特許第6077024号(P6077024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6077024筐体用材料、電子機器及び筐体用材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077024
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】筐体用材料、電子機器及び筐体用材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20170130BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   H05K5/02 J
   G06F1/16 312A
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-11390(P2015-11390)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2016-136586(P2016-136586A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100132595
【弁理士】
【氏名又は名称】袴田 眞志
(72)【発明者】
【氏名】溝口 文武
(72)【発明者】
【氏名】野原 良太
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】大塚 亮
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−232052(JP,A)
【文献】 特開2011−165206(JP,A)
【文献】 特開2008−003714(JP,A)
【文献】 特開2005−128804(JP,A)
【文献】 特開2001−287291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00−5/06
H05K 7/18
G06F 1/00,1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の繊維強化樹脂板の間に発泡層を挟んだ板状体と、該板状体の周縁部に熱可塑性樹脂で形成されたフレーム体を接合した筐体用材料であって、
前記板状体は、その周縁部が前記発泡層を間に挟まずに前記一対の繊維強化樹脂板同士を接合させた耳状の接合部で形成されることで、前記一対の繊維強化樹脂板の内側に前記発泡層を封止した構造であり、
前記フレーム体は、前記接合部と接触した状態で前記板状体に対して接合されていることを特徴とする筐体用材料。
【請求項2】
請求項1記載の筐体用材料において、
前記接合部は、当該筐体用材料の外面に沿った平板部を有し、
前記フレーム体は、前記平板部の内面に対して接合されていることを特徴とする筐体用材料。
【請求項3】
請求項2記載の筐体用材料において、
前記平板部は、当該筐体用材料の少なくとも一部の縁部まで延在していることを特徴とする筐体用材料。
【請求項4】
請求項3記載の筐体用材料において、
前記接合部は、前記平板部を当該筐体用材料の縁部で曲げた曲げ部を有し、
前記フレーム体は、前記曲げ部の内面に対して接合されていることを特徴とする筐体用材料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の筐体用材料において、
前記繊維強化樹脂板は、炭素繊維を含むことを特徴とする筐体用材料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の筐体用材料において、
前記発泡層は、前記繊維強化樹脂板よりも外形が小さい平面形状を有し、前記一対の繊維強化樹脂板の周縁部よりも内側に配置されていることを特徴とする筐体用材料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の筐体用材料において、
前記フレーム体は、前記熱可塑性樹脂を射出成形することで前記板状体に対して接合されていることを特徴とする筐体用材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の筐体用材料を用いたクラムシェル型の電子機器であって、前記筐体用材料を蓋体の背面カバーとして用いたことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の筐体用材料を用いたタブレット型の電子機器であって、前記筐体用材料を背面板として用いたことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の筐体用材料を用いたクラムシェル型又はタブレット型の電子機器であって、
当該電子機器が、前記クラムシェル型の場合は前記筐体用材料を蓋体の背面カバーとして用いる一方、前記タブレット型の場合は前記筐体用材料を背面板として用い、
前記蓋体又は前記背面板は、矩形平板状であり、
前記蓋体又は前記背面板の4辺のうちの少なくとも1辺では、前記平板部が該蓋体又は該背面板の縁部まで延在されない構造であり、
前記縁部まで延在されていない平板部と前記縁部との間には前記フレーム体が設けられると共に、該フレーム体の内側に無線通信用のアンテナを設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
少なくとも一対の繊維強化樹脂板の間に該繊維強化樹脂板よりも外形が小さい平面形状の発泡層を挟み、前記発泡層が間に挟まれていない前記一対の繊維強化樹脂板の周縁部同士をプレスして耳状の接合部を設けることで、前記一対の繊維強化樹脂板の内側に前記発泡層を封止した板状体を形成し、
前記板状体の周縁部に設けた接合部に対して接触するように熱可塑性樹脂を射出成形することで、前記板状体の周縁部にフレーム体を形成することを特徴とする筐体用材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型PC等の電子機器の筐体に利用可能な筐体用材料、該筐体用材料を用いた電子機器及び該筐体用材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型のパーソナルコンピュータ(ノート型PC)、タブレット型のパーソナルコンピュータ(タブレット型PC)、スマートフォン及び携帯電話等の各種の電子機器の筐体は、軽量、薄型且つ高強度である必要がある。そこで、電子機器の筐体には、炭素繊維等の強化繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ板(繊維強化樹脂板)で発泡層を挟み込んだ板状の筐体用材料が広く用いられている。
【0003】
このような筐体用材料に関し、本出願人は、繊維強化樹脂板の間に発泡層を挟んだ板状体の周縁部に対し、熱可塑性樹脂を射出成形することでフレーム体を接合した構造を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−232052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載した従来技術では、板状体の端面に熱可塑性樹脂を射出成形し、該熱可塑性樹脂を繊維強化樹脂板間に挟まれた発泡層に浸入させることでアンカー効果を生じさせ、これにより高い接合強度を得ることができる。ところが、この構造では、熱可塑性樹脂の発泡層への浸入量の管理が難しく、製造管理が煩雑である。
【0006】
また、この構造では、筐体外面側の繊維強化樹脂板を筐体内面側の繊維強化樹脂板よりも縁部に向かって突出させているため、板状体と熱可塑性樹脂の接触面積を確保でき、その接合強度を確保することができる。ところが、板状体の周縁部の部位によっては、外面側の繊維強化樹脂板の突出量を確保できず、十分な接触面積による高い接合強度の確保が難しい場合もある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、製造管理が容易であると共に、高い強度を得ることができる筐体用材料、該筐体用材料を用いた電子機器及び該筐体用材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る筐体用材料は、少なくとも一対の繊維強化樹脂板の間に発泡層を挟んだ板状体と、該板状体の周縁部に熱可塑性樹脂で形成されたフレーム体を接合した筐体用材料であって、前記板状体は、その周縁部が前記発泡層を間に挟まずに前記一対の繊維強化樹脂板同士を接合させた耳状の接合部で形成されることで、前記一対の繊維強化樹脂板の内側に前記発泡層を封止した構造であり、前記フレーム体は、前記接合部と接触した状態で前記板状体に対して接合されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、一対の繊維強化樹脂板間に発泡層が封止されていることで、板状体へのフレーム体の接合時、フレーム体を形成する熱可塑性樹脂が発泡層内に浸入しないため、その製造管理が容易であり、製造コストを低減できる。また、板状体の周縁部に設けた接合部とフレーム体とを接触させて接合させるため、これら板状体とフレーム体との間の接触面積を十分に確保でき、高い接合強度を得ることができる。
【0010】
前記接合部は、当該筐体用材料の外面に沿った平板部を有し、前記フレーム体は、前記平板部の内面に対して接合されていてもよい。これにより、当該筐体用材料の外面が平板部(及びフレーム体)によって面一に形成されるため外観品質が高い。
【0011】
前記平板部は、当該筐体用材料の少なくとも一部の縁部まで延在していてもよい。これにより、当該筐体用材料の外形全体に亘って高い強度を確保できると共に、外面に繊維強化樹脂板とフレーム体の継ぎ目が現れないことから外観品質が一層高くなり、継ぎ目を隠すための表面処理等の後処理を低減又は不要とすることができる。
【0012】
前記接合部は、前記平板部を当該筐体用材料の縁部で曲げた曲げ部を有し、前記フレーム体は、前記曲げ部の内面に対して接合されていてもよい。これにより、当該筐体用材料の外面から側面の外面までを繊維強化樹脂板で一体的に形成することができるため、一層高強度になると共に、表面処理等の後処理を一層低減することができる。
【0013】
前記繊維強化樹脂板は、炭素繊維を含む構成であってもよい。
【0014】
前記発泡層は、前記繊維強化樹脂板よりも外形が小さい平面形状を有し、前記一対の繊維強化樹脂板の周縁部よりも内側に配置されていると、繊維強化樹脂板の内側に板状体を封止した板状体を容易に成形できる。
【0015】
前記フレーム体は、前記熱可塑性樹脂を射出成形することで前記板状体に対して接合されていてもよい。
【0016】
本発明に係る電子機器は、上記構成の筐体用材料を用いたクラムシェル型の電子機器であって、前記筐体用材料を蓋体の背面カバーとして用いたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る電子機器は、上記構成の筐体用材料を用いたタブレット型の電子機器であって、前記筐体用材料を背面板として用いたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る電子機器は、上記構成の筐体用材料を用いたクラムシェル型又はタブレット型の電子機器であって、当該電子機器が、前記クラムシェル型の場合は前記筐体用材料を蓋体の背面カバーとして用いる一方、前記タブレット型の場合は前記筐体用材料を背面板として用い、前記蓋体又は前記背面板は、矩形平板状であり、前記蓋体又は前記背面板の4辺のうちの少なくとも1辺では、前記平板部が該蓋体又は該背面板の縁部まで延在されない構造であり、前記縁部まで延在されていない平板部と前記縁部との間には前記フレーム体が設けられると共に、該フレーム体の内側に無線通信用のアンテナを設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る筐体用材料の製造方法は、少なくとも一対の繊維強化樹脂板の間に該繊維強化樹脂板よりも外形が小さい平面形状の発泡層を挟み、前記発泡層が間に挟まれていない前記一対の繊維強化樹脂板の周縁部同士をプレスして耳状の接合部を設けることで、前記一対の繊維強化樹脂板の内側に前記発泡層を封止した板状体を形成し、前記板状体の周縁部に設けた接合部に対して接触するように熱可塑性樹脂を射出成形することで、前記板状体の周縁部にフレーム体を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、繊維強化樹脂板の内側に発泡層が封止されていることで、板状体へのフレーム体の接合時、フレーム体を形成する熱可塑性樹脂が発泡層内に浸入しないため、その製造管理が容易であり、製造コストを低減できる。また、板状体の周縁部に設けた接合部とフレーム体とを接触させて接合させるため、これら板状体とフレーム体との間の接触面積を十分に確保でき、高い接合強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る筐体用材料で形成された電子機器用筐体で構成した蓋体を備える電子機器の斜視図である。
図2図2は、蓋体の背面カバーの構成を模式的に示す平面図である。
図3図3は、図2中のIII−III線に沿う端面図である。
図4図4は、図2中のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図5は、図3に示す周辺部の変形例に係る周縁部を示す断面図である。
図6図6は、図4に示す周辺部の変形例に係る周縁部を示す断面図である。
図7図7は、本実施形態に係る筐体用材料の製造方法を説明するための断面図である。
図8図8は、本実施形態に係る筐体用材料をタブレット型PCの背面カバーとして用いた構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る筐体用材料について、この材料を利用した電子機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る筐体用材料10で形成された電子機器用筐体12で構成した蓋体14を備える電子機器16の斜視図である。本実施形態では、筐体用材料10で形成された電子機器用筐体12をノート型PCである電子機器16の蓋体14に利用した構成を例示する。
【0024】
図1に示すように、電子機器16は、キーボード装置18を有する機器本体20と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ装置22を有する矩形平板状の蓋体14とを備え、蓋体14を左右のヒンジ24により機器本体20に対して開閉可能に連結したクラムシェル型である。機器本体20の内部には、図示しない基板、演算処理装置、ハードディスク装置及びメモリ等の各種電子部品が収納されている。
【0025】
蓋体14は、背面カバー12aと正面カバー12bとを有する電子機器用筐体12を備える。背面カバー12aは、蓋体14の側面及び背面を覆うカバー部材であり、本実施形態に係る筐体用材料10によって形成されている。正面カバー12bは、蓋体14の正面をディスプレイ装置22と共に覆う樹脂製のカバー部材である。電子機器用筐体12内部の上端部付近には、左右一対のアンテナ26,26が設けられている。各アンテナ26は、無線通信等で用いる電波の送受信に用いられる。
【0026】
次に、蓋体14の背面カバー12a及びこの背面カバー12aを形成する筐体用材料10の構成について具体的に説明する。
【0027】
先ず、背面カバー12aの全体的な構成を説明する。図2は、蓋体14の背面カバー12aの構成を模式的に示す平面図であり、ディスプレイ装置22等が収納される背面カバー12aの内面を示した図である。
【0028】
上記の通り、背面カバー12aは筐体用材料10によって形成されている。背面カバー12aは、図2に示すように、その周縁部に電子機器用筐体12の4辺の側面となる壁部28が起立形成されたパネル状のカバー部材である。
【0029】
背面カバー12aの上縁部の内面には、アンテナ26が設けられる。背面カバー12aの下縁部には、一対のヒンジ24,24が配設される一対の凹部29,29が切欠き形成されている。
【0030】
次に、背面カバー12aを構成する筐体用材料10の具体的な構成を説明する。図3は、図2中のIII−III線に沿う端面図であり、図4は、図2中のIV−IV線に沿う断面図である。
【0031】
図2図4に示すように、筐体用材料10は、上下一対の繊維強化樹脂板(プリプレグ層)30,30間に発泡層32を挟み込んだ積層構造の板状体34と、板状体34の周縁部40,41に接合されたフレーム体36とを備える。
【0032】
各繊維強化樹脂板30は、強化繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグである。本実施形態では、強化繊維として炭素繊維を用いた炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いている。強化繊維としては、炭素繊維以外であってもよく、ステンレス繊維等の金属繊維やガラス繊維等の無機繊維等、各種材料を用いてもよい。
【0033】
発泡層32は、一対の繊維強化樹脂板30,30間に設けられ、これら硬質の繊維強化樹脂板30,30間を離隔させる軟質のスペーサである。発泡層32を設けたことにより、板状体34の板厚方向の断面係数が増大し、軽量且つ高強度な構造となる。発泡層32は、例えばポリプロピレン等の発泡シートで構成される。
【0034】
図3及び図4に示すように、板状体34は、その4辺の周縁部が発泡層32を間に挟まずに一対の繊維強化樹脂板30,30同士を接合させた耳状の接合部38で形成されることで、一対の繊維強化樹脂板30,30の内側に発泡層32を封止した構造とされている。接合部38は、当該板状体34を成形する際に繊維強化樹脂板30,30同士をプレスして接合したものである。なお、板状体34は、3枚以上の繊維強化樹脂板30の各層間にそれぞれ発泡層32を挟み込んだ5層以上の積層構造であってもよく、この場合、接合部38は3枚以上の繊維強化樹脂板30同士を接合して構成される。
【0035】
図3及び図4から明らかなように、本実施形態の板状体34の4辺の周縁部は、背面カバー12aのアンテナ26が配設される上縁部(上辺)と、それ以外の左右側縁部(左辺、右辺)及び下縁部(下辺)とで構造が異なる。
【0036】
先ず、図3に示すように、アンテナ26が配設された側の上辺以外の左辺、右辺及び下辺の周縁部40(図2も参照)では、接合部38は、筐体用材料10(背面カバー12a)の外面42と面一で該外面42に沿って延びた平板部38aと、縁部で平板部38aを背面カバー12aの内方へと直交するように曲げた曲げ部38bとを有する。なお、平板部38aを実質的にゼロ長さとし、発泡層32との境界付近の接合部38を曲げて曲げ部38bを形成してもよい。板状体34の内面側(図3中で下側)の繊維強化樹脂板30には、接合部38付近で外面側の繊維強化樹脂板30側に向かって傾斜した傾斜面30aが形成されている。
【0037】
フレーム体36は、これら平板部38a、曲げ部38b及び傾斜面30aの内面に熱可塑性樹脂を射出成形することで板状体34に対して接合されている。フレーム体36は、正面カバー12bを取り付けるための図示しないねじ穴やリブ形状等が形成される枠状部分である。フレーム体36を形成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等を用いるとよく、これらの樹脂にガラス繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化樹脂(例えば、GFRP)を用いてもよい。本実施形態の場合、フレーム体36は非導電性材料で形成される。
【0038】
従って、図3に示す周縁部40では、筐体用材料10の外面縁部まで繊維強化樹脂板30を接合した接合部38の平板部38aが延在し、その内側にフレーム体36が接合されている。さらに、周縁部40の壁部28は、その外面の大部分が接合部28の曲げ部38bによって形成され、その内側にフレーム体36が接合された構造となっている。
【0039】
これにより、周縁部40では、接合部38によって繊維強化樹脂板30とフレーム体36との接合面積(接触面積)を十分に確保することができるため、板状体34とフレーム体36との間を高い接合強度で接合することができる。また、高強度の繊維強化樹脂板30によって筐体用材料10の外面42を縁部まで形成し、それよりも低強度のフレーム体36をその内側に接合しているため、周縁部40全体の強度を確保できる。さらに、外面42に繊維強化樹脂板30とフレーム体36の継ぎ目が現れないため外観品質が高く、継ぎ目を隠すための表面処理等の後処理も不要となるため製造コストを低減できる。
【0040】
次に、図4に示すように、アンテナ26が配設された側の上辺の周縁部41(図2も参照)では、接合部38は、筐体用材料10(背面カバー12a)の外面42と面一で該外面42に沿って発泡層32の端部から僅かに延びた平板部38aを有する。これにより、周縁部41の平板部38aは、図3に示す周縁部40の平板部38aと異なり、筐体用材料10の縁部まで達していない。また、周縁部41においても板状体34の内面側(図4中で下側)の繊維強化樹脂板30には傾斜面30aが形成されている。
【0041】
フレーム体36は、これら平板部38aの内面及び端面と傾斜面30aの内面に熱可塑性樹脂を射出成形することで板状体34に対して接合されている。この構成の場合、フレーム体36は、背面カバー12aの外面42と面一で該外面42に沿って延び、縁部で背面カバー12aの内方へと突出するように形成されている。
【0042】
従って、図4に示す周縁部41では、繊維強化樹脂板30同士を接合した接合部38の平板部38aが筐体用材料10の縁部までは延在せず、その内側及び側方にフレーム体36が接合されている。さらに、周縁部41の壁部28がフレーム体36によって形成され、この壁部28の内側にアンテナ26が設けられている。
【0043】
これにより、周縁部41では、周縁部40の場合よりは小さいものの、接合部38によって繊維強化樹脂板30とフレーム体36との接合面積(接触面積)を十分に確保することができるため、板状体34とフレーム体36との間を高い接合強度で接合することができる。また、アンテナ26の外面側に導電性材料である繊維強化樹脂板30が配置されず、非導電性材料のフレーム体36が配置されているため、アンテナ26の感度が良好なものとなる。なお、電子機器16の仕様等によりアンテナ26の設置が不要な場合には、周縁部41についても図3に示す周縁部40と同一構造としてもよい。
【0044】
このような周縁部40,41の形状は、図3図4に示される形状以外であっても勿論よい。例えば周縁部40について、図5に示すように曲げ部38bを省略した形状とした周縁部40Aとしてもよい。この周縁部40Aでは、接合部38の平板部38aが筐体用材料10の縁部まで延在しており、この平板部38aの内面側にフレーム体36が接合されている。
【0045】
また、例えば周縁部41について、図6に示すように平板部38aを筐体用材料10の外面42と段違いに形成した周縁部41Aとしてもよい。この周縁部41Aでは、図4に示す周縁部41に比べて平板部38aの内側及び側方に加えて外側にもフレーム体36が接合されるため、板状体34に対するフレーム体36の接合強度が一層高いものとなる。
【0046】
図7は、本実施形態に係る筐体用材料10の製造方法を説明するための断面図である。
【0047】
筐体用材料10を製造する際には、先ず、所定の外形(例えば矩形形状)からなる平面形状の繊維強化樹脂板30を一対準備し、その間にこれら繊維強化樹脂板30よりも小さい所定の外形(例えば矩形形状)からなる平面形状の発泡層32(例えば発泡シート)を挟み、全体を積層方向にプレスする。この際、周縁部40,41では、発泡層32が間に挟まれていない一対の繊維強化樹脂板30,30同士をプレスすることで、周縁部40,41に形成した耳状の接合部38によって内側に発泡層32を封止したサンドイッチ構造の板状体34を形成する。
【0048】
続いて、図7に示すように、板状体34を金型44にセットし、注入口44aからキャビティ46内へと溶融した熱可塑性樹脂を充填することで、熱可塑性樹脂を板状体34の接合部38に接触するように射出成形する。なお、図7では図3に示す周縁部40の製造方法を例示しているが、図4に示す周縁部41の製造方法についても略同様である。その結果、図3及び図4に示すように、板状体34の周縁部40,41にフレーム体36が形成され、当該筐体用材料10が成形される。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る筐体用材料10では、板状体34は、その周縁部40(40A)、41(41A)が発泡層32を間に挟まずに一対の繊維強化樹脂板30,30同士を接合させた耳状の接合部38で形成されることで、一対の繊維強化樹脂板30,30の内側(中央部分)に発泡層32を封止した構造であり、フレーム体36は、接合部38と接触した状態で板状体34に対して接合されている。
【0050】
従って、繊維強化樹脂板30,30間に発泡層32が封止されていることで、板状体34へのフレーム体36の接合時、フレーム体36を形成する熱可塑性樹脂が発泡層32内に浸入しないため、その製造管理が容易であり、製造コストを低減できる。また、板状体34の周縁部40,41に設けた接合部38とフレーム体36とを接触させて接合させるため、これら板状体34とフレーム体36との間の接触面積を十分に確保でき、高い接合強度を得ることができて当該筐体用材料10の強度も高いものとなる。
【0051】
接合部38は、当該筐体用材料10の外面42に沿った平板部38aを有し、フレーム体36は、平板部38aの内面に対して接合されている(図3図6参照)。これにより、当該筐体用材料10の外面42が平板部38a(及びフレーム体36)によって面一に形成されるため外観品質が高い。この際、図3図5に示す周縁部40,40A,41では、平板部38aが当該筐体用材料10の縁部まで延在している。このため、筐体用材料10の外形全体に亘って高い強度を確保できると共に、外面42に繊維強化樹脂板30とフレーム体36の継ぎ目が現れないことから外観品質が一層高くなり、継ぎ目を隠すための表面処理等の後処理を低減又は不要とすることができる。
【0052】
この場合、図3に示す周縁部40では、接合部38は、平板部38aを縁部で曲げた曲げ部38bを有し、フレーム体36は、曲げ部38bの内面に対しても接合されている。換言すれば、当該筐体用材料10では、板状体34の周縁部40に発泡層32を有しない接合部38を設けたことにより、発泡層32が障害となることなく該接合部38に対して絞り加工を施して曲げ部38bを形成することができる。これにより、筐体用材料10の外面42から側面となる壁部28の外面までを繊維強化樹脂板30で一体的に形成することができるため、一層高強度になると共に、表面処理等の後処理を一層低減することができる。
【0053】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、筐体用材料10を電子機器16を構成する蓋体14の電子機器用筐体12として用いた構成を例示したが、筐体用材料10は機器本体20に用いてもよい。
【0055】
また、上記した筐体用材料10は、ノート型PC以外、例えばタブレット型PC、デスクトップ型PC、スマートフォン又は携帯電話等、各種電子機器の筐体用材料として利用可能である。例えば、図8に示すように、タブレット型PCである電子機器50の場合には、タッチ操作可能なディスプレイ装置52を電子機器用筐体54の前面に有するため、矩形平板状の背面カバー(背面板)54aを筐体用材料10で形成するとよい。この際、アンテナ26が設けられた電子機器用筐体54の上辺を図4に示す周縁部41と同様な構造とし、他の3辺を図3に示す周縁部40と同様な構造とするとよい。
【符号の説明】
【0056】
10 筐体用材料
12,54 電子機器用筐体
12a,54a 背面カバー
12b 正面カバー
14 蓋体
16,50 電子機器
18 キーボード装置
20 機器本体
22,52 ディスプレイ装置
24 ヒンジ
26 アンテナ
28 壁部
30 繊維強化樹脂板
30a 傾斜面
32 発泡層
34 板状体
36 フレーム体
38 接合部
38a 平板部
38b 曲げ部
40,40A,41,41A 周縁部
42 外面
44 金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8