(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076922
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】外装部品取付構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/04 20060101AFI20170130BHJP
B60R 19/42 20060101ALI20170130BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
B60R19/04 L
B60R19/42
F16B5/06 U
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-16574(P2014-16574)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143041(P2015-143041A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】岩中 貴志
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−104298(JP,A)
【文献】
特開2002−372011(JP,A)
【文献】
特開2000−168472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/04
B60R 19/42
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部品と、該本体部品に対し取り付けられる外装部品との見切り部において、前記本体部品と前記外装部品とに、内側に立設され、連結のために互いに重ねられる少なくとも一対のフランジ部が形成された外装部品取付構造であって、
前記見切り部の裏面側に設けられ、重なった前記一対のフランジ部が挿入される第1の貫通孔を有するリテーナ部材と、
前記リテーナ部材を前記本体部品と外装部品とに対し固定する固定手段とを備え、
前記リテーナ部材は、その下面側が、前記見切り部近傍において、前記本体部品及び外装部品の裏面に当接し、且つ、前記第1の貫通孔の内周縁が、前記重なった一対のフランジ部の外周面に当接していることを特徴とする外装部品取付構造。
【請求項2】
前記固定手段は、
前記一対のフランジ部に形成された第2の貫通孔と、
前記第2の貫通孔に挿入されて該第2の貫通孔に嵌合可能な嵌合部材とを有し、
前記リテーナ部材の第1の貫通孔に挿通された前記一対のフランジ部において、前記第2の貫通孔は、前記リテーナ部材の上面高さに形成され、
前記嵌合部材は、前記第2の貫通孔に挿入されることにより該第2の貫通孔に嵌合し、前記見切り部近傍において、前記リテーナ部材を前記本体部品と外装部品の裏面側に押圧することを特徴とする請求項1に記載された外装部品取付構造。
【請求項3】
前記嵌合部材は、前記リテーナ部材に一体形成されていることを特徴とする請求項2に記載された外装部品取付構造。
【請求項4】
前記固定手段は、
前記一対のフランジ部の先端側に設けられ、前記リテーナ部材の上面側に係止可能な係止部を有し、
前記リテーナ部材の下面側から前記第1の貫通孔に前記一対のフランジ部が挿入されて前記係止部がリテーナ部の上面側に係止し、前記見切り部近傍において、前記係止部は、前記リテーナ部材を前記本体部品と外装部品の裏面側に押圧することを特徴とする請求項1に記載された外装部品取付構造。
【請求項5】
前記係止部は、
前記一対のフランジ部の先端側が加熱溶融されて形成された溶融塊であることを特徴とする請求項4に記載された外装部品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部品に外装部品を取り付ける外装部品取付構造に関し、例えば自動車のバンパ(本体部品)にスポイラなどの外装部品を取り付けた場合、バンパと外装部品との見切り部を見栄えよく維持する外装部品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のバンパにおいて、
図7(a)に示すように外装部品としてのスポイラが取り付けられているものがある。バンパ50にスポイラ51を取り付ける場合、スポイラ51の上端側とバンパ50との連結部分(見切り部と呼ぶ)は、従来、
図7(b)に示す構成となされることが多い。
即ち、
図7に示す構成においては、スポイラ51の上端部に、その縁部に沿って複数の爪部51aがそれぞれ所定間隔を空けて設けられ、バンパ50側に、前記複数の爪部51aにそれぞれ対応する複数の貫通孔50aが設けられている。
また、前記爪部51aには、前後に貫通する係止孔51bが形成され、そこに爪部60aを有する閂クリップ60を挿入して係止させることが可能となっている。
【0003】
バンパ50にスポイラ51を取り付けるには、先ず、スポイラ51の下端側をバンパ50側の係止部に係止し(図示せず)、スポイラ51の上端側の爪部51aをバンパ50の貫通孔50aに挿入する。
これにより爪部51aに形成された係止孔51bがバンパ50の裏側に配置され、そこに閂クリップ60を挿入して係止させることによりスポイラ51がバンパ50に装着される。
また、その状態では、部品間の遊びにより、バンパ50とスポイラ51との間の見切り部Eには、1〜3mm程度の隙間が開くため、シリコンゴム製のリブ部材61を見切り部Eに沿って嵌入し、隙間を埋めるようになされる。
【0004】
このような構成によれば、バンパ50にスポイラ51を取り付ける場合に、その見切り部Eに隙間がない状態とすることができる。
しかしながら、前記のように隙間を埋めるためにリブ部材61を用いるため、見切り部Eの見栄えが悪くなるといった課題があり、また、リブ部材61に掛かるコストや取り付け作業が余分に必要となるといった課題があった。
尚、このような課題は、前記のように本体部品(バンパ50)の表面側に外装部品(スポイラ51)を凸設する構成に限らず、本体部品の表面延長上に連続するように外装部品の表面を配置する構成、即ち、見切り部を面一にしたい構成の場合にも同様にあった。
【0005】
前記課題を解決するものとして、特許文献1には、センターバンパ(本体部品)の表面延長上にサイドバンパ(外装部品)の表面を配置する場合に、その見切り部に段差を生じさせずに面一とするための構造が開示されている。
図8(a)に、センターバンパにサイドバンパを連結する前の状態の斜視図を示し、
図8(b)に前記センターバンパにサイドバンパが結合された状態でのバンパ裏面側のボルト結合部の断面図を示す。
図8(a)に示すように、センターバンパ70は、サイドバンパ80に連結される側の端部から内側にフランジ状に折れ曲がった第1プレート71と、第1プレートの先端から車幅方向に突起するリブ72と、バンパ表面と前記第1プレートとの境目に沿って高さ方向に形成された溝部73とを備えている。
【0006】
一方、サイドバンパ80は、センターバンパ70に連結される側の端部から内側に折れ曲がった第2プレート81と、バンパ表面と前記第2プレート81との境目に沿って高さ方向に形成された突起部82とを備えている。
センターバンパ70とサイドバンパ80とを連結する際には、前記第1プレート71及びリブ72と、第2プレート81とが結合し、突起部82が溝部73に係合することにより接合部位を覆うようになっている。
【0007】
さらに、
図8(a)に示すように、第1プレート71と第2プレート81とが合わさった状態で、それぞれに形成されている複数の孔同士(図では4箇所)がボルト結合される。このボルト結合にあっては、
図8(b)に示すように、座金74、第1プレート71、クリップ83が被せられた第2プレート81にボルトねじ75が挿入され、クリップ83の外側に設けられたナット84に前記ボルトねじ75が螺入されている。
この構成により特許文献1に開示された構成によれば、連結されたセンターバンパ70とサイドバンパ80の表面の見切り部Eにおいて略面一の状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−104298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に開示のバンパ構造体にあっては、センターバンパ70に対するサイドバンパ80の組み付け性をよくするために、第1プレート71に設けられたボルト締結孔71aが車両前後方向に長く(即ち横長に)遊びをもって形成され、第2プレート81に設けられたボルト締結孔81aとの位置合わせが容易になされている。
しかしながら、サイドバンパ80側の第2プレート81に被せられたクリップ83の組み付け時のばらつきと、前記第1プレート71側の横長のボルト締結孔71aにおけるボルトねじ75とのがたつきにより、センターバンパ70に対してサイドバンパ80が前方に位置ずれし、見切り部Eに段差が生じる虞があった。
また、見切り部Eからボルト締め付け位置までの距離があるため、センターバンパ70とサイドバンパ80の変形により見切り部Eの口が開く虞もあった。
【0010】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、本体部品に外装部品を取り付ける外装部品取付構造において、本体部品と外装部品との見切り部に面一感を与えて見栄えを向上し、これを維持することのできる外装部品取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するために、本発明に係る外装部品取付構造は、本体部品と、該本体部品に対し取り付けられる外装部品との見切り部において、前記本体部品と前記外装部品とに、内側に立設され、連結のために互いに重ねられる少なくとも一対のフランジ部が形成された外装部品取付構造であって、前記見切り部の裏面側に設けられ、重なった前記一対のフランジ部が挿入される第1の貫通孔を有するリテーナ部材と、前記リテーナ部材を前記本体部品と外装部品とに対し固定する固定手段とを備え、前記リテーナ部材は、その下面側が、前記見切り部近傍において、前記本体部品及び外装部品の裏面に当接し、且つ、前記第1の貫通孔の内周縁が、前記重なった一対のフランジ部の外周面に当接していることに特徴を有する。
【0012】
尚、前記固定手段は、前記一対のフランジ部に形成された第2の貫通孔と、前記第2の貫通孔に挿入されて該第2の貫通孔に嵌合可能な嵌合部材とを有し、前記リテーナ部材の第1の貫通孔に挿通された前記一対のフランジ部において、前記第2の貫通孔は、前記リテーナ部材の上面高さに形成され、前記嵌合部材は、前記第2の貫通孔に挿入されることにより該第2の貫通孔に嵌合し、前記見切り部近傍において、前記リテーナ部材を前記本体部品と外装部品の裏面側に押圧することが望ましい。
また、前記嵌合部材は、前記リテーナ部材に一体形成されてもよく、その場合、一対のフランジ部をリテーナ部材の第1の貫通孔に挿入した後、リテーナ部材に形成された嵌合部材が一対のフランジ部の第2の貫通孔に嵌合するように構成すればよい。
或いは、前記固定手段は、前記一対のフランジ部の先端側に設けられ、前記リテーナ部材の上面側に係止可能な係止部を有し、前記リテーナ部材の下面側から前記第1の貫通孔に前記一対のフランジ部が挿入されて前記係止部がリテーナ部の上面側に係止し、前記見切り部近傍において、前記係止部は、前記リテーナ部材を前記本体部品と外装部品の裏面側に押圧するように構成してもよい。
また、前記係止部は、前記一対のフランジ部の先端側が加熱溶融されて形成された溶融塊であってもよい。
【0013】
このような構成によれば、見切り部の近傍において、本体部品と外装部品の裏面にリテーナ部材が当接した状態で固定されることによって前後方向の位置が規制され、重なり合った一対のフランジ部の外周面にリテーナ部材の第1の貫通孔の内周縁が当接することによって左右方向の位置が規制される。
これにより、従来のように見切り部の隙間をリブ部材で埋める必要がなく、見栄えをよくすることができる。また、外力などを受けても、見切り部の段差や口開きの発生を防止することができ、見栄えのよい状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本体部品に外装部品を取り付ける外装部品取付構造において、本体部品と外装部品との見切り部に面一感を与えて見栄えを向上し、これを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係る実施形態を説明する図であって、フロントバンパにサイドカバーを取り付ける際の構造を説明するための各構成部品の斜視図である。
【
図4】
図4(a)〜(c)は、一対のフランジ部を連結する工程を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、嵌合部材の変形例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、リテーナ部材の固定手段の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図7(a)、(b)は、従来の見切り部の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【
図8】
図8(a)、(b)は、従来の見切り部の他の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる外装部品取付構造の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
尚、本実施の形態にあっては、本体部品としてのフロントバンパに外装部品としてのサイドカバーを取り付ける構造であって、フロントバンパの表面延長上にサイドカバー表面を配置する場合を例に説明する。
また、以下の説明においては、車両のフロントバンパの右側に取り付けられるサイドカバーを例に用いるが、フロントバンパの左側も右側の構成と左右対称ではあるが同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態を説明する図であって、フロントバンパにサイドカバーを取り付ける際の構造を説明するための各構成部品の斜視図である。
本発明に係る外装部品取付構造にあっては、フロントバンパ1にサイドカバー2を取り付けるにあたり、それらの表面側の連結部(見切り部E)の見栄えを向上させるものである。具体的には、フロントバンパ1とサイドカバー2との見切り部E近傍の裏側にリテーナ部材30が設けられ、これによりフロントバンパ1とサイドカバー2との間の位置ずれが防止されるようになっている。
【0018】
以下、詳細に説明する。
図1において、フロントバンパ1の右端部(図面上の左側)には、サイドカバー2を取り付けるための凹部領域3が設けられている。前記凹部領域3の下端側には、サイドカバー2の下端側の固定に用いる2つの係止孔4と、2つのボルト螺子締結孔5が設けられている。また、前記凹部領域3の上端部には、サイドカバー2の上端部の固定に用いるスクリュー螺子締結孔6が設けられている。また、前記凹部領域3において、見切り部E付近には、前記リテーナ部材30を固定するためのスクリュー締結孔7と、リテーナ部材30との嵌合に用いる2つの嵌合孔8が設けられている。
【0019】
さらに、前記見切り部Eにおいてフロントバンパ1の表面側から内側に折れ曲がるように立設された所定幅を有する3つのフランジ部21が設けられ、これらフランジ部21はリテーナ部材30に設けられた横長の貫通孔31(第1の貫通孔)にそれぞれ挿入可能に形成されている。
尚、各フランジ部21には、閂クリップ40(嵌合部材)を挿入可能な貫通孔21a(第2の貫通孔)が形成されている(例えば
図4(a)参照)。
【0020】
また、サイドカバー2において、その裏面下端側には、前記フロントバンパ1側の2つの係止孔4にそれぞれ対応する2つの爪部11と、2つのボルト螺子締結孔5にそれぞれ対応する2つのボルト螺子締結孔12とが設けられている。
また、サイドカバー2の裏面の上端側には、前記フロントバンパ1側のスクリュー締結孔6に対応するスクリュー締結孔13が設けられている。
更には、前記見切り部においてサイドカバー2の表面側から内側に折れ曲がるように立設された所定幅を有する3つのフランジ部14が設けられ、これらフランジ部14はフロントバンパ1側のフランジ部14と共にリテーナ部材30に設けられた横長の貫通孔31にそれぞれ挿入可能に形成されている。
また、各フランジ部14には、前記閂クリップ40を挿入可能な貫通孔14a(第2の貫通孔)が形成されている(例えば
図4(a)参照)。
【0021】
また、リテーナ部材30は、
図2に拡大して示すように細長い略板状の形状をしており、その上下面を貫通する細長い矩形状の前記貫通孔31が、リテーナ部材30の長手方向に所定間隔を空けて3つ設けられている。
また、リテーナ部材30には、フロントバンパ1の前記凹部領域3に設けられたスクリュー締結孔7に対応するスクリュー締結孔32と、前記凹部領域3に設けられた2つの嵌合孔8に嵌入可能な2つの嵌合爪33とが設けられている。
【0022】
また、
図3に示すように、閂クリップ40は、矢印に示す差し込み方向に向かって下方に傾斜する爪部40aを有する。この爪部40aは側面を持たないため、その最下部側を軸として傾斜面が弾むようになっており、傾斜面を押圧することにより最上部となる爪先端が下方に沈み、押圧を解除すると弾性力により上方に戻るように構成されている。
このように構成された閂クリップ40を、重ねられた一対のフランジ部14、21の貫通孔14a、21aに挿入すると、爪部40aは、その傾斜面が前記貫通孔14a,21aの内周縁に当接すると共に、徐々に下方に圧縮される。そして、爪部40aが完全に貫通孔14a,21aを通った時点で爪部40aの先端は弾性力により上方に戻り、フランジ面に係止する。これにより閂クリップ40が貫通孔14a,21aに嵌合するようになっている。
【0023】
前記のフロントバンパ1にサイドカバー2を取り付ける場合、それらの下端側においては、フロントバンパ1の凹部領域3に設けられた2つの係止孔4に、サイドカバー2に設けられた2つの爪部11を挿嵌し、2つのボルト螺子締結孔5と2つのボルト螺子締結孔12との位置を合わせ、それぞれボルト、ナットにより締結する。
また、上端側においては、フロントバンパ1に設けられたスクリュー締結孔6とサイドカバー2のスクリュー締結孔13との位置を合わせ、スクリュー螺子により締結する。
【0024】
また、見切り部Eにおいては、
図4(a)に示すように、フロントバンパ1の各フランジ部21とサイドカバー2のフランジ部14とを重ね合わせ、それら一対のフランジ部14、21をリテーナ部材30の貫通孔31に挿通させる。また、リテーナ部材30は、嵌合爪33を凹部領域3の嵌合孔8に嵌入して仮留めする。
ここで、フランジ部14、21を重ね合わせたときの厚さは、
図4(b)に示すようにリテーナ部材30の貫通孔31の幅に略等しく、挿通させる際、貫通孔31の内周縁に、重なったフランジ部14、21の外周面が摺接するようになっている。
【0025】
また、
図4(b)に示すように、リテーナ部材30の下面30aがフロントバンパ1とサイドカバー2の裏面に当接するようにリテーナ部材30が配置され、そのとき図示するようにリテーナ部材30の上面高さにフランジ部14、21の貫通孔14a,21aが位置するようになっている。
そして、
図4(c)に示すように、一対のフランジ部14、21の貫通孔14a,21aに閂クリップ40をフランジ部21側から挿入し、爪部40aをフランジ部14に係止させ、閂クリップ40を貫通孔14a,21aに嵌合させる。
【0026】
ここで、図示するように見切り部Eの近傍においてリテーナ部材30の下面30aがフロントバンパ1の裏面とサイドカバー2の裏面に当接し、リテーナ部材30は閂クリップ40によって上方から押圧されるように固定されている(即ち、閂クリップ40と貫通孔14a,21aとにより固定手段が構成される)。
これにより、フロントバンパ1とサイドカバー2の前後方向(図において上下方向)の位置がずれることがなく、見切り部Eに段差が生じないようになっている。
さらに、一対のフランジ部14,21がリテーナ部30の貫通孔31に接した状態で挿通しているため、フロントバンパ1とサイドカバー2の位置が左右方向にずれることがなく、見切り部Eの口が開かないようになっている。
【0027】
このようにして全ての対となるフランジ部14、21の結合がなされると、フロントバンパ1の前記凹部領域3に設けられたスクリュー締結孔7とリテーナ部材30のスクリュー締結孔32の位置が重なり合っているため、スクリュー螺子により締結し、フロントバンパ1に対するサイドカバー2の取り付けが完了する。
【0028】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、見切り部Eの近傍において、フロントバンパ1とサイドカバー2の裏面にリテーナ部材30が当接した状態で固定されることによって前後方向の位置が規制され、重なり合ったフランジ部14,21の外周面にリテーナ部材30の貫通孔31の内周縁が当接することによって左右方向の位置が規制される。
この構成によれば、従来のように見切り部Eの隙間をリブ部材で埋める必要がなく、見栄えをよくすることができる。また、外力などを受けても、見切り部Eの段差や口開きの発生を防止することができ、見栄えのよい面一感を維持することができる。
【0029】
尚、前記実施の形態においては、本体部品の表面延長上に連続するように外装部品の表面を配置する構成を例に示したが、本発明にあっては、本体部品の表面側に外装部品を凸設する構成にも好適に用いることができる。
また、前記実施の形態においては、リテーナ部材30を固定するために嵌合部材として閂クリップ40を用いるものとしたが、嵌合部材をリテーナ部材30に一体的に形成してもよい。即ち、
図5に示すように、一対のフランジ部14,21をリテーナ部材30の貫通孔31に挿入した後、リテーナ部材30に形成された嵌合部材としての爪部30bが一対のフランジ部14,21の貫通孔14a,21aに嵌合するように構成してもよい。
【0030】
或いは、リテーナ部材30の固定手段として、リテーナ部材30の上面に係止させるための爪部(図示せず)などの係止部を一対のフランジ部14、21の先端側に一体形成してもよい。
その場合、一対のフランジ部14、21をリテーナ部材30の貫通孔31に挿入した後、前記係止部をリテーナ部材30上面に係止させてリテーナ部材30を固定するようにすればよい。
或いは、
図6に示すように、一対のフランジ部14、21をリテーナ部材30の貫通孔31に挿通させた後、フランジ部14,21の先端を加熱溶融し、溶融塊(係止部)をリテーナ部材30上面に係止させてリテーナ部材30を固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 フロントバンパ(本体部品)
2 サイドカバー(外装部品)
3 凹部領域
14 フランジ部
14a 貫通孔(第2の貫通孔)
21 フランジ部
21a 貫通孔(第2の貫通孔、固定手段)
30 リテーナ部材
30a 下面
30b 爪部(嵌合部材)
31 貫通孔(第1の貫通孔)
40 閂クリップ(嵌合部材、固定手段)
40a 爪部
E 見切り部