特許第6077170号(P6077170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6077170連続式バレルブラスタおよび連続式バレルブラスタにおける研掃方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6077170
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】連続式バレルブラスタおよび連続式バレルブラスタにおける研掃方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 3/26 20060101AFI20170130BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B24C3/26
   B24C9/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-181668(P2016-181668)
(22)【出願日】2016年9月16日
【審査請求日】2016年9月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592148155
【氏名又は名称】株式会社サンポー
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 準
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−011496(JP,A)
【文献】 特開2012−187673(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/020517(WO,A1)
【文献】 特開平05−069325(JP,A)
【文献】 特開平08−126959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、
前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、バレルカゴと、
研掃材を投射する投射機と、を備え、
投射位置においてワークに対し研掃材の投射が行われ、排出・投入位置において、ワークの排出、新たなワークの投入が行われる連続式バレルブラスタであって、
前記バレル支持部は、前記回転駆動部により、前記バレルカゴを前記投射位置と前記排出・投入位置との間で正逆回転可能に構成され
一方のバレルカゴは、前記バレル支持部の正逆回転により、前記投射位置と前記空排出・投入位置との間を移動する際には、前記回転軸の上側を移動し、
他方のバレルカゴは、前記バレル支持部の正逆回転により、前記投射位置と前記排出・投入位置との間を移動する際には、前記回転軸の下側を移動し、かつ、ワークが落下しないように前記揺動軸を中心に揺動するように構成された、連続式バレルブラスタ。
【請求項2】
回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、
前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、バレルカゴと、
研掃材を投射する投射機と、を備え、
投射位置においてワークに対し研掃材の投射が行われ、排出・投入位置において、ワークの排出、新たなワークの投入が行われる連続式バレルブラスタであって、
2つの前記バレルカゴは、前記バレル支持部の回転により、前記投射位置と前記排出・投入位置との間を移動する際には、交互に前記回転軸の上側および下側を通過し、前記回転軸の下側を通過する際には、ワークが落下しないように前記揺動軸を中心に揺動するように構成された、連続式バレルブラスタ。
【請求項3】
回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、
前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、第1バレルカゴおよび第2バレルカゴと、
各バレルカゴに対し研掃材を投射する投射機と、を備えた連続式バレルブラスタにおける研掃方法であって、
前記第1バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの一方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を第1回転方向に回転させ、
前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記他方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記他方のバレルカゴを揺動させ、
前記第2バレルカゴ内のワークが前記投射機により研掃されている間に、前記第1バレルカゴ内のワークを排出して新たなワークを投入し、
前記第2バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記一方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転させ、
前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記他方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記他方のバレルカゴを揺動させる、連続式バレルブラスタにおける研掃方法。
【請求項4】
回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、
前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、第1バレルカゴおよび第2バレルカゴと、
各バレルカゴに対し研掃材を投射する投射機と、を備えた連続式バレルブラスタにおける研掃方法であって、
前記第1バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの一方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を所定の回転方向に回転させ、
前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記他方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記他方のバレルカゴを揺動させ、
前記第2バレルカゴ内のワークが前記投射機により研掃されている間に、前記第1バレルカゴ内のワークを排出して新たなワークを投入し、
前記第2バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記他方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記一方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を前記所定の回転方向に回転させ、
前記一方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記一方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記一方のバレルカゴを揺動させる、連続式バレルブラスタにおける研掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研掃材により複数の被研掃物(以下「ワーク」とする)を連続的に研掃する連続式バレルブラスタおよびそれにおける研掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の1つのバレルカゴを備えるバレルブラスタでは、一回の加工サイクルにおいて、投射工程(ワークに投射機から研掃材を投射)、空転工程(バレルと空転させ研掃材を落とす)、反転工程(排出・投入位置にバレルを回転)、排出工程(ワークを排出)、投入工程(新たなワークを投入)、および反転工程(投射位置にバレルを回転)が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−69325号公報
【特許文献2】特開平8−126959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のバレルブラスタでは、ワークに対して研掃処理を行うのは、投射工程のときのみであるため、単位時間当たりの処理個数はあまり多くなかった。処理個数を増やすためには、バレルブラスタを増やすことが考えられるが、装置のスペースおよび設備コストの増大してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、装置のスペースおよび設備コストの増加を抑制しつつ、単位時間当たりのワーク処理個数を増加させることが可能な連続式バレルブラスタおよびそれにおける研掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態における連続式バレルブラスタは、回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、バレルカゴと、研掃材を投射する投射機と、を備え、投射位置においてワークに対し研掃材の投射が行われ、排出・投入位置において、ワークの排出、新たなワークの投入が行われる連続式バレルブラスタであって、前記バレル支持部は、前記回転駆動部により、前記バレルカゴを前記投射位置と前記排出・投入位置との間で正逆回転可能に構成され一方のバレルカゴは、前記バレル支持部の正逆回転により、前記投射位置と前記空排出・投入位置との間を移動する際には、前記回転軸の上側を移動し、他方のバレルカゴは、前記バレル支持部の正逆回転により、前記投射位置と前記排出・投入位置との間を移動する際には、前記回転軸の下側を移動し、かつ、ワークが落下しないように前記揺動軸を中心に揺動するように構成されている。
【0007】
また、本発明の他の実施形態における連続式バレルブラスタは、回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、バレルカゴと、研掃材を投射する投射機と、を備え、投射位置においてワークに対し研掃材の投射が行われ、排出・投入位置において、ワークの排出、新たなワークの投入が行われる連続式バレルブラスタであって、2つの前記バレルカゴは、前記バレル支持部の回転により、前記投射位置と前記排出・投入位置との間を移動する際には、交互に前記回転軸の上側および下側を通過し、前記回転軸の下側を通過する際には、ワークが落下しないように前記揺動軸を中心に揺動するように構成されている。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態における連続式バレルブラスタにおける研掃方法は、回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、第1バレルカゴおよび第2バレルカゴと、各バレルカゴに対し研掃材を投射する投射機と、を備えた連続式バレルブラスタにおける研掃方法であって、前記第1バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの一方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を第1回転方向に回転させ、前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記他方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記他方のバレルカゴを揺動させ、前記第2バレルカゴ内のワークが前記投射機により研掃されている間に、前記第1バレルカゴ内のワークを排出して新たなワークを投入し、前記第2バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記一方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転させ、前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記他方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記他方のバレルカゴを揺動させる。
【0009】
また、本発明の他の実施形態における連続式バレルブラスタにおける研掃方法は、回転駆動部により、水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能なバレル支持部と、前記バレル支持部に対し前記回転軸を挟むように2つ設けられ、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、ワークが投入・排出される開口を有する、第1バレルカゴおよび第2バレルカゴと、各バレルカゴに対し研掃材を投射する投射機と、を備えた連続式バレルブラスタにおける研掃方法であって、前記第1バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの一方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記第1バレルカゴおよび前記第2バレルカゴのうちの他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を所定の回転方向に回転させ、前記他方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記他方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記他方のバレルカゴを揺動させ、前記第2バレルカゴ内のワークが前記投射機により研掃されている間に、前記第1バレルカゴ内のワークを排出して新たなワークを投入し、前記第2バレルカゴ内のワークの研掃が終了すると、前記他方のバレルカゴが前記回転軸の上側、前記一方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過するように、前記バレル支持部を前記所定の回転方向に回転させ、前記一方のバレルカゴが前記回転軸の下側を通過する間、前記一方のバレルカゴ内のワークが開口から落下しないように、前記一方のバレルカゴを揺動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置のスペースおよび設備コストの増加を抑制しつつ、単位時間当たりのワーク処理個数を増加させることが可能な連続式バレルブラスタおよびそれにおける研掃方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る連続式バレルブラスタの正面図を示す。
図2】本発明の実施形態に係る連続式バレルブラスタの側面図を示す。
図3】本発明の実施形態に係る連続式バレルブラスタの平面図を示す。
図4】本発明の実施形態に係る連続式バレルブラスタにおける研掃方法の説明図を示す。
図5】本発明の実施形態に係る連続式バレルブラスタにおける研掃方法の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る連続式バレルブラスタ1およびそれにおける研掃方法について図面を参照して説明する。
【0013】
<全体構成>
はじめに本実施形態に係る連続式バレルブラスタ1の全体構成について説明する。
【0014】
図1は、キャビネット本体2の内部構造を図示した連続式バレルブラスタ1の正面図を示している。図2は、連続式バレルブラスタ1の側面図を示している。図3は、キャビネット本体2の内部構造を図示した連続式バレルブラスタ1の平面図を示している。
【0015】
図1〜3に示すように、連続式バレルブラスタ1は、キャビネット本体2を備え、キャビネット本体2には、一対のバレル支持板3と、第1支持シャフト4と、第2支持シャフト5と、第1揺動シャフト6と、第2揺動シャフト7と、第1揺動駆動部8と、第2揺動駆動部9と、第1回転駆動部10と、第2回転駆動部11と、第1バレルカゴ12と、第2バレルカゴ13とが設けられている。
【0016】
キャビネット本体2は、水平方向に離間して設けられた一対の主面部2Aと、一対の主面部2Aを接続する側面部2Bと、一方の主面部2Aに設けられたシャフト支持部2Cとにより構成されている。各主面部2Aには、円形状の開口2dが形成されている。側面部2Bには、ワークを投入および排出するための開口2eが形成されている。
【0017】
一対のバレル支持板3は、円板状をなし、キャビネット本体2の各主面部2Aに形成された開口2dを塞ぐように設けられている。一対のバレル支持板3は、バレル支持部に相当する。
【0018】
各バレル支持板3には、第1支持シャフト4の一端および第2支持シャフト5の一端が接続されている。第1支持シャフト4および第2支持シャフト5は、水平方向に延びている。第1支持シャフト4は、後述のエレベータ18に回転可能に支持されている。第1支持シャフト4の他端は、モータを有する支持板回転駆動部14に接続されており、第1支持シャフト4は、支持板回転駆動部14により回転駆動される。第1支持シャフト4が回転することにより、第1支持シャフト4が接続されたバレル支持板3も回転する。第2支持シャフト5の他端は、シャフト支持部2Cに回転可能に接続されている。
【0019】
第1揺動シャフト6および第2揺動シャフト7は、一対のバレル支持板3に対し、第1支持シャフト4および第2支持シャフト5の回転軸Cを中心に軸対称に、水平方向に沿って設けられ、回転可能に取り付けられている。第1揺動シャフト6および第2揺動シャフト7により、一対のバレル支持板3が一体化され、支持板回転駆動部14により、一方のバレル支持板3が回転すると、第1揺動シャフト6および第2揺動シャフト7を介して、他方のバレル支持板3も回転する。
【0020】
モータを有する第1揺動駆動部8および第2揺動駆動部9は、それぞれ第1揺動シャフト6の一端および第2揺動シャフト7の一端に接続され、第1揺動シャフト6および第2揺動シャフト7を揺動駆動する。
【0021】
モータを有する第1回転駆動部10は、その出力軸が第1揺動シャフト6に直交するように、第1揺動シャフト6に取り付けられている。モータを有する第2回転駆動部11は、その出力軸が第2揺動シャフト7に直交するように、第2揺動シャフト7に取り付けられている。
【0022】
第1バレルカゴ12は、第1回転駆動部10に接続され、第1回転駆動部10の回転駆動力により、水平方向に直交する軸を中心に回転する。第2バレルカゴ13は、第2回転駆動部11に接続され、第2回転駆動部11の回転駆動力により、水平方向に直交する軸を中心に回転する。第1バレルカゴ12および第2バレルカゴ13は、ワークを投入および排出するための開口12a、13aを有する。また、第1バレルカゴ12は、第1揺動駆動部8の揺動駆動力により、第1揺動シャフト6の揺動軸を中心に揺動する。第2バレルカゴ13は、第2揺動駆動部9の回転駆動力により、第2揺動シャフト7の揺動軸を中心に揺動する。
【0023】
また、キャビネット本体2には、研掃材を投射する投射機15が設けられている。キャビネット本体2の上方には、研掃材を貯留する研削材タンク16が設けられ、研掃材を投射機15に供給可能に構成されている。キャビネット本体2の下部には、横スクリュ17が設けられ、横スクリュ17により回収された研掃材は、エレベータ18により、鉛直方向に沿って上方に搬送され、研削材タンク16に戻される。
【0024】
第1バレルカゴ12および第2バレルカゴ13が、ワークに対して投射機15から研掃材を投射される位置(図1における第1バレルカゴ12の位置)を、投射位置とし、第1バレルカゴ12および第2バレルカゴ13が、キャビネット本体2の開口2eを介して、ワークの排出・投入を行う位置(図1における第2バレルカゴ13の位置)を、排出・投入位置とする。また、一対のバレル支持板3は、支持板回転駆動部14により、第1バレルカゴ12、第2バレルカゴ13を、投射位置と排出・投入位置との間で正逆回転可能に構成されている。また、キャビネット本体2には、図1における第1バレルカゴ12と第2バレルカゴ13との間に、投射機15から第1バレルカゴ12に投射される研掃材が、第2バレルカゴ13側へ到達するのを防止する図示せぬ遮蔽壁が設けられている。
【0025】
<研掃方法>
次に、連続式バレルブラスタ1における研掃方法について図4、5を参照して説明する。
【0026】
図4、5は、連続式バレルブラスタ1における研掃方法の説明図を示している。
【0027】
図4(a)では、第1ワークW1が投入された第1バレルカゴ12が投射位置に、第2ワークW2が投入された第2バレルカゴ13が排出・投入位置にある。第1回転駆動部10を駆動することにより第1バレルカゴ12を回転させながら、第1バレルカゴ12の第1ワークW1に対し、投射機15により研掃材が投射され、研掃処理が行われている。第1ワークW1に対する研掃処理が終了すると、図4(b)〜(e)に示すように、支持板回転駆動部14により、バレル支持板3をR1方向(図4における時計回り方向)に180°回転させる。この時、第1バレルカゴ12は、回転軸Cに対して上側を通過するので、第1バレルカゴ12の開口12は下側を向かない。よって、第1ワークW1が第1バレルカゴ12から落ちることはないので、第1揺動駆動部8を駆動させず、第1バレルカゴ12を第1揺動シャフト6を中心に揺動させない。
【0028】
一方、第2バレルカゴ13は、回転軸Cに対して下側を通過するので、第2バレルカゴ13の開口13aは下側を向いてしまう。第2バレルカゴ13の開口13aは下側を向いてしまうと、第2ワークW2が落ちてしまうので、第2揺動駆動部9を駆動させ、第2バレルカゴ13を第2揺動シャフト7を中心に揺動させ、第2ワークW2が第2バレルカゴ13の開口13aから落ちないようにする。
【0029】
そして、図4(e)に示すように、第2バレルカゴ13が投射機15に対向する位置(投射位置)まで回転した時点でバレル支持板3の回転を停止させ、第2回転駆動部11を駆動することにより第2バレルカゴ13を回転させながら、第2バレルカゴ13の第2ワークW2に対し、投射機15により研掃材が投射され、研掃処理が行われる。当該研掃処理中に、第1回転駆動部10を駆動することにより、第1バレルカゴ12を回転させて第1ワークW1を空転させる。その後、第1揺動駆動部8を駆動させ、第1バレルカゴ12を第1揺動シャフト6を中心に揺動させ、第1バレルカゴ12の開口12aを下側を向かせて、第1ワークW1を排出する。
【0030】
第1ワークW1を排出後、図4(g)に示すように、第1バレルカゴ12を第1揺動シャフト6を中心に揺動させ、第1バレルカゴ12が元の位置に戻され、第1バレルカゴ12に第3ワークW3が投入される。
【0031】
第2バレルカゴ13の第2ワークW2に対する研掃処理が終了すると、図5(a)に示す状態から、図5(b)〜(e)に示すように、支持板回転駆動部14により、バレル支持板3をR2方向(図5における反時計回り方向)に180°回転させる。すなわち、バレル支持板3をR1方向とは逆方向(R2方向)に回転させる。この時、第1バレルカゴ12は、回転軸Cに対して上側を通過するので、第1バレルカゴ12の開口12は下側を向かない。よって、第1ワークW1が第1バレルカゴ12から落ちることはないので、第1揺動駆動部8を駆動させず、第1バレルカゴ12を第1揺動シャフト6を中心に揺動させない。
【0032】
一方、第2バレルカゴ13は、回転軸Cに対して下側を通過するので、第2バレルカゴ13の開口13aは下側を向いてしまう。第2バレルカゴ13の開口13aは下側を向いてしまうと、第2ワークW2が落ちてしまうので、第2揺動駆動部9を駆動させ、第2バレルカゴ13を第2揺動シャフト7を中心に揺動させ、第2ワークW2が第2バレルカゴ13の開口13aから落ちないようにする。
【0033】
そして、図5(e)に示すように、第1バレルカゴ12が投射機15に対向する位置まで回転した時点でバレル支持板3の回転を停止させ、第1回転駆動部10を駆動することにより第1バレルカゴ12を回転させながら、第1バレルカゴ12の第3ワークW3に対し、投射機15により研掃材が投射され、研掃処理が行われる。当該研掃処理中に、第2回転駆動部11を駆動することにより、第2バレルカゴ13を回転させて第2ワークW1を空転させる。その後、第2揺動駆動部9を駆動させ、第2バレルカゴ13を第2揺動シャフト7を中心に揺動させ、第2バレルカゴ13の開口13aを下側を向かせて、第2ワークW2を排出する。
【0034】
第2ワークW2を排出後、図5(g)に示すように、第2バレルカゴ13を第2揺動シャフト7を中心に揺動させ、第2バレルカゴ13が元の位置に戻され、第2バレルカゴ13に第4ワークW4が投入される。
【0035】
上記のように連続式バレルブラスタ1における研掃方法では、第1バレルカゴ12は、投射位置と排出・投入位置との間を移動する際には、回転軸Cの上側を通過し、第2バレルカゴ13は、投射位置と排出・投入位置との間を移動する際には、回転軸Cの下側を通過し、かつ、第2バレルカゴ13から第2ワークW2が落下しないように揺動するように構成されている。
【0036】
<作用効果>
以上に記載したような連続式バレルブラスタ1における研掃方法によれば、一方のバレルカゴ(第1バレルカゴ12または第2バレルカゴ13の一方)でワークの研掃処理をしている間に、他方のバレルカゴ(第1バレルカゴ12または第2バレルカゴ13の他方)において、バレルカゴの空転、ワークの排出、新たなワークの投入を行う。よって、投射機15による研掃処理を行わない時間を、第1バレルカゴ12および第2バレルカゴ13が回転軸Cの周りを回転している時間のみとすることができる。従って、一つのバレルカゴにおける単位時間当たりのワーク処理個数を増加させることができる。このため、ワークの処理個数を増加させるために装置を増やす必要がなく、装置のスペースの増加および設備コストの増加を抑制することができる。
【0037】
また、第1バレルカゴ12、第2バレルカゴ13は、水平方向に延びる回転軸Cを中心に、縦回転するように構成されているので、バレルカゴが横回転する装置と比較して、装置を設置するスペースを縮小することができる。
【0038】
また、第1バレルカゴ12における研掃処理後、バレル支持板3をR1方向に回転させ、第2バレルカゴ13における研掃処理および第1バレルカゴ12における空転・排出・投入処理後、バレル支持板3をR1方向とは逆方向(R2方向)に回転させる構成である。すなわち、バレル支持板3は、支持板回転駆動部14により正逆回転可能に構成されている。よって、連続式バレルブラスタ1の電気的構成および制御を容易にすることができ、連続式バレルブラスタ1のコストを低減することができる。
【0039】
また、第2バレルカゴ13が回転軸Cの下側を通過する際に、第2ワークW2が落下しないように、第2バレルカゴ13を揺動させるので、回転軸Cの下側を通過する第2バレルカゴ13から第2ワークW2が落下するのを防止することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形は可能である。
【0041】
上記の実施形態では、第1バレルカゴ12が回転軸Cの上側を、第2バレルカゴ13が回転軸Cの下側を通過するように構成したが、第1バレルカゴ12が回転軸Cの下側を、第2バレルカゴ13が回転軸Cの上側を通過するように構成してもよい。すなわち、第1バレルカゴ12における研掃処理後、バレル支持板3をR2方向に180°回転させ、第2バレルカゴ13における研掃処理後、バレル支持板3をR1方向に180°回転させる。この場合、第1バレルカゴ12が回転軸Cの下側を通過する際には、第1バレルカゴ12からワークが落下しないように、第1揺動駆動部8を駆動させ、第1バレルカゴ12を第1揺動シャフト6を中心に揺動させる。
【0042】
また、上記の実施形態では、第1バレルカゴ12における研掃処理後、バレル支持板3をR1方向に回転させ、第2バレルカゴ13における研掃処理および第1バレルカゴ12における空転・排出・投入処理後、バレル支持板3をR1方向とは逆方向(R2方向)に回転させる構成であったが、第2バレルカゴ13における研掃処理および第1バレルカゴ12における空転・排出・投入処理後、バレル支持板3をR1方向に回転させてもよい。また、第1バレルカゴ12における研掃処理後、バレル支持板3をR2方向に回転させ、第2バレルカゴ13における研掃処理および第1バレルカゴ12における空転・排出・投入処理後、バレル支持板3をR2方向に回転させてもよい。すわなち、バレル支持板3を常に同じ方向(R1方向またはR2方向)に回転させて、第1バレルカゴ12および第2バレルカゴ13が回転軸Cを中心に旋回するようにしてもよい。これにより第1バレルカゴ12および第2バレルカゴ13は、交互に回転軸Cの上側および下側を通過し、回転軸Cの下側を通過する際には、ワークが落下しないように揺動される。この場合、バレル支持板3は、支持板回転駆動部14により一回転可能に構成される。
【0043】
また、バレルカゴの数は、2つに限らず必要に応じて増加させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1:連続式バレルブラスタ、 3:バレル支持板、 12:第1バレルカゴ、 12a:開口、 13:第2バレルカゴ、 13a:開口、 15:投射機、 C:回転軸、 W1:第1ワーク、 W2:第2ワーク、W3:第3ワーク、 W4:第4ワーク
【要約】
【課題】装置のスペースおよび設備コストの増加を抑制しつつ、単位時間当たりのワーク処理個数を増加させることが可能な連続式バレルブラスタおよびそれにおける研掃方法を提供する。
【解決手段】
一対のバレル支持板3は、支持板回転駆動部14により、第1バレルカゴ12、第2バレルカゴ13を投射位置と排出・投入位置との間で正逆回転可能に構成され、第1バレルカゴ12は、一対のバレル支持板3の正逆回転により、投射位置と排出・投入位置との間を移動する際には、回転軸Cの上側を移動し、第2バレルカゴ13は、一対のバレル支持板の正逆回転により、投射位置と排出・投入位置との間を移動する際には、回転軸Cの下側を移動し、かつ、ワークが落下しないように揺動軸を中心に揺動するように構成されている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5