(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
本出願の一態様において、植込み型神経刺激装置は、1または2つ以上の電極と第一アンテナ1つ、1または2つ以上の回路で構成される。1または2つ以上の電極は、1または2つ以上の電気パルスを神経組織に適用するように構成されている。第一アンテナはダイポールアンテナであり、植込み型神経刺激装置とは物理的に分離された第二アンテナから電気的放射結合を介して電気エネルギーを含む入力信号を受け取り、電気的放射結合を介して第二アンテナに1または2つ以上のフィードバック信号を送るように構成されている。1または2つ以上の回路はダイポールアンテナに接続されており、入力信号に含まれる電気エネルギーを使用して、神経組織の刺激に適した1または2つ以上の電気パルスを生成すること、1または2つ以上の電極が1または2つ以上の電気パルスを神経組織に適用できるように1または2つ以上の電気パルスを1または2つ以上の電極に供給すること、刺激フィードバック信号(1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの1または2つ以上のパラメータを示す信号)を生成すること、ならびにダイポールアンテナから電気的放射結合を介して第二アンテナに刺激フィードバック信号を伝送できるよう、刺激フィードバック信号をダイポールアンテナに送信することを目的に構成されている。
【0005】
本態様および他の態様の実施形態は、以下の機能を含んでもよい。入力信号は1または2つ以上の電極の刺激パラメータをエンコードした情報を含んでよく、1または2つ以上の回路はこの刺激パラメータをエンコードした情報を基に電気パルスを生成するよう構成されている。1または2つ以上のパラメータは、1または2つ以上の電気パルスの振幅または1または2つ以上の電極のインピーダンスを含み得る。1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの振幅を入力信号のレベルから直接測定できるように構成されていてもよい。
【0006】
1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの振幅の特性を制限するよう構成されていてもよい。これは1または2つ以上の電気パルスから生じた1相あたりの電荷をしきい値以下に維持することを目的としている。1または2つ以上の回路が、1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの振幅の特性を制限しなかったために、1または2つ以上の電気パルスから生じた1相あたりの電荷がしきい値を超えた場合、1または2つ以上の回路は制限フィードバック信号を生成し、これをダイポールアンテナに伝送してもよい。その後、ダイポールアンテナは、受け取った制限フィードバック信号を電気的放射結合を介して第二アンテナに送信する。1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの特性とは電流レベルであり得る。また、しきい値レベルは電流のしきい値レベルを示してもよい。
【0007】
1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電気パルスの正味電荷が実質上ゼロになるように、1または2つ以上の電気パルスを生成するよう構成されていてもよい。1または2つ以上の電気パルスの正味電荷が実質上ゼロになるように1または2つ以上の電気パルスを生成するため、1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電極と直列接続されたコンデンサを少なくとも1つ含むことができる。
【0008】
1または2つ以上の回路は、入力信号に含まれる電気エネルギーを用いて神経組織の刺激に適した1または2つ以上の電気パルスを生成する波形調整部品、波形調整回路に接続されており、波形調整回路から1または2つ以上の電気パルスを受け取り、1または2つ以上の電気パルスを1または2つ以上の電極に供給するように構成された電極界面、ならびに電極界面に接続されており、刺激フィードバック信号を生成して刺激フィードバック信号をダイポールアンテナに送信するように構成された制御装置を含み得る。波形調整部品は、接続先のダイポールアンテナから入力信号を受信し、この入力信号を基に整流した電気波形を生成するよう構成された整流器、1または2つ以上の電極における電気パルスの正味電荷が実質上ゼロになるように整流電気波形を基に1または2つ以上の電気パルスを生成するよう構成された電荷平衡部品、1または2つ以上の電気パルスの特性を制限することで1または2つ以上の電気パルスから生じた1相あたりの電荷をしきい値以内に抑制し、電極界面に制限電気パルスを送信する電荷制限器を含んでもよい。
【0009】
1または2つ以上の電極には複数の種類があってもよく、1または2つ以上の回路は、刺激電極、戻り電極、不活性電極のいずれかの機能を各電極に選択的に割り当てるよう構成されていてもよい。
【0010】
電極、ダイポールアンテナ、および1または2つ以上の回路は、脊髄硬膜外腔、脊髄硬膜の周辺、下、または硬膜上、脊髄に近接した組織内、後角や後根、後索、脊髄後索から出る脊髄後索線維および/または末梢神経束に近接した組織内、腹部神経節、胸部神経節、三叉神経節、末梢神経、脳深部構造、脳皮質表面、感覚神経または運動神経のいずれかに接続されるよう構成および幾何学的に配置されてもよい。
【0011】
植込み型神経刺激装置は内部電源を含まなくてもよい。1または2つ以上の回路は受動部品のみを含んでいてもよい。入力信号は、300MHzから8GHz程度の搬送波を含んでもよい。
【0012】
本出願の別の態様では、システムには制御装置モジュールが含まれる。制御装置モジュールには第一アンテナと1または2つ以上の回路が含まれており、第一アンテナは電気エネルギーを含む入力信号を電気的放射結合を介して第二アンテナに送信するよう構成されている。第二アンテナはダイポールアンテナであり、植込み型神経刺激装置に内蔵されている。この神経刺激装置は、入力信号を用いて神経組織の刺激に適した1または2つ以上の電気パルスを生成するよう構成されており、制御装置モジュールとは別個のものである。第一アンテナはまた、ダイポールアンテナから1または2つ以上の信号を受信する役割も果たす。1または2つ以上の回路は、入力信号を生成してダイポールアンテナに送信し、第一アンテナから受信した1または2つ以上の信号から刺激フィードバック信号を抽出する機能を有している。刺激フィードバック信号は1または2つ以上の電気パルスの1または2つ以上のパラメータを示す信号で、植込み型神経刺激装置により送信される。1または2つ以上の回路は、この刺激フィードバック信号を基に入力信号のパラメータを調節する。
【0013】
本態様および他の態様の実施形態は、以下の1または2つ以上の機能を含み得る。たとえば、電気パルスの1または2つ以上のパラメータは、神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの振幅を含むことができ、1または2つ以上の回路は1または2つ以上の電気パルスの振幅を基に入力信号の電力を調節するように構成されている。1または2つ以上の回路は、第一アンテナに送信された信号の振幅の反射である順方向電力信号、および第一アンテナに送信された信号の反射部分の振幅の反射である逆方向電力信号を取得し、順方向電力信号および逆方向電力信号を基にインピーダンス不整合の程度を示す不整合値を特定し、さらに不整合値に基づき入力信号のパラメータを調節するよう構成されていてもよい。
【0014】
システムは植込み型神経刺激装置を含むことができ、植込み型神経刺激装置には、1または2つ以上の電気パルスを神経組織に適用するよう構成された1または2つ以上の電極、ならびに1または2つ以上の回路が含まれていてもよい。1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電気パルスを生成し、これを1または2つ以上の電極に供給するよう構成されていてもよく、1または2つ以上の電極は受け取った1または2つ以上の電気パルスを神経組織に適用する。また1または2つ以上の回路は、刺激フィードバック信号を生成し、これをダイポールアンテナに送信するよう構成されていてもよい。この場合、ダイポールアンテナは受け取った刺激フィードバック信号を電気的放射結合を介して第一アンテナに伝送する。
【0015】
入力信号はまた、1または2つ以上の電気パルスの刺激パラメータをエンコードした情報を含むことができ、植込み型神経刺激装置は、この刺激パラメータをエンコードした情報を基に1または2つ以上の電気パルスを生成するよう構成されている。1または2つ以上の電気パルスの1または2つ以上のパラメータは、1または2つ以上の電気パルスの振幅または1または2つ以上の電極のインピーダンスを含み得る。植込み型神経刺激装置に内蔵された1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの振幅を入力信号のレベルから直接測定するように構成されていてもよい。
【0016】
植込み型神経刺激装置に内蔵された1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの振幅の特性を制限するよう構成されていてもよい。これは1または2つ以上の電気パルスから生じた1相あたりの電荷をしきい値以下に維持することを目的としている。1または2つ以上の回路が、1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの振幅の特性を制限しなかったために、1または2つ以上の電気パルスから生じた1相あたりの電荷がしきい値を超えた場合、1または2つ以上の回路は制限フィードバック信号を生成し、これをダイポールアンテナに送信してもよい。その後、ダイポールアンテナは、受け取った制限フィードバック信号を電気的放射結合を介して第二アンテナに送信するものである。1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの特性とは電流レベルであり、しきい値レベルは電流のしきい値レベルを示す。制御装置モジュールの1または2つ以上の回路は、ダイポールアンテナから制限フィードバック信号を受信し、受信した制限フィードバック信号に対応して入力信号を減衰させるよう構成されていてもよい。
【0017】
1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電気パルスの正味電荷が実質上ゼロになるように、1または2つ以上の電気パルスを生成するように構成されていてもよい。1または2つ以上の電気パルスの正味電荷が実質上ゼロになるように1または2つ以上の電気パルスを生成するため、植込み型神経刺激装置に内蔵された1または2つ以上の回路は、1または2つ以上の電極と直列接続されたコンデンサを少なくとも1つ含み得る。
【0018】
植込み型神経刺激装置に内蔵された1または2つ以上の回路は、入力信号に含まれる電気エネルギーを用いて神経組織の刺激に適した1または2つ以上の電気パルスを生成する波形調整部品、波形調整回路に接続されており、波形調整回路から1または2つ以上の電気パルスを受け取り、1または2つ以上の電気パルスを1または2つ以上の電極に供給するように構成された電極界面、ならびに電極界面に接続されており、刺激フィードバック信号を生成して刺激フィードバック信号をダイポールアンテナに送信するように構成された制御装置を含んでもよい。波形調整部品は、接続先のダイポールアンテナから入力信号を受信し、この入力信号を基に整流した電気波形を生成するよう構成された整流器、1または2つ以上の電極における電気パルスの正味電荷が実質上ゼロになるように整流電気波形を基に1または2つ以上の電気パルスを生成するよう構成された電荷平衡部品、1または2つ以上の電気パルスの特性を制限することで1または2つ以上の電気パルスから生じた1相あたりの電荷をしきい値以内に抑制し、電極界面に制限電気パルスを送信する電荷制限器を含んでもよい。
植込み型神経刺激装置には、複数の種類の電極が含まれ得る。制御装置モジュールの1または2つ以上の回路は、どの電極が刺激電極、戻り電極、または不活性電極として機能するかを指定する制御信号を生成し、この制御信号を第一アンテナに送信するように構成されていてもよい。この場合、第一アンテナは受け取った制御信号を電気的放射結合を介してダイポールアンテナに送信する。植込み型神経刺激装置に内蔵された1または2つ以上の回路は、制御信号を基に刺激電極、戻り電極、不活性電極のいずれかの機能を各電極に選択的に割り当てるよう構成されていてもよい。
【0019】
植込み型神経刺激装置は内部電源を含まなくてもよい。植込み型神経刺激装置に内蔵された1または2つ以上の回路は、受動部品のみを含んでいてもよい。入力信号には300MHzから8GHz程度の搬送波が含まれている。
【0020】
本出願の別の態様における方法では、患者体内への神経刺激装置の植込みを行い、神経組織に電気パルスを適用できるよう神経刺激装置の1または2つ以上の電極を配置する。神経刺激装置には電気エネルギーを含む入力信号を受信するように構成された第一アンテナが含まれる。第一アンテナはダイポールアンテナである。神経刺激装置は、入力信号に含まれる電気エネルギーを用いて神経組織の刺激に適した1または2つ以上の電気パルスを生成すること、1または2つ以上の電極が1または2つ以上の電気パルスを神経組織に適用できるように1または2つ以上の電気パルスを1または2つ以上の電極に供給すること、刺激フィードバック信号(1または2つ以上の電極により神経組織に適用された1または2つ以上の電気パルスの1または2つ以上のパラメータを示す信号)を生成すること、ならびにダイポールアンテナから電気的放射結合を介して第二アンテナに刺激フィードバック信号を伝送することを目的に構成されている。この方法ではまた、第二アンテナに接続された制御装置モジュールを患者身体に近接して配置する。制御装置モジュールは入力信号を生成してそれを第二アンテナに送信し、第二アンテナは入力信号を電気的放射結合を介して植込み型神経刺激装置内のダイポールアンテナに伝送する。また制御装置モジュールは第二アンテナが受信した1または2つ以上の信号から刺激フィードバック信号を抽出し、この刺激フィードバック信号を基に入力信号のパラメータを調節する。
【0021】
本態様および他の態様の実施形態は、以下の1または2つ以上の機能を含み得る。たとえば、パラメータは1または2つ以上の電気パルスの振幅または1または2つ以上の電極のインピーダンスを含んでもよい。神経刺激装置は、患者体内における1または2つ以上の電気パルスの正味電荷が実質上ゼロになるように、1または2つ以上の電気パルスを生成するように構成されていてもよい。また、神経刺激装置は刺激電極、戻り電極、または不活性電極のいずれかの機能を各電極に選択的に割り当てるよう構成されていてもよい。
【0022】
神経刺激装置の植込みは、患者体内のうち、脊髄硬膜外腔、脊髄硬膜の周辺、下、または硬膜上、脊髄に近接した組織内、後角や後根、後索、脊髄後索から出る脊髄後索線維および/または末梢神経束に近接した組織内、腹部神経節、胸部神経節、三叉神経節、末梢神経、脳深部構造、脳皮質表面、感覚神経または運動神経のいずれかへの神経刺激装置の植込みを含んでもよい。
【0023】
植込み型神経刺激装置は内部電源を含まなくてもよい。植込み型神経刺激装置は、1または2つ以上の電極と直列接続されたコンデンサを少なくとも1つ含み得る。
【0024】
本出願で説明する技術の実施形態には、以下のような1または2つ以上の利点があり得る。たとえば本実施形態では、物理的なリード線を用いて電極に接続された植込み型パルス発生器モジュールで見られる、機械的歪みに起因する電気的導通性の喪失、身体の自然運動による機械的移動、リード電極組立体の組織への埋め込み、感染症、不快な刺激といった数々の故障モードを回避できる。
【0025】
さまざまな実施形態は、脳に関連する神経調節療法において有益である場合がある。脳の領域を刺激することで、慢性疼痛の症状緩和、運動障害や臨床的鬱病の治療、てんかんの管理などが可能になる。ここでは大脳皮質が神経刺激標的となり、硬膜の外側に電極を留置する。さまざまな実施形態では、かかる刺激に現在使用されている電極の10分の1程度の体積のリード線/電極を使用してもよい。このような電極では、直径1.0sqmm以上の穴を頭蓋骨に開けることを要する場合がある。一部の実施形態では、腹腔鏡下または内視鏡的留置術で使用する一般的な22ゲージ針のように、内腔が極めて小さい注射器から装置を押し出すことができる。そのため、一部の実施形態では、頭蓋骨に開ける穴が従来の装置よりもかなり小さくなる場合がある。複数の刺激装置を挿入する場合には、取り外し可能なスタイレットを用いてカテーテルを頭蓋骨の穴に通し、各留置位置に挿入した上で刺激装置を押し出す。
【0026】
脳深部刺激療法(DBS:DeepBrainStimulation)は、慢性疼痛や運動障害、強迫神経症、てんかんなどの症状の治療に使用される。慢性疼痛症状に対するDBS療法の電極設置目標位置としては、感覚系視床および脳室周囲灰白質が挙げられる。パーキンソン病などの運動障害の症状の治療の場合、脳内の目標位置には腹側中間視床、視床下核、および淡蒼球が含まれる。視床下部は、てんかん症状のDBS治療の際に電極の設置目標位置となる。さまざまな実施形態において脳深部に電極を留置した場合、急性外傷や慢性反応を引き起こす可能性があるが、刺激装置のサイズが小さいためその程度は軽微である。
【0027】
脊髄周辺への本技術の適用は、挿入が容易である、延長ワイヤを排除できる、長期治療管理における植込み型パルス発生器モジュールが不要であるといった利点を持ち得る。脊髄刺激は、特に腰痛や神経根障害をはじめとする慢性的な神経障害性疼痛、手足の血管障害、狭心症などの治療に使用される。本技術のさまざまな実施形態では、当該技術分野における標準的処置と同様、硬膜とくも膜の間にある硬膜外腔に電極を設置するか、あるいは重大な反応や瘢痕化を最小限に抑える目的で硬膜下の髄腔内に設置することができる。上記位置への挿入は、取り外し可能なスタイレットにより適切な位置に留置された22ゲージ針またはカテーテルから装置を押し出すことで行ってもよい。一部の実施形態では、装置設置後は皮膚を追加切開したり、延長ワイヤや受信機、植込み型パルス発生器を留置する必要がない。無線神経調節システムのさまざまな実施形態は、装置のサイズが小さく、エネルギー伝達用の延長ワイヤが不要なため、より重度の組織の瘢痕化や組織反応が起こりやすい大型の植込み型装置と比べ、組織の外傷を最小限に抑えつつ、長期にわたり効果的な治療を実現できるという大きな利点を有している場合がある。
【0028】
また、さまざまな実施形態は、従来の植込み型神経調節システムよりもコストが本質的に低い場合があり、治療を要するより多くの患者に神経調節療法を提供すると同時に、医療制度の全体的なコスト削減を実現できると思われる。
【0029】
本出願の1または2つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明で示す。他の機能や目的、利点は、説明、添付図面、請求項から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
さまざまな実施形態において、神経刺激システムは、受動的植込み型刺激装置への電力供給にケーブルまたは誘導結合のいずれも使用することなく、遠隔無線周波(RF)エネルギーを用いて電気刺激を目標神経組織に伝送させるために使用され得る。目標神経組織としては、たとえば脊髄視床路や後角、後根、後索、脊髄後索線維、脊髄後索または脳幹から出る末梢神経束といった脊髄内の組織、ならびにすべての脳神経、腹部神経節、胸部神経節、三叉神経節、大脳皮質の神経束、脳深部構造、すべての感覚神経または運動神経などを対象とすることができる。
【0032】
たとえば、一部の実施形態では、神経刺激システムはRFパルス発生器モジュールなどの制御装置モジュールと、1または2つ以上のダイポールアンテナおよび1または2つ以上の回路、刺激を促進する目的で目標神経組織に接触または近接するよう設置された1または2つ以上の電極を含む受動的植込み型神経刺激装置を含んでもよい。RFパルス発生器モジュールはアンテナを1つ含むことができ、モジュールアンテナから植込み型アンテナにエネルギーを伝達するよう構成されていてもよい。植込み型神経刺激装置の1または2つ以上の回路は、伝達されたエネルギーを用いて神経刺激に適した電気パルスを生成し、神経組織に適用される電気パルスを電極に供給するよう構成することができる。たとえば、1または2つ以上の回路は、受信したRF信号を(たとえば、ダイオード整流器を使用して)整流し、RFエネルギーを神経組織の刺激に適した低周波信号に変換させ、その結果生成された波形を電極アレイに伝達する波形調整部品を含んでいてもよい。植込み型神経刺激装置の1または2つ以上の回路はまた、刺激パラメータの制御に用いるフィードバック制御機構を促進する目的でRFパルス発生器モジュールに情報を返す回路を含み得る。たとえば、植込み型神経刺激装置は、電気パルスのパラメータを示す刺激フィードバック信号をRFパルス発生器モジュールに送信することができ、RFパルス発生器モジュールはこの刺激フィードバック信号を使用して神経刺激装置に送信される信号のパラメータを調節することができる。
【0033】
図1は神経刺激システムの一例の概要図である。神経刺激システムは4つの主要な部品、すなわちプログラマモジュール102、RFパルス発生器モジュール106、送信(TX)アンテナ110(たとえば、パッチアンテナ、スロットアンテナ、またはダイポールアンテナなど)、および植込み型無線神経刺激装置114を含むことができる。プログラマモジュール102は、無線接続114に対応したBluetooth(登録商標)のようなソフトウェアアプリケーションを起動するスマートフォンといったコンピュータ装置であり得る。本出願は、ユーザーによるシステムのステータスや診断情報の表示、さまざまなパラメータの変更、電極パルスの所望の刺激振幅への増減、RFパルス発生器モジュール106のフィードバック感度の調節、および他の機能の実行を可能にするものである。
【0034】
RFパルス発生器モジュール106は、無線接続104に対応した通信電子、刺激回路、および発生器装置に電力を供給する電池を含むことができる。一部の実施形態では、パッケージフォームファクタに組み込まれたTXアンテナがRFパルス発生器モジュール106に含まれているが、他の実施形態ではTXアンテナは有線接続108または無線接続(図示せず)を介してRFパルス発生器モジュールに接続されている。TXアンテナ110は、植込み型神経刺激装置モジュール114に電力を供給する電界を生成する目的で、組織に直接結合することができる。TXアンテナ110はRF端子を介して植込み型神経刺激装置モジュール114と通信する。たとえば、TXアンテナ110は、RFパルス発生器モジュール110により変調およびエンコードされたRF伝送信号を放射する。植込み型無線神経刺激装置モジュール114には、RF端子112を介して信号を送受信する1または2つ以上のアンテナ(ダイポールアンテナなど)が含まれる。具体的には、アンテナ110と植込み型神経刺激装置モジュール114上の1または2つ以上のアンテナ間の結合機構は電気的放射結合であり、誘導結合ではない。言い換えれば、結合は磁界ではなく電界を介して行われる。
【0035】
TXアンテナ110は、この電気的放射結合を介して入力信号を植込み型神経刺激装置モジュール114に伝達することができる。この入力信号にはエネルギーが含まれており、植込み型神経刺激装置モジュール114の電極で適用される刺激波形をエンコードした情報が含まれる場合がある。一部の実施形態では、この入力信号の電力レベルは、入力信号に含まれる電気エネルギーを用いて生成された1または2つ以上の電気パルスの適用振幅(たとえば、電力、電流、電圧など)を直接測定する。植込み型無線神経刺激装置モジュール114内には、RF伝送信号を復調する部品と刺激を周辺の神経組織に供給する電極が含まれている。
【0036】
RFパルス発生器モジュール106は皮下移植できるほか、体外に装着することも可能である。体外に装着する場合、RF発生器モジュール106は、皮膚および下層組織を介した電気的放射結合による植込み型神経刺激装置モジュール114(受動的刺激装置でもよい)への電力および/または制御パラメータの伝達が可能になるように設計されたベルトやハーネスに組み込むことができる。いずれの場合においても、神経刺激装置モジュール114に内蔵された受信機回路は、TXアンテナ110により放射されたエネルギーを受信し、このエネルギーを電気波形に変換することができる。受信機回路は波形をさらに修正し、神経組織への刺激に適した電気パルスを生成してもよい。ここで生成されたパルスは、電極パッドを介して組織に供給されてもよい。
【0037】
一部の実施形態では、RFパルス発生器モジュール106は遠隔で刺激パラメータ(つまり、神経組織に適用される電気パルスのパラメータ)を制御し、植込み型無線神経刺激装置モジュール114から受信したRF信号を基に植込み型無線神経刺激装置モジュール114からのフィードバックを監視することができる。RFパルス発生器モジュール106により実行されるフィードバック検出アルゴリズムは、植込み型神経刺激装置モジュール114から無線送信されたデータを監視することができる。このデータには、植込み型神経刺激装置モジュール114がRFパルス発生器から受信したエネルギーに関する情報および電極パッドに供給された刺激波形に関する情報が含まれる。特定の医学的状態に対して効果的な治療を行うため、システムは電気刺激を使用して最適な量の興奮と抑制を神経繊維に与えるように調整することができる。植込み型神経刺激装置モジュール114からの出力信号を監視し、この出力信号を基に効果的な神経細胞の活性化を維持するのに適した神経刺激電流のレベルを特定するクローズドループフィードバック制御方式を使用できるほか、他のケースでは、オープンループ制御方式により患者が出力信号を手動で調節することも可能である。
【0038】
図2は神経刺激システムの一例の詳細図である。図に示すように、プログラミングモジュール102は、ユーザー入力システム202および通信サブシステム208を含んでもよい。ユーザー入力システム221では、ユーザーが命令セットの形でさまざまなパラメータ設定を(場合によっては、オープンループ形式で)調節することができる。通信サブシステム208は、これらの命令セット(および他の情報)をBluetooth(登録商標)やWi-Fiなどの無線接続104を介してRFパルス発生器モジュール106に送信すると同時に、モジュール106からデータを受信してもよい。
【0039】
たとえば、患者の制御ユニットや臨床医のプログラマユニットなど、複数のユーザーに対して使用可能なプログラマモジュール102は、RFパルス発生器モジュール106に刺激パラメータを送信するために使用できる。制御可能な刺激パラメータは、表1に示す範囲のパルス振幅、パルス周波数、およびパルス幅を含んでもよい。この文脈において、「パルス」とは組織の刺激を直接生成する波形の位相を指し、電荷平衡相のパラメータ(以下に示す)も同様に制御できる。また、患者および/または臨床医は、オプションで全体的な治療時間とパターンを制御することが可能である。
【0040】
刺激パラメータ表1
パルス振幅:0〜20mA
パルス周波数:0〜2000Hz
パルス幅:0〜2ms
植込み型神経刺激装置モジュール114またはRFパルス発生器モジュール114は、まず初回移植手順において、個々の患者に合った特定のパラメータ設定に適合するようにプログラミングしてもよい。医学的状態または人間の身体は時間とともに変化する可能性があるため、パラメータ設定を調節する能力は神経調節療法の効果を持続させる上で有益であると思われる。
プログラマモジュール102は、機能的にスマートデバイスおよび関連アプリケーションであってよい。スマートデバイスハードウェアはCPU206を含むことができ、データの処理および保存の目的でグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)204上でタッチスクリーン入力を操作するための手段として使用してもよい。
【0041】
RFパルス発生器モジュール106は、有線接続108を介して外部TXアンテナ110に接続されていてもよい。または、アンテナとRFパルス発生器モジュールの両方を皮下に設置することもできる(図示せず)。
【0042】
RFパルス発生器モジュール106から植込み型刺激装置114に送信された信号は、電力と刺激波形に関するパラメータ設定属性(つまり振幅、パルス幅、周波数)の両方を含んでもよい。RFパルス発生器モジュール106は、植込み型神経刺激装置モジュール114からフィードバック信号を受信する無線受信ユニットとして機能することもできる。その場合、RFパルス発生器モジュール106は、刺激装置モジュール114に伝送される信号の生成処理、および刺激装置モジュールから受信したフィードバック信号の処理を目的として、マイクロエレクトロニクスまたは他の回路を含み得る。たとえば、RFパルス発生器モジュール106は、制御装置サブシステム214、高周波発振器218、RF増幅器216、RFスイッチ、およびフィードバックサブシステム212で構成されてもよい。
【0043】
制御装置サブシステム214は、データ処理用のCPU230、ローカルメモリなどのメモリサブシステム228、プログラマモジュール102との通信(プログラマモジュールからの刺激パラメータの受信を含む)を行う通信サブシステム234、パルス発生器回路236、デジタル/アナログ(D/A)変換器232を含むことができる。
【0044】
制御装置サブシステム214は、患者および/または臨床医により(たとえば、RFパルス発生器モジュール106から神経刺激装置モジュール114に送信された信号のパラメータを制御することで)刺激パラメータ設定の制御に使用されてもよい。これらのパラメータ設定は、たとえば電力や電流レベル、1または2つ以上の電気パルスの形状に影響する場合がある。刺激パラメータのプログラミングは、上記のようにプログラミングモジュール102を使用して実行することができ、無線植込み型神経刺激装置モジュール214に含まれるアンテナで通常はダイポールアンテナ(他の種類を使用することもできる)である受信(RX)アンテナ238に、RFエネルギーによって伝送される繰り返し率、パルス幅、振幅、および波形を設定する。臨床医は、プログラマインターフェイス内で特定の設定をロックおよび/または非表示にするオプションを有し、その結果、特定のパラメータを表示または調節する患者の能力を制限し得る。これは、特定のパラメータの調節には、神経生理学、神経解剖学、神経調節プロトコル、および電気刺激の安全限度に関する高度な医学知識を要するためである。
【0045】
制御装置サブシステム214は、プログラミングモジュール102から受信した新しい入力データによりパラメータ設定が修正されるまで、受信したパラメータ設定をローカルメモリサブシステム228に保存してもよい。CPU206は、パルス発生器回路236を制御し、300MHzから8GHzの範囲で高周波発振器218によって調節される刺激波形を生成する目的で、ローカルメモリに保存されたパラメータを使用してもよい。生成されたRF信号はその後、RF増幅器226により増幅された上でRFスイッチ223を介してTXアンテナ110に送信され、組織の深部を通ってRXアンテナ238に到達し得る。
【0046】
一部の実施形態では、TXアンテナ110により送信されたRF信号は単に、刺激装置モジュール114により電気パルスの生成に使用される電力伝送信号であってもよい。他の実施形態では、さまざまな操作に関する命令を刺激装置モジュール114に伝達するために、テレメトリ信号が刺激装置モジュール114に送信されることもあり得る。テレメトリ信号は、搬送波信号の調節により(パルス発生器モジュール106を身体外に装着する場合は皮膚を通じて、皮下移植の場合は他の体内組織を通じて)送信してもよい。テレメトリ信号は、植込み型アンテナ238に結合された搬送波信号(高周波信号)を調節するために使用され、移植された装置に電力を供給するものと同じリード線で受信した入力を妨害することはない。1つの実施例では、テレメトリ信号および電力供給信号は1つの信号に合成される。この場合、RFテレメトリ信号はRF電力供給信号を調節するために使用されるため、植込み型刺激装置は受信したテレメトリ信号から直接電力を受け、刺激装置内の個別のサブシステムは信号に含まれる電力を利用して信号のデータコンテンツを解釈する。
【0047】
RFスイッチ223は、双方向結合器などの多目的デバイスであってもよい。これは、振幅が比較的高く、持続時間が非常に短いRFパルスを最小限の挿入損失でTXアンテナ110に渡すと同時に、2つの低レベル出力をフィードバックサブシステム212に提供するものである。この2つの出力のうち、1つは順方向電力信号をフィードバックサブシステム212の別のポートに伝送する。逆方向電力は、TXアンテナ110から反射したRFエネルギーを減衰したものである。
【0048】
オンサイクル中(RF信号が刺激装置114に伝送されている間)は、RFスイッチ223は順方向電力信号をフィードバックサブシステムに伝送するように設定される。オフサイクル中(RF信号が刺激装置モジュール114に送信されていない間)は、RFスイッチ223は受信モードに切り替えることができる。受信モードでは、刺激装置モジュール114から反射したRFエネルギーおよび/またはRF信号を受信し、これをフィードバックサブシステム212で解析する。
【0049】
RFパルス発生器モジュール106のフィードバックサブシステム212は、刺激装置114からテレメトリ信号または他のフィードバック信号を、および/またはTXアンテナ110により送信された信号から反射RFエネルギーを受信および抽出する受信回路を含んでもよい。フィードバックサブシステムは、増幅器226、フィルタ224、復調器222、およびA/D変換器220を含んでもよい。
【0050】
フィードバックサブシステム212は順方向電力信号を受信し、この高周波AC信号をサンプリングと制御装置サブシステム214への送信が可能なDCレベルに変換する。これにより、生成されたRFパルスの特性を制御装置サブシステム214内の基準信号と比較できるようになる。いずれかのパラメータに相違(エラー)が存在する場合、制御装置サブシステム214は、RFパルス発生器106への出力を調節できる。調節の性質は、たとえば、算出されたエラーに比例し得る。制御装置サブシステム214は、逆方向電力の信号振幅や、さまざまなパルスパラメータの事前設定済みの最大値または最小値といった追加の入力および制限をその調節スキームに組み込むことができる。
【0051】
逆方向電力信号は、RF電力供給システムの故障状態を検出するために使用できる。理想的な状態では、TXアンテナ110と接触する組織のインピーダンスが完全に整合する場合、RFパルス発生器106から生成された電磁波はTXアンテナ110から体内組織へとスムーズに通過する。ただし、実際の適用では、ユーザーの体型や着用している衣服の種類、体表に対するアンテナ110の位置など広範なばらつきが存在する場合がある。アンテナ110のインピーダンスは下層組織および介在物質の比誘電率のほか、全体的な皮膚からの分離距離にも依存するため、所与の適用においては、TXアンテナ110と体表の界面でインピーダンス不整合が発生することがあり得る。このような不整合が発生した場合には、RFパルス発生器106から伝送された電磁波はこの界面で部分的に反射され、反射されたエネルギーはアンテナ給電装置を通じて逆向きに伝播する。
【0052】
双方向結合器RFスイッチ223は、反射RFエネルギーが増幅器226に逆向きに伝播するのを防止してもよく、この反射RF信号を減衰させ、減衰させた信号を逆方向電力信号としてフィードバックサブシステム212に伝送してもよい。フィードバックサブシステム212は、この高周波AC信号をサンプリング可能な、および制御装置サブシステム214に送信可能なDCレベルに変換できる。制御装置サブシステム214はその後、逆方向電力信号と順方向電力信号の振幅比を算出することができる。逆方向電力信号の振幅と順方向電力信号の振幅レベルの比率は、インピーダンス不整合の程度を示すことができる。
【0053】
インピーダンス不整合状態を感知するため、制御装置サブシステム214は反射電力比を即時測定でき、この測定の事前設定されたしきい値に従い、制御装置サブシステム214はRFパルス発生器106により生成されたRF電力のレベルを修正できる。たとえば、中程度の反射電力に対して制御装置サブシステム214が実行すべき動作は、RF電力の振幅の増大である。これは厳密には最適でないが、許容可能なTXアンテナと身体の結合を補う必要があるためである。反射電力比がより高い場合に実行すべき動作は、RFパルス発生器106の動作を防止し、障害コードを設定してTXアンテナ110と身体の結合がほとんど、またはまったくないことを示すことと思われる。この種の反射電力障害状態は、TXアンテナとの接続が悪いまたは切断されている場合にも起こり得る。いずれの場合でも、反射電力比が定義されたしきい値を超えている場合には内部反射した電力は内部部品の不要な過熱につながりかねないため、ならびにこの障害状態はシステムが十分な電力を植込み型無線神経刺激装置に供給できないこと、そしてユーザーに治療を提供することができないことを意味するため、RF伝送を停止することが望ましい。
【0054】
刺激装置114の制御装置242は、受信サイクル中にRFパルス発生器モジュール106と通信するために、アンテナ238を介してテレメトリ信号などの情報信号を伝送してもよい。たとえば、刺激装置114からのテレメトリ信号は、外部(または遠隔から植込み)パルス発生器モジュール106への伝送に必要な対応するRFバーストを生成する波形を有効または無効にする目的で、トランジスタ回路のオンおよびオフ時にダイポールアンテナ238上の変調信号と結合してもよい。アンテナ238は、伝送された信号のリターン経路を提供するため、組織に接触する電極254に接続してもよい。A/D(図示せず)変換器は、保存されたデータを直列パターンに変換するために使用でき、このデータは神経刺激装置の内部アンテナ238からパルス変調信号で伝送できる。
【0055】
植込み型無線神経刺激装置モジュール114からのテレメトリ信号は、電力や電極から組織に伝達された電流の振幅といった刺激パラメータを含み得る。フィードバック信号は神経束での刺激強度を示すものとして、テレメトリ信号を外部(または遠隔から植込み)RFパルス発生器モジュール106に放射する植込み型RXアンテナ238に信号を結合することで、RFパルス発生器モジュール116に伝送することができる。フィードバック信号は、アナログおよびデジタルのテレメトリパルス変調搬送波信号のいずれか、または両方を含むことができる。刺激パルスパラメータや刺激装置の性能を示す測定された特性などのデータは、植込み型神経刺激装置114の内部メモリ装置に保存でき、テレメトリ信号で送信できる。搬送波信号の周波数は、300MHzから8GHzの範囲とすることができる。
【0056】
フィードバックサブシステム212内で、テレメトリ信号は復調器222によりダウン変調され、アナログ-デジタル(A/D)変換器220による処理でデジタル化することができる。デジタルテレメトリ信号は、その後、コードが埋め込まれた形で再プログラミングオプションと共にCPU230に送られてもよい。ここで受信した信号は、信号の振幅を基に対応する電流測定に変換される。制御装置サブシステム214のCPU230は、報告された刺激パラメータとローカルメモリ228内に保存された刺激パラメータと比較し、刺激装置114が所定の刺激を組織に提供していることを確認できる。たとえば、刺激装置が所定の電流よりも低い電流を報告した場合、刺激に必要な電力が植込み型神経刺激装置114に供給されるように、RFパルス発生器モジュール106からの電力レベルを増大することが可能である。植込み型神経刺激装置114は、テレメトリデータを即時に、たとえば8kbit/秒の速度で生成できる。植込み型リードモジュール114から受信したすべてのフィードバックデータは、時間とともにに記録され、傾向と統計的相関の検索を目的として、医療専門家がアクセス可能な遠隔地のモニタリングシステムに保存されるようサンプリングされてもよい。
【0057】
内部アンテナ238から受信した、遠隔プログラミングが可能な一連のRF信号は、制御装置サブシステム242により植込み型刺激装置114内で制御され、刺激対象の組織に近接して設置された適切な電極254に送られる波形に調整されてもよい。たとえば、RFパルス発生器モジュール106から送信されたRF信号は、植込み型無線神経刺激装置モジュール114内でRXアンテナ238により受信された後、波形調整回路240などの回路で処理され、電極界面252を通じて電極254から適用される電気パルスへと変換されてもよい。一部の実施形態では、植込み型刺激装置114には、2から16の電極254が含まれる。
【0058】
波形調整回路240は、RXアンテナ238で受信した信号を整流する整流器244を含んでもよい。整流された信号は、RFパルス発生器モジュール106からエンコードされた命令を受信するために制御装置242に送られてもよい。整流器信号はまた、1または2つ以上の電気パルスを生成するよう構成された電荷平衡部品に送られてもよい。この1または2つ以上の電気パルスは、1または2つ以上の電極における正味電荷が実質上ゼロになるものとされている(つまり、パルスは電荷が平衡している)。電荷平衡パルスは電流制限器248を介して電極界面252に渡され、必要に応じて電極254に適用される。
【0059】
電流制限器248は、電極254に適用されるパルスの電流レベルがしきい値を超えないよう制御する。一部の実施形態では、刺激の振幅は受信したRFパルスの振幅(たとえば、電流レベルや電圧レベル、電力レベル)から直接測定される。こうした場合、電流制限器248を実装することは、電極への過剰な電流または電荷の伝達を防止する上で特に有益である(ただし、電流制限器248は上記に該当しない実施形態においても使用し得る)。一般的に、表面積が数mm
2の電極において、1相あたりの電荷は安全性のために制限しなければならない(刺激相により伝達される電荷は電流の積分である)。しかし、電流に制限をかけることが可能な場合もあり、その場合、最大電流に最大可能パルス持続時間を乗じた値が安全な最大電荷以下となる。より一般的には、制限器248は、1相あたりの電荷がしきい値レベル(通常は安全電荷制限)以下に維持されるように電気パルスの特性(たとえば、電流や持続時間など)を制限する電荷制限器として動作する。
【0060】
植込み型無線神経刺激装置114が刺激の生成に十分な「高強度」のパルスRF電力を受け取り、これが所定の安全電荷制限を超える場合、電流制限器248は位相の総電荷が安全限度内に維持されるように、刺激相を自動的に制限または「クリップ」できる。電流制限器248は、安全電流制限(電流のしきい値レベル)に到達した場合に電極254への信号を切断する受動電流制限部品であってよい。代替的に、または追加的に電流制限器248は、組織損傷の原因となる電流レベルを防止するため、電極界面252と通信し、すべての電極254を停止させてもよい。
【0061】
クリッピング事象は、電流制限器フィードバック制御モードを引き起こし得る。制御装置はクリッピング動作を受けて、しきい値電力データ信号をパルス発生器106に送信してもよい。フィードバックサブシステム212は、しきい値電力信号を検出し、この信号を制御装置サブシステム214に伝送されるデータに復調する。制御装置サブシステム214のアルゴリズムは、この電流制限条件に基づき動作するが、具体的にはRFパルス発生器により生成されたRF電力を低減、または電力を完全に切断する。こうすることで、植込み型無線神経刺激装置114が余剰なRF電力の受信を報告した場合、パルス発生器106は身体に供給されるRF電力を低減することができる。
【0062】
刺激装置205の制御装置250は、電極界面252と通信し、電極254に適用される電極設定およびパルスのさまざまな態様を制御してもよい。電極界面252は多重界面として動作し、極性および電極254の各電極の切り替えを制御してもよい。たとえば、一部の実施形態において、無線刺激装置106は組織に接触した複数の電極254を含んでおり、所定の刺激に対し、RFパルス発生器モジュール106はパラメータ命令(制御装置250はこのパラメータ命令を使用して、電極界面252を必要に応じて設定する)と共に割り当てを無線通信することで、1または2つ以上の電極を任意に指定し1)刺激電極として、または2)戻り電極として動作させるか、3)不活性にさせることができる。たとえば、1または2つ以上の電極を刺激電極として割り当て、残りすべての電極を戻り電極として割り当てることは、生理学的に有益である場合がある。
【0063】
また、一部の実施形態では、所定の刺激パルスに対し、制御装置250は電極界面252を制御し、指定された刺激電極間で任意に(またはパルス発生器モジュール106からの命令に従い)電流を分割してもよい。電極254は実際にはさまざまな神経構造に空間的に分布されている場合があるため、この電極割り当て制御および電流制御は有益となり得る。また、刺激電極設置位置および各設置位置に指定する電流比率を戦略的に選択することで、組織内の総電流分布を修正し、特定の神経目標を選択的に活性化することが可能である。この電流制御戦略により、患者への治療効果を改善することができる。
【0064】
別の実施形態では、経時的な刺激を任意に操作できる。所定の刺激波形をT_start時に開始し、T_final時に終了することができ、この経時変化はすべての刺激電極および戻り電極全体で同期してもよい。また、この刺激サイクルの繰り返し頻度は、すべての電極間で同期することもできる。ただし、制御装置250は、それ自体で、またはパルス発生器106からの命令に応じて、電極界面252を制御し、非同期の開始、終了時間を設定した刺激波形を伝達するように1または2つ以上の電極のサブセットを指定してもよい。また各刺激サイクルの繰り返し頻度は、任意かつ単独に指定できる。
【0065】
たとえば、8つの電極を持つ刺激装置は、5つの電極から成るサブセット(セットAと呼ぶ)と3つの電極から成るサブセット(セットBと呼ぶ)を含むように構成してもよい。この場合、セットAはその電極のうち2つを刺激電極として、残りの電極を戻り電極として使用するように構成でき、セットBは刺激電極を1つだけ持つように構成することができる。制御装置250はその後、セットAに対して3mAの電流を200us間にわたり刺激相に供給した後、電荷平衡相を400us間維持するように指定してもよい。この刺激サイクルは、毎秒60サイクルで繰り返すよう指定できる。制御装置250はその後、セットBに対して1mAの電流を500us間にわたり刺激相に供給した後、電荷平衡相を800us間維持するように指定できる。セットBの刺激サイクルの繰り返し率は、セットAとは別に、たとえば毎秒25サイクルなどに指定できる。あるいは、セットBの繰り返し率をセットAの繰り返し率に一致させるように制御装置250が構成されている場合、制御装置250は刺激サイクルの相対開始時間を時間において一致するよう指定することも、相互に一定の遅延間隔を任意に相殺することも可能である。
【0066】
一部の実施形態では、制御装置250は刺激波形振幅を任意に形成することができるが、パルス発生器106からの命令に応じてこれを実行してもよい。刺激相は定電流源または定電圧源から供給されてもよい。この種の制御方式は静的な特性波形を生成してもよい。つまり、定電流源は、電流波形が急激に上昇し、刺激持続中は定振幅を維持した後、基線へと急激に戻る特徴的な矩形波パルスを生成する。代替的に、または追加的に、制御装置250は刺激相中および/または電荷平衡相中にいつでも電流レベルを増減できる。このため、一部の実施形態では、制御装置250は任意に成形した、たとえば矩形波パルスや正弦波パルス、ガウスパルスなどの刺激波形を供給できる。同様に電荷平衡相は任意に振幅成形されることができ、同様に先の陽極パルス(刺激相の前)もまた振幅成形されてもよい。
【0067】
上記のように、刺激装置114は、電荷平衡部品246を含んでもよい。一般的に、定電流刺激パルスの場合、パルスは陽極電流量に等しい陰極電流量を持つことで電荷を平衡させなければならず、これは通常は二相刺激と呼ばれる。電荷密度は、電流量にその電流の適用時間を乗じたもので、通常はuC/cm2の単位で示される。pH変化や電極溶解、組織破壊といった不可逆の電気化学反応を回避するには、電極-電解液界面に正味電荷が現れてはならず、通常は30uC/cm2以下の電荷密度は許容される。二相刺激電流パルスは、各刺激サイクルの後に電極に正味電荷が現れないようにし、正味DC電流の発生防止のため電気化学プロセスが平衡化されることを保証している。神経刺激装置114は、発生した刺激波形に正味ゼロ電荷が含まれるように設計されてもよい。電荷平衡刺激は、電極-組織界面で生じる電気化学反応生成物を低減または排除することにより、組織に対する損傷効果を最小限に抑えると思われる。
【0068】
刺激パルスは、波形の陰極相と呼ばれる負の電圧または電流を持っていてもよい。刺激電極は、刺激サイクル中の異なる時点で陰極相と陽極相の両方を有することができる。隣接した神経組織を刺激するのに十分な振幅を持つ負の電流を供給する電極は、「刺激電極」と呼ばれる。刺激相中、刺激電極は電流シンクとして機能する。1または2つ以上の追加の電極は電流源として機能し、これらの電極は「戻り電極」と呼ばれる。戻り電極は、刺激電極から少し離れた、組織の任意の場所に設置される。通常の負の刺激相が刺激電極から組織に供給されると、戻り電極は正の刺激相を持つようになる。それに続く電荷平衡相中に各電極の極性は逆転する。
【0069】
一部の実施形態では、電荷平衡部品246は、刺激回路内の刺激生成ポイントと組織への刺激供給ポイントの間で刺激電極と身体組織に対して電気的に直列に配置された遮断コンデンサを使用する。このように、抵抗器-コンデンサ(RC)ネットワークを形成してもよい。複数の電極を持つ刺激装置の場合、各電極に1つの電荷平衡コンデンサを使用することも、あるいは電極選択前に刺激装置回路内で集中型コンデンサを使用することもできる。RCネットワークは直流電流(DC)を遮断できるが、低周波の交流電流(AC)が組織に流れるのを阻止することも可能である。直列RCネットワークが基本的に信号を遮断する帯域よりも低い周波数は、一般に遮断周波数と呼ばれ、1つの実施例では、刺激装置システムの設計により遮断周波数が刺激波形の基本周波数を上回ることがないように保証してもよい。本発明のこの実施例では、無線刺激装置は、測定される電極の直列抵抗と刺激装置が植え込まれる組織環境に応じて選択された値を有する電荷平衡コンデンサを備えていてもよい。特定の容量値を選択することで、この実施例のRCネットワークの遮断周波数は刺激パルスの基本周波数と同等またはそれ以下になる。
【0070】
他の実施形態では、刺激の基本周波数以上となるように遮断周波数を選択してもよい。このシナリオでは、電荷平衡コンデンサより前に生成された駆動波形と呼ばれる刺激波形が非定常となるよう、つまり駆動波形の包絡線が駆動パルスの持続時間中に変動するように設計されていてもよい。たとえば、1つの実施例では、駆動波形の初期振幅は初期振幅Viに設定され、振幅はパルスの持続時間中に最終値k*Viに到達するまで増加する。駆動波形の振幅を経時的に変化させることで、電荷平衡コンデンサを通過した刺激波形の形状も修正される。刺激波形の形状は、生理学的に有益な刺激を作成するために、このようにして修正されてもよい。
【0071】
一部の実施形態では、無線神経刺激装置モジュール114は、受信ダイポールアンテナ238により受信されたRFパルスの包絡線に追随する駆動波形包絡線を作成してもよい。この場合、RFパルス発生器モジュール106は、駆動波形の包絡線を無線神経刺激装置114内で直接制御できるため、刺激装置自体の内部でエネルギーを貯蔵する必要がなくなる。この実施形態では、刺激装置回路は駆動波形の包絡線を修正しても、これを電荷平衡コンデンサおよび/または電極選択段階に直接渡してもよい。
【0072】
一部の実施形態では、植込み型神経刺激装置114は、単相駆動波形を電荷平衡コンデンサに供給するか、複相駆動波形を供給してもよい。たとえば、立下りパルスのような単相駆動波形の場合、このパルスは生理的刺激パルスで構成されており、電荷平衡コンデンサはこの位相中に分極(荷電)される。駆動パルスが完了した後、電荷平衡コンデンサの受動放電によってのみ電荷平衡関数が実行される。すなわち、その電荷は先行の刺激に対して逆の極性で組織を通じて拡散される。1つの実施形態では、刺激装置内の抵抗器は、電荷平衡コンデンサの放電を促進する。一部の実施形態においては、コンデンサは受動放電相を用いて、後続の刺激パルスの開始前に放電を実質的に完了させてもよい。
【0073】
複相駆動波形の場合、無線刺激装置は立下りパルスまたは立上がりパルス(相)を電荷平衡コンデンサに渡すために、内部切り替えを実行してもよい。これらのパルスは、所望の生理的効果を達成するため、異なる振幅と波形形状により任意の順位で供給され得る。たとえば、刺激相の後に能動的に駆動される電荷平衡相が続くこともあれば、逆位相が刺激相に先行することもある。たとえば、逆極相が刺激相に先行することには、組織の興奮に必要な刺激相の振幅を低減できるという利点がある。
【0074】
いくつかの実施形態において、刺激と電荷平衡化段階の振幅とタイミングはRFパルス発生器モジュール106からのRFパルスの振幅とタイミングによって制御される。その他の実施形態においては、この制御は制御装置250などの無線刺激装置内の回路によって内部から管理してもよい。内蔵制御の場合、振幅とタイミングは、パルス発生器モジュール106から供給されるデータコマンドによって指定または変更してもよい。
【0075】
図3は神経刺激装置の操作例を示すフローチャートである。ブロック302では、無線神経刺激114は神経束に近接して植え込まれ、TXアンテナ110によって生成された電界と結合されている。つまり、パルス発生器モジュール106とTXアンテナ110は、TXアンテナ110が神経刺激装置114の植込み型RXアンテナ238に電気放射結合されるように(たとえば、患者に近接して)配置されている。一定の実施形態では、アンテナ110とRFパルス発生器106の両方が皮下に配置される。その他の実施形態では、アンテナ110とRFパルス発生器106は患者の体外に配置される。この場合、TXアンテナ110は患者の皮膚に直接結合してもよい。
【0076】
ブロック304に示すように、RFパルス発生器からのエネルギーは、アンテナ110から組織を通じて植込み型無線神経刺激装置114に放射される。放射されたエネルギーは、ブロック301で、患者/臨床医によるパラメータ入力によって制御してもよい。場合によっては、パラメータ設定は患者または臨床医がブロック301でシステムへのパラメータ入力を調整することによってオープンループ方式で調整できる。
【0077】
無線植込み型刺激装置114は、受信したエネルギーを使用し、電極238を通じて神経組織に適用される電気パルスを生成する。たとえば、ブロック306に示すように、刺激装置114には、受信したRFエネルギーを整流する回路を搭載し、目標の神経または組織を刺激する目的で電極に供給されるエネルギーの電荷を平衡化するために波形を調節してもよい。ブロック308に示すとおり、植込み型刺激装置114は、アンテナ238を使用してテレメトリ信号を送信することによりパルス発生器106と通信する。このテレメトリ信号には、電極のインピーダンスや、安全な電流制限に達したかどうか、電極から組織に伝えられる電流の振幅など、電極に適用される電気パルスのパラメータに関する情報を含んでもよい。
【0078】
ブロック310では、RFパルス発生器106が受信したテレメトリ信号を増幅器226、フィルタ224、復調器222を用いて、それぞれ増幅、フィルタ、変調する。312に示すとおり、その後A/D変換器230が結果のアナログ信号をデジタル化する。デジタルテレミトリ信号はCPU230に送られ、ここで刺激装置114に送信された信号のパラメータを調節する必要があるかどうかが前記デジタルテレミトリ信号に基づいて判断される。たとえば、ブロック314では、CPU230はデジタル信号の情報をルックアップテーブルと対照し、刺激パラメータの適切な変更を確認する。ここで指示される変更には、たとえば電極に適用されるパルスの電流レベルの変更などがある。その結果、CPUはブロック316に示すように電極254に適用される電流を調整するために、刺激装置114に送信される信号の出力を変更するようにしてもよい。
【0079】
そのため、ブロック318に示すとおり、CPU230は刺激装置114に送信される信号のパラメータが、患者によってプログラムされた希望の電流振幅設定に全サイクルで一致するように調整するようにしてもよい。この刺激装置のステータスは、テレメトリデータの毎秒8kbitの速度で、リアルタイムでサンプリングしてもよい。ブロック318に示すとおり、刺激装置114から受信されたすべてのフィードバックデータは、時間単位で維持され、分刻みでサンプリングされ、医療専門家が傾向と統計的相関を確認する目的でアクセス可能な遠隔地のモニタリングシステムにダウンロードまたはアップロードされ、保存される。オープンループ方式では、刺激装置システムの操作はブロック302、304、306、308で示した機能的要素のみに制限される場合があり、植込み型装置からのクローズドループフィードバックの場合とは異なり、患者が自己判断でパラメータ設定を調節する。
【0080】
図4は、電極254の電流レベルがしきい値の上限を超えた場合の前記システムの操作例をフローチャートで示している。ブロック402に示すように、場合によっては、植込み型無線神経刺激装置114が確立された安全な電流制限値を超える電流レベルの入力信号を受信することがある。たとえば、ブロック404に示すように、電力制限器248は電流が組織に対して安全であることが確立されたアンペア数の制限値を超えていることを判断するようにしてもよい。ブロック406に示すように、電流制限器は、電流がしきい値を超えていることを検知した場合、電極と接触している周辺組織の損傷を防ぐため高電流信号を停止してもよい。この操作は、
図2に関連して上述されている。
【0081】
ブロック408に示すとおり、コンデンサが余剰電力を蓄積することとしてもよい。電流がしきい値を超えていることを電流制限器が検知した場合、制御装置250はブロック410に示すとおり、余剰電力を使用して、2ビットの小さなデータバーストをRFパルス発生器106に送り返すようにしてもよい。ブロック412に示すように、この2ビットのデータバーストが、前記RFパルス発生器の受信サイクル時に、植込み型無線神経刺激装置のアンテナ238を通じて伝送してもよい。前記RFパルス発生器のアンテナ110は、ブロック414のとおり、受信サイクル時に8kbpsの速度で2ビットのデータバーストを受信し、ブロック416のとおり、すべての逆電力をモニタリングする、前記RFパルス発生器のフィードバックサブシステムにデータバーストを送り返すこととしてもよい。ブロック418に示すとおり、CPU230はフィードバックサブシステム202からの信号を解析してもよい。データバーストがない場合、ブロック420に示すとおり、刺激パラメータが変更されないようにすることもできる。解析によってデータバーストが検出された場合、CPU230はブロック422に示すとおり、1サイクル分、すべての送電を切断できる。
【0082】
ブロック424に示すとおり、データバーストが継続する場合、前記RFパルス発生器106はプログラマモジュール102のアプリケーションに「近接電流による危険」について通知を発することとしてもよい。この近接による危険の通知は、前記RFパルス発生器が送電を停止した場合に発生する。この通知は、植込み型装置に対し安全なレベルを超える不正な形式のエネルギーが送られていることを意味する。ブロック426に示すとおり、前記アプリケーションはこれが危険な状態であり、ユーザーがその場を離れて神経調節療法を再開する必要があることを警告することもできる。ブロック428に示すとおり、1サイクル後にデータバーストが停止した場合、RFパルス発生器106は、たとえば以前の電流振幅レベルの5%から75%といったように、徐々に送電を強めていく。その後、ユーザーは自己責任の下、手動で電流振幅レベルを調節できる。ブロック430に示すとおり、RFパルス発生器106は送電の増強中に前記アプリケーションに進捗状況を通知する。前記アプリケーションは、電力レベルが安全でなく、システムが強くなりすぎていることをユーザーに通知するようにしてもよい。
【0083】
図5は、インピーダンス不整合を検出するのに使用可能な信号の例を示している。上述のとおり、順方向電力信号と逆方向電力信号をインピーダンス不整合の検出に使用してもよい。たとえば、前記RFパルス発生器によって生成されたRFパルス502は、双方向性結合器などの装置を通じてTXアンテナ110に渡される。続いて、TXアンテナ110がRF信号を身体に放射することで、植え込まれた無線神経刺激装置114がエネルギーを受信し、組織刺激パルスに変換する。前記結合器はこのRF信号を減衰させた順方向電力510をフィードバックサブシステム212に渡す。フィードバックサブシステム212は、AC信号を復調し、順方向RF電力の振幅を計算する。このデータは制御装置214に渡される。同様に、前記双方向結合器(または同様の部品)も、TXアンテナ110からの反射RFエネルギーを受信し、そのRF信号を減衰させた逆方向電力512をフィードバックサブシステム212に渡す。フィードバックサブシステム212は、AC信号を復調し、反射RF電力の振幅を計算する。このデータは、制御装置214に渡される。
【0084】
最適な場合には、TXアンテナ110が人体のインピーダンスと完全に整合し、TXアンテナ110から人体にRFエネルギーが妨げられることなく渡され、かつRFエネルギーが反射しない。そのため、最適な場合には、信号504に示すように、逆方向電力512の振幅は0に近く、順方向電力510に対する逆方向電力512の比率は0となる。この状況では、エラー状態は存在せず、制御装置214は動作が最適であるというシステムメッセージを発する。
【0085】
実際には、人体に対するTXアンテナ204のインピーダンス整合は最適ではなく、TXアンテナ110と身体の界面からRFパルス502のエネルギーの一部が反射する可能性がある。これは、たとえば、TXアンテナ110が衣服などによって皮膚から多少離れて固定されている場合に発生する可能性がある。非最適なアンテナの結合は、順方向RFエネルギーのごく一部が界面で反射される。これは信号506として示されている。この場合、順方向電力510に対する逆方向電力512の比率は小さく、これはRFエネルギーの大半がTXアンテナ110から放射されていることを示唆する。そのため、この状況は制御アルゴリズム内で許容可能な範囲内である。この反射率が許容可能であるかどうかの判断は、プログラムされたしきい値に基づいて制御装置サブシステム214内で実行してもよい。制御装置サブシステム214は優先度の低いアラートを生成してユーザーインターフェイスに送信するようにすることもできる。さらに、制御装置サブシステム214は、反射率が低い状況を検出した場合、RFパルス502の振幅を適度に増大させ、植込み型無線神経刺激装置114への順方向エネルギー伝達の微小な損失を補正する。
【0086】
日常使用中にTXアンテナ110が身体から誤って緩まったり外れる場合があり、その場合TXアンテナは身体との結合があっても非常に弱くなる。このような場合、TXアンテナ110から比較的高比率のRFパルスエネルギーが信号508として反射し、RF給電システムに逆方向に供給される。同様に、この現象はTXアンテナへの接続が物理的に破損している場合にも起こる可能性があり、この場合は、事実上RFエネルギーの100%が破損個所から逆方向に反射される。このような場合、順方向電力510に対する逆方向電力512の比率は非常に高く、制御装置サブシステム214はこれが許容されるしきい値を超えた比率であると判断する。この場合、制御装置サブシステム214はその後RFパルスが生成されるのを防止することもできる。RFパルス発生器モジュール106がシャットダウンされた場合、ユーザーインターフェイスを通じて刺激治療が行えないことがユーザーに通知される。
【0087】
図6は、神経刺激装置の操作中に使用可能な信号の例を示している。いくつかの実施形態では、植込み型無線神経刺激装置114によって受信されたRFパルス602の振幅が、組織に供給される刺激630の振幅を直接制御できる。RFパルス608の幅は、刺激630に指定されたパルス幅に対応する。通常の操作では、RFパルス発生器モジュール106は、TXアンテナ110を介してRFパルス波形602を身体に送信する。また、RFパルス波形608は植込み型無線神経刺激装置114によって受信される、それに対応するRFパルスを表すこともできる。この例では、受信された電力は、安全な刺激パルス630を生成するのに適した振幅を持っている。刺激パルス630は、安全なしきい値626を下回っており、エラー状態は存在しない。別の例では、たとえばユーザーがTXアンテナ110の位置を変更したことなどが原因で、TXアンテナ110と植込み型無線神経刺激装置114間の減衰が予期せず減少している。そのため、減衰の減少により、神経刺激装置114によって受信されるRFパルス波形612の振幅が増大する可能性がある。RFパルス602は以前と同じ振幅で生成されるが、TXアンテナ110と植込み型無線神経刺激装置114間のRF結合が改善するために、受信されるRFパルス612の振幅は大きくなる。この状況では、植込み型無線神経刺激装置114は、受信したRFパルス612の増加に対応して刺激632を増大させ得る。しかし、この例では、受信された電力612は、組織に対する安全制限値を超える刺激632を生成し得る。この状況では、電源制限器のフィードバック制御モードで刺激パルス632の波形をクリップし、供給される刺激が事前に設定された安全制限値626以内に維持されるようにできる。この波形のクリッピング事象628は、上述のとおり、フィードバックサブシステム212を通じて通信されるようにでき、その後、制御装置サブシステム214が、RFパルスに指定されたとおり振幅を低減できる。その結果、後続のRFパルス604は振幅が低減され、それに対応して、受信されたRFパルス616の振幅も適切なレベル(クリッピングされないレベル)まで低減される。このような形で、植込み型無線神経刺激装置114が余剰なRF電力を受信した場合、電流制限器フィードバック制御モードは身体に供給されるRF電力を低減するように操作することもできる。
【0088】
別の例として、RFパルス波形606は、ユーザーによるユーザーインターフェイスへの入力の結果として生成されたRFパルスの振幅の増大を示している。この状況では、植込み型無線神経刺激装置14によって受信されたRFパルス620の振幅が増大し、同様に電流制限器のフィードバックモードが刺激636が安全制限値626を超えることを防止する。この場合も、この波形のクリッピング事象628がフィードバックサブシステム212を通じて通信され、その後、制御装置サブシステム214が、RFパルスの指定どおり振幅を低減し、その結果ユーザー入力をオーバーライドするようにできる。低減されたRFパルス604は、受信された波形616に対応する、より小さい振幅を生成でき、安全制限値内に電流を維持するために刺激電流をクリップする必要もなくなる。このような形で、植込み型無線神経刺激装置114が余剰なRF電力を受信したことを報告した場合、電流制限器のフィードバックは身体に供給されるRF電力を低減することもできる。
【0089】
図7は、オープンループフィードバックシステムのプログラマを通じて、植込み可能な無線神経刺激装置をユーザーが制御するプロセスをフローチャートで示している。
このシステムの一実施形態においては、無線神経刺激装置がユーザー体内に植え込まれており、RFパルス発生器106が刺激パルスを刺激装置114に無線送信し、プログラマモジュール102上のアプリケーション(たとえば、スマートデバイス)がRFパルス発生器106と通信を行っている。この実施形態では、ブロック702のとおり、ユーザーは、動作中の前記パルス発生器の現在のステータスを観察したい場合、ブロック704のとおり、前記アプリケーションを起動してもよい。ブロック706に示すとおり、前記アプリケーションは、スマートデバイスに搭載されたBluetooth(登録商標)プロトコルを使用して前記パルス発生器に確認することができる。ブロック708に示すように、RFパルス発生器106はスマートデバイスのIDおよび患者によって割り当てられた一連の安全なアプリケーション反復動作を認証し得る。前記認証プロセスでは、患者固有のRFパルス発生器のシリアル番号ごとに一意のキーを使用可能である。ブロック720に示すとおり、前記アプリケーションは、患者に対して刺激装置の初期設定をプログラムしたメーカー担当者が患者ごとに一意のキーを使用してカスタマイズすることができる。ブロック718に示すとおり、前記RFパルス発生器が前記認証を拒否した場合、コードが無効であることをアプリケーションに通知するようにしてもよい。また、ブロック722に示すように、装置メーカーの権限を有する個人(「メーカー担当者」)からアクセス許可を取得する必要があることを通知するようにしてもよい。特定の実施形態では、メーカー担当者のみが前記アプリケーションに保存されているRFパルス発生器の一意のIDを変更するのに必要なセキュリティコードにアクセスできる。ブロック710に示すように、前記パルス発生器の認証システムにパスした場合、パルス発生器モジュール106は前回の同期以降記録されたすべてのデータを送り返す。712に示すとおり、前記アプリケーションは、続いて最新の情報を登録し、それを第三者に安全な方法で転送することもできる。ブロック714に示すように、前記アプリケーションは、すべてのシステム診断結果および値、ならびにユーザーおよびフィードバックシステムによる設定変更を記録したデータベースを維持するようにしてもよい。ブロック716のとおり、続いて前記アプリケーションが、電池容量や現在のプログラムパラメータ、実行時間、パルス幅、周波数、振幅、フィードバックシステムのステータスなどの関連データをユーザーに表示するようにしてもよい。
【0090】
図8はユーザーが無線刺激装置の電流振幅を上下限値によって制御するプロセスの他の例のフローチャートである。ブロック802に示すとおり、ユーザーは刺激信号の振幅を変更することを希望している。ブロック704に示すとおり、ユーザーが前記アプリケーションを起動すると、同アプリケーションはブロック804のとおり、
図7に説明されたプロセスを経て、前記RFパルス発生器と通信し、認証を行い、現在のステータスをユーザーに表示する。前記アプリケーションは、最も一般的な、変更可能なインターフェイスオプションで刺激の振幅を表示し、ユーザーが電流振幅の調整に使用できる2本の矢印を表示する。ブロック806に示すとおり、ユーザーが痛みのレベルに応じて刺激を増加させるか、減少させるかの判断を行うようにしてもよい。ユーザーが電流振幅を増加することを選択した場合、ブロック808に示すとおり、前記アプリケーション画面の上向き矢印を押すことができる。前記アプリケーションには、安全のための最大値制限アルゴリズムを含むことができるため、事前に設定された安全な最大値を超えて電流振幅を増加する要求を前記アプリケーションがブロック810で認知した場合、同アプリケーションはブロック812のとおりエラーメッセージを表示し、RFパルス発生器モジュール106とは通信を行わない。ブロック808に示すようにユーザーが上向き矢印を押し、電流振幅の変更要求が最大許容値を超えない場合、ブロック814に示すとおり前記アプリケーションはRFパルス発生器モジュール106に指示を送信して振幅を増加させる。続いて、RFパルス発生器モジュール106は、ブロック816に示すとおり、刺激の電流振幅の増加を試みることができる。前記RFパルス発生器が電流振幅を増加することに成功した場合、ブロック818に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は短い振動を発することで振幅が増加されたことをユーザーに対して物理的に確認できる。また、RFパルス発生器モジュール106は、ブロック820に示すとおり、振幅が増加されたことの確認を前記アプリケーションに送り返し、続いてブロック822に示すとおり、前記アプリケーションが更新後の電流振幅レベルを表示するようにしてもよい。
【0091】
ブロック806でユーザーが電流振幅を減少させることを選択した場合、ブロック828に示すとおり、前記アプリケーションで下向き矢印を押すことができる。ブロック830に示すとおり、電流振幅レベルがすでにゼロである場合、前記アプリケーションは電流振幅をそれ以上下げられないことを認識し、ブロック832に示すように、前記RFパルス発生器にデータを通信することなく、ユーザーにエラーメッセージを表示する。ブロック834に示すとおり、電流振幅レベルがゼロでない場合、前記アプリケーションは電流振幅レベルを下げるようにRFパルス発生器モジュール106に指示を送信できる。前記RFパルス発生器は、刺激RFパルス発生器モジュール106の電流振幅レベルを下げることを試み、成功した場合、RFパルス発生器モジュール106はブロック842に示すとおり、短い振動を発することで振幅が減少されたことをユーザーに対して物理的に確認できる。続いて、RFパルス発生器モジュール106は、ブロック838に示すとおり、減少された電流振幅レベルの確認を前記アプリケーションに送り返すことができる。ブロック840に示すとおり、その後前記アプリケーションが更新後の電流振幅レベルを表示するようにしてもよい。電流振幅レベルの増減に失敗した場合、RFパルス発生器モジュール106はブロック824に示すとおり、一連の短い振動を発してユーザーに警告し、前記アプリケーションにエラーメッセージを送信する。ブロック826に示すとおり、前記アプリケーションは前記エラーを受信し、ユーザーの参照用にデータを表示することもできる。
【0092】
図9は、事前にプログラムされたパラメータ設定を使用して、無線神経刺激装置114をユーザーが制御するプロセスの他の例のフローチャートである。ユーザーは、ブロック902に示すとおり、パラメータプログラムを変更することを希望している。ユーザーに無線神経刺激装置が植え込まれている場合、またはユーザーが来診した際、メーカー担当者がその判断により、患者/ユーザーRFパルス発信器に対し、ユーザーの治療に使用される異なる刺激パラメータを持つ、事前に設定されたプログラムを提供するようにしてもよい。ユーザーはその後、必要に応じてさまざまなパラメータ間で切り替えを行うことができる。ユーザーは、ブロック704に示すとおり、スマートデバイス上の前記アプリケーションを起動できる。同プログラムは、最初に
図7で説明したプロセスに従い、RFパルス発生器モジュール106と通信して認証を行い、ブロック812に示すとおり、現在のプログラムパラメータ設定を含むRFパルス発生器モジュールの現在のステータスを表示する。ブロック904に示すとおり、この実施形態では、前記アプリケーションのユーザーインターフェイスを通じて、ユーザーは使用したいプログラムを選択できる。ブロック906に示すとおり、その後、前記アプリケーションは、ユーザーが適応の管理に従い希望に応じて切り替えができるようにメーカー担当者によって承認され、事前にプログラムされたパラメータのライブラリにアクセスすることもできる。ブロック908に示すとおりユーザーに対して表が表示でき、ブロック910のとおり各行にプログラムのコード名が表示され、基本的なパラメータ設定がリストされる。このリストには、ブロック912のとおり、パルス幅、周波数、サイクルタイミング、パルス波形、持続時間、フィードバック感度などが含まれる。ユーザーは、その後、ブロック912のとおり、希望するパラメータの事前設定プログラムを含む行を選択できる。前記アプリケーションは、ブロック916に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106に指示を送信してパラメータ設定を変更することができる。RFパルス発生器モジュール106は、パラメータ設定154を変更することを試みる。パラメータ設定が正常に変更された場合、RFパルス発生器モジュール106はブロック920に示すとおり、固有の振動を発することでパラメータが変更されたことをユーザーに対して物理的に確認できる。また、RFパルス発生器モジュール106は、ブロック922に示すとおり、パラメータが正常に変更されたことの確認を前記アプリケーションに送り返し、前記アプリケーションは、ブロック924に示すとおり、更新後の最新プログラムを表示することができる。パラメータプログラムの変更に失敗した場合、RFパルス発生器モジュール106はブロック926のとおり、一連の短い振動を発し、ユーザーに警告するとともに、前記アプリケーションにエラーメッセージを送信する。ブロック928に示すとおり、同プログラムはこのエラーを受信して、ユーザーに対し表示することもできる。
【0093】
図10は、RFパルス発生器モジュール106の電池残量が低い場合のプロセスの他の例のフローチャートである。この実施形態では、ブロック1002に示すとおり、前記RFパルス発生器モジュールの電池残量レベルは低いと認識されている。ブロック1004に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は定期的に電源供給用電池サブシステム210の電力を確認し、前記RFパルス発生器のマイクロプロセッサは電池残量がしきい値を下回っていないか確認する。ブロック1006に示すとおり、電池残量がしきい値より高い場合、RFパルス発生器モジュール106は現在の電池のステータスを保存し、次回の同期中に前記アプリケーションに送信する。電池残量がしきい値より低い場合、ブロック1008に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は低電池残量について前記アプリケーションに通知することとしてもよい。RFパルス発生器モジュール106は、ブロック1010に示すとおり、常に一連の短い振動を発してユーザーに警告し、前記アプリケーションに通知を送信するようにし得る。ブロック1010に示すとおり、前記アプリケーションから継続して通知の受信確認がない場合、RFパルス発生器は継続的に短い振動を発してユーザーに警告し続けることができる。ブロック1012に示すとおり、前記アプリケーションが通知を正常に受信した場合、通知を表示することができる。この場合、ユーザーがこの通知を認知しなければならないようにすることも可能である。たとえば、ブロック1014に示すとおり、1分が経過しても前記アプリケーションで通知メッセージが解除されなかった場合、前記アプリケーションはユーザーによる認知がないことをRFパルス発生器モジュール106に通知し、ブロック1010に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は振動を発してユーザーに通知を開始することもできる。ブロック1016に示すとおり、ユーザーがこの通知を認知した場合に前記アプリケーションが電池を切り替えるようパッシブ通知を表示するようにしてもよい。電池が切り替えられることなく、たとえば5分など、事前に設定した時間が経過した場合、ブロック1014に示すとおり、前記アプリケーションはユーザーによる認知がないことをRFパルス発生器モジュール106に通知し、ブロック1010に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は振動を発することができる。RFパルス発生器モジュールの電池が切り替えられた場合、ブロック1018に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は再起動され、電池残量を確認する。電池残量がしきい値より低い場合、ブロック1008に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は前記アプリケーションに通知を行うことで、前記サイクルを再開する。電池残量がしきい値より高い場合、ブロック1620に示すとおり、RFパルス発生器モジュール106は電池が正常に切り替えられたことを前記アプリケーションに通知し得る。ブロック1022に示すとおり、前記アプリケーションがRFパルス発生器モジュール106と通信して現在のシステムステータスを表示するようにしてもよい。
【0094】
図11は、植込み型無線神経刺激装置を販売代理人がプログラムするプロセスの他の例のフローチャートである。ブロック1102に示すように、この実施形態では、ユーザーが必要に応じて使用できるようにユーザーの所在地とは別の遠隔地からメーカー担当者に個別のパラメータプログラムを設定してもらうことを希望している。メーカー担当者は、安全なウェブベースのサービスを通じ、ユーザーに対して設定されたパラメータプログラムにアクセスできる。ブロック1104に示すように、メーカー担当者は、インターネットに接続されたデバイスからメーカーのウェブサービスに安全にログインすることができる。ブロック1106に示すように、メーカー担当者がユーザーを初回登録する場合は、患者の基本情報、RFパルス発生器の一意のID、プログラミングアプリケーションの一意のIDを入力する。メーカー担当者は、ブロック1108に示すとおり、新規または既存ユーザーの登録を完了後、特定のユーザーのプロフィールにアクセスする。ブロック1110に示すとおり、メーカー担当者は、特定のユーザーに対して現在割り当てられているパラメータプログラムのリストを閲覧できる。前記リストには、以前は有効であったが使用を停止した事前設定パラメータプログラムを含んでもよい。ブロック1114に示すとおり、メーカー担当者は、表示された表内の適切な行の横にあるボックスをチェックすることで、事前に設定されたパラメータプログラムを有効/無効にすることができる。ブロック1116に示すとおり、メーカー担当者がその後、新しく割り当てられた事前設定パラメータプログラムを送信して保存するようにしてもよい。ユーザーのプログラマアプリケーションが、次回メーカーのデータベースと同期を行った際に、前記の新しい事前設定パラメータプログラムを受信するようにしてもよい。
【0095】
図12は刺激装置114などの無線神経刺激装置の一例の回路図である。この例では、図のとおり、陰極電極1208と陽極電極1210を備えた1対の電極が含まれている。電圧を加えると、帯電電極が組織内に電流密度の体積伝導場を作り出す。この実施形態では、ダイポールアンテナ238を通じて無線エネルギーが受信される。ダイポールアンテナ238に装着されている全波ブリッジ整流器1202は、少なくとも4つのダイオードが接続されて構成されている。各ダイオードは、最長100マイクロメートルで、前記電流が逆しきい値を超えていない場合に、陰極から陽極への負電流の流れが装置を通過することを防止するための接合部電位を使用している。無線電力を介して組織に伝送される神経刺激では、損失材料では避けることのできない非効率性によって、しきい値電圧が低くなる可能性がある。この実施形態では、ゼロバイアスのダイオード整流器によって、装置の出力インピーダンスが低くなる。抵抗器1204と平滑コンデンサ1206は、ブリッジの陽極のアースに電極を放電するためにブリッジ整流器の出力ノードを横切って配置されている。整流ブリッジ1202には、陽極同士、続いて陰極同士で接続されたダイオード対の2本の分岐路が含まれている。電極1208と1210は、電荷平衡回路の出力に接続されている。
【0096】
図13は刺激装置114などの無線神経刺激装置の回路図の別の例である。
図13の例には、複数の電極制御が含まれており、フルクローズドループ制御を採用することもできる。刺激装置には、電極の極性を陰極または陽極に割り当てることが可能な電極アレイ254が含まれており、電極がエネルギーを受けないようにすることもできる。電圧を加えると、帯電電極が組織内に電流密度の体積伝導場を作り出す。この実施形態では、ダイポールアンテナ238を通じて装置が無線エネルギーを受信する。電極アレイ254は、アレイ内の各電極の極性を設定するために適切なビット情報を電極界面252に送信するとともに、各電極に電力を共有する内蔵制御装置の回路242を通じて制御される。特定の電極に電力が供給されない場合、その電極は機能オフのポジションに設定される。別の実施形態(図示せず)では、各電極に送られる電流の量は、制御装置242によっても制御される。制御装置の出力として表示される制御装置の電流、極性、電力状態のパラメータデータは、パルス発生器モジュール106にテレメトリ伝送されるようにアンテナ238に送り返される。また、制御装置242には、流される総電流のステータスをパルス発生器モジュール106に送り返すことができるように電流モニタリングの機能とビットレジスタカウンタのセットが含まれている。
【0097】
ダイポールアンテナ238に装着されている全波ブリッジ整流器302は、少なくとも4つのダイオードを接続して構成することができる。各ダイオードは、最長100マイクロメートルで、前記電流が逆しきい値を超えていない場合に、陰極から陽極への負電流の流れが装置を通過することを防止するための接合部電位を使用している。無線電力を介して組織に伝送される神経刺激では、損失材料では避けることのできない非効率性によって、しきい値電圧が低くなる可能性がある。この実施形態では、ゼロバイアスのダイオード整流器によって、装置の出力インピーダンスが低くなる。抵抗器1204と平滑コンデンサ1206は、ブリッジの陽極のアースに電極を放電するためにブリッジ整流器の出力ノードを横切って配置されている。整流ブリッジ1202には、陽極同士、続いて陰極同士で接続されたダイオード対の2本の分岐路を含んでもよい。電極の極性出力は、陰極1208、陽極1210共に、ブリッジ接続によって形成された出力に接続されている。電荷平衡回路246と電流制限回路248は、連続して出力に配置されている。
【0098】
数々の実現形態を説明してきた。それにもかかわらず、さまざまな変更を行えることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、特許請求の範囲内にある。