(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部軸受装置は、上側平板部と下側平板部とが所定間隔を置いて平行に配設され、前記上側平板部に前記外枠支軸誘導溝を形成し、前記下側平板部に前記前面枠支軸誘導溝を形成し、前記上側平板部と前記下側平板部との間に前記本体枠脱着用レバーと前記前面枠脱着用レバーを設けてなることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機の代表例であるパチンコ遊技機は、縦長方形枠状に形成された外枠(機枠とも称される)の一側縁の上部と下部、本体枠(遊技盤取付枠とも称される)の一側縁の上部と下部のそれぞれに支軸及び軸受を設けることにより、本体枠が外枠に対して開閉可能にヒンジされている。さらに、本体枠の一側縁の上部と下部、前面枠(ガラス枠又は透明板保持枠とも称される)の一側縁の上部と下部のそれぞれに支軸及び軸受を設けることにより、前面枠が本体枠に対して開閉可能にヒンジされている。
【0003】
ところで、工場等において、外枠に対して本体枠、本体枠に対して前面枠を組み付ける場合、次に述べるような作業が行われている。すなわち、特許文献1に示されているように、外枠を起立状態に定置しておく一方で、まず本体枠を両手で持ち上げつつ僅かに傾け、外枠下部の支軸を本体枠下部の軸受孔に合致させ、次いで、本体枠を真っ直ぐにして、外枠上部の支軸を本体枠上部の軸受孔に合致させる。これによって、外枠に対し本体枠が組み付けられる。そして、本体枠に前面枠を組み付けるに際しても、前面枠を両手で持ち上げつつ僅かに傾け、本体枠下部の軸受孔に前面枠下部の支軸を合致させ、その状態から前面枠を真っ直ぐにして本体枠上部の軸受孔に前面枠上部の支軸を合致させるといった作業が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本体枠や前面枠は、種々の構成部材が取り付けられているため非常に重く、一人の作業者がこれらを持ち上げることは大変である上、支軸や軸受孔の位置が作業者から見え難いため、作業者はその位置を大まかに予測しながら支軸と軸受孔とを合致せざるを得ない。このため、熟練者であってもこうした組立作業には多大な労力を要し、作業者に過度な負担を強いることになっていた。また、このような組立作業は、一旦、本体枠や前面枠を傾けながら、下部の軸受孔に支軸を合致させた後、上部の支軸や軸受孔の位置を探りながら行わなければならないという特質上、当該作業を機械によって自動化することが非常に困難であるという問題も存在していた。そこで、本発明は、一般に行われている遊技機の本体枠及び前面枠の組み付け作業上の問題を解決すべくなされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、外枠の一側縁に本体枠の一側縁および前面枠の一側縁がヒンジされる遊技機であって、前記外枠の一側縁に上部外枠支軸と下部外枠支軸を対設し、前記本体枠の一側縁に上部軸受装置と下部軸受装置を対設し、前記前面枠の一側縁に上部前面枠支軸と下部前面枠支軸を対設し、前記上部軸受装置と前記下部軸受装置には、平面視で略く字形に屈曲した外枠支軸誘導溝をその導入口が該本体枠の外方に向くように形成するとともに、平面視で略く字形に屈曲した前面枠支軸誘導溝をその導入口が該本体枠の内方に向くように形成したことを特徴としている。すなわち、本体枠の上部軸受装置と下部軸受装置を外枠の上部外枠支軸と下部外枠支軸に合致させ、本体枠を外枠の内方から外方に向けて移動するように水平に動かすことで、上部軸受装置と下部軸受装置の外枠支軸誘導溝に上部外枠支軸と下部外枠支軸とが同時に誘導される。このため、本体枠を傾けることなく組み付けることができる。また、上部前面枠支軸と下部前面枠支軸が本体枠の内方から外方に向けて移動するように前面枠を水平に動かすことで、前面枠支軸誘導溝に上部前面枠支軸と下部前面枠支軸とが同時に誘導される。このため前面枠を傾けることなく組み付けることができる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記外枠支軸誘導溝に本体枠脱着用レバーを設け、前記本体枠脱着用レバーは弾性により前記外枠支軸誘導溝が閉状態となるようにすることで前記上部外枠支軸と前記下部外枠支軸を該外枠支軸誘導溝内の定位置に保持するとともに、前記本体枠脱着用レバーを弾性に抗して操作して前記外枠支軸誘導溝を開状態にすることで前記上部外枠支軸と前記下部外枠支軸が該外枠支軸誘導溝から抜脱されるようにしたことを特徴としている。このようにすることで、上部軸受装置と下部軸受装置が上部外枠支軸と下部外枠支軸に安定的に軸支されるとともに、本体枠脱着用レバーを操作することで外枠から本体枠を脱着できる。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記前面枠支軸誘導溝に前面枠脱着用レバーを設け、前記前面枠脱着用レバーは弾性により前記前面枠支軸誘導溝が閉状態となるようにすることで前記上部前面枠支軸と前記下部前面枠支軸を該前面枠支軸誘導溝内の定位置に保持するとともに、前記前面枠脱着用レバーを弾性に抗して操作して前記前面枠支軸誘導溝を開状態にすることで前記上部前面枠支軸と前記下部前面枠支軸が該前面枠支軸誘導溝から抜脱されるようにしたことを特徴としている。このようにすることで、上部前面枠支軸と下部前面枠支軸が上部軸受装置と下部軸受装置に安定的に軸支されるとともに、該前面枠脱着用レバーを操作することで本体枠から前面枠を脱着できる。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記上部軸受装置は、上側平板部と下側平板部とが所定間隔を置いて平行に配設され、前記上側平板部に前記外枠支軸誘導溝を形成し、前記下側平板部に前記前面枠支軸誘導溝を形成し、前記上側平板部と前記下側平板部との間に前記本体枠脱着用レバーと前記前面枠脱着用レバーを設けてなることを特徴としている。このように、上側平板部と下側平板部との間に本体枠脱着用レバーと前面枠脱着用レバーを設けることで上部軸受装置をコンパクトに構成することができる。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、前記下部軸受装置は、下側平板部と上側平板部とが所定間隔を置いて平行に配設され、前記下側平板部に前記外枠支軸誘導溝を形成し、前記上側平板部に前記前面枠支軸誘導溝を形成し、前記下側平板部と前記上側平板部との間に前記本体枠脱着用レバーと前記前面枠脱着用レバーを設けてなることを特徴としている。このように、下側平板部と上側平板部との間に本体枠脱着用レバーと前面枠脱着用レバーを設けることで下部軸受装置をコンパクトに構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外枠に本体枠をヒンジさせるに際し、本体枠を外枠に対して水平に移動させるのみで足りる。すなわち、一旦持ち上げた本体枠を傾けなくても、外枠の上部と下部に本体枠の上部と下部とを同時に合致させることができる。同様に、本体枠に前面枠をヒンジするに際しても、前面枠を本体枠に対して水平に移動させるのみで足りる。すなわち、一旦持ち上げた前面枠を傾けなくても、本体枠の上部と下部に前面枠の上部と下部とを同時に合致させることができる。このため、本体枠及び前面枠の組み付けが容易になり、遊技機を組み立てる労力が大幅に軽減される。また、本体枠や前面枠を傾けることなく組付けることができるので、本体枠や前面枠を機械的に水平移動させて、自動的に組み立てられる装置等を新たに開発することもでき、ひいては組立作業を完全に機械化することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を遊技機の一例としてのパチンコ遊技機に適用した場合の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はパチンコ遊技機の外枠の斜視図、
図4はパチンコ遊技機の本体枠の斜視図、
図7はパチンコ遊技機の前面枠の斜視図である。パチンコ遊技機は、縦長な方形状に枠組み形成される外枠1と、該外枠1の一側上下のそれぞれに固設された軸支金具2a,2bの外枠支軸3a,3bによって開閉自在に装着される本体枠6と、該本体枠6の前面一側上下のそれぞれに固設された軸受装置7a,7bによって開閉自在に装着される前面枠8とによって概略構成されている。なお、この実施形態において「前側」とは、パチンコ遊技機の正面側、「後側」とは、パチンコ遊技機の背面側、「右側」「左側」とは、パチンコ遊技機を正面から見た場合の右側、左側をそれぞれ指すこととする。
【0014】
前記外枠1は、
図1に示すように上下に配置される上枠板10及び下枠板11、左右に配置される左側枠板12及び右側枠板13を組み合わせることで縦長な方形枠状に形成されている。具体的には、アルミニウム等の軽合金からなる正面視コ字形の左側枠板12及び右側枠板13の上下のそれぞれに木製の上枠板10及び下枠板11を固着することによって方形枠状に枠組み形成されている。また、下枠板11の前方には、合成樹脂製の装飾カバー14が装着されている。
【0015】
また、外枠1の一側縁の上下それぞれに上部外枠支軸3aと下部外枠支軸3bとを備えた軸支金具2a,2bが固設されている。このうち、上部に固設された上軸支金具2aは、
図2に拡大して示したように、板金をプレス加工して平面部4aと折曲片部5aとによって筐形に成形されている。また、上軸支金具2aの下面前側に上部外枠支軸3aが下向き突出状に固設されている。そして、この上軸支金具2aは、外枠1の一側縁の上角部にビス止め固定されており、また、上軸支金具2aの平面部4aの前側が外枠1の前縁よりも前方に向けて水平に突出するように設けられている。一方、下部に固設された下軸支金具2bは、
図3に拡大して示したように、板金をプレス加工して平面部4bと折曲片部5bとによって鈎形に成形されている。また、下軸支金具2bの上面前側に下部外枠支軸3bが上向き突出状に固設されている。そして、この下軸支金具2bは、外枠1の一側縁の下角部、具体的には、下枠板11の上面に平面部4bが載置された状態でビス止め固定されており、また、下軸支金具2bの平面部4bの前側が外枠1の前縁よりも前方に向けて水平に突出するように設けられている。なお、上部外枠支軸3aと下部外枠支軸3bは、外枠1の一側縁の鉛直な一直線上に位置していて先端が相対するように設けられている。
【0016】
前記本体枠6は、
図4に示すように上下に配置される上囲繞部材15及び下囲繞部材16、左右に配置される左囲繞部材17及び右囲繞部材18を組み合わせることで縦長な方形枠状に形成されており、そのサイズは、外枠1の前面を略覆い且つ外枠1内に収納し得る大きさになっている。具体的には、合成樹脂製の上囲繞部材15及び下囲繞部材16の左右端部のそれぞれにアルミニウム等の軽合金からなる左囲繞部材17及び右囲繞部材18を固着することによって方形枠状に枠組み形成されている。また、本体枠6の下囲繞部材16を除く部分は開放されており、この部位に図示はしないが遊技球を流下させる遊技盤が配設される。すなわち、下囲繞部材16の上に遊技盤が配設されることになる。そして、遊技盤の後側には、球タンク、通路部材、球払出装置、各種制御基板等が配設されることになる。また、下囲繞部材16には、図示はしないが打球発射装置等が配設されることになる。なお、本体枠6の一側縁の上下それぞれに上部軸受装置7aと下部軸受装置7bとが対設されている。これら上部軸受装置7aと下部軸受装置7bについての詳細は後述する。
【0017】
前記前面枠8は、上下に配置される上枠部材20及び下枠部材21、左右に配置される左側枠部材22及び右側枠部材23を組み合わせることで縦長な方形枠状に形成されており、そのサイズは、本体枠6の前面を略覆うサイズになっている。具体的には、上枠部材20及び下枠部材21の左右端部のそれぞれに左側枠部材22及び右側枠部材23を固着することによって方形枠状に枠組み形成されている。このうち、下枠部材21は、本体枠6の下囲繞部材16の前面全体を覆う板状に形成されている。なお、これら枠部材20,21,22,23はすべてアルミニウム等の軽合金によって成形されている。また、前面枠8の下枠部材21を除く部分は開放部になっており、図示はしないが該開放部を後方から塞ぐようにして一対の透明板ユニットが装着されることになる。さらに、前面枠8の下枠部材21の前面には、図示はしないが球受皿、操作ハンドル等が装着されることになり、また、前面枠8の周囲前面には、装飾用の合成製樹脂カバーが装着されることになる。
【0018】
また、前面枠8の一側縁の上下それぞれに上部前面枠支軸26aと下部前面枠支軸26bを備えた軸支金具25a,25bが固設されている。このうち、上部に固設された上軸支金具25aは、
図8に拡大して示したように、板金をプレス加工して平面部27aと折曲片部28aとによって鈎形に成形されている。また、上軸支金具25aの上面中央に上部前面枠支軸26aが上向き突出状に固設されている。そして、この上軸支金具25aは、前面枠8の一側縁の上角部にビス止め固定されており、また、上軸支金具25aの平面部27aが前方に向けて水平に突出するように設けられている。一方、下部に固設された下軸支金具25bは、
図9に拡大して示したように、板金をプレス加工して平面部27bと折曲片部28bとによって鈎形に成形されている。また、下軸支金具25bの下面中央に下部前面枠支軸26bが下向き突出状に固設されている。そして、この下軸支金具25bは、前面枠8の一側縁にビス止固定されており、また、下軸支金具25bの平面部27bが前方に向けて水平に突出するように設けられている。なお、上部前面枠支軸26aと下部前面枠支軸26bは、前面枠8の一側縁の鉛直な一直線上に位置するように設けられている。
【0019】
次に、
図10乃至
図13を参照しながら、前記上部軸受装置7aについて説明する。
上部軸受装置7aは、上側平板部30aと、この上側平板部30aの下側に設けられる下側平板部31aと、上側平板部30aと下側平板部31aの間に配置されるスペーサ32a、本体枠脱着用レバー33a、及び前面枠脱着用レバー34aとによって概略構成されている。上側平板部30aは、板金製であり、その後端部が下方へ直角に折曲されてビス止め片35aが形成されている。そして、このビス止め片35aを本体枠6の一側縁の上角部にビス止め固定することにより、上側平板部30aが本体枠6の前方に向けて水平突出状に支持されることになる。また、上側平板部30aの下側に合成樹脂製のスペーサ32aと下側平板部31aとが固設されている。すなわち、上側平板部30aと下側平板部31aの間であって、その前側にスペーサ32aを配置し、スペーサ32aに軸ピン36a,37aを貫挿すると共に、軸ピン36a,37aの上下端部をそれぞれ上側平板部30aと下側平板部31aに貫挿させてカシメ止めしている。これにより、上側平板部30aの下面にスペーサ32aを介在させて下側平板部31aが上側平板部30aと平行になるように固設されている。さらに、上側平板部30aには、平面視で略く字形に屈曲した外枠支軸誘導溝38aをその導入口39aが本体枠6の外方(左側)へ向くように形成しており、下側平板部31aには、平面視で略く字形に屈曲した前面枠支軸誘導溝40aをその導入口41aが本体枠6の内方(右側)へ向くように形成している。なお、外枠支軸誘導溝38aの奥部と前面枠支軸誘導溝40aの奥部は、鉛直な一直線上に位置するようになっている。
【0020】
また、上側平板部30aと下側平板部31aの間には、本体枠脱着用レバー33aと前面枠脱着用レバー34aとが配置されている。本体枠脱着用レバー33aは、プラスチック製のものであって、
図11に示されているように、一側片部(ツマミ部45a)と他側片部(作用部46a)とが一体に形成されている。また、一側片部(ツマミ部45a)と他側片部(作用部46a)の中間部に軸ピン47aを貫挿すると共に、軸ピン47aの上下端部を上側平板部30aと下側平板部31aにカシメ止めすることにより、本体枠脱着用レバー33aは上側平板部30aの下面に摺接した状態で軸ピン47aを支点として回転自在となるように装着されている。そして、この軸ピン47aにテンションバネ48aを巻着すると共に、テンションバネ48aの一端を上側平板部30aに形成された折曲起立部49aに、他端を本体枠脱着用レバー33aに形成された引掛部50aに係合することで、本体枠脱着用レバー33aはテンションバネ48aの弾性によって
図10及び
図11に示されている矢印方向に付勢されている。このため、常態において、本体枠脱着用レバー33aの作用部46aは、外枠支軸誘導溝38aの下側にて外枠支軸誘導溝38aと交叉状となり、作用部46aの側縁51aが外枠支軸誘導溝38aの導入口39aに対し斜めに対峙し、外枠支軸誘導溝38aを閉状態にしている。なお、本体枠脱着用レバー33aのツマミ部45aの先端部は、上側平板部30aの後端であって、ビス止め片35aの境界部に沿って形成された開口52aから本体枠6の裏側に向けて突出した状態になっている。
【0021】
さらに、前面枠脱着用レバー34aは、本体枠脱着用レバー33aと同じくプラスチック製であり、一側片部(ツマミ部)55aと他側片部(作用部)56aが一体に形成されている。また、一側片部(ツマミ部)55aと他側片部(作用部)56aの中間部に軸ピン57aを貫挿すると共に、軸ピン57aの上下端部を上側平板部30aと下側平板部31aにカシメ止めしている。このため、本体枠脱着用レバー33aと前面枠脱着用レバー34aとは、上側平板部30aと下側平板部31aとの間にて上下に重なり合った状態で配置され、前面枠脱着用レバー34aは、下側平板部31aの上面に摺接した状態で軸ピン57aを中心として回転自在となるように装着されている。そして、この軸ピン57aにテンションバネ58aを巻着すると共に、テンションバネ58aの一端を軸ピン47aに、他端を前面枠脱着用レバー34aに形成された引掛部59aに係合することで、前面枠脱着用レバー34aはテンションバネ58aの弾性によって
図12及び
図13に示されている矢印方向に付勢されている。このため、常態において、前面枠脱着用レバー34aの作用部56aは、前面枠支軸誘導溝40aの下側にて前面枠支軸誘導溝40aと交叉状となり、作用部56aの側縁60aが前面枠支軸誘導溝40aの導入口41aに対し斜めに対峙し、前面枠支軸誘導溝40aを閉状態にしている。なお、前面枠脱着用レバー34aのツマミ部55aは、下側平板部31aの導入口41aがある側の縁から本体枠6の内方(右側)に向けて突出した状態となっている。
【0022】
一方、下部軸受装置7bは、上部軸受装置7aと上下対称的な構造となっている。そこで、図面としては、
図14及び
図15における下部軸受装置7bを上方から見た斜視図、及びその分解斜視図のみにて示す。この下部軸受装置7bは、下側平板部30bと、この下側平板部30bの上側に設けられる上側平板部31bと、下側平板部30bと上側平板部31bの間に配置されるスペーサ32b、本体枠脱着用レバー33b、及び前面枠脱着用レバー34bとによって概略構成されている。このうち、下側平板部30bは、板金製であり、その後端部が上方へ直角に折曲されてビス止め片35bが形成されている。そして、このビス止め片35bを本体枠6の一側縁の下角部にビス止め固定することにより、下側平板部30bが本体枠6の前方に向けて水平突出状に支持されることになる。また、下側平板部30bの上側に合成樹脂製のスペーサ32bと上側平板部31bとが固設されている。すなわち、下側平板部30bと上側平板部31bの間であって、その前側にスペーサ32bを配置し、スペーサ32bに軸ピン36b,37bを貫挿すると共に、軸ピン36b,37bの上下端部をそれぞれ下側平板部30bと上側平板部31bに貫挿させてカシメ止めしている。これにより、下側平板部30bの上面にスペーサ32bを介在させて上側平板部31bが下側平板部30bと平行になるように固設されている。さらに、下側平板部30bには、平面視で略く字形に屈曲した外枠支軸誘導溝38bをその導入口39bが本体枠6の外方(左側)へ向くように形成しており、上側平板部31bには、平面視で略く字形に屈曲した前面枠支軸誘導溝40bをその導入口41bが本体枠6の内方(右側)へ向くように形成している。なお、外枠支軸誘導溝38bの奥部と前面枠支軸誘導溝40bの奥部は、鉛直な一直線上に位置するようになっている。
【0023】
また、下側平板部30aと上側平板部31aの間には、本体枠脱着用レバー33bと前面枠脱着用レバー34bとが配置されている。本体枠脱着用レバー33aは、プラスチック製のものであって、
図15に示されているように、一側片部45bと他側片部(作用部46b)とが一体に形成されている。また、一側片部45bと他側片部(作用部46b)の中間部に軸ピン47bを貫挿すると共に、軸ピン47bの上下端部を下側平板部30bと上側平板部31bにカシメ止めすることにより、本体枠脱着用レバー33bは下側平板部30bの上面に摺接した状態で軸ピン47bを支点として回転自在となるように装着されている。そして、この軸ピン47bにテンションバネを巻着すると共に、テンションバネの一端を下側平板部30bに形成された折曲起立部に、他端を本体枠脱着用レバー33bに形成された引掛部に係合することで、本体枠脱着用レバー33bはテンションバネの弾性によって
図15に示されている矢印方向に付勢されている。このため、常態において、本体枠脱着用レバー33bの作用部46bは、外枠支軸誘導溝38bの上側にて外枠支軸誘導溝38bと交叉状となり、作用部46bの側縁51bが外枠支軸誘導溝38bの導入口39bに対し斜めに対峙し、外枠支軸誘導溝38bを閉状態にしている。なお、本体枠脱着用レバー33bの一側片部45bには、ツマミ部が形成されていないが、一側片部45bを延長して、ツマミ部を形成することも可能である。
【0024】
さらに、前面枠脱着用レバー34bは、本体枠脱着用レバー33bと同じくプラスチック製であり、一側片部(ツマミ部)55bと他側片部(作用部)56bが一体に形成されている。また、一側片部(ツマミ部)55bと他側片部(作用部)56bの中間部に軸ピン57bを貫挿すると共に、軸ピン57bの上下端部を下側平板部30bと上側平板部31bにカシメ止めしている。このため、本体枠脱着用レバー33bと前面枠脱着用レバー34bとは、下側平板部30bと上側平板部31bとの間にて上下に重なり合った状態で配置され、前面枠脱着用レバー34bは、上側平板部31bの下面に摺接した状態で軸ピン57bを中心として回転自在となるように装着されている。そして、この軸ピン57bにテンションバネ58bを巻着すると共に、テンションバネ58bの一端を軸ピン47bに、他端を前面枠脱着用レバー34bに形成された引掛部59bに係合することで、前面枠脱着用レバー34bはテンションバネ58bの弾性によって
図14に示されている矢印方向に付勢されている。このため、常態において、前面枠脱着用レバー34bの作用部56bは、前面枠支軸誘導溝40bの下側にて前面枠支軸誘導溝40bと交叉状となり、作用部56bの側縁60bが前面枠支軸誘導溝40bの導入口41bに対し斜めに対峙し、前面枠支軸誘導溝40bを閉状態にしている。なお、前面枠脱着用レバー34bのツマミ部55bは、上側平板部31aの導入口41bがある側の縁から本体枠6の内方(右側)に向けて突出した状態となっている。
【0025】
次に、上記のように構成したパチンコ遊技機において、外枠1に対して本体枠6、本体枠6に対して前面枠8を組み付ける場合について説明する。まず、起立状態に定置した外枠1の内方から本体枠6を外方に向けて水平に移動させ、外枠1の上部外枠支軸3aに本体枠6の上部軸受装置7aの導入口39aを合致させると同時に、外枠1の下部外枠支軸3bに本体枠6の下部軸受装置7bの導入口39bを合致させる。そして、本体枠6をさらに外側(左側)へ水平に移動させ、外枠1の上部外枠支軸3aと下部外枠支軸3bがそれぞれく字形に形成された外枠支軸誘導溝38aおよび外枠支軸誘導溝38bに沿って各溝の奥部へ誘導されるようにする。この時、上部外枠支軸3aは、その誘導の途中で本体枠脱着用レバー33aの作用部46aの側縁51aを押圧し、本体枠脱着用レバー33aをテンションバネ48aの弾性に抗して回転させる。そのため、外枠支軸誘導溝38aが一時的に開き、上部外枠支軸3aが外枠支軸誘導溝38aの奥部まで誘導される。そして、上部外枠支軸3aが外枠支軸誘導溝38aまで誘導されると、本体枠脱着用レバー33aの作用部46aは上部外枠支軸3aから離れることから、今度はテンションバネ48aの弾性により本体枠脱着用レバー33aが元に戻ると共に、その作用部46aが外枠支軸誘導溝38aを閉状態にし、上部外枠支軸3aを外枠支軸誘導溝38aの奥端部の定位置に保持することになる。また、同様に下部外枠支軸3bは、その誘導の途中で本体枠脱着用レバー33bの作用部46bの側縁51bを押圧し、本体枠脱着用レバー33bをテンションバネ48bの弾性に抗して回転させる。そのため、外枠支軸誘導溝38bが一時的に開き、下部外枠支軸3bが外枠支軸誘導溝38bの奥部まで誘導される。そして、下部外枠支軸3bが外枠支軸誘導溝38bまで誘導されると、本体枠脱着用レバー33bの作用部46bは下部外枠支軸3bから離れることから、今度はテンションバネ48bの弾性により本体枠脱着用レバー33bが元に戻ると共に、その作用部46bが外枠支軸誘導溝38bを閉状態にし、上部外枠支軸3bを外枠支軸誘導溝38bの奥端部の定位置に保持することになる。このため本体枠6は、外枠1の内側から水平に移動させるだけで簡単に組み付けることができ、傾けながら組み付ける必要がなくなる。また、本体枠脱着用レバー33a,33bが外枠支軸誘導溝38a,38bを閉状態にすることから、上部外枠支軸3a、及び下部外枠支軸3bは、外枠支軸誘導溝38a,38bから抜脱することがない。なお、上部外枠支軸3aの長さは、予め上部軸受装置7aの上側平板部30aの厚みよりも長く、上側平板部30aの厚みに本体枠脱着用レバー33aの厚みを加算した長さよりも短く形成されている。そのため、上部外枠支軸3aが前面枠脱着用レバー34aに接触することはない。また、下部外枠支軸3bの長さは、下部軸受装置7bの下側平板部30bの厚みよりも長く、下側平板部30bの厚みに本体枠脱着用レバー33bの厚みを加算した長さよりも短く形成されている。そのため、下部外枠支軸3bが前面枠脱着用レバー34bに接触することもない。
【0026】
次いで、本体枠6に前面枠8を組み付けるに際しては、本体枠6の内方から前面枠8を外方に向けて水平に移動させ、前面枠8の上部前面枠支軸26aを本体枠6の上部軸受装置7aの導入口41aに合致させると同時に、前面枠8の下部前面枠支軸26bを本体枠6の下部軸受装置7bの導入口41bに合致させる。そして、前面枠8をさらに外側(左側)へ水平に移動させ、前面枠8の上部前面枠支軸26aと下部前面枠支軸26bとがそれぞれく字形に形成された前面枠支軸誘導溝40aと前面枠支軸誘導溝40bに沿って各溝の奥部に誘導されるようにする。この時、上部前面枠支軸26aは、その誘導の途中で前面枠脱着用レバー34aの作用部56aの側縁60aを押圧し、前面枠脱着用レバー34aをテンションバネ58aの弾性に抗して回転させる。そのため、前面枠支軸誘導溝40aが一時的に開き、上部前面枠支軸26aが前面枠支軸誘導溝40aの奥部まで誘導される。そして、上部前面枠支軸26aが前面枠支軸誘導溝40aの奥部まで誘導されると、前面枠脱着用レバー34aの作用部56aは上部前面枠支軸26aから離れることから、今度はテンションバネ58aの弾性により前面枠脱着用レバー34aが元に戻ると共に、その作用部56aが前面枠支軸誘導溝40aを閉状態にし、上部前面枠支軸26aが前面枠支軸誘導溝40aの奥端部の定位置であって上部外枠支軸3aと同一直線上に保持されることになる。また、同様に下部前面枠支軸26bは、その誘導の途中で前面枠脱着用レバー34bの作用部28bの側縁37bを押圧し、前面枠脱着用レバー34bをテンションバネ58bの弾性に抗して回転させる。そのため、前面枠支軸誘導溝40bは一時的に開き、下部前面枠支軸26bが前面枠支軸誘導溝23bの奥部まで誘導される。そして、下部前面枠支軸26bが前面枠支軸誘導溝23bの奥部まで誘導されると、前面枠脱着用レバー34bの作用部28bは下部前面枠支軸26bから離れることから、今度はテンションバネ58bの弾性により前面枠支軸誘導溝23bが元に戻ると共に、その作用部28bが前面枠支軸誘導溝23bを閉状態にし、下部前面枠支軸26bが前面枠支軸誘導溝23bの奥端部の定位置であって下部外枠支軸3bと同一直線上に保持されることになる。このため前面枠8についても、本体枠6の内側から水平に移動させるだけで簡単に組み付けることができ、傾けながら組み付ける必要がなくなる。また、前面枠脱着用レバー34a,34bが前面枠支軸誘導溝40a,40bを閉状態にすることから、上部前面枠支軸26a、及び下部前面枠支軸26bは、前面枠支軸誘導溝40a,40bから抜脱することがない。なお、前面枠8の上部前面枠支軸26aの長さは、予め上部軸受装置7aの下側平板部31aの厚みよりも長く、下側平板部31aの厚みに前面枠脱着用レバー34aの厚みを加算した長さよりも短く形成されている。そのため、上部前面枠支軸26aが本体枠脱着用レバー33aに接触することはない。また、前面枠8の下部前面枠支軸26bの長さは、下部軸受装置7bの上側平板部31bの厚みよりも長く、上側平板部18bの厚みに前面枠脱着用レバー34bの厚みを加算した長さよりも短く形成されている。そのため、下部前面枠支軸26bが本体枠脱着用レバー33bに接触することもない。
【0027】
一方、本体枠6から前面枠8を離脱する場合、前面枠8を半開き状態にして、上部軸受装置7aの前面枠脱着用レバー34aのツマミ部55aを指先で手前に回転操作し、前面枠脱着用レバー34aをテンションバネ58aの弾性に抗して回転させることで前面枠支軸誘導溝40aを開状態にする。また、下部軸受装置7bの前面枠脱着用レバー34bのツマミ部55bを指先で手前に回転操作し、前面枠脱着用レバー34bをテンションバネ58bの弾性に抗して回転させることで前面枠支軸誘導溝40bも開状態にする。そして、前面枠8を本体枠6の内方に水平に移動させることで、上部前面枠支軸26a、及び下部前面枠支軸26bが前面枠支軸誘導溝40a,40bから抜脱され、前面枠8を本体枠6から離脱することができる。このように、前面枠脱着用レバー34a,34bを設けたことで、上部前面枠支軸26aと下部前面枠支軸26bが上部軸受装置7aと下部軸受装置7bに安定的に軸支されると共に、前面枠脱着用レバー34a,34bを操作することで本体枠6から前面枠8を着脱自在にすることができる。
【0028】
さらに、外枠1から本体枠6を離脱する場合、本体枠6を半開き状態にして、上部軸受装置7aの本体枠脱着用レバー33aのツマミ部45aを指先で左側へ回転操作し、本体枠脱着用レバー33aをテンションバネ48aの弾性に抗して回転させることで外枠支軸誘導溝38aを開状態にする。この時、本体枠6を少し右肩下がりに傾けてやると、外枠支軸誘導溝38aから上部外枠支軸3aが抜脱されるので、後は本体枠6を持ち上げることで外枠支軸誘導溝21bから下部外枠支軸3bが抜脱され、本体枠6を外枠1から離脱することができる。このように、本体枠脱着用レバー33a,33bを設けたことで上部外枠支軸3aと下部外枠支軸3bが上部軸受装置7aと下部軸受装置7bに安定的に軸支されると共に、本体枠脱着用レバー33aを操作することで外枠1から本体枠6を着脱自在にすることができる。
【0029】
このように、本発明によれば、本体枠、及び前面枠を組み付けるにあたり、これらを傾けながら、下部の軸受孔と支軸とを合致させた後、これらの上部の支軸や軸受孔の位置を探りながら組み付けなければならないといったことを要さず、本体枠、及び前面枠を水平に移動させるだけで、それらの上部と下部とを同時に外枠、若しくは本体枠に組み付けることができる。このため、組み付け作業がきわめて簡単になり、作業者の労力を大幅に軽減することができる。また、上下の軸受装置に形成した略く字形に屈曲した外枠支軸誘導溝については、その導入口が本体枠の外方に向くように形成すると共に、上下の軸受装置に形成した略く字形に屈曲した前面枠支軸誘導溝については、その導入口が本体枠の内方に向くように形成しているので、本体枠は外枠の内方から水平移動させ、前面枠は本体枠の内方から水平移動させることにより組み付けることができる。従って、組付作業時に隣接するパチンコ遊技機等が邪魔になることがない。さらに、本体枠、及び前面枠を水平移動させるだけ組み付けることができるので、組付作業において機械を使って自動化することも可能となる。
【0030】
また、本発明の上下の軸受装置は、上下の平板部を所定の間隔で平行に配設し、上下の平板部に外枠支軸誘導溝と前面枠支軸誘導溝を形成し、上下の平板部の間に本体枠脱着用レバーと前面枠脱着用レバーを設けたことにより、上下の軸受装置自体を高さ方向に嵩張らず薄くコンパクトに構成することができる。
【解決手段】外枠1の一側縁に上部外枠支軸と下部外枠支軸を対設し、本体枠6の一側縁に上部軸受装置7aと下部軸受装置7bを対設し、前面枠8の一側縁に上部前面枠支軸と下部前面枠支軸を対設し、前記上部軸受装置と前記下部軸受装置には、平面視で略く字形に屈曲した外枠支軸誘導溝をその導入口が該本体枠6の外方に向くように形成すると共に、平面視で略く字形に屈曲した前面枠支軸誘導溝をその導入口が本体枠6の内方に向くように形成する。