特許第6077079号(P6077079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077079
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】光学センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   G01N21/59 C
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-195098(P2015-195098)
(22)【出願日】2015年9月30日
(62)【分割の表示】特願2010-269097(P2010-269097)の分割
【原出願日】2010年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-232582(P2015-232582A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】白田 卓也
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−224042(JP,A)
【文献】 特開2004−191607(JP,A)
【文献】 特開平10−268159(JP,A)
【文献】 特開2004−205415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/59
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する発光素子と、
前記光を検出する受光素子と、
前記発光素子から光が入射する入射面と、前記入射面に入射した光を出射する出射面とを含み、前記入射面から前記出射面までの光路のなかに、潤滑油が入るための隙間を区画する透過部と、
前記発光素子から前記入射面までの光路を絞る絞り部とを備え、
前記絞り部は、
前記発光素子が収納される第1の穴を区画する第1の区画部と、
前記第1の穴と前記入射面とを連通する穴であって前記第1の穴における光路面積よりも小さい光路面積を有し、かつ、光路の延在方向において前記第1の穴の長さよりも短い第2の穴を区画する第2の区画部とから構成される
光学センサ。
【請求項2】
前記発光素子から前記透過部までの光路、および、前記透過部から前記受光素子までの光路を囲む部材が、光の反射を抑える表面を備え、かつ、前記発光素子から前記透過部までの光路が、前記透過部から前記受光素子までの光路よりも短い
請求項1に記載の光学センサ。
【請求項3】
前記絞り部は、第1の絞り部であり、
前記出射面から前記受光素子までの光路を絞る第2の絞り部をさらに備える
請求項1または2に記載の光学センサ。
【請求項4】
前記第2の絞り部は、
前記受光素子が収納される第3の穴を区画する第3の区画部と、
前記第3の穴と前記出射面とを連通する穴であって前記第3の穴における光路面積よりも小さい光路面積を有した部分を含む第4の穴を区画する第4の区画部とを備える
請求項3に記載の光学センサ。
【請求項5】
前記透過部は、第1の直角プリズムと第2の直角プリズムとを備え、
前記第1の直角プリズムは、前記入射面である第1の入射面と、前記第1の入射面とのなす角度が直角である第1の出射面と、当該直角である頂角に対する斜面であって前記第1の入射面から入る光の光路を曲げる第1の反射面と、前記第1の入射面、前記第1の出射面、および、前記第1の反射面を挟む一対の第1の側面とを備え、
前記第2の直角プリズムは、前記第1の出射面と対向する第2の入射面と、前記第2の入射面とのなす角度が直角であって前記出射面である第2の出射面と、当該直角である頂角に対する斜面であって前記第2の入射面から入る光の光路を曲げる第2の反射面と、前記第2の入射面、前記第2の出射面、および、前記第2の反射面を挟む一対の第2の側面とを備え、
前記第1の直角プリズム、および、前記第2の直角プリズムの少なくとも一方が固定対象であり、
前記光学センサは、前記固定対象において前記側面を含む面が固定される壁をさらに備えてもよい
請求項1から4のいずれか一項に記載の光学センサ。
【請求項6】
前記発光素子、前記受光素子、および、前記透過部を支持する支持体をさらに備え、
前記支持体が、前記絞り部を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油の性状を検出することに用いられる光学センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、潤滑油劣化センサとして、潤滑油が侵入するためのオイル侵入用空隙部を赤外LED(Light Emitting Diode)からフォトダイオードまでの光路上に形成し、赤外LEDの出射光に対するオイル侵入用空隙部内の潤滑油による光吸収量をフォトダイオードの受光量によって測定することによって、測定した光吸収量と相関する潤滑油の劣化度を判定するオイル劣化度センサが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたオイル劣化度センサは、潤滑油の劣化度として潤滑油中の不溶解分の濃度を測定することができるが、潤滑油中の汚染物質の種類を特定することができないという問題がある。
【0004】
潤滑油中の汚染物質の種類を特定する技術としては、潤滑油の濾過後のメンブランフィルタにLEDによって光を照射して、メンブランフィルタ上の汚染物質からの反射光を受光素子でRGBのデジタル値に変換し、変換したRGBのデジタル値に基づいて潤滑油中の汚染物質の種類を特定する技術が知られている(例えば、非特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−146233号公報
【特許文献2】特開平10−104160号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】山口智彦、外4名、「潤滑油汚染物質の色相判別法」、福井大学 工学部 研究報告、2003年3月、第51巻、第1号、p.81-88
【非特許文献2】本田知己、「潤滑油の劣化診断・検査技術」、精密工学会誌、2009年、第75巻、第3号、p.359-362
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1、2に記載された技術は、機械から潤滑油を抜き取ってメンブランフィルタで濾過する必要があり、即時性に欠けるという問題がある。
そこで、本発明は、即時性が欠けることを抑える光学センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための光学センサは、光を発する発光素子と、前記光を検出する受光素子と、前記発光素子から光が入射する入射面と、前記入射面に入射した光を出射する出射面とを含み、前記入射面から前記出射面までの光路のなかに、潤滑油が入るための隙間を区画する透過部と、前記発光素子から前記入射面までの光路を絞る絞り部とを備える。
【0009】
上記構成によれば、潤滑油が入るための隙間を光学センサが備え、発光素子から受光素子までの光路に隙間が位置するため、潤滑油中に含まれる物質の検出などに際し、即時性
が欠けることが抑えられる。
【0010】
上記光学センサにおいて、前記絞り部は、前記発光素子が収納される第1の穴を区画する第1の区画部と、前記第1の穴と前記入射面とを連通する穴であって前記第1の穴における光路面積よりも小さい光路面積を有した部分を含む第2の穴を区画する第2の区画部とを備えてもよい。
【0011】
上記光学センサにおいて、前記絞り部は、第1の絞り部であり、前記出射面から前記受光素子までの光路を絞る第2の絞り部をさらに備えてもよい。
【0012】
上記光学センサにおいて、前記第2の絞り部は、前記受光素子が収納される第3の穴を区画する第3の区画部と、前記第3の穴と前記出射面とを連通する穴であって前記第3の穴における光路面積よりも小さい光路面積を有した部分を含む第4の穴を区画する第4の区画部とを備えてもよい。
【0013】
上記光学センサにおいて、前記透過部は、第1の直角プリズムと第2の直角プリズムとを備え、前記第1の直角プリズムは、前記入射面である第1の入射面と、前記第1の入射面とのなす角度が直角である第1の出射面と、当該直角である頂角に対する斜面であって前記第1の入射面から入る光の光路を曲げる第1の反射面と、前記第1の入射面、前記第1の出射面、および、前記第1の反射面を挟む一対の第1の側面とを備え、前記第2の直角プリズムは、前記第1の出射面と対向する第2の入射面と、前記第2の入射面とのなす角度が直角であって前記出射面である第2の出射面と、当該直角である頂角に対する斜面であって前記第2の入射面から入る光の光路を曲げる第2の反射面と、前記第2の入射面、前記第2の出射面、および、前記第2の反射面を挟む一対の第2の側面とを備え、前記第1の直角プリズム、および、前記第2の直角プリズムの少なくとも一方が固定対象であり、前記光学センサは、前記固定対象において前記側面を含む面が固定される壁をさらに備えてもよい。
【0014】
上記光学センサにおいて、前記発光素子、前記受光素子、および、前記透過部を支持する支持体をさらに備え、前記支持体が、前記絞り部を含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光学センサは、潤滑油中に含まれる物質の検出などに際し、即時性が欠けることが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る潤滑油劣化センサの正面図である。
図2図1に示す潤滑油劣化センサの正面断面図である。
図3】(a)は、図1に示す支持部材の正面図である。(b)は、図1に示す支持部材の正面断面図である。
図4】(a)は、図1に示す支持部材の側面図である。(b)は、図1に示す支持部材の側面断面図である。
図5】(a)は、図1に示す支持部材の平面図である。(b)は、図1に示す支持部材の底面図である。
図6】(a)は、図1に示すホルダの正面図である。(b)は、図1に示すホルダの正面断面図である。
図7】(a)は、図1に示すホルダの側面図である。(b)は、図1に示すホルダの側面断面図である。
図8】(a)は、図1に示すホルダの平面図である。(b)は、図1に示すホルダの底面図である。
図9図2に示す白色LEDからRGBセンサまでの光路を示す図である。
図10】(a)は、図1に示すカバーの正面断面図である。(b)は、図1に示すカバーの側面断面図である。
図11】(a)は、図1に示すカバーの平面図である。(b)は、図1に示すカバーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
まず、本実施の形態に係る潤滑油劣化センサの構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る潤滑油劣化センサ10の正面図である。図2は、機械90に取り付けられた状態での潤滑油劣化センサ10の正面断面図である。
【0019】
図1および図2に示すように、潤滑油劣化センサ10は、機械90に設置されて機械90の潤滑油91の劣化を検出するための装置である。
【0020】
潤滑油劣化センサ10は、潤滑油劣化センサ10の各部品を支持するアルミニウム合金製の支持部材20と、支持部材20にネジ11によって固定されたアルミニウム合金製のホルダ30と、ホルダ30に保持された隙間形成部材40と、支持部材20にネジ12によって固定された回路基板51を備えている電子部品群50と、支持部材20にネジ13によって固定されたアルミニウム合金製のカバー60とを備えている。
【0021】
隙間形成部材40は、2つのガラス製の直角プリズム41、42によって構成されており、潤滑油91が侵入するための隙間である油用隙間40aが2つの直角プリズム41、42の間に形成されている。
【0022】
電子部品群50は、回路基板51に実装された白色LED52と、回路基板51に実装されたRGBセンサ53と、回路基板51に対して白色LED52およびRGBセンサ53側とは反対側に配置された回路基板54と、回路基板51および回路基板54を固定する複数本の柱55と、回路基板54に対して回路基板51側とは反対側に配置された回路基板56と、回路基板54および回路基板56を固定する複数本の柱57と、回路基板54側とは反対側に回路基板56に実装されたコネクタ58とを備えている。回路基板51、回路基板54および回路基板56は、複数の電子部品が実装されている。また、回路基板51、回路基板54および回路基板56は、互いに電気的に接続されている。
【0023】
潤滑油劣化センサ10は、支持部材20および機械90の間からの潤滑油91の漏れを防止するOリング14と、支持部材20およびホルダ30の間からの潤滑油91の漏れを防止するOリング15とを備えている。
【0024】
図3(a)は、支持部材20の正面図である。図3(b)は、支持部材20の正面断面図である。図4(a)は、支持部材20の側面図である。図4(b)は、支持部材20の側面断面図である。図5(a)は、支持部材20の平面図である。図5(b)は、支持部材20の底面図である。
【0025】
図1図5に示すように、支持部材20は、機械90のネジ穴90aに固定されるためのネジ部21と、機械90のネジ穴90aに対してネジ部21が回転させられるときに工具によって掴まれるための八角形状の工具接触部22と、ホルダ30が収納されるホルダ収納部23とを備えている。
【0026】
また、支持部材20は、白色LED52が挿入される穴24と、RGBセンサ53が挿
入される穴25と、ネジ11が挿入されるための2つの穴26と、ネジ12がねじ込まれるための2つのネジ穴27と、ネジ13がねじ込まれるための2つのネジ穴28とが形成されている。
【0027】
なお、支持部材20は、回路基板51を介して白色LED52およびRGBセンサ53を支持している。また、支持部材20は、ホルダ30を介して隙間形成部材40を支持している。
【0028】
図6(a)は、ホルダ30の正面図である。図6(b)は、ホルダ30の正面断面図である。図7(a)は、ホルダ30の側面図である。図7(b)は、ホルダ30の側面断面図である。図8(a)は、ホルダ30の平面図である。図8(b)は、ホルダ30の底面図である。図9は、白色LED52からRGBセンサ53までの光路10aを示す図である。
【0029】
図1図2および図6図9に示すように、ホルダ30は、直角プリズム41が収納されるプリズム収納部31と、直角プリズム42が収納されるプリズム収納部32と、白色LED52が収納されるLED収納部33とを備えている。
【0030】
また、ホルダ30は、RGBセンサ53用の穴34と、プリズム収納部31およびLED収納部33を連通する穴35と、プリズム収納部32および穴34を連通する穴36と、ネジ11がねじ込まれるための2つのネジ穴37と、Oリング15が嵌る溝38と、プリズム収納部31に直角プリズム41を固定する接着剤が穴35に浸入することを防止するための環状の溝39aと、プリズム収納部32に直角プリズム42を固定する接着剤が穴36に浸入することを防止するための環状の溝39bとが形成されている。
【0031】
プリズム収納部31は、直角プリズム41を挟み込む2つの壁31aを備えており、壁31aにおいて接着剤によって直角プリズム41を固定している。プリズム収納部32は、直角プリズム42を挟み込む2つの壁32aを備えており、壁32aにおいて接着剤によって直角プリズム42を固定している。
【0032】
ホルダ30は、LED収納部33、穴35、プリズム収納部31、プリズム収納部32、穴36および穴34によって、白色LED52からRGBセンサ53までの光路10aの少なくとも一部を囲んでおり、本発明の光路囲み部材を構成している。
【0033】
ホルダ30は、例えば艶消しの黒アルマイト処理のように、光の反射を防止する処理が表面に施されている。
【0034】
図9に示すように、隙間形成部材40の油用隙間40aは、白色LED52からRGBセンサ53までの光路10a上に配置されている。
【0035】
直角プリズム41、42は、白色LED52によって発せられる光を透過させる。直角プリズム41は、白色LED52によって発せられる光が入射する入射面41aと、入射面41aから入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面41bと、反射面41bで反射した光が出射する出射面41cとが形成されている。
【0036】
直角プリズム42は、直角プリズム41の出射面41cから出射した光が入射する入射面42aと、入射面42aから入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面42bと、反射面42bで反射した光が出射する出射面42cとが形成されている。
【0037】
直角プリズム41の入射面41a、反射面41bおよび出射面41cと、直角プリズム
42の入射面42a、反射面42bおよび出射面42cとは、光学研磨されている。また、直角プリズム41の反射面41bと、直角プリズム42の反射面42bとは、アルミ蒸着膜が施されている。そして、硬度や密着力が弱いアルミ蒸着膜を保護するために、SiO膜がアルミ蒸着膜上に更に施されている。
【0038】
光路10aは、直角プリズム41の反射面41bで90度曲げられていて、直角プリズム42の反射面42bでも90度曲げられている。すなわち、光路10aは、隙間形成部材40によって180度曲げられている。
【0039】
直角プリズム41の出射面41cと、直角プリズム42の入射面42aとの距離、すなわち、油用隙間40aの長さは、例えば1mmである。油用隙間40aの長さが短過ぎる場合、潤滑油91中の汚染物質が油用隙間40aを適切に流通し難いので、潤滑油91中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。
【0040】
一方、油用隙間40aの長さが長過ぎる場合、白色LED52から発せられた光が油用隙間40a内の潤滑油91中の汚染物質によって吸収され過ぎてRGBセンサ53まで届き難いので、やはり潤滑油91中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。したがって、油用隙間40aの長さは、潤滑油91中の汚染物質の色の検出精度が高くなるように、適切に設定されることが好ましい。
【0041】
白色LED52は、白色の光を発する電子部品であり、本発明の白色発光素子を構成している。白色LED52として、例えば、日亜化学工業株式会社製のNSPW500GS-K1が使用されても良い。
【0042】
RGBセンサ53は、受けた光の色を検出する電子部品であり、本発明のカラー受光素子を構成している。RGBセンサ53として、例えば、浜松ホトニクス株式会社製のS9032-02が使用されても良い。
【0043】
図2に示すように、コネクタ58は、潤滑油劣化センサ10の外部の装置のコネクタ95が接続されて、外部の装置からコネクタ95を介して電力が供給されるとともに、潤滑油劣化センサ10の検出結果を電気信号としてコネクタ95を介して外部の装置に出力するようになっている。
【0044】
図10(a)は、カバー60の正面断面図である。図10(b)は、カバー60の側面断面図である。図11(a)は、カバー60の平面図である。図11(b)は、カバー60の底面図である。
【0045】
図1図2図10および図11に示すように、カバー60は、コネクタ58が挿入される穴61と、ネジ13が挿入されるための2つの穴62とが形成されている。
【0046】
カバー60は、例えば艶消しの黒アルマイト処理のように、光の反射を防止する処理が表面に施されている。
【0047】
次に、潤滑油劣化センサ10の組立方法について説明する。
【0048】
まず、ホルダ30のプリズム収納部31うち直角プリズム41の入射面41aと接触する面であって溝39aの外周側の面と、直角プリズム41の面のうちプリズム収納部31の2つの壁31aとそれぞれ接触する2つの面とに接着剤が塗られ、その接着剤によってプリズム収納部31に直角プリズム41が固定される。また、ホルダ30のプリズム収納部32うち直角プリズム42の出射面42cと接触する面であって溝39bの外周側の面
と、直角プリズム42の面のうちプリズム収納部32の2つの壁32aとそれぞれ接触する2つの面とに接着剤が塗られ、その接着剤によってプリズム収納部32に直角プリズム42が固定される。また、ホルダ30のLED収納部33に白色LED52が接着剤によって固定される。
【0049】
次いで、Oリング15が取り付けられたホルダ30が、Oリング14が取り付けられた支持部材20のホルダ収納部23にネジ11によって固定される。
【0050】
次いで、回路基板51、RGBセンサ53、コネクタ58など、白色LED52を除く各種の電子部品が予め組み上げられた電子部品群50が支持部材20にネジ12によって固定され、白色LED52が回路基板51にハンダによって固定される。
【0051】
最後に、カバー60が支持部材20にネジ13によって固定される。
【0052】
次に、機械90への潤滑油劣化センサ10の設置方法について説明する。
【0053】
まず、支持部材20の工具接触部22が工具によって掴まれて、機械90のネジ穴90aに支持部材20のネジ部21がねじ込まれることによって、機械90に潤滑油劣化センサ10が固定される。
【0054】
そして、潤滑油劣化センサ10の外部の装置のコネクタ95がコネクタ58に接続される。
【0055】
次に、潤滑油劣化センサ10の動作について説明する。
【0056】
潤滑油劣化センサ10は、コネクタ58を介して外部の装置から供給される電力によって白色LED52から白色の光を発する。
【0057】
そして、潤滑油劣化センサ10は、RGBセンサ53によって受けた光のRGBの各色の光量を電気信号としてコネクタ58を介して外部の装置に出力する。
【0058】
なお、潤滑油劣化センサ10は、RGBセンサ53以外のセンサを別途搭載していても良い。例えば、潤滑油劣化センサ10は、潤滑油91の温度を検出する温度センサが電子部品群50に含まれている場合には、温度センサによって検出された温度も電気信号としてコネクタ58を介して外部の装置に出力することができる。
【0059】
以上に説明したように、潤滑油劣化センサ10は、白色LED52によって発せられた白色の光のうち油用隙間40aにおいて潤滑油91中の汚染物質によって吸収されなかった波長の光に対して、RGBセンサ53によって色を検出するので、機械90の潤滑油91中の汚染物質の色を即時に検出することができる。つまり、潤滑油劣化センサ10は、RGBセンサ53によって検出した色に基づいて機械90の潤滑油91中の汚染物質の種類をコンピュータなどの外部の装置によって即時に特定可能にすることができる。なお、潤滑油劣化センサ10は、RGBセンサ53によって検出した色に基づいて機械90の潤滑油91中の汚染物質の種類を特定する電子部品が電子部品群50に含まれていても良い。
【0060】
また、潤滑油劣化センサ10は、隙間形成部材40に光路10aを曲げる反射面41b、42bが形成されているので、白色LED52からRGBセンサ53までの光路10aが一直線である構成と比較して、白色LED52およびRGBセンサ53を近くに配置して全体を小型化することができる。また、潤滑油劣化センサ10は、隙間形成部材40が
油用隙間40aを形成する役割だけでなく、光路10aを曲げる役割も備えているので、隙間形成部材40の代わりに光路10aを曲げる部材を別途備える構成と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0061】
特に、潤滑油劣化センサ10は、光路10aを90度曲げる反射面41b、42bがそれぞれ形成されている2つの直角プリズム41、42によって隙間形成部材40が構成されており、2つの直角プリズム41、42の反射面41b、42bによって光路10aを180度曲げ、2つの直角プリズム41、42の間に油用隙間40aが形成されている構成であるので、部品点数の少ない簡単な構成で小型化することができる。
【0062】
また、潤滑油劣化センサ10は、光路10aの少なくとも一部を囲むホルダ30を備えており、光の反射を防止する処理がホルダ30の表面に施されている構成であるので、不要な反射光をRGBセンサ53が受けることを防止することができる。したがって、潤滑油劣化センサ10は、不要な反射光をRGBセンサ53が受ける構成と比較して、潤滑油91中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。
【0063】
また、潤滑油劣化センサ10は、隙間形成部材40のうち油用隙間40aを形成する面、すなわち、直角プリズム41の出射面41cおよび直角プリズム42の入射面42aに撥油処理が施されていても良い。潤滑油劣化センサ10は、直角プリズム41の出射面41cおよび直角プリズム42の入射面42aに撥油処理が施されている場合、潤滑油91に油用隙間40aを容易に流通させるので、潤滑油91が油用隙間40aに滞り易い構成と比較して、潤滑油91中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。また、潤滑油劣化センサ10は、直角プリズム41の出射面41cおよび直角プリズム42の入射面42aに撥油処理が施されている場合、直角プリズム41の出射面41cおよび直角プリズム42の入射面42aに汚れが付着し難いので、潤滑油91中の汚染物質の色の検出精度が汚れの付着によって低下することを抑えることができる。
【0064】
なお、潤滑油劣化センサ10は、白色LED52およびRGBセンサ53の配置が本実施の形態において説明した配置以外の配置であっても良い。例えば、潤滑油劣化センサ10は、白色LED52からRGBセンサ53までの光路10aが一直線であっても良い。
【0065】
また、潤滑油劣化センサ10は、直角プリズム以外の構成によって、光路10aを曲げるようになっていても良い。
【符号の説明】
【0066】
10…潤滑油劣化センサ、10a…光路、20…支持部材、30…ホルダ(光路囲み部材)、40…隙間形成部材、40a…油用隙間、41…直角プリズム、41b…反射面、41c…出射面(油用隙間を形成する面)、42…直角プリズム、42a…入射面(油用隙間を形成する面)、42b…反射面、52…白色LED(白色発光素子)、53…RGBセンサ(カラー受光素子)、90…機械、91…潤滑油。
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