(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された加熱調理装置では、使用者が調理容器内に麺を投入したときにスイッチの押操作をし忘れると、前記麺投入完了指令が発せられないために、茹で物制御が開始されないという不都合がある。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、調理容器に麺等の被調理物が投入されたときに、茹で物制御が確実に実行される加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の加熱調理装置は、
調理容器を加熱する加熱部と、
前記調理容器内の水の沸騰を検知する沸騰検知手段と、
前記加熱部付近で発生する音を検知する音検知手段と、
水が入れられた調理容器を加熱し、前記沸騰検知手段により前記調理容器内の水の沸騰を検知する沸騰工程、該沸騰工程において前記調理容器内の水の沸騰が検知された後に、前記音検知手段により検知された音の変化を判別して前記調理容器内への被調理物の投入を認識する被調理物投入認識工程、及び、該被調理物投入認識工程において前記調理容器内への被調理物の投入が認識された後に、前記加熱部の加熱力を調節しながら前記調理容器内の被調理物を加熱する茹で工程を含む、茹で物運転を実行する調理制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の加熱調理装置において、茹で物運転を実行するとき、調理制御部は、沸騰工程により、水が入れられた調理容器を加熱し、沸騰検知手段により前記調理容器内の水の沸騰を検知する。次に、使用者が調理容器内の水が沸騰した後に調理容器内へ被調理物を投入すると、該調理容器内の水の温度が低下し、沸騰時に水蒸気の発生に伴って発生していた沸騰音が一時的に消えたり弱まったりする。そこで、調理制御部は、水の沸騰が検知された後に、被調理物投入認識工程により、音検知手段により検知された音の変化によって、前記調理容器内への被調理物の投入を認識する。そして、調理容器内への被調理物の投入が認識された後に、茹で工程により、加熱部の加熱力を調節しながら調理容器内の被調理物を加熱する茹で物制御を実行する。
【0009】
このように、本発明の加熱調理装置では、使用者が、調理容器内の水が沸騰した後に調理容器内へ被調理物を投入すると、音検知手段により検知される音の変化を判別して調理容器内への被調理物の投入が認識されて、茹で物制御が実行される。これにより、使用者が調理容器内への被調理物の投入完了を調理制御部に指示する操作を行うことなく、調理制御部により茹で物制御を実行することができる。
【0010】
したがって、本発明の加熱調理装置によれば、調理容器に被調理物が投入されたときに、茹で物制御を確実に実行することができる。
【0011】
また、本発明の加熱調理装置において、使用者による操作に応じて、前記茹で工程の開始を指示する茹で開始指示部を備え、前記調理制御部は、前記沸騰工程において、前記調理容器内の水の沸騰が検知された後に、前記茹で開始指示部により前記茹で工程の開始が指示された時、又は前記被調理物投入認識工程により前記調理容器への被調理物の投入が認識された時に、前記茹で工程を実行することが好ましい。
この構成によれば、使用者は、調理容器に被調理物を投入して茹で開始指示部により茹で物工程の開始を指示することによって、茹で物調理を開始することができる。また、使用者が調理容器に被調理物を投入したが、茹で開始指示部による茹で物工程の開始を指示することを忘れても、被調理物投入認識工程により調理容器への被調理物の投入が認識されたとき時に、茹で工程が確実に実行される。
また、本発明の加熱調理装置において、前記調理制御部は、前記沸騰工程において前記調理容器内の水の沸騰を検知した後も、前記被調理物投入認識工程において前記調理容器内への被調理物の投入を認識するまでの間は、前記調理容器内の水が沸騰した状態が維持されるように前記加熱部の加熱力を調節することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、前記調理制御部は、前記沸騰工程において前記調理容器内の水の沸騰を検知した後から、前記被調理物投入認識工程において前記調理容器内への被調理物の投入を認識するまでの間、前記調理容器内の水の沸騰状態を維持し、前記加熱部付近で発生する音の音量が大きい状態を維持することができる。これにより、前記音検知手段により検知される音の変化を判別し易くすることができる。
【0013】
また、本発明の加熱調理装置は、前記被調理物投入認識工程において、前記音検知手段により検知された音の変化を判別するとしているが、この判別を行うための構成として、例えば、前記音検知手段により検知される音を録音する録音手段をさらに備え、前記録音手段は、前記沸騰工程において前記沸騰検知手段により前記調理容器内の水の沸騰を検知したときに、前記音検知手段により検知された音を録音し、前記被調理物投入認識工程は、前記音検知手段により検知された音が前記録音手段により録音された音から変化したことを判別して、前記調理容器内への被調理物の投入を認識するものとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、前記被調理物投入認識工程において、被調理物投入前後の音の変化を容易且つ確実に判別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の加熱調理装置であるガスコンロの実施形態について、
図1〜
図5を参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態のガスコンロ1は、例えばビルトインタイプであり、コンロ本体の天面に設けられた3個のコンロバーナ4(4L,4B,4R)と、コンロ本体に内蔵されたグリル5とを備えている。
【0017】
3個のコンロバーナ4のうちの2個はコンロ本体の前側の左右に配置され、残りの1個はコンロ本体の後側に配置されている。また、グリル5は、庫内の上下に配置されたグリルバーナ6a,6bを備えている。
【0018】
各コンロバーナ4の中心部には、五徳(図示しない)に載置される調理容器の温度を検出する温度センサ8が設けられている。各温度センサ8は、五徳に調理容器が載置されたときに調理容器に当接するように、図示しないバネにより上方に付勢されており、調理容器の底部の検出温度を示す温度検出信号を出力する。
【0019】
ここで、各温度センサ8は、調理容器内の被加熱部の温度を間接的に検出するものであるが、調理容器内の被加熱物の温度を直接的に検出する温度センサを採用してもよい。
【0020】
なお、以下の説明では、3個のコンロバーナ4のうち、左側に配置されたコンロバーナ4を左コンロ4L、右側に配置されたコンロバーナ4を右コンロ4R、後側に配置されたコンロバーナ4を後コンロ4Bともいう。
【0021】
また、左コンロ4Lに関連する構成要素の参照符号に“L”を付加し、右コンロ4Rに関連する構成要素の参照符号に“R”を付加し、後コンロ4Bに関連する構成要素の参照符号に“B”を付加し、グリル5に関連する構成要素の参照符合に“G”を付加する。例えば、“温度センサ8L”と表記した場合は、この温度センサ8Lが左コンロ4Lに対応した温度センサであることを示している。
【0022】
コンロ本体の前面には、左コンロ4L用の点火・消火ボタン10L、右コンロ4R用の点火・消火ボタン10R、後コンロ4B用の点火・消火ボタン10B、及び、グリル5用の点火・消火ボタン11が配置されている。
【0023】
コンロ用の点火・消火ボタン10L,10B,10Rは、いずれも押し操作と回転操作が可能な操作子であり、押し操作は対応するコンロバーナ4の点火又は消火を行うための操作である。また、回転操作は対応するコンロバーナ4の火力調節(コンロバーナ4への燃料ガスの供給流量の調節)を行うための操作である。
【0024】
同様に、グリル用の点火・消火ボタン11も、押し操作と回転操作が可能な操作子であり、回転操作はグリルバーナ6a,6bの火力調節(グリルバーナ6a,6bへの燃料ガスの供給量の調節)を行うための操作である。
【0025】
さらに、本体の前面には、操作パネル12と、表示パネル13が設けられている。
図2(a)を参照して、操作パネル12は、ガスコンロ1の使用者が、コンロバーナ4を用い
た自動調理(各種調理モードによる一連の調理運転)等に関する設定を行なうための操作パネルである。
【0026】
操作パネル12は、左コンロ4L用の操作部14L、後コンロ4B用の操作部14B、及び右コンロ4R用の操作部14Rを備えている。なお、グリル5の操作部については図示及び説明を省略する。
【0027】
操作部14L,14Rには、自動調理の調理モードとして用意されている「湯沸かしモード」、「茹で物モード」、「麺茹でモード」、及び「麺茹で大モード」の選択を指示するための湯沸かしスイッチ60、タイマ時間(加熱調理の実行時間)の設定を指示するためのタイマスイッチ61、被調理物の温度を設定するための温度設定スイッチ62、タイマ時間と温度設定の変更を指示するためのUPスイッチ63とDOWNスイッチ64、及び温度センサ8L,8Rによる調理容器の有無の検知の解除を指示するための解除スイッチ65を備えている。
【0028】
「湯沸かしモード」は、水が入れられた調理容器を加熱し、水の沸騰後に自動で保温・消火するモードである。「茹で物モード」は、水と根菜類等の被調理物とが入れられた調理容器を加熱し、水の沸騰状態が維持されるように加熱力を調節するモードである。「麺茹でモード」は、水が入れられた調理容器を加熱し、水の沸騰後にそば、うどん、パスタ等の麺類等の被調理物を調理容器に投入し、吹き零れを抑制しつつ沸騰状態が維持されるように加熱力を調節するモードである。「麺茹で大モード」は、調理容器のサイズに応じて設定される加熱量(火力及び加熱時間)が大きい以外は、麺茹でモードと同一である。
【0029】
解除スイッチ65は、あぶり調理のように調理容器を使用しない調理や、炒め調理のように鍋を振るう調理をするときに、温度センサ8L,8Rによる調理容器の有無検知を禁止するためのものである。なお、温度センサ8L,8Rによる調理容器の有無検知が禁止されていない通常の状態では、調理容器が検知されていない状態での左コンロ4L,右コンロ4Rの点火が禁止される。
【0030】
操作部14Bは、「炊飯モード」の選択を指示するための炊飯スイッチ70と、タイマ時間(加熱調理の実行時間)の設定を指示するためのタイマスイッチ71と、タイマ時間の変更等を指示するためのUPスイッチ72及びDOWNスイッチ73とを備えている。
【0031】
次に、
図2(b)を参照して、表示パネル13は、操作パネル12による左コンロ4L、右コンロ4R、後コンロ4B、及びグリル5の設定状況を表示する。
【0032】
表示パネル13は、操作パネル12による設定操作がなされている対象について拡大表示をする。
図2(b)は、左コンロ4Lの設定操作がなされている状態を示しており、左コンロ4Lの調理モードの選択状況を示す調理モード表示部80と、調理タイマの設定時間(タイマ時間)を示すタイマ表示部81が表示されている。
図2(b)では、調理モードとして「麺茹でモード」が選択され、タイマ時間が5分に設定された状態を示している。
【0033】
図1を参照して、ガスコンロ1は、左コンロ4L、後コンロ4B、及び右コンロ4Rに、それぞれ燃料ガスを供給するガス供給路31(31L,31B,31R)と、グリルバーナ6a,6bに燃料ガスを供給するガス供給路32と、ガスコンロ1の作動を制御するコントロールユニット50とを、コンロ本体の内部に備えている。
【0034】
ガス供給路31,32は、外部から燃料ガスが供給されるメインガス供給路33から分岐しており、メインガス供給路33のガス供給路31,32への分岐箇所の上流側には、メインガス供給路33を開閉する元電磁弁36が設けられている。
【0035】
ガス供給路31Lには、ガス供給路31Lを開閉する電磁弁34Lとガス供給路31Lを流通する燃料ガスの流量を調節する流量調節弁35Lとが設けられている。同様に、ガス供給路31Bには電磁弁34Bと流量調節弁35Bが設けられ、ガス供給路31Rには電磁弁34Rと流量調節弁35Rが設けられ、ガス供給路32には電磁弁34Gと流量調節弁35Gが設けられている。
【0036】
また、左コンロ4Lに点火するための点火電極40L、後コンロ4Bに点火するための点火電極40B、右コンロ4Rに点火するための点火電極40R、及びグリルバーナ6a,6bに点火するための点火電極41a,41bが設けられている。
【0037】
また、左コンロ4Lの燃焼状態を検出する熱電対42L、後コンロ4Bの燃焼状態を検出する熱電対42B、右コンロ4Rの燃焼炎の温度を検出する熱電対42R、及びグリル5の燃焼状態を検出する熱電対43a,43bが設けられている。
【0038】
さらに、左コンロ4L付近で発生する音を検知するマイク44L、及び右コンロ4R付近で発生する音を検知するマイク44Rが設けられている。マイク44L,44Rは、図示しない天板に穿設された孔部内に収容されて天板上に突出しないことが好ましい。
【0039】
コントロールユニット50は、図示しないCPU,メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたガスコンロ1の制御用プログラムを実行することによって、ガスコンロ1の作動を制御する機能を果し、調理制御部51及び録音部52として機能する。
【0040】
コントロールユニット50には、コンロ4R,4B,4L用の点火・消火ボタン10L,10B,10Rの操作信号、グリル5用の点火・消火ボタン11の操作信号、操作パネル12の操作信号、温度センサ8L,8B,8Rの温度検出信号、熱電対42L,42B,42R,43a,43bの温度検出信号、及びマイク44L,44Rの音検出信号等が入力される。
【0041】
また、コントロールユニット50から出力される制御信号によって、電磁弁34L,34B,34R,34G、流量調節弁35L,35B,35R,35G、元電磁弁36、点火電極40L,40B,40R,41a,41b、及び表示パネル13等の作動が制御される。
【0042】
調理制御部51は、点火・消火ボタン10L,10B,10R,11の操作信号と、操作パネル12の操作信号とに基づいて、コンロ4R,4B,4Lとグリル5の調理運転を実行する。
【0043】
調理制御部51は、マイク44L,44Rにより検知された音の変化を判別して、調理容器内への被調理物の投入を認識する。調理制御部51による被調理物投入の認識処理の詳細については、後述する。録音部52は、マイク44L,44Rにより検知された音を録音する。
【0044】
次に、
図3〜5に示したフローチャートに従って、主として調理制御部51により実行される左コンロ4Lの麺茹でモードによる調理運転(自動調理運転)の処理について説明する。なお、右コンロ4Rの麺茹でモードによる調理運転の処理も同様に実行される。
【0045】
使用者は、麺茹でモードによる調理運転を行おうとするときには、調理容器(鍋等)に水を入れて左コンロ4Lの五徳に載置し、操作パネル12(
図2(a)参照)の左コンロ4L用の操作部14Lの湯沸かしスイッチ60を操作して、調理モードを選択する。
【0046】
[1.調理モードの選択]
図3は、左コンロ4Lの調理モードを選択する処理であり、STEP1で、湯沸かしスイッチ60がONになった(使用者が湯沸かしスイッチ60を操作した)ときにSTEP2に進み、調理制御部51は、左コンロ4Lの調理モードを「湯沸かしモード」に設定してSTEP3に進む。
【0047】
STEP3で、調理制御部51は、湯沸かしスイッチ60がONしたか否かを判断する。そして、湯沸かしスイッチ60がONしたときにSTEP4に進み、調理制御部51は、左コンロ4Lの調理モードを「茹で物モード」に設定してSTEP5に進む。
【0048】
一方、STEP3で湯沸かしスイッチ60がONしていないときに調理制御部51は、「湯沸かしモード」による加熱調理の開始操作の有無を判断する。
【0049】
STEP5で、調理制御部51は、湯沸かしスイッチ60がONしたか否かを判断する。そして、湯沸かしスイッチ60がONしたときはSTEP6に進み、調理制御部51は、左コンロ4Lの調理モードを「麺茹でモード」に設定してSTEP7に進む。
【0050】
一方、STEP5で湯沸かしスイッチ60がONしていないときには、調理制御部51は、「茹で物モード」による加熱調理の開始操作の有無を判断する。
【0051】
STEP7で、調理制御部51は、湯沸かしスイッチ60がONしたか否かを判断する。そして、湯沸かしスイッチ60がONしたときはSTEP8に進み、調理制御部51は、左コンロ4Lの調理モードを「麺茹で大モード」に設定してSTEP9に進む。
【0052】
一方、STEP7で湯沸かしスイッチ60がONしていないときには
図4のSTEP20に分岐し、調理制御部51は「麺茹でモード」による加熱調理の開始操作の有無を判断する。
【0053】
STEP9で、調理制御部51は、湯沸かしスイッチ60がONしたか否かを判断する。そして、湯沸かしスイッチ60がONしたときはSTEP10に進み、調理制御部51は、調理モードの設定を解除して調理モードの設定待機状態とし、STEP1に戻る。
【0054】
一方、STEP9で湯沸かしスイッチ60がONしていないときには、調理制御部51は、「麺茹で大モード」による加熱調理の開始操作の有無を判断する。
【0055】
[2.麺茹でモード]
図4のSTEP20〜STEP24、及びSTEP30〜STEP31は、「麺茹でモード」による調理運転の処理である。
【0056】
調理制御部51は、
図4のSTEP20で、調理タイマの初期時間(例えば5分)を、表示パネル13のタイマ表示部81に表示する。続くSTEP21で、調理制御部51は、左コンロ4L用の操作部14LのUPスイッチ63又はDOWNスイッチ64によるタイマ時間の変更操作があったか否かを判断する。
【0057】
そして、タイマ時間の変更操作があったときはSTEP22に進み、調理制御部51は、UPスイッチ63又はDOWNスイッチ64の操作に応じてタイマ時間をセットする。次のSTEP23で左コンロ4Lの点火・消火ボタン10LがONしたときにSTEP24に進み、調理制御部51は、「麺茹でモード」(タイマ時間のセット有り)による調理運転を開始する。
【0058】
一方、STEP21でタイマ時間の変更操作がなかったときにはSTEP30に分岐し、左コンロ4Lの点火・消火ボタン10LがONしたときにSTEP31に進んで、調理制御部51は、初期時間をタイマ時間として「麺茹でモード」(初期時間)による調理運転を開始する。また、STEP30で左コンロ4Lの点火・消火ボタン10LがONしていないときには、
図3のSTEP7に戻る。
【0059】
[3.麺茹でモードによる調理運転]
次に、
図5のフローチャートに従って、「麺茹でモード」による調理運転の詳細について説明する。なお、「麺茹でモード」による調理運転と「麺茹で大モード」による調理運転は、左コンロ4Lによる加熱量(火力及び加熱時間)の設定が異なる点以外は同様の手順で実行される。
【0060】
図5のSTEP40で、調理制御部51は、左コンロ4Lの点火処理を行って調理容器としての鍋WL内の水の加熱を開始する。
【0061】
次のSTEP41で、調理制御部51は、温度センサ8Lの検出温度により鍋WL内の水が沸騰するのを待つ。調理制御部51は、STEP41で温度センサ8Lにより沸騰を検知したときにSTEP42に進み、STEP42でブザー音及び音声により水が沸騰したことを使用者に報知する。STEP40〜STEP41の処理は、本発明の沸騰工程に相当する。また、温度センサ8Lは、本発明の沸騰検知手段に相当する。
【0062】
調理容器に入れられた水が加熱されて沸騰に至る過程で、水蒸気の発生に伴って鍋WLから「ブクブク」、「グツグツ」等といった音(沸騰音)が発生する。次のSTEP43で、調理制御部51は、左コンロ4L付近で発生する音を、マイク44Lにより第1沸騰音として検知し、STEP44で、第1沸騰音を録音部52に録音する。そして、次のSTEP45で、調理制御部51は、左コンロ4L付近で発生する音を、マイク44Lにより第2沸騰音として検知する。
【0063】
鍋WL内の水が沸騰したことを認識した使用者が、鍋WLに麺を投入してタイマスイッチ61を操作することにより、麺茹で調理が開始される。すなわち、STEP46でタイマスイッチ61が操作されたときにSTEP47に進む。そして、使用者が鍋WLに麺を投入したとき、鍋WL内の水の温度が低下し、前記沸騰音が一時的に消えたり弱まったりする。
【0064】
STEP47で、調理制御部51は、調理タイマのカウントダウンを開始し、続くSTEP48で、沸騰検知時からZ秒(例えば10秒)が経過した時にSTEP49に進んで麺茹で工程を実行する。STEP49で、調理制御部51は、鍋WL内の水が沸騰した状態が維持されるように、左コンロ44の加熱力を調節しながら、鍋WL内の麺を加熱する。
【0065】
また、調理制御部51は、STEP47で調理タイマをスタートさせたときに、STEP48〜STEP49の処理と並行してSTEP50の処理を実行する。そして、STEP50で調理タイマがタイムアップしたときにSTEP51に進み、調理制御部51は、左コンロ4Lを消火する。
【0066】
一方、前記STEP46で、タイマスイッチ61が操作されていないときには、STEP60に進む。この場合は、使用者が麺を投入したことを忘れているか又はタイマスイッチ61の操作を忘れていると想定される。
【0067】
STEP60では、調理制御部51が、録音部52に録音された第1沸騰音と、マイク44Lで検知された第2沸騰音とを比較し、第2沸騰音が第1沸騰音から変化していると判別した場合には、鍋WLに麺が投入されたと認識し、STEP47に進む。また、STEP60で、調理制御部51が、第2沸騰音が第1沸騰音から変化していないと判別した場合には、STEP61に進む。
【0068】
STEP60の処理は、本発明の被調理物投入認識工程に相当する。また、STEP60の次にSTEP47に進み、その後行われるSTEP49は、本発明の茹で工程に相当する。STEP60において、調理制御部51による第2沸騰音が第1沸騰音から変化しているか否かの判別は、例えば、音量を比較したり、特定の周波数域の音の有無を比較することにより行うことができる。
【0069】
STEP61では、沸騰検知時点から10分が経過したときはSTEP62に進み、調理制御部51は左コンロ4Lを消火する。また、STEP46で、沸騰検知時点から経過時間が10分未満の場合にはSTEP63に進み、鍋WL内の水の沸騰状態が維持されるように左コンロ4Lの加熱力を調節し、STEP45に進む。
【0070】
本実施形態の加熱調理装置1によれば、調理制御部51によって、麺の投入によって生じる沸騰音の変化を判別することにより、鍋WL内に麺を投入した後にタイマスイッチ61を操作し忘れた場合であっても、吹き零れを抑制するように左コンロLの加熱力を制御する麺茹で工程を確実に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態の加熱調理装置1では、沸騰が検知された後も沸騰音の変化が判別されるまでの間は、鍋WL内の水が沸騰した状態が維持されるように左コンロ4Lの加熱力が調節される。これにより、沸騰音の音量が大きい状態を維持することができ、マイク44Lにより検知される沸騰音の変化を判別し易くすることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、本発明の加熱調理装置としてガスコンロを示したが、電気コンロ等の他の種類の加熱調理装置に対しても、本発明の適用が可能である。
【0073】
また、本実施形態では、本発明の沸騰検知手段として温度センサ8を用いているが、マイク44を沸騰検知手段として用い、水の沸騰による沸騰音を検知するようにしてもよい。