【実施例1】
【0015】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
図2はホログラフィを利用してデジタル情報を再生する光情報記録媒体の再生装置を示すブロック図である。
【0016】
光情報再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。光情報記録媒体1に記録された情報を再生する場合には、光情報再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。
【0017】
光情報再生装置10は、ピックアップ11、再生用参照光光学系12、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0018】
光情報記録媒体1に記録された情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光を光情報記録媒体1に入射させる光波を再生用参照光光学系12にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0019】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0020】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0021】
また、ピックアップ11は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0022】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれ及び波面ずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0023】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報再生装置10内に備えることが必要となる。
【0024】
さらにピックアップ11内に参照光計測部15を設け参照光の波面を計測し、参照光調整信号検出回路92にて演算を行い再生用参照光光学系12の調整値のずれ量を検出する。コントローラ89は前記調整値のずれ量に応じた調整値をアクセス制御回路81を経由して再生用参照光光学系12を調整する。
【0025】
また、ピックアップ11、ディスク回転角度検出用光学系14は、光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0026】
図1は、光情報再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。情報を再生する場合は、光源301を出射した光ビームはコリメートレンズ302を透過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子304によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、所望の偏光を透過させるPSBプリズム331を透過する。透過した光を参照光と呼びミラー318を経由してガルバノミラー319に入射する。ガルバノミラー319はアクチュエータ320によって角度を調整可能のため、レンズ321とレンズ322を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。また、本実施例では、説明を簡単にするために参照光のブラッグ方向とピッチ方向の両方をガルバノミラー319にて調整できる構成として説明するが、もちろん、制御の簡易化の為に調整軸毎にアクチュエータを配置しても良い。例えば、ガルバノミラー319にて参照光のブラッグ方向を調整し、ガルバノミラー319の上流側に可動プリズムを配置し、この可動プリズムにて参照光のピッチ方向を調整する機構としても構わない。この場合、参照光のブラッグ方向とピッチ方向が簡易な構成により独立に調整できるという長所がある。
【0027】
前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した参照光は、再生用参照光光学系12に入射する。
【0028】
再生用参照光光学系12は、入射した光をレンズ327と1/4波長板326を通過させその後可動ミラー324で反射させる。反射した光は、入射時と同一の光路を通り1/4波長板326とレンズ327を通過する。
【0029】
レンズ327を通過した光は参照光と同一角度で入射方向が違う位相共役の光ビームであり、1/4波長板326を2度通過することにより偏光も変化している。前記位相共役の光ビームを再生用参照光と呼ぶ。再生用参照光は光情報記録媒体1に再度入射する。
【0030】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ315、リレーレンズ313ならびに空間フィルタ314を伝播する。その後、再生光は光検出器325に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器325としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0031】
ここで、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0032】
光情報記録媒体1を透過した再生用参照光は、レンズ322とレンズ321を通りガルバノミラー319とミラー318によって反射されPBS331に入射する。PBSプリズム331で再生用参照光は反射され参照光計測部15に入射する。参照光計測部15は再生用参照光の発散もしくは収束の大きさを測定出来る光学系で構成されており、本実施例では例えばDVD等で使用されているナイフエッジ法を元に説明する。
【0033】
参照光計測部15に入射した光はレンズ328及び空間フィルタ329を通り再生用参照光の発散もしくは収束の大きさに応じた光の強度分布に変更される。光検出器330はその光の強度分布を測定し光の分布の量に応じた信号を出力する。
【0034】
ここで、参照光計測部15の構成は再生用参照光の発散もしくは収束の大きさを測定できれば何でもよい。なお、参照光計測部15が本実施例において、可動ミラー324にて反射された参照光がガルバノミラー319より下流に位置しているが、ガルバノミラー319より下流に配置することで、参照光計測部15自体を可動させる必要がなくなり、より小型化・高速化が可能となる。
【0035】
また、可動ミラー324にはアクチュエータ323が取り付けられており、後で記す方法で情報の再生前までに可動ミラーの角度及び位置の調整が行われている。
【0036】
図3はピックアップ11の別の構成を示した図である。
図3において、記録した情報を再生する場合は、光源501を出射した光ビームはコリメートレンズ502を透過した後、例えば1/2波長板などで構成される光学素子504によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向を制御された後、PBSプリズム505に入射する。
【0037】
PBSプリズム505を透過した光ビームは、参照光512として働き、ミラー514を経由してレンズ515に入射する。レンズ515は参照光512を対物レンズ510のバックフォーカス面に集光させる役割を果たしており、対物レンズ510のバックフォーカス面にて一度集光した参照光は、対物レンズ510によって再度、平行光となってホログラム記録媒体1に入射する。
【0038】
ここで、対物レンズ510又は光学ブロック521は、例えば符号520に示す方向に駆動可能であり、対物レンズ510又は光学ブロック521の位置を駆動方向520に沿ってずらすことにより、対物レンズ510と対物レンズ510のバックフォーカス面における集光点の相対位置関係が変化するため、ホログラム記録媒体1に入射する参照光の入射角度を所望の角度に設定することができる。なお、対物レンズ510又は光学ブロック521を駆動する代わりに、ミラー514をアクチュエータにより駆動することで参照光の入射角度を所望の角度に設定しても構わない。
【0039】
<再生系の説明>
前述したように参照光をホログラム記録媒体1に入射し、ホログラム記録媒体1を透過した参照光は、再生用参照光光学系12に入射する。
【0040】
再生用参照光光学系12は、入射した光をレンズ327と1/4波長板326を通過させその後可動ミラー324で反射させる。反射した光は、入射時と同一の光路を通り1/4波長板326とレンズ327を通過する。
【0041】
レンズ327を通過した光は参照光と同一角度で入射方向が違う位相共役の光ビームであり、1/4波長板326を2度通過することにより偏光も変化している。前記位相共役の光ビームを再生用参照光と呼ぶ。再生用参照光は光情報記録媒体1に再度入射する。
【0042】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ510、アングルフィルタ509を伝播する。その後、再生光は光検出器518に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0043】
光情報記録媒体1を透過した再生用参照光は、レンズ510とレンズ515を通りガルバノミラー514によって反射されPBS505に入射する。PBSプリズム505で再生用参照光は反射され参照光計測部15に入射する。参照光計測部15は再生用参照光の発散もしくは収束の大きさを測定出来る光学系で構成されており、本実施例では例えばDVD等で使用されているナイフエッジ法を元に説明する。
【0044】
参照光計測部15に入射した光はレンズ328及び空間フィルタ329を通り再生用参照光の発散もしくは収束の大きさに応じた光の強度分布に変更される。光検出器330はその光の強度分布を測定し光の分布の量に応じた信号を出力する。
【0045】
ここで、参照光計測部15の構成は再生用参照光の発散もしくは収束の大きさを測定できれば何でもよい。
【0046】
また、可動ミラー324にはアクチュエータ323が取り付けられており、後で記す方法で情報の再生前までに可動ミラーの角度及び位置の調整が行われている。
【0047】
図3で示した光学系は、再生光と参照光を同一の対物レンズに入射させる構成とすることで、
図1で示した光学系構成に比して、大幅に小型化できる利点を有する。
【0048】
図4は、光情報再生装置10における再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した再生に関するフローを説明する。
【0049】
図4(a)は、光情報再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、
図4(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0050】
図4(a)に示すように媒体を挿入すると(601)、光情報再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(602)。
【0051】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出し(603)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0052】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(604)を行い、光情報再生装置10は、再生の準備が完了する(605)。
【0053】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは
図4(b)に示すように、まずシーク動作(621)で、アクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびに再生用参照光光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0054】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(622)、再生データを送信する(613)。
【0055】
図6は、は光検出器325で2次元データを検出後、入出力制御回路90における再生データ送信処理624までの信号処理回路85での再生データ処理フローを示している。
【0056】
図6を用いて再生時のデータ処理フローについて説明する。光検出器325で検出された画像データが信号処理回路85に転送(911)される。この画像データに含まれるマーカーを基準に画像位置を検出(912)し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正(913)した後、2値化処理(914)を行い、マーカーを除去(915)することで1ページ分の2次元データを取得(916)する。このようにして得られた2次元データを複数のデータ列に変換した後、誤り訂正処理(917)を行い、パリティデータ列を取り除く。次にスクランブル解除処理(918)を施し、CRCによる誤り検出処理(919)を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータを入出力制御回路90経由で送信(920)する。
【0057】
図5は、光情報再生装置10の信号処理回路85のブロック図である。
【0058】
コントローラ89はピックアップ11内の光検出器325が画像データを検出すると、信号処理回路85にピックアップ11から入力される1ページ分のデータを再生処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン811を経由し、信号処理回路85内サブコントローラ801に通知される。本通知を受け、サブコントローラ801は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン811を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路803に、データライン812を介して、ピックアップ11からピックアップインターフェース回路810を経由して入力される画像データをメモリ802に格納するよう制御する。メモリ802に格納されたデータがある一定量に達すると、画像位置検出回路809でメモリ802に格納された画像データ内からマーカーを検出して有効データ範囲を抽出する制御を行う。次に検出されたマーカーを用いて画像歪み補正回路808で、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪み補正を行い、画像データを期待される2次元データのサイズに変換する制御する。サイズ変換された2次元データを構成する複数ビットの各ビットデータを、2値化回路807において“0”、“1”判定する2値化し、メモリ802上に再生データの出力の並びでデータを格納する制御を行う。次に誤り訂正回路806で各データ列に含まれる誤りを訂正し、スクランブル解除回路805で擬似乱数データ列を加えるスクランブルを解除した後、CRC演算回路804でメモリ802上のユーザデータ内に誤りが含まれない確認を行う。その後、入出力制御回路90にメモリ802からユーザデータを転送する。
【0059】
ここで、発明者は、再生用参照光光学系12との詳細と可動ミラー324の調整方法について詳細に説明する。
【0060】
前記したように再生用参照光光学系12はレンズ327と可動ミラー324を組み合わせた光学系である。
【0061】
また、再生用参照光光学系12の生成する再生用参照光は、入射する参照光と同一の角度、位置、収差である事が望ましい。
【0062】
その為、レンズ327と可動ミラー324の相対的な位置関係が重要となる。
【0063】
図7、
図8、
図9及び
図10を用いて再生用参照光光学系12に入射した参照光と出社する再生用参照光の可動ミラー324の理想状態からのずれによる影響を示す。
【0064】
図7a、
図7b、および
図7cは、理想的な可動ミラー324位置に位置付けた場合の再生用参照光の光路を示した図である。
図7a、
図7b、
図7cはそれぞれ参照光の入射角度が違う場合の光路を示している。また、実線が参照光であり、点線がミラーにて反射した再生用参照光である。
【0065】
図7aでは、入射した参照光は、レンズ327にて光軸が変化する。また、平行光であった参照光も収束光となり可動ミラー324に入射する。可動ミラー324の反射面は入射光の光軸と垂直かつ、収束光の焦点の位置に位置付いている。反射した光は、発散光となり入射光と同一の光路を通りレンズ327に入射する。レンズを通過した光は入射光と同一の光路を反対方向に進む並行光となる。
【0066】
図7aと同様に
図7b、および
図7cは、可動ミラー324のレンズとの距離及び角度が最適な位置であり再生用参照光は、入射した参照光とまったく同一の光路を通って出射される。
【0067】
図8a、
図8b、および
図8cは可動ミラー324がレンズ327に遠い場合の再生用参照光の光路を示した図である。
図8a、
図8b、
図8cはそれぞれ参照光の入射角度が違う場合の光路を示している。また、実線が参照光であり、点線がミラーにて反射した再生用参照光である。
【0068】
図8aでは、入射した参照光は、レンズ327にて光軸が変化する。また、平行光であった参照光も収束光となり可動ミラー324に入射する。可動ミラー324の反射面は入射光の光軸と垂直ではあるが、収束光の焦点よりも遠い位置に位置付いている。その為、収束光は発散光変化してミラーに入射する。反射した光は、入射光よりも広くなりレンズ327に入射する。レンズを通過した光は収束光となり、再生用参照光光学系12より出射される。
【0069】
図7aと同様に
図7b、および
図7cは、可動ミラー324のレンズとの距離が遠い為、再生用参照光は収束光となって出射される。
【0070】
図9a、
図9b、および
図9cは可動ミラー324がレンズ327に近い場合の再生用参照光の光路を示した図である。
図9a、
図9b、
図9cはそれぞれ参照光の入射角度が違う場合の光路を示している。また、実線が参照光であり、点線がミラーにて反射した再生用参照光である。
【0071】
図9aでは、入射した参照光は、レンズ327にて光軸が変化する。また、平行光であった参照光も収束光となり可動ミラー324に入射する。可動ミラー324の反射面は入射光の光軸と垂直ではあるが、収束光の焦点よりも近い位置に位置付いている。その為、収束光はミラーで反射後も収束を続け、その後発散光に変化する。反射した光は、入射光よりも狭くなりレンズ327に入射する。レンズを通過した光は発散光となり、再生用参照光光学系12より出射される。
【0072】
図9aと同様に
図9b、および
図9cは、可動ミラー324のレンズとの距離が近い為、再生用参照光は発散光となって出射される。
【0073】
図10a、
図10b、および
図10cは可動ミラー324がレンズ327に対して傾いている場合の再生用参照光の光路を示した図である。
図10a、
図10b、
図10cはそれぞれ参照光の入射角度が違う場合の光路を示している。また、実線が参照光であり、点線がミラーにて反射した再生用参照光である。
【0074】
図10aでは、入射した参照光は、レンズ327にて光軸が変化する。また、平行光であった参照光も収束光となり可動ミラー324に入射する。可動ミラー324の反射面は入射光の光軸と垂直ではなく、収束光の焦点よりも遠い位置に位置付いている。その為、収束光はミラーで反射前に焦点を結び発散光となる。反射した光の光軸は可動ミラー324の傾きによって変化し、レンズ327に入射する時の光のスポットサイズも
図8aと同様に大きくなっている。レンズ327を通過した再生用参照光は、入射した参照光と角度が異なりまた収束する光となる。
【0075】
図10bでは、入射した参照光は、レンズ327にて光軸が変化する。また、平行光であった参照光も収束光となり可動ミラー324に入射する。可動ミラー324の反射面は入射光の光軸と垂直ではないが、収束光の焦点位置に位置付いている。その為、収束光はミラーで反射位置で焦点を結び反射光は発散光となる。また反射した光の光軸は可動ミラー324の傾きによって変化し、レンズ327に入射する。レンズ327を通過した再生用参照光は、入射した参照光と角度が異なるが、平行光となる光となる。
【0076】
図10cでは、入射した参照光は、レンズ327にて光軸が変化する。また、平行光であった参照光も収束光となり可動ミラー324に入射する。可動ミラー324の反射面は入射光の光軸と垂直ではなく、収束光の焦点よりも近い位置に位置付いている。その為、収束光はミラーで反射後に焦点を結び発散光となる。また、反射した光の光軸は可動ミラー324の傾きによって変化し、レンズ327に入射する時の光のスポットサイズも
図9aと同様に大きくなっている。レンズ327を通過した再生用参照光は、入射した参照光と角度が異なりまた発散する光となる。
【0077】
以上のように、可動ミラー324の位置及び傾きによって生成される再生用参照光は変化する。
【0078】
ホログラムの再生では、記録時と同じもしくは、位相共役な参照光によってのみ再生信号が得られるという特徴とがある。
【0079】
その為、可動ミラー324位置が理想状態からずれた再生用参照光では再生性能の劣化を招いてしまう。
【0080】
そこで、光情報再生装置10は、可動ミラー324を最適な位置に移動させる調整を行う必要がある。
【0081】
次に
図11a及び
図11bを用いて可動ミラー324の角度調整の方法について説明する。
【0082】
図11a及び
図11bは参照光をブラッグ方向に走査した場合の参照光調整信号検出回路92の出力を示した図である。
図11aは、参照光のブラッグ方向の走査に対して再生用参照光が収束から発散に変化している。この事から可動ミラー324が傾いていることがわかる。また、発散と収束の変化の方向から傾きの方向がわかる。アクチュエータ323を動作させ可動ミラーの傾きを補正するように動かす事で
図11bのように参照光を走査しても再生用参照光の発散もしくは収束の度合いが変化しないようになると可動ミラー324の傾きを補正できた事となる。
【0083】
ここで、ブラッグ方向とは、光情報記録媒体1に対して角度多重を行う場合の多重を行う方向の参照光の入射角度方向である。後記するピッチ方向とはブラッグ方向とは垂直な角度の事である。
【0084】
図12は可動ミラー324のずれ方向による参照光の走査による再生用参照光の変化を示した表である。
【0085】
前記で説明したように、参照光の走査方向に対して可動ミラーの角度ずれがない場合は再生用参照光は変化しない。この事から、調整を行いたい角度方向に参照光を走査して再生用参照光の変化を計測する事により可動ミラー324の最適な角度に調整する事が出来る。
【0086】
焦点方向のずれ量は例えばコントローラ89に内蔵されたメモリに保存された再生用参照光が平行となる出力となるように調整すればよい。
【0087】
図13に、前記可動ミラー324の位置付け調整のフローを示す。
【0088】
調整処理が開始すると参照光をブラッグ方向に走査する。(S1101)
走査中の参照光調整信号検出回路92の出力から前記のように、可動ミラー324の最適角度のずれ量を測定し、可動ミラー324のブラッグ方向の角度を調整する。(S1102)
その後、参照光をピッチ方向に走査し(S1103)、ブラッグ方向と同様にピッチ方向の可動ミラー324角度の調整を行う。(S1104)
最後に再生用参照光調整信号検出回路の値を元に焦点方向のミラー位置調整を行う(S1105)この時の調整位置は、例えばコントローラ89に内蔵されたメモリに保存された再生用参照光が平行となる出力となるように調整する。
【0089】
以上のように調整を行う事で、再生用参照光光学系12の出力する光は平行光でかつ入射角度に正対する角度で再生用参照光を出射することが出来、再生性能のよいホログラムの再生を行うことが出来るようになる。
【0090】
前記のように参照光調整信号検出回路92を元に可動ミラー324を調整する事で、再生用参照光の角度及び発散もしくは収束を任意の値に調整する事が出来る。前記方式を行う事により、光情報再生装置10の製造時の可動ミラー324の取り付け精度を荒くする事が出来る。
【0091】
また、温度変化による熱膨張や経年変化による可動ミラー324の位置ずれも調整により補正する事が可能となる。
【0092】
本補正は、データの再生前までに行う事で再生時の可動ミラー324を最適な位置に調整する事が出来る。
【0093】
また、データの再生中の参照光調整信号検出回路92の出力を測定し、変化量が事前に設定していた値以上となった時に前記補正処理を行う事で、常に最適な再生用参照光で再生信号を得る事が出来るようになる。
【0094】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0095】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0096】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。