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに試薬を添加するように設計された相応の注入装置を備えてもよい。注入装置は、試薬を分配してもよく、第3測定装置の光軸に現在位置決めされたウェルにおける化学反応やそれに伴うルミネセンス反応を引き起こすことができる。化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、ルミネセンス反応を観測することによって、試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて同じウェル内で実行できる。代替や追加として、化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、ルミネセンス反応を観測することによって、試薬が現在添加されたウェルとは異なるウェルにおいて実行してもよい。特に、これは、ウェル内で試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて実行してもよい
【0032】
ウェル内のサンプルに試薬を添加し、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応を同時に観測することが好ましい。この意味で、マイクロプレートの各ウェル内に連続的に試薬をサンプルに添加し、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応を同時に観測すること、例えば、ある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェル内に収容されたサンプルのルミネセンス及び/又は蛍光及び/又は吸光度を観測(測定や検出)することが可能である。この手順により、別のウエルの後に、マイクロプレートの1つのウェルを「刺激」すること(即ち、ここに収容されたサンプルに試薬を添加すること)、そして刺激によって生じた化学反応をある時間間隔だけ遅延させて観測(測定や検出)することが可能である。この時間遅延の時間間隔は、ある距離だけ隔てた個々のウェル間、例えば、個々の隣りのセル間の幾何形状オフセット(即ち、XY面での横方向距離)ならびに、マイクロプレートおよび、化学反応を観測するために使用される測定装置(より正確には、その光軸)が、特にマイクロプレートに対して平行な面内で互いに相対移動する速度によって決定される。
【0033】
この目的は、第2態様に関してここで開示したような特徴によって達成される。ここでは、内部空間を取り囲むハウジングを備えたマイクロプレートリーダーにおいて生体細胞を測定する方法が提供される。該方法は、下記のステップa)〜e)を含む。
a)機器区画から分離した、少なくとも1つのマイクロプレートを収納するための保持装置が配置されたサンプル区画を設けるステップ。ここで、
a1)ハウジングの内部空間をサンプル区画と機器区画とに区分するように、分離プレートがハウジング内に配置されており、あるいは、
a2)保持装置が配置された内部ハウジングはハウジング内に配置され、分離プレートまたは内部ハウジングは、マイクロプレートリーダーで使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内で放射されまたはサンプルによって影響された光が、そこを通ってサンプル区画から機器区画へ通過するように設計された少なくとも1つの開口を有する。
b)前記マイクロプレートリーダーの保持装置に、サンプルを収容するウェルを備えた少なくとも1つのマイクロプレートを収納するステップ。
c)この(これらの)マイクロプレートのサンプル収容ウェルを、このマイクロプレートリーダーの少なくとも1つの測定装置に対して位置決めするステップ。
d)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御するステップ。
e)光を検出する少なくとも1つの測定装置を使用するステップ。この光は、
・このマイクロプレートリーダーで使用または挿入されたマイクロプレートのウェル内でサンプルが放射した光、及び/又は、
・このマイクロプレートリーダーで使用または挿入されたマイクロプレートのウェル内で光が通過したサンプルによって影響された光。
【0034】
この方法において、ステップの順序、特にステップb)〜e)は変更してもよい。こうして例えば、ステップd)は、ステップc)またはステップb)の前に実行してもよく、及び/又は、ステップe)は、ステップc)の前またはステップd)の前に実行してもよい。
【0035】
該方法は、下記ステップの1つ又はそれ以上をさらに含んでもよい。
f)サンプルの吸光度を測定するために、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で光が通過したサンプルによって影響された光を測定するステップ。
g)サンプルの蛍光を測定するために、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で光を照射したサンプルから放出された光を測定するステップ。
h)サンプルのルミネセンスを測定するために、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で光を照射したサンプルから放出された光を測定するステップ。
【0036】
所定のガス雰囲気をサンプル区画において調整してもよく、上述のステップf),g),h)の少なくとも1つを上述のステップd)の調整したガス雰囲気で実行してもよい。
【0037】
該方法において、サンプル区画に流入するガス及び/又はそこに存在するガスを、サンプル区画に配置された移動装置を用いて混合及び/又は循環してもよい。
【0038】
該方法において、サンプル区画におけるガス雰囲気の組成は、制御ユニットを用いて制御してもよい。ここで、ガス入口を通してサンプル区画の中に流入してもよく、ガス入口は制御ユニットによって作動する。該方法において、サンプル区画でのガス雰囲気における種々のガスのうちの少なくとも1つの特定のガスの割合を制御してもよく、特定のガスは、窒素(N)、二酸化炭素(CO)、酸素(O)、一酸化炭素(CO)、硫化水素(HS)、二酸化硫黄(SO)を含むグループから選択される。該方法において、サンプル区画でのガス雰囲気の湿度及び/又は温度は、制御ユニットを用いて制御してもよい。該方法において、サンプル区画では、換気装置を用いて空気を換気してもよい。
【0039】
生体細胞を測定する方法において、及び/又は、マイクロプレートリーダー(下記参照)の使用において、注入装置を用いて、マイクロプレートの少なくとも1つのウェル内の少なくとも1つのサンプルに試薬を添加してもよい。こうして化学反応が生ずることがあり、これは少なくとも1つの測定装置を用いて検出できる。特に、ここで化学反応とともに、サンプルのルミネセンス反応やルミネセンス特性の変化、及び/又は蛍光の変化及び/又は吸光度の変化が生ずる。例えば、現在、第3測定装置の光軸に位置するウェル内に試薬を添加してもよく、そこで化学反応を生じさせる。
【0040】
化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、生じたルミネセンス反応を観測することによって、試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて同じウェル内で実行できる。代替や追加として、化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、生じたルミネセンス反応を観測することによって、試薬が現在添加されたウェルとは異なるウェルにおいて実行してもよい。特に、これは、ウェルへの試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて実行してもよい
【0041】
既に指摘したように、ウェル内のサンプルに試薬を添加し、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応を同時に観測することが好ましい。試薬や細胞培養を添加することによって生ずる、サンプル(例えば、細胞培養)での化学反応が、マイクロプレートのウェル内に配置されたサンプルや細胞培養の成長や変化の速度を観測(測定や検出)することによって、観測や識別ができる。該方法において、照明装置を用いて、マイクロプレートリーダーで使用(挿入)されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を通過させてもよく、及び/又は、ウェル内にあるサンプルに光を照射してもよい。
【0042】
マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルは、第2照明装置を用いて光を照射してもよい。第2照明装置は、機器区画に配置してもよい。それは、好ましくは、レーザ、フラッシュランプ、LED(発光ダイオード)、レーザダイオードを含むグループから選択してもよい。該方法において、サンプルの吸光度、及び/又はサンプルの蛍光及び/又はサンプルのルミネセンスは、サンプル区画または機器区画に配置された測定装置を用いてそれぞれ測定できる。特に、サンプルの吸光度は、サンプル区画に配置された第1測定装置を用いて測定でき、及び/又は、サンプルの蛍光は、機器区画に配置された第2測定装置を用いて測定できる。また、サンプルのルミネセンスは、サンプル区画や機器区画に配置された第3測定装置を用いて測定できる。
【0043】
該方法が実施できるマイクロプレートリーダーにおいて、制御ユニットは、このマイクロプレートリーダーで使用(挿入)されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の酸素含量および二酸化炭素含量を制御するためのOセンサ及び/又はCOセンサを備えてもよい。ここで、このガス雰囲気の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度は、微好気性、任意には嫌気性および偏性嫌気性の微生物、菌類(fungi)、真核細胞の測定の際、二酸化炭素及び/又は窒素を選択的に受け入れることによって、所定の値に保持できる。
【0044】
上述した方法において、下記の事項d1)〜d3)が実行可能である。
d1)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御する場合、ガス雰囲気中に既に存在するガス、例えば、酸素(O)または二酸化炭素(CO)の濃度は、化学的に不活性ガス、例えば、窒素または不活性ガスをサンプル区画の中に受け入れる(これにより、特に、既に存在するガスを含むガス雰囲気が「希釈」され、または部分的に絞り出される)ことによって低下させることができ、そして、既に存在するガスに反応するセンサ、例えば、Oセンサ及び/又はCOセンサを用いて既に存在するガスの濃度を測定すること、あるいは、
d2)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御する場合、ガス雰囲気中に既に存在するガス、例えば、酸素(O)または二酸化炭素(CO)の濃度は、より多くのこのガスをサンプル区画の中に受け入れる(これにより、特に、このガスの濃度は選択的に上昇する)ことによって上昇させることができ、そして、このガスに反応するセンサを用いて、このガスの濃度を測定すること、あるいは、
d3)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御する場合、ガス雰囲気に存在しないまたは既に存在するガス、例えば、硫化水素(HS)または一酸化炭素(CO)の濃度は、より多くのこのガスをサンプル区画の中に受け入れる(これにより、特に、このガスの濃度は選択的に上昇する)ことによって上昇させることができ、そして、このガスに反応するセンサを用いて、このガスの濃度を測定すること。
【0045】
上述したこの目的は、第3態様に関して、本発明に係る上記のマイクロプレートリーダーの本発明に係る使用によって、あるいは、本発明に係る上記の方法によって達成される。これらの使用は、マイクロプレートリーダーでの生体細胞の測定に関するものであり、生体細胞は、微好気性、任意には嫌気性および偏性嫌気性の微生物、菌類(fungi)、真核細胞を含むグループから選ばれる。
【0046】
追加の発明の特徴が、個々の従属請求項によって提供される。こうしたマイクロプレートリーダーの使用は、所定のO濃度中での微好気性または通性(facultative)嫌気性の微生物の測定で特に好ましい。マイクロプレートリーダーでの生体細胞の測定方法も好ましく、生体細胞は、微好気性、通性嫌気性の微生物、および菌類(fungi)、真核細胞を含むグループから選ばれる。ANSI/SBS 2004規格に係るマルチウェルプレートまたはマイクロタイタープレートが、例えば、6,12,24,48,96,384または1536個のウェルを備えるマイクロプレートとして指定される。
【0047】
本発明に係るマイクロプレートリーダーは、下記の利点を備える。
・測定されるサンプルを備えたマイクロプレートは、永久的に培養器と測定装置との間で前後に移送する必要がない。従って、こうした移送が、細胞または細胞培養が外気に曝され、こうした外気によって影響を受けて、その結果、歪んだ測定結果が得られる場合、省略できる。
・ルミネセンス及び/又は蛍光及び/又は吸光度に関する測定は、完全に自動的な方法で行うことができ、その結果、本発明に係るマイクロプレートリーダーの投入(charging)後は、オペレータが存在する必要がない。
・集積化した蛍光測定のない従来(例えば、CO)の培養器とは対照的に、長期の測定が、本発明に係るマイクロプレートリーダーを用いて実行可能であり、データが検出できない場合にいわゆる「夜の窓(night windows)」の発生を防止できる。
・マイクロプレートのウェルの上方にある雰囲気または周囲環境でのO及び/又はCO濃度の制御は、所定のO及び/又はCO濃度での微嫌気性および通性嫌気性また偏性嫌気性の微生物、菌類、真核細胞の測定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明に係るマイクロプレートリーダーおよび本発明に係るその使用について、本発明の範囲を限定せずに例示的で好ましい実施形態を示す概略図を参照して説明する。
【0049】
図1】好ましい第1実施形態に従って本発明に係るマイクロプレートリーダーを通るかなり概略的な垂直断面図を示すもので、分離プレートを用いて、機器区画とサンプル区画とに区分されたハウジングの内部空間を備える。
図2】好ましい第2実施形態に従って本発明に係るマイクロプレートリーダーを通るかなり概略的な垂直断面図を示すもので、分離プレートを用いて、機器区画とサンプル区画とに区分されたハウジングの内部空間を備える。
図3】好ましい第3実施形態に従って本発明に係るマイクロプレートリーダーを通るかなり概略的な垂直断面図を示すもので、分離プレートを用いて、機器区画とサンプル区画とに区分されたハウジングの内部空間を備える。
図4】本発明に係るマイクロプレートリーダーの後壁内面でのOセンサ、COセンサ、ファンおよびガス入口の例示的配置を示す。
図5】本発明に係るマイクロプレートリーダーを用いて、CO制御の有りまたは無しで得られた、血清有り培地(MWS)における真核腫瘍細胞の成長カーブを示す。
図6】本発明に係るマイクロプレートリーダーを用いて、CO制御の有りまたは無しで得られた、血清無し培地(MWOS)における真核腫瘍細胞の成長カーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、好ましい第1実施形態に従って本発明に係るマイクロプレートリーダー1を通るかなり概略的な垂直断面図を示すもので、内部空間16が、分離プレート15を用いて機器区画18とサンプル区画19とに区分されているハウジング17を備える。このマイクロプレートリーダー1は、光検出のための少なくとも1つの測定装置(2’,2”,2”’)を備える。
【0051】
図1は、本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第1変形例に係る第1測定装置(2’)を示し、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内で、光が通過したサンプルによって影響された光が測定可能である(従って、サンプルの吸光度)。この第1測定装置2’は、好ましくは、マイクロプレートリーダー1のサンプル区画19に配置され、そして、マイクロプレート4のウェル3内にあるサンプルに光を通過させるための第1照明装置11’が、好ましくは、マイクロプレートリーダー1の機器区画18に配置される。その結果、このマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルによって影響された光を検出するための第1測定装置2’は、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4の第2側14(即ち、下側)に第1光軸13’の方向に配置される。その結果、サンプルに光を通過させるための第1照明装置11’は、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4の第1側12(即ち、上側)にこの第1光軸13’の方向に配置される。
【0052】
第1照明装置11’の第1光軸13’への割り当ては、この場合、第1ファイバ光学ライン33’を用いて行われる。第1照明装置11’は、第1ファイバスライド34’と、第1波長選択モノクロメータ35’と、フラッシュランプ36とを備える。その結果、フラッシュランプ36の光は、第1ファイバ光学ライン33’を用いて第1光軸13’の方向に、サンプルに対する第1光学システム23’を介してサンプルの透過照明のために案内される。前記第1光学システム23’は、デカルト座標系のZ軸の方向に高さ調整可能に配置できる(二重矢印Zを参照)。この場合、少なくとも1つのマイクロプレート4を収納し、これらのマイクロプレート4のウェル3を、第1測定装置2’および第1光軸13’に対して位置決めするため保持装置5が、第1照明装置11’と第1測定装置2’との間に、好ましくはサンプル区画19内に配置される。
【0053】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第2変形例に係る第2測定装置2”を図1に示しており、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルが放出した光が第2光軸13”に関して測定可能である(従って、サンプルの蛍光)。前記第2測定装置2”は、光電子増倍管(PMT)24と、第2波長選択モノクロメータ35”と、第2ファイバスライド34”とを備える。この蛍光測定のために、マイクロプレートリーダー1の第1照明装置11’は、マイクロプレート4のウェル3内のサンプルを照射(励起)するために用いられる。
【0054】
第1照明装置11’の第2光軸13”への割り当ては、この場合、第2ファイバ光学ライン33”および第2光学システム23”を用いて行われる。前記第2光学システム23”は、デカルト座標系のZ軸の方向に高さ調整可能に配置できる(二重矢印Zを参照)。その結果、フラッシュランプ36の光は、第2ファイバ光学ライン33”を用いて第2光軸13”の方向に、サンプルを照射するために案内される。サンプルによって放出された蛍光を検出するために、2つの異なる配置が使用可能である。
・いわゆる「上読み取り(top reading)」では、第2光学システム23”がマイクロプレート4の上方で用いられ、第2ファイバ光学ライン33”を用いて第2ファイバスライド34”と接続されており、その結果、光電子増倍管(PMT)24がマイクロプレート4のウェル3内の全ての単一サンプルの蛍光を検出するために使用できる。
・いわゆる「下読み取り(bottom reading)」では、第3光学システム23”’がマイクロプレート4の下方にあり、第3ファイバ光学ライン33”’を用いて第1および第2ファイバスライド34’,34”と接続されており、その結果、この照明装置11’および同じ測定装置2”は、マイクロプレート4のウェル3内の全ての単一サンプルの蛍光を励起し検出するために使用できる。
【0055】
この場合、少なくとも1つのマイクロプレート4を収納し、これらのマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を位置決めするため保持装置5は、好ましくは、サンプル区画19内の第1または第2測定装置2’,2”に対して、好ましくは、機器区画18内に収納された第1照明装置11’の下方に配置される。
【0056】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第3変形例に係る第3測定装置2”’を図1に示しており、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルが放出した光が測定可能である(即ち、サンプルのルミネセンス)。第3測定装置2”’がこのルミネセンス測定のために用いられ、この測定装置は、好ましくは、マイクロプレートリーダー1の機器区画18内に第3光軸13”’に関して配置される。好ましくはマイクロプレートリーダー1のサンプル区画19内に到達する一般に知られている注入装置10が、マイクロプレート4のウェル3内のサンプルでのルミネセンス反応やルミネセンス特性の変化、及び/又は蛍光の変化及び/又は吸光度の変化を伴う化学反応を引き起こすために使用される。前記注入装置10は、好ましくは、その時点でウェル3が第3光軸13”’上に配置され、これにより第3測定装置2”’の上方に正確に配置された場合、化学反応、例えば、ルミネセンス反応を引き起こす試薬がマイクロプレート4のウェル3に添加できるように構成、配置される。
【0057】
マイクロプレートリーダー1の好ましい実施形態が、試薬がウェル3内のサンプルに添加され、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応が同時に観測されるように設計される。この意味で、マイクロプレート4の各ウェル3内に連続的に試薬をサンプルに添加し、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応を同時に観測すること、例えば、ある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェル内に収容されたサンプルのルミネセンス及び/又は蛍光及び/又は吸光度を観測(測定や検出)することが可能である。この手順により、別のウエルの後に、マイクロプレートの1つのウェルを「刺激」すること(即ち、ここに収容されたサンプルに試薬を添加すること)、そして刺激によって生じた化学反応をある時間間隔だけ遅延させて観測(測定や検出)することが可能である。この時間遅延の時間間隔は、個々に関係したウェル間(ある距離だけ隔てた、例えば、隣り)の幾何形状オフセット(即ち、XY面での横方向距離)ならびに、マイクロプレート4および、化学反応を観測するために使用される測定装置2’,2”,2”’(あるいは、その光軸13’,13”,13”’)が特にXY面に対して平行に互いに相対移動する速度によって決定される。
【0058】
相応の注入装置10が、図2図3に示すマイクロプレートリーダーの実施形態において想定され、注入装置10に関して前述したものおよびその機能や使用がここで示す実施形態に適用される。
【0059】
第3測定装置2”’は、好ましくは第4光学システム23””を備え、これはデカルト座標系のZ軸の方向に移動可能に配置できる(二重矢印Zを参照)。第1、第2、第3および第4光学システム23’,23”,23”’,23””は、特に好ましい方法では、分離プレート15の個々の開口20を介してサンプル区画19内に部分的に降下可能なように配置される。
【0060】
分離制御ユニット6’が、本発明に係るマイクロプレートリーダー1のハウジング17の上に配置され、Oセンサ8、COセンサ9、ファン22およびガス入口21の配置が、本発明に係るマイクロプレートリーダー1のハウジング17の後壁30の内側に設けられる(図4参照)。マイクロプレートリーダー1の制御ユニット6’は、好ましくは、サンプル区画19、即ち前記マイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレートのサンプルを収容するウェル3の周囲でのガス雰囲気7の酸素含量を測定し制御するためのOセンサ8を備える。マイクロプレートリーダー1の制御ユニット6は、特に好ましい方法では、Oセンサ8の代替または追加として、前記マイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を取り囲むガス雰囲気7の二酸化炭素含量を測定し制御するためのCOセンサ9を備える。従って、制御ユニット6は、マイクロプレートリーダー1のハウジング17の内部に部分的および外部に部分的に配置され、電気コンタクト27およびガスライン38を介してマイクロプレートリーダー1と接続されまたは接続可能である。分離制御ユニット6’は、使用するガスのための必要な圧力シリンダと直接に接続される。必要とされるガス接続のための個々のバルブおよびスロットルが、分離制御ユニット6’に設置される(不図示)。代替として、ガス圧力シリンダにマウスおよびスロットルを使用することも可能であり、これらのバルブは、好ましくは電気制御ソレノイドバルブ(ノーマルクローズのタイプ)として配置される。図1は、とりわけ分離制御ユニット6’およびマイクロプレートリーダー1のための制御要素、ディスプレイ要素、電源を示していない。
【0061】
図2は、好ましい第2実施形態に従って本発明に係るマイクロプレートリーダー1を通るかなり概略的な垂直断面図を示すもので、内部空間16が分離プレート15を用いて機器区画18とサンプル区画19とに区分されたハウジング17を備える。このマイクロプレートリーダー1は、光検出のための少なくとも1つの測定装置2’,2”,2”’を備える。
【0062】
図2は、本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第1変形例に係る第1測定装置2’を示し、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内で、光が通過したサンプルによって影響された光が測定可能である(従って、サンプルの吸光度)。この第1測定装置2’は、好ましくは、マイクロプレートリーダー1のサンプル区画19に配置され、そして、マイクロプレート4のウェル3内にあるサンプルに光を通過させるための第1照明装置11’が、好ましくは、マイクロプレートリーダー1の機器区画18に配置される。その結果、このマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルによって影響された光を検出するための第1測定装置2’は、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4の第2側14(即ち、下側)に第1光軸13’の方向に配置される。その結果、サンプルに光を通過させるための第1照明装置11’は、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4の第1側12(即ち、上側)にこの第1光軸13’の方向に配置される。
【0063】
第1照明装置11’の第1光軸13’への割り当ては、この場合、部分透明(例えば、50%)ミラー26またはダイクロイックミラーを用いて行われる。第1照明装置11’は、第1波長選択フィルタ37’と、フラッシュランプ36とを備える。その結果、フラッシュランプ36の光は、部分透明ミラー26を用いて第1光軸13’の方向に、サンプルに対する第1光学システム23’を介してサンプルの透過照明のために案内される。前記第1光学システム23’は、デカルト座標系のZ軸の方向に高さ調整可能に配置できる(二重矢印Zを参照)。この場合、少なくとも1つのマイクロプレート4を収納し、これらのマイクロプレート4のウェル3を、第1測定装置2’および第1光軸13’に対して位置決めするため保持装置5が、第1照明装置11’と第1測定装置2’との間に、好ましくはサンプル区画19内に配置される。
【0064】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第2変形例に係る第2測定装置2”を図2に示しており、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルが放出した光が第1光軸13’または第2光軸13”に関して測定可能である(従って、サンプルの蛍光)。前記第2測定装置2”は、光電子増倍管(PMT)24と、第2波長選択フィルタ37”とを備える。この蛍光測定のために、マイクロプレートリーダー1の第1照明装置11’は、マイクロプレート4のウェル3内のサンプルを照射(励起)するために再び用いられる。
【0065】
第1照明装置11’の第2光軸13”への割り当ては、この場合、部分透明(例えば、50%)ミラー26またはダイクロイックミラー、そして第1光学システム23’を用いて行われる。
【0066】
サンプルによって放出された蛍光を検出するために、2つの異なる配置が使用可能である。
・いわゆる「下読み取り(bottom reading)」では、第2光学システム23”がマイクロプレート4の下方にあり、第1ファイバ光学ライン33’を用いて部分透明ミラー26および第2フィルタ37”と接続されており、その結果、光電子増倍管(PMT)24は、マイクロプレート4のウェル3内の全ての単一サンプルの蛍光を検出するために使用できる。
・いわゆる「上読み取り(top reading)」では、第1光学システム23’がマイクロプレート4の上方で用いられ、部分透明ミラー26を用いて第2フィルタ37”と接続されており、その結果、同じ光電子増倍管(PMT)24がマイクロプレート4のウェル3内の全ての単一サンプルの蛍光を検出するために使用できる。
【0067】
この場合、少なくとも1つのマイクロプレート4を収納し、これらのマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を位置決めするため保持装置5は、好ましくは、サンプル区画19内の第1または第2測定装置2’,2”に対して、好ましくは、機器区画18内に収納された第1照明装置11’の下方に配置される。
【0068】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第3変形例に係る第3測定装置2”’を図2に示しており、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルが放出した光が測定可能である(即ち、サンプルのルミネセンス)。第3測定装置2”’がこのルミネセンス測定のために用いられ、この測定装置は、好ましくは、マイクロプレートリーダー1の機器区画18内に第3光軸13”’に関して配置される。好ましくはマイクロプレートリーダー1のサンプル区画19内に到達する一般に知られている注入装置10が、マイクロプレート4のウェル3内のサンプルでのルミネセンス反応やルミネセンス特性の変化、及び/又は蛍光の変化及び/又は吸光度の変化を伴う化学反応を引き起こすために使用される。前記注入装置10は、好ましくは、その時点でウェル3が第3光軸13”’上に配置され、これにより第3測定装置2”’の上方に正確に配置された場合、化学反応、例えば、ルミネセンス反応を引き起こす試薬がマイクロプレート4のウェル3に添加できるように構成、配置される。
【0069】
第3測定装置2”’は、好ましくは第3光学システム23”’を備え、これはデカルト座標系のZ軸の方向に移動可能に配置できる(二重矢印Zを参照)。第1および第2光学システム23’,23”は、特に好ましい方法では、分離プレート15の個々の開口20を介してサンプル区画19内に部分的に降下可能なように配置される。
【0070】
同じ制御ユニット6は、好ましくは、本発明に係るマイクロプレートリーダー1の前述した全ての変形例で使用される。
【0071】
図3は、好ましい第3実施形態に従って本発明に係るマイクロプレートリーダーを通るかなり概略的な垂直断面図を示すもので、内部空間16が内部ハウジング39を用いて機器区画18とサンプル区画19とに区分されたハウジング17を備える。このマイクロプレートリーダー1は、光検出のための少なくとも1つの測定装置2’,2”,2”’を備える。内部ハウジング39は開口20を備え、これはマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内で放出された光またはサンプルによって影響された光が、これを通過してサンプル区画19から機器区画18に到達するように設計されている。
【0072】
図3は、本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第1変形例に係る第1測定装置2’を示し、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内で、光が通過したサンプルによって影響された光が測定可能である(従って、サンプルの吸光度)。この第1測定装置2’は、好ましくは、マイクロプレートリーダー1の機器区画18に配置され、そして、マイクロプレート4のウェル3内にあるサンプルに光を通過させるための第1照明装置11’が、好ましくは、マイクロプレートリーダー1のサンプル区画19に配置される。その結果、このマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルによって影響された光を検出するための第1測定装置2’は、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4の第1側12(即ち、上側)に第1光軸13’の方向に配置される。その結果、サンプルに光を通過させるための第1照明装置11’は、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4の第2側14(即ち、下側)にこの第1光軸13’の方向に配置される。
【0073】
第1測定装置2’は、好ましくは、サンプルから到来する光を光電子増倍管またはPMT24の方向に偏向させるためのミラー25を備える。代替として、サンプルから到来する光は、PMT24のファイバー光学系(不図示)を用いて供給可能である。同様に、第1照明装置11’は、ランプとして配置可能であり、第1光軸13’上に配置可能である。代替として、サンプルに光を通過させるための光は、ミラーまたはファイバー光学系(両方とも不図示)を用いて第1光軸13’の方向に案内可能である。この場合、少なくとも1つのマイクロプレート4を収納し、これらのマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を位置決めするため保持装置5が、好ましくは、第1測定装置2’に対して第1照明装置11’と第1測定装置2’との間に配置され、好ましくは、サンプル区画19内に配置される。
【0074】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第2変形例に係る第2測定装置2”を図3に示しており、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルが放出した光が測定可能である(従って、サンプルの蛍光)。この蛍光測定のために、マイクロプレートリーダー1の第1測定装置2’は再び用いられ、この場合、第2測定装置2”と同じである。第2照明装置11”(好ましくは、レーザ、フラッシュランプまたはレーザダイオード)が、マイクロプレート4のウェル3内のサンプルを照射するために必要な励起光用の光源として用いられる。前記第2照明装置11”は、好ましくは、マイクロプレートリーダー1のハウジング空間18内に配置される。その結果、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4のウェル3内でサンプルが放出した光の検出のための第1測定装置2’および第2照明装置11”の両方が、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4の同じ側12(従って上側)に配置される。第2照明装置11”は、好ましくは、励起光を第1光軸13’の方向、即ちサンプルに向けて偏向させるための部分透明(例えば、50%)ミラー26またはダイクロイックミラーを備える。この場合、少なくとも1つのマイクロプレート4を収納し、これらのマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を位置決めするため保持装置5は、好ましくは、サンプル区画19内の第1測定装置2’に対して、好ましくは機器区画18に収納された第2照明装置11”および第1測定装置2’の下方に配置される。
【0075】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1の第3変形例に係る第3測定装置2”’を図3に示しており、これを用いてこのマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレート4のウェル3内でサンプルが放出した光が測定可能である(即ち、サンプルのルミネセンス)。第3測定装置2”’がこのルミネセンス測定のために用いられ、この測定装置は、好ましくは、マイクロプレートリーダー1のサンプル区画19に第2光軸13”に関して配置される。好ましくはマイクロプレートリーダー1のサンプル区画19内に配置された一般に知られている注入装置10が、マイクロプレート4のウェル3内のサンプルでのルミネセンス反応やルミネセンス特性の変化、蛍光の変化及び/又は吸光度の変化を伴う化学反応を引き起こすために使用される。前記注入装置10は、例えば、その時点でウェル3が第2光軸13”上に配置され、これにより第3測定装置2”’の上方に正確に配置された場合、化学反応、例えば、ルミネセンス反応を引き起こす試薬がマイクロプレート4のウェル3に添加できるように構成、配置される。
【0076】
この場合、少なくとも1つのマイクロプレート4を収納し、これらのマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を位置決めするため保持装置5は、好ましくは、サンプル区画19内の第2測定装置2”に対して、注入装置10の下方で第3測定装置2”’の上方に配置される。第1測定装置2’は、好ましくは第1光学システム23’を備え、これはデカルト座標系のZ軸の方向に移動可能に配置できる。第1光学システム23’は、特に好ましい方法では、図3に示すような第1実施形態に従って、内部ハウジング39での個々の開口20を介してサンプル区画19内に部分的に降下可能なように配置される。
【0077】
マイクロプレート4や保持装置5は、第1、第2及び/又は第3測定装置2’,2”,2”’の第1、第2及び/又は第3光軸23’,23”,23”’に対して、デカルト座標系のZ軸の方向に移動可能である(図2図3の二重矢印Zを参照)。マイクロプレート4や保持装置5(二重矢印X,Yを参照)及び/又は第1、第2及び/又は第3測定装置2’,2”,2”’やこれらの第1、第2及び/又は第3光軸23’,23”,23”’は、デカルト座標系のX軸及び/又はY軸の方向に移動可能なように設計してもよい。これは、図示した全ての実施形態および本発明に係るマイクロプレートリーダー1の変形例および可能性のある変更に適用できる。
【0078】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1の全ての実施形態および変形例が、マイクロプレートリーダー1は、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を取り囲むガス雰囲気7の組成を制御するための制御ユニット6を備えることを特徴とする。さらに、保持装置5は、好ましくはデカルト座標系のX軸およびY軸の方向に移動可能なように配置される(図1図3の二重矢印X,Yを参照)。
【0079】
図4は、本発明に係るマイクロプレートリーダー1のハウジング17の後壁30の内側においてOセンサ8、COセンサ9、ファン22およびガス入口21の例示的な配置を示す。マイクロプレートリーダー1の制御ユニット6は、好ましくは、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を取り囲むガス雰囲気7の酸素含量を測定し制御するためのOセンサ8を備える。マイクロプレートリーダー1の制御ユニット6は、特に好ましい方法では、前記Oセンサ8の代替または追加として、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を取り囲むガス雰囲気7の二酸化炭素含量を測定し制御するためのCOセンサ9を備える。この制御ユニット6は、マイクロプレートリーダー1のハウジング17の外部に部分的に配置可能であり、電気コンタクト27およびガス導管(不図示)を介してマイクロプレートリーダー1(不図示)と接続されまたは接続可能である。
【0080】
しかしながら、制御ユニット6がマイクロプレートリーダー1内に完全に一体化して、共通ハウジング17内に収容されることを提供することも可能である(図2図3を参照)。この場合、マイクロプレートリーダー1は、使用するガスのための必要な圧力シリンダと直接に接続されるであろう(図2図3を参照)。好ましくは、個々のバルブおよびスロットルは、マイクロプレートリーダー1のハウジング17内に設置される(不図示)。代替として、ガス圧力シリンダにバルブおよびスロットルを使用することも可能であり、これらのバルブは、好ましくは電気制御ソレノイドバルブ(ノーマルクローズのタイプ)として配置される(不図示)。
【0081】
制御ユニットは、好ましくは、個々のソフトウエアを伴うコンピュータ28を備える。この場合、コンピュータ28は、マイクロプレートリーダー1の中央コンピュータ29と接続可能であり(図1参照)(例えば、分離ハウジング17’に収納され)、あるいはマイクロプレートリーダー1の該中央コンピュータ29内に統合できる。好ましくは、周囲空気を置換するために用いられる窒素(N)及び/又は二酸化炭素(CO)が圧力シリンダ内に用意され、これらのガスに必要な供給圧力を設定するために、広く知られた制御バルブおよびスロットルがこれらの圧力シリンダで使用される。こうしたプロセスガスが、代替として他の供給源から(例えば、インハウス導管から)も入手できる。
【0082】
窒素および二酸化炭素に加えて、他のガスが、サンプル区画内で通常支配的な雰囲気に所定の割合を生成するために使用できる(サンプル区画19内で個々のガス検出器と組み合わせて)。潜在的に応用可能な安全対策を守ることによって、ガス雰囲気の特定の組成を生成するために、前記マイクロプレートリーダー1内のウェル3のエリアに挿入されたマイクロプレート4を介してガス入口21を用いて、他の希ガスまたは不活性ガス(例えば、アルゴン)、あるいは反応性または有毒なガス(例えば、酸素、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄)をマイクロプレートリーダー1のサンプル区画19の中に導入することも可能である。好ましくは、制御ユニット6には、充分なガス導管およびガスバルブが搭載され、その結果、複数のガス成分を持つより複雑なガス組成が実現できる。
【0083】
適切なCOセンサに関して、現在使用しているCOセンサに言及する(SenseAir CO2 Engine ICB, Part No. : 033-9-0001 of SenseAir AB in SE-820 60 Delsbo, Sweden)。適切なOセンサに関して、現在使用しているOセンサに言及する(Pewatron FCX-MEP2-F-CH oxygen module of Pewatron AG in CH-8052 Zurich, Switzerland)。
【0084】
制御ユニット6は、Oセンサとの組合せで、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を取り囲むガス雰囲気7の酸素含量を制御することができ、その結果、マイクロプレートリーダー1は、所定のO濃度の下で微好気性または通性嫌気性の微生物の測定に使用できる。所定のO濃度の下で嫌気性の微生物または真核細胞の測定が可能である。
【0085】
制御ユニット6は、COセンサとの組合せで、このマイクロプレートリーダー1に挿入されたマイクロプレート4のサンプルを収容するウェル3を取り囲むガス雰囲気7の二酸化炭素含量を制御することができ、その結果、マイクロプレートリーダー1は、所定のCO濃度の下で生体細胞培養の測定で使用できる。
【0086】
本発明に関連して、細胞培養、こうした細胞培養から分離した生物学的細胞蓄積、別に入手した細胞、または個別細胞が、微生物、菌類(fungi)、動植物の真核細胞を含む細胞として指定されることになる。
【0087】
図1図4に示すように、マイクロプレートリーダー1および制御ユニット6の要素の任意の組合せが、本発明の範囲に属している。
【0088】
真核腫瘍細胞の5% CO調整を本発明に係る第1実施形態のマイクロプレートリーダー1を用いてテストした(図1参照)。GFP形質転換(transfected)A431細胞を蛍光測定用に使用した。略語GFPは、396nmと475nmの波長で励起最大となり、508nmの波長で発光最大となる、広く知られている「緑色蛍光タンパク質」を意味する。72時間に渡って個々の成長カーブを記録するために、これらの細胞を10%の血清(serum)有り培地(MWS)または血清無し培地(MWOS)に浮遊させた。血清有り培地(MWS)は、次の組成を有していた。ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM含有フェノールレッド)、4.5g/lのグルコース、10mMのHEPESバッファで補充、2mMのL−グルタミン酸、1mMのNa−ピルビン酸、100U/mlのペニシリン、0.1mg/mlのストレプトマイシン、5%(v/v)のウシ胎仔血清(FBS)。全ての培地成分をPAA laboratories社(リンツ、オーストリア)から入手した。
【0089】
血清無し培地(MWOS)は、ウシ胎仔血清(FBS)を除いて同じ成分を含有していた。
【0090】
グライナー社標準細胞培養MTP96ウェル 無菌コーティングタイプ(Greiner 96 well, black, flat & clear bottom, sterile - culture tissue plates) のマイクロプレート4を使用した。これらのマイクロプレート4の48個のウェル3に、2500 A431GFP細胞および10%血清をそれぞれ投入した(サンプル タイプA、図5参照)。これらのマイクロプレート4の残りの48個のウェル3には、2500 A431GFPを血清無しでそれぞれ投入した(サンプル タイプB、図6参照)。これらの2つのサンプル タイプAとBを用いて2つのテストシリーズを実施した。
【0091】
第1テストシリーズは、COセンサ(SenseAir, Typ CO2 Engine ICB, Part No.: 033-9-0001)を用いて、サンプル区画19でのCO濃度を測定することであり、その濃度は、集積化した電子制御システムを備えた制御ユニット6を用いて一定に維持した。これは、本発明に係るマイクロプレートリーダー1のサンプル区画19および機器区画18での雰囲気が、最初に周囲空気の1つに対応したガス組成(即ち、標準雰囲気にほぼ対応していた)を有するように達成した。標準雰囲気は、次の組成を有する。酸素20.93%、窒素78.10%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.03%、水素,ネオン,ヘリウム,クリプトン,キセノン0.01%。
【0092】
マイクロプレートリーダー1のハウジング14は、マイクロプレートリーダー1の保持装置5でのマイクロプレート4の位置決め後に封止し、そして、COガス濃度が5%に到達するまで、COガスをガス入口21を介してサンプル区画19の中に導入した。このCO濃度は測定期間中は不変に維持され、必要に応じて(COセンサが不十分な二酸化炭素濃度と決定するごとに)COガスがサンプル区画19内に導入した。サンプル区画19でのガス混合物は、ファンを用いて絶えず循環した。その温度は、いずれの場合でも37℃に一定に保持した。
【0093】
第2テストシリーズは、追加のCOをサンプル区画19内に導入せずに、サンプルを周囲空気に恒久的に曝すことである。その温度は、いずれの場合でも37℃に一定に保持した。
【0094】
各サンプル(各ウェル3)の蛍光は、マイクロプレート4の下方に配置された第1照明装置11’を用いてそれぞれ励起し(λ=485nmで励起、λ=535nmで蛍光検出)、第2光学システム23”を用いて検出用の光電子増倍管(PMT)24へ案内した。個々のサンプルの個々の蛍光は、時間に依存して測定した。光電子増倍管24で検出された、各単一ウェルの個々の蛍光強度は、マイクロプレートリーダー1の中央コンピュータ29で処理し、そしてカーブダイヤグラムに示した(図5図6を参照)。
【0095】
図5は、本発明に係るマイクロプレートリーダーを用いて、CO制御の有りまたは無しで得られた、10%の血清有り培地(MWS)における真核腫瘍細胞の成長カーブを示す。参照符号31はCO濃度が5%に不変に維持されたサンプルを表し、参照符号32は通常の周囲空気に曝されたサンプルを表す。
【0096】
図5は、最初の35時間は、細胞がほぼ同様に活動したことを示しており、CO濃度が5%に不変に維持されたサンプル31の細胞生命力(対応するGFP信号に基づいて(即ち、蛍光の強度に基づいて)測定した)が、通常の周囲空気に曝されたサンプル32の細胞生命力より少し低い。約35時間後は、通常の周囲空気に曝されたサンプル32の細胞の成長が劇的に低下した。それは、約60時間後に約450%の最大に到達し、75時間の測定最後では初期値の400%未満に減少した。
【0097】
これに対して、CO濃度が5%に不変に維持されたサンプル31の細胞生命力は、35時間の測定期間後、直線的に徐々に増加し、75時間の測定最後では初期値の約900%に到達した。
【0098】
図6は、本発明に係るマイクロプレートリーダーを用いて、CO制御の有りまたは無しで得られた、10%血清無し培地(MWOS)における真核腫瘍細胞の成長カーブを示す。参照符号31はCO濃度が5%に不変に維持されたサンプルを表し、参照符号32は通常の周囲空気に曝されたサンプルを表す。
【0099】
図6は、最初の35時間は、細胞がほぼ同様に活動したことを示しており、CO濃度が5%に不変に維持されたサンプル31の細胞生命力(対応するGFP信号に基づいて(即ち、蛍光の強度に基づいて)測定した)が、通常の周囲空気に曝されたサンプル32の細胞生命力より少し低い。約35時間後は、通常の周囲空気に曝されたサンプル32の細胞の成長が200%の最大に到達し、75時間の測定最後ではほぼ100%の初期値に低下した。
【0100】
これに対して、CO濃度が5%に不変に維持されたサンプル31の細胞生命力は、35時間の測定期間後、ほぼ同じ量で増加し、75時間の測定最後では初期値の約300%に到達した。
【0101】
図示した結果は、5%のCO濃度に不変に保持された細胞は、通常の周囲空気に保持された細胞よりも実質的に高い細胞生命力を示すことができることを示している。このより大きな細胞生命力は、特に40時間以上の培養時間後に役割を果たす。10%血清の更なる追加は、細胞生命力が最初の35時間は2倍増加し、75時間後では3倍増加する。
【0102】
こうした無中断の長期研究が、本発明を用いて実際に可能になり、例えば、収集可能なデータが無い約14時間の「夜の窓(night windows)」を考慮する必要がある、統合した蛍光測定の無い従来のCO培養器とは異なっている。
【0103】
このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのサンプルを収容するウェルの上方のガス雰囲気の組成またはウェル内の周囲環境を制御するためのセンサおよび制御ユニットとを備えた、先行技術から知られているマイクロプレートリーダーは存在しない。
【0104】
ドイツ公開出願DE 10 2005 033 927 A1は、生体細胞を観察するための倒立顕微鏡での明視野の透過光コントラストのための照明装置を開示しているが、この照明装置は、倒立顕微鏡の密閉遮光性のコンパクトな培養器内に一体化され、マイクロタイタープレートとして配置されたサンプルホルダーの各個別ウェルが連続的に照明され、同時に、最小限の熱損失との組合せでサンプル体積の温度安定化が長期間に渡って確保される。この照明装置は、培養器の上部において投影レンズの上方に静止した状態で配置される。挿入されたマイクロプレート、ペトリ皿などが、培養器の下部に配置された顕微鏡ステージ上で投影レンズに対して相対移動可能である。
【0105】
培養器は、外側の第2チャンバによって完全に包囲された第1チャンバを備え、これにより周囲環境から熱的に分離されている。サンプルを備えたマイクロタイタープレートは、温度、空気湿度およびCO含量は、制御装置によって制御された方法で制御可能である前記内側チャンバ内に配置される。このドイツ公開出願DE 10 2005 033 927 A1は、専ら倒立顕微鏡に関するものであり、その構成および使用は、結像機能が無く、ウェル当たりかなり短い測定期間を可能にするマイクロプレートリーダーとはかなり異なる。マイクロプレートリーダー、特にOセンサは、この公報には言及がない。
【0106】
マイクロタイタープレート内のサンプルを観測するための気候チャンバが、特許EP 1 575 706 B1から知られている。所定の空気湿度及び/又は温度を持つ空気の形態である調整用媒体流がこの気候チャンバ内に導入可能である。COガスの所定の導入および、マイクロタイタープレートを搬送するサンプルホルダーに接近した温度センサ、湿度センサ及び/又はガスセンサの配置が提供できる。マイクロプレートリーダー、特にOセンサは、この公報には言及がない。
【0107】
結果として、先行技術は、このマイクロプレートリーダー1で使用されるマイクロプレートのサンプルを収容するウェル3の上方のガス雰囲気7の組成またはウェル内の周囲環境を制御するための制御ユニット6を備えた本発明に係るマイクロプレートリーダー1を、当業者にとって自明にするものではない。
【0108】
本発明に係るマイクロプレートリーダー1および制御ユニット6のさらに好ましい応用は、例えば、微生物の成長に対するO分圧の影響に関する試験、例えば、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)(文献:Biedermann et al. 1967, "Archiv fur Mikrobiologie" (Archive for Microbiology) 56, 133-147)および、微好気性アルギン酸生産の試験、好ましくは2.5〜5%(好ましくは2.5%)のO濃度が設定される(文献:Wael Sabra 1999 : Microaerophilic alginate production with Azotobacter vinelandii; Dissertation at the Common Scientific Faculty of the Braunschweig University of Technology)に関する。
【0109】
図に示したマイクロプレートリーダー1の同じまたは対応する特徴には、説明中で明示的に参照していない場合、同じ参照符号が付与される。図示した実施形態の特徴やこれらの特徴の技術的な等価物の任意の組合せがここで開示した発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0110】
1 マイクロプレートリーダー 22 ファン
2’ 第1測定装置 23’ 第1光学システム
2” 第2測定装置 23” 第2光学システム
2”’ 第3測定装置 23”’ 第3光学システム
3 ウェル 24 PMT光電子増倍管
4 マイクロプレート 25 ミラー
5 保持装置 26 部分透明ミラー
6 制御ユニット 27 電気コンタクト
6’ 分離制御ユニット 28 コンピュータ
7 ガス雰囲気 29 マイクロプレートリーダーの中央コンピュータ
8 Oセンサ
9 COセンサ 30 後壁
10 注入装置 31 CO制御有りの細胞成長カーブ
11’ 第1照明装置
11” 第2照明装置 32 CO制御無しの細胞成長カーブ
12 挿入されたマイクロプレート4の第1側 33’ 第1ファイバ光学ライン
13’ 第1光軸 33” 第2ファイバ光学ライン
13” 第2光軸 33”’ 第3ファイバ光学ライン
13”’ 第3光軸 34’ 第1ファイバスライド
14 挿入されたマイクロプレート4の第2側 34” 第2ファイバスライド
35’ 第1モノクロメータ
15 分離プレート 35” 第2モノクロメータ
16 内部空間 36 フラッシュランプ
17 リーダーのハウジング 37’ 第1フィルタ
17’分離ハウジング 37” 第2フィルタ
18 機器区画 38 ガスライン
19 サンプル区画 39 内部ハウジング
20 開口
21 ガス入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6