【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、第1態様に関して、ここで開示するようなマイクロプレートリーダーによって達成される。このマイクロプレートリーダーは、下記の構成a)〜c)を備える。
a)下記a1)〜a3)を含むグループから選択された、少なくとも1つの測定装置。
a1)マイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内でサンプルの吸光度を測定するために設計された第1測定装置。
a2)マイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内で、光が照射されたサンプルの蛍光を測定するために設計された第2測定装置。
a3)マイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内で、サンプルのルミネセンスを測定するために設計された第3測定装置。
b)少なくとも1つのマイクロプレートを収納し、少なくとも1つの測定装置に対して、前記マイクロプレートのサンプル収容ウェルを位置決めするための保持装置。
c)このマイクロプレートリーダーにおいて使用または挿入されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の組成を制御するための制御ユニット。
【0007】
マイクロプレートリーダーは、代替として、下記の構成d1)またはd2)をさらに備える。
d1)マイクロプレートリーダーのハウジングの内部空間を機器(appliance)区画とサンプル区画とに区分する分離プレートであって、少なくとも1つの開口を備える。分離プレートは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で、照射されまたはサンプルによって影響された光がこれを通過してサンプル区画から機器区画に到達するように設計される。
d2)マイクロプレートリーダーのハウジング内に配置された内部ハウジング。その内部に保持装置が配置される。内部ハウジングは、マイクロプレートリーダーのハウジングの内部空間を機器区画と、保持装置を取り囲むサンプル区画とに区分するものであり、少なくとも1つの開口を備える。これは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で、照射されまたはサンプルによって影響された光がこれを通過してサンプル区画から機器区画に到達するように設計される。
【0008】
分離プレートおよび内部ハウジングの主要な機能が、これらの代替の区割り(zoning)手段にとって共通しており、即ち、サンプル区画でのサンプルが機器によって必要な場合にのみ影響されるように、サンプル区画を機器区画から分離することである。
【0009】
ハウジングの内部空間において、マイクロプレートリーダーは、分離プレートや内部ハウジングを用いて、サンプル区画が機器区画からほぼ遮光性かつほぼ気密性を保って分離されるように設計できる。そのため開口は、相応の防止(proofing)装置を備えてもよい。代替または追加として、開口の周りに延びる防止装置を設けてもよい。説明した実施形態において、防止装置は、主として光が開口をほぼ通過するのに影響を与えるように、即ち、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で放出され、またはサンプルによって影響された光が、開口を通ってサンプル区画から機器区画へ通過するとともに、他の光(放出されていない光、またはサンプルによって影響されていない光)が開口を通過するのを可能な限り阻止されるように設計される。
【0010】
サンプル区画に存在するガス及び/又はサンプル区画に流入するガスを混合及び/又は循環させるための移動装置をサンプル区画内に配置してもよい。移動装置は、次の装置、即ち、ブロワ、1つ又はそれ以上のバッフル板、1つ又はそれ以上のパドルを含む撹拌装置、構造化されたジェットノズルシステムのうち少なくとも1つを備えてもよい。ここで、1つ又はそれ以上のバッフル板を備えた装置は、サンプル区画へのガス入口の近くに配置してもよい。1つ又はそれ以上のパドルを含む撹拌装置は、保持装置の近くに配置してもよい。構造化されたジェットノズルシステムは、複数の入口ノズルを備えてもよく、これらはサンプル区画内にほぼ均等に配置され、入口ノズルを通るガス流入の際、サンプル区画内のガス雰囲気が移動して、ほぼ均等に混合されるようになる。入口ノズルは、ガス入口ラインに沿って、好ましくは均等な間隔で分布するように配置してもよい。ガス入口ラインは、ほぼ全体として、サンプル区画の天井または底壁面などの壁面に対してほぼ平行となる配置でそれぞれ入り込んでもよい。配置は、略S字状の配置、複数の略S字状の配置、及び/又は、略らせん状の配置を含んでもよい。代替または追加として、ガス入口ラインは、代替または追加として、ガス入口ラインは、少なくともセクション、1つ又は複数のセクション、2つ又はそれ以上のガス入口サブラインに区分または分岐していてもよい。
【0011】
制御ユニットは、対応のソフトウエアを有する、例えば、内蔵したコンピュータを備えてもよく、前記コンピュータは、マイクロプレートリーダーの中央コンピュータと接続したり、そこに内蔵してもよい。代替として、制御ユニットは、対応のソフトウエアを有するコンピュータを備えてもよく、このコンピュータは、マイクロプレートリーダーの中央コンピュータと接続され、別個のハウジングに配置される。
【0012】
制御ユニットは、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の異なるガスを含むガス雰囲気の組成を制御するように設計してもよい。このため制御ユニットは、サンプル区画での種々のガスを測定するため、即ち、このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の組成を制御するためのガスセンサを備えてもよい。これとは独立して、マイクロプレートリーダーは、ガス入口、特に、ガスセンサ無しのガス入口を備えてもよく、その入口は制御ユニットによって作動可能であり、サンプル区画へのガス流入を許容するためである。
【0013】
種々のガスの少なくとも1つのガスが、窒素(N
2)、二酸化炭素(CO
2)、酸素(O
2)、一酸化炭素(CO)、硫化水素(H
2S)、二酸化硫黄(SO
2)を含むグループから選択してもよい。
【0014】
制御ユニットは、好ましくは、このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の酸素含量を測定し制御するためのO
2センサと、このマイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の二酸化炭素含量を測定し制御するためのCO
2センサとを備える。
【0015】
これとは独立して及び/又はこれに追加として、制御ユニットは、ガス雰囲気の湿度および温度を制御するように設計してもよい。このため制御ユニットは、サンプル区画において、ガス雰囲気の湿度を測定するための湿度センサと、ガス雰囲気の温度をを測定するための温度センサとを備えてもよい。
【0016】
これとは独立して及び/又はこれに追加として、制御ユニットは、サンプル区画を冷却するための冷却装置及び/又はサンプル区画を加熱するための加熱装置を備えてもよい。好ましくは、加熱装置は、これにより分離プレートまたは内部ハウジングの上に搭載され、サンプル区画内のガス雰囲気と熱交換で連通している。冷却装置は、サンプル区画の底部に搭載され、サンプル区画内のガス雰囲気と熱交換で連通している。加熱装置は、分離プレートのサンプル区画側や内部ハウジングの内部空間側に配置されたプレートの上に搭載してもよい。好ましくは、プレートは、分離プレートや内部ハウジングと非熱伝導性で接続される。マイクロプレート上やマイクロプレートのウェルでの湿度や水分の凝縮が、加熱装置および冷却装置のこれらの配置によって解消される。冷却装置や加熱装置に関してここで開示したものは同様に、分離プレートや内部ハウジングを有するマイクロプレートリーダーの設計にも適用される。
【0017】
別個の換気装置が、機器区画に配置してもよく、マイクロプレートリーダー内に設けてもよい。換気装置は、光源(例えば、ランプ)、及び/又は熱を発生する他の装置を冷却するために機能する。換気装置は、サンプル区画内に配置された加熱装置やサンプル区画内に配置された冷却装置から独立して作動、動作してもよい。
【0018】
マイクロプレートリーダーにおいて、第1測定装置、第2測定装置及び/又は第3測定装置はそれぞれ、光用の入口ポイントおよび光用の出口ポイントを有する光ガイドと、出口ポイントから出てくる光を測定するために配置された光検出装置とを備えてもよい。第1測定装置への光のアクセスポイント、第2測定装置への光のアクセスポイント、第3測定装置への光のアクセスポイントはそれぞれサンプル区画内に配置してもよい。
【0019】
ここで、用語「光ガイド」は、光ファイバ、光ファイバ束、またはミラーシステムを意味するものと理解される。光ファイバまたは光ファイバ束として具体化された光ガイド、およびミラーシステムとして具体化された光ガイドが、光用の入口ポイントと、光用の出口ポイントと、入口ポイントから出口ポイントへ延びる光ガイド通路とを備え、これに沿って光が光ガイドによって案内可能になる。
【0020】
マイクロプレートリーダーにおいて、第1測定装置、第2測定装置及び/又は第3測定装置の個々の光ガイドは、光ファイバまたは光ファイバ束として具体化してもよい。代替として、個々の光ガイドがミラーシステムとして具体化できる。光ファイバとミラーの組合せが、サンプルの照明のためやサンプルから到来する光の検出のために実現可能である。第1測定装置、第2測定装置及び/又は第3測定装置の光検出装置は、サンプル区画内または機器区画内に配置してもよい。
【0021】
マイクロプレートリーダーにおいて、第1測定装置の第1光検出装置及び/又は第3測定装置の第3光検出装置は、サンプル区画内に配置してもよい。マイクロプレートリーダーにおいて、ウェル内の蛍光を測定するために設計された第2測定装置の第2光検出装置は、機器区画内に配置してもよい。
【0022】
マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内のサンプルに光を通過させ照射するために設計された少なくとも1つの照明装置を備えてもよい。照明装置は、光源と、光源で発生した光の少なくとも一部を、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェルやウェル内に配置されたサンプルに案内するための光ガイドとを備えてもよい。
【0023】
第1、第2及び/又は第3照明装置を第1、第2及び/又は第3測定装置のためにそれぞれ設けてもよい。しかしながら、照明装置を、第1及び第2測定装置、第2及び第3測定装置、第1及び第3測定装置について共通で設けたり、第1、第2及び第3測定装置に共通で設けることが可能である。
【0024】
照明装置の個々の光源が、レーザ、フラッシュランプ、LED(発光ダイオード)、レーザダイオードを含むグループから選択してもよい。
【0025】
特に、マイクロプレートリーダーの使用において、マイクロプレートのウェル内にサンプルとして配置された細胞培養の成長や変態(transformation)の速度を測定し検出することが重要であろう。速度の測定や検出は、細胞培養(サンプル)の吸光度、蛍光及び/又はルミネセンスの変化、好ましくは細胞培養(サンプル)のルミネセンスの変化を、時間の関数として測定、検出することによって達成できる。
【0026】
時間とともに比較的速く進行する速度を測定、検出するためには、照明装置の光源は、特に好都合には、比較的短い光パルスを発生することが必要であろう。従って、パルスレーザ、フラッシュランプ、パルスモードで動作するLED(発光ダイオード)、及び/又はパルスモードで動作するレーザダイオードが、この目的に適した光源であろう。積極的に冷却していないフラッシュランプを光源としてマイクロプレートリーダー内に設けてもよい。このラッシュランプは、機器区画内に配置してもよい。さらに、この光源から発生した光は、サンプルに光を照射及び/又は通過させるために、光ガイドによって、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内に配置されたサンプルに案内してもよい。
【0027】
マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を通過させるために設計された第1照明装置を備えてもよく、これは機器区画内に配置される。ここで第1測定装置は、サンプル区画内に配置してもよい。第2測定装置は、機器区画内に配置してもよい。第3測定装置は、サンプル区画内または機器区画内に配置してもよい。ここで第1測定装置への第1光アクセスポイント、第2測定装置への第2光アクセスポイント、および第3測定装置への第3光アクセスポイントは、サンプル区画内に配置してもよい。
【0028】
マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を通過させるために設計された第1照明装置を備えてもよい。ここで第1照明装置の出口ポイントをサンプル区画内に配置してもよい。マイクロプレートリーダーは、機器区画内に配置され、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を照射するために設計された第2照明装置をさらに備えてもよい。ここで第1照明装置の出口ポイントをサンプル区画内に配置してもよい。第2照明装置は、レーザ、フラッシュランプ、LED(発光ダイオード)およびレーザダイオードを含むグループから選択してもよい。
【0029】
第1、第2及び/又は第3測定装置は、第1、第2及び/又は第3光学システムを含んでもよく、これらの光学システムの少なくとも1つおよび使用(挿入)したマイクロプレートは、デカルト座標系のZ軸の方向に互いに相対移動可能に設計される。ここで使用(挿入)したマイクロプレートをZ軸の方向に移動可能に設計してもよい。代替や追加として、第1、第2及び/又は第3光学システムをZ軸の方向に移動可能に設計してもよい。好ましくは、第1、第2及び/又は第3光学システムは、分離プレートや内部ハウジングの壁、例えば、天井壁にある少なくとも1つの開口を通って、サンプル区画内に部分的に降下できるように設計される。
【0030】
マイクロプレートリーダー(下記参照)での生体細胞を測定するための対応した方法、及び/又はマイクロプレートリーダー(下記参照)の使用において、例えば、注入装置を用いて、マイクロプレートの少なくとも1つのウェルにある少なくとも1つのサンプルに試薬を添加して、化学反応を引き起こすようにできる。化学反応を引き起こす場合、ルミネセンス反応とともに、サンプルのルミネセンス特性の変化、蛍光の変化及び/又は吸光度の変化が生ずる。これらは、例えば、測定装置の少なくとも1つを用いて、例えば、サンプルのルミネセンス及び/又は蛍光及び/又は吸光度を観測(測定や検出)することによって検出できる。
【0031】
試薬を添加するために、マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに試薬を添加するように設計された相応の注入装置を備えてもよい。注入装置は、試薬を分配してもよく、第3測定装置の光軸に現在位置決めされたウェルにおける化学反応やそれに伴うルミネセンス反応を引き起こすことができる。化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、ルミネセンス反応を観測することによって、試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて同じウェル内で実行できる。代替や追加として、化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、ルミネセンス反応を観測することによって、試薬が現在添加されたウェルとは異なるウェルにおいて実行してもよい。特に、これは、ウェル内で試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて実行してもよい
【0032】
ウェル内のサンプルに試薬を添加し、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応を同時に観測することが好ましい。この意味で、マイクロプレートの各ウェル内に連続的に試薬をサンプルに添加し、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応を同時に観測すること、例えば、ある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェル内に収容されたサンプルのルミネセンス及び/又は蛍光及び/又は吸光度を観測(測定や検出)することが可能である。この手順により、別のウエルの後に、マイクロプレートの1つのウェルを「刺激」すること(即ち、ここに収容されたサンプルに試薬を添加すること)、そして刺激によって生じた化学反応をある時間間隔だけ遅延させて観測(測定や検出)することが可能である。この時間遅延の時間間隔は、ある距離だけ隔てた個々のウェル間、例えば、個々の隣りのセル間の幾何形状オフセット(即ち、XY面での横方向距離)ならびに、マイクロプレートおよび、化学反応を観測するために使用される測定装置(より正確には、その光軸)が、特にマイクロプレートに対して平行な面内で互いに相対移動する速度によって決定される。
【0033】
この目的は、第2態様に関してここで開示したような特徴によって達成される。ここでは、内部空間を取り囲むハウジングを備えたマイクロプレートリーダーにおいて生体細胞を測定する方法が提供される。該方法は、下記のステップa)〜e)を含む。
a)機器区画から分離した、少なくとも1つのマイクロプレートを収納するための保持装置が配置されたサンプル区画を設けるステップ。ここで、
a1)ハウジングの内部空間をサンプル区画と機器区画とに区分するように、分離プレートがハウジング内に配置されており、あるいは、
a2)保持装置が配置された内部ハウジングはハウジング内に配置され、分離プレートまたは内部ハウジングは、マイクロプレートリーダーで使用または挿入されるマイクロプレートのウェル内で放射されまたはサンプルによって影響された光が、そこを通ってサンプル区画から機器区画へ通過するように設計された少なくとも1つの開口を有する。
b)前記マイクロプレートリーダーの保持装置に、サンプルを収容するウェルを備えた少なくとも1つのマイクロプレートを収納するステップ。
c)この(これらの)マイクロプレートのサンプル収容ウェルを、このマイクロプレートリーダーの少なくとも1つの測定装置に対して位置決めするステップ。
d)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御するステップ。
e)光を検出する少なくとも1つの測定装置を使用するステップ。この光は、
・このマイクロプレートリーダーで使用または挿入されたマイクロプレートのウェル内でサンプルが放射した光、及び/又は、
・このマイクロプレートリーダーで使用または挿入されたマイクロプレートのウェル内で光が通過したサンプルによって影響された光。
【0034】
この方法において、ステップの順序、特にステップb)〜e)は変更してもよい。こうして例えば、ステップd)は、ステップc)またはステップb)の前に実行してもよく、及び/又は、ステップe)は、ステップc)の前またはステップd)の前に実行してもよい。
【0035】
該方法は、下記ステップの1つ又はそれ以上をさらに含んでもよい。
f)サンプルの吸光度を測定するために、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で光が通過したサンプルによって影響された光を測定するステップ。
g)サンプルの蛍光を測定するために、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で光を照射したサンプルから放出された光を測定するステップ。
h)サンプルのルミネセンスを測定するために、マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内で光を照射したサンプルから放出された光を測定するステップ。
【0036】
所定のガス雰囲気をサンプル区画において調整してもよく、上述のステップf),g),h)の少なくとも1つを上述のステップd)の調整したガス雰囲気で実行してもよい。
【0037】
該方法において、サンプル区画に流入するガス及び/又はそこに存在するガスを、サンプル区画に配置された移動装置を用いて混合及び/又は循環してもよい。
【0038】
該方法において、サンプル区画におけるガス雰囲気の組成は、制御ユニットを用いて制御してもよい。ここで、ガス入口を通してサンプル区画の中に流入してもよく、ガス入口は制御ユニットによって作動する。該方法において、サンプル区画でのガス雰囲気における種々のガスのうちの少なくとも1つの特定のガスの割合を制御してもよく、特定のガスは、窒素(N
2)、二酸化炭素(CO
2)、酸素(O
2)、一酸化炭素(CO)、硫化水素(H
2S)、二酸化硫黄(SO
2)を含むグループから選択される。該方法において、サンプル区画でのガス雰囲気の湿度及び/又は温度は、制御ユニットを用いて制御してもよい。該方法において、サンプル区画では、換気装置を用いて空気を換気してもよい。
【0039】
生体細胞を測定する方法において、及び/又は、マイクロプレートリーダー(下記参照)の使用において、注入装置を用いて、マイクロプレートの少なくとも1つのウェル内の少なくとも1つのサンプルに試薬を添加してもよい。こうして化学反応が生ずることがあり、これは少なくとも1つの測定装置を用いて検出できる。特に、ここで化学反応とともに、サンプルのルミネセンス反応やルミネセンス特性の変化、及び/又は蛍光の変化及び/又は吸光度の変化が生ずる。例えば、現在、第3測定装置の光軸に位置するウェル内に試薬を添加してもよく、そこで化学反応を生じさせる。
【0040】
化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、生じたルミネセンス反応を観測することによって、試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて同じウェル内で実行できる。代替や追加として、化学反応の観測(測定や検出)は、例えば、生じたルミネセンス反応を観測することによって、試薬が現在添加されたウェルとは異なるウェルにおいて実行してもよい。特に、これは、ウェルへの試薬の添加とほぼ同時に、必要ならばこれに続く時間間隔をあけて実行してもよい
【0041】
既に指摘したように、ウェル内のサンプルに試薬を添加し、ここからある距離だけ隔てたウェル、例えば、隣りのウェルでの化学反応を同時に観測することが好ましい。試薬や細胞培養を添加することによって生ずる、サンプル(例えば、細胞培養)での化学反応が、マイクロプレートのウェル内に配置されたサンプルや細胞培養の成長や変化の速度を観測(測定や検出)することによって、観測や識別ができる。該方法において、照明装置を用いて、マイクロプレートリーダーで使用(挿入)されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を通過させてもよく、及び/又は、ウェル内にあるサンプルに光を照射してもよい。
【0042】
マイクロプレートリーダーで使用されるマイクロプレートのウェル内にあるサンプルは、第2照明装置を用いて光を照射してもよい。第2照明装置は、機器区画に配置してもよい。それは、好ましくは、レーザ、フラッシュランプ、LED(発光ダイオード)、レーザダイオードを含むグループから選択してもよい。該方法において、サンプルの吸光度、及び/又はサンプルの蛍光及び/又はサンプルのルミネセンスは、サンプル区画または機器区画に配置された測定装置を用いてそれぞれ測定できる。特に、サンプルの吸光度は、サンプル区画に配置された第1測定装置を用いて測定でき、及び/又は、サンプルの蛍光は、機器区画に配置された第2測定装置を用いて測定できる。また、サンプルのルミネセンスは、サンプル区画や機器区画に配置された第3測定装置を用いて測定できる。
【0043】
該方法が実施できるマイクロプレートリーダーにおいて、制御ユニットは、このマイクロプレートリーダーで使用(挿入)されるマイクロプレートのサンプル収容ウェルを取り囲むガス雰囲気の酸素含量および二酸化炭素含量を制御するためのO
2センサ及び/又はCO
2センサを備えてもよい。ここで、このガス雰囲気の酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度は、微好気性、任意には嫌気性および偏性嫌気性の微生物、菌類(fungi)、真核細胞の測定の際、二酸化炭素及び/又は窒素を選択的に受け入れることによって、所定の値に保持できる。
【0044】
上述した方法において、下記の事項d1)〜d3)が実行可能である。
d1)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御する場合、ガス雰囲気中に既に存在するガス、例えば、酸素(O
2)または二酸化炭素(CO
2)の濃度は、化学的に不活性ガス、例えば、窒素または不活性ガスをサンプル区画の中に受け入れる(これにより、特に、既に存在するガスを含むガス雰囲気が「希釈」され、または部分的に絞り出される)ことによって低下させることができ、そして、既に存在するガスに反応するセンサ、例えば、O
2センサ及び/又はCO
2センサを用いて既に存在するガスの濃度を測定すること、あるいは、
d2)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御する場合、ガス雰囲気中に既に存在するガス、例えば、酸素(O
2)または二酸化炭素(CO
2)の濃度は、より多くのこのガスをサンプル区画の中に受け入れる(これにより、特に、このガスの濃度は選択的に上昇する)ことによって上昇させることができ、そして、このガスに反応するセンサを用いて、このガスの濃度を測定すること、あるいは、
d3)サンプル区画でのガス雰囲気の組成を制御する場合、ガス雰囲気に存在しないまたは既に存在するガス、例えば、硫化水素(H
2S)または一酸化炭素(CO)の濃度は、より多くのこのガスをサンプル区画の中に受け入れる(これにより、特に、このガスの濃度は選択的に上昇する)ことによって上昇させることができ、そして、このガスに反応するセンサを用いて、このガスの濃度を測定すること。
【0045】
上述したこの目的は、第3態様に関して、本発明に係る上記のマイクロプレートリーダーの本発明に係る使用によって、あるいは、本発明に係る上記の方法によって達成される。これらの使用は、マイクロプレートリーダーでの生体細胞の測定に関するものであり、生体細胞は、微好気性、任意には嫌気性および偏性嫌気性の微生物、菌類(fungi)、真核細胞を含むグループから選ばれる。
【0046】
追加の発明の特徴が、個々の従属請求項によって提供される。こうしたマイクロプレートリーダーの使用は、所定のO
2濃度中での微好気性または通性(facultative)嫌気性の微生物の測定で特に好ましい。マイクロプレートリーダーでの生体細胞の測定方法も好ましく、生体細胞は、微好気性、通性嫌気性の微生物、および菌類(fungi)、真核細胞を含むグループから選ばれる。ANSI/SBS 2004規格に係るマルチウェルプレートまたはマイクロタイタープレートが、例えば、6,12,24,48,96,384または1536個のウェルを備えるマイクロプレートとして指定される。
【0047】
本発明に係るマイクロプレートリーダーは、下記の利点を備える。
・測定されるサンプルを備えたマイクロプレートは、永久的に培養器と測定装置との間で前後に移送する必要がない。従って、こうした移送が、細胞または細胞培養が外気に曝され、こうした外気によって影響を受けて、その結果、歪んだ測定結果が得られる場合、省略できる。
・ルミネセンス及び/又は蛍光及び/又は吸光度に関する測定は、完全に自動的な方法で行うことができ、その結果、本発明に係るマイクロプレートリーダーの
投入(charging)後は、オペレータが存在する必要がない。
・集積化した蛍光測定のない従来(例えば、CO
2)の培養器とは対照的に、長期の測定が、本発明に係るマイクロプレートリーダーを用いて実行可能であり、データが検出できない場合にいわゆる「夜の窓(night windows)」の発生を防止できる。
・マイクロプレートのウェルの上方にある雰囲気または周囲環境でのO
2及び/又はCO
2濃度の制御は、所定のO
2及び/又はCO
2濃度での微嫌気性および通性嫌気性また偏性嫌気性の微生物、菌類、真核細胞の測定を可能にする。