(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077029
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】エルボガード
(51)【国際特許分類】
A63B 71/14 20060101AFI20170130BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
A63B71/14 F
A41D13/08
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-28234(P2015-28234)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-150079(P2016-150079A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2015年9月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040165
【氏名又は名称】株式会社二子商事
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】西本 充晶
【審査官】
槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6205583(US,B1)
【文献】
特開2008−308788(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3029092(JP,U)
【文献】
特表2003−505173(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0289051(US,A1)
【文献】
米国特許第05477559(US,A)
【文献】
特開2002−177435(JP,A)
【文献】
実開昭60−25714(JP,U)
【文献】
特開2015−47171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/08−71/14
A63B 69/00
A41D 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト部材(3)と、肘部(E)に上記ベルト部材(3)によって取付けられる肘当て本体(1)と、該肘当て本体(1)の下端縁(10)から垂下状に取着される延長保護片(2)と、から成り、
上記延長保護片(2)の表て面に、面状ファスナーの雄部(8)を形成し、かつ、上記肘当て本体(1)の裏面に、面状ファスナーの雌部(9)を略全面にわたって形成し、上記延長保護片(2)を上記肘当て本体(1)に着脱自在にするとともに、上記肘当て本体(1)の下端縁(10)からの上記延長保護片(2)の突出長さ寸法(L)を変更可能とし、かつ、上記延長保護片(2)の突出方向を、変更可能としたことを特徴とするエルボガード。
【請求項2】
上記肘当て本体(1)は、緩衝用パッド部(6)を備え、該パッド部(6)は、表皮(11)と発泡内装体(4)と裏生地(12)を積層状に有し、
上記発泡内装体(4)と上記裏生地(12)には、上記肘部(E)を受ける凹窪部(13)が形成され、かつ、上記裏生地(12)の肘対応面(12a)には、上記面状ファスナーの雌部(9)が形成されている請求項1記載のエルボガード。
【請求項3】
上記延長保護片(2)は、複数本のステッチ(15)が縫製されている請求項1又は2記載のエルボガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球技用のエルボガードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野球やソフトボール等の球技に於て、投球されたボールが打者の肘部及び前腕部に直接当たらないようにするエルボガードが使用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−505173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のエルボガードは、一体の防具を肘部から前腕部にわたって巻き付けて装着する為、長さ調節が出来なかった。使用者の体格や好みによって、エルボガードの長さ寸法が長すぎたり、短すぎたりすることがあった。例えば、エルボガードが長すぎると、使用者が違和感を感じ、プレーの邪魔になるという欠点があった。一方、エルボガードが短すぎると、腕部を十分に保護することができない為、ボールの直撃によってケガをする虞れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、使用者の体格や好みに応じて、下半部の向きや長さ寸法を調整できるエルボガードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエルボガードは、
ベルト部材と、肘部に
上記ベルト部材によって取付けられる肘当て本体と、該肘当て本体の下端縁から垂下状に取着される延長保護片と
、から成り、上記延長保護片の表て面に、面状ファスナーの雄部を形成し、かつ、上記肘当て本体の裏面に、面状ファスナーの雌部
を略全面にわたって形成
し、上記延長保護片を上記肘当て本体に着脱自在にするとともに、上記肘当て本体の下端縁からの上記延長保護片の突出長さ寸法を変更可能とし、かつ、上記延長保護片の突出方向を、変更可能としたものである。
【0007】
また、上記肘当て本体は、緩衝用パッド部を備え、該パッド部は、表皮と発泡内装体と裏生地を積層状に有し、上記発泡内装体と上記裏生地には、上記肘部を受ける凹窪部が形成され、かつ、上記裏生地の肘対応面には、上記面状ファスナーの雌部が形成されているものである。
また、上記延長保護片は、複数本のステッチが縫製されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエルボガードによれば、面状ファスナーによって延長保護片を肘当て本体に着脱自在に取着でき、使用者の体格や好みに応じて、延長保護片の突出長さ寸法、及び、延長保護片の突出方向(向き)を自由に変更することができる。延長保護片の着脱が非常に容易であり、かつ、迅速に行うことができる。使用者が延長保護片を必要としない場合には、簡単に取外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の一形態を示した正面図である。
【
図2】本発明の実施の一形態を示した背面図である。
【
図5】
図1のC−C断面図であり、(A)は全体の断面図であり、(B)は要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1と
図6に示すように、本発明のエルボガードは、肘部Eに装着される肘当て本体1と、肘当て本体1の下端縁10から垂下状に取着される延長保護片2とを、備えている。本発明のエルボガードは、野球、ソフトボール等のスポーツ(球技)の打者用として使用され、投球されたボールの直撃から肘部Eと前腕部Fを保護するように、使用者の肘部E近傍にベルト部材3を巻き付けて装着する。
【0011】
肘当て本体1は、硬質保護部5と、硬質保護部5の裏面側に縫着される緩衝用パッド部6とを、有している。
図3と
図4に示すように、緩衝用パッド部6は、表皮11と、発泡内装体4と、裏生地12とを、積層状に有し、裏生地12の肘対応面12aには、面状ファスナーの雌部9が形成されている。言い換えると、肘当て本体1の裏面には、面状ファスナーの雌部9が略全面にわたって形成されている。なお、例えば、パッド部6の表皮11はポリエステル系合成樹脂又は合成皮革とし、発泡内装体4はポリウレタン系発泡樹脂とし、裏生地12はポリエステル系合成樹脂とするのが好ましい。パッド部6の外周縁には、全周にわたって縁巻部19が縫製されている。
【0012】
図2と
図3に示すように、発泡内装体4と裏生地12には、肘部Eを受ける凹窪部13が形成され、凹窪部13の左右側部に突隆部14,14を備えている。
凹窪部13は、自由状態で弯曲面状に形成されており、横断面(
図3のA−A断面)に於ける凹窪部13の第1曲率半径R
1を、縦断面(
図4のB−B断面)に於ける凹窪部13の第2曲率半径R
2よりも小さく設定している。突隆部14,14は、発泡内装体4の厚さ寸法Tが(局所的に)大きく設定され、裏生地12を盛り上げて形成されている。
使用状態に於て、凹窪部13に肘部E(の骨)が嵌め込まれ、なおかつ、突隆部14,14が肘部Eを左右から挟み込む(包み込む)。このように、肘当て本体1を装着すると、凹窪部13と突隆部14,14によって肘部Eを包み込んで、肘当て本体1が回転して位置ずれするのを防止している。また、肘当て本体1の裏面(裏生地12の肘対応面12a)に面状ファスナーの雌部9が形成されることで、肌触りが良くなり、柔らかく肘部Eを包み込む為、装着感が向上するメリットがある。
【0013】
図4と
図5に示すように、延長保護片2は、表皮20と発泡体21と裏地22とを有し、外周縁に縁巻部23が縫製されている。延長保護片2の表て面(表皮20)には、面状ファスナーの雄部8を形成している。面状ファスナーの雄部8は、延長保護片2の上端縁に沿って帯状に配設されている。なお、表皮20はポリエステル系合成樹脂又は合成皮革とし、発泡体21はポリウレタン系発泡樹脂とし、裏地22はポリエステル系合成樹脂又は合成皮革とする。発泡体21に、短冊状に形成された複数本の硬質樹脂製芯材を内装するも好ましい(図示省略)。
【0014】
図1と
図2に示すように、延長保護片2の上端縁から下端縁にわたって(上下方向に)、複数本のステッチ15が縫製されている。
図5(B)に示すように、ステッチ15を上下方向に形成することで、発泡体21が圧縮されて延長保護片2の表て面と裏面に一文字状の窪みが凹設され、延長保護片2が折曲自在に形成されている。
【0015】
図3と
図4に示すように、硬質保護部5は、表皮17と硬質樹脂板16とを有し、外周縁に縁巻部18が縫製されている。
図1と
図6に示すように、ベルト部材3は、伸縮性を有する帯状紐から成り、肘当て本体1に一体縫着された取付部材30,30に連結されている。肘当て本体1は、ベルト係止手段7を備えている。ベルト係止手段7は、例えば、硬質保護部5の表て面に面状ファスナーの雌部を形成し、かつ、ベルト部材3に面状ファスナーの雄部を形成して、面状ファスナーの着脱によりベルト部材3の長さ調整を可能とするものである。
【0016】
上述した本発明のエルボガードの使用方法(作用)について説明する。
図6に示すように、肘当て本体1の裏面に延長保護片2を取着し、肘部Eに肘当て本体1を当ててベルト部材3を巻き付けて装着する。延長保護片2は、面状ファスナーの雄部8を、肘当て本体1の裏面のどの位置にでも取付けることができる。従って、肘当て本体1の下端縁10からの延長保護片2の突出長さ寸法L、及び、延長保護片2の突出方向を、自由自在に変更できる。肘当て本体1は、肘部Eを被覆してボールの直撃から肘部Eを保護し、延長保護片2は、肘当て本体1の下端縁10から垂下状となって前腕部Fを保護する。延長保護片2が不要な時は、肘当て本体1から延長保護片2を取外して装着することも可能である。
【0017】
使用状態に於て、凹窪部13に肘部E(の骨)が嵌め込まれ、かつ、突隆部14,14が肘部Eを左右から挟み込んで(包み込んで)、肘当て本体1の廻り止めとなり位置ズレを防止する。凹窪部13は、横断面の第1曲率半径R
1を縦断面の第2曲率半径R
2より小さく設定している為、肘部Eが凹窪部13と突隆部14,14により包み込まれて固定装着感(ホールド感)が得られ、かつ、肘部Eの曲げ伸ばし動作の邪魔にならず、肘部Eの曲げ伸ばし動作を繰返しても肘当て本体1の位置ズレを確実に防止する。しかも、パッド部6の裏生地12の肌対応面12aに面状ファスナーの雌部9が一体形成され、肘当て本体1を違和感なく装着でき、ホールド感がより一層向上する。
【0018】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、肘当て本体1、及び、延長保護片2のデザインは要旨を変更しない範囲で、自由に変更できる。また、図例では、肘当て本体1の硬質保護部5と緩衝用パッド部6は縫着によって一体形成されているが、リベット等により固着したものであっても良い。
【0019】
以上のように、本発明に係るエルボガードは、肘部Eに装着される肘当て本体1と、肘当て本体1の下端縁10から垂下状に取着される延長保護片2とを、備え、延長保護片2の表て面に、面状ファスナーの雄部8を形成し、かつ、肘当て本体1の裏面に、面状ファスナーの雌部9が略全面にわたって形成されたので、面状ファスナーによって延長保護片2を肘当て本体1に着脱自在に取着でき、使用者の体格や好みに応じて、延長保護片2の突出長さ寸法L、及び、延長保護片2の突出方向(向き)を自由に変更することができる。延長保護片2の着脱が非常に容易であり、かつ、迅速に行うことができる。使用者が延長保護片2を必要としない場合には、簡単に取外すことができる。
【0020】
また、肘当て本体1は、緩衝用パッド部6を備え、パッド部6は、表皮11と発泡内装体4と裏生地12を積層状に有し、発泡内装体4と裏生地12には、肘部Eを受ける凹窪部13が形成され、かつ、裏生地12の肘対応面12aには、面状ファスナーの雌部9が形成されているので、肘当て本体1の位置ズレを確実に防止できる。肘部Eが凹窪部13と突隆部14,14により包み込まれて固定装着感(ホールド感)を得ることができ、肘部Eを屈伸する方向に違和感無く曲げ伸ばしできる。裏生地12の肘対応面12aの肌触りが良く、柔らかく肘部Eを包み込んで装着感を向上できる。
【0021】
また、延長保護片2は、複数本のステッチ15が縫製されているので、肘当て本体1の裏面の弯曲形状に対応して、延長保護片2を(ステッチ15に於て)折曲自在に変形できる。延長保護片2の面状ファスナーの雄部8を、肘当て本体1の裏面の面状ファスナーの雌部9に、確実に取着できる。延長保護片2が肘部Eに沿って弯曲し、肘部Eの曲げ伸ばし動作の邪魔にならず、使用者に違和感を感じさせずに快適に使用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 肘当て本体
2 延長保護片
3 ベルト部材
4 発泡内装体
6 パッド部
8 面状ファスナーの雄部
9 面状ファスナーの雌部
10 下端縁
11 表皮
12 裏生地
12a 肘対応面
13 凹窪部
15 ステッチ
E 肘部
L 突出長さ寸法