特許第6076983号(P6076983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6076983機械的強度を増加させる、鉱石微粉凝集物へのカーボンナノチューブの適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076983
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】機械的強度を増加させる、鉱石微粉凝集物へのカーボンナノチューブの適用
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/243 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   C22B1/243
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-528806(P2014-528806)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公表番号】特表2014-526612(P2014-526612A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】BR2012000344
(87)【国際公開番号】WO2013033805
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】61/532,420
(32)【優先日】2011年9月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510277338
【氏名又は名称】ヴァーレ、ソシエダージ、アノニマ
【氏名又は名称原語表記】VALE S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】フラビオ、デ、カストロ、デュトラ
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン、ポルト、ピミエンタ
(72)【発明者】
【氏名】バルディレネ、ゴンザカ、デ、レゼンデ
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−248831(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/063422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00−1/26
C01B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブを鉱石微粉凝集物へ適用し、機械的強度を向上させる方法であって、
カーボンナノチューブをマトリックス中に、機械的混合又は超音波プロセッサーを使用して、分散させること、
鉱石微粉との機械的混合を行い、混合物を得ること、及び
前記混合物を凝集させること
を含む、方法。
【請求項2】
高い機械的強度を有する鉱石凝集物の製造方法であって、
カーボンナノチューブをマトリックス中に分散させ、混合物を得ること、
前記混合物を調製すること、
前記混合物をペレット化又は団鉱形成もしくは押出し、ペレットまたは団鉱を形成すること、
前記形成させたペレットまたは団鉱をスクリーニングすること、
前記ペレットまたは団鉱を乾燥させること、及び
前記ペレットまたは団鉱をスクリーニングすること
を含む、方法。
【請求項3】
前記マトリックスが、少なくとも結合剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合剤が液体ケイ酸ナトリウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
カーボンナノチューブの分散を機械的混合により、又は超音波プロセッサー装置を使用して行い、ペレット化をディスク又はドラムで行い、乾燥をコンベヤーベルト炉で、温度約150〜200℃で行う、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブが前記マトリックス中に、5%以下の割合で加えられる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記マトリックスが、マニオク、コーンスターチ及びマイクロンシリカの少なくとも1つを含む添加剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
鉄鉱石微粉、ニッケル鉱石微粉、マンガン微粉またはこれらの混合物から選択される鉱石微粉と
ケイ酸ナトリウムを含む結合剤と、
カーボンナノチューブとを含む凝集物であって、
カーボンナノチューブを含まない凝集物より高い機械的強度を有する、凝集物。
【請求項9】
前記鉱石微粉凝集物が、向上された機械的強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記鉱石微粉凝集物が、鉄鉱石微粉、ニッケル鉱石微粉、マンガン鉱石微粉及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的強度を増加させる、鉱石微粉凝集物へのカーボンナノチューブの適用に関する。本発明は、機械的強度を高めた凝集物の製造方法、及びカーボンナノチューブを有する凝集物製品にも関する。
【発明の背景】
【0002】
今日では、ナノテクノロジーが、幾つもの研究分野、主として工学、化学、物理学及び生物学で具体化されている。ナノメートルスケールに基づく各種の革新的な製品が、世界市場ですでに商業化されている。カーボンナノチューブ技術は、その優れた機械的、電気的及び熱的特性のために、世界中の多くの研究チームにより研究されている現在最も話題のテーマの一つである。これらの特性はナノチューブの寸法及び構造の組合せによるものである。ナノチューブは、炭素原子のみから構成された円筒形幾何学的構造とナノメートル直径を有する結晶構造である。カーボンナノチューブの使用可能性は無数にあり、今日主として研究されている用途は材料の補強に関する。この可能性のシナリオに基づいて、本発明は、凝集製品の機械的強度を増加させることを目的とするカーボンナノチューブの用途に関する。
【0003】
鉱石凝集製品の物理的強度は、冶金反応器により必要とされる主要品質の一つであり、プロセスの生産性及びコストに直接影響する。カーボンナノチューブ技術は、鉱石微粉の凝集経路に対する用途に広範囲な可能性を開き、凝集製品に、とりわけ高い機械的強度を与える複合材料ネットとして作用する。
【0004】
現状技術水準は、鉱石の低温凝集における様々な技術を提供している。これらの技術は、結合剤、例えばセメント、モルタル、有機結合剤及び炭酸塩化された残留物、を使用する、鉱石微粉の凝集に基づいている。これらの結合剤に関連して、凝集物硬化を促進し、それらの物理的特性を改良するための幾つかの添加剤が存在する。幾つかの特許が、添加材の中で特に液体ケイ酸ナトリウムを使用する製鋼及び冶金工業で使用される、工業的残留物に関する凝集技術を示している。しかし、ケイ酸塩マトリックスを補強して、凝集製品の機械的強度を増加するための、カーボンナノチューブの用途は、報告されていない。
【0005】
米国特許出願公開第2002152839号には、少なくとも1000℃までの温度に耐える十分な強度を持った、粒子状鉄材料、例えば鋳込ペレット、団鉱(ブリケット)、等を含む成形体が記載されている。これらは、結合剤として十分に水和した高アルミナセメントを使用して得られる。高温におけるペレットの強度は、少量のベントナイト、シリカヒューム、又は他の好適な捕捉セメント材料、及び超可塑剤を加えることにより、さらに高めることができる。
【0006】
米国特許出願公開第2005061207号には、鉄鉱石濃縮物、炭素質還元剤、及び結合剤として特殊な必要条件を有する細かく分割したポルトランドセメントクリンカーを含む、自己還元性の、低温結合したペレットが記載されている。これらの成分を一つに組合せて混合物を形成する。混合物をボーリングディスク又は回転ドラム中に入れ、水を加えた時にペレットが製造される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、凝集物の製造に関する問題、例えば結合剤を大量に加える必要性、低温経路により製造される凝集物の低い機械的強度、輸送及び取扱いによる微粉の大量発生、サーマルチョック(thermal chock)による微粉の大量発生、及び特定の結合剤に由来する好ましくない元素による汚染、の幾つかを最少に抑えることである。本発明は、様々な種類の結合剤を使用する必要性を最少に抑え、新しい汚染物質(凝集物に有益であると考えられる炭素を除く)を加えず、凝集物の機械的強度を著しく増加し、輸送及び取扱いによる微粉の発生を抑え、この製品を、高強度を必要とすることが負担になっている反応器に使えるようにする。
【0008】
下記の表は、本発明と従来の技術を比較し、主な違いを強調している。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明を、下記の図面に基づいてより詳細に説明する。
図1図1は、カーボンナノチューブの量(結合剤の量に対して)と凝集製品の圧縮強度との関係を示す。
図2a図2aは、乾燥ペレットの第一の態様の機械的強度を示す。
図2b図2bは、第一の態様の試料を製造する際に使用したカーボンナノチューブに関連する、圧縮/機械的強度の増加を示す。
図3a図3aは、乾燥ペレットの第二の態様の機械的強度を示す。
図3b図3bは、第二の態様の試料を製造する際に使用したカーボンナノチューブに関連する、圧縮/機械的強度の増加を示す。
図4図4は、乾燥ペレットと比較した、濡れたペレットの機械的強度を示す。
【発明の目的】
【0010】
本発明は、鉱石微粉の凝集物にカーボンナノチューブを適用し、機械的強度を増加させる方法であって、
カーボンナノチューブをマトリックス中に、機械的混合又は超音波プロセッサーを使用して、分散させること、
鉱石と機械的混合を行うこと、及び
凝集させること
を含む、方法に関する。
【0011】
さらに、本発明は、高い機械的強度を有する鉱石凝集物の製造方法であって、
カーボンナノチューブをマトリックス中に分散させること、
混合物を製造すること(結合剤を混合物の他の成分に添加すること)、
ペレット化又は団鉱形成もしくは押出しすること、
ペレット/団鉱をスクリーニング(ふるい分け)すること、
乾燥させること、及び
スクリーニングすること
を含む、方法に関する。
【0012】
さらに、本発明は、鉱石微粉、結合剤及びカーボンナノチューブを含むマトリックス、及び必要であれば、他の添加剤を含む凝集物に関する。
【0013】
その上、本発明は、鉱石微粉凝集物の機械的強度を増加させるための、凝集鉱石微粉へのカーボンナノチューブの使用に関する。鉱石微粉は、鉄鉱石微粉、ニッケル鉱石微粉、マンガン鉱石微粉及びそれらの混合物から選択することができる。
【発明の詳細な説明】
【0014】
本発明に至った研究は、5つの段階から構成されている、即ち
(i)マトリックス(結合剤)中にカーボンナノチューブを分散させること、
(ii)該カーボンナノチューブと原料の混合物を調製し、凝集した製品を製造すること、
(iii)該凝集した製品の強度を測定すること、
(iv)材料分析の従来技術により、該凝集した製品を分析すること、及び
(v)ペレット化、焼結及び還元プロセスにおける該凝集製品の性能評価である。
【0015】
第一工程では、カーボンナノチューブをマトリックス(結合剤)中に機械的混合又は超音波プロセッサーを使用して分散させた。分散後、鉱石との機械的混合を行い、続いて凝集させた。カーボンナノチューブは、5%まで変化する量で加える。
【0016】
カーボンナノチューブは、この目的にすでに公知の任意の技術により、製造できる。
【0017】
出来上がった製品は、石炭、コークス微粉、石油コークス、石灰石、様々な残渣及び結合剤を含む(又は含まない)、鉄、ニッケル、及び/又はマンガン鉱石の凝集物である。これらの製品は、高温における硬化の必要無しに、鉄及び/又はマンガン及び/又はニッケル鉱石の天然及び/又は摩砕したペレット原料を使用し、ペレット化(製品はペレット)又は団鉱形成(製品は団鉱)のプロセスにより製造される。
【0018】
凝集物の製造方法は、主要結合剤として好ましくは液体ケイ酸ナトリウム(SiO/NaOモル比2.15〜3.90)を使用する。これを温度約60℃に加熱し、次いで混合物に加える。液体ケイ酸ナトリウムは、微粉鉱石及びフラックス剤の混合物に1.5〜4.5%含有量で加える。好ましくは、カーボンナノチューブは、ケイ酸塩に5%まで変化し得る比率で配合する。カーボンナノチューブの分散は、機械的混合により、又は超音波プロセッサー装置により行うことができる。
【0019】
カーボンナノチューブをマトリックス(結合剤はケイ酸ナトリウム)中に分散させた後、他の全ての所望により使用する成分を混合プロセスにかけ、続いてディスク/ドラムでペレット化又は団鉱形成する。得られた製品、即ちペレット及び団鉱、は、スクリーニングし、温度150〜200℃で乾燥プロセスにかける。製品は、乾燥した状態又は高湿分条件で、カーボンナノチューブを含まない製品と比較して、高い機械的強度を示す。
【0020】
図1で、少量のカーボンナノチューブを加えた、低温硬化の凝集した製品の強度増加を確認できる。鉱石及び結合剤の混合物中にカーボンナノチューブ0.01%(結合剤の量に対して)を使用することにより、基準試料、即ちナノチューブが存在しない試料、と比較して、凝集物の圧縮強度が50%以上増加することが、上記の図から観察され、立証された。
【0021】
所望により、他の添加剤、例えばマニオク及びコーンスターチ、並びにマイクロンシリカ(金属シリコンの製造で使用される粉塵を除くフィルターに保持される残留物)を、結合剤との組合せで使用し、製品の品質を改良することができる。マニオク/コーンスターチは、0.5〜1.0%の比率で使用し、強度、及び製品の摩耗による微粉の発生を改善することができる。マイクロンシリカは、ケイ酸ナトリウムと組み合せてもよく、又は0.3%〜1%の濃度で、製品の機械的強度を落とさない、独特の結合剤である。
【0022】
これらの製品を製造する技術経路は、下記の単位操作を必要とする。
1.マトリックス(結合剤)中へのカーボンナノチューブの分散、
2.混合物の製造、即ち混合物の他の成分への結合剤の添加、
3.ディスク(又はドラム)によるペレット化又は団鉱形成、
4.ペレット/団鉱をスクリーニング、
5.コンベヤーベルト炉中で150〜200℃の温度における乾燥、
6.スクリーニング。
【0023】
本発明の応用は、ペレット原料、及び凝集(焼結及びペレット化)及び還元(溶鉱炉、直接還元反応器、等)のプロセスで使用できる物理的及び冶金学的品質を有する、鉄、マンガン及びニッケル鉱石の残留物から凝集物を製造できるので、かなり広い。従って、本発明は、鉱業及び製鋼工業に応用できる。
【0024】
良好な化学的品質を有するペレット原料の凝集を行う低温経路により凝集物を製造する可能性は、商業的及び戦略的な利益、例えば
(i)物理的及び化学的品質に欠ける、低コストの焼結原料を調整し、
(ii)鉱山の破片(焼結原料/ペレット原料)に対する活動を可能にし、
(iii)現在供給が無い、焼結原料の需要を掘り起こし、及び
(iv)高温で還元反応器に使用できる高い圧縮強度を有する、ペレット及び自己還元性団鉱の製造を促進することに加えて、需要が無いペレット原料の市場を主として開拓すること
を促進できる重要な選択肢になり得る。
【0025】
試験
カーボンナノチューブを加えることによる、凝集物の機械的強度(又は圧縮強度)の増加を確認するために、以下に記載するように幾つかの試験/検定を行った。
【0026】
アルカリ性ケイ酸ナトリウム中にカーボンナノチューブを加える評価−試験01。
問題とする特性は、機械的強度の増加である。
試験した処方は以下の通りである。
【表2】
【表3】
【0027】
カーボンナノチューブをケイ酸ナトリウム中に、超音波プロセッサーを使用し、固体プローブを使用し55%振幅で、5分間隔をおいて20〜40分間分散させた。
【0028】
その後、この分散液をアイリッヒ(Eirich)ミキサーで、2分間乾燥のまま混合し、さらに水及び結合剤を入れて2分間混合した。次いで、団鉱を得た。
【0029】
団鉱形成後、良好な団鉱の含有量を測定した。そのような団鉱の湿分も、10個の団鉱を温度110℃で1時間乾燥させることにより、測定した。
【0030】
機械的(圧縮)強度は、圧縮試験装置を使用して、30個の生団鉱を圧縮負荷にかけることにより、測定した。圧縮強度は、団鉱の小さい方の寸法を考慮して行った。
【0031】
他の圧縮強度試験は、硬化させた団鉱で、室温で7日間行った。
【0032】
良好な団鉱50%を、キルン中、温度150℃で、湿分1%未満に達するまで、乾燥/硬化させた。その後、30個の団鉱をクラトス(Kratos)プレスで試験した。
【0033】
他の圧縮強度は、検定後、放射加熱炉中、N雰囲気中、1250℃で行った。そのような試験後に発生した断片を分析し、金属化度を得た。
【0034】
下記の表から、カーボンナノチューブ及び結合剤としてケイ酸ナトリウムを使用することによる、圧縮強度の増加が確認された。
【表4】
【0035】
カーボンナノチューブ0.25%/0.5%をケイ酸ナトリウムに加えることにより、圧縮強度がそれぞれ42%および56%増加したと結論付けることができる。この増加は、結合剤使用量の低下に転換することができ、従って、凝集コストの低下につながる。
【0036】
アルカリ性ケイ酸ナトリウム中にカーボンナノチューブを加える評価−試験02
異なった種類の結合剤、及び結合剤とカーボンナノチューブの混合物を製造するための異なった方法を使用して、2種類の処方を試験した。
【表5】
【表6】
【0037】
そのような混合物を調製した後、試料をペレット化工程にかけ、平均直径10〜12mmのペレット又は直径が6mm未満の小型ペレットを形成した。次いで、試料を乾燥させた。
【0038】
試料を、摩耗試験、クラトスプレスを使用する乾燥及び湿潤ペレットの圧縮強度及び放射加熱炉を使用する高温における圧縮強度による、物理的特性試験にかけた。
【0039】
乾燥ペレットの圧縮強度試験は、図2a及び2bに示すように、処方A(0.1%ナノチューブで)の試料が52%までの強度増加を示した。
【0040】
乾燥ペレットの圧縮強度試験は、図3a及び3bに示すように、処方Bの試料が63%までの強度増加を示した。
【0041】
この試験の次の工程で、各試料の5個のペレットを、水に5分間浸漬した。その直後、試料を圧縮強度試験にかけた。結果を図4に示す。図4で、乾燥ペレットと比較して、湿潤ペレットにより達成された圧縮強度はより低いが、機械的強度はなお高いことが分かる。
【0042】
アルカリ性ケイ酸ナトリウム中にカーボンナノチューブを加える評価−試験03
異なった量のカーボンナノチューブ使用して、2種類の処方を試験し、鉄鉱石ペレットを製造した。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0043】
カーボンナノチューブをケイ酸ナトリウムに加え、55%振幅及び固体プローブで、5分間隔で20〜40分間、超音波プロセッサーにより、分散させた。使用したケイ酸ナトリウムは、モル比SiO/NaO=2.40を有する。
【0044】
その後、この分散液を、アイリッヒミキサーで、2分間乾燥混合し、さらに2分間水及び結合剤と共に混合した。次いで、ペレットを、ペレット化ディスク中で製造し、篩にかけ、キルン中で120℃で2時間乾燥させた。乾燥後、圧縮強度をクラトスプレスで測定した。
【0045】
処方Aに関連する圧縮強度試験の結果を下記の表に示す。
【表11】
【0046】
最良の結果は、高いカーボンナノチューブの濃度を使用して達成されたことが分かる。この増加は、結合剤の減少、従って凝集物コストの低下に転換することができる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4