(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077113
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】曝気装置、その使用方法、及び、この曝気装置を備えた浄水設備
(51)【国際特許分類】
B01F 13/02 20060101AFI20170130BHJP
F04D 7/02 20060101ALI20170130BHJP
F04D 29/057 20060101ALI20170130BHJP
F04D 29/058 20060101ALI20170130BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20170130BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20170130BHJP
C02F 1/00 20060101ALI20170130BHJP
B01F 15/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
B01F13/02 A
F04D7/02 B
F04D29/057 Z
F04D29/058
F04D29/58 S
B01F3/04 A
C02F1/00 J
B01F15/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-518733(P2015-518733)
(86)(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公表番号】特表2015-527184(P2015-527184A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】BE2013000031
(87)【国際公開番号】WO2014005199
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】2012/0463
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ファブリ エリック ポール
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−38592(JP,A)
【文献】
特公昭46−43752(JP,B1)
【文献】
実開昭62−49680(JP,U)
【文献】
特開2008−111476(JP,A)
【文献】
特開平9−1185(JP,A)
【文献】
特表平5−505342(JP,A)
【文献】
特開2000−317490(JP,A)
【文献】
欧州特許第0163821(EP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0181263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 13/02
B01F 3/04
B01F 15/00
C02F 1/00
C02F 3/00
F04D 7/02
F04D 29/057
F04D 29/058
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を曝気するための曝気装置であって、
空気を水面下で分散させる散気システム(4)と、空気入口及び少なくとも1つの空気出口(23)を備えたコンプレッサ(2)とを有し、
前記コンプレッサ(2)は、前記コンプレッサ(2)が前記コンプレッサ(2)中への水の浸入を阻止するハウジングを備えていることによって、前記水面下に配置されるよう構成され、前記空気入口のところでの水の浸入は、一方の開口端が前記水面の上方に位置且つ他方の開口端が前記コンプレッサ(2)への水密連結部を備えた吸気管(3)が設けられていることによって阻止され、前記空気出口(23)のところでの水の浸入は、前記散気システム(4)が前記空気出口(23)への水密連結部を有し且つ少なくとも1つの弁によって水を抑制することができるので、阻止され、前記ハウジングは、前記コンプレッサ(2)を冷却するよう前記水と熱的接触状態にある、曝気装置において、前記コンプレッサ(2)は、空気軸受(24)、磁気軸受、又はこれら両方の軸受に取り付けられたシャフト(17)によって駆動されるインペラ(21)を有する遠心圧縮機であり、前記コンプレッサ(2)及び前記散気システム(4)は、これらが垂直軸線(A−A’)回りに回転することができるよう構成されていることを特徴とする曝気装置。
【請求項2】
前記散気システム(4)は、少なくとも1つのディフューザ(12)を含む、請求項1記載の曝気装置。
【請求項3】
前記散気システム(4)は、前記コンプレッサ(2)から遠ざかって延びる少なくとも2本の散気アーム(11)を含み、各散気アームは、少なくとも2つのディフューザ(12)を備えている、請求項1又は2に記載の曝気装置。
【請求項4】
散気アーム(11)が少なくとも1つのディフューザ(12)を備えた側方枝管(28)を備えている、請求項2又は3に記載の曝気装置。
【請求項5】
前記シャフト(17)は、前記シャフト(17)の長さ方向に延びる空所を備え、前記コンプレッサ(2)は、圧力側から前記空所を経て吸気側まで延びる空気チャネルを備えている、請求項1記載の曝気装置。
【請求項6】
前記散気システム(4)は、少なくとも、半径方向に垂直な成分を有する方向を備えたノズル(29)を備えている、請求項1乃至5の何れか1項に記載の曝気装置。
【請求項7】
前記曝気装置は、水が収容されるリザーバの底部上に載るようになったターンテーブル(14)上に載っている、請求項1乃至6の何れか1項に記載の曝気装置。
【請求項8】
前記コンプレッサ(2)の前記空気入口及び/又は前記空気出口(23)は、モータ及び前記インペラ(21)の下に配置されている、請求項1乃至7の何れか1項に記載の曝気装置。
【請求項9】
前記曝気装置(1)の頂部に取り付けられたハンドル(7)を用いることによって前記曝気装置(1)から全体として水を取り出すことができる、請求項1乃至8の何れか1項に記載の曝気装置。
【請求項10】
前記散気システム(4)は、前記コンプレッサ(2)に連結され、或いは、支持手段(13)が前記散気システム(4)を支持するよう前記曝気装置(1)に設けられている、請求項9記載の曝気装置。
【請求項11】
曝気されなければならない水のための少なくとも1つのベイスンを含む浄水プラントにおいて、前記浄水プラントの一コンポーネントは、請求項1乃至10の何れか1項に記載の曝気装置(1)である、浄水プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曝気装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、空気を水の中に導入するために空気を水中に配置された分散又は分配システム(以下、「散気システム」と言う)中に吹き込む曝気装置向きである。
【背景技術】
【0003】
かかる曝気装置は、主として、廃水の曝気(エアレーション)に用いられ、従って、不純物の分解プロセスは、効率的に働くが、他の用途、例えば溜まった状態の水、例えば養魚池又はスイミングプールの曝気も又、可能である。
【0004】
伝統的に、廃水溜池又はベイスンは、コンプレッサ(圧縮機)によって曝気され、コンプレッサは、弁付きの配管網によって、ベイスンの底部上に又はその近くに配置されたディフューザを備える1つ又は2つ以上の散気システムに空気を提供する。
【0005】
これらディフューザは、極めて小さな気泡を作るよう設計されており、それにより、これらディフューザという装置は、極めて高い曝気効率を有する。
【0006】
この効率は、標準曝気効率(Standard Aeration Efficiency:SAE)とも呼ばれている。これは、水中に導入された酸素の量とこの酸素を水中に導入するための所要のエネルギー量の比である。
【0007】
かかる曝気装置の欠点は、コンプレッサ(圧縮機)が騒音を出し、しかもかかるコンプレッサを冷却しなければならないということにある。このための装置が製作されなければならない。
【0008】
多くの継手、枝管及び弁を備え、その結果、高い圧力降下を呈する大規模な配管網が構築されてメンテナンスされなければならず、その理由は、ベイスン内の互いに異なる場所が互いに異なる曝気容器を有するからであり、又、曝気の必要がある場合、非効率性の発生を阻止するために曝気だけが行われなければならない。
【0009】
さらに、散気システムをメンテナンスすると共に/或いはクリーニングし、かくして、閉塞を阻止することが容易ではないという欠点があり、というのは、ベイスンをこの目的のために空にしなければならないからである。
【0010】
また、ベイスン内における水の混合は、最適作動にとって一般的に不十分であり、従って、混合を行うためには追加の手段を使用しなければならない。
【0011】
かかる曝気装置は又、これらが高価でありしかもこれら曝気装置を容易には移動させることができず、かくして例えば固定設備が高価過ぎ又はかかる固定設備を今、そして更に一度しか必要としない場合、曝気装置を融通性を持って配備することができないという欠点を有する。
【0012】
多くのこれら欠点は、水中に配置されていて、廃水を圧送側で幅が狭くなっている又は細くなっている部分を通って圧送し、かくして圧力不足が起こるので、この細幅部から水面の上方まで延びる吸気管を経て空気を吸い込むポンプを含む伝統的なシステムによって阻止される。次に、吸い込まれた空気を圧送された水と一緒に細幅部から水面下に圧送して、ベイスン内の水を曝気するようにする。
【0013】
しかしながら、かかる設備は、一方においてこれらが比較的僅かな量の空気のために大量の水を圧送しなければならないという理由で、他方において、これら設備が比較的大きな気泡を形成するという理由で、SAEが極めて低い。
【0014】
欧州特許第163821号明細書は、全体としてベイスン内に配置できる構造体を備えた装置に関する。この装置は、水面下に配置されたコンプレッサを有する。かかる装置は、重く且つ嵩張っていて、それにより取り扱い又は動かすのが困難であることは明らかである。
【0015】
英国特許第1268426号明細書は、液体を曝気する装置に関し、この装置は、流路の底部上に載っているブロワを備え、このブロワは、玉軸受を備えた電気モータによって駆動される。かかる装置に関する問題は、この装置を軸受のメンテナンスのためにバンクに引き上げなければならないこと及びこの装置が油潤滑回路の存在を必要とし、それにより吊り上げるべき装置が重くなるということにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第163821号明細書
【特許文献2】英国特許第1268426号明細書
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、水を曝気するための曝気装置であって、空気を水面下で分散させる散気システムと、空気入口及び少なくとも1つの空気出口を備えたコンプレッサとを有し、コンプレッサは、コンプレッサがコンプレッサ中への水の浸入を阻止するハウジングを備えていることによって、水面下に配置されるよう構成され、空気入口のところでの水の浸入は、一方の開口端が水面の上方に位置且つ他方の開口端がコンプレッサへの水密連結部を備えた吸気管が設けられていることによって阻止され、空気出口のところでの水の浸入は、散気システムが空気出口への水密連結部を有し且つその性状に起因して又は少なくとも1つの弁によって水を抑制することができるので、阻止され、ハウジングは、コンプレッサを冷却するよう水と熱的接触状態にある、曝気装置において、コンプレッサは、空気軸受、磁気軸受、又はこれら両方の軸受に取り付けられたシャフトによって駆動されるインペラを有する遠心圧縮機であることを特徴とする曝気装置を提供することによって上述の欠点及び/又は他の欠点のうちの少なくとも1つに対して解決手段を提供することにある。
【0018】
これは、弁及び連結部を備えた大がかりな空気管網なしで、高い効率で、かくして高いSAE値で空気を水中にもたらすことができるという利点を有する。
【0019】
さらに、かかる曝気装置により発生する騒音は、水によって減衰され、コンプレッサを冷却するために冷却回路又はファンを設けることは、不要である。
【0020】
かかる曝気装置は又、目に見えず、かくして景観を損なうことがない。
【0021】
このようにすると、曝気装置は又、多くの曝気装置が用いられる場合、あらゆる場所に差し向けられる適正な量の曝気を送り出すために必要に応じて連結可能又は切り離し可能である。
【0022】
本発明による曝気装置の他の重要な利点は、この曝気装置が例えば磁気軸受及び/又は空気軸受の使用により事実上メンテナンスフリーであること及びこの曝気装置が油循環回路を備える必要がなく、それにより曝気装置を軽量であり且つ取り扱いを容易に製作することができるということにある。
【0023】
好ましい実施形態では、散気システムは、少なくとも1つのディフューザを含む。
【0024】
このようにすると、小さな気泡を良好な酸素移送により生じさせるディフューザを用いることによって加圧空気の分散に関するエネルギーロスがほとんどない状態で又は全くない状態で高いSAEを達成することができる。
【0025】
好ましくは、散気システムは、コンプレッサから遠ざかって延びる少なくとも2本の散気アームを含み、各散気アームは、少なくとも2つのディフューザを備える。好ましくは、散気アームは、少なくとも1つのディフューザを備えた側方枝管を更に備える。
【0026】
このようにすると、良好な空気分散が比較的広い表面領域にわたって得られる。
【0027】
コンプレッサのシャフトは、シャフトの長さ方向に延びる空所を備え、コンプレッサは、圧力側から空所を経て吸気側まで延びる空気チャネルを備えている。
【0028】
これは、冷却用空気又は空気が空所を経てどの空気軸受にも流れることができると共に/或いはかかる空気軸受から流れることができるという利点を有する。
【0029】
別の好ましい実施形態では、コンプレッサ及び散気システムは、これらが垂直軸線回りに回転することができるよう構成されている。
【0030】
これは、ベイスンの大部分を効率的に曝気することができ、しかも散気システムが同時にベイスン内で水のためのミキサとして働くことができるという利点を有する。
【0031】
回転シャフトの逆トルクがコンプレッサ及び散気システムの旋回運動を保証する。好ましくは、旋回運動のための追加のトルクを及ぼすために、散気システムは、少なくとも、半径方向に垂直な成分を有する方向を備えたノズルを備える。
【0032】
その結果、旋回運動を生じさせるために別個の駆動装置は、不要である。
【0033】
好ましい実施形態では、コンプレッサの空気入口及び/又は空気出口は、モータ及びインペラの下に配置される。
【0034】
これは、システム中の漏れ又は連結部の破損が起きた場合、コンプレッサは、その密閉ハウジングに起因して、水を抑制又は抑止する気泡を内部に閉じ込める。その結果、コンプレッサは、水による損傷が生じないよう容易且つ良好に保護される。
【0035】
それにより、別の好ましい実施形態では、コンプレッサと吸気管との間の連結部及び空気出口と散気システムとの間の連結部は、取り外し可能であり、吸気管及び散気システムの各々に設けられている弁が水の浸入を阻止する。
【0036】
その結果、大型の重い曝気装置でも、点検整備し、補修すると共に/或いは交換するためにコンプレッサを曝気装置の残部から切り離して水の上方に引き上げることができる。
【0037】
別の好ましい実施形態では、曝気装置を曝気装置の頂部に取り付けられたハンドルを用いて全体として水から持ち上げることができる。
【0038】
その結果、ベイスンを空にする必要なく、散気システムを含む曝気装置をメンテナンス又はクリーニングのためにベイスンに容易に納めたりこれから取り出したりすることができる。
【0039】
曝気装置は又、融通性のある状態で配備でき且つクリーニングが容易であり、しかも、それにもかかわらず、高い効率で空気を水中にもたらすことができる小型且つ安価な曝気装置として構成できる。
【0040】
本発明は又、曝気されなければならない水のための少なくとも1つのベイスンを含む浄水プラントにおいて、浄水プラントの一コンポーネントは、上述したような曝気装置であることを特徴とする浄水プラントに関する。
【0041】
本発明は更に、浄化されなければならない廃水中に空気を導入するための上述したような曝気装置の使用方法に関する。
【0042】
本発明の特徴を良好に示す意図をもって添付の図面を参照して本発明の曝気装置の少しの好ましい実施形態について本発明をなんら限定することなく例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の曝気装置を作動状態で示す概略側面図である。
【
図2】
図1のF2により示された曝気装置の部分の断面図である。
【
図3】本発明の曝気装置の別の実施形態の一部の平面図である。
【
図4】本発明の曝気装置の別の1つの実施形態の一部の概略側面図である。
【
図5】本発明の曝気装置の別の1つの実施形態の一部の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1及び
図2に示された曝気装置1は、本質的に、吸気管3及び散気システム4に連結されたコンプレッサ(圧縮機)2から成っている。
【0045】
吸気管3は、雨水が入らないようにするための覆い5、電気的接続のためのスリップリング6、及びこの場合吊り上げ用アイボルト7の形態をしたハンドルを備えている。
【0046】
外部給電ケーブル8がスリップリングに接続され、第2のケーブル9がスリップリングからコンプレッサ2に連結されている制御ユニット10まで延びている。
【0047】
散気システムは、半径方向にコンプレッサ2に連結されていて、各々が4つのディフューザ12を備えた2つの散気アーム11から成っている。散気アームは、サスペンションケーブル13を介して吸気管3から吊り下げられると共に曝気装置1が収納されているベイスンの底部から自由にぶら下がっている。
【0048】
曝気装置1は、ターンテーブル14上に位置しており、このターンテーブルにより、曝気装置1は、その軸線A‐A′回りに旋回することができる。これは、ベイスンの底部のところに又はこの底部上に締結されたターンテーブル14であるのが良く、その結果、ターンテーブルは、自由に回転することができるが、このターンテーブルは、能動的に(つまり動力の使用により)駆動されるターンテーブルであっても良い。
【0049】
図2に示されているようにコンプレッサは、ターンテーブル14上に載っている遠心圧縮機2である。コンプレッサ2は、ロータ16が中空中央シャフト17中に組み込まれたモータ15を有し、ステータ18がモータハウジング19内に位置している。モータハウジング19は、冷却フィン20を備えている。
【0050】
コンプレッサは、シャフト17に取り付けられると共にボリュート22によって包囲された遠心インペラ21を更に有し、空気出口23がボリュート22に設けられている。
【0051】
この場合、空気軸受24がロータ16とハウジング19との間の多くの場所に設けられている。本発明によれば、空気軸受24の個数は、自由に選択可能であり、又、図示されていない実施形態によれば、シャフト17を1つ又は2つ以上の空気軸受と1つ又は2つ以上の磁気軸受の組み合わせによって軸受に取り付けることができる。しかしながら、シャフト17が1つ又は2つ以上の磁気軸受に取り付けられた変形例は、本発明の範囲に含まれる。
【0052】
凝縮水出口25がハウジング19の出口のところに且つ吸気管3とコンプレッサ2との間の連結部の近くに設けられている。
【0053】
モータハウジング19とボリュート22は、一緒になって、コンプレッサ中への水の浸入を阻止するコンプレッサハウジングを形成している。
酸素センサ26が制御ユニット10に接続されている。
【0054】
曝気装置1の作動は、極めて簡単であり、次の通りである。
【0055】
曝気装置を外部吊り上げ装置によって吊り上げ用アイボルト7から吊り上げ、そして曝気されるべき水の入ったベイスン内のターンテーブル14上の所望の位置に置く。
【0056】
電気がケーブル8に送られ、その結果、スリップリング6を経て第2のケーブル9にも送られる。
【0057】
酸素センサが水中の酸素レベルを測定する。これがしきい値を下回っている場合、制御ユニット10は、モータ15を始動させ、その結果、ロータ16、シャフト17、及びインペラ21が回り始めるようにする。
【0058】
この時点で、吸気管3を経て大気から空気を吸い込み、そしてインペラ21及びボリュート22の作用に起因して空気を圧力下で空気出口23から散気アーム11及びかくしてディフューザ12に押しやり、それにより、この空気は、小さな気泡27として現れ、かかる小さな気泡は、これら気泡の酸素を水に移すことができる。これは、
図2に矢印Pで示されている。
【0059】
インペラ21の出口側の加圧空気の一部は又、
図2の矢印Qで示されている経路に沿って空気軸受24まで流れ、そして空気軸受24から中空シャフト17を経て再び吸気管3に流れる。空気軸受24に圧縮空気が送られるので、空気軸受は、コンプレッサ2の回転部分16,17,21を支持する。
【0060】
酸素センサ26により測定される酸素濃度がしきい値を上回るやいなや、コンプレッサのモータ15を制御ユニット10によって再びオフに切り替える。
【0061】
ディフューザ12が水ではなく空気を通すこと
ができるので、コンプレッサ2を作動停止させている間、散気システム4を経てコンプレッサ2に浸入することができる水は存在しない。
【0062】
散気システム4が、コンプレッサ2を作動停止させているときに散気システム4中への水の浸入を可能にする要素を有している場合、この水がコンプレッサ2を損傷させることができないようにするために適当な弁、例えば逆止弁を設ける必要がある。
【0063】
使用中にモータ15内に生じる熱をモータハウジング19の冷却フィン20により水に伝え、これによりモータ15を冷却する。
【0064】
使用中、空気中の水蒸気は、曝気装置1内で凝縮する場合がある。生じた凝縮水を凝縮水出口25を経て除去するのが良い。
【0065】
曝気装置1全体の旋回運動は、このための駆動力とは別個独立に、ターンテーブル14により且つバーム上に設けられている固定電力源とターニングモータとの間の電気的接続を維持することができるスリップリングにより可能である。
【0066】
また、ケーブル8、第2のケーブル9、及びスリップリング6を用いると、制御信号を制御ユニット10に送ることができる。
【0067】
酸素センサ26は、オプションであり、ただし、この酸素センサ26が設けられていない場合、曝気装置1は、水の酸素含有量の関数としてそれ自体を制御することができず、オン又はオフでしか働くことができず、或いは、曝気装置1は、外部制御信号に基づいてその作動を調節することができる。
【0068】
曝気装置1がメンテナンス又はクリーニングを必要とする場合、曝気装置1を吊り上げ用アイボルトにより、全体として、即ち散気システムと共に水から容易に取り出すことができる。
【0069】
種々の曝気装置1が単一のベイスン内に位置している場合、局所的に必要な場合、自動酸素依存型制御装置によって特定の曝気装置1だけを使用し、その結果、不必要な曝気及びかくして不必要なエネルギー消費を回避する。
【0070】
図3に示されている曝気装置1は、8つの空気出口23及び散気アーム11が設けられている点で上述の曝気装置1とは異なっており、各散気アーム11は、3本の側方枝管28を備え、これら側方枝管は、各々、ディフューザ12を備えており、その結果、側方枝管28を含む各散気アーム11について、10個のディフューザ12が設けられている。
【0071】
各散気アーム11の側方枝管28のうちの1つは、少なくとも、コンプレッサ2から見て半径方向に垂直である成分を含む方向、即ち、作動中に空気を放出する方向を有するノズル29を備えている。
【0072】
曝気装置1のこの変形例の使用法は、多量の水が曝気される点において上述の使用法とは異なっている。さらに、曝気装置1のこの変形例の使用中、コンプレッサにより散気システム4中に押し込まれた空気の一部は、ノズル29から押し出される。その結果、吊り上げ用アイボルト7、ケーブル8、及びスリップリング6の一部を除き、曝気装置全体がターンテーブル上で旋回するようにする力が散気システムに逆方向に及ぼされる。
【0073】
この旋回運動は又、曝気装置1周りにおける水の混合を保証する。
【0074】
図4は、
図3の曝気装置1の変形例の一部を示しており、曝気装置のコンプレッサ部分が特に示されており、他方、散気アーム11が1つしか示されておらず、他の散気アーム11は、分かりやすくするために省かれている。
【0075】
この実施形態は、本質的に、コンプレッサの空気入口及び空気出口23が下の方に設けられ、即ち、空気入口及び空気出口23がインペラ21及びモータ15の下方に設けられている点で上述の実施形態とは異なっている。
【0076】
これを可能にするため、吸気管3は、曲線30を辿らなければならない。
【0077】
この実施形態の作動については、上述してある。
【0078】
この実施形態の利点は、漏れが起きた場合でも、コンプレッサ2がコンプレッサハウジング内に存在する気泡によって水による損傷が生じないよう保護されるということにある。
【0079】
図4と同様な仕方で、
図5は、本発明の曝気装置1の変形実施形態を記載している。
【0080】
この場合、曝気装置1は、旋回することができず、従って、スリップリング6は不要である。コンプレッサ2は、取り外し可能なシャットオフ装置31により吸気管3及び散気システム4から取り外し可能であり、それにより、取り外し可能な
シャットオフ装置31内に設けられている弁は、吸気管3及び散気システム4が水でいっぱいになるのを阻止する。
【0081】
コンプレッサ2を吊り上げ装置によって水ベイスンから取り出すことができ、そして点検、メンテナンス等のために案内レール32によって案内し、その後再び戻すことができる。
【0082】
本発明は、一例として説明すると共に図面に示した実施形態にはなんら限定されず、本発明の曝気装置は、本発明から逸脱することなく、あらゆる種類の変形例の状態で実現できる。