(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物内の複数台のエレベータの中の、リニューアル工事前の既設エレベータが有する既設制御盤および既設乗場釦と、リニューアル工事済みの新設エレベータが有する新設制御盤および新設乗場釦とに接続されたエレベータの連動制御装置において、
前記既設乗場釦が押下されると駆動する第1の電源リレーと、
前記新設乗場釦が押下されると駆動する第2の電源リレーと、
前記第1の電源リレーまたは前記第2の電源リレーが駆動されると、前記既設制御盤と導通させる第1の釦入力回路と、
前記第1の電源リレーまたは前記第2の電源リレーが駆動されると、前記新設制御盤と導通させる第2の釦入力回路と、
前記第1の釦入力回路により前記既設制御盤と導通したことにより前記既設制御盤に乗場呼びが登録されて応答灯点灯信号が出力されると駆動し、登録された乗場呼びへの応答が行われたことにより当該応答灯点灯信号の出力が停止されると開放する第1の点灯リレーと、
前記第2の釦入力回路により前記新設制御盤と導通したことにより前記新設制御盤に乗場呼びが登録されて応答灯点灯信号が出力されると駆動し、登録された乗場呼びへの応答が行われたことにより当該応答灯点灯信号の出力が停止されると開放する第2の点灯リレーと、
前記第1の点灯リレーが駆動されると、前記既設乗場釦に設置された応答灯を点灯させ、前記第1の点灯リレーおよび前記第2の点灯リレーが開放されると消灯させる第1の点灯回路と、
前記第2の点灯リレーが駆動されると、前記新設乗場釦に設置された応答灯を点灯させ、前記第1の点灯リレーおよび前記第2の点灯リレーが開放されると消灯させる第2の点灯回路と
を備えることを特徴とするエレベータの連動制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態として、建物内に設置され群管理される3台のエレベータを1台ずつ順次リニューアル工事する場合を想定する。この場合に、1台が工事前の既設エレベータであり、他の1台が工事中であり、残りの1台が工事済みの新設エレベータであるときに、エレベータの連動制御装置を用いて既設エレベータと新設エレベータとを連携させて運用する例について説明する。
【0013】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの構成について、
図1を参照して説明する。
【0014】
本実施形態においてエレベータシステム1Aは、建物内に設置された既設エレベータ10と、工事中のエレベータ20と、工事済みの新設エレベータ30と、階床ごとに設置された連動制御装置40Aとを備える。既設エレベータ10は、各階の乗場に設置された既設乗場釦11と、各階の既設乗場釦11に接続されて既設エレベータ10内の機器の動作を制御する既設制御盤12とを有する。新設エレベータ30は、各階の乗場に設置された新設乗場釦31と、各階の新設乗場釦31に接続されて新設エレベータ30内の機器の動作を制御する新設制御盤32とを有する。既設制御盤12および新設制御盤32には、実際には各階床の連動制御装置40A、既設乗場釦11、および新設乗場釦31が接続されているが、
図1においては説明を簡易にするために、所定階の連動制御装置40A、既設乗場釦11、新設乗場釦31のみが接続されている場合について示している。
【0015】
既設乗場釦11、既設制御盤12、新設乗場釦31、新設制御盤32、連動制御装置40Aの詳細な構成、および接続状況を、
図2を参照して説明する。
【0016】
既設乗場釦11は、利用者により押下されたときにON状態になる釦スイッチ111と、既設乗場釦11を点灯させる応答灯112とを有する。新設乗場釦31は、利用者により押下されたときにON状態になる釦スイッチ311と、新設乗場釦31を点灯させる応答灯312とを有する。
【0017】
既設制御盤12は、釦スイッチ111がON状態になったときに形成される回路に電力を供給して導通させる釦入力電源部121と、釦スイッチ111,311がON状態になったことを検知すると当該階の乗場呼びを登録する呼び登録部122と、釦スイッチ111がON状態になったときに形成される回路のマイナス端子である釦入力コモン端子123と、呼び登録部122に乗場呼びが登録されると、該当する階床の応答灯112,312への点灯信号を出力する点灯信号出力部124と、応答灯112,312への点灯信号が出力されると応答灯112に電力供給する応答灯電源部125と、応答灯112が点灯されるときに形成される回路のマイナス端子である応答灯コモン端子126とを有する。釦入力コモン端子123は、各階の既設乗場釦11の釦スイッチ111に共通して用いられ、応答灯コモン端子126は、各階の既設乗場釦11の応答灯112に共通して用いられる。
【0018】
新設制御盤32は、釦スイッチ311がON状態になったときに形成される回路に電力を供給して導通させる釦入力電源部321と、釦スイッチ111,311がON状態になったことを検知すると当該階の乗場呼びを登録する呼び登録部322と、釦スイッチ311がON状態になったときに形成される回路のマイナス端子である釦入力コモン端子323と、呼び登録部322に乗場呼びが登録されると、該当する階床の応答灯112,312への点灯信号を出力する点灯信号出力部324と、応答灯112,312への点灯信号が出力されると応答灯312に電力供給する応答灯電源部325と、応答灯312が点灯されるときに形成される回路のマイナス端子である応答灯コモン端子326とを有する。釦入力コモン端子323は、各階の新設乗場釦31の釦スイッチ311に共通して用いられ、応答灯コモン端子326は、各階の新設乗場釦31の応答灯312に共通して用いられる。
【0019】
連動制御装置40Aは、釦スイッチ111のプラス側に信号線13−1により接続されるとともに、釦入力電源部121に信号線13−2により接続される第1の電源リレーであるAKリレー41と、応答灯112のマイナス側に信号線13−3により接続されるとともに、点灯信号出力部124に信号線13−4により接続される第1の点灯リレーであるALリレー42とを有する。信号線13−3は、信号線13−5により応答灯コモン端子126に接続されている。
【0020】
また、連動制御装置40Aは、釦スイッチ311のプラス側に信号線33−1により接続されるとともに、釦入力電源部321に信号線33−2により接続される第2の電源リレーであるBKリレー43と、応答灯312のマイナス側に信号線33−3により接続されるとともに、点灯信号出力部324に信号線33−4により接続される第2の点灯リレーであるBLリレー44とを有する。信号線33−3は、信号線33−5により応答灯コモン端子326に接続されている。
【0021】
AKリレー41は、釦スイッチ111が押下され釦入力電源部121から電力が供給されると駆動する。ALリレー42は、点灯信号出力部124から点灯信号が出力されると駆動する。BKリレー43は、釦スイッチ311が押下され釦入力電源部321から電力が供給されると駆動する。BLリレー44は、点灯信号出力部324からの点灯信号が出力されると駆動する。
【0022】
また連動制御装置40Aは、釦スイッチ111のマイナス側に信号線13−6により接続されるとともに、呼び登録部122に信号線13−7により接続され、これらの信号線の間にAKR接点411およびBKR接点431が並列状態で設置されて構成された釦入力回路45を有する。信号線13−6は、釦入力コモン端子123に信号線13−8により接続されている。
【0023】
また連動制御装置40Aは、応答灯112のプラス側に信号線13−9により接続されるとともに、応答灯電源部125に信号線13−10により接続され、これらの信号線の間にALR接点421およびBLR接点441が並列状態で設置されて構成された点灯回路46を有する。
【0024】
また連動制御装置40Aは、釦スイッチ311のマイナス側に信号線33−6により接続されるとともに、呼び登録部322に信号線33−7により接続され、これらの信号線の間にAKR接点412およびBKR接点432が並列状態で設置されて構成された釦入力回路47を有する。信号線33−6は、釦入力コモン端子323に信号線33−8により接続されている。
【0025】
また連動制御装置40Aは、応答灯312のプラス側に信号線33−9により接続されるとともに、応答灯電源部325に信号線33−10により接続され、これらの信号線の間にALR接点422およびBLR接点442が並列状態で設置されて構成された点灯回路48を有する。
【0026】
〈第1実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの動作〉
次に、エレベータシステム1Aの動作について、
図3および
図4のシーケンス図を参照して説明する。
【0027】
まず、利用者により既設乗場釦11が押下されたときには、
図3に示すように、釦スイッチ111がON状態になり(S1)、釦スイッチ111に接続される信号線により、既設制御盤12と連動制御装置40Aと既設乗場釦11との間で形成される回路に、釦入力電源部121から電力が供給され導通される(S2)。そして、AKリレー41が駆動されるとともに釦入力回路45のAKR接点411がON状態になり(S3)、釦スイッチ111がON状態になったことが既設制御盤12の呼び登録部122で検知される。呼び登録部122で釦スイッチ111がON状態になったことが検知されると、当該階の既設エレベータ10の乗場呼びが登録される(S4)。また、AKリレー41が駆動されると釦入力回路47のAKR接点412もON状態になり(S3)、釦スイッチ111がON状態になったことが新設制御盤32の呼び登録部322でも検知される。呼び登録部322で釦スイッチ111がON状態になったことが検知されると、当該階の新設エレベータ30の乗場呼びが登録される(S5)。
【0028】
また、呼び登録部122に乗場呼びが登録されると、点灯信号出力部124から点灯信号が出力されて(S6)、ALリレー42が駆動されるとともに点灯回路46のALR接点421がON状態になり(S7)、応答灯電源部125からの電力により応答灯112が点灯される(S8)。また、ALリレー42が駆動されると点灯回路48のALR接点422もON状態になり(S7)、応答灯電源部325からの電力により応答灯312が点灯される(S9)。
【0029】
また、呼び登録部322に乗場呼びが登録されたことにより、点灯信号出力部324からも点灯信号が出力されて(S10)、BLリレー44が駆動されるとともにBLR接点442、441もON状態になる(S11)。
【0030】
その後、既設制御盤12の制御により既設エレベータ10が乗場呼びに応答し、乗りかごが登録された階床に着床すると(S12)、呼び登録部122に登録された乗場呼びが削除されて点灯信号出力部124からの点灯信号の出力が停止される。点灯信号の出力が停止されると、ALリレー42が開放されるとともにALR接点421および422が開放される(S13)。この時点では、まだBLリレー44が駆動された状態でありBLR接点441および442がON状態であるため、点灯回路46および48は閉状態であり、応答灯112および312は点灯した状態が継続される。
【0031】
そして、新設制御盤32の制御により新設エレベータ30が乗場呼びに応答し、乗りかごが登録された階床に着床すると(S14)、呼び登録部322に登録された乗場呼びが削除されて点灯信号出力部324からの点灯信号の出力が停止される。点灯信号の出力が停止されると、BLリレー44が開放されるとともにBLR接点442および441が開放される(S15)。ここで、ALR接点421、422、およびBLR接点441、442がすべて開放されたため、点灯回路46および48が開放され、応答灯112、312ともに消灯される(S16、S17)。
【0032】
また、利用者により新設乗場釦31が押下されたときには、
図4に示すように、釦スイッチ311がON状態になり(S21)、釦スイッチ311に接続される信号線により、新設制御盤32と連動制御装置40Aと新設乗場釦31との間で形成される回路に、釦入力電源部321から電力が供給され導通される(S22)。そして、BKリレー43が駆動されるとともに釦入力回路47のBKR接点432がON状態になり(S23)、釦スイッチ311がON状態になったことが新設制御盤32の呼び登録部322で検知される。呼び登録部322で釦スイッチ311がON状態になったことが検知されると、当該階の新設エレベータ30の乗場呼びが登録される(S24)。また、BKリレー43が駆動されると釦入力回路45のBKR接点431もON状態になり(S23)、釦スイッチ311がON状態になったことが既設制御盤12の呼び登録部122でも検知される。呼び登録部122で釦スイッチ311がON状態になったことが検知されると、当該階の既設エレベータ10の乗場呼びが登録される(S25)。
【0033】
また、呼び登録部322に乗場呼びが登録されると、点灯信号出力部324から点灯信号が出力されて(S26)、BLリレー44が駆動されるとともに点灯回路48のBLR接点442がON状態になり(S27)、応答灯電源部325からの電力により応答灯312が点灯される(S28)。また、BLリレー44が駆動されると点灯回路46のBLR接点441もON状態になり(S27)、応答灯電源部125からの電力により応答灯112が点灯される(S29)。
【0034】
また、呼び登録部122に乗場呼びが登録されたことにより、点灯信号出力部124からも点灯信号が出力されて(S30)、ALリレー41が駆動されるとともにALR接点421、422もON状態になる(S31)。
【0035】
その後、新設制御盤32の制御により新設エレベータ30が乗場呼びに応答し、乗りかごが登録された階床に着床すると(S32)、呼び登録部322に登録された乗場呼びが削除されて点灯信号出力部324からの点灯信号の出力が停止される。点灯信号の出力が停止されると、BLリレー44が開放されるとともにBLR接点441および442が開放される(S33)。この時点では、まだALリレー42が駆動された状態でありALR接点421および422がON状態であるため、点灯回路46および48は閉状態であり、応答灯112および312は点灯した状態が継続される。
【0036】
そして、既設制御盤12の制御により既設エレベータ10が乗場呼びに応答し、乗りかごが登録された階床に着床すると(S34)、呼び登録部122に登録された乗場呼びが削除されて点灯信号出力部124からの点灯信号の出力が停止される。点灯信号の出力が停止されると、ALリレー42が開放されるとともにALR接点422および421が開放される(S35)。ここで、ALR接点421、422、およびBLR接点441、442がすべて開放されたため、点灯回路46および48が開放され、応答灯112、312ともに消灯される(S36、S37)。
【0037】
以上の第1実施形態によれば、建物内に、リニューアル工事前の既設エレベータとリニューアル工事済みの新設エレベータとが混在した状態のときに、既設エレベータの乗場釦を押下しても、新設エレベータの乗場釦を押下しても、どちらの場合も既設エレベータおよび新設エレベータの双方で乗場呼びが発生して応答する。これにより、利用者はいずれか早く到着した乗りかごを利用することができる。また、既設エレベータと新設エレベータとの双方において、乗場呼びに応答して乗場呼び発生階に乗りかごが着床した後に双方の乗場釦の応答灯が消灯する。これにより、既設エレベータと新設エレベータとのいずれか一方のみが応答済みで他方の乗りかごがまだ到着していないときに、乗場にいる他の利用者に乗場呼びが登録されていることを認識させることができ、無駄な乗場呼びの発生を防ぐことができる。
【0038】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステム1Bの構成について、
図5を参照して説明する。
【0039】
本実施形態においてエレベータシステム1Bは、連動制御装置40Aに換えて連動制御装置40Bを備える他は、第1実施形態において説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態においては、既設乗場釦11の応答灯112のプラス側と既設制御盤12の応答灯電源部125とが信号線13−11により接続され、応答灯112のマイナス側と点灯信号出力部124とが信号線13−12により接続されている。信号線13−12は、応答灯コモン端子126に信号線13−13により接続されている。
【0041】
また新設乗場釦31の応答灯312のプラス側と新設制御盤32の応答灯電源部325とが信号線33−11により接続され、応答灯312のマイナス側と点灯信号出力部324とが信号線33−12により接続されている。信号線33−12は、応答灯コモン端子326に信号線33−13により接続されている。
【0042】
連動制御装置40Bは、第1実施形態で説明した場合と同様に、既設乗場釦11および既設制御盤12に接続された、AKリレー41および釦入力回路45と、新設乗場釦31および新設制御盤32に接続された、BKリレー43および釦入力回路47とを有する。
【0043】
〈第2実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの動作〉
次に、エレベータシステム1Bの動作について、
図6のシーケンス図を参照して説明する。
図6において、ステップS41〜S45で実行される処理は、第1実施形態において説明した
図3のステップS1〜S5の処理と同様であるため、詳細な説明な省略する。
【0044】
呼び登録部122に乗場呼びが登録されると、点灯信号出力部124から点灯信号が出力されて(S46)、応答灯電源部125からの電力により応答灯112が点灯される(S47)。
【0045】
また、呼び登録部322に乗場呼びが登録されたことにより、点灯信号出力部324からも点灯信号が出力されて(S48)、応答灯電源部325からの電力により応答灯312が点灯される(S49)。
【0046】
その後、既設制御盤12の制御により既設エレベータが乗場呼びに応答し、乗りかごが登録された階床に着床すると(S50)、呼び登録部122に登録された乗場呼びが削除されて点灯信号出力部124からの点灯信号の出力が停止される。点灯信号の出力が停止されると、応答灯112が消灯される(S51)。
【0047】
そして、新設制御盤32の制御により新設エレベータが乗場呼びに応答し、乗りかごが登録された階床に着床すると(S52)、呼び登録部322に登録された乗場呼びが削除されて点灯信号出力部324からの点灯信号の出力が停止される。点灯信号の出力が停止されると、応答灯312が消灯される(S53)。
【0048】
また、利用者により新設乗場釦31が押下されたときにも、既設制御盤12と新設制御盤32との双方で乗場呼びが登録されて応答灯112および応答灯312が点灯される。その後、乗場呼びに応答して、既設エレベータ10の乗りかごが登録された階床に着床すると応答灯112が消灯され、新設エレベータ30の乗りかごが登録された階床に着床すると応答灯312が消灯される。
【0049】
以上の第2実施形態によれば、建物内に、リニューアル工事前の既設エレベータとリニューアル工事済みの新設エレベータとが混在した状態のときに、既設エレベータの乗場釦を押下しても、新設エレベータの乗場釦を押下しても、どちらの場合も既設エレベータおよび新設エレベータの双方で乗場呼びが発生して応答する。これにより、利用者はいずれか早く到着した乗りかごを利用することができる。また、応答済みのエレベータについては対応する乗場釦の応答灯を消灯するため、既設エレベータと新設エレベータとのいずれか一方のみが応答済みであり、他方が応答中でまだ乗りかごが到着していないときに、乗場にいる他の利用者が応答中のエレベータを認識することができる。これにより、乗場の利用者は応答中のエレベータの近くで待機することができ、乗りかごが到着したときの乗り込み時間を短縮させることができる。
【0050】
《第3実施形態》
〈第3実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第3実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステム1Cの構成について、
図7を参照して説明する。
【0051】
本実施形態においてエレベータシステム1Cは、連動制御装置40Aに換えて連動制御装置40Cを備える他は、第1実施形態において説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態においては、既設乗場釦11の釦スイッチ111のプラス側と既設制御盤12の釦入力電源部121とが信号線13−14により接続され、釦スイッチ111のマイナス側と呼び登録部122とが信号線13−15により接続されている。信号線13−15は、釦入力コモン端子123に信号線13−16により接続されている。
【0053】
また新設乗場釦31の釦スイッチ311のプラス側と新設制御盤32の釦入力電源部321とが信号線33−14により接続され、釦スイッチ311のマイナス側と呼び登録部322とが信号線33−15により接続されている。信号線33−15は、釦入力コモン端子323に信号線33−16により接続されている。
【0054】
連動制御装置40Cは、第1実施形態で説明した場合と同様に、既設乗場釦11および既設制御盤12に接続された、ALリレー42および点灯回路46と、新設乗場釦31および新設制御盤32に接続された、BLリレー44および点灯回路48とを有する。
【0055】
〈第3実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの動作〉
次に、エレベータシステム1Cの動作について、
図8のシーケンス図を参照して説明する。
【0056】
まず、利用者により既設乗場釦11が押下されたときには、釦スイッチ111がON状態になり(S61)、釦スイッチ111に接続される信号線により、既設制御盤12と既設乗場釦11との間で形成される回路に、釦入力電源部121から電力が供給され導通される(S62)。そして、釦スイッチ111がON状態になったことが既設制御盤12の呼び登録部122で検知される。呼び登録部122で釦スイッチ111がON状態になったことが検知されると、当該階の既設エレベータ10の乗場呼びが登録される(S63)。
【0057】
呼び登録部122に乗場呼びが登録されると、点灯信号出力部124から点灯信号が出力されて(S64)、ALリレー42が駆動されるとともに点灯回路46のALR接点421がON状態になり(S65)、応答灯電源部125からの電力により応答灯112が点灯される(S66)。また、ALリレー42が駆動されると点灯回路48のALR接点422もON状態になり(S65)、応答灯電源部325からの電力により応答灯312が点灯される(S67)。
【0058】
その後、既設制御盤12の制御により既設エレベータ10が乗場呼びに応答し、乗りかごが登録された階床に着床すると(S68)、呼び登録部122に登録された乗場呼びが削除されて点灯信号出力部124からの点灯信号の出力が停止される。点灯信号の出力が停止されると、ALリレー42が開放されるとともにALR接点421および422が開放され、応答灯112、312ともに消灯される(S70、S71)。
【0059】
また、利用者により新設乗場釦31が押下されたときには、新設制御盤32のみに乗場呼びが登録されるとともに既設乗場釦11と新設乗場釦31との双方の応答灯112、312が点灯され、その後、乗場呼びに応答して、新設エレベータの乗りかごが登録された階床に着床したときに、双方の応答灯112、312が消灯される。
【0060】
以上の第3実施形態によれば、建物内に、リニューアル工事前の既設エレベータとリニューアル工事済みの新設エレベータとが混在した状態のときに、既設エレベータと新設エレベータとのいずれかにおいて乗場呼びが発生しているときには双方の乗場釦の応答灯を点灯させるため、同一階で同時に2つの乗場呼びが発生して運転効率が低下することを避けることができる。
【0061】
《第4実施形態》
〈第4実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第4実施形態による連動制御装置を利用したエレベータシステム1Dの構成について、
図9を参照して説明する。
【0062】
図9のエレベータシステム1Dは、第1実施形態において説明したエレベータシステム1Aと同様の構成を備え、1階〜n階の各階床に設置された連動制御装置40A−1〜40A−nがそれぞれ、既設制御盤12および新設制御盤32に接続されており、さらに、連動制御装置40A−1〜40A−nと既設制御盤12との間には第1の切替装置17が設置され、連動制御装置40A−1〜40A−nと新設制御盤32との間には第2の切替装置37が設置されている。
【0063】
切替装置17は、各連動制御装置40A−1〜40A−nと既設制御盤12との間を接続する信号線それぞれの接続/切断を切り替えるためのm個の中継コネクタ17−1〜17−mで構成され、切替装置37は、各連動制御装置40A−1〜40A−nと新設制御盤32とのを接続する信号線それぞれの接続/切断を切り替えるためのp個の中継コネクタ37−1〜37−pで構成される。これらの切替装置17、37は、建物内のエレベータ機械室の中継ボックス等に設置される。
【0064】
このように構成されたエレベータシステム1Dにおいて、既設エレベータ10の応答階と新設エレベータ30の応答階とを予め分担して設定しておき、切替装置17内の中継コネクタ17−1〜17−mのうち、既設エレベータ10に応答させる階床に対応する連動制御装置との間の中継コネクタを挿して信号線を接続させ、既設エレベータ10に応答させない階床に対応する連動制御装置との間の中継コネクタを抜いて信号線を切断させる。また、切替装置37内の中継コネクタ37−1〜37−pのうち、新設エレベータ30に応答させる階床に対応する連動制御装置との間の中継コネクタを挿して信号線を接続させ、新設エレベータ30に応答させない階床に対応する連動制御装置との間の中継コネクタを抜いて信号線を切断させる。
【0065】
既設エレベータ10の応答階および新設エレベータ30の応答階の設定の一例を、
図10に示す。
図10の例では、12階建ての建物において、既設エレベータ10の応答階を1階〜8階に設定し、新設エレベータ30の応答階を1階および9階〜12階に設定している。このように設定した場合、切替装置17内の中継コネクタのうち、1階の連動制御装置40A−1と既設制御盤12との間の信号線(例えば、
図1の信号線13−2、13−4、13−5、13−7、13−8、および信号線13−10)、および連動制御装置40A−1と新設制御盤32との間の信号線(例えば、
図1の信号線33−2、33−4、33−5、33−7、33−8、および33−10)それぞれに設置された中継コネクタを挿して接続させる。また、2階〜8階の連動制御装置40A−2〜40A−8と既設制御盤12との間の信号線それぞれに設置された中継コネクタを挿して接続させ、2階〜8階の連動制御装置40A−2〜40A−8と新設制御盤32との間の信号線それぞれに設置された中継コネクタを抜いて切断させる。また、9階〜12階の連動制御装置40A−9〜40A−12と既設制御盤12との間の信号線それぞれに設置された中継コネクタを抜いて切断させ、9階〜12階の連動制御装置40A−9〜40A−12と新設制御盤32との間の信号線それぞれに設置された中継コネクタを挿して接続させる。
【0066】
このように切替装置17、37内の中継コネクタを応答階の設定に基づいて適宜抜き挿しすることにより、既設エレベータ10、新設エレベータ30それぞれの階床ごとの乗場釦の操作有効/無効の設定を、時間帯ごとや、リニューアル工事の進捗状況ごと等により簡易に変更することができる。そのため、応答しない階の乗場釦を囲いで隠す必要がなく、管理者の手間を低減させることができるとともに、利用者の使い勝手の悪化を防止することができる。
【0067】
上述した第5実施形態において、切替装置を、中継コネクタに換えて、スイッチまたは端子台で構成し、これらを用いて各連動制御装置40A−1〜40A−nと既設制御盤12、新設制御盤32との間の信号線の接続/切断を切り替えるようにしてもよい。または、切替装置内のスイッチ等をタイマでON/OFFする接点装置で構成し、予め設定された時間帯ごとや季節ごとに自動で応答階の分担設定を変更するようにしてもよい。
【0068】
上述した第1実施形態〜第5実施形態によれば、群管理される複数のエレベータのリニューアル工事中に、既設エレベータと新設エレベータとが混在した状態で運用するときにも、既設乗場釦および新設乗場釦と、既設制御盤および新設制御盤との間に、簡易な信号線接続作業で連動制御装置を挿入するのみで、既設エレベータと新設エレベータとを連動させて運用することができる。
【0069】
上述した第1実施形態〜第5実施形態においては、既設乗場釦および新設乗場釦の操作の検知および応答灯の点灯制御を、機械室に設置された既設制御盤および新設制御盤で行う場合について説明したが、昇降路に既設乗場釦制御装置および新設乗場釦制御装置を設置し、これらの装置で行うようにしてもよい。この場合、既設乗場釦および新設乗場釦と、既設乗場釦制御装置および新設乗場釦制御装置との間に連動制御装置を設置することで、上述した実施形態と同様の処理を実行することができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。