特許第6077060号(P6077060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077060
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】スタンド機構、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20170130BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20170130BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   H05K5/02 B
   G06F1/16 312T
   G06F1/16 312G
   F16C11/04 F
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-136400(P2015-136400)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-22177(P2017-22177A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
(72)【発明者】
【氏名】堀越 正太
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】天野 将之
(72)【発明者】
【氏名】野原 良太
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0091222(US,A1)
【文献】 特開昭62−026016(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0163197(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0075208(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0231464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00− 5/06
G06F 1/00, 1/16
A47G 1/00− 1/24
F16C 11/00−11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状の筐体を有した携帯用情報機器を横置き及び縦置きに選択的に起立させるスタンド機構であって、
前記筐体の背面側にヒンジによって回動可能に設けられた、第1アームと、該第1アームより長尺な第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームとの間を連結する連結部と、を有し、
前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記連結部が、前記筐体の外周に沿って設けられ、かつ前記第1アーム及び前記第2アームは互いに平行に配置されていることを特徴とするスタンド機構。
【請求項2】
板形状の筐体を有した携帯用情報機器を横置き及び縦置きに選択的に起立させるスタンド機構であって、
前記筐体の背面側にヒンジによって回動可能に設けられた、第1アームと、該第1アームより長尺な第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームとの間を連結する連結部と、を有し、
前記第2アームの前記ヒンジのトルクが、前記第1アームの前記ヒンジのトルクよりも大きいことを特徴とするスタンド機構。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスタンド機構であって、
前記第1アームのヒンジ及び前記第2アームのヒンジの回転の軸芯方向が同一直線上にあることを特徴とするスタンド機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のスタンド機構において、
前記第2アームを載置面に接触させて、前記携帯用情報機器を前記載置面上で起立させる場合に、前記携帯用情報機器の重心から前記載置面への垂線が、前記携帯用情報機器と前記載置面との接触線と、前記第2アームの先端とが描く三角形の内側にあることを特徴とするスタンド機構。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載のスタンド機構を有する携帯用情報機器を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項に記載の電子機器において、
前記筐体には前記スタンド機構を収容する収容溝が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項に記載の電子機器において、
前記連結部は、厚さが薄くかつ広幅に形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項からのいずれか一項に記載の電子機器において、
前記筐体は、少なくとも前記第1アーム又は前記第2アームの回動範囲を規制する規制部を有することを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項からのいずれか一項に記載の電子機器において、
前記第1アーム、前記第2アーム及び前記連結部の少なくとも1つと、前記筐体とには、一方に磁石が設けられ、他方に前記磁石が吸着する被吸着部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項からのいずれか一項に記載の電子機器において、
前記スタンド機構は、スタンド機能以外の機能を有する機能部を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項10に記載の電子機器において、
前記機能部は、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記連結部の少なくとも1つに設けられ、かつ前記携帯用情報機器を操作する操作ボタンであることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
板形状の筐体を有した携帯用情報機器を横置き及び縦置きに選択的に起立させるスタンド機構であって、
前記筐体の背面側にヒンジによって回動可能に設けられた、第1アームと、該第1アームより長尺な第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームとの間を連結する連結部と、を有するスタンド機構を有する携帯用情報機器を備える電子機器において、
前記スタンド機構は、スタンド機能以外の機能を有する機能部を備え、
前記機能部は、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記連結部の少なくとも1つに設けられ、かつ前記スタンド機構を収容した状態において前記携帯用情報機器の通気孔と連通する開口であることを特徴とする電子機器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用情報機器を起立させるスタンド機構、及びこのスタンド機構と携帯用情報機器とを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないタブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型PC)が急速に普及している。タブレット型PCは、通常、手で把持した状態で操作する場合と、机上等に置いた状態で操作する場合とがあり、机上等に置いた状態で操作する場合には、スタンドを利用して立てた状態で使用されることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、タブレット型PC等の携帯用情報機器と、この携帯用情報機器の背面に設けられたヒンジと、該ヒンジに回転可能に設けられたスタンド部とを備えた電子機器が開示されている。このスタンド部は、ヒンジに接続されるとともに長さが等しい2本のアーム部と、これら2本のアーム部を連結する連結部とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タブレット型PCのような携帯用情報機器は、前述したようにスタンドを利用して横置き及び縦置きに立てた状態で使用されることがある。例えば、特許文献1に記載の電子機器では、携帯用情報機器の筐体の長辺を載置面に接地させるとともに、ヒンジによりスタンド部を回動させて連結部を載置面に接地させることで携帯用情報機器を横置きに立てることができる。ここで、スタンド部の回転の角度を調整することで所望の角度に傾斜させて携帯用情報機器を横置きに立てることが可能である。
【0006】
一方、特許文献1に記載の電子機器において、携帯用情報機器を縦置きに立てる場合は、携帯用情報機器の筐体の短辺を載置面に接地させるとともに、アーム部の先端を支点として載置面に接地させることで縦置きに立てることもできる。しかしながら、このようにして携帯用情報機器を縦起きに立てる場合、携帯用情報機器を載置面と直交する方向に対して傾斜させた状態で安定して起立させることが難しかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、携帯用情報機器を横置き及び縦置きに起立させることができるとともに、携帯用情報機器を傾斜した状態で安定して起立させることが可能なスタンド機構、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスタンド機構は、板形状の筐体を有した携帯用情報機器を横置き及び縦置きに選択的に起立させるスタンド機構であって、前記筐体の背面側にヒンジによって回動可能に設けられた、第1アームと、該第1アームより長尺な第2アームと、前記第1アームと前記第2アームとの間を連結する連結部と、を有することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、第1アーム、第2アーム、及び第1アームと第2アームとを連結する連結部を備えているので、横置き及び縦置きに選択的に携帯用情報機器を起立させることができる。また、第1アームよりも長尺な第2アームを備えているので、第2アームを載置面に載置して携帯用情報機器を起立させる場合に、携帯用情報機器を傾斜させた状態でより安定して起立させることができる。
【0010】
また、本発明に係るスタンド機構は、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記連結部が、前記筐体の外周に沿って設けられ、かつ前記第1アーム及び前記第2アームは互いに平行に配置されていると良い。この場合、第1アーム、第2アーム、及び連結部が、筐体の外周に沿って設けられているので、筐体内においてバッテリーやコネクタなどの配置領域を広くとることができる。また、この場合でも第2アームが第1アームよりも長尺とされているので、携帯用情報機器を横置き及び縦置きに起立させる際に、載置面と直交する方向に対して傾斜させて起立させることが可能である。
【0011】
また、本発明に係るスタンド機構は、前記第1アームのヒンジ及び前記第2アームのヒンジの回転の軸芯方向が同一直線上にあると良い。この場合、連結部が載置面に沿うようにして携帯用情報機器を起立させる場合に、より安定して起立させることができる。また、第2アームが筐体の外周に沿って設けられていると、第2アームを載置面に沿うようにして携帯用情報機器を起立させる場合に、第2アームを長手方向にわたって載置面に接地することができ、より安定して起立させることができる。
【0012】
また、本発明に係るスタンド機構は、前記第2アームを載置面に接触させて、前記携帯用情報機器を前記載置面上で起立させる場合に、前記携帯用情報機器の重心から前記載置面への垂線が、前記携帯用情報機器と前記載置面との接触線と、前記第2アームの先端とが描く三角形の内側にあると良い。この構成では、第2アームを載置面に接触させて携帯用情報機器を起立させる場合に、より安定させて起立させることができる。
【0013】
また、本発明に係るスタンド機構は、前記第2アームの前記ヒンジのトルクが、前記第1アームの前記ヒンジのトルクよりも大きいと良い。この場合、例えば連結部を操作してスタンド機構を回動させる際に、第1アーム及び第2アームのヒンジにかかる負荷をより均等にすることができる。
【0014】
本発明に係る電子機器は、前述のスタンド機構を有する携帯用情報機器を備えることを特徴とする。この構成によれば、前述したスタンド機構を有しているので、第2アームを載置面に載置して起立させる場合に、より傾斜角度を調整することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る電子機器は、前記筐体には前記スタンド機構を収容する収容溝が形成されていると良い。この場合、筐体内の部品の収容空間を広くすることができる。
【0016】
また、本発明に係る電子機器において、前記連結部は、厚さが薄くかつ広幅に形成されている構成としても良い。この場合、厚さ方向において連結部と重なる領域において筐体の内部を広く確保することができ、その領域において他の部材を筐体内に配置することができる。また、広幅に形成することで、厚さが薄くても必要な強度を確保できる。
【0017】
また、本発明に係る電子機器において、前記筐体は、少なくとも前記第1アーム又は前記第2アームの回動範囲を規制する規制部を有する構成としても良い。この場合、スタンド機構を回動させる際の可動範囲が規制されているので、例えば片手で電子機器を把持する際に、手をスタンド機構と携帯用情報機器との間の隙間に入れやすくなり、電子機器を把持しやすくなる。
【0018】
また、本発明に係る電子機器は、前記第1アーム、前記第2アーム及び前記連結部の少なくとも1つと、前記筐体とには、一方に磁石が設けられ、他方に前記磁石が吸着する被吸着部が設けられていると良い。この場合、磁石の磁気力を利用して、スタンド機構を筐体に収容した状態に維持できる。
【0019】
また、本発明に係る電子機器において、前記スタンド機構は、スタンド機能以外の機能を有する機能部を備えると良い。
【0020】
また、本発明に係る電子機器において、前記機能部は、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記連結部の少なくとも1つに設けられ、かつ前記スタンド機構を収容した状態において前記携帯用情報機器の通気孔と連通する開口である構成としても良い。この場合、スタンド機構を収容した状態においても、携帯用情報機器から発生する熱を、携帯用情報機器の通気孔を介して効率よく開口から外部に放散することができる。
【0021】
本発明に係る電子機器において、前記機能部は、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記連結部の少なくとも1つに設けられ、かつ前記携帯用情報機器を操作する操作ボタンである構成としても良い。この場合、例えば片手で電子機器を把持する場合に、把持している手で操作ボタンを操作することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、携帯用情報機器を横置き及び縦置きに選択的に起立させることができるとともに携帯用情報機器を載置面に対して傾斜させた状態で安定して起立させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の平面図である。図1(a)は、電子機器を表面側から見た平面図であり、図1(b)は、電子機器を背面側から見た平面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る電子機器を背面側から見た斜視図である。図2(a)は、電子機器が備えるスタンド機構を収容した状態を示す斜視図、図2(b)は、電子機器が備えるスタンド機構を回動させた状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す電子機器のIII−III断面図である。
図4図4は、図1に示す電子機器のIV−IV断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る電子機器が有する規制部を示す概略図である。図5(a)は、電子機器が有する規制部の斜視図であり、図5(b)は、電子機器が有する規制部の側面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る電子機器を横置きに起立させた状態を示す概略図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る電子機器を横置きに起立させた状態において、側面側から見た概略図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る電子機器を縦置きに起立させた状態を示す概略図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る電子機器を縦置きに起立させた状態において、側面側から見た概略図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る電子機器を、片手で把持した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るスタンド機構、及び電子機器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係る電子機器1の平面図であり、図1(a)は電子機器1を表面側から見た平面図、図1(b)は電子機器1を背面側から見た平面図である。図2は本発明の実施形態に係る電子機器1を背面側から見た斜視図であり、図2(a)は電子機器1が備えるスタンド機構10を収容した状態を示す斜視図、図2(b)は電子機器1が備えるスタンド機構10を回動させた状態を示す斜視図である。
【0026】
電子機器1は、図1、2に示すように、携帯用情報機器20と、この携帯用情報機器20の背面側に取り付けられたスタンド機構10とを備えている。携帯用情報機器20は、板形状の筐体21と、表面側に配設された液晶ディスプレイ22(LCD:Liqud Crystal Display)を備え、筐体21の内部に基板、演算装置、メモリ、バッテリーなどを収容した構成とされている。本実施形態において、携帯用情報機器20は、タブレット型PCを一例として説明するが、これに限定されるものでなく、スマートフォンなどでも良い。
【0027】
本実施形態では、携帯用情報機器20は、縦横比率が異なる長方形の外形を有し、スタンド機構10を用いることにより、横置き及び縦置きを選択して所望の角度で起立させることができる。携帯用情報機器20として、例えば、その外形(液晶ディスプレイ)の縦横比率が16:9や4:3等に設定された公知なものを使用可能である。また、液晶ディスプレイ22は、タッチ操作可能な液晶表示部である。
【0028】
筐体21は平面視で略矩形に形成されており、筐体21には、演算装置やバッテリーなどから発生する熱を放散するための通気孔23が形成されている。また、筐体21の外縁部には、スタンド機構10を収容するための収容溝24が形成されている。
【0029】
スタンド機構10は、一方向に延びる第1アーム11と、該第1アーム11よりも長尺な第2アーム12と、これら第1アーム11と第2アーム12との間を連結する連結部13とを備えている。第1アーム11及び第2アーム12は、それぞれ筐体21の背面側にヒンジ14、15によって回動可能に設けられている。具体的には、筐体21の内部に取り付けられた、ヒンジ14に第1アーム11が連結され、ヒンジ15に第2アーム12が連結されている。また、連結部13は、第1アーム11及び第2アーム12の先端を連結している。これらヒンジ14、15は、トルクヒンジとされている。
【0030】
本実施形態では、第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13が、図1(b)に示すように、筐体21の外周に沿って設けられ、かつ第1アーム11及び第2アーム12は互いに平行に配置されている。より具体的には、筐体21の外周のうち対向する短辺21a、21bに沿ってそれぞれ第1アーム11及び第2アーム12が配置され、筐体21の外周の長辺のうちの一つの長辺21cに沿って連結部13が配置されている。
【0031】
第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13の少なくとも1つには携帯用情報機器20(筐体21)の通気孔23と連通する開口16が設けられている。本実施形態では、連結部13に開口16が設けられており、この開口16は、スタンド機構10を収容した状態において携帯用情報機器20の通気孔23と連通しているため、空気を介して携帯用情報機器20から生じる熱を効率的に放散するように構成されている。
【0032】
図3は、図1に示す電子機器1のIII−III断面図であり、図4は、図1に示す電子機器1のIV−IV断面図である。図3に示すように、本実施形態では第1アーム11の断面は略矩形に形成されている。そして、第1アーム11は、筐体21の外周縁に配置されているので、筐体21の収容空間を広くとることができる。また、第2アーム12も筐体21の外周縁に配置されているので、第1アーム11と同様に、筐体21内の部品の収容空間を広くとることができる。これにより、バッテリーなどの大きな部品の配置位置を設計する際の自由度を高めることができる。また、スタンド機構10を収容した状態においては、電子機器1の背面側は面一となり、平滑になるように構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、連結部13は、図4に示すように、厚さが薄くかつ広幅に形成されている。ここで、連結部13の厚さが薄いため、連結部13と厚さ方向に重なる筐体21内の部品の収容空間を広くとることができ、連結部13と重なる領域においても筐体の内部に部品を配置することが可能となる。また、連結部13は、広幅に形成されているので厚さが薄くてもスタンドとして使用するときの強度を十分に確保することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、連結部13には、磁石17が設けられており、筐体21には磁石17が吸着する被吸着部25が設けられている。被吸着部25は、具体的には、磁石や鉄などの磁性材などである。このように、連結部13側に磁石17を設け、筐体21側に被吸着部25を設けることで、スタンド機構10を回動させた後に収容溝24に収容する際に被吸着部25を磁石17に吸着させることで容易にスタンド機構10を収容することができる。このとき、スタンド機構10の回動の回転角度が浅い範囲でヒンジ14、15のトルクを小さく設定することでより滑らかにスタンド機構10を収容できる。なお、筐体21側に磁石を設け、連結部13に被吸着部を設けても良い。また、第1アーム11又は第2アーム12に磁石又は被吸着部の一方を設け、筐体21に磁石又は被吸着部の他方を設ける構成としても良い。
【0035】
また、第1アーム11のヒンジ14及び第2アーム12のヒンジ15の回転の軸芯方向が同一直線上とされている。すなわち、それぞれのヒンジ14、15の回転の軸芯方向は、第1アーム11と第2アーム12の基端部同士を結ぶ線上とされている。ヒンジ14、15はそれぞれ筐体21に固定するための固定部材14a、15aを有し、例えばネジなどにより固定部材14a、15aが筐体21に固定されることで、ヒンジ14、15が筐体21に取り付けられる。ヒンジ14、15は、トルクヒンジであり、第2アーム12のヒンジ15のトルクが、第1アーム11のヒンジ14のトルクよりも大きい設定とされている。これにより、連結部13を把持してヒンジ14、15を介してスタンド機構10を回動させる際に、第1アーム11及び第2アーム12のヒンジ14、15にかかる負荷をより均等にすることができ、スタンド機構10を回動させやすくかつ破損を抑制できる。
【0036】
また、本実施形態において、電子機器1は、スタンド機構10の第1アーム11及び第2アーム12の回動範囲を規制する規制部18を有している(図2参照)。図5は、本発明の実施形態に係る電子機器1が有する規制部18を示す概略図であり、図5(a)は、電子機器1が有する規制部18の斜視図であり、図5(b)は、電子機器1が有する規制部18の側面図である。本実施形態では、図5(a)に示すように、筐体21の側面に規制部18が設けられている。なお、図5では、第2アーム12側に設けられた規制部18を示している。
【0037】
規制部18は、筐体21の側面に筐体21の平面と交差する方向に延びる傾斜部18aを有している。図5(b)に示すように、第2アーム12がヒンジ15を介して回動すると、規制部18の傾斜部18aに沿う位置まで第2アーム12が回動する。このように、第2アーム12が回動する範囲が規制される。なお、本実施形態では、筐体21において第1アーム11側及び第2アーム12側の両方に規制部18を設けているが、少なくともどちらか一方に設ける構成とすれば、第1アーム11及び第2アーム12の回動範囲を規制できる。
【0038】
次に、本発明の実施形態に係るスタンド機構10を用いて携帯用情報機器1を横置き及び縦置きに選択的に起立させる方法について説明する。まず、横置きに起立させる方法を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る電子機器1を横置きに起立させた状態を示す概略図であり、図7は、本発明の実施形態に係る電子機器1を横置きに起立させた状態において、側面側から見た概略図である。
【0039】
スタンド機構10を筐体21の収容溝24に収容した状態から、ヒンジ14、15を介して第1アーム11及び第2アーム12を回動させる。そして、筐体21の外周の長辺側と、スタンド機構10の連結部13を載置面に接地し、図6に示すように、携帯用情報機器20(電子機器1)を横置きに起立させる。なお、スタンド機構10のヒンジ14、15は、携帯用情報機器20の重量を支えるのに十分なトルクに設定されている。ここで、第1アーム11と、第2アーム12との回動の回転角度を調整することで、携帯用情報機器20を横置きに起立させる際の、傾斜角度を調整することが可能である。
【0040】
本実施形態では、電子機器1を横置きに起立させた際に、図7に示すように、連結部13全体が載置面に接地されるようになっており、これによってより電子機器1を安定して起立させることが可能である。ここで、第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13が携帯用情報機器20の筐体21の外周に沿うように配置され、さらにヒンジ14、15の回転の軸芯が同一直線上に配設されている。この構成では、スタンド機構10を回動させたときに、側面側から見て第1アーム11と携帯用情報機器20の筐体21とのなす角と、第2アーム12と携帯用情報機器20とのなす角とが、等しくなるため(図7参照)、前述したように連結部13の全体が載置面に接する。
【0041】
次いで、本発明の実施形態に係るスタンド機構10を用いて携帯用情報機器20を縦置きに起立させる方法について説明する。図8は、本発明の実施形態に係る電子機器1を縦置きに起立させた状態を示す概略図である。図9は、本発明の実施形態に係る電子機器1を縦置きに起立させた状態において、側面側から見た概略図である。
【0042】
まず、スタンド機構10を筐体21の収容溝24に収容した状態から、ヒンジ14、15を介して第1アーム11及び第2アーム12を回動させる。そして、筐体21の短辺21b側、及び第2アーム12が載置面に接地されるようにして、携帯用情報機器20を縦置きに起立させる。このとき、第1アーム11及び第2アーム12の回動の回転角度を調整することで、載置面に対する携帯用情報機器20の傾斜角度を調整することができる。具体的には、図9に示すように、スタンド機構10を筐体21の収容溝24に収容した状態から、徐々に、第1アーム11及び第2アーム12の回動の回転角度を大きくしていくと、載置面と直交する方向に対する携帯用情報機器20の傾斜を徐々に大きくすることができる。なお、図9の一番右側の図は、第1アーム11及び第2アーム12を90°以上回転させたときの状態を示している。
【0043】
ここで、第2アーム12を載置面に接地させて、携帯用情報機器20を載置面上で縦置きに起立させる場合に、携帯用情報機器20の重心Gから載置面へ下ろす垂線Lが、携帯用情報機器20と載置面との接触線と、第2アーム12の先端とが描く三角形Tの内側にあることが好ましい。この場合、携帯用情報機器20をより安定した状態に起立させることができる。
【0044】
また、本発明の実施形態に係る電子機器1は、スタンド機構10を利用して操作者が片手でスタンドを把持して携帯用情報機器20の液晶画面を見ることが可能である。図10は、本発明の実施形態に係る電子機器1を、片手で把持した場合の一例を示す図である。図10に示すように、例えば、連結部13を操作者が手で握り、携帯用情報機器20の筐体21の外周縁を操作者の腕に載置することによって、操作者が片手でスタンド機構10の連結部13を把持して携帯用情報機器20の液晶ディスプレイ22を見ることができる。ここで、規制部18において、スタンド機構10の回転角度を例えば170°までの範囲に設定すると、より操作者がスタンド機構10と携帯用情報機器20との間に手を入れて把持しやすくなる。
【0045】
このとき、図10に示すように、連結部13に携帯用情報機器20を操作する操作ボタン19が配置されていても良い。操作ボタン19は、例えば携帯用情報機器20のアプリにおいて、画面のフリック操作を行うボタンなどである。操作ボタン19の電気配線は、例えば筐体21内からヒンジ14、15、第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13の内部などを介して設けることができる。連結部13に、上述のような操作ボタン19がある場合、片手で電子機器1を把持しながら、把持した手の指で操作ボタン19を押し、画面を操作することができる。
【0046】
以上のような構成とされた本実形態に係る電子機器1、及びスタンド機構10においては、筐体21の背面側にヒンジ14、15によって回動可能に設けられた、第1アーム11と、第1アーム11より長尺な第2アーム12と、第1アーム11と第2アーム12との間を連結する連結部13とを備えている。このように第2アーム12が第1アーム11より長尺に構成されていることによって、第2アーム12を載置面に接地させて携帯用情報機器20を縦置きに起立させるときに、第1アーム11と第2アーム12とが同一の長さの場合よりも携帯用情報機器を傾斜させた状態でより安定して起立させることができる。
【0047】
例えば、第1アーム、第2アーム、及び連結部が筐体の外周に沿って設けられている場合に、第1アームと第2アームの長さが等しいと、第2アームを載置面に接地させて携帯用情報機器を縦起に起立させたときに、携帯用情報機器を載置面に対して直角方向にしか起立させることができない。一方、本実施形態に係る電子機器1においては、第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13が筐体21の外周に沿って設けられていても、第1アーム11と第2アーム12との長さが異なるため、携帯用情報機器20を傾斜させて縦置きに起立させることができる。
【0048】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。例えば、上記実施形態では、第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13の少なくとも1つに、スタンド以外の機能部として、携帯用情報機器20の熱を放散するための開口16や、携帯用情報機器20を操作するための操作ボタン19を設けることを説明したが、スタンド以外の機能を有するその他の機能部を設けても良い。
【0049】
また、上記実施形態では、第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13が筐体21の外周に沿って設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、平面視で筐体21の外周の内側に第1アーム11、第2アーム12、及び連結部13を設けても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 電子機器
10 スタンド機構
11 第1アーム
12 第2アーム
13 連結部
14、15 ヒンジ
14a、15a 固定部材
16 開口
17 磁石
18 規制部
18a 傾斜部
19 操作ボタン
20 携帯用情報機器
21 筐体
21a、21b 短辺
21c 長辺
22 液晶ディスプレイ
23 通気孔
24 収容溝
25 被吸着部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10