(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータの昇降する乗りかごの出入口下部端に設置されたかご敷居と前記乗りかごが着床する乗場の出入口下部端に設置された乗場敷居との間の敷居隙間を鉛直方向上側から閉塞する閉塞板と、
前記閉塞板を前記かご敷居に対して回転軸周りに、前記敷居隙間を閉塞する閉塞位置と前記閉塞位置から退避して前記敷居隙間を開放する退避位置との間で回動可能に支持する回転支持部材と、
前記閉塞板を、前記回転軸周りに、前記閉塞位置と前記退避位置との間で移動させる閉塞板駆動部と、
前記閉塞板が前記閉塞位置にある場合、前記閉塞板を前記退避位置から前記閉塞位置へ向かう方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、
前記閉塞板及び前記乗場敷居にそれぞれ設けられ、互いに磁力で引き合う1組の磁性体を有し、
前記1組の磁性体の磁力により前記閉塞板を前記退避位置から前記閉塞位置へ向かう方向に付勢する、
エレベータの敷居隙間閉塞装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置13が用いられるエレベータ1の概略構成例を示すブロック図である。
【0009】
本実施形態に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置(以下、単に、敷居隙間閉塞装置、と称する。)13は、
図1に示すようなエレベータ1に用いられる。エレベータ1は、乗りかご2、カウンタウェイト3、メインロープ4、巻上機5、ブレーキ装置8、昇降制御装置10を有する。エレベータ1は、乗りかご2とカウンタウェイト3とをメインロープ4で連結したいわゆるつるべ式のエレベータである。エレベータ1は、乗りかご2が着床可能な各エレベータ停止階床、すなわち階床に、乗場6が設けられる。乗りかご2は、建物に設けられた昇降路7を鉛直方向上下、すなわち
図1に示すZ方向、に昇降移動が可能である。乗りかご2の上昇方向は、
図1に示す+Z方向であり、鉛直方向の上方向である。乗りかご2の下降方向は、
図1に示す−Z方向であり、鉛直方向の下方向である。エレベータ1は、乗りかご2を昇降路7内でZ方向に昇降移動させることで任意の目的の階層の乗場6に移動させる。
【0010】
メインロープ4は、巻上機5のメインシーブ5a及びそらせシーブ5b等に掛けられる。メインロープ4は、一端に乗りかご2が接続され、他端にカウンタウェイト3が接続される。そらせシーブ5bは、メインロープ4の一端に接続された乗りかご2の水平方向、例えば
図1に示すY方向の動きを制限する。乗場6から乗りかご2に向かう方向、すなわち乗りかご2の乗車方向は、
図1に示す+Y方向であり、乗りかご2から乗場6に向かう方向、すなわち乗りかご2の降車方向は、
図1に示す−Y方向である。巻上機5は、動力を発生させる電動機5cを有する。電動機5cは、昇降制御装置10によりその駆動が制御される。電動機5cは、モータが例示されるが、本実施形態はこれに限定されない。巻上機5は、電動機5cが駆動することで、電動機5cに連結されたメインシーブ5aが回転駆動する。巻上機5は、メインシーブ5aとメインロープ4との間に発生する摩擦力を利用して、メインロープ4を電動で巻き上げる。
【0011】
ブレーキ装置8は、乗りかご2を制動するものであり、昇降制御装置10によりその駆動が制御される。ブレーキ装置8は、巻上機5に設けられ、例えば、乗りかご2が目的の階床に着床している間や緊急停止の際等に作動し、巻上機5の電動機5cの回転軸の回転を制動することで乗りかご2を制動する。
【0012】
各乗場6は、各乗場操作盤9を有する。各乗場操作盤9は、各乗場6にいる利用者からの操作の入力を受け付ける。各乗場操作盤9は、各乗場6のホールインジケータボックス(Hall Indicator Box、HIB)に組み込まれて設けられてもよい。乗りかご2は、かご操作盤12を有する。かご操作盤12は、乗りかご2の内部に設けられる。かご操作盤12は、乗りかご2の内部にいる利用者からの操作の入力を受け付ける。
【0013】
昇降制御装置10は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータ1の仕様等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。
【0014】
昇降制御装置10は、種々のセンサ、検出器、巻上機5の電動機5c、ブレーキ装置8、各乗場操作盤9、各乗場6の各扉11a及び乗りかご2の扉11bの各駆動部、かご操作盤12、敷居隙間閉塞装置13等のエレベータ1の各部と電気的に又は通信可能に接続され、各部の動作を統括的に制御する。昇降制御装置10は、例えば、乗場操作盤9、かご操作盤12への利用者からの操作の入力に応じて、巻上機5の駆動を制御し、乗りかご2を指定の目的階に移動させる。昇降制御装置10は、巻上機5の駆動状態及びブレーキ装置8の動作状態を検出し、これにより、乗りかご2の昇降移動の停止を検出する。昇降制御装置10は、検出した巻上機5の駆動状態及びブレーキ装置8の動作状態に応じて、敷居隙間閉塞装置13に着床信号を送信する。
【0015】
敷居隙間閉塞装置13は、乗りかご2のかご敷居2b及び各乗場6の各乗場敷居6bに渡って設置されている。敷居隙間閉塞装置13は、かご敷居2bと乗場敷居6bとの間の敷居隙間を閉塞する状態と、敷居隙間を閉塞しない状態とを切り替えることができる。敷居隙間閉塞装置13については、後述する。
【0016】
上記のように構成されるエレベータ1は、利用者により乗場操作盤9、かご操作盤12を介して目的の階層に移動させる旨の操作が入力された場合、乗場操作盤9、かご操作盤12から昇降制御装置10に目的の階層を登録する登録信号が入力され、昇降制御装置10がこの登録信号に応じて乗りかご2を目的の階層に移動させる旨の登録を行う。そして、昇降制御装置10は、目的の階層の登録を含む操作の入力、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご2の現在の昇降位置及び昇降方向等に基づいて、乗りかご2が合理的に移動しながら各操作の入力に応答するように乗りかご2の着床順序を定め、巻上機5の電動機5cを駆動制御し、乗りかご2を登録された目的の階床へと移動させる。これにより、エレベータ1は、乗りかご2が昇降路7内を鉛直方向上下に昇降移動し、目的の階層の乗場6に移動する。そして、エレベータ1は、ブレーキ装置8を動作させて乗りかご2の昇降移動を停止し、乗りかご2を目的の階層の乗場に着床させる。
【0017】
エレベータ1は、昇降制御装置10が、乗りかご2の昇降移動の停止を検出することにより、乗りかご2が目的の階層の乗場6に着床したことを検出する。エレベータ1は、昇降制御装置10が、乗りかご2が目的の階層の乗場6に着床したことが検出されると、敷居隙間閉塞装置13に着床信号を送信する。敷居隙間閉塞装置13は、昇降制御装置10から送信される着床信号に応じて所定の作動をする。エレベータ1は、昇降制御装置10が、敷居隙間閉塞装置13に着床信号を送信して敷居隙間閉塞装置13に所定の作動をさせた後、着床している目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを開放する。これにより、エレベータ1は、敷居隙間閉塞装置13が所定の作動をした後、乗場6で待機している利用者が乗りかご2内に乗り込むことを可能にし、また、乗りかご2内の利用者が乗場6に降りることを可能にする。
【0018】
敷居隙間閉塞装置13は、昇降制御装置10が、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを閉鎖したときに送信する閉鎖信号に応じて、別の所定の作動をする。エレベータ1は、昇降制御装置10が、敷居隙間閉塞装置13に閉鎖信号を送信して敷居隙間閉塞装置13に別の所定の作動をさせた後、次の目的の階層へ乗りかご2を昇降移動させる。
【0019】
次に、
図2から
図4を用いて実施形態1に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置13について詳細に説明する。
図2は、実施形態1に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置13を昇降方向及び乗降方向に垂直な方向から見た構成例を示す図である。
図3は、実施形態1に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置13の閉塞板14及び軸部材15の構成例を示す斜視図である。
図3は、第1磁性体17a及び第2磁性体17b等が省略されている。
図4は、実施形態1に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置13の軸部材15の構成例を示す斜視図である。
【0020】
乗りかご2は、
図2に示すように、床板2aと、かご敷居2bと、扉11bと、を備える。かご敷居2bは、乗りかご2の出入口下部端に、床板2aに接して、設置されている。かご敷居2bは、床板2aとの間で上表面に面一を形成する。かご敷居2bは、乗りかご2が乗場6に着床している場合に乗場敷居6bと対面する側に、切欠2cが設けられている。乗場6は、
図2に示すように、乗場床6aと、乗場敷居6bと、扉11aと、を備える。乗場敷居6bは、乗場6の出入口下部端に、乗場床6aに接して、設置されている。乗場敷居6bは、乗場床6aとの間で上表面に面一を形成する。乗場敷居6bは、乗りかご2が乗場6に着床している場合にかご敷居2aと対面する側に、切欠6cが設けられている。
【0021】
扉11a及び扉11bは、いずれも、Z方向を含む平面方向であり、
図2に示すY方向に垂直な面方向に、設けられている。扉11a及び扉11bは、乗りかご2が乗場6に着床している場合、互いに係合し、連動して開閉操作が行われ、乗りかご2が乗場6に着床していない場合、互いに係合せず、乗りかご2の昇降移動を妨げない。
【0022】
エレベータ1は、乗りかご2が乗場6に着床している場合、乗りかご2の扉11bと乗場6の扉11aとが対向し、かご敷居2bと乗場敷居6bとが対向し、かご敷居2bと乗場敷居6bとの間が敷居隙間18となる。敷居隙間18は、乗降方向であるY方向の幅が、例えば10mm以上30mm以下である。敷居隙間18は、扉11a,11bの開閉方向、すなわちY方向及びZ方向に直交する
図3に示すX方向を長手方向として形成される。敷居隙間18は、乗りかご2が昇降路7内を円滑に昇降移動できるようにするためにエレベータ1に設けられているものであり、ランニングクリアランスと呼ばれることもある。
【0023】
敷居隙間閉塞装置13は、
図2に示すように、閉塞板14と、本実施形態の回転支持部材である軸部材15と、閉塞板駆動部16と、第1磁性体17a及び第2磁性体17bと、を備える。閉塞板14は、
図3に示すように、敷居隙間18を十分に閉塞できる大きさの長方形状の板である主板14aと、扉11a,11bの開閉方向の開放側の両側において、軸部材15に対して主板14aの反対側に延びて設けられた1組の副板14bと、を有する。なお、閉塞板14は、1組の副板14bを有する場合が例示されるが、本実施形態はこれに限定されることなく、扉11a,11bの開閉方向の開放側のいずれかにおいて、軸部材15に対して主板14aの反対側に延びて設けられた副板14bを有してもよく、また、副板14bを有さなくてもよい。閉塞板14は、1枚の主板14aと1組の副板14bとが一体となっている。主板14aは、扉11a,11bの開閉方向である
図3に示すX方向の長さが扉11a及び扉11bの開く幅よりも大きく、乗降方向であるY方向の長さが敷居隙間18の幅よりも大きい。閉塞板14は、軸部材15を介して、乗りかご2のかご敷居2bに設けられている。
【0024】
軸部材15は、
図4に示すように、回転軸A周りに回転せず静止している静止部15aと、静止部15aに対して回転軸A周りに回転可能に接続された回転部15bと、回転部15bを静止部15aに対して回転軸A方向に固定する固定部15cと、を有する。回転軸Aの方向は、Y方向及びZ方向に垂直で、X方向に平行な方向である。軸部材15は、
図3に示すように、静止部15aが扉11a,11bの開閉方向の閉鎖側になり、回転部15bが扉11a,11bの開閉方向の開放側になるように、扉11a,11bの開閉方向の開放側の両側にそれぞれ1つずつ、すなわち1組配置されている。軸部材15は、静止部15aがかご敷居2bに固定され、回転部15bが閉塞板14の主板14aと副板14bとの境界上に固定されている。これにより、軸部材15は、閉塞板14を、かご敷居2bに対して回転軸A周りに回動可能に支持する。軸部材15は、閉塞板14を、敷居隙間18を閉塞する
図2に示す閉塞位置19と、閉塞位置19から退避して敷居隙間18を開放する退避位置20と、の間で回動可能に支持する。なお、回転支持部材は軸部材15が好ましい形態として例示されるが、これに限定されることなく、静止部と回転部とが逆に設けられた形態でもよく、また、扉11a,11bの開閉方向に延びて設けられた形態でもよく、閉塞板14をかご敷居2bに対して回動可能に支持する形態であればよい。
【0025】
1組の軸部材15は、
図3に示すように、各静止部15aの各内側端15d間の距離、すなわち回転軸間距離がLとなるように配置されている。回転軸間距離Lは、扉11a,11bの完全開放時の扉11a,11bの各内側端、すなわち各開放端の間の距離よりも長いことが好ましい。この場合、各内側端15dは、扉11a,11bの各開放端よりも、開閉方向の開放側に配置されている。つまり、1組の軸部材15は、エレベータ1の利用者から、扉11a,11bにより隠れる位置に配置されている。また、1組の副板14bは、1組の軸部材15と同様に、扉11a,11bの各開放端よりも、開閉方向の開放側に配置されている。つまり、1組の副板14bは、エレベータ1の利用者から、扉11a,11bにより隠れる位置に配置されている。
【0026】
閉塞板14は、
図2に示すように、閉塞位置19にある場合、主板14aが、鉛直方向上側から敷居隙間18を閉塞する。閉塞板14は、閉塞位置19にある場合、主板14aの先端部分が乗場敷居6bの切欠6cに接し、主板14aの基端部分がかご敷居2bの切欠2cに接し、乗場敷居6b及びかご敷居2bの間を閉塞し、乗場敷居6b及びかご敷居2bと面一となる。本実施形態の敷居隙間閉塞装置13は、閉塞板14が跳ね上がる恐れをより低減できるため、閉塞板14の主板14aがかご敷居2b及び乗場敷居6bと面一となる形状とすることが好ましいが、これに限定されない。敷居隙間閉塞装置13は、閉塞板14の主板14aがかご敷居2b及び乗場敷居6bとずれていてもよい。
【0027】
閉塞板駆動部16は、乗りかご2に、床板2aの鉛直方向直下に接触されて設けられている場合が例示されるが、本実施形態は、これに限定されない。閉塞板駆動部16は、軸部材15の回転部15bに接続されて回転部15bを回動させることにより、閉塞板14を間接的に移動させる場合が例示されるが、これに限定されることなく、閉塞板14に接続されて閉塞板14を直接移動させてもよい。閉塞板駆動部16は、いずれの場合でも、閉塞板14を、回転軸A周りに、閉塞位置19と退避位置20との間で移動させる。
【0028】
閉塞板駆動部16は、外部から供給される電気エネルギーを用いて閉塞板14を移動させる場合が例示されるが、これに限定されることはない。閉塞板駆動部16は、外部から供給される電気エネルギーを用いて閉塞板14を移動させる場合、電磁力を利用して、電気エネルギーを機械的運動に変換し、閉塞板14を駆動するソレノイド、回転駆動をするモータ、並びにソレノイド又はモータとカム構造とを組み合わせた機構が例示される。
【0029】
閉塞板駆動部16は、扉11a,11bの開閉操作の動力を伝達することにより軸部材15を介して閉塞板14を移動させてもよい。閉塞板駆動部16は、この形態の場合、扉11a及び扉11bの開閉操作と、閉塞板14の駆動操作とを同じ動力を用いて行うので、これらの操作に要する消費電力を低減できる点で、好ましい。閉塞板駆動部16は、この形態の場合、扉11a及び扉11bと軸部材15とを係合するように、歯車又はワイヤー等を組み合わせた機能部品が例示される。閉塞板駆動部16は、この形態の場合、扉11a及び扉11bの開操作に連動して閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ駆動し、扉11a及び扉11bの閉操作に連動して閉塞板14を閉塞位置19から退避位置20へ移動させる。なお、昇降制御装置10は、閉塞板駆動部16がこの形態の場合、検出した巻上機5の駆動状態及びブレーキ装置8の動作状態に応じて、敷居隙間閉塞装置13に着床信号を送信する必要がなく、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを閉鎖したときに閉鎖信号を送信する必要がない。また、敷居隙間閉塞装置13は、閉塞板駆動部16がこの形態の場合、昇降制御装置10から着床信号及び閉鎖信号を受信する機構を備える必要がなく、扉11a及び扉11bの開操作又は閉操作に応じて、作動する。閉塞板駆動部16は、この形態の場合、さらに、閉塞板14の駆動についてさらに閾値トルク以上で空回りする機構を有することが、閉塞位置19と退避位置20との間の閉塞板14の駆動操作が安定する点で、より好ましい。
【0030】
第1磁性体17aは、主板14aの先端部分において、閉塞板14が閉塞位置19にある場合に乗場敷居6bと対向する面に、設けられている。第2磁性体17bは、切欠6cにおいて、閉塞板14が閉塞位置19にある場合に主板14aと対向する面に、設けられている。第1磁性体17a及び第2磁性体17bは、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、互いに接触し、磁力で引き合う。第1磁性体17a及び第2磁性体17bは、互いに磁力で引き合う1組の磁性体である。第1磁性体17a及び第2磁性体17bは、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、互いに磁力で引き合うことにより、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する、付勢部材として機能する。
【0031】
1組の磁性体は、第1磁性体17aが磁石体であり、第2磁性体17bが鉄部材等の強磁性体である場合が例示されるが、本実施形態は、これに限定されず、逆に、第1磁性体17aが鉄部材等の強磁性体であり、第2磁性体17bが磁石体である形態でもよく、また、第1磁性体又は第2磁性体が電磁石であり、閉塞板14が閉塞位置19にある場合に電流が加えられて磁石として機能する形態でもよく、互いに磁力で引き合う組み合わせであればよい。
【0032】
次に、上記のように構成される敷居隙間閉塞装置13の作用について説明する。敷居隙間閉塞装置13は、昇降制御装置10が、乗りかご2の昇降移動の停止を検出することにより、乗りかご2の目的の階層の乗場6への着床を検出したときに送信する着床信号に応じて、第1の作動をする。なお、敷居隙間閉塞装置13は、エレベータ1の作動の迅速性等を考慮して、扉11a,11bが150mm程度解放された際に第1の作動をすることが好ましく例示されるが、本実施形態はこれに限定されない。
【0033】
敷居隙間閉塞装置13は、第1の作動、すなわち閉塞板駆動部16が閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ移動させて、閉塞板14が敷居隙間18を鉛直方向上側から閉塞する。敷居隙間閉塞装置13は、第1の作動に伴い、主板14aが切欠2c及び切欠6cに接し、かご敷居2b及び乗場敷居6bと面一となる。また、敷居隙間閉塞装置13は、第1の作動に伴い、第1磁性体17a及び第2磁性体17bが互いに接触して磁力で引き合い、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する。
【0034】
エレベータ1は、敷居隙間閉塞装置13が第1の作動をした後、昇降制御装置10が、着床している目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを開放する。これにより、敷居隙間閉塞装置13は、閉塞板14が閉塞位置19へ移動して敷居隙間18を閉塞し、閉塞板14の主板14aがかご敷居2b及び乗場敷居6bと面一となり、かつ、閉塞板14が第1磁性体17a及び第2磁性体17bにより退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢した状態で、乗場6で待機している利用者が乗りかご2内に乗り込むことを可能にし、また、乗りかご2内の利用者が乗場6に降りることを可能にする。したがって、敷居隙間閉塞装置13は、主板14aがかご敷居2b及び乗場敷居6bと面一となるので、エレベータ1の利用者又は車両等が躓いて閉塞板14に衝撃を与える可能性を低減する。また、敷居隙間閉塞装置13は、閉塞板14を第1磁性体17a及び第2磁性体17bにより退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢しているので、閉塞板14に与えられる衝撃により閉塞板14が跳ね上がる可能性を低減する。
【0035】
敷居隙間閉塞装置13は、昇降制御装置10が、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを閉鎖したときに送信する閉鎖信号に応じて、第2の作動をする。敷居隙間閉塞装置13は、第2の作動、すなわち閉塞板駆動部16が閉塞板14を閉塞位置19から退避位置20へ移動させて、敷居隙間18を開放する。昇降制御装置10は、敷居隙間閉塞装置13が第2の作動をした後、すなわち閉塞板14が退避位置20へ移動して敷居隙間18を開放した状態で、次の目的の階層へ乗りかご2を昇降移動させる。したがって、敷居隙間閉塞装置13は、乗りかご2が昇降路7内を昇降移動することを妨げない。
【0036】
以上より、本実施形態の敷居隙間閉塞装置13は、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bが開放される前に、閉塞板14の主板14aがかご敷居2b及び乗場敷居6bと面一となるので、エレベータ1の利用者又は車両等が躓いて閉塞板14に衝撃を与える可能性を低減する。また、敷居隙間閉塞装置13は、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bが開放される前に、閉塞板14を第1磁性体17a及び第2磁性体17bにより退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢しているので、エレベータ1の利用者又は車両等により閉塞板14に与えられる衝撃により閉塞板14が跳ね上がる可能性を低減する。
【0037】
また、本実施形態の敷居隙間閉塞装置13は、1組の副板14b及び1組の軸部材15を、扉11a,11bによりエレベータ1の利用者から隠れる位置に配置することで、1組の副板14b及び1組の軸部材15がエレベータ1の利用者からの見栄えを悪くすることなく、エレベータ1の利用者の移動の邪魔になることを抑制できる。また、本実施形態の敷居隙間閉塞装置13は、付勢部材として機能する第1磁性体17a及び第2磁性体17bをエレベータ1の利用者から見えない位置に配置することで、第1磁性体17a及び第2磁性体17bがエレベータ1の利用者からの見栄えを悪くすることなく、エレベータ1の利用者の移動の邪魔になることを抑制できる。
【0038】
[実施形態2]
実施形態2に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置21は、実施形態1において、付勢部材が、第1磁性体17a及び第2磁性体17bからねじりバネ22に変更されたものである。実施形態2に係る敷居隙間閉塞装置21は、実施形態1と同様の構成に実施形態1と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0039】
図5は、実施形態2に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置21を昇降方向及び乗降方向に垂直な方向から見た構成例を示す図である。
図6は、実施形態2に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置21のねじりバネ22付近の構成例を示す斜視図である。
【0040】
ねじりバネ22は、
図5及び
図6に示すように、軸部材15の外周に設けられ、第1端22aと、第2端22bとを有する。ねじりバネ22は、第1端22aが主板14aに固定され、第2端22bがかご敷居2bの側面に固定されている。ねじりバネ22は、第2端22bが固定されたかご敷居2bの側面に対して、第1端22aが固定された主板14aに、回転軸A周りの回転方向に加わる弾性力を発生させる弾性体であり、弾性力により閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する付勢部材として機能する。
【0041】
ねじりバネ22は、1組の軸部材15のいずれか一方にのみ設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。ねじりバネ22は、1組の軸部材15の両方に設けられる場合、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する弾性力を、扉11a,11bの開閉方向の開放側のいずれか一方に偏らないように安定化するので、好ましい。
【0042】
次に、上記のように構成される敷居隙間閉塞装置21の作用について説明する。敷居隙間閉塞装置21は、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、敷居隙間閉塞装置13で第1磁性体17a及び第2磁性体17bが互いに接触して磁力で引き合うことにより閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢することに代えて、ねじりバネ22が弾性力により閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢するものである。
【0043】
以上により、本実施形態の敷居隙間閉塞装置21は、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bが開放される前に、閉塞板14をねじりバネ22の弾性力により退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢しているので、エレベータ1の利用者又は車両等により閉塞板14に与えられる衝撃により閉塞板14が跳ね上がる可能性を低減する。
【0044】
また、本実施形態の敷居隙間閉塞装置21は、各内側端15dを扉11a,11bの各開放端よりも開閉方向の開放側に配置することで、付勢部材として機能するねじりバネ22が、扉11a,11bの各開放端よりも開閉方向の開放側に配置される、すなわち扉11a,11bによりエレベータ1の利用者から隠れた位置に配置されるので、ねじりバネ22がエレベータ1の利用者からの見栄えを悪くすることなく、エレベータ1の利用者の移動の邪魔になることを抑制できる。
【0045】
[実施形態3]
実施形態3に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置25は、実施形態1において、付勢部材が、第1磁性体17a及び第2磁性体17bから突起部26a、溝部26b及び摩擦面26c,26dに変更されたものである。実施形態3に係る敷居隙間閉塞装置25は、実施形態1と同様の構成に実施形態1と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図7は、実施形態3に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置25を昇降方向及び乗降方向に垂直な方向から見た構成例を示す図である。
【0047】
突起部26aは、主板14aの先端部分において、閉塞板14が閉塞位置19にある場合に乗場敷居6bと対向する面に、設けられている。溝部26bは、切欠6cにおいて、閉塞板14が閉塞位置19にある場合に主板14aと対向する面に、設けられている。突起部26a及び溝部26bは、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、互いに嵌合する。溝部26bは、乗りかご2側に設けられた面、すなわち+Y方向側に設けられた面に、突起部26aとの嵌合の着脱を円滑にするためのなだらかな斜面を有する。摩擦面26c,26dは、突起部26aの外周表面及び溝部26bの内周表面にそれぞれ設けられており、互いに接触することにより、摩擦力を発生させる。突起部26a、溝部26b及び摩擦面26c,26dは、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、突起部26a及び溝部26bが互いに嵌合して、摩擦面26c,26dが互いに接触することにより発生させる摩擦力により、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する、付勢部材として機能する。
【0048】
突起部26a及び溝部26bは、それぞれ主板14a及び切欠6cに、いかなる形状で、いかなる個数設けられてもよいが、摩擦面26c,26dの接触面積が大きくなるように設けられることが、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する摩擦力が大きくなる点で、好ましい。
【0049】
次に、上記のように構成される敷居隙間閉塞装置25の作用について説明する。敷居隙間閉塞装置25は、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、敷居隙間閉塞装置13で第1磁性体17a及び第2磁性体17bが互いに接触して磁力で引き合うことにより閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢することに代えて、突起部26a、溝部26b及び摩擦面26c,26dが、摩擦面26c,26d間で発生させた摩擦力により閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢するものである。
【0050】
以上により、本実施形態の敷居隙間閉塞装置25は、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bが開放される前に、閉塞板14を摩擦面26c,26d間で発生させた摩擦力により退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢しているので、エレベータ1の利用者又は車両等により閉塞板14に与えられる衝撃により閉塞板14が跳ね上がる可能性を低減する。
【0051】
また、本実施形態の敷居隙間閉塞装置25は、付勢部材として機能する突起部26a、溝部26b及び摩擦面26c,26dをエレベータ1の利用者から見えない位置に配置することで、突起部26a、溝部26b及び摩擦面26c,26dがエレベータ1の利用者からの見栄えを悪くすることなく、エレベータ1の利用者の移動の邪魔になることを抑制できる。
【0052】
[実施形態4]
実施形態4に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置28は、実施形態2において、付勢部材が、ねじりバネ22からバネ29cに変更されたものである。実施形態4に係る敷居隙間閉塞装置28は、実施形態2と同様の構成に実施形態2と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図8は、実施形態4に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置28を昇降方向及び乗降方向に垂直な方向から見た構成例を示す図である。
【0054】
板側支持部29aは、バネ29cを固定するための一方の支持部であり、1組の副板14bのいずれか一方の端部に設けられている。かご側支持部29bは、バネ29cを固定するための他方の支持部であり、扉11a,11bの開閉方向の開放側の両側のうち、板側支持部29aを設けた側の端部において、かご敷居2bの、乗場6と対向する側と反対側に設けられている。バネ29cは、一端が板側支持部29aに接続され、他端がかご側支持部29bに接続されて設けられている。バネ29cは、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、伸びがゼロとなるように設けられている。バネ29cは、閉塞板14が閉塞位置19から少し退避位置20の方向へ移動した場合、閉塞板14が閉塞位置19にある場合と比較して板側支持部29aとかご側支持部29bとの距離が長くなるので、伸びが正の値となり、収縮方向の弾性力を発生させる弾性体である。すなわち、バネ29cは、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、弾性力により閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する付勢部材として機能する。
【0055】
板側支持部29a、かご側支持部29b及びバネ29cは、扉11a,11bの開閉方向の開放側のいずれか一方にのみ設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。板側支持部29a、かご側支持部29b及びバネ29cは、扉11a,11bの開閉方向の開放側の両側に設けられる場合、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する弾性力を、扉11a,11bの開閉方向の開放側のいずれか一方に偏らないように安定化するので、好ましい。
【0056】
次に、上記のように構成される敷居隙間閉塞装置28の作用について説明する。敷居隙間閉塞装置28は、閉塞板14が閉塞位置19にある場合、敷居隙間閉塞装置21でねじりバネ22が弾性力により閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢することに代えて、バネ29cが弾性力により閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢するものである。
【0057】
以上により、本実施形態の敷居隙間閉塞装置28は、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bが開放される前に、閉塞板14をバネ29cの弾性力により退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢しているので、エレベータ1の利用者又は車両等により閉塞板14に与えられる衝撃により閉塞板14が跳ね上がる可能性を低減する。
【0058】
また、本実施形態の敷居隙間閉塞装置28は、各内側端15dを扉11a,11bの各開放端よりも開閉方向の開放側に配置することで、板側支持部29a、かご側支持部29b及び付勢部材として機能するバネ29cが、扉11a,11bの各開放端よりも開閉方向の開放側に配置される、すなわち扉11a,11bによりエレベータ1の利用者から隠れた位置に配置されるので、板側支持部29a、かご側支持部29b及びバネ29cがエレベータ1の利用者からの見栄えを悪くすることなく、エレベータ1の利用者の移動の邪魔になることを抑制できる。
【0059】
[実施形態5]
実施形態5に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置31は、実施形態1において、付勢部材が、第1磁性体17a及び第2磁性体17bから、貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eに変更され、閉塞板駆動部16が、棒状または線状部材32bを介して扉11a,11bの開閉操作の動力を伝達することにより軸部材15を介することなく閉塞板14を移動させる形態に変更されたものである。実施形態5に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置31は、実施形態1と同様の構成に実施形態1と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0060】
図9は、実施形態5に係るエレベータの敷居隙間閉塞装置31を昇降方向及び乗降方向に垂直な方向から見た構成例を示す図である。
【0061】
本実施形態の副板14bは、実施形態1と比較して、長い。貫通孔32aは、
図9に示すように、副板14bの先端部に開けられている。棒状または線状部材32bは、貫通孔32aに貫通して、その両端が鉛直方向下側に向けられて、配置されている。貫通孔32aは、閉塞板14が閉塞位置19から退避位置20まで移動する際に、棒状または線状部材32bが閉塞板14によりY方向に移動しないような、Y方向に十分に大きい孔である。棒状または線状部材32bは、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eの荷重に十分に耐え得るものであり、伸縮が無視できる程度に小さいものであれば、どのようなものでも好適に用いることが出来る。
【0062】
第1錘32c及び第2錘32dは、いずれも、貫通孔32aと比較して、X方向の長さが長い。そのため、第1錘32c及び第2錘32dは、いずれも、貫通孔32aを通過できない。第1錘32cは、棒状または線状部材32bの一端に設けられ、副板14bの鉛直方向下側に配置される。第2錘32dは、棒状または線状部材32bの一端よりも、鉛直方向上側に設けられ、副板14bの鉛直方向上側に配置される。すなわち、第1錘32c及び第2錘32dは、副板14bを挟んで設けられている。
【0063】
第1錘32cは、棒状または線状部材32bが貫通孔32aに対して鉛直方向上側へ移動することにより、副板14bを鉛直方向下側から押し上げて閉塞板14を閉塞位置19へ移動させる。第2錘32dは、棒状または線状部材32bが貫通孔32aに対して鉛直方向下側へ移動することにより、副板14bを鉛直方向上側から押し下げて閉塞板14を退避位置20へ移動させる。
【0064】
第3錘32eは、重量が、第1錘32c及び第2錘32dの重量の合計よりも大きい。第3錘32eは、棒状または線状部材32bの他端に設けられる。貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eは、特に力が加えられない場合、第3錘32eを有する棒状または線状部材32bの他端側が、第1錘32c及び第2錘32dを有する棒状または線状部材32bの一端側を引っ張り上げる。つまり、貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eは、第3錘32eの重力により、第1錘32cを介して貫通孔32aを有する副板14bを鉛直方向上側に付勢する、すなわち閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する付勢部材として、機能する。
【0065】
貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eは、扉11a,11bの開閉方向の開放側のいずれか一方にのみ設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eは、扉11a,11bの開閉方向の開放側の両側に設けられる場合、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する重力を、扉11a,11bの開閉方向の開放側のいずれか一方に偏らないように安定化するので、好ましい。
【0066】
閉塞板駆動部16は、棒状または線状部材32bを介して扉11a,11bの開閉操作の動力を伝達することにより、軸部材15を介することなく、閉塞板14を移動させる。閉塞板駆動部16は、扉11a及び扉11bの開閉操作と、閉塞板14の駆動操作とを同じ動力を用いて行うので、これらの操作に要する消費電力を低減できる。閉塞板駆動部16は、扉11a及び扉11bと棒状または線状部材32bとを係合するように、歯車又はワイヤー等を組み合わせた機能部品が例示される。閉塞板駆動部16は、扉11a及び扉11bの開操作に連動して閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ移動させ、扉11a及び扉11bの閉操作に連動して閉塞板14を閉塞位置19から退避位置20へ移動させる。
【0067】
昇降制御装置10は、実施形態5に係る敷居隙間閉塞装置31が用いられている場合、検出した巻上機5の駆動状態及びブレーキ装置8の動作状態に応じて、敷居隙間閉塞装置31に着床信号を送信する必要がなく、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを閉鎖したときに閉鎖信号を送信する必要がない。敷居隙間閉塞装置31は、昇降制御装置10から着床信号及び閉鎖信号を受信する機構を備える必要がなく、扉11a及び扉11bの開操作又は閉操作に応じて、作動する。閉塞板駆動部16は、さらに、閉塞板14の駆動についてさらに閾値トルク以上で空回りする機構を有することが、閉塞位置19と退避位置20との間の閉塞板14の駆動操作が安定する点で、好ましい。
【0068】
次に、上記のように構成される敷居隙間閉塞装置31の作用について説明する。エレベータ1は、昇降制御装置10が、着床している目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを開放する、すなわち扉11a,11bの開操作を行う。敷居隙間閉塞装置31は、閉塞板駆動部16が、扉11a,11bの開操作の動力を棒状または線状部材32bに伝達して、棒状または線状部材32bを貫通孔32aに対して鉛直方向上側へ駆動することにより、副板14bを鉛直方向下側から押し上げて閉塞板14を閉塞位置19へ移動させて、閉塞板14により敷居隙間18を鉛直方向上側から閉塞する。
【0069】
敷居隙間閉塞装置31は、閉塞板14が敷居隙間18を鉛直方向上側から閉塞すると、主板14aが切欠2c及び切欠6cに嵌合され、かご敷居2b及び乗場敷居6bとの間に面一を形成する。敷居隙間閉塞装置31は、さらに、貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eが、第3錘32eの重力により、閉塞板14を退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢する。
【0070】
これにより、敷居隙間閉塞装置31は、閉塞板14が閉塞位置19へ移動して敷居隙間18を閉塞し、閉塞板14の主板14aがかご敷居2b及び乗場敷居6bとの間に面一を形成し、かつ、閉塞板14を第3錘32eの重力により退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢した状態で、乗場6で待機している利用者が乗りかご2内に乗り込むことを可能にし、また、乗りかご2内の利用者が乗場6に降りることを可能にする。したがって、敷居隙間閉塞装置31は、主板14aがかご敷居2b及び乗場敷居6bとの間に面一を形成しているので、エレベータ1の利用者又は車両等が躓いて閉塞板14に衝撃を与える可能性を低減する。また、敷居隙間閉塞装置31は、閉塞板14を第3錘32eの重力により退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢しているので、閉塞板14に与えられる衝撃により閉塞板14が跳ね上がる可能性を低減する。
【0071】
エレベータ1は、昇降制御装置10が、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bを閉鎖する、すなわち扉11a,11bの閉操作を行う。敷居隙間閉塞装置31は、閉塞板駆動部16が、扉11a,11bの閉操作の動力を棒状または線状部材32bに伝達して、棒状または線状部材32bを貫通孔32aに対して鉛直方向下側へ駆動することにより、副板14bを鉛直方向上側から押し下げて閉塞板14を退避位置20へ移動させて、敷居隙間18を開放する。昇降制御装置10は、敷居隙間閉塞装置31が閉塞板14を退避位置20へ移動させて敷居隙間18を開放した状態で、次の目的の階層へ乗りかご2を昇降移動させる。したがって、敷居隙間閉塞装置31は、乗りかご2が昇降路7内を昇降移動することを妨げない。
【0072】
以上により、本実施形態の敷居隙間閉塞装置31は、目的の階層の乗場6の扉11a及び乗りかご2の扉11bが開放される際に、閉塞板14を第3錘32eの重力により退避位置20から閉塞位置19へ向かう方向に付勢しているので、エレベータ1の利用者又は車両等により閉塞板14に与えられる衝撃により閉塞板14が跳ね上がる可能性を低減する。
【0073】
また、本実施形態の敷居隙間閉塞装置31は、各内側端15dを扉11a,11bの各開放端よりも開閉方向の開放側に配置することで、付勢部材として機能する貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eが、扉11a,11bの各開放端よりも開閉方向の開放側に配置される、すなわち扉11a,11bによりエレベータ1の利用者から隠れた位置に配置されるので、貫通孔32a、棒状または線状部材32b、第1錘32c、第2錘32d及び第3錘32eがエレベータ1の利用者からの見栄えを悪くすることなく、エレベータ1の利用者の移動の邪魔になることを抑制できる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。