(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076967
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】管状連結体及び関連したねじ形状
(51)【国際特許分類】
F16L 15/04 20060101AFI20170130BHJP
E21B 17/042 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
F16L15/04 A
E21B17/042
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-512909(P2014-512909)
(86)(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公表番号】特表2014-519583(P2014-519583A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】US2012038768
(87)【国際公開番号】WO2012162214
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年4月28日
(31)【優先権主張番号】13/114,757
(32)【優先日】2011年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513292983
【氏名又は名称】ウルトラ プレミアム オイルフィールド サーヴィシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】バンカー エドワード オー
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−256023(JP,A)
【文献】
特開2001−165363(JP,A)
【文献】
特表2009−531603(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02161563(GB,A)
【文献】
米国特許第06322110(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/00 − 15/08
E21B 17/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有し、且つ中央長手方向軸線を有するピン部材を含み、
前記ピン部材ねじの前記スタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、
前記ベース面は、前記第2の面よりも長い径方向長さを有し、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してベース角度で前記谷底から半径方向外方に延び、
前記第2の面は、半径方向に対して第2の角度で前記ベース面の端から半径方向外方に延び、
前記第2の角度は、前記ベース角度よりも大きく、
前記ロードフランクの面は、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してオフセットされて、ロードフランク角を形成し、
谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有し、且つ中央長手方向軸線を有するボックス部材をさらに含み、
前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、
前記ベース面は、前記第2の面よりも長い径方向長さを有し、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してベース角度で前記谷底から半径方向内方に延び、
前記第2の面は、半径方向に対して第2の角度で前記ベース面の端から半径方向内方に延び、
前記第2の角度は、前記ベース角度よりも大きく、
前記ロードフランクの面は、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してオフセットされて、ロードフランク角を形成し、
前記ピン部材及び前記ボックス部材の少なくとも一方の前記谷底、前記山の頂、前記スタブフランク及び前記ロードフランクによって構成されるねじの形の結果、前記ピン部材及び前記ボックス部材の少なくとも一方のピッチ線は階段状のピッチ線になり、この階段状のピッチ線は前記ねじの形において特有のものである、ことを特徴とする管状連結体。
【請求項2】
前記ボックス部材及び前記ピン部材の一方に関連したねじテーパーは、前記階段状のピッチ線の直線部分から角度的にオフセットされている、請求項1に記載の連結体。
【請求項3】
前記ねじの形の第1のねじ溝を通る直線部分は、前記ピン部材又は前記ボックス部材の前記中央長手方向軸線から、前記ねじの形の第1のねじ山を通る直線部分と前記中央長手方向軸線との間に存在するオフセットの角度よりも大きな角度だけ、オフセットされている、請求項1に記載の連結体。
【請求項4】
前記ピン部材は第1の階段状のピッチ線を有し、前記ボックス部材は第2の階段状のピッチ線を有する、請求項1に記載の連結体。
【請求項5】
前記第1の階段状のピッチ線は、前記ピン部材ねじの前記スタブフランクの高さの中間点の半径方向外方のピンねじ交差位置で、前記スタブフランクに交差し、
前記ピン部材ねじの前記スタブフランクの前記ベース面は、前記ピンねじ交差位置まで外方に延び、
前記第2の階段状のピッチ線は、前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクの高さの中間点の半径方向内方のボックスねじ交差位置で、前記スタブフランクに交差し、
前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクの前記ベース面は、前記ボックスねじ交差位置まで内方に延びている、請求項4に記載の連結体。
【請求項6】
前記連結体が完全に組み立てられたとき、前記ピン部材ねじの前記スタブフランクと前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクが半径方向帯域にわたって実質的に接触する、請求項5に記載の連結体。
【請求項7】
実質的な接触の前記半径方向帯域は、スタブフランク高さの少なくとも17パーセントに等しい又はそれより大きい半径方向距離延びる、請求項6に記載の連結体。
【請求項8】
前記連結体が完全に組み立てられたとき、前記ピン部材の前記スタブフランク高さの前記中間点が、前記ボックス部材の前記スタブフランク高さの前記中間点と実質的に整合し、且つ、実質的な接触の前記半径方向帯域が、実質的に整合された前記中間点の半径方向外方と半径方向内方の両方に延びている、請求項7に記載の連結体。
【請求項9】
前記ピン部材ねじの前記スタブフランクは、連結体の組み立て中、前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクと相互作用し、前記ピン部材ねじの前記ロードフランクを移動させて、前記ボックス部材ねじの前記ロードフランクの実質的な接触状態にする、請求項1に記載の連結体。
【請求項10】
前記ピン部材ねじの前記スタブフランク及び前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクは、前記ピン部材ねじ及び前記ボックス部材ねじが半径方向の組み立て係合深さの65パーセントに達する前に、前記ピン部材ねじの前記ロードフランクが移動して前記ボックス部材ねじの前記ロードフランクと実質的な接触状態になるように、連結体の組み立て中、相互作用するように構成されている、請求項9に記載の連結体。
【請求項11】
中央長手方向軸線及び軸線方向通路を有する細長い本体を含み、
前記本体の端部分は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有し、
前記スタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、
前記ベース面は、前記第2の面よりも長い径方向長さを有し、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してベース角度で前記谷底から半径方向外方に延び、
前記第2の面は、半径方向に対して第2の角度で前記ベース面の端から半径方向外方に延び、
前記第2の角度は、前記ベース角度よりも大きく、
前記ロードフランクの面は、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してオフセットされて、ロードフランク角を形成し、
前記谷底、前記山の頂、前記スタブフランク及び前記ロードフランクによって構成されるねじの形は階段状のピッチ線になり、この階段状のピッチ線は前記ねじの形において特有のものである、ことを特徴とするねじ付き管状部材。
【請求項12】
前記階段状のピッチ線の第1のサイクルは、前記ねじの形の第1のねじ山部分を通る第1の線部分、及び前記ねじの形の第1のねじ溝部分を通る第2の線部分によって構成され、
前記第2の線部分は、前記第1の線部分が前記第2の線部分と平行でないように、前記第1の線部分から角度的にオフセットされている、請求項11に記載の管状部材。
【請求項13】
前記ねじの形によって構成されるねじテーパーは、前記第1の線部分と前記第2の線部分の両方から角度的にオフセットされている、請求項12に記載の管状部材。
【請求項14】
谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有し、且つ中央長手方向軸線を有するピン部材を含み、
前記ピン部材ねじの前記スタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、
前記ベース面は、前記第2の面よりも長い径方向長さを有し、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してベース角度で前記谷底から半径方向外方に延び、
前記第2の面は、半径方向に対して第2の角度で前記ベース面の端から半径方向外方に延び、
前記第2の角度は、前記ベース角度よりも大きく、
前記ロードフランクの面は、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してオフセットされて、ロードフランク角を形成し、
谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有し、且つ中央長手方向軸線を有するボックス部材をさらに含み、
前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、
前記ベース面は、前記第2の面よりも長い径方向長さを有し、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してベース角度で前記谷底から半径方向内方に延び、
前記第2の面は、半径方向に対して第2の角度で前記ベース面の端から半径方向内方に延び、
前記第2の角度は、前記ベース角度よりも大きく、
前記ロードフランクの面は、前記中央長手方向軸線における半径方向に対してオフセットされて、ロードフランク角を形成し、
前記ピン部材ねじの前記スタブフランクは、連結体の組み立て中、前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクと相互作用し、前記ピン部材ねじの前記ロードフランクを移動させ、前記ボックス部材ねじの前記ロードフランクと実質的な接触状態にし、
前記ピン部材ねじの前記スタブフランク及び前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクは、前記ピン部材ねじ及び前記ボックス部材ねじが半径方向の組み立て係合深さの65パーセントに達する前に、前記ピン部材ねじの前記ロードフランクが移動して前記ボックス部材ねじの前記ロードフランクと実質的な接触状態になるように、連結体の組み立て中、相互作用するように構成され、
前記連結体が完全に組み立てられたときに、
前記ピン部材ねじの階段状のピッチ線におけるスタブフランク交差位置は、前記ボックス部材ねじの階段状のピッチ線におけるスタブフランク交差位置から半径方向外方にオフセットされ、前記ピン部材ねじの前記階段状のピッチ線は、前記ピン部材ねじの形において特有のものであり、
前記ピン部材ねじの前記階段状のピッチ線におけるロードフランク交差位置は、前記ボックス部材ねじの前記階段状のピッチ線におけるロードフランク交差位置と半径方向において整合し、前記ボックス部材ねじの前記階段状のピッチ線は、前記ボックス部材ねじの形において特有のものである、ことを特徴とする連結体。
【請求項15】
前記ピン部材ねじの前記スタブフランク及び前記ボックス部材ねじの前記スタブフランクは、前記ピン部材ねじ及び前記ボックス部材ねじが半径方向組み立て係合深さの65パーセントに達する前に、前記ピン部材ねじの前記ロードフランクが移動して前記ボックス部材ねじの前記ロードフランクと実質的な接触状態になるように、連結体の組み立て中、相互作用するように構成されている、請求項14に記載の連結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、管状連結体に係わり、より詳しくは、軸線方向圧縮荷重抵抗を向上させるように構成されたねじ形状を有する管状連結体に係わる。
【背景技術】
【0002】
オイル及びガスの上流生産産業は、炭化水素原料を発見して産出するために、増え続ける深さ及び複雑さの坑井を掘削する。その産業は、通常、鋼管(Oil Country Tubular Goods)を使用し、ボアホール(ケーシング)を保護すると共に、ボアホール内に産出された流体を制御(チュービング)する。ケーシング及びチュービングは、比較的短い長さで作られ且つ輸送され、ボアホール内に一度に1つの長さ設置される。
【0003】
ボアホールをより効率的に掘削する1つの方法は、ボアホールの直径を維持することである。これを達成する最も直接的な方法は、パイプ連結体の直径を最小化することにある。2種類の高級な油田連結体、即ち一体型フラッシュ継手及び小径高性能連結体が、これらの目的のために利用されてきた。フラッシュ継手連結体の外径は、パイプ本体の外径と実質的に同じである。言い換えると、その連結体は、パイプ本体の肉厚内に収まっている。
【0004】
他の連結体はもちろんのこと、小径及びフラッシュ型連結体に対して、改善された圧縮定格を提供することが望まれている。フラッシュ型連結体及び小径連結体の圧縮力をもっとよく理解するために、或る専門用語を確立すべきである。ねじは、くぼんだねじ溝に嵌り込む隆起部分、即ち山又は歯を含む。ねじ形状は、谷底、山の頂、スタブフランク(stab flank)、及びロードフランク(load flank)によって定義され、それらの各々は実際にはらせん状に延びた面である。
図1に例示するように、ねじ形状の形(即ち2次元)は、管状部材又はねじの中心軸線から半径方向外方に延びる断面の平面によって定義され、反復「順列」の山部分10a、10b、10c及び溝部分12a、12b、12cを含み、各山部分は、スタブフランク14、山の頂16及びロードフランク18によって画成され、各溝部分は、ロードフランク18、谷底20及びスタブフランク14によって画成される。ねじの形の各溝部分は、3次元ねじのらせん溝のそれぞれの軸線方向部分によって形成され、ねじの形の各山部分は、3次元ねじのらせん山のそれぞれの軸線方向部分によって形成される。
【0005】
「ピッチ線」は、ねじ山の軸線方向の幅W
Rがねじ溝の軸線方向の幅W
Tと等しいようにスタブフランク及びロードフランクと交差する、ねじ形状の形の仮想線22である。ロードフランクとスタブフランクは、ねじを構成する2つの部材が、最初に嵌り合うことがき、且つ損傷せずに組み立てることができるように、伝統的に歯と溝との間に隙間を作るために角度を成している。スタブフランク角α
s及びロードフランク角α
Lは、
図1に示すように正角を取っている。ねじ山角度α
Iは、この2つの角度の代数的和である。
【0006】
四角ねじは、実質的にフランク角を有しないため、引張荷重及び圧縮荷重の良好な伝達を提供することから、四角ねじは好まれている。特許文献1に記載されているように、四角ねじ又はほぼ四角ねじは、スタブフランクに、山の頂からスタブフランク面の或る箇所まで延びる少なくとも1つの逃げ面を含む、即ち、連結体の組み立て中にロードフランクのために付加的な隙間を作る大きなスタブフランク角の面を含む。この大きな角度は、大きなねじフランク隙間の懸念をいくらかを緩和する。ロードフランク間の隙間は、連結端部が接触し、且つ更なるトルクが付与されたときに、スタブフランクに「移」される。連結体の更なる組み立てによってスタブフランクが接触に戻されるかもしれないが、典型的には、最終組み立て時にいくらかの圧力を吸収することができるにすぎない、接触又は実質的な接触のらせん箇所又は線を作るだけである。
【0007】
特許文献1の好適な実施形態に記載されているように、多角度(即ち逃げ面)がスタブフランクに用いられる。「スタブ(stabbed)」の位置では、即ち一方の連結体の雄(又はピン)が相手方の連結体の雌(又はボックス)に最初に入れられるときに、それらの面によってピンねじのスタブフランクがボックスねじのスタブフランクに載ることができ、一方で、ロードフランクは、「組み立てる」べくピンを回転させるとき、即ちピンを連結体の最終的な完全係合位置に向かって回転させるときに、螺合を可能にするのに十分な隙間を有する。さらに、面のいくらかがねじの或る部分の隙間を減少させるカム又は傾斜面として働くので、組み立て中、ロードフランク間の隙間を現象させるように、逃げ面により、ねじを螺合させる。しかしながら、それは、ねじ付き連結体の前進を停止させ、且つ、連結体のねじ付き部分での接触を、スタブフランクからロードフランクにシフトさせる、連結係合(即ちねじ以外の(金属シールのような)連結体の部分間の相互作用)である。この同じ動きが、存在する隙間をロードフランクからスタブフランクにシフトさせる。連結体の組み立ては、ねじがピン部材を回転させるのに付与されたトルクによって一緒にさせ、ピンロードフランクをボックスロードフランクに対して強制的に移動させるので、達成される。スタブフランクは、ねじが最終位置に、即ち連結体の完全な組み立てに達したときに、ピンねじ及びボックスねじがピッチ線で2次元の点接触をするような形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,322,110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、ねじ形状のピッチ線は、管状部材又はねじの中心軸線のまわりに回転されたときにピッチ円錐を生じさせる直線である。ピッチ線は、スタブフランク及びロードフランクの各々に沿う谷底と山の頂の間の等距離に配置され、これは管状連結体の基準である。製造工程での許容限界によって制御されると、連結体の完全な組み立てにおいてスタブフランク上のピッチ線の実際の交差は、小さな隙間、面接触又はわずかな締り嵌めを有することがある。特許文献1で言及されているように、付与したトルクはポアソン効果を起こすのに十分であり、一方の部材を伸長させ且つ他方の部材を圧縮させ、その結果、ピッチ線の周りの接触帯域を狭くする。しかしながら、特許文献1は、帯域接触を達成する確実な技術、又は帯域接触の広い領域を達成する技術を、何ら論じていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、管状連結体は、ボックス部材及びピン部材を含む。ピン部材は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有する。ピン部材ねじのスタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、ベース面は、半径方向に対してベース角度で谷底から半径方向外方に延び、第2の面は、半径方向に対して第2の角度でベース面の端から半径方向外方に延び、第2の角度は、ベース角度よりも大きい。ボックス部材は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有する。ボックス部材ねじのスタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、ベース面は、半径方向に対してベース角度で谷底から半径方向内方に延び、第2の面は、半径方向に対して第2の角度でベース面の端から半径方向内方に延び、第2の角度は、ベース角度よりも大きい。ピン部材及びボックス部材の少なくとも一方の谷底、山の頂、スタブフランク及びロードフランクによって構成されるねじの形の結果、ピン部材又はボックス部材のピッチ線は階段状のピッチ線になる。
【0011】
前段落の連結体では、階段状のピッチ線の第1のサイクルは、ねじの形の第1のねじ山部分を通る第1の線部分、及びねじの形の第1のねじ溝部分を通る第2の線部分によって構成され、第2の線部分は、第1の線部分が第2の線部分と平行ではないように、第1の線部分から角度的にオフセットされている。
【0012】
どれか前段落の連結体では、階段状のピッチ線の第2のサイクルは、ねじの形の第2のねじ山部分を通る第1の線部分、及びねじの形の第2のねじ溝部分を通る第2の線部分によって構成され、第1のねじ溝部分は、第1のねじ山部分及び第2のねじ山部分によって囲まれ、第2のねじ溝部分は、第2のねじ山部分に隣接する。第2のねじ山部分の第1の線部分は、第1のねじ山部分の第1の線部分と平行であるが、第1のねじ山部分の第1の線部分から半径方向にオフセットされている。第2のねじ溝部分の第2の線部分は、第1のねじ溝部分の第2の線部分と平行であるが、第1のねじ溝部分の第2の線部分から半径方向にオフセットされている。
【0013】
どれか前段落の連結体では、ボックス部材及びピン部材の一方に関連したねじテーパーは、第1の線部分と第2の線部分の両方から角度的にオフセットされている。
【0014】
どれか前段落の連結体では、第2の線部分は、ピン部材又はボックス部材の中央長手方向軸線から、第1の線部分と中央長手方向軸線との間に存在するかもしれないオフセットの任意の角度よりも大きな角度だけ、オフセットされている。
【0015】
どれか前段落の連結体では、ピン部材のピッチ線及びボックス部材のピッチ線の各々は、階段状のピッチ線である。
【0016】
どれか前段落の連結体では、ピン部材のピッチ線は、ピン部材ねじのスタブフランクの高さの中間点の半径方向外方のピンねじ交差位置で、スタブフランクに交差し、ピン部材ねじのスタブフランクのベース面は、ピンねじ交差位置まで外方に延びている。同様に、ボックス部材のピッチ線は、ボックス部材ねじのスタブフランクの高さの中間点の半径方向内方のボックスねじ交差位置で、スタブフランクに交差し、ボックス部材ねじのスタブフランクのベース面は、ボックスねじ交差位置まで内方に延びている。
【0017】
どれか前段落の連結体では、連結が完全に組み立てられたときに、ピン部材ねじのスタブフランクとボックス部材ねじのスタブフランクが半径方向帯域にわたって実質的に接触する。
【0018】
どれか前段落の連結体では、実質的な接触の半径方向帯域は、スタブフランク高さの少なくとも17パーセントに等しい又はそれより大きい半径方向距離延びる。
【0019】
どれか前段落の連結体では、連結が完全に組み立てられたときに、ピン部材のスタブフランク高さの中間点が、ボックス部材のスタブフランク高さの中間点と実質的に整合し、且つ、実質的な接触の半径方向帯域が、実質的に整合された中間点の半径方向外方と半径方向内方の両方に延びている。
【0020】
どれか前段落の連結体では、ピン部材ねじのスタブフランクは、連結体の組み立て中、ボックス部材ねじのスタブフランクと相互作用し、ピン部材ねじのロードフランクを移動させて、ボックス部材ねじのロードフランクの実質的な接触状態にする。
【0021】
どれか前段落の連結体では、ピン部材ねじのスタブフランク及びボックス部材ねじのスタブフランクは、ピン部材ねじ及びボックス部材ねじが半径方向の組み立て係合深さの65パーセントに達する前に、ピン部材ねじのロードフランクが移動してボックス部材ねじのロードフランクと実質的な接触状態になるように、連結体の組み立て中、相互作用するように構成されている。
【0022】
他の態様では、ねじ付き管状部材は、軸線方向通路を有する細長い本体を含む。本体の端部分は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有する。スタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、ベース面は、半径方向に対してベース角度で谷底から半径方向外方に延び、第2の面は、半径方向に対して第2の角度でベース面の端から半径方向外方に延び、第2の角度は、ベース角度よりも大きい。ピン部材及びボックス部材の少なくとも一方の谷底、山の頂、スタブフランク及びロードフランクによって構成されるねじの形の結果は、ピン部材又はボックス部材のピッチ線は階段状のピッチ線になる。
【0023】
前段落の管状部材では、階段状のピッチ線の第1のサイクルは、ねじの形の第1のねじ山部分を通る第1の線部分、及びねじの形の第1のねじ溝部分を通る第2の線部分によって構成され、第2の線部分は、第1の線部分が第2の線部分と平行でないように、第1の線部分から角度的にオフセットされている。
【0024】
前段落の管状部材では、ねじの形によって構成されるねじテーパーは、第1の線部分と第2の線部分の両方から角度的にオフセットされている。
【0025】
他の態様では、管状連結体は、ピン部材及びボックス部材を含む。ピン部材は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有する。ピン部材ねじのスタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、ベース面は、半径方向に対してベース角度で谷底から半径方向外方に延び、第2の面は、半径方向に対して第2の角度でベース面の端から半径方向外方に延び、第2の角度は、ベース角度よりも大きい。ボックス部材は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有し、ボックス部材ねじのスタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、ベース面は、半径方向に対してベース角度で谷底から半径方向内方に延び、第2の面は、半径方向に対して第2の角度でベース面の端から半径方向内方に延び、第2の角度は、ベース角度よりも大きい。連結体が完全に組み立てられたとき、ピン部材ねじのスタブフランクとボックス部材ねじのスタブフランクが広い半径方向帯域にわたって実質的に接触する。
【0026】
前段落の管状連結体では、接触の広い半径方向帯域は、スタブフランク高さの少なくとも17パーセントに等しい又はそれより大きい半径方向距離延びる。
【0027】
2つの前段落のいずれかの管状連結体では、連結体が完全に組み立てられたとき、ピン部材のスタブフランク高さの中間点が、ボックス部材のスタブフランク高さの中間点と実質的に整合し、且つ、接触の広い半径方向帯域が、実質的に整合された中間点の半径方向外方と半径方向内方の両方に延びている。
【0028】
上記した広い帯域の接触が、圧縮荷重に反応して耐える領域を、連結体の断面に加えることによって、圧縮荷重における連結体性能を大きく改善し、それにより、原料降伏に関して全体の圧縮能力を増大させることが判明した。また、このような帯域接触は、圧縮荷重に直ちに反応し、且つ連結体内の移動を制限し、それにより、機械的又は熱的負荷サイクルの間、金属シールを隔絶し且つ保護し、管状連結体の三軸圧力保全性を改善する。
【0029】
更なる態様では、管状連結体は、ピン部材及びボックス部材を含む。ピン部材は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有する。ピン部材ねじのスタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、ベース面は、半径方向に対してベース角度で谷底から半径方向外方に延び、第2の面は、半径方向に対して第2の角度でベース面の端から半径方向外方に延び、第2の角度は、ベース角度よりも大きい。ボックス部材は、谷底、山の頂、スタブフランク、及びロードフランクを有するテーパーの一定ピッチねじを有し、ボックス部材ねじのスタブフランクは、ベース面及び第2の面を有し、ベース面は、半径方向に対してベース角度で谷底から半径方向内方に延び、第2の面は、半径方向に対して第2の角度でベース面の端から半径方向内方に延び、第2の角度は、ベース角度よりも大きい。ピン部材ねじのスタブフランクは、連結体の組み立て中、ボックス部材ねじのスタブフランクと相互作用し、ピン部材ねじのロードフランクを移動させ、ボックス部材ねじのロードフランクと実質的な接触状態にする。
【0030】
前段落の管状連結体では、ピン部材ねじのスタブフランク及びボックス部材ねじのスタブフランクは、ピン部材ねじ及びボックス部材ねじが半径方向組み立て係合深さの60パーセントに達する前に、ピン部材ねじのロードフランクが移動してボックス部材ねじのロードフランクと実質的な接触状態になるように、連結体の組み立て中、相互作用するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】正のスタブフランク角及び正のロードフランク角を有する、例示的な先行技術のねじ形状の概略図である。
【
図2】本発明のねじ形状の1つの実施形態の概略図である。
【
図3】本発明のねじ形状の1つの実施形態の概略図である。
【
図4】
図2及び3のねじ形状を取り入れた部材の組み立てシーケンスの間のねじ相互作用を描く。
【
図5】
図2及び3のねじ形状を取り入れた部材の組み立てシーケンスの間のねじ相互作用を描く。
【
図6】
図2及び3のねじ形状を取り入れた部材の組み立てシーケンスの間のねじ相互作用を描く。
【
図7】
図2及び3のねじ形状を取り入れた部材の組み立てシーケンスの間のねじ相互作用を描く。
【
図8】完全に組み立てられた例示的な連結体でのスタブフランクの実質的な接触の拡大図である。
【
図9】本ねじ形状を取り入れることができる、例示的な連結体の構成を描く。
【
図10】本ねじ形状を取り入れることができる、例示的な連結体の構成を描く。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明では、同じ部分には、明細書及び図面の全体にわたって、それぞれ同じ参照番号が付してある。図面の図は、必ずしも縮尺ではない。発明の或る特徴は、縮尺又は幾分概略形状を誇張して示されており、在来の構成要素の或る詳細は、明確性及び簡潔性のために示されていない。
【0033】
最初に
図2を参照すると、ねじ形状の形30は、2つのねじ山部分32a、32b及び2つの溝部分34a、34bと共に示されている。ねじ全体の典型的な形は、多数のねじ山部分及び溝部分で構成されていることが理解される。ねじ形状は、山の頂40と谷底42との間に延びるスタブフランク36及びロードフランク38を有する、角ねじ又はほぼ角ねじを利用している。以下でより詳細に記述する通り、階段状のピッチ線であるピッチ線44は一点鎖線の形態で示されており、ねじテーパーも一点鎖線の形態で示されている。ねじ形状30はピン部材のものであり、ピン部材の軸線方向中心線48も示されており、中心線48の半径方向位置が必ずしも縮尺でないことが理解される。
【0034】
ロードフランク角α1(管の軸線方向と垂直な半径方向軸線に対して測定される)を有するロードフランク38が示されている。図示しているように、スタブフランク36は、3つの異なる面を含む、即ち、(1)スタブフランクベース面50は、谷底42から半径方向に延び、且つスタブフランクベース角α2を有し、(2)スタブフランク隙間面54は、山の頂40から半径方向に延び、且つα4のスタブフランク隙間角を有し、α4はα2より大きく、(3)スタブフランクカム面52は、スタブフランクベース面50とスタブフランク隙間面54との間に延び、且つスタブフランクカム角α3を有し、α3はα2より大きく、α4より小さい。隙間面を用いない場合には、カム面は、ベース面の端部からねじ山の頂まで、α3の角度で延びる。1つの例では、スタブフランクベース角α2は、約1〜3度(例えば約2度)であるのがよく、スタブフランクカム角α3は、約8〜12度(例えば約10度)であるのがよく、スタブフランク隙間角α4は、約13〜17度(例えば約15度)であるのがよい。しかしながら、これらの角度はおおよそのものであり、他の角度値も可能であることが当業者によって認識されるはずである。スタブフランク隙間面54には、相手の部材との最初の係合の間にロードフランク隙間を助長する、端の丸み56が形成されるのがよい。端の丸みは、スタブフランクの谷底、及びロードフランクの山の頂と谷底の両方にも設けられる。
【0035】
図示した実施形態では、スタブフランクベース角α2は、ロードフランク角α1よりもわずかに正である。また、山の頂40及び谷底42の面は、軸線48と平行である。図示したねじは、一定ピッチねじである。ロードフランク角も、図示のようにわずかに負ではなく、わずかに正でもよいことが考えられる。図示した実施形態では、カム面52は、ピッチ線から山の頂に向かう方向に半径方向に延び、且つ、当接する上流側のねじ山部分の頂と同一線形である半径方向位置で止まる(即ち、カム面の半径方向外端は、隣接する小さな半径のねじ山部分と、中心線48から同じ半径方向距離に位置決めされる)。
【0036】
前述したように、また
図2に示したように、ピッチ線44は階段状のピッチ線である。階段状のピッチ線44の第1のサイクル60は、ねじ山の形のねじ山部分32aを通る線部分62a、及びねじ山の形のねじ溝部分34aを通る線部分64aによって構成される。線部分64aは線部分62aから角度的にオフセットされ、したがって、それらの線部分は平行でない。図示した実施形態では、線部分62aは、部材の中心軸線48と平行であり、線部分64aは、ねじ又はピン部材の小径端から、ねじ又はピン部材の大径端まで移動するときに、中心軸線から半径方向に角度をなす。しかしながら、線部分62aと64aの両方は、線部分64aの角度が線部分62aの角度よりも大きく、軸線48に対して角度を成してもよいことが理解される。階段状のピッチ線44の第2のサイクル66は、ねじ山の形のねじ山部分32bを通る線部分62b、及びねじ山の形のねじ溝部分34bを通る線部分64bによって構成される。図示するように、溝部分34aは、ねじ山部分32aとねじ山部分32bの両方によって囲まれ、ねじ溝部分34bは、ねじ山部分32bに隣接している。線部分62bは、線部分62aと平行であるが、線部分62aから半径方向にオフセットされている。同様に、線部分64bは、線部分64aと平行であるが、線部分64aから半径方向にオフセットされている。なお、ねじピッチ線46は、階段状のピッチ線44を構成する線部分のどれとも平行ではなく、したがって、各線部分から角度的にオフセットされている。連結体の長手方向軸線を中心とする本ピッチ線の回転によって作り出される3次元本体は、反復連続の円筒部分及び円錐形部分を有する階段状の本体である。線部分62aと64aの両方が軸線48に対して角度をなす実施形態では、ピッチ線の回転によって作り出される3次元本体は、交互のテーパー角を有する、反復連続の円錐部分となるであろう。
【0037】
図3に示すように、ピッチ線44は、スタブフランク36の高さH
sの中間点72の半径方向外方のピンねじ交差位置70で、スタブフランク36と交差する。ベース面50は、谷底42からピンねじ交差位置70まで外方に延びている。点72と点70との間の半径方向距離Dは、全体のスタブフランク高さH
sの約8〜17パーセント(例えば少なくとも約8.5パーセント)程度であるのがよい。
【0038】
好ましい管状連結体は、同一のねじ形状(ピン部材の半径方向外向きのねじ及びボックス部材の半径方向内向きのねじ)を有するピン部材とボックス部材の両方で形成されるのがよく、各ねじ形状は階段状のピッチ線を有するねじ山の形を提供すると考えられる。
図3を参照すると、構成要素がボックス部材の代表であった場合には、点70は、ボックス部材のねじのスタブフランク高さの中間点72の半径方向内方に位置する、ピッチ線のボックスねじ交差位置を表すであろう。部材の中心軸線は、このようなボックス部材のねじ山の形よりも下ではなく、図示したねじ山の形より上に配置されるだろう。このような場合、ベース面50は、ボックスねじ交差位置まで半径方向内方に延びるだろう。
【0039】
これから
図4乃至7を参照すると、代表的なピン部材80及びボックス部材82(両方とも部分断面でのみ示す)のための管状連結体の組み立て順序が描かれている。
【0040】
ここで述べる組み立て順序を生じさせるのに必要とされる、一方のねじ部材の他方のねじ部材への正確な回転数は、部材に用いられる個々のねじ形状の正確な幾何学的な割合で変わることがある。順序は同様であるだろうが、正確な回転数は変わることがある。
【0041】
角の丸みと隙間フランクが結合して、
図4のスタブ位置(stab position)に示されるように、ねじ山及びねじ溝のロードフランク間に隙間を提供する。この隙間は、ねじ溝へのねじ山の入り込みを容易にする。最初の回転中、スタブフランク係合は、2つのねじ部材の隙間面54、54’間である。隙間フランクの角度は、ねじが回転して係合が増すと、ロードフランクをより近くに引き寄せる。図示するように部材のねじがカム面52、52’を含む場合には、ねじ組み立てが2回目の回転に入ると(
図5)、スタブフランク接触は、隙間面54、54’からカム面52、52’へシフトする。部材のねじがカム面52、52’を含まない場合には、2回目の回転中の組み立ては、隙間フランクにとどまる。組み立てを続けると、即ち一方の部材の他方の部材への回転は、ロードフランク間の隙間を閉じる。図示した例では、2回目の回転の終わりに(
図6)、隙間がほとんど閉じられる。
【0042】
連結体が3回目の回転に入ると、ねじ溝及びねじ山のロードフランクが係合し、又は移動して実質的に接触する。
図6に示すように、スタブフランク間に小さな締り嵌めを有するねじの場合には、スタブフランクベース面50、50’が係合する前に(即ち、スタブフランクのねじ交差位置70、70’が互いに到達する前に)、この係合又は実質的な接触が起こってもよい。他の例では、ちょうど接触するねじの場合には、スタブフランクピッチ線の交差で、ロードフランク上のピッチ線の交差で始まって(即ち、スタブフランクのねじ交差位置70、70’が互いに到達するときに)、ロードフランクの係合又は実質的な接触が起こってもよい。さらに他の例では、小さな隙間がスタブフランク間に存在する場合には、ピッチ線がすれ違った後に(即ち、スタブフランクのねじ交差位置70、70’がすれ違って、
図7のように、位置70’を位置70の半径方向内方に位置させた後に)、ロードフランクの係合又は実質的な接触が起こることもある。
【0043】
この段階で、ねじ間の全ての隙間がなくなる、又は、公差に起因して、ねじ間の全ての隙間が実質的になくなる。金属シール又はトルクショルダーの係合のようなねじ連結内の他の結果にかかわらずに、ロードフランク間とスタブフランク間の両方の大きな間隙の除去は、本管状連結体の1つの顕著な特徴である。ねじ形状を(約0.001インチより小さい程度)機械加工するのに用いられる成形インサートの公差の関数として、ねじは、フランク間に小さな隙間を有してもよいし、フランク間に隙間を有しなくてもよいし、或いはねじフランク間に小さな締り嵌めを有していてもよい。このことについて、ここで使用されている用語「実質的な接触」は、直接的接触(例えばぴったりの接触及び締り嵌めによる接触のいずれか)と、ほぼ接触(例えば0.002インチの二者間の面)の両方を含むものとする。
図6は、2回転位置から少しだけ回転した、小さな締り嵌めの場合を示しており、この状態では、スタブフランク係合が依然としてカム面上(又は、カム面が存在しない場合には隙間面上)である。ロードフランクとスタブフランクの両方の詳細な図は、ねじのスタブフランク間又はロードフランク間に実質的に隙間が存在しないことを示している。
【0044】
連結体が係合し続けると、スタブフランクのベース面及びロードフランクが、ねじの谷底と山の頂が係合するまで、それぞれの相手方の面上を摺動する。なお、谷底及び山の頂のいずれかが最初に係合し、まもなく他方が続く。この順序も、インサート及び機械部品の公差に依存するであろう。
【0045】
図8は、完全なねじ組み立て時の、
図7のねじのスタブフランクの詳細図である。広い実質的な接触帯域90が容易に見て取れる。図示するように、連結体が完全に作られたとき、ピン部材のスタブフランク高さの中間点が、ボックス部材のスタブフランク高さの中間点と実質的に整合し、実質的な接触の半径方向帯域が、実質的に整合された中間点の半径方向外方と半径方向内方の両方に延びている。実質的な接触の帯域は、前述したように、スタブフランク高さH
sの17%に等しく又はそれより大きく(例えば、好適には少なくとも約22%)なければならない。このような広い接触帯域をポアソン効果単独で達成すると、ねじの損傷をもたらし、したがって、商業上は実用的でない。
【0046】
当然のことながら、本出願のねじ付き管状連結体は、管状部材のための一体型管継手又は連結管継手に使用してもよい。一体型管継手では、ピン部材及びボックス部材は、管状部材の端に一体的に接合される。連結管継手では、ねじ付きカップリングが、管状部材のねじ付き端部を接合する。本発明のねじ付き管状連結体は、ドリルパイプ、ケーシング及びチュービングを含む、あらゆるタイプの油田管にも適用可能である。連結体は、プレーンエンド管、冷間成形スエージングエンド又は熱間鍛造アップセットエンドに用いられてもよい。
【0047】
望ましい実施形態では、管状連結体は、典型的には、細長い高性能連結体として特定される広範なグループに含まれる。連結体は、クリンプ部分を有する又は有しない、スエージング部分と一体にかしめられた又はかしめられていない、一方又は両方の部材に熱間鍛造アップセットされた、又は、クリンプピンエンドと結合した又は結合していない、一体型フラッシュ継手などの種々の実施形態に用いてもよい。一体型管継手及び連結管継手のいずれかのために、ねじ形状は、1つ以上の金属シール(内部と外部の両方)、積極的な位置停止(内側、外側又は中央)のための1つ以上のトルクショルダー、及びランイン/ランアウトねじなどの、他の一般的な高級連結体特徴部とともに用いられてもよいことが想定されるが、これらに限定はされない。
【0048】
ねじ形状を用いてもよい例示的な連結形態を、
図9及び10に示す。
図9の細長いフラッシュ継手100では、ピン部材80とボックス部材82の両方は、単一のテーパーの一定ピッチねじを有する。
図10の中央ショルダーシール継手102では、ピン部材とボックス部材の両方は、互いに関して段が付けられ、且つ中央ショルダーシール104によって離間された、それぞれ一対のねじを有する。ねじ形状を取り入れた他の連結形態も考えられる。
【0049】
ここでの教示により達成される広い帯域の接触は、圧縮荷重に反応して耐える領域を連結体の断面に加えることによって、圧縮荷重の連結性能に大きく貢献し、それにより、原料の降伏について全体の圧縮能力を増大させる。また、このような広い帯域の接触は、圧縮荷重に及び連結体内の制限移動に直ちに反応し、それにより、機械的又は熱的負荷サイクルの間、金属シールを隔絶し且つ保護し、連結体の三軸圧力保全性を向上させる。
【0050】
上記の記載が単なる説明及び例のためのものであり、限定のためのものでないことが明らかに理解される。変更及び修正がなされてもよい。