特許第6077143号(P6077143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6077143
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20170130BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20170130BHJP
【FI】
   G06F13/00 540R
   G06Q30/02 446
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-559385(P2015-559385)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(86)【国際出願番号】JP2015066769
【審査請求日】2015年12月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】槌谷 拓也
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−231144(JP,A)
【文献】 特開2011−091681(JP,A)
【文献】 特開2011−053767(JP,A)
【文献】 特開2014−170437(JP,A)
【文献】 特開2012−165236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信先に対し配信される情報である配信対象情報を記憶手段から取得する取得手段と、
前記配信先の各々につき、過去に配信された情報である配信済情報について該配信先の電子機器のユーザが行った内容確認の履歴に基づき生成された統計情報を参照し、複数の配信方式のうちの1つの配信方式を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記1つの配信方式を、対応する前記配信先の電子機器に前記配信対象情報を配信する場合の配信方式として設定する設定手段と、
を有し、
前記選択手段は、1つの配信先に対して予め定められた、同一の配信方式を選択する頻度を満たすように前記1つの配信方式を選択することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記配信対象情報の内容に基づき分類される、該配信対象情報の種別を特定する特定手段をさらに有し、
前記選択手段は、前記配信先の各々につき、前記特定手段により特定された前記配信対象情報の種別と同一の種別に分類される前記配信済情報について行われた内容確認の履歴に基づいて、前記1つの配信方式を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記配信先の各々につき、前記配信済情報について該配信先の電子機器のユーザが行った該配信済情報の内容確認の履歴を示す情報を取得し、前記内容確認の履歴を示す情報に基づいて、該配信先についての前記統計情報を生成または更新する解析手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記解析手段は、前記配信先の各々につき、前記内容確認の履歴を示す情報に基づいて該配信先のユーザの、前記配信済情報の種別に対する関心度を設定し、前記統計情報に含めることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記配信先の各々につき、前記解析手段により設定された関心度の高低に応じて、前記配信対象情報の種別ごとに前記複数の配信方式のいずれの配信方式を使用するかを決定し、該配信先についての前記統計情報に含める決定手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記内容確認の履歴を示す情報は、前記配信済情報について前記配信先の電子機器のユーザにより行われた内容確認の有無、前記配信済情報に係る通知から前記配信先の電子機器のユーザにより内容確認がなされるまでに経過した時間、及び前記配信済情報について前記配信先の電子機器のユーザにより内容確認がなされたことに基づき該配信先の電子機器が所定の機能を実行したか否かの少なくともいずれかを示す情報を含むことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の配信方式の各々は、前記配信対象情報の取得についての前記配信先の電子機器における操作入力の要否、前記配信先の電子機器における前記配信対象情報の通知の視認性、及び配信の有無の少なくともいずれかが異なる配信方式であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記複数の配信方式は、前記配信対象情報に係る通知を前記配信先の電子機器において行わない配信方式を含むことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記複数の配信方式は、前記選択手段により選択される際の優先度が各々異なるものであり、
前記選択手段は、所定の期間において同一の配信方式を選択する頻度が予め定められた頻度となるよう、前記優先度に基づいて前記複数の配信方式のうちのいずれかの配信方式を前記1つの配信方式として選択する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記選択手段は、前記配信対象情報の内容が、内容確認の重要度や緊急度が高いと分類される内容である場合に、前記統計情報に基づかずに前記1つの配信方式を選択することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記配信先の各々について、前記選択手段により選択される配信方式の指定を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記選択手段は、前記受付手段により前記配信方式の指定が受け付けられてから所定の時間が経過するまでは、該指定された配信方式に基づいて前記1つの配信方式を選択することを特徴とする請求項1乃至1のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記配信先の各々について、前記選択手段により選択される配信方式の指定を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記選択手段は、前記受付手段により前記配信方式の指定が受け付けられてから所定の期間が経過した後に、該指定された配信方式には基づかず、前記統計情報に基づいて前記1つの配信方式を選択することを特徴とする請求項1乃至1のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記配信先の各々について、前記設定手段により設定された前記1つの配信方式で、該配信先に前記配信対象情報を配信する配信手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至1のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
配信先に対し配信される情報である配信対象情報を記憶手段から取得する取得工程と、
前記配信先の各々につき、過去に配信された情報である配信済情報について該配信先の電子機器のユーザが行った内容確認の履歴に基づき生成された配信方式の情報を含む統計情報を参照し、複数の配信方式のうちの1つの配信方式を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された前記1つの配信方式を、対応する前記配信先の電子機器に前記配信対象情報を配信する場合の配信方式として設定する設定工程と、
を有し、
前記選択工程において、1つの配信先に対して予め定められた、同一の配信方式を選択する頻度を満たすように前記1つの配信方式が選択されることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項15】
1以上のコンピュータを、請求項1乃至1のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、制御方法及びプログラムに関し、特に内容確認を要する通知を伴う情報に対する配信方式を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サービスの利用に係り予めユーザ情報を登録しているユーザに対して、キャンペーン告知や障害・メンテナンス情報等、提供サービスに係る様々な案内等の情報が存在することや更新されたこと、あるいは情報を受信したことを異なる通知態様で通知する、様々な情報配信方式が用いられている。
【0003】
情報配信方式には、大別して情報提供側(以下、単に提供側)からなされた情報の取得に、ユーザ操作を必要とするプル型の方式と、ユーザ操作を必要としないプッシュ型の方式とがある。プル型方式では、例えばサービス利用のための所定のアプリケーションの起動や、オンラインサービスサイトにおいてユーザ認証後にユーザ専用ページ等が表示されたことをトリガとして提供側からの情報取得が行われ、所定のGUIを用いて情報の通知がなされる。一方で、プッシュ型方式では、例えばユーザの情報端末が起動状態にあれば該端末のOS機能を利用して強制的に情報受信させて予め定められた態様により通知させる所謂プッシュ通知や、定期的なサーバチェックにより情報取得される電子メールの受信通知等、提供側から送信された情報をユーザ操作に基づかずに端末が能動的に受信して通知がなされる。
【0004】
ところで、プッシュ型方式で配信された情報は、上記したようにユーザ操作に基づかずに取得されて基本的に取得のタイミングで通知されるよう設計されているため、通知タイミングがユーザにとって好ましくないタイミングである場合がある。特許文献1には、プッシュ型方式の情報を受信した場合に、過去に同様の内容の情報に係る通知を行ってから詳細な内容確認がなされるまでの時間等の操作傾向に基づいて、通知タイミングや通知態様を異ならせるよう制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−082887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようにタイミングを異ならせてプッシュ型方式により取得された情報を通知する方式では、通知を行っていない情報が未読状態で蓄積するために、例えば特定の時間帯において集中的に通知がなされる、またこれにより通知時にはユーザにとって必要な情報の識別性が低下する可能性があった。さらには、蓄積された多数の情報の詳細確認に係る操作について、ユーザに煩雑な印象を与える可能性があった。また、プッシュ通知の本来の使用目的である、即時の内容確認がユーザにとって好ましいまたは有益であるような、緊急性の高い情報や有効期限を有する情報等が適切なタイミングで通知されない可能性があった。
【0007】
また、プッシュ型方式では情報がユーザ操作に依らず端末に受信されるため、ユーザの所望しない情報であったとしても、その取得に係る受信処理が行われて不必要なデータ通信量が発生するため、ユーザに好適な印象を与えない可能性があった。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、配信される情報の内容確認の傾向に基づいてユーザごとに配信方式及び通知態様を好適に制御する情報処理装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、配信先に対し配信される情報である配信対象情報を記憶手段から取得する取得手段と、配信先の各々につき、過去に配信された情報である配信済情報について該配信先の電子機器のユーザが行った内容確認の履歴に基づき生成された統計情報を参照し、複数の配信方式のうちの1つの配信方式を選択する選択手段と、選択手段により選択された1つの配信方式を、対応する配信先の電子機器に前記配信対象情報を配信する場合の配信方式として設定する設定手段と、を有し、選択手段はさらに、1つの配信先に対して予め定められた、同一の配信方式を選択する頻度を満たすように1つの配信方式を選択する。
【発明の効果】
【0010】
このような構成により本発明によれば、配信される情報の内容確認の傾向に基づいてユーザごとに配信方式及び通知態様を好適に制御することが可能となる。
【0011】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】本発明の実施形態に係る配信システムのシステム構成を示した図
図2】本発明の実施形態に係る配信サーバ100の機能構成を示したブロック図
図3】本発明の実施形態1に係る配信サーバ100で実行される配信処理を例示したフローチャート
図4】本発明の実施形態に係る配信サーバ100で実行される方式決定処理を例示したフローチャート
図5】本発明の実施形態2に係る配信サーバ100で実行される配信処理を例示したフローチャート
図6A】、
図6B】、
図6C】本発明の実施形態に係る各種データのデータ構成を例示した図
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態1]
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、情報処理装置の一例としての、配信対象として決定された情報を予め定められた複数の配信方式のいずれかにより配信先の電子機器に配信可能な配信サーバに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、配信対象として設定された情報についての配信方式を設定することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0014】
本明細書において、「配信」とは、配信対象の情報の少なくとも一部を配信先である電子機器に送信すること、及び送信可能な状態(電子機器における操作に基づく所定の要求に応じて送信が可能な準備状態)にすることを意味するものとする。また「通知」とは、該少なくとも一部の情報の取得がなされたこと、存在することまたは更新されたことを電子機器においてユーザに知らしめることを意味するものとする。そして「内容確認」とは、配信した情報の全体や(通知時に提示される情報よりも多くの情報量を有する)該通知に対応する情報をユーザが閲覧したこと、または配信対象の情報に含まれる少なくともいずれかのリンク情報で関連付けられたリンク先の情報をユーザが閲覧したことを意味するものとする。
【0015】
《配信システムの構成》
図1は、本発明の実施形態に係る配信システムのシステム構成を示した図である。
【0016】
本実施形態の配信システムでは、ユーザの使用する電子機器200がネットワーク300を介して配信サーバ100に接続しており、配信対象として決定された情報が配信サーバ100から電子機器200に対して配信される。このとき配信サーバ100は、電子機器200の各々について情報の配信方式を設定し、設定した配信方式に基づくタイミングで各電子機器200に対して情報を配信する。本実施形態では、配信サーバ100が配信方式の決定及び電子機器200への情報配信の両方を担うものとして説明するが、配信方式を決定する機器と情報配信を行う機器とが別体の装置として構成されてもよいことは言うまでもない。
【0017】
電子機器200は、ユーザの使用するPCやスマートフォン等、任意の情報通信端末であってよい。電子機器200は、配信サーバ100が用意する複数の配信方式のうちの少なくとも2以上の方式によって配信された情報を処理可能に構成される。そして電子機器200は、各配信方式に応じて配信対象の情報を受信したこと、情報が存在すること、情報が更新されたこと等を情報に係る通知として、予め定められた通知方法により電子機器200のユーザに通知する。
【0018】
本実施形態の配信システムでは電子機器200のユーザは、配信サーバ100を情報配信に使用する所定のサービスに「利用ユーザ」として登録されている。配信サーバ100は各利用ユーザについて管理されている、配信方式ごとの配信先の情報に基づいて電子機器200への配信対象の情報の配信を行う。
【0019】
ネットワーク300は、例えばインターネットや広域通信網等の複数の機器間の通信接続を実現するための媒体であってよいが、その通信方式は有線無線を問わず、様々な方式のものが採用されてよい。
【0020】
〈配信サーバ100の構成〉
次に、本実施形態の配信システムの配信サーバ100の詳細構成について、図2を参照してさらに説明する。図2は、配信サーバ100の機能構成を示したブロック図である。
【0021】
制御部101は、例えばCPU等の配信サーバ100が有する各ブロックの動作の制御を司る。制御部101は、記憶部102に記憶された各ブロックの動作プログラムや後述の配信方式の決定に係る処理(配信処理、方式決定処理)のプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0022】
記憶部102は、例えば不揮発性メモリやHDD等の格納された情報を恒久的に保持する記憶装置である。記憶部102は、上記プログラムだけでなく、配信サーバ100が有する各ブロックの動作において必要となるパラメータ等の情報を記憶する。またメモリ103は、例えば揮発性メモリ等の格納された情報を、簡易にアクセス可能な状態で、一時的に保持する記憶装置である。メモリ103は、プログラムの展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された中間データ等を一時的に保持する格納領域として用いられる。
【0023】
取得部104は、本実施形態の配信サーバ100が対象の電子機器200に対して配信する情報(配信対象情報)及びその配信先の情報を取得する。配信対象情報は、例えば図6Aに示されるように配信対象情報を識別するためのメッセージID601、配信対象情報が電子機器200において提示する内容の種別や属性を示すメッセージ種別602、配信対象情報の内容を示すメッセージ本文603、及び特定のWebページなどの配信サーバ100や外部のサーバに格納された特定の情報へのアクセスを可能とするリンク情報604を含んでいてよい。メッセージ種別602は、例えば新商品情報、DM、メンテナンス情報、購買情報、予約情報等の大分類や、商品ジャンル、期間限定イベント、情報確認に係る緊急性/重要性等の中分類の組み合わせ等を含んで構成されてもよい。またメッセージ本文603は、単に特定の情報が更新されたことを示す情報であってもよい。
【0024】
配信対象情報は、配信サーバ100が有する不図示のユーザインタフェースを介したユーザ操作に基づいて生成されることにより取得されるものであってもよいし、後述の通信部108を介して配信サーバ100が外部機器から受信することにより取得されるものであってもよい。また配信対象情報は、所定の自動生成プログラムや更新管理プログラム等の実行によって、任意のタイミングをトリガとして例えば制御部101により生成されることで、取得したと認識されるものであってもよい。
【0025】
ユーザDB105は、本実施形態の配信システムを情報配信に使用するサービスに「利用ユーザ」として登録されているユーザの各種情報(ユーザ情報)を管理するデータベースである。ユーザ情報は、例えばユーザを識別するアカウントIDに関連付けて、氏名、年齢、住所等の個人情報に加え、使用する機器において対応可能な配信方式の情報及び配信に必要となる宛先情報を含むものとする。なお、ユーザDB105は、配信サーバ100内部のハードウェア構成によりユーザ情報を記憶/管理するものであってもよいし、配信サーバ100の外部に機器として存在するものであってもよい。ユーザDB105が外部機器として存在する場合、ユーザDB105からの情報取得は、例えばネットワーク300を介した要求送信に対する応答として受信することにより行われてよい。
【0026】
配信統計DB106は、ユーザDB105で管理されるユーザの各々について、配信した配信対象情報の内容確認が行われたか否かの履歴、及び該履歴に基づく行動傾向等を統計的に示す情報(統計情報)を管理するデータベースである。統計情報は、例えば各ユーザについて図6Bに示されるような、既に配信した配信対象情報についてユーザによりなされた行動の履歴を示す行動履歴612、行動履歴612の解析により得られた該ユーザの統計的な行動傾向613、及び該ユーザについて情報配信を行う際に使用する配信方式を示す使用配信方式614が、メッセージ種別611ごとに管理されているものとする。使用配信方式614は、ユーザの行動傾向613に基づいて、ユーザとメッセージ種別611の組み合わせごとに方式決定部107により決定される。なお、配信統計DB106もユーザDB105と同様に、配信サーバ100と一体または別体として構成されるものであってよい。
【0027】
方式決定部107は、取得部104により取得された配信対象情報について、配信統計DB106に格納される統計情報を参照してユーザごとに配信方式を決定する。また方式決定部107は、配信対象情報の配信に応じてユーザによりなされた行動の情報、即ち配信先でなされた該配信対象情報の内容確認と関連する行為を示す情報を収集すると、該ユーザの統計情報の行動履歴612を生成または更新する。そして方式決定部107は、行動履歴612の解析を行って統計的な行動傾向613を推定し、該統計結果に基づいて対応する使用配信方式614の情報を生成または更新する。なお、配信先でなされた内容確認と関連する行為については、本実施形態の配信サーバ100で選択可能な配信方式の情報と共に後述する。また、行動傾向613は、メッセージ種別611に分類される配信対象情報に対するユーザの関心度を示すものとして構成してもよい。
【0028】
通信部108は、配信サーバ100が有する通信インタフェースである。通信部108は、ネットワーク300を介して他の装置(電子機器200、場合によってはユーザDB105、配信統計DB106または配信対象情報の提供元の機器)と接続し、所定のプロトコルに従った通信方式で、機器間のデータの送受信を行う。
【0029】
本実施形態ではハードウェアとして配信サーバ100が備える各ブロックにおいて処理が実現されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限らず、各ブロックの処理は該各ブロックと同様の処理を行うプログラムで実現されてもよい。
【0030】
《配信方式》
本実施形態の配信サーバ100では、配信対象情報の配信に係り選択可能な配信方式として以下の複数の方式を設けている。
【0031】
〈プッシュ通知配信方式〉
プッシュ通知配信方式は、配信サーバ100から送信された配信対象情報が電子機器200からの要求なく電子機器200において受信され、電子機器200においてユーザに強制的に通知されるプッシュ型の方式である。受信された配信対象情報は、例えば該電子機器200において動作しているオペレーションシステム(OS)の機能により、配信対象情報の受信がなされたことが電子機器200のユーザに強制的に通知される。通知の態様は、配信対象情報のメモリ103に含まれる件名や本文冒頭部等がポップアップのような特定のダイアログ、ウィンドウ、バナー表示等を用いて電子機器200の表示装置に表示されるものであってもよい。またこの他通知の態様として、情報閲覧用アプリケーションのアイコン上に未読/新規の配信対象情報の存在を示すGUIを表示する、電子機器200が有する所定の通知領域に同様のGUIを表示する等を採用してもよい。また本方式に限らず通知の態様は、表示装置に限られるものではなく、音声出力や電子機器200の有する振動子等の通知用の機器を介した信号出力等によりなされてもよいことは言うまでもない。なお、強制的な通知を伴う本方式での配信対象情報の配信を行うためには、電子機器200への専用のアプリケーションのインストールを要件とするものであってもよい。
【0032】
〈電子メール配信方式〉
電子メール配信方式は、電子機器200のユーザが利用する電子メールサービスのメールサーバに、電子メールとして配信対象情報が配信サーバ100から送信されて蓄積され、指定された電子メールの取得タイミングで、該メールサーバから配信対象情報が電子機器200に受信される方式である。電子機器200の有する電子メールの取得を行うアプリケーション(メールクライアント)等の設定に依るが、メールクライアントにより定められた所定の間隔でメールサーバの新規受信メールの存在をチェックして存在する場合に受信要求を行う方式、あるいはメールサーバに配信対象情報が蓄積されたことの通知がなされた際に配信対象情報の受信要求をメールサーバに行う方式が採用される。このような方式が採用される場合、配信対象情報の取得にユーザの操作入力を要しないため、本方式はプッシュ型と言える。一方、ユーザがメールクライアントの使用において電子メールの受信操作を行った場合にメールサーバの新規受信メールの存在のチェック、及び受信要求を行う方式では、本方式はプル型とも言える。本実施形態では電子メール配信方式は基本的には前者を想定し、プッシュ型の配信方式の一態様であるものとする。なお、本方式を採用した場合の通知も、プッシュ通知配信方式と同様に強制的になされてもよいが、メールクライアントの設定等に応じてユーザの所望するタイミング、条件で通知が行われるものであってもよい。
【0033】
〈サービス利用サイト用配信方式〉
近年のオンライン型ショッピングサービス等では、ユーザはサービスの利用に際して、電子機器200上でブラウジングアプリケーション(ブラウザ)を起動してサービス用のポータルサイト等にアクセスし、利用登録したユーザアカウントにてサービス利用のログイン処理を行うことで、個人用にカスタマイズされたページを閲覧することができる。本サービス利用サイト用配信方式は、このような個人用のページの表示に係る操作や処理に基づいてユーザに配信するために蓄積していた配信対象情報が取得されることによりなされるプル型の方式である。配信対象情報は、例えばユーザ毎に関連付けられてユーザDB105等に格納されている、あるいは例えばサービス利用する全ユーザを対象とするような場合はユーザごとの情報として関連付けられずに所定のサーバ等に格納されていてよい。そして配信対象情報は、少なくとも一部の情報が個人用ページのログイン時に表示用の情報として取得され、その存在や取得がなされたことが通知される。通知は、例えば個人用ページの一部の領域に未読の状態で存在する配信対象情報のうちの少なくとも一部の情報が表示される態様であってもよいし、配信対象情報の存在やその数(未読数)を所定のアイコン上にGUIとして表示する態様であってもよい。このような個人用ページの表示制御は、通常の個人用ページの基本的な構成要素に係る表示パラメータの情報に加え、ユーザごとの配信対象情報の配信状況に応じた表示パラメータを電子機器200に受信させることによりなされる。また、配信対象情報に係る通知は個人用ページに限らず、個人用ページから遷移可能な、配信対象情報を表示するための別ページへのアクセス要求がなされた際に、初めてなされるものであってもよい。
【0034】
〈専用アプリケーション用配信方式〉
サービス利用サイト用配信方式では、ブラウザを介してユーザがサービス利用している際の処理に応じたプル型の方式により配信対象情報の配信がなされるものとしたが、サービス利用の態様はこれに限られない。例えば、近年では使用するブラウザによりGUIレイアウトや機能が制限されること等によるユーザビリティを改良するために、オンライン型サービスでは、サービス利用に係る専用アプリケーションを設けているものがある。このような専用アプリケーションでは、サービス利用に特化して設計されているため、ブラウザを用いる場合とは表示制御に係り送受信される情報が異なるケースもある。しかし基本的にはサービス利用サイトと同様に、該専用アプリケーションの起動、トップページの表示、メニュー表示等の特定の処理に起因してプル型の方式で、蓄積されている配信対象情報の取得がなされる。
【0035】
なお、本実施形態の配信サーバ100では、配信対象情報の配信先である電子機器200のユーザにより、どの程度該情報の内容確認がなされることが好ましいかに応じて、これら4つの配信方式をユーザごとに使い分ける。即ち、ユーザ利益あるいはサービス提供側の利益に繋がる、あるいは緊急告知等を確実に伝達して円滑なサービス運用が図れるか否か等の尺度に基づいて、4つの配信方式を使い分ける。具体的にどの程度情報の内容確認がなされることが好ましいかは、配信した配信対象情報に対して配布先でなされた内容確認と関連する行為を示す情報を、方式決定部107が上記尺度に照らして解析した結果に基づいて推定される。
【0036】
配信対象情報について配布先でなされた内容確認と関連する行為を示す情報(行為情報)とは、配信対象情報の内容確認の有無、配信対象情報に係る通知から内容確認までに経過した時間、及び内容確認に基づく所定の機能実行の有無の少なくともいずれかを行動内容として含むものであってよい。例えば、配信対象情報が提供サービスにおける特定のキャンペーンの告知であって、告知サイトへのリンク情報を含むものである場合、行為情報は、
・配信対象情報に係る通知がなされた後に、リンク情報から告知サイトへのアクセスがなされた
・告知サイトへのアクセスはなされていないが、通知に基づいて配信対象情報の内容確認が行われた(例えばメールや通知が既読状態とされた)
・内容確認がなされずに、通知または配信した配信対象情報が削除されたか
等の、情報配信に係るキャンペーンの周知効果を段階的に評価可能な情報が、行動内容として含まれる情報であってもよい。また行為情報は例えば、
・通知または配信から配信対象情報の内容確認までに経過した時間
・告知サイトにアクセスし、キャンペーンの利用登録を行ったか否か
・実際にキャンペーンに基づくサービス利用がなされたか否か
等のキャンペーンに対するユーザごとの関心度やキャンペーンに係るサービス提供の需要等を評価可能な情報が行動内容として含まれる情報であってもよい。これら行為情報は、配信対象情報の配信がなされた各電子機器200から通信部108を介して取得されるものであってもよい。また行為情報は、サービスの利用に際してシステム側になされた要求の解析に基づいて、配信サーバ100において生成されるものであってもよい。
【0037】
また、本実施形態では上記4つの配信方式は、プッシュ通知配信方式→電子メール配信方式→専用アプリケーション用配信方式→サービス利用サイト用配信方式の順で、配信対象情報の配信がなされた(または配信状態となった)ことの順位づけがなされているものとする。即ち、配信対象情報に係る通知のユーザにとっての認識し易さに応じて、4つの配信方式は順位づけられているものとする。4つの配信方式はそれぞれ、配信された情報の通知に係り視認性の異なる通知態様が予め定められており、上記順位づけは視認性の高さに基づいて降順で設定されるものとする。このような視認性は、配信対象情報のユーザへの提示において情報伝達可能性や内容確認の容易性(操作手順の簡易性)、また単に電子機器200の通常使用用途において配信対象情報に係る通知の識別性が異なるものであってよい。
【0038】
例えば、プッシュ通知配信方式はダイアログ等によって強制的に配信対象情報の存在を通知するためユーザに視認されやすく、またその内容確認への導線を煩雑なユーザ操作を必要とせずに提供できる。一方、サービス利用サイト用配信方式は、利用サイトへのユーザログインがなされるまで配信対象情報の存在は通知されない上、ブラウザの起動、利用サイトへのアクセス、ユーザログイン、内容確認する配信対象情報の指定等、複数段階のユーザ操作が内容確認までに必要となる。反面、プッシュ通知配信方式等のプッシュ型の配信方式では、強制的な表示によってユーザの電子機器200の使用を中断する場合がある。故に、プッシュ通知配信方式を利用した頻繁な通知は、却って情報に対するユーザの関心を低減させる、必要な情報の識別性を低減させる、ユーザに煩雑な印象を与える等、好適な情報伝達を妨げ得る。しかしサービス利用サイト用配信方式等のプル型の配信方式では、ユーザによりなされた操作入力に応じて通知のタイミングが変化するため、ユーザ所望のタイミングで情報の内容確認を行うことができる。
【0039】
従って、本実施形態の配信サーバでは、配信対象情報が効果的に通知されるように、該配信対象情報の重要度、緊急性(情報伝達に求められる迅速さ)や内容確認の容易性の少なくともいずれかの要素に対して、上記4つの配信方式のうちのいずれかの配信方式が予め対応付けられているものとする。そして方式決定部107が、上述したようにユーザごとに管理される統計情報を参照し、該ユーザの行動傾向に基づいて推定される「配信対象情報がどの程度ユーザに内容確認されることが好ましいか」の尺度に応じて配信対象情報の配信に使用する配信方式を選択する。
【0040】
なお、配信方式には、ユーザが配信を所望していない種別の情報等を考慮して、配信対象情報の配信を意図的に行わないもの、あるいは配信は行うが配信対象情報の取得、存在または更新に係る通知を行わせないものを含んでもよい。また、任意の配信対象情報に対して選択する配信方式は、上述の4つの方式に限られるものでないことは容易に理解されよう。さらに、各配信方式における配信対象情報の通知態様は上述したものに限られる必要はなく、配信対象情報そのものの提示を含む様々な通知態様が採用されてもよいことは理解されるべきである。
【0041】
換言すると、本発明の実施において選択可能に設けられる複数の配信方式は利用ユーザの観点に立てば、電子機器200における操作入力の要否、電子機器200における配信対象情報に係る通知態様、及び配信の有無の少なくともいずれかが異なる配信方式であってよい。つまり、これらの複数の配信方式は、
・配信対象情報の取得がプッシュ型とプル型のいずれにより行われるか
・通知の視認性、ユーザに通知がなされるまでに要する手順、通知から内容確認までに要する手順、通知の有無等の通知態様
・配信の有無
の組み合わせが異なるように設けられたものであってもよい。
【0042】
以下の実施形態では説明を簡単にするため、全てのユーザに係る電子機器200が、上記のいずれの配信方式であっても配信対象情報を取得できるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものでないことは明らかである。例えば、ユーザの使用する電子機器200が特定の配信方式に対応していないものである場合、方式決定部107はユーザ情報に基づいて対応していない配信方式の情報を取得し、該ユーザの統計情報の使用配信方式614に未対応の配信方式を設定しないようにすればよい。また1人のユーザの使用する電子機器200がPCやスマートフォン等、複数種類存在する場合には、例えばそれぞれの機器について異なる配信方式を選択したり、選択した配信方式に応じて該配信方式に適した機器にのみ情報配信するよう選択したりしてもよい。また、機器使用時間帯の履歴に基づいて配信時に使用しているであろう機器に適した配信方式を選択してもよい。また、内容確認履歴は、1人のユーザの使用する複数の機器でなされた内容確認と関連する行為を統合して管理してもよい。この場合、いずれの配信方式によりなされた通知に基づいて行動がなされたかを統計情報に含めて管理してもよい。
【0043】
《配信処理》
以下、まず上述のような構成をもつ本実施形態の配信サーバ100が、取得部104により取得された配信対象情報を各電子機器200に配信する配信処理について、図3のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記憶部102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。本配信処理は、例えば取得部104が配信対象情報及びその配信先の情報を取得した際に開始されるものとして説明する。
【0044】
S301で、制御部101は、取得部104により取得された配信対象情報を参照し、メッセージ種別602を配信方式の判断基準となる基準種別として設定する。
【0045】
S302で、制御部101は、取得した配信対象情報についての配信方式の設定がなされていない1つの配信先を対象配信先として選択する。配信先の情報は、本実施形態では配信先に対応するユーザを示すアカウントIDであるものとして説明するが、ユーザに限らず配信先の電子機器200を識別するものであってもよい。
【0046】
S303で、方式決定部107は制御部101の制御の下、対象配信先であるアカウントIDに対応付けられて配信統計DB106に管理されている統計情報を読み出す。そして方式決定部107は、該統計情報において基準種別に関連付けられている使用配信方式614を本配信処理の対象である配信対象情報について使用する配信方式(使用配信方式)として制御部101に伝送する。なお、基準種別に関連付けられている使用配信方式614が統計情報に存在しない場合、あるいは統計情報が存在しない場合、方式決定部107は配信対象情報についてデフォルトで定められている配信方式を使用配信方式として制御部101に伝送すればよい。
【0047】
S304で、制御部101は、取得された配信対象情報に係る配信リストに対象配信先のアカウントIDと、方式決定部107から伝送された使用配信方式とを対応付けて追加することにより、対象配信先に対して使用配信方式を設定する。配信リストは、例えばメモリ103または記憶部102に、配信対象情報のメッセージID601に関連付けて格納されるリストであってよく、使用配信方式ごとにセグメント分けがなされていてもよい。
【0048】
S305で、制御部101は、本配信処理の実行にあたり取得された全ての配信先について使用配信方式を設定したか否かを判断する。制御部101は、全ての配信先について使用配信方式を設定したと判断した場合は処理をS306に移し、まだ設定がなされていない配信先が存在すると判断した場合は処理をS302に戻す。
【0049】
S306で、制御部101は、配信対象情報に係る配信リストに基づき、配信対象情報の配信を行う。配信対象情報の配信は、使用配信方式がプッシュ型配信方式である場合には、対象である配信先のアカウントIDに関連付けられてユーザDB105に管理されている各種宛先(電子機器200を識別するデバイストークン、メールアドレス等)の情報を参照して通信部108を介して、対応の電子機器200に配信される。また使用配信方式がプル型配信方式である場合には、例えば配信先からの表示用に要求される表示用情報に配信対象情報を使用配信方式について予め定められた態様で追加することで配信可能な状態とし、要求に応じて配信がなされるよう構成することができる。表示用情報は、例えばアカウントIDに関連付けてユーザDB105に格納されるものであってよい。
【0050】
このようにすることで、本実施形態の配信サーバ100は、配信対象情報を統計情報に基づいて各配信先に配信することができる。なお、上述したように配信は、配信対象情報としてユーザに提示したい内容の全体を配信する必要はない。例えば、配信対象情報が登録されたことを示す情報、既に登録された配信対象情報が更新されたことを示す情報、あるいは配信対象情報のタイトルや冒頭部等の少なくとも一部の情報を、リンク情報とともに配信してもよい。そして、該リンク情報を介したアクセス処理が配信先において実行されることにより、配信対象情報の全体がユーザに提示される構成であってもよい。
【0051】
《方式決定処理》
次に、このような使用配信方式の設定において参照される統計情報の生成または更新に係る、配信サーバ100で実行される方式決定処理について、図4のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記憶部102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して方式決定部107に実行させることにより実現することができる。本方式決定処理は、例えば既に配信された配信対象情報について、その配布先でなされた内容確認と関連する行為を示す情報(行為情報)を取得した際に開始されるものとして説明する。
【0052】
S401で、方式決定部107は、取得した行為情報に含まれるアカウントIDに関連付けられて配信統計DB106に記憶されている統計情報(対象統計情報)を読み出し、メモリ103に格納する。行為情報は、例えば図6Cに示されるように上記したような配信対象情報に応じてなされた処理を示す行動内容624に加えて、行動の基となったメッセージID622及びメッセージ種別623が、配信先である電子機器200のユーザのアカウントID621に関連付けられた情報であればよい。そして方式決定部107は、取得した行為情報を対象統計情報のうち、メッセージ種別623に対応する行動履歴612に、メッセージID622及び行動内容624を関連付けて追加する。
【0053】
S402で、方式決定部107は、対象統計情報にメッセージ種別623に係り蓄積されている行動履歴612を処理し、メッセージ種別623に係る情報配信に対してユーザが採り得る行動の傾向を解析する。そして方式決定部107は、解析結果に基づいて対象統計情報の行動傾向613の情報を生成または更新する。
【0054】
本実施形態の行動傾向の解析は、同一の種別と判断される配信対象情報の配信に対して、これまで配信先で内容確認に係りどのような行為がなされたかに基づいて、該種別に対するユーザの関心度を予め定められた複数の段階のいずれかに割り振るものとして説明する。関心度は、同一の種別についてとられる頻度の高かった内容の行動に基づいて評価されるものであってよい。例えば上述のように配信対象情報がキャンペーン告知である場合には、
・キャンペーンに基づくサービス利用で購入された総額
・キャンペーンの登録や告知サイトへのアクセスまでに要した時間
・内容確認のみで告知サイトへのアクセスはなされなかった
・内容確認はなされずに通知が未読状態のまま所定の期間が経過した
・内容確認はなされず通知が削除された
・対象の種別の通知に係る内容確認はなされていないが同時期になされた他の種別の通知に係る内容確認がなされている
等、対象の種別の情報に係るユーザの関心度を推定できる行動等を組み合わせることにより、関心度の評価を行えばよい。また、本実施形態の方式決定部107は、統計情報は過去の同一の種別の情報配信に対して行われた行動履歴を評価対象とするため、統計的に確率の高い行動に基づいてユーザの関心度を評価することができる。
【0055】
なお、統計情報に含まれる行動履歴612は単に取得した行為情報に含まれる行動内容等を蓄積するものとして説明する。しかしながら、ユーザの関心が遷移し得ることを考慮すれば、例えば本方式決定処理の実行日までの所定の期間になされた行動内容履歴等の行動傾向に基づいて関心度の評価を行うことで、このような関心の遷移にも適応可能であることは言うまでもない。
【0056】
S403で、方式決定部107は、S402において変更された行動傾向613に基づいて、対応する種別の情報配信時に使用する配信方式(使用配信方式614)を更新する。使用配信方式は、配信対象情報の配信に際し電子機器200における操作入力が少ない方が好ましいか、配信対象情報に係る通知の視認性が高い方が好適であるか等の基準に従い、行動傾向613に基づいて決定される。あるいは、方式決定部107は関心の低い情報を配信することによって煩わしい印象をユーザに与えぬよう、該種別の情報配信を行わないこと使用配信方式として決定してもよい。なお、本実施形態の方式決定処理では関心度に応じて上記4つの配信方式のいずれを割り当てるかの情報が予め定められているものとし、方式決定部107は行動傾向613で示される関心度に対応する配信方式を使用配信方式614として決定するものとして説明する。
【0057】
S404で、方式決定部107は、更新後の対象統計情報を配信統計DB106に伝送して、旧対象統計情報に代えて格納させ、本方式決定処理を完了する。
【0058】
このようにすることで、配信された情報に対して各配信先でなされた内容確認と関連する行為の履歴に基づいて、本実施形態の配信サーバ100では、今後同一の種別の情報配信を行う場合に配信先にとって好適な配信方式を決定することができる。また配信サーバ100は、ユーザの行動傾向に基づく配信方式の決定を行うことで、従来全てのユーザに対してプッシュ通知で行っていたような情報配信であってもユーザごとに配信方式を変更する。これによって、結果的にプッシュ通知を行う配信数を低減することができ、ひいてはプッシュ通知の一斉配信に係る通信帯域占有に起因するインフラへの負荷やサーバ負荷を低減することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置は、配信される情報の内容確認の傾向に基づいてユーザごとに配信方式及び通知態様を好適に制御することができる。具体的には情報処理装置は、配信対象の情報及び該情報の配信先の情報を取得し、配信先の各々について、該配信先に係る情報の内容確認履歴に基づいて統計的に決定された配信方式の情報を含む統計情報を参照して複数の配信方式のうちの1つの配信方式を選択する。このとき装置は、配信対象の情報について、選択された1つの配信方式を配信先の各々に配信用に設定する。
【0060】
[変形例1]
上述した実施形態では関心度と配信方式とが一対一に対応付けられ、行動履歴に基づいて関心度が解析されることで、配信方式が一意に決定されるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。
【0061】
上述したように、ユーザにとって関心の低い情報の配信や通知がなされることで煩わしい印象をユーザに与えうる。これは、関心度が高い種別の情報であっても同様であり、頻繁にプッシュ通知のような強制的な通知がなされることで煩わしい印象を与え、却って重要な情報が確認されない、サービスに対する関心が低くなる等の状況を導きうる。
【0062】
このため本変形例では、配信サーバ100が設けている複数の配信方式については、所定の期間において配信に使用する頻度や回数を予め設定しておくものとする。また関心度に対しては、関心度の各段階について使用する配信方式として、複数の配信方式に各々異なる優先度を予め設定しておく。そして方式決定部107は、該優先度と、既に配信したあるいは今後配信する配信対象情報の種別の分布(配信数の分布)に応じて、予め定められた各配信方式の使用頻度を保つよう、配信対象情報ごとに配信方式を決定する。
【0063】
例えば、使用配信方式614にプッシュ通知配信方式を含む異なる種別の配信対象情報が同時期に複数取得された場合、方式決定部107はプッシュ通知配信方式の使用について定められた頻度に応じて、各配信対象情報にプッシュ通知配信方式を使用するか否かを決定する。このとき方式決定部107は、種別ごとに定められたプッシュ通知配信方式の優先度の情報に基づいて、複数の配信対象情報を優先度の降順に並べ、上記頻度を満たす数の配信対象情報を上位から順に選択し、プッシュ通知配信方式を使用するものとして決定する。また選択されなかった下位の配信対象情報については、方式決定部107はさらに各々時点の優先度が定められた配信方式について、同様に頻度を考慮して配信方式の制御を行えばよい。
【0064】
このようにすることで、関心度を優先することで特定の配信方式に偏りが生じることを回避し、好適な情報伝達を実現することができる。
【0065】
[変形例2]
上述した実施形態及び変形例1では行動傾向の解析を単に関心度を評価するものとして説明したが、行動履歴に基づく使用配信方式は、関心度の尺度に限り決定されるものである必要はない。
【0066】
実施形態1でメッセージ種別602について説明したように、配信対象情報には、期間限定イベント、緊急性を要するイベント等、内容確認までに求められる時間が短い(要求される情報伝達の迅速性が高い)ものも存在し得る。例えば、サーバの緊急メンテナンス等によりサービス利用が数時間後に停止されることの告知や、銀行口座残額の不足によりカード利用返済額に係る引落が実施できないことの告知のような緊急度/重要度の高い配信対象情報については、関心度の有無に依らずユーザに内容確認がなされることが好ましい。
【0067】
故に、本変形例の方式決定部107は、配信処理のS303で、配信対象情報のメッセージ種別602が配信先のユーザにとって関心度の低い種別であっても、配信対象情報によっては統計情報に依らずに配信方式の選択を行う。具体的には、例えば利用ユーザの全般に渡って緊急度や重要度が高いと分類される属性が付された配信対象情報である場合に、方式決定部107は強制的な通知や視認性の高い通知がなされる配信方式を統計情報に依らずに強制的に選択する。
【0068】
一方で、例えばサービス利用に係るサイトアクセス履歴により、所定の期間サービスログインがなされていないような所謂休眠ユーザや、夜間にしかサービス利用を行わないようなユーザにとっては、日中の時間限定セールのようなイベント等の需要は少ない。従って、全体的な利用ユーザの観点からすればイベントの重要度が高くとも、方式決定部107は上記強制的に選択される配信方式よりも通知の視認性が低い配信方式を選択するようにしてもよい。さらには行動履歴において緊急度の高い配信対象情報の通知に対する内容確認がなされないユーザについても、同様に上記強制的に選択される配信方式よりも通知の視認性が低い配信方式を選択するようにしてもよい。
【0069】
[実施形態2]
上述した実施形態1や変形例1及び2では、統計情報や配信対象情報の重要度等に基づいて配信対象情報の配信方式を決定するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、ユーザ自身が各種別の情報について配信方式を予め設定可能である場合には、統計情報ではなく該設定に基づいて配信方式の決定がなされるようにしてもよい。
【0070】
一方で、このようにユーザによりなされた配信方式の設定に基づいて配信方式を決定する場合、設定を行った当初はユーザにとって好適な情報配信がなされるが、例えばユーザの興趣の対象が変化した場合や所望の情報配信頻度ではない場合等、ユーザが都度設定を変更する必要があった。メールマガジン等のメール媒体の情報配信では、情報配信を停止するためのリンク情報をメール内に含むよう慣習的に情報が構成されるが、この場合情報配信が一切なされないことになる。即ち、利用ユーザとしてはセール等の有益な情報の取得機会がなくなる、サービス提供側としてはセール告知等による収益の機会が低減する可能性があるため、このような配信停止を一概に適用することは好ましくない。
【0071】
従って、本実施形態ではユーザにより配信方式の指定に係る設定がなされた場合であっても、ユーザによるその後の設定変更等を要さずとも、好適な情報配信がなされるよう変更する方法について説明する。なお、本実施形態に係る配信システムの配信サーバ100の構成は上述した実施形態1と同様であるものとする。しかしながら、本実施形態のユーザDB105は、各ユーザにより優先的に選択する配信方式(優先配信方式)の設定がなされた場合に、該配信方式を示す情報とその設定がなされた日時の情報(設定日情報)とを、共にメッセージ種別に関連付けて管理するものとする。
【0072】
《配信処理》
以下、本実施形態の配信サーバ100で実行する配信処理について、図5のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。本実施形態の配信処理の説明において、実施形態1の同処理と同様の処理を行うステップについては同一の参照番号を付して説明を省略し、以下では本実施形態につき特徴的なステップの説明に留める。
【0073】
S302において対象配信先が選択された後、方式決定部107はS501で、対象配信先のユーザのアカウントIDに関連付けられて、基準種別についての優先配信方式の設定がなされているか否かを判断する。具体的には方式決定部107は、ユーザDB105に管理されている対象配信先に対応するユーザ情報を参照し、基準種別に関連付けられた優先配信方式が含まれているかを判断する。方式決定部107は、基準種別についての優先配信方式の設定がなされていると判断した場合は処理をS502に移し、なされていないと判断した場合は処理をS303に移す。
【0074】
S502で、方式決定部107は、基準種別について優先配信方式の設定がなされた日時から所定の時間が経過しているか否かを判断する。具体的には、方式決定部107は優先配信方式と共にユーザ情報に格納されている基準種別に係る設定日情報と現在時刻の情報とを参照することにより、本ステップの判断を行う。方式決定部107は、所定の時間が経過していると判断した場合は処理をS303に移し、経過していないと判断した場合は処理をS503に移す。
【0075】
S503で、方式決定部107は、基準種別について対象配信先に設定されている優先配信方式の情報を取得して、配信対象情報について使用する配信方式として制御部101に伝送する。
【0076】
このようにすることで、ユーザにより配信方式の設定がなされた場合であっても、設定がなされてから所定の時間が経過した際にはユーザからの設定の更新がなされずとも、優先配信方式とは独立に、実際の行動傾向に基づいた配信方式で情報配信を行うようにできる。即ち、内容確認状況の実態により則した好適な配信方式を、システム側で設定して情報配信を行うことができる。この場合、配信方式を変更したことをユーザに対して通知してもよい。
【0077】
また、本実施形態では所定の時間が経過した場合に統計情報に基づいて配信方式を決定するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば配信方式の決定は、基準種別についてユーザにより設定された優先配信方式と統計情報の使用配信方式614とが異なる場合に、設定からの経過時間に基づく重み付けにより使用する配信方式を決定してもよい。具体的には上述したように配信方式について通知の視認性に基づく順位づけがなされている場合、該視認性を定量化した尺度において、優先配信方式と使用配信方式614各々を数値化する。そして、設定から経過した時間に応じて使用配信方式614の重みが高くなるよう設定された重み付け係数に基づいて重み付けされた視認性を算出し、該数値に対応する配信方式を使用する配信方式として決定してもよい。
【0078】
[変形例3]
実施形態1及び2、変形例1及び2を通じて情報配信に係り、配信対象情報の種別に係る内容確認履歴に係る統計情報に基づいて配信方式を決定する方法について説明した。しかしながら、本発明の実施はこれに限られるものでなく、種々の変形が可能である。
【0079】
例えば、提供サービスによってはサービスに係り配信される情報の内容種別が1種類となることもあるため、統計情報は種別ごとに設けられる必要はない。また例えば配信方式の各々について通知態様が定められているものとして説明したが、方式決定処理において配信方式と通知態様の各々を決定するものであってもよい(例えばサービス利用サイト用配信方式でトップページの最上段にメッセージのタイトル及び冒頭部の通知を行う表示態様や、専用アプリケーション用配信方式でアプリケーションの起動時にポップアップ通知を行う表示態様等の組み合わせを決定する)。また、プッシュ型配信方式であっても通知態様は電子機器200においてユーザにより個別に設定されているものであるため、該設定の情報を受信して、配信方式の決定に考慮してもよい。
【0080】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。また本発明に係る情報処理装置は、1以上のコンピュータを情報処理装置として機能させるプログラムによっても実現可能である。該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【要約】
情報処理装置は、配信対象の情報及び該情報の配信先の情報を取得し、配信先の各々について、該配信先に係る情報の内容確認履歴に基づいて統計的に決定された配信方式の情報を含む統計情報を参照して複数の配信方式のうちの1つの配信方式を選択する。このとき装置は、配信対象の情報について、選択された1つの配信方式を配信先の各々に配信用に設定する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C