(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る集約装置、集約方法及び集約プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る集約装置、集約方法及び集約プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.集約処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る集約処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る集約処理の一例を示す図である。
図1では、本願に係る集約装置に対応する広告装置100によって、施設において提供される第1コンテンツの編成に係る情報であって、第1コンテンツとともに提供される第2コンテンツの提供のために設けられる枠に関する情報を含む編成情報を集約する集約処理が行われる例を示す。なお、以下では、施設として映画館を例に挙げ、施設で提供される第1コンテンツとして映画を例に挙げ、映画とともに提供される第2コンテンツとして広告コンテンツを例に挙げて説明する。
【0012】
図1に示す例において、広告装置100は、映画館での広告コンテンツの提供に関する情報を集約するサーバ装置である。具体的には、広告装置100は、映画館で上映される映画の編成に係る情報を映画館から受信するとともに、映画毎に設けられる広告コンテンツを提供させるための枠(以下、「広告枠」と表記する)に関する情報について受け付ける。そして、広告装置100は、受け付けた情報に基づいて、映画館での広告コンテンツの提供に係る情報を所定の項目毎に集約する。以下、広告装置100が行う集約処理について、
図1の例を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、映画館TH1には、映画館装置20
1が備えられる。映画館装置20
1は、映画館TH1における映画の編成に係る情報等を保持する情報処理装置であって、例えば、映画館TH1の管理者によって操作される。映画館TH1で上映される映画には、本編の前に広告コンテンツが上映されるための数分間の時間が設けられる。そして、広告枠は、かかる時間を広告コンテンツの提供に適切な時間で分割された形態で設けられる。例えば、5分間の時間が広告コンテンツの提供のために設けられている場合、広告枠は、60秒単位で5つに分割された形態で設けられる。
【0014】
図1の例では、映画館装置20
1は、所定期間における編成情報である編成情報データ201を保持する。編成情報データ201は、映画館TH1が備える上映場所であるスクリーンSC11にて「2014年5月10日〜16日」の間に本編タイトル「M1」である映画が「50回」上映されることを示している。そして、50回の上映に基づいて、広告枠が「250枠」設けられている。なお、上映期間2014年5月10日から16日において、スクリーンSC11では「10000人」の動員が見込めることが予測されていることを示している。また、映画館TH1においては、かかる広告枠での観客一人あたりへの広告コンテンツの提供の対価である動員単価として「300円」が設定されていることを示している。
【0015】
広告装置100は、
図1に示すような、映画館TH1における広告枠の情報を含む映画の編成に係る情報である編成情報データ201が示す情報を映画館装置20
1から受け付ける(ステップS10)。同様に、広告装置100は、映画館TH2に備えられる映画館装置20
2から、映画館装置20
2が保持する編成情報データ202が示す情報を受け付ける。同様に、広告装置100は、映画館TH3に備えられる映画館装置20
3から、映画館装置20
3が保持する編成情報データ203が示す情報を受け付ける。なお、以下では、映画館装置20
1、20
2及び20
3を区別する必要がない場合には、これらを総称して「映画館装置20」と表記する場合がある。
【0016】
また、
図1での図示は省略しているが、広告装置100は、所定期間の上映数や広告枠の数に関する情報のみならず、映画が映画館で上映される1日毎の日程など個々の上映に係る編成情報についても映画館装置20
1、20
2及び20
3から受け付ける。また、広告装置100は、予め映画館が所在する地域や、映画館の観客収容数や、映画館が備えるスクリーン数や、スクリーン毎の座席数など、施設としての映画館の情報については保持しているか、もしくは適宜受信するものとする。同様に、広告装置100は、映画に関する情報として、例えば、映画の制作者や、映画の出演者や、映画が制作された国名などに関する情報についても保持しているか、もしくは適宜受信するものとする。
【0017】
そして、広告装置100は、受け付けた映画館における映画の編成情報等における所定の項目毎に集約した情報である集約情報を作成する(ステップS11)。かかる集約情報の一例としては、映画の本編タイトルや、映画館の所在地域などの項目をデータベース形式で表示するデータファイルが挙げられる。すなわち、広告装置100は、映画館装置20
1、20
2及び20
3から受け付けた本編タイトルM1に係る映画毎に、上映回数や、広告枠数についての情報や、予測動員数や、動員単価などの情報を集約する。
【0018】
さらに、広告装置100は、本編タイトルM1に係る映画が上映される映画館の所在地域を関東、近畿、九州等などの地域に区分けすることで、
図1に示すような集約情報DB01を作成する。また、広告装置100は、本編タイトルM2の映画毎に情報を集約し、集約情報DB02を作成する。また、広告装置100は、本編タイトルM3の映画毎に情報を集約し、集約情報DB03を作成する。この場合、広告装置100は、動員単価の項目に関しては、集約に係る映画館毎の動員単価の平均値を採用してもよいし、各々の映画館が設定した動員単価に基づいて広告装置100が適宜算出してもよい。
【0019】
そして、広告装置100は、作成した集約情報DB01〜DB03を映画館TH1に提供する(ステップS12)。具体的には、広告装置100は、作成した集約情報DB01〜DB03を映画館装置20
1に送信することで、集約情報DB01〜DB03に係る情報を映画館TH1側に提供する。例えば、広告装置100は、映画館装置20
1からの求めに応じて、集約情報DB01〜03を映画館TH1側に提供する。これにより、映画館TH1側は、映画館装置20
1から広告装置100に送信した情報と、広告装置100が集約した情報との差異を把握できる。また、広告装置100は、映画館TH1側の求めに応じて、映画館装置20
1から受け付けた情報と集約情報DB01〜03との比較を示す情報である比較情報を映画館TH1側に提供することもできる。
【0020】
また、広告装置100は、作成した集約情報DB01〜DB03を映画館で広告コンテンツを提供させることを所望する広告主に提供する(ステップS13)。具体的には、広告装置100は、作成した集約情報DB01〜DB03を広告主により操作される情報処理端末である広告主装置10に送信する。これにより、広告装置100は、集約情報DB01〜DB03に係る情報を広告主に提供する。
【0021】
そして、広告装置100は、広告主からの求めに応じて、さらに異なる集約情報を広告主に提供することもできる。すなわち、広告装置100は、広告主から、情報の集約に用いる項目についての指定を受け付ける。そして、広告装置100は、受け付けた項目毎に、新たな集約情報を作成する。そして、広告装置100は、新たに作成した集約情報を広告主に提供する。このような項目の指定及び集約情報の提供は、例えば、広告装置100が提供するウェブページ上で行われてもよい。すなわち、広告装置100が提供するウェブページにおいて広告主端末10から所定の項目の指定の入力を受け付けることにより、広告装置100は、新たな集約情報を広告主端末10に送信する。
【0022】
続いて、広告装置100は、上記のように集約情報DB01〜03等を提示した上で、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の販売サービスを広告主に提供する。ここで、映画館での広告コンテンツの提供に関する権利の販売サービスとは、映画館における任意の広告枠で広告コンテンツを提供させるための権利を広告主に販売することを意味する。すなわち、広告主は、かかる権利を購入することにより、取得した権利に対応する広告枠で広告コンテンツを提供させることができる。なお、以下では、「広告枠」といった表記は、かかる広告枠で広告コンテンツを提供させるための権利についての概念を含む場合がある。例えば、所定の広告枠で広告コンテンツを提供させるための権利を広告主に販売することを、「広告枠を販売する」と表記することがある。
【0023】
そして、広告装置100は、広告主端末10から、かかる権利の購入要求を受け付ける(ステップS14)。例えば、広告装置100は、集約情報DB01〜03を参照した広告主から、関東地域に所在する映画館において上映される本編タイトルM1の映画に係る1000個の広告枠で広告コンテンツを配信させる権利を購入する旨を受け付ける。広告装置100は、広告主からの購入要求を受け付けた場合には、かかる広告主を映画館で広告コンテンツを提供させる権利の購入者として決定した旨を通知する。
【0024】
また、広告装置100は、実際に広告コンテンツが映画館で提供された際の動員数や、映画館毎の売上等の実績についても映画館装置20
1、20
2及び20
3から受け付ける。そして、広告装置100は、かかる実績に関する情報についても、集約する項目の一つとして取り扱う。
【0025】
このように、実施形態に係る広告装置100は、映画館における映画の編成に関する情報であって、映画とともに提供される広告コンテンツに関する情報を含む編成情報を受け付ける。また、実施形態に係る広告装置100は、受け付けた編成情報と映画館に関する情報とを所定の項目毎に集約する。そして、実施形態に係る広告装置100は、かかる集約情報を提示し、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の販売サービスを提供する。
【0026】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、広告配信に関する情報を一元化し活用することができる。すなわち、実施形態に係る広告装置100によれば、広告主は、個々の映画館から映画の編成に関する情報を取得することを要することなく、提示された集約された情報を参照して、映画館で広告コンテンツを提供させる権利を購入することができる。言い換えれば、広告主は、映画館での広告コンテンツの提供に関して、映画館の入札情報を適宜取得したり、上映場所ごとに広告コンテンツを入稿したりといった煩雑な作業を行うことを要しない。このため、実施形態に係る広告装置100によれば、広告主の広告配信にかかる作業を容易化し広告主の負担を軽減させることができるので、映画館での広告コンテンツの提供に関するインセンティブを広告主に与えることができる。
【0027】
また、実施形態に係る広告装置100によれば、映画館側は、個々の広告枠を広告主毎に販売するような手間を要さずに、映画館で広告コンテンツを提供させる権利を広告主に販売させることができる。また、実施形態に係る広告装置100は、各映画館から受け付けた情報を集約した情報を映画館側に提供することもできる。これにより、映画館側は、他の映画館との上映回数や、予測動員数や、動員単価などを比較することができる。このため、映画館側は、映画の編成や、動員単価などを適切に調整し得る。この結果、実施形態に係る広告装置100によれば、映画館側は、広告枠を効率よく販売することで広告収益を上げることができる。
【0028】
なお、上記実施形態では、映画の本編上映前に広告が提供される例を示した。このように、第1コンテンツとともに提供される第2コンテンツとは、映画本編が上映される際に、本編前に提供される広告コンテンツや映画の予告編などを意味する。また、かかる第2コンテンツには、本編である第1コンテンツにオーバーレイのように重ねて提供されるようなものも含まれるものとする。すなわち、第2コンテンツは、上記実施形態のように本編前に設けられる広告枠で提供されるとは限られず、本編である第1コンテンツに重ねて提供される場合もありうる。この場合、広告枠に関する情報には、第2コンテンツは本編である第1コンテンツに重ねて提供される旨の情報が含まれることがある。また、上述した映画館での広告コンテンツの提供に関する権利には、広告枠で広告コンテンツを提供する権利のみならず、本編である第1コンテンツにオーバーレイする権利を含む。
【0029】
また、
図1での図示は省略しているが、広告装置100は、映画館TH1、TH2及びTH3以外の映画館からも適宜情報を取得する。また、映画館TH1、TH2及びTH3に備えられるスクリーンは、
図1に図示した数に限られず、さらに多くのスクリーンを備えていてもよい。
【0030】
〔2.集約処理システムの構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る集約処理システム1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る集約処理システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、集約処理システム1には、広告主端末10と、映画館装置20と、広告装置100とが含まれる。広告主端末10、映画館装置20、及び広告装置100は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、
図2に示した集約処理システム1には、複数台の広告主端末10や、複数台の映画館装置20が含まれてもよい。
【0031】
広告主端末10は、映画館で広告コンテンツを提供させることを所望する広告主によって利用される情報処理装置である。具体的には、広告主端末10は、広告主による操作に従って、映画館での広告配信に関する情報を広告装置100から取得したり、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の購入要求を広告装置100に送信したりする。
【0032】
なお、広告主は、広告主端末10を用いて、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の購入要求を広告装置100に送信せずに、かかる購入要求を代理店に依頼する場合もある。この場合、かかる購入要求を広告装置100に行うのは代理店となる。以下では、「広告主」といった表記は、広告主だけでなく代理店を含む概念であり、「広告主端末」といった表記は、広告主端末だけでなく代理店によって利用される代理店装置を含む概念であるものとする。
【0033】
映画館装置20は、映画館の管理者によって利用される情報処理装置である。かかる映画館装置20は、例えば、広告枠に関する情報を広告装置100に送信したり、広告装置100が集約する集約情報を受信したりする。また、映画館装置20は、映画の上映に係る編成情報の管理や、広告装置100を介して配信処理がされる広告コンテンツについて映画館で提供するための処理等を行う。
【0034】
広告主端末10や、映画館装置20は、例えば、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット型端末や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。以下では、「広告主」といった表記は、広告主によって操作される「広告主端末10」による処理等も含むものとする。同様に、「映画館」といった表記は、映画館の管理者によって操作される「映画館装置20」による処理等も含むものとする。例えば、「広告主によって指定された」といった表記は、「広告主端末10によって指定された」という概念を含みうるものとする。
【0035】
広告装置100は、上述のように、映画館装置20から送信される広告枠に関する情報やネットワークNを介して取得する情報に基づいて、情報を集約するサーバ装置である。
【0036】
〔3.広告装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る広告装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る広告装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、広告装置100は、通信部110と、映画館情報記憶部121と、集約情報記憶部122と、制御部130とを有する。なお、広告装置100は、広告装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0037】
〔3−1.通信部〕
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。かかる通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、広告主端末10や映画館装置20との間で情報の送受信を行う。
【0038】
〔3−2.記憶部〕
映画館情報記憶部121及び集約情報記憶部122は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図3に示すように、映画館情報記憶部121及び集約情報記憶部122は、種々の情報を記憶するデータテーブルを有する。
【0039】
〔3−3.映画館情報記憶部〕
映画館情報記憶部121は、施設としての映画館の情報や、映画自体の情報や、映画館における映画の編成に関する情報等を記憶する。映画館情報記憶部121は、映画館テーブル121aと、本編テーブル121bと、広告枠テーブル121cと、広告主テーブル121dとを有する。以下、個々のテーブルについて説明する。
【0040】
〔3−3(1).映画館テーブル〕
映画館テーブル121aは、施設としての映画館に関する情報を記憶するテーブルである。具体的には、映画館テーブル121aは、施設としての映画館の情報や、映画館装置20から送信される個々の映画館に関する情報を記憶する。
【0041】
ここで、
図4に、実施形態に係る映画館テーブル121aの一例を示す。
図4は、実施形態に係る映画館テーブル121aの一例を示す図である。
図4に示した例では、映画館テーブル121aは、「映画館」、「所在地」、「スクリーン」、「座席数」、「スクリーン数」、「収容人数」、「昨年度動員数」、「動員単価」といった項目を有する。
【0042】
「映画館」は、映画館の名称を示す。例えば、映画館「TH1」と映画館「TH2」とは異なる映画館の名称を示し、集客力や客層が異なることがある。このため、同じ映画に組み込まれる広告枠であっても、映画館によっては動員単価などに異なる値が設定されることがある。
【0043】
「所在地」は、映画館の所在地を示す。映画館などの施設では、所在地によって集客力が異なることがある。したがって、動員数を予測する処理においては、映画館の所在地の情報が利用されることがある。
【0044】
「スクリーン」は、映画館における、映画を投射できるスクリーンと観客席を備えた上映室を示す。
図4において、映画館「TH1」におけるスクリーン「SC11」とスクリーン「SC12」は異なる上映室を示しており、上映される映画や座席数が異なることがある。
【0045】
「座席数」は、上映場所に備えられた観客席の数であり、観客を収容することのできる数を示す。座席数はスクリーンごとに異なる場合がある。また、「スクリーン数」は、映画館に備えられるスクリーンの合計数である。また、「収容人数」は、映画館の備えるスクリーン毎の座席数の総数である。
【0046】
「昨年度動員数」は、過去一年間における映画館の動員数を示す。過去一年間の起点は、例えば、広告装置100が集約処理を行う日や、広告装置100が集約処理を行う日の所定の日前などの任意の日時である。なお、
図4に図示することは省略したが、映画館テーブル121aには、昨年度動員数のみならず、昨週動員数や、昨月動員数など、異なる期間における動員数が適宜記憶されてよい。
【0047】
「動員単価」は、観客一人あたりの広告コンテンツの提供に対して映画館側が受け取る対価の額を示す。すなわち、映画館側は、広告コンテンツの提供に係る対価として、設定された動員単価と実際の動員数を乗算した金額を受け取る。
図4に示した例では、映画館TH1に設定される動員単価は「300円」であるので、「100人」の観客に対して「1回」広告コンテンツが提供された場合、映画館TH1側は対価として「30000円」を受け取る。なお、動員単価は、映画館側が個別に設定してもよいし、広告装置100が設定してもよい。
【0048】
すなわち、
図4では、映画館「TH1」は「東京都渋谷区」に所在することを示す。また、映画館TH1は複数のスクリーン「SC11、SC12、SC13、・・・」を備え、スクリーンSC11の座席数は「300席」であることを示す。また、映画館TH1には「10」のスクリーンが備えられており、映画館TH1全体の収容人数は「2000人」であることを示す。また、映画館TH1における昨年度動員数は「800000人」であり、動員単価として「300円」が設定されていることを示す。
【0049】
〔3−3(2).本編テーブル〕
本編テーブル121bは、映画館で上映される映画本編に関する情報を記憶するテーブルである。
図5に、実施形態に係る本編テーブル121bの一例を示す。
図5は、実施形態に係る本編テーブル121bの一例を示す図である。
図5に示した例では、本編テーブル121bは、「本編タイトル」、「封切り後経過週数」、「動員実績」、「配給映画館数」、「その他」といった項目を有する。
【0050】
「本編タイトル」は、映画館で上映される映画のタイトルを示す。例えば、本編タイトル「M1」と本編タイトル「M2」とは異なる映画を示す。
【0051】
「封切り後経過週数」は、本編タイトルで示される映画が、封切りされてから経過した週の数を示す。なお、封切り前の映画に関しては、封切り後経過週数の項目の値には「0」が表記される。
【0052】
「動員実績」は、映画が封切りされてから集計に至るまでの期間の、集計対象とされる映画館における動員数の累計を示す。動員実績は、例えば、1日毎に映画館において集計される動員数に関する情報を広告装置100が取得することにより更新される。すなわち、本編テーブル121bは、現在記憶されている動員実績数だけでなく、動員実績の累計過程を含めて記憶しているものとする。なお、動員実績が集計されていない映画については、動員実績の項目の値は空欄となる。
【0053】
「配給映画館数」は、本編タイトルで示される映画が配給されている映画館の数を示す。公開前の人気や観客の需要が高いことが想定される映画については、配給映画館数の値が大きくなるものと想定される。なお、配給映画館数には、現在配給されている数のみならず、配給が予定されている映画館の数も含まれる。
【0054】
「その他」は、上記項目以外の映画本編に関する情報を示す。その他に含まれる情報としては、例えば、映画の出演者や、映画の制作者や、映画が制作された国などのコンテンツとしての情報である。また、映画本編の人気を表す指標として、検索クエリ数などが記憶されてもよい。検索クエリ数は、ネットワークN上に存在する検索サービスを提供するウェブサーバに対して、検索クエリとして本編タイトルなどが入力された数を示す。なお、
図5に図示することは省略したが、その他の項目には、映画の公式ホームページへのアクセス数などの人気を表す指標が適宜記憶されてもよい。
【0055】
すなわち、
図5では、本編タイトル「M1」で示される映画が、封切り後経過週数「1週目」において、動員実績「180000人」であり、配給映画館数は「120館」であることを示す。また、本編タイトル「M1」で示される映画について、出演者などに関するその他の情報が保持されていることを示す。
【0056】
〔3−3(3).広告枠テーブル〕
広告枠テーブル121cは、広告枠に関する情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係る広告枠テーブル121cの一例を示す。
図6は、実施形態に係る広告枠テーブル121cの一例を示す図である。
図6に示した例では、広告枠テーブル121cは、「映画館」、「広告枠ID」、「配信時間」、「本編タイトル」、「スクリーン」、「配信日程」、「予測動員数」といった項目を有する。なお、既に説明した項目についての説明は省略する。
【0057】
「広告枠ID」は、広告枠を識別するための識別情報を示す。例えば、広告装置100は、広告枠ID「C111」によって識別される広告枠で所定の広告コンテンツを提供させることを決定することができる。
【0058】
「配信時間」は、映画館で広告コンテンツを提供させる時間長を示す。
図6の例では、配信時間の単位は秒とする。例えば、広告枠C111には、配信時間として「60秒」が割り当てられていることを示す。
【0059】
「配信日程」は、広告枠で広告コンテンツが観客に提供される日時を示す。
図6に示した例では、配信日程を広告配信の開始時刻として、広告枠順に、指定されたスクリーンにて広告コンテンツが配信される。
【0060】
「予測動員数」は、広告枠に係る映画の上映において予測される動員数を示す。例えば、映画館は、1上映毎の動員数を予測し、予測した動員数と上映を対応させた情報を保持する。広告装置100は、映画館装置20から映画の編成に関する情報を受け付ける際には、かかる予測動員数についても受け付けるものとする。また、映画館が予測動員数に関する情報を保持しない場合には、後述する集約部132は、過去の実績等に基づいて1上映毎の動員数を予測する。そして、集約部132は、予測した動員数に関する情報を、広告枠テーブル121cに記憶させる。
【0061】
すなわち、
図6では、広告枠「C111」が、映画館「TH1」におけるスクリーン「SC11」で上映される本編タイトル「M1」である映画に設けられる広告枠である例を示す。このとき、広告枠「C111」に係る広告コンテンツについて、「2014年5月10日9時00分00秒」から「60秒」間だけ上映されることを示している。また、広告枠「C111」に係る動員数について、「150人」と予測されていることを示している。
【0062】
なお、
図6に図示することは省略したが、広告枠テーブル121cは、広告枠に係る配信日程の経過後には、予測動員数とともに実際の動員数を記憶してもよい。すなわち、広告枠テーブル121cは、実際の動員数を記憶するとともに、予測動員数と実際の動員数との誤差についても記憶する。後述する制御部130の各処理部は、実際の動員数や、実際の動員数と予測動員数との誤差などを各処理に活用することができる。
【0063】
〔3−3(4).広告主テーブル〕
広告主テーブル121dは、映画館で広告コンテンツを提供させる権利を購入した広告主に関する情報を記憶する。ここで、
図7に、実施形態に係る広告主テーブル121dの一例を示す。
図7は、実施形態に係る広告主テーブル121dの一例を示す図である。
図7に示した例では、広告主テーブル121dは、「広告主ID」、「広告コンテンツID」、「配信予定の広告枠」といった項目を有する。
【0064】
「広告主ID」は、広告主又は広告主端末10を識別するための識別情報を示す。また、「広告コンテンツID」は、広告主が映画館で提供を所望する広告コンテンツを識別するための識別情報を示す。ここで、実際に映画館に配信される広告コンテンツは、広告装置100の映画館情報記憶部121に記憶されてもよいし、広告装置100とは別に備えられた広告コンテンツを記憶するストレージサーバに記憶されてもよい。この場合、広告装置100は、広告主テーブル121dに記憶された広告コンテンツIDに基づいて、外部のストレージサーバに記憶された広告コンテンツを特定する。そして、広告装置100は、ストレージサーバに対して、特定された広告コンテンツを映画館に対して配信するよう制御する。
【0065】
「配信予定の広告枠」とは、広告主が提供を所望する広告コンテンツが実際に提供される広告枠を示す。配信予定の広告枠は、広告主の指定する条件や、予測動員数や、映画館における編成情報の変動などによって、リアルタイムに変更されうる。
【0066】
すなわち、
図7では、広告主ID「CL11」によって識別される広告主が、広告コンテンツ「A11」を映画館で提供させることを示す。そして、広告コンテンツA11は、広告枠「C111及びC211」で配信が予定されていることを示す。
【0067】
〔3−4.集約情報記憶部〕
集約情報記憶部122は、後述する集約部132によって集約された情報を記憶する。集約情報記憶部122は、地域テーブル122aと、時間テーブル122bとを有する。以下、個々のテーブルについて説明する。
【0068】
〔3−4(1).地域テーブル〕
地域テーブル122aは、各映画館から受け付けた編成情報について、映画館の所在地域と本編タイトルとの項目によって集約した集約情報を記憶するテーブルである。映画館の所在地域は、上述のように、「関東」、「近畿」、「九州」などの地方毎に区分けされてもよいし、都道府県毎でもよいし、東京23区毎などで区分けされてよい。
【0069】
ここで、
図8に、実施形態に係る地域テーブル122aの一例を示す。
図8は、実施形態に係る地域テーブル122aの一例を示す図である。
図8に示した例では、地域テーブル122aには、集約情報DB01〜03が記憶されている。
【0070】
集約情報DB01は、本編タイトルM1である映画が、「関東」地方において、所定の期間内に、「10000回」上映される予定であり、かかる上映に伴い、「50000」枠の広告枠が設けられていることを示す。また、かかる上映における予測動員数は「150万人」であり、集約された映画館全体における動員単価の平均は「300円」であることを示す。
【0071】
〔3−4(2).時間テーブル〕
時間テーブル122bは、各映画館から受け付けた編成情報について、映画の上映日程と本編タイトルとの項目によって集約した集約情報を記憶するテーブルである。映画の上映日程は、例えば、3時間毎などに区分けされて集約される。
【0072】
ここで、
図9に、実施形態に係る時間テーブル122bの一例を示す。
図9は、実施形態に係る時間テーブル122bの一例を示す図である。
図9に示した例では、時間テーブル122bには、集約情報DB11〜13が記憶されている。
【0073】
集約情報DB11は、本編タイトルM1である映画が、「2014年5月10日9:00〜12:00」の間に、全国で「200回」上映される予定であり、かかる上映に伴い、「1000」枠の広告枠が設けられていることを示す。また、かかる上映における予測動員数は「2万人」であり、集約された映画館全体における動員単価の平均は「250円」であることを示す。
【0074】
なお、上記の集約情報記憶部122内に記憶される地域テーブル122aや時間テーブル122bは、集約情報の一例である。集約情報記憶部122は、さらに異なる項目で集約された集約情報を、適宜記憶する。また、地域テーブル122aや時間テーブル122bの例で示した集約に係る項目は、適宜組み合わされることが可能である。例えば、本編タイトルM1の映画について、所定の地域における所定の時間帯の上映回数や、広告枠の数等の情報について集約された集約情報も作成され得る。かかる集約情報は、例えば、広告主から集約する項目の指定を受け付けた集約部132によって作成される。
【0075】
〔3−5.制御部〕
図3に戻って、制御部130について説明する。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、広告装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(集約プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0076】
図3に示すように、制御部130は、受付部131と、集約部132と、提供部133と、割当部134と、配信部135と、取得部136と、算出部137とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0077】
〔3−5(1).受付部〕
受付部131は、映画館における映画の編成に関する情報であって、映画とともに提供される広告コンテンツに関する情報を含む編成情報を受け付ける。具体的には、実施形態に係る受付部131は、映画館装置20から送信される映画館における編成情報を受信することにより、かかる情報を受け付ける。そして、受付部131は、かかる情報を映画館情報記憶部121内の対応するテーブルに記憶する。
【0078】
受付部131は、編成情報として、広告コンテンツの提供に係る広告枠の数又は広告コンテンツの提供に割り当てられる時間に関する情報を受け付ける。また、受付部131は、映画館で提供される映画の題名である本編タイトルや、映画が上映される上映場所であるスクリーンや、映画が上映される日程、及び、所定期間における映画の上映回数のうち少なくとも一つの情報を受け付ける。また、受付部131は、映画館で予測される動員数である予測動員数に関する情報、又は、広告コンテンツを提供させることで施設が受け取る対価として、例えば動員単価に関する情報を受け付ける。なお、受付部131は、上記のような編成情報のうち、全てを同時に受け付けることを要しない。すなわち、受付部131は、編成情報について随時受け付けることができる。
【0079】
また、受付部131は、映画館に関する情報についての変更などの情報についても受け付ける。例えば、受付部131は、映画館装置20から映画館における映画の上映日程の変更などの情報を受け付ける。この場合、受付部131は、かかる変更に基づいて記憶部120に記憶された情報を更新する。
【0080】
また、受付部131は、編成情報とともに、映画館において催される宣伝活動に関する情報を受け付けてもよい。例えば、受付部131は、映画館が企画する割引キャンペーンや、映画の公開に伴うイベント情報などを受け付ける。また、受付部131は、映画館において曜日や祝日によって広告枠に設定される価格が変わることがある場合(例えば、休日には広告枠に設定される価格が上がる場合など)には、かかる価格の情報についても受け付ける。
【0081】
また、受付部131は、映画の人気度の指標に関する情報を受け付けてもよい。具体的には、受付部131は、検索サービスを提供するウェブサーバから映画に関する検索クエリの数を受け付ける。すなわち、受付部131は、検索サービスを提供するウェブサーバにアクセスすることで、映画タイトルそのものや、映画に関係する制作者、出演者などの名称に関する検索クエリ数を受け付ける。なお、受付部131は、検索サービスを提供するウェブサーバに限られず、ネットワークN上の所定のウェブサーバから映画の人気度の指標に関する情報を受け付けてもよい。例えば、受付部131は、所定の映画の公式ホームページへのアクセス数などの情報を受け付ける。
【0082】
〔3−5(2).集約部〕
集約部132は、編成情報と映画館に関する情報とを所定の項目毎に集約する。具体的には、実施形態に係る集約部132は、編成情報として映画の上映日程や、広告枠に関する情報等と、施設としての映画館に関する情報とを項目毎に集約する。そして、集約部132は、所定の情報を集約した集約情報を集約情報記憶部122の各テーブルに適宜記憶する。
【0083】
集約部132は、集約する所定の項目として、映画館が所在する地域、映画館で提供される映画の本編タイトル、映画が上映される日程、及び、所定期間における映画の上映回数のうち少なくとも一つの情報を用いて集約する。また、集約部132は、集約する所定の項目を適宜組み合わせることができる。
【0084】
また、集約部132は、後述する提供部133が提供する販売サービスにおいて、広告主から指定された項目毎に編成情報と映画館に関する情報とを集約する。すなわち、集約部132は、映画館における広告コンテンツの提供に際して広告主が要望する情報を集約する。具体的には、集約部132は、所定の地域に所在する映画館で広告コンテンツを提供させることを所望する広告主の指定に応じて、地域毎の映画の上映回数や広告枠に関する情報を集約する。例えば、集約部132は、広告主から「東京都」として指定を受けた場合、保持する編成情報や映画館に関する情報などを「東京都」毎に集約する。すなわち、集約部132は、「東京都」に所在する映画館における映画の上映回数や、広告枠数などの情報を集約する。
【0085】
また、集約部132は、映画館側から指定された項目毎に編成情報と映画館に関する情報とを集約する。すなわち、集約部132は、映画館側からの求めに応じて、映画館が所望する情報を提供するために、映画館側から指定された項目によって情報を集約する。また、集約部132は、集約情報と、映画館から受け付けた編成情報との比較を示す情報である比較情報を作成してもよい。具体的には、集約部132は、所定の映画館側からの求めに応じて、所定の映画館以外の各映画館における映画の編成や、動員状況や、動員単価などに関する比較情報を作成する。
【0086】
なお、集約部132は、映画館から受け付ける編成情報に予測動員数や動員単価が含まれない場合には、かかる項目を仮定して集約することもできる。例えば、集約部132は、映画館TH1における動員数を、映画館TH1における過去の動員数や、映画館TH1における動員数の動向や、映画館TH1以外の各映画館における動員数や、TH1で翌週にかけて上映される映画の検索クエリ数などの人気度及び人気度の推移などを用いて予測する。また、集約部132は、映画館TH1における動員単価が定められていない場合には、映画館TH1以外の同地域に所在する各映画館の動員単価に基づいて、動員単価を仮定する。これらにより、集約部132は、編成情報に不備がある場合であっても、円滑に情報を集約できるようにする。
【0087】
なお、集約部132は、映画の人気度を表す指標として検索クエリ数を利用することに限られず、SNS(Social Networking Service)サービスでの映画に関する投稿数や、映画の公式ホームページへのアクセス数などを利用してもよい。同様に、集約部132は、かかるアクセス数や投稿数の所定期間における上昇率による映画の人気度の推移についても予測動員数の指標としてもよい。
【0088】
また、集約部132は、広告枠テーブル121cに記憶した予測動員数と実際の動員数とを比較し精度を検証することもできる。この検証処理を繰り返すことにより、集約部132は、過去に行った予測処理における誤差を含めた回帰的な予測処理を行うことができるようになるため、より高精度に動員数を予測することが可能となる。
【0089】
〔3−5(3).提供部〕
提供部133は、集約部132によって集約される情報である集約情報を提示し、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の販売サービスを提供する。具体的には、実施形態に係る提供部133は、集約部132によって集約された集約情報DB01や、広告主から指定された項目毎に集約された情報などを広告主に提示する。
【0090】
例えば、提供部133は、所定のウェブページを広告主端末10に送信することにより、集約情報を提示し、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の販売サービスを提供する。そして、提供部133は、所定のウェブページ上で、広告主から情報を集約する項目についての指定を受け付ける。この場合には、提供部133は、新たに集約部132によって集約された情報を広告主にさらに提示する。
【0091】
また、提供部133は、受付部131が受け付ける映画館において催される宣伝活動に関する情報とともに、集約情報を広告主に提供することもできる。これにより、広告主は、所定のキャンペーンなどの宣伝活動を行っている映画館を把握できる。
【0092】
そして、提供部133は、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の購入要求を広告主端末10から受け付ける。具体的には、提供部133は、かかる権利の購入要求を、例えばウェブページを介して、広告主端末10から受け付ける。そして、提供部133は、購入要求を受け付けた広告主端末10に係る広告主IDを広告主テーブル121dに記憶する。また、提供部133は、受け付けた購入要求に係る広告枠の指定や、その他条件がある場合には、適宜広告主テーブル121dに記憶する。
【0093】
次に、提供部133は、購入者である広告主の広告主端末10から、広告コンテンツの入稿を受け付ける。そして、提供部133は、購入者の広告枠IDに対応付けて、広告コンテンツを識別するための広告コンテンツIDを広告主テーブル121dに記憶する。
【0094】
なお、提供部133は、映画館で映画が初めて上映される前に販売サービスを提供するだけでなく、映画館で映画が初めて上映された後にも販売サービスを提供してもよい。一般的に、映画館で映画が初めて上映される前に、広告枠がすべて広告主に購入されるとは限らない。この場合、提供部133は、映画館で映画が上映された後であっても販売サービスを提供してもよい。
【0095】
また、提供部133は、集約部132によって集約される情報である集約情報を映画館側に提供することもできる。そして、提供部133は、新たに映画館側から項目の指定を受けることにより集約部132が情報を集約した場合には、かかる集約情報を映画館側に提供する。また、提供部133は、映画館側から比較情報の提供を求められた場合には、かかる比較情報を映画館側に提供する。また、提供部133は、集約情報を構成する所定の項目に関する情報と、映画館から受け付けた編成情報における所定の項目に対応する情報との比較情報を映画館に提供することもできる。
【0096】
〔3−5(4).割当部〕
割当部134は、受付部131によって受け付けられた編成情報と、提供部133が受け付けた広告主の購入要求に関する情報とに基づいて、映画館で提供させる広告コンテンツを広告枠に割り当てる。具体的には、実施形態に係る割当部134は、受付部131によって受け付けられた編成情報と、提供部133が受け付けた広告主の購入要求に関する情報とに基づいて、映画館で提供させる広告コンテンツを広告枠に割り当てる。この場合、割当部134は、映画館情報記憶部121の各テーブルの情報や、集約情報記憶部122の各テーブルの情報を適宜利用する。
【0097】
また、割当部134は、広告主の購入要求に適合する広告枠のうち、広告コンテンツを視聴させる人数が最も多くなると予測される広告枠に広告コンテンツを割り当ててもよい。すなわち、割当部134は、抽出された広告枠毎の予測動員数を参照する。そして、割当部134は、最も広告収益が高くなると想定される広告枠、すなわち予測動員数の多い広告枠に広告コンテンツを割り当てる。
【0098】
なお、割当部134は、広告コンテンツに割り当てた広告枠とかかる広告枠の前後に割り当てた広告コンテンツとの関係についても参照する。例えば、割当部134は、所定の複数の広告主を同時に提供してはならない場合(例えば、広告主が同業者同士であり競合関係にある場合など)には、かかる関係を参照し、広告コンテンツの割り当てを調整する。そして、割当部134は、広告コンテンツに割り当てた広告枠である配信予定の広告枠IDと、広告コンテンツIDとを対応付けて、広告主テーブル121dに記憶する。
【0099】
〔3−5(5).配信部〕
配信部135は、映画館に広告コンテンツを配信する。具体的には、実施形態に係る配信部135は、割当部134が割り当てた広告枠に関する情報に基づいて、対応する広告コンテンツを実際に観客に対して提供させる映画館の映画館装置20に配信する。
【0100】
〔3−5(6).取得部〕
取得部136は、映画館に関する情報として、映画館における実績に関する情報を取得する。具体的には、実施形態に係る取得部136は、映画館における実績に関する情報として、映画館における観客の動員数の実績を取得する。
【0101】
すなわち、取得部136は、広告コンテンツが提供された場合、映画館の実際の観客の人数である動員数に関する情報を映画館(例えば、映画館装置20)から取得する。取得部136は、取得した実際の動員数に関する情報を、映画館情報記憶部121内の各テーブルに適宜記憶する。
【0102】
なお、映画館(例えば、映画館装置20)は、チケットを販売する販売端末から得られる情報に基づいて、動員数を求めることができる。ただし、この例に限られず、映画館には、例えば、映画館に実際に来場した観客の情報を取得するための観客情報取得装置が設けられる。この観客情報取得装置は、例えば、カメラ、アクセスポイントなどの少なくとも一つ以上の機器に該当する。観客情報取得装置にカメラが含まれる場合には、このカメラは、例えば、映画館内を撮像する。これにより、映画館装置20は、観客情報取得装置により撮像された画像から動員数を求めることができる。また、観客情報取得装置にアクセスポイントが含まれる場合には、このアクセスポイントは、Wifi(Wireless Fidelity)(登録商標)などの無線通信により、個々の観客が保持する携帯端末と通信する。これにより、映画館装置20は、観客情報取得装置と通信された携帯端末の台数を計数することで動員数を求めることができる。
【0103】
〔3−5(7).算出部〕
算出部137は、取得部136の取得する実績に関する情報に基づいて、映画館の興行成績を算出する。具体的には、実施形態に係る算出部137は、所定の映画館における観客の動員数の実績に基づいて、対応する映画館の興行成績を算出する。
【0104】
例えば、算出部137は、所定の映画館における動員数と、映画館側が設定する映画の上映料金とを乗算することにより、映画館の興行成績を算出する。なお、算出部137は、所定の映画館における動員数と、広告コンテンツの提供に係る動員単価とを乗算することにより、映画館の広告収益を算出してもよい。
【0105】
そして、算出部137は、算出した情報について、映画館情報記憶部121内の各テーブルに適宜記憶する。集約部132は、算出部137により算出された情報について集約することもできる。また、提供部133は、算出部137により算出された情報を映画館側や広告主に提供することがある。
【0106】
〔4.集約処理手順〕
次に、
図10及び
図11を用いて、実施形態に係る広告装置100による集約処理の手順について説明する。まず、
図10では、広告装置100による集約処理及び広告主への集約情報の提供処理について説明する。
図10は、広告装置100による集約処理及び広告主への集約情報の提供処理の手順を示すフローチャートである。
【0107】
図10に示すように、受付部131は、映画館から広告枠に関する情報を受け付ける(ステップS101)。そして、集約部132は、受け付けた情報を所定の項目毎に集約する(ステップS102)。
【0108】
そして、提供部133は、集約部132の集約した情報を広告主に提供する(ステップS103)。そして、提供部133は、広告主から集約する項目の指定を受け付けたか否かを判定する(ステップS104)。広告主から集約する項目の指定を受け付けた場合には(ステップS104;Yes)、集約部132は、広告主に指定された項目で情報を新たに集約する(ステップS105)。この場合には、提供部133は、新たに集約された情報を広告主に提供する(ステップS103)。
【0109】
一方、広告主から集約する項目の指定を受け付けない場合には(ステップS104;No)、提供部133は、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の購入要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS106)。購入要求を受け付けない場合には(ステップS106;No)、提供部133は、購入要求を受け付けるまで待機する。
【0110】
一方、広告主からの購入要求を受け付けた場合には(ステップS106;Yes)、提供部133は、かかる権利の購入者を決定する(ステップS107)。
【0111】
続いて、割当部134は、かかる購入要求と広告枠に関する情報とに基づいて、適する広告枠に広告コンテンツを割り当てる(ステップS108)。そして、配信部135は、割り当てられた広告枠に対応する映画館装置20に広告コンテンツを配信する(ステップS109)。
【0112】
その後、取得部136は、広告コンテンツの提供に係る広告枠における実際の動員数に関する情報を取得する(ステップS110)。そして、算出部137は、かかる実際の動員数に関する情報に基づいて、所定の映画館の興行成績を算出する(ステップS111)。以上により、実施形態に係る広告装置100による、集約処理及び広告主への集約情報の提供処理は終了する。
【0113】
次に、
図11では、広告装置100による集約処理及び映画館への集約情報の提供処理について説明する。
図11は、広告装置100による集約処理及び映画館への集約情報の提供処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図11に示すステップS201及びS202は、
図10に示したステップS101及びS102にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0114】
提供部133は、集約部132の集約した情報を映画館に提供する(ステップS203)。そして、提供部133は、映画館から集約する項目の指定を受け付けたか否かを判定する(ステップS204)。映画館から集約する項目の指定を受け付けた場合には(ステップS204;Yes)、集約部132は、映画館から指定された項目で情報を新たに集約する(ステップS205)。この場合には、提供部133は、新たに集約された情報を映画館に提供する(ステップS203)。
【0115】
一方、映画館から集約する項目の指定を受け付けない場合には(ステップS204;No)、提供部133は、さらに所定の比較情報についての要求を映画館から受け付けたか否かを判定する(ステップS206)。要求を受け付けない場合には(ステップS206;No)、映画館への集約情報の提供処理は終了する。
【0116】
一方、映画館から比較情報の要求を受け付けた場合には(ステップS206;Yes)、提供部133は、映画館からの要求に対応する比較情報を映画館に提供する(ステップS207)。以上により、実施形態に係る広告装置100による、集約処理及び映画館への集約情報の提供処理は終了する。
【0117】
〔5.変形例〕
上述した広告装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、広告装置100の他の実施形態について説明する。
【0118】
〔5−1.集約情報の例〕
上記の実施形態では、集約部132が、映画館から受け付けた編成情報と映画館に関する情報とを所定の項目毎に集約する例として、本編タイトルと映画館の所在地域との項目により集約した集約情報DB01〜03、及び、本編タイトルと映画の上映日程との項目により集約した集約情報DB11〜13を例示した。しかし、上記例に限られず、集約部132は、さらに異なる項目毎に情報を集約してもよいし、あるいは、集約する項目を組み合わせて情報を集約してもよい。この点について、
図12を用いて以下に説明する。
【0119】
図12は、変形例に係る集約情報の一例を示す図である。
図12では、変形例に係る集約情報の一例として、集約情報DB21を示している。集約情報DB21は、映画館の所在地域と映画の上映日程との項目により集約した情報である。
図12の例では、集約情報DB21には、「東京都渋谷区」に所在する映画館に関する情報であって、映画の上映日程が「5月10日9:00〜12:00」や、「5月10日12:00〜15:00」や、「5月11日9:00〜12:00」である映画の編成情報が集約されている。
【0120】
この場合、集約部132は、「東京都渋谷区」に所在する各映画館に関する情報であって、映画の上映日程が「5月10日9:00〜12:00」である映画の上映に関する情報を、映画館情報記憶部121内の各テーブルから抽出する。そして、集約部132は、上記項目に対応する映画の上映回数や、広告枠の数や、予測動員数や、動員単価などの情報を集約する。そして、提供部133は、集約情報DB21を広告主又は映画館に提供する。
【0121】
この場合、広告主は、集約情報DB21を参照し、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の購入を要求するか否かを判断することができる。例えば、所定の広告主が、「5月10日から5月11日」まで、「東京都渋谷区」に所在する各映画館において、全ての広告枠についての購入を所望したとする。この場合、かかる広告主は、集約情報DB21を参照することにより、広告コンテンツを視聴させることのできると予測される人数や、広告コンテンツの提供の対価の額を容易に確認することができる。また、集約部132は、かかる広告主から、例えば映画の本編タイトルの項目をさらに指定された場合には、映画の本編タイトルの項目を付加した情報を集約する。これにより、提供部133は、より詳細な情報を含む集約情報を広告主に提供することができる。
【0122】
このように、変形例に係る集約部132は、種々の異なる項目毎に情報を集約することができる。また、変形例に係る提供部133は、かかる集約情報を広告主に提供することができる。例えば、提供部133は、
図12に例示した集約情報DB21を提供することにより、所定の期間内の、東京都渋谷区に所在する映画館の広告枠に係る情報を広告主に容易に把握させることができる。
【0123】
一般に、映画館毎の広告枠に係る情報を全て取得することは困難である。各映画館は、例えば運営会社が異なっていたり、広告の提供に関する情報開示が異なっていたりする。ゆえに、広告主が、全ての情報を取得し、所定期間において東京都渋谷区の全ての映画館で同時に広告コンテンツを提供させることは困難である。
【0124】
一方、広告装置100によれば、広告主は、東京都渋谷区に所在する映画館の広告枠に係る情報を容易に取得できる。これにより、広告主は、東京都渋谷区に所在する映画館の広告枠の全てで広告コンテンツを提供させるような権利を容易に購入できる。この場合、広告主は、東京都渋谷区における全ての映画館の広告枠を同一広告コンテンツで占有することができるので、広告キャンペーンとして、需要者により大きな広告効果を与えることができる。
【0125】
〔5−2.比較情報の例〕
上記の実施形態では、提供部133は、集約部132が集約する情報と映画館から受け付けた編成情報との比較を示す情報である比較情報を映画館に提供する例を示した。ここで、提供部133は、集約情報と比較情報に基づいて、比較情報の提供に際して映画館に情報の更新等を提案してもよい。
【0126】
例えば、提供部133が、所定の映画館TH1から映画館TH1以外の映画館との動員単価についての比較情報を求められたとする。この場合、提供部133は、映画館TH1に対して、映画館TH1以外の映画館における動員単価に関する情報を提供する。
【0127】
そして、提供部133は、かかる比較情報とともに、例えば、映画館TH1が動員単価を更新することにより、広告収益がいくら増減すると想定されるかという提案をしてもよい。提案に際して、算出部137は、予測動員数や、過去の広告収益の実績や、映画館TH1以外の映画館における動員単価や、広告枠の販売量などに基づいて、例えば、映画館TH1が動員単価を「10円」下げた場合の映画館TH1の広告収益の増減を算出する。また、算出部137は、映画館TH1が動員単価を「10円」上げた場合の映画館TH1の広告収益の増減を算出してもよい。このように、提供部133は、映画館TH1がどの値に動員単価を設定した場合に広告収益が増加すると想定されるかなどの提案についても、映画館TH1に提供することができる。
【0128】
このように、広告装置100は、各映画館から集約した情報に基づいて、映画館毎に比較情報や広告コンテンツの提供に関する提案などを提供する。すなわち、映画館側は、広告装置100に編成情報等を送信することで、有益な比較情報や提案を得ることができる。これにより、広告装置100は、各映画館に対して、広告装置100へ編成情報等を送信する誘因を与えることができる。このため、広告装置100は、より多くの映画館から編成情報等を受け付けるようになる。また、映画館は、広告装置100から集約情報などを受け取ることにより、適切な広告コンテンツの提供の価格や広告枠の設定ができるようになる。結果として、広告装置100は、映画館での広告コンテンツの提供を促進させることができる。
【0129】
〔5−3.集約処理〕
上記の実施形態では、集約部132が、映画館から受け付けた編成情報と映画館に関する情報とを所定の項目毎に集約する例を示した。ここで、集約部132は、例えば、映画館情報記憶部121内の各テーブルに記憶されうる全ての情報を取得する前であっても、上記集約処理を行うことができる。
【0130】
例えば、集約部132は、上述のように、動員数を予測することにより、予測動員数に関する情報を各映画館から受け付ける前であっても、情報を集約することができる。また、集約部132は、所定の映画館が設定する動員単価や、過去の実績等に基づいて、動員単価の設定されていない映画館に係る情報について動員単価を仮定することができる。
【0131】
このように、集約部132は、集約する情報に不備がある場合であっても、情報に不備のある映画館以外の映画館に係る情報や、過去の実績等に基づいて、情報を補完することができる。これにより、集約部132は、早期に集約情報を広告主や映画館に提供することができる。
【0132】
一般に、映画館において映画の詳細な上映日程が決定するのは、実際の上映日程の一又は二週間前となる。このため、映画館側は、映画の詳細な上映日程が決定する前においては、広告枠に係る時間や広告枠の数量を決定させ難い。また、広告主にとっては、映画館で広告コンテンツを提供させる日程や価格が決定しない段階では、かかる権利の購入を躊躇せざるを得ない。
【0133】
一方、広告装置100は、各映画館から集約した情報を提供するので、不備のある情報は他の映画館の情報などに基づいて補完される。これにより、広告装置100は、早期に信頼性のある情報を広告主や映画館に提供することができる。このため、広告装置100は、映画館での広告コンテンツの提供を促進させることができる。なお、広告装置100は、早期に編成情報等を送信する映画館に対して何らかの特典を与えることもできる。これにより、広告装置100は、早期に情報を送信する誘因を映画館に与えることができる。
【0134】
〔5−4.管理装置〕
また、上記の実施形態では、受付部131は、映画館装置20から広告枠に関する情報を受け付ける例を示した。また、配信部135は、映画館装置20に広告コンテンツを配信する例を示した。しかし、広告装置100は、映画館装置20とではなく、例えば、複数の映画館を管理する映画館管理装置50に対して、同様の処理を行うことができる。この点について
図13を用いて説明する。なお、以下では、複数の映画館装置について、映画館装置20
1、20
2及び20
3として表記する。
【0135】
図13は、変形例に係る集約処理システム1の構成例を示す図である。なお、
図2と対応する構成については、説明を省略する。
図13に示すように、配信システム1には、映画館管理装置50と、映画館管理装置50が管理する映画館装置20
1、20
2及び20
3が含まれる。なお、図示は省略するが、映画館管理装置50は、さらに多くの映画館装置20
n(nは任意の数)を管理していてもよい。
【0136】
図13に示した例では、広告装置100は、上述した実施形態に係る集約処理において映画館装置20
1に対して行う手続きを映画館管理装置50に対して行う。広告装置100は、例えば、映画館装置20
1を備える映画館の広告枠に関する情報を映画館管理装置50から受け付ける。なお、映画館管理装置50は、かかる情報について予め映画館装置20
1から提供を受けているものとする。これにより、広告装置100は、一連の処理を映画館管理装置50に対して行うことによっても、上述した実施形態と同様に、映画館装置20から情報を受け付けて、かかる情報を集約することができる。
【0137】
この場合、実施形態に係る処理に比べ、広告装置100による処理を簡略化できる場合がある。具体的には、上述した実施形態に係る処理において、広告装置100が複数の映画館における広告枠に関する情報を受け付けるためには、複数の映画館装置20
1、20
2及び20
3からそれぞれ情報を受け付ける必要がある。また、広告装置100は、それぞれ対応する複数の映画館装置20
1、20
2及び20
3に広告コンテンツを配信する必要がある。
【0138】
一方、上記変形例に係る配信処理において、広告装置100は、映画館管理装置50との間で処理を行うことにより、複数の映画館装置20
1、20
2及び20
3に対して処理を行うことと同様の結果を得る。すなわち、実施形態に係る各処理に比べ、変形例に係る広告装置100は、一連の処理手順を減らすことができるため、各処理を簡略化できる。
【0139】
なお、映画館管理装置50は、例えば、施設である映画館側(配給会社など)によって管理される。この場合、「施設」や「映画館」といった表記は、このような映画館管理装置50を含む概念であるものとする。
【0140】
〔5−5.配信タイミング〕
配信部135は、事前に広告コンテンツを映画館装置20に配信しておき、その後、提供させる広告コンテンツの情報のみを映画館装置20に配信し、映画館で広告コンテンツを提供させることもできる。この場合、広告コンテンツのデータは事前に配信されているため、配信部135は、映画館で提供する広告コンテンツを識別するための識別情報を配信するのみでよい。
【0141】
一般に、映画館で提供される広告コンテンツは、高画質な動画像で構成されておりデータ容量が大きい。このため、映画館で提供される広告コンテンツは、ネットワークNを介する配信において相当の時間を要する。一方、上記のように、配信部135は、事前に広告コンテンツのデータを映画館に配信しているため、映画館から取得要求を受け付けて広告コンテンツを映画館で実際に配信するまでに、広告コンテンツのデータの配信にかかる時間を要さない。この結果、割当部134は、配信する広告枠や広告コンテンツの割り当てを、実際に映画館で広告コンテンツが配信される数秒前にすることができる。
【0142】
これにより、変形例に係る広告装置100は、リアルタイムな割り当て処理をすることができる。具体的には、変形例に係る広告装置100は、同一の広告主から数種の広告コンテンツの入稿を受け付けておき、実際に広告コンテンツが配信される映画館の動員状況や観客の属性などに応じて提供する広告コンテンツをかかる広告枠に割り当てることができる。
【0143】
〔5−6.広告枠〕
また、上記の実施形態では、広告枠が単位時間あたりに分割され、数量によって表される例を示した。しかし、広告枠は、時間で表されてもよい。例えば、広告枠は「5分間」などの態様で設けられてもよい。この場合、広告装置100は、広告枠の時間を適宜分割して取り扱うことができる。また、広告装置100は、映画館から広告枠の順番に係る情報を受け付けてもよい。この場合、広告装置100は、広告コンテンツが提供される順番についても調整して広告枠を割り当てることができる。
【0144】
〔5−7.広告枠の位置〕
また、上記の実施形態では、広告枠が映画の本編前に組み込まれる例を示した。言い換えれば、上記の実施形態では、広告コンテンツが映画の本編前に上映される例を示した。しかし、広告コンテンツが上映されるタイミングは上記例に限られない。すなわち、広告コンテンツが映画とともに提供されるとは、映画の本編中に上映されてもよいし、映画の本編後に上映されてもよいことを意味する。また、上述のように、広告コンテンツには、本編である映画にオーバーレイのように重ねて提供されるようなものも含まれるものとする。
【0145】
〔5−8.販売価格〕
上記の実施形態では、算出部137が、映画館が設定する動員単価に基づいて広告コンテンツの提供の対価の額を算出する例を示した。しかし、映画館は動員単価を常に設定することを要しない。例えば、算出部137は、動員単価によらず、広告枠毎の単価によって広告コンテンツの提供の対価の額を算出してもよい。そして、算出部137は、広告主毎に、割当部134が割り当てる広告枠毎の価格を算出して、かかる広告枠の合計額を広告コンテンツの提供の対価の額として算出してもよい。
【0146】
〔5−9.コンテンツの例〕
また、上記の実施形態では、施設で提供される第1コンテンツとして映画を、第1コンテンツとともに提供される第2コンテンツが広告である例を示した。しかし、この例に限られず、各コンテンツは様々な態様があってもよい。例えば、第1コンテンツとしては、演劇、コンサートなど、観客を動員して行われる様々な催事が含まれてもよい。また、第2コンテンツとしては、個人クリエイタによって制作されたショートフィルムなどが含まれてもよい。
【0147】
〔5−10.広告配信〕
上記の実施形態では、配信部135が、広告主テーブル121dに記憶された広告コンテンツを映画館装置20に配信する例を示した。しかし、上記例に限られず、広告装置100は、配信に係る処理について、外部の装置を利用して行ってもよい。例えば、広告装置100は、ネットワークN上に存在し、広告主端末10や、映画館装置20と通信可能なサーバ装置である広告配信装置に配信処理を行わせてもよい。
【0148】
この場合、かかる広告配信装置は、広告装置100の制御に従い、広告主端末10から広告コンテンツの入稿を受け付けたり、広告コンテンツを記憶したりする。そして、広告装置100は、広告主テーブル121dに記憶された広告コンテンツIDに基づいて、広告配信装置に記憶された広告コンテンツを特定する。そして、広告装置100は、広告配信装置に対して、特定された広告コンテンツを映画館装置20に対して配信するよう制御する。この場合、広告装置100は、配信部135を有しなくてもよい。
【0149】
〔6.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0150】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0151】
例えば、
図3に示した映画館情報記憶部121や集約情報記憶部122が記憶する情報は、広告装置100が保持せずに、図示しないストレージサーバ等が保持してもよい。この場合、広告装置100は、映画館テーブル121等の各データテーブルに記憶されている情報を適宜取得するものとする。
【0152】
また、上記の実施形態では、提供部133が、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の販売サービスを提供する例を示した。しかし、上記例に限られず、広告装置100は、かかる権利の販売サービスについて、外部の装置を利用して行ってもよい。例えば、広告装置100は、ネットワークN上に存在し、広告主端末10と通信可能なサーバ装置である販売サービス提供装置によって、上記販売サービスを提供させることもできる。この場合、広告装置100は、提供部133を備えなくてもよい。
【0153】
また、上記実施形態においては、映画館は動員数を取得するため観客情報取得装置を備える例を示した。しかし、映画館は、さらに別の装置を備えてもよい。例えば、映画館は、映画館で広告が上映されたことを示す情報を取得する装置を備える。具体的には、映画館には、実際に映画館で広告が流れている音声を集音する集音装置が設けられる。広告装置100は、例えば、映画館装置20から、かかる集音された音声データを受け付け、広告主に情報として提示することができる。これにより、広告装置100は、実際に映画館で広告が上映されたか確認したいという広告主の要望に応えることができる。
【0154】
また、上記実施形態においては、第1コンテンツを提供する施設として映画館を挙げ、当該施設の利用料としてチケット料金を例示した。しかし、例えば、第1コンテンツとしては、演劇、コンサートなど、観客を動員して行われる様々な催事が含まれてもよい。この場合、第1コンテンツを提供する施設としては、劇場や、演舞場や、屋外遊戯施設など、観客を収容できる、あるいは観客が入場することのできる種々の施設が該当する。
【0155】
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0156】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る広告装置100は、例えば
図14に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、広告装置100を例に挙げて説明する。
図14は、広告装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0157】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
【0158】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(
図2に示したネットワークNに対応する)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、また、通信網500を介してCPU1100が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0159】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0160】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0161】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る広告装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、映画館情報記憶部121や、集約情報記憶部122内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0162】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る広告装置100は、映画(第1コンテンツの一例)を提供する映画館(施設の一例)における映画の編成に関する情報であって、映画とともに提供される広告コンテンツ(第2コンテンツの一例)に関する情報を含む編成情報を受け付ける受付部131と、編成情報と映画館に関する情報とを所定の項目毎に集約する集約部132とを備える。
【0163】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、各映画館における編成情報などを所定の項目毎に集約することができる。このため、実施形態に係る広告装置100は、かかる集約情報を用いることにより、広告コンテンツの提供に関するインセンティブを広告主に与えることができる。したがって、実施形態に係る広告装置100は、映画館での広告コンテンツの提供を促進させることができる。
【0164】
また、実施形態に係る広告装置100は、集約部132によって集約される情報である集約情報を提示し、映画館で広告コンテンツを提供させる権利の販売サービスを提供する提供部133をさらに備える。
【0165】
このように、実施形態に係る広告装置100によれば、広告主は、提示された集約情報を参照して映画館で広告コンテンツを提供させる権利を購入することができる。すなわち、実施形態に係る広告装置100は、集約情報を提示して行われる有益な販売サービスを広告主に提供することができる。
【0166】
また、集約部132は、販売サービスを利用する広告主に指定された項目毎に、編成情報と映画館に関する情報とを集約する。提供部133は、集約部132によって広告主に指定された項目毎に集約された集約情報を提示する。
【0167】
このように、実施形態に係る広告装置100は、広告主の要望に応じた集約情報を提示することができる。これにより、実施形態に係る広告装置100は、広告主の広告配信にかかる作業を容易化し広告主の負担を軽減させることができるので、映画館での広告コンテンツの提供に関するインセンティブを広告主に与えることができる。
【0168】
また、提供部133は、集約部132によって集約された集約情報を映画館に提供する。これにより、実施形態に係る広告装置100は、所定の映画館における情報と集約情報との差異などの情報を映画館側に提供することができる。このため、映画館側は、映画の編成や、動員単価などを適切に調整し得る。
【0169】
また、提供部133は、集約情報と映画館から受け付けた編成情報との比較を示す情報である比較情報を映画館に提供する。
【0170】
すなわち、実施形態に係る広告装置100によれば、映画館側は、適切な広告コンテンツの提供の価格や広告枠の設定ができるようになる。すなわち、実施形態に係る広告装置100によれば、映画館側は、広告枠を効率よく販売することで広告収益を上げることが期待できる。
【0171】
また、集約部132は、所定の項目として、映画館が所在する地域、映画館で提供される映画の題名、映画が提供される日程、及び、所定期間における映画の提供回数のうち少なくとも一つの情報を用いて集約する。
【0172】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、広告主及び映画館からの要望に応じやすい形態で情報を集約することができる。すなわち、実施形態に係る広告装置100によれば、広告主は、映画館での広告コンテンツの提供に関して、映画館の入札情報を適宜取得したり、上映場所ごとに広告コンテンツを入稿したりといった煩雑な作業を行うことを要しない。
【0173】
また、受付部131は、編成情報として、広告コンテンツが提供される枠の数又は前記広告コンテンツが提供される時間に関する情報を受け付ける。
【0174】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、広告主が映画館で広告コンテンツを提供する際に所望する情報について集約することができる。
【0175】
また、受付部131は、編成情報とともに、映画館において催される宣伝活動に関する情報を受け付ける。提供部133は、宣伝活動に関する情報とともに集約情報を広告主に提供する。
【0176】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、映画館で催されるキャンペーンなどの宣伝活動に関する情報を把握できるので、かかる宣伝活動を行っている映画館で広告コンテンツを提供しようとする動機付けを広告主に生じさせることができる。
【0177】
また、受付部131は、編成情報として、映画館で提供される映画の題名、映画が提供される提供場所、映画が提供される日程、及び、所定期間における映画の提供回数のうち少なくとも一つの情報を受け付ける。また、受付部131は、映画館で予測される動員数に関する情報、又は、広告コンテンツを提供させることで施設が受け取る対価に関する情報を受け付ける。
【0178】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、映画館における詳細な編成情報を把握できるので、広告主及び映画館からの条件の指定に応じて情報を集約し易くなる。
【0179】
また、実施形態に係る広告装置100は、映画館に関する情報として、映画館における実績に関する情報を取得する取得部136と、取得部136によって取得された実績に関する情報に基づいて、映画館の興行成績を算出する算出部137と、をさらに備える。
【0180】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、映画館における実績に関する情報についても集約することができる。すなわち、実施形態に係る広告装置100は、所定の映画館の興行成績に関する情報についても広告主や映画館に提供することができる。
【0181】
また、取得部136は、映画館における実績に関する情報として、映画館における観客の動員数の実績を取得する。算出部137は、映画館における観客の動員数の実績に基づいて、映画館の興行成績を算出する。
【0182】
これにより、実施形態に係る広告装置100は、実際の動員数に基づいて情報を集約したり、興行成績を算出したりすることができる。このため、実施形態に係る広告装置100は、広告主及び映画館に信頼性の高い情報を提供できる。
【0183】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0184】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、提供部は、提供手段や提供回路に読み替えることができる。