(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の、白ウコン根茎の乾燥粉末(以下、白ウコン乾燥粉末ということがある)は、外観は白色〜微黄色を呈する粉末であり、水分含量が3〜10%、粒度が0.1〜1.0mmの粉末である。
【0019】
乾燥粉末の外観は、粉末の粒度が小さくなると、より白色を呈する。また水分含量は、3〜10%であり、好ましくは5〜8%、とりわけ好ましくは6〜7%である。
【0020】
水分含量が10%以上となれば、粉末に含まれるラブダン型ジテルペン類化合物が、保存中に分解または重合して、含有量が低下するので、好ましくない。
【0021】
この粉末には、ラブダン型ジテルペン類化合物が、粉末1gあたり500μg以上含有されており、好ましくは粉末1gあたり1000μg、とりわけ好ましくは、粉末1gあたり1200μg以上が含有されている。
【0022】
この粉末には、ラブダン型ジテルペン類化合物として、種々のものが含まれており、代表的なラブダン型ジテルペン類化合物として、(E)−8β(17)−ラブド−12−エン−15,16,17−トリアール、(E)−8β(17)−エポキシラブド−12−エン−15,16−ジアール、16−オキソ−8(17),12(E)−ラブダジエン−15−オイック酸およびラブダ−8(17),12−ジエン−15,16−ジアールなどを挙げることができる。
【0023】
その含有量は、栽培条件、収穫時期、生産地、乾燥条件などによって変動するが、(E)−8β(17)−ラブド−12−エン−15,16,17−トリアールが25.0〜56.0%、(E)−8β(17)−エポキシラブド−12−エン−15,16−ジアールが3.5〜8%、16―オキソ−8(17),12(E)−ラブダジエン−15−オイック酸が10.0〜15.5%およびラブダ−8(17),12−ジエン−15,16−ジアールが4.5〜10.5%である。
【0024】
本発明においては、これらのラブダン型ジテルペン類化合物は、遊離の化合物であってもよく、また種々の塩であってもよい。また、4種類すべてを含んでいる必要はなく、いずれか1種類を含有していればよいが、4種類の等量混合物であってもよく、2〜3種類が等量混合物であり、残る2〜1種類の含有量が異なるものであってもよく、さらには4種類全ての含有量比率が異なっているものでもよい。
【0025】
本発明の白ウコン乾燥粉末には、前記ジテルペン類化合物以外にも、クルゾレノン、クルジオンなどのジテルペン類化合物やセスキテルペン類化合物などが含有されている。
【0026】
これらのラブダン型ジテルペン類化合物は、本発明者らが白ウコンの乾燥粉末中にのみ、極めて高含量に含まれていることを見出したものであり、ラブダン型ジテルペン類化合物を含有することが知られている他の植物、たとえばミョウガ、紫ウコン、ハナミョウガ、ゲットウ、サンナ、ハナシュクシャおよびキバナランガなどのショウガ属、ウコン属、ハナミョウガ属およびシュクシャ属に属する植物には、乾燥粉末とした場合でも、白ウコンの乾燥粉末に比べるとラブダン型ジテルペン類化合物の含有量が非常に少ない。
【0027】
本発明の白ウコン乾燥粉末は、他のウコンの粉末と比べて、含まれるテルペン類化合物の殆どがラブダン型であるため、高含量のラブダン型ジテルペン類化合物を含有し、他のテルペン類化合物を実質的に含まないという特徴を有する。
【0028】
さらに、本発明の白ウコン乾燥粉末は、クルクミンを含有しない、α−トコフェロールを0.1〜0.3%含有する、モノテルペン類化合物であるピネンを0.5〜5.0%、セスキテルペン類化合物であるデヒドロクルジオンを3.0〜8.0%、クルジオンを1.0〜6.5%、クルクメノンを2.5〜7.0%、クルゼレノンを5.0〜10%含有するなどの特徴を有する。
【0029】
また、本発明の白ウコン乾燥粉末は、製剤化や機能性食品または健康食品への使用に適した粉末であれば、その粒径は特に制限されないが、たとえば粒径が0.1〜1.0mmの粉末があげられる。
さらに、本発明の白ウコン乾燥粉末は、ラブダン型ジテルペン類化合物の安定化のための賦形剤としても利用することができる。
【0030】
また、その粒度分布は特に問わないが、例をあげると、24メッシュの標準ふるいを通過しないもの(粒径1.08mmを超えるもの)が1%未満、24メッシュの標準ふるいを通過し90メッシュの標準ふるいを通過しないもの(粒径1.08〜0.29mm)が80〜85%、90メッシュの標準ふるいを通過し180メッシュの標準ふるいを通過しないもの(粒径0.29〜0.141mm)が8〜12%、180メッシュの標準ふるいを通過し250メッシュの標準ふるいを通過しないもの(粒径0.141〜0.105mm)が5〜10%、250メッシュの標準ふるいを通過するもの(粒径0.105mm未満)が1〜2%含まれる乾燥粉体があげられる。
【0031】
本発明の白ウコン乾燥粉末は、白ウコンを乾燥し、粉砕することによって、製造することができ、乾燥と粉砕とは、どちらを先に行ってもよく、あるいは乾燥と粉砕とを複数回組合せて実施してもよい。
【0032】
本発明の白ウコン乾燥粉末の原料となる白ウコンは、これまで知られているウコンとは明確に相違している。たとえば、白ウコンと、春ウコン、秋ウコンおよび紫ウコンとは、根茎の外観においては若干小型であること以外、形態的、色調的には大差はないが、根茎を切断し、その切断面を比較すると明確な相違がある。
春ウコンおよび秋ウコンの根茎は、該根茎に含まれるクルクミン含量の差異によって、春ウコンは黄色、秋ウコンは橙黄色を呈する。また、紫ウコンは特有の紫色素を組織に集積している。しかし、白ウコンは、前記のような色素を全く含まないことから、その切断面は白色を呈する。よって、白ウコンであることの識別は極めて容易である。
【0033】
白ウコンは、日本国内では、九州、沖縄などで栽培されているほか、また、フィリピン、台湾、中国などのアジア諸国など日本国外でも、本発明者らが、栽培を行っている。
【0034】
白ウコンは、日本産であってもよいが、海外、たとえばフィリピン、台湾、中国などで栽培されるものであっても使用することができる。また、天然に生育するものであってもよく、人工的に栽培されたものであってもよい。
【0035】
また、白ウコンの、葉、花、枝、茎などには、ラブダン型ジテルペン類化合物の含有量が低く、根茎中に含まれるラブダン型ジテルペン類化合物の含有量が高いので、本発明の粉末の材料としては、根茎を使用することが好ましい。
【0036】
乾燥は、既知の方法を採用して実施することができる。乾燥に付す白ウコンの形態が根茎そのまま、または根茎を細片ないし微細断片として実施する場合には、天日干しや室内干しなどの自然乾燥、送風乾燥があげられ、たとえば白ウコンの根茎を一旦摩砕または擂潰等の方法により、ペースト状ないし溶液状にして乾燥する場合には、凍結乾燥、噴霧乾燥などの方法を採用することができる。
【0037】
乾燥は、白ウコンの形態にもよるが、乾燥後の粉砕が予定されている場合には、水分量が8%以下、好ましくは6%以下となるように行う。
【0038】
また、白ウコンの根茎が、ペースト状ないし溶液状の場合であって、そのまま粉末化する場合には、水分量が15%以下、好ましくは10%以下となるように乾燥を行う。
【0039】
白ウコンの根茎を、根茎そのまま、または根茎を細片ないし微細断片として乾燥した場合には、粉砕は、ジョークラッシャー、ジャイレトリクラッシャー、コーンクラッシャーなどの圧縮破砕機、カッターミル、シュレッダーなどの剪断破砕機、ハンマークラッシャーなどの衝撃破砕機、ロールクラッシャーなどのロールミル、ディスインテグレーター、ケージミルなどの回転破砕機、コーヒーミルなどのスクリューミル、エッジランナーなどのロール動揺ミル、スタンプミルなどの打鎚ミル、遠心ローラミル、ボールベアリングミル、ボールミル、ゼゴミル、オングミルなどのローラーミル、スイングハンマーミル、ケージミル、ターボタイプミル、遠心分級ミルなどの高速回転ミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、CFミルなどの容器振動ミル、気流衝突ミル、衝突板衝突、流動層ミルなどのジェットミル、超音波粉砕機などを用いて、行うことができる。
【0040】
本発明の白ウコン乾燥粉末は、熱によって、白ウコン根茎中に含まれるラブダン型ジテルペン類化合物の含有量が低下するので、上記の乾燥および粉砕では、温度が、80℃以下で行うことが好ましく、とりわけ60〜70℃を保つことがとりわけ好ましい。
【0041】
かくして得られた本発明の白ウコン乾燥粉末は、高含量のラブダン型ジテルペン類化合物を含むものであって、そのまま美肌用組成物として、あるいは滑膜増殖抑制剤として用いることができる。
【0042】
かくして得られる白ウコン乾燥粉末は、そのまま、または必要に応じ賦形剤、滑沢剤、結合剤、着色剤などを混合して、造粒、打錠することにより製剤化することができる。
【0043】
さらに要すれば被覆剤で被覆するか、またはカプセルに充填することにより、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、粉末などの経口用の製剤とすることができる
【0044】
前記製剤において、賦形剤としてはブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、トレハロースなどの水溶性糖類、コーンスターチ、デンプン、結晶セルロースなどの多糖類、グリシンなどのアミノ酸類、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトールなどの糖アルコール類、クエン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのリン酸塩またはケイ酸塩があげられる。
【0045】
また、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸アルカリ土類金属塩、タルク、シリカ、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などのケイ素化合物、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘン酸エステルなどのショ糖高級脂肪酸エステル、グリセリンベヘン酸エステルなどのグリセリン高級脂肪酸エステルがあげられる。
【0046】
結合剤としては、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドン、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロースなどがあげられる。
【0047】
着色剤としては、β−カロチン、タール色素、レーキ色素、カラメル、酸化鉄、銅クロロフィル、食用赤色2号、3号、食用黄色4号、5号、食用緑色3号、食用青色1号、2号、これらのアルミニウムレーキ、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などがあげられる。
【0048】
また、外用剤の基材である天然動植物油脂としては、たとえば、オリーブ油、ミンク油、ヒマシ油、パーム油、牛脂、月見草油、ヤシ油、ヒマシ油、カカオ油、マカデミアナッツ油などがあげられる。またロウとしては、たとえば、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどがあげられる。高級アルコールとしては、たとえば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコールなどがあげられる。
【0049】
高級脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸などがあげられる。高級脂肪族炭化水素としては、たとえば、流動パラフィン、固形パラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどがあげられる。合成エステル油としては、たとえば、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートイソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールなどがあげられる。
【0050】
シリコーン誘導体としては、たとえば、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンなどのシリコーン油などがあげられる。また、界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸塩や硫酸塩などのアニオン性界面活性剤があげられる。非イオン性界面活性剤としては、たとえば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどがあげられる。
【0051】
両面活性剤としては、たとえば、アルキルベタイン、ホスホベタイン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトールおよびこれらのリゾ体の他、ホスホファチジン酸とその塩があげられる。
【0052】
さらには、多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリプロピレングリコール類、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールなどのブチレングリコール類、グリセリン、ジグリセリンなどのポリグリセリン類、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコール類、グリセリン類のエチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)付加物、糖アルコール類のEO、PO付加物、ガラクトース、グルコース、フルクトースなどの単糖類とそのEO、PO付加物、マルトース、ラクトースなどの多糖類とそのEO、PO付加物などの多価アルコールがあげられる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
実施例1
福岡県みやま市山川町で、11月〜12月に収穫された白ウコンの根茎1.0kgを、水洗後、厚み0、5cmにスライスして、60〜70℃で2日間乾燥し、残存水分が10%となるようにした。
【0055】
ついで、白ウコンの乾燥スライスを、スクリュー型破砕機を用いて粉砕して、粒径が0.1〜1.0mmの白ウコン乾燥粉末を得た。
【0056】
得られた白ウコン乾燥粉末を、さらに粉砕して得た粒径0.1mm未満の白ウコン乾燥粉末4gをヘキサン20mlで懸濁し、室温にて3日間抽出した。ついで、濾過して固形物を除き、ヘキサン抽出液を得た。このヘキサン抽出液をGC−MS(E1,70e,日本電子株式会社製、JMN−ECA−600型)を用いて分析し、ピーク面積を予め測定した検量線と比較して、含有されるラブダン型ジテルペン類化合物の総量を求めたところ、白ウコン乾燥粉末1gあたり1000μgのラブダン型ジテルペン類化合物が含まれていた。
【0057】
また、上記で得られたヘキサン抽出液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィで、ヘキサン、酢酸エチル、メタノールを用いて分画し、得られたフラクション中のラブダン型ジテルペン類化合物を、MS(マススペクトル)および
13C−NMRスペクトルを測定して、確認したところ、表1〜表4に示すスペクトルデータが得られた。
【0058】
【表1】
【0059】
表1のスペクトルデータは、文献(Biosci.Biotechnol.Biochem.,70(10),2494−2500,2006)に記載されるスペクトルデータと一致するので、上記スペクトルデータを有する第1成分を、(E)−8β(17)−ラブド−12−エン−15,16,17−トリアールと同定した。
【0060】
【表2】
【0061】
表2のスペクトルデータは、文献(Biosci.Biotechnol.Biochem.,66(12),2698−2700,2002)に記載されるスペクトルデータと一致するので、上記スペクトルデータを有する第2成分を、(E)−8β(17)−エポキシラブド−12−エン−15,16−ジアールと同定した。
【0062】
【表3】
【0063】
表3のスペクトルデータは、文献(J.Nat.Prod.,60,1287−1293,1997)に記載されるスペクトルデータと一致するので、上記スペクトルデータを有する第3成分を、16−オキソ−8(17),12(E)−ラブダジエン−15−オイック酸と同定した。
【0064】
【表4】
【0065】
表4のスペクトルデータは、文献(Phytochemistry,36(3),699−701,1994)に記載されるスペクトルデータと一致するので、上記スペクトルデータを有する第4成分を、ラブダ−8(17),12−ジエン−15,16−ジアールと同定した。
【0066】
以上の結果から、実施例1の白ウコン乾燥粉末には、前記表1〜4のスペクトルデータを有する4種類のラブダン型ジテルペン類化合物が含まれていることがわかった。
【0067】
実験例1
(白ウコン乾燥粉末におけるラブダン型ジテルペン類化合物の含有量)
<実験方法>
白ウコン根茎乾燥粉末、白ウコン葉の乾燥粉末、春ウコンの根茎の乾燥粉末およびミョウガ葉の乾燥粉末の各4gを、それぞれn−ヘキサン20mlに懸濁し、3日間、室温でときどき振とうする以外は静置して、抽出した。抽出後、濾過して固形物を除き、ヘキサン抽出液を得た。
【0068】
このヘキサン抽出液中に含まれるラブダン型ジテルペン類化合物の量を、GC−MS(日本電子株式会社製、JMN−ECA−600型)を用いて測定した。
【0069】
<結果>
結果は、表5に示すとおりであり、白ウコン根茎の乾燥粉末は、他の乾燥粉末に比べて格段に高いラブダン型ジテルペン類化合物を含有していた。
【0070】
【表5】
注:ミョウガ茎葉の乾燥粉末の抽出物中には、ラブダン型ジテルペン類化合物以外のテルペンを含む。
【0071】
実験例2
(白ウコン乾燥粉末の加熱安定性)
<実験方法>
白ウコン乾燥粉末のうち、粒径が0.29〜1.08mmの白ウコン乾燥粉末各5gを、秤量ビンに入れ、70℃、80℃および90℃の温度で、60分間加熱した。
【0072】
加熱後、それぞれの粉末をn−ヘキサンで抽出した。得られた抽出液を、減圧濃縮して、ラブダン型ジテルペン類化合物を含む油状物を得た。対照として、同じ粒度の未処理粉末をn−ヘキサンで抽出し減圧濃縮して、ラブダン型ジテルペン類化合物を含む油状物を得た。
【0073】
得られた油状物について、ヒアルロニダーゼ活性を評価した。
<ヒアルロニダーゼ阻害活性評価方法>
【0074】
油状物をDMSOに溶解させた試料溶液(処理濃度:5mg/ml)40μlと、0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)160μlとをチューブに入れてよく混合し、そこへヒアルロニダーゼ溶液(4000units/ml)100μlを添加して、37℃で20分間インキュベートした。次に、ヒアルロニダーゼ活性化剤としてCompound48/80溶液(0.5mg/ml)を200μl加え、さらに37℃で20分間インキュベートした。
【0075】
続いて、ヒアルロン酸ナトリウム溶液(0.8mg/ml)500μlを添加して37℃で40分間インキュベートした。その後、反応停止剤として0.4N水酸化ナトリウム水溶液200μlを加え、氷上で冷却して反応を停止させた。
【0076】
反応停止後、0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.1)200μlを加えてよく混合し、100℃で5分間加熱した後、氷上で冷却した。続いて、20000Gで10分間遠心分離した。次に、遠心分離後の上澄み液140μlと発色試薬600μlとをよく混合し、37℃で20分間インキュベートした。これをサンプルS
1とする。
【0077】
なお、前記発色試薬としては、10N塩酸12.5mlと酢酸37.5mlとの混液にp−ジメチルアミノベンズアルデヒド25gを溶解し、1ヵ月を使用期限として10℃以下で保存した保存液を、使用直前に酢酸で10倍に希釈したものを用いた。
【0078】
また同様にして、試料溶液の代わりにDMSOを用いたもの(以下、「コントロールC
1」という)、ヒアルロニダーゼの代わりに0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)を用いたもの(以下、「サンプルブランクSB
1」という)、ならびに、試料溶液の代わりにDMSOを用い、ヒアルロニダーゼの代わりに0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)を用いたもの(以下、「コントロールブランクCB
1」という)を準備した。なお、ヒアルロニダーゼ、Compound48/80、およびヒアルロン酸ナトリウムは、いずれも0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)で溶解して試験に用いた。
【0079】
コントロールブランクCB
1を測定ブランクとして、サンプルS
1、コントロールC
1およびサンプルブランクSB
1について、波長585nmにおける吸光度を測定した。測定結果から、ヒアルロニダーゼ活性阻害率を下記式(A)に従い、算出した。試験は3回行い、その平均を1データとして表した。ヒアルロニダーゼ活性阻害率は、その値が大きいほど、ヒアルロニダーゼ阻害活性が高いことを示す。
【0080】
ヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)=
{C
1−(S
1−SB
1)}/C
1×100 ・・・(A)
[式中、符号C
1はコントロールC
1の吸光度を示し、S
1はサンプルS
1の吸光度を示し、SB
1はサンプルブランクSB
1の吸光度を示す。]
【0081】
<結果>
実験結果は、表6に示すとおりである。
【0082】
【表6】
表6の記載から明らかなように、油状物の収率は90℃の加熱で若干の低下が認められるものの、その他の温度では明確な差異が認められなかった。
しかし、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用は、加熱温度が高いほど、低下し、明らかに有効成分であるラブダン型ジテルペン類化合物の熱変性が観察された。
【解決手段】 本発明は、高含量のラブダン型ジテルペン類化合物を含有することを特徴とする白ウコン根茎の乾燥粉末であり、該乾燥粉末は、高含量のラブダン型ジテルペン類化合物を含有し、これまで知られているラブダン型ジテルペン類化合物の医薬品、機能性食品、健康食品の各用途に、粉末のままで使用できる程度にまで高含量のラブダン型ジテルペン類化合物を含む。