(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆F形状又は逆L形状で形成されており、前記アンテナエレメントは、前記逆F形状又は前記逆L形状の一部となるアンテナエレメント直線部を有しており、
前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記アンテナエレメント直線部が前記電子機器よりも外側になる、請求項1に記載のメモリカード。
前記プリント基板は多層配線基板であって、前記アンテナエレメントは複数の層に形成されており、前記グランドエレメントは複数の層に形成されている、請求項7に記載のメモリカード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カメラ等においてメモリカードを装着する場合、通常、メモリカードはカメラ等の本体より殆ど突出することなく装着される。カメラ本体は、金属等の筐体により覆われており、また、メモリカードは導体部分が存在する電池や電子回路基板等にも囲まれていることから、アンテナが搭載されたメモリカードをカメラ本体に装着した場合、カメラ本体の内部から外部に無線で情報を伝送することは困難であり、正確に情報を伝送することができない場合や、情報の伝送される領域が極めて限定される場合等がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、カメラ等の情報機器装置の筐体内部に装着されるものであって、無線における通信性能が高いアンテナが内蔵されているメモリカードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態のメモリカードは、電子機器に接続されるメモリカードであって、回路基板と、前記回路基板を覆う筐体と、
前記回路基板の一方の面に搭載される基板の一方の面に形成されるアンテナエレメントと、前記回路基板の一方の面に形成される地板と、前記回路基板の
一方の面、又は、前記基板の他方の面に形成され、前記地板に接続されるグランドエレメントとを含み、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの一部又は全部は、前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記電子機器よりも外側になるように形成されており、前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、
前記基板を介し、略対称となる形状で形成されており、前記アンテナエレメントと前記グランドエレメントは、前記
基板を介して重なる位置に配置される、メモリカード。
【0009】
また、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆F形状又は逆L形状で形成されており、前記アンテナエレメントは、前記逆F形状又は前記逆L形状の一部となるアンテナエレメント直線部を有しており、前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記アンテナエレメント直線部が前記電子機器よりも外側になってもよい。
【0010】
本発明の他の実施の形態のメモリカードは、電子機器に接続されるメモリカードであって、回路基板と、前記回路基板を覆う筐体と、
前記回路基板の一方の面に搭載される基板の一方の面に形成されるアンテナエレメントと、前記回路基板の一方の面に形成される地板と、前記回路基板の
一方の面、又は、前記基板の他方の面に形成され、前記地板に接続されるグランドエレメントとを含み、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの幅Aは、1mm未満で形成されており、前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、
前記基板を介し、略対称となる形状で形成されており、前記アンテナエレメントと前記グランドエレメントは、前記
基板を介して重なる位置に配置される。
【0011】
本発明の他の実施の形態のメモリカードは、電子機器に接続されるメモリカードであって、回路基板と、前記回路基板を覆う筐体と、
前記回路基板の一方の面に搭載される基板の一方の面に形成されるアンテナエレメントと、前記回路基板の一方の面に形成される地板と、前記回路基板の
一方の面、又は、前記基板の他方の面に形成され、前記地板に接続されるグランドエレメントとを含み、前記電子機器に接続する際に押される側の前記回路基板の端部から前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントまでの距離Bは、0.5mm以下であり、前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、
前記基板を介し、略対称となる形状で形成されており、前記アンテナエレメントと前記グランドエレメントは、前記
基板を介して重なる位置に配置される。
【0012】
また、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆F形状又は逆L形状で形成されていてもよい。
【0013】
また、前記アンテナエレメントと前記地板との間隔Cは、0.05λ以下であってもよい。
【0015】
また、前記回路基板又は前記基板はプリント基板であってもよい。
【0016】
また、前記プリント基板は多層配線基板であって、前記アンテナエレメントは複数の層に形成されており、前記グランドエレメントは複数の層に形成されていてもよい。
【0017】
また、前記回路基板には、電子部品が搭載されていてもよい。
【0018】
また、2.4GHzから2.5GHzの周波数帯域に用いられてもよい。
【0019】
また、無線LAN、BT用の通信に用いられるものであってもよい。
【0020】
本発明の実施の形態のメモリカードは、電子機器に接続されるメモリカードであって、回路基板と、前記回路基板を覆う筐体と、前記回路基板の一方の面に形成されるアンテナエレメントと、前記回路基板の一方の面に形成される地板
とを含み、
前記筐体の一方の面に導電体製の薄膜が形成されている。
【0021】
また、前記薄膜は、平面視で一部が切り欠かれる切り欠き部、又は、平面視で一部が開口された開口部を有していてもよい。
【0022】
また、前記切り欠き部又は前記開口部は、スロット状、ミアンダ状、又はドット状であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、カメラ等の情報機器装置の筐体内部に装着されるものであって、無線における通信性能が高いアンテナが内蔵されているメモリカードを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
<実施の形態1>
(アンテナ装置及び回路基板)
実施の形態1におけるアンテナ装置及び回路基板について説明する。
図1に示すように、実施の形態1におけるアンテナ装置100は、プリント基板110の一方の面にアンテナエレメント120が形成され、他方の面にグランドエレメント130が形成されているものである。アンテナ装置100は、地板210も含んでもよい。
【0027】
アンテナエレメント120の端部121とグランドエレメント130の端部131とはプリント基板110の側壁に形成された接続パターン140で接続されている。
【0028】
アンテナエレメント120、グランドエレメント130、接続パターン140は銅等の金属材料により形成されており、プリント基板110を介して略対称な位置に、略対称となる形状により形成されている。実施の形態1におけるアンテナ装置100では、グランドエレメント130は端部131で接地されており、端部132は開放されている。このため、グランドエレメント130の直線部130aと端部132との間は、スタブ133となっている。直線部130aは後述するアンテナエレメント120の直線部120aと平面視で重なる部分である。
【0029】
アンテナエレメント120は、給電部122において、所定の周波数、例えば、2.4GHz〜2.5GHzの高周波電圧が印加される。
【0030】
実施の形態1におけるアンテナ装置は、2.4GHz〜2.5GHzの周波数帯域の通信、無線LAN、BT用の通信に用いられるものである。また、実施の形態1におけるアンテナ装置では、共振周波数を調整するため、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130に各々所定のインダクタンスを有するインダクタを接続する場合がある。
【0031】
実施の形態1では、プリント基板110は厚さが約0.8mmのガラスエポキシ樹脂により形成されている。例えば、プリント基板110にはFR4基板が用いられており、比誘電率εrの値は約4.7である。アンテナエレメント120及びグランドエレメント130は略対称となるように、略同一の逆F形状(逆F型と記載する場合がある)に形成されている。具体的には、プリント基板110に銅等からなる配線パターンを形成する場合と同様に、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130のパターンを形成することにより形成されている。尚、実施の形態1では、プリント基板110を用いた場合について説明するが、他の誘電体材料により形成された基板、例えば、AlN、Al2O3等により形成されたセラミックス基板等、又はプラスチック基板等を用いることも可能である。
【0032】
図2に示すように、実施の形態1における回路基板200には、実施の形態1におけるアンテナ装置100が搭載されている。具体的には、回路基板200を形成するプリント基板211の表面には、地板210が形成されており、この地板210は接地されている。また、地板210はアンテナ装置100のグランドエレメント130の端部131と接続されている。グランドエレメント130の端部132は、開放されている。尚、実施の形態1では、アンテナ装置100が搭載された回路基板200について回路基板と記載する。
【0033】
次に、実施の形態1におけるアンテナ装置100におけるアンテナエレメント120とグランドエレメント130との位置関係について説明する。
図3は、
図1における一点鎖線1A−1Bにおいて切断した断面の一部を示す。
図3に示されるものは、アンテナエレメント120とグランドエレメント130とが、プリント基板110の両面において、プリント基板110を介し対称となるように形成されているものである。この場合、アンテナエレメント120に高周波電圧を印加することにより、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間に矢印に示す方向に電界が生じる。即ち、プリント基板110の厚さ方向に電界が生じる。
【0034】
(メモリカード)
次に、実施の形態1におけるメモリカードについて説明する。実施の形態1におけるメモリカードとして、SD(Secure Digital)カードについて説明するが、他の規格や種類のメモリカードにおいても同様に適用することができる。
【0035】
実施の形態1におけるメモリカード250は、
図4に示すように、アンテナ装置100が搭載された回路基板200と、プラスチック等の樹脂材料により形成された第1のケース260及び第2のケース270を有しており、回路基板200は、第1のケース260と第2のケース270により覆われた空間内に納められている。回路基板200には、デジタルカメラ等の内部に設けられたメモリカードソケットと接続するための外部接続端子212が設けられており、メモリや電子回路等を有する電子部品214が搭載されている。第1のケース260には、外部接続端子212が露出するように開口部262が設けられており、回路基板200を覆うように、第1のケース260と第2のケース270とを接合等することによりメモリカードが形成される。
【0036】
実施の形態1におけるメモリカード250において、アンテナ装置100は、回路基板200における外部接続端子212が設けられる端部とは反対側の端部に設けられている。外部接続端子212は、メモリカードソケットと接続されるものであるため、デジタルカメラ等の内部まで入り込む。このため、アンテナ装置100は、外部接続端子212が設けられている側と反対側となるメモリカード250の挿入口の近傍となる位置に形成されている。
【0037】
通常、
図5に示すように、デジタルカメラ300の内部にメモリカード250を装着した場合、メモリカード250の挿入口は、デジタルカメラ300に設けられた蓋310等が閉じられる。
【0038】
(メモリカードの装着)
ところで、SDカード等のメモリカード250は、デジタルカメラ300を装着する際、メモリカード250をデジタルカメラ300側に押すことにより装着され、再度押すことにより、デジタルカメラ300から取り外すことができるように形成されている。即ち、
図6に示すように、メモリカード250を装着したり取り外したりする際に、デジタルカメラ300側に押すことができるよう周囲より少々出っ張って形成されている。例えば、メモリカード250を挿入する部分の周辺には、電池320や内部の筐体部分301があるが、これらの部分より、約1mm前後出っ張っている。実施の形態1では、
図7に示すように、メモリカード250が電池320や内部の筐体部分301より出っ張っている部分にアンテナエレメント120を形成した構造のものである。特に、通常のデジタルカメラ等においては、レイアウトの関係上、メモリカード250の近傍に電池320が設けられており、電池320は導電性材料の塊であることから、アンテナエレメント120からの電波等に影響を及ぼしやすい。また、内部の筐体部分301は厚く形成されており、電波を遮りやすい。よって、実施の形態1は、電池320や内部の筐体部分301よりも出っ張っている部分にアンテナエレメント120を形成したものである。尚、デジタルカメラ300にメモリカード250を装着することにより、メモリカード250とデジタルカメラ300とが接続される。
【0039】
(アンテナエレメントの幅及び位置)
次に、
図8及び
図9に基づき、アンテナエレメント120の幅及び形成される位置についてより詳しく説明する。前述したように、メモリカード250は、内部の筐体部分301や電池320等から約1mm出っ張って形成されている。実施の形態1においては、アンテナ装置100におけるアンテナエレメント120のアンテナエレメント直線部120aが、内部の筐体部分301や電池320等の外側に形成されている。この際形成されるアンテナエレメント直線部120aの幅Aは、0.05mm以上、1mm未満の範囲で形成されている。メモリカード250は、内部の筐体部分301や電池320等から約1mm出っ張っているため、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが1mmを超えると、アンテナエレメント直線部120aが、内部の筐体部分301や電池320等の内側に入ってしまうため、アンテナエレメント直線部120aが、内部の筐体部分301や電池320等の外側となるようにするためには、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが1mm未満で形成する必要がある。また、アンテナエレメント直線部120aの幅Aがあまりにも狭くなると抵抗値が高くなり、アンテナとして良好な特性が得られなくなる可能性があるが、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが0.05mm以上であれば、このような問題は生じないものと考えられる。
【0040】
図10は、アンテナエレメント直線部120aの幅Aを変化させた場合のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)特性を示すシミュレーション結果である。
図10に示すシミュレーション結果は、アンテナエレメント120とグランドエレメント130をL字形状にした場合に得たものであるが、逆F形状にしても同様の傾向があると考えられる。
【0041】
図10に示されるように、アンテナエレメント直線部120aの幅Aを1mm未満で形成した場合には、VSWR特性は殆ど変わらない。尚、アンテナエレメント直線部120aの幅Aは0.5mm以下で形成すると、VSWR特性はより一層よくなるためより好ましい。実施の形態1においては、VSWRの値が低いことは反射が少ないことを意味するものである。
【0042】
また、アンテナ装置100の端部からアンテナエレメント直線部120aまでの距離Bは、幅Aと距離Bとの和が1mm以下となるように形成されていることが好ましく、更には、距離Bが0.5mm以下となるように形成されていることが好ましい。尚、アンテナエレメント直線部120aは、厚さが0.035mm〜0.04mmの銅等の金属材料により形成されている。
【0043】
また、
図11に示すように、実施の形態1におけるアンテナ装置100は、アンテナエレメント直線部120aと地板210との間隔Cは、0.05λmm以下となるように形成されている。実施の形態1におけるアンテナ装置100では、2.4〜2.5GHzの周波数の電波が用いられるため、間隔Cは、約5mm以下で形成されている。尚、アンテナエレメント直線部120aと地板210との間隔Cが、あまりに近いと特性上好ましくない。また、地板210は、内部の筐体部分301や電池320等内に入っていても特性が低下することはない。よって、アンテナエレメント直線部120a等の特性や製造しやすさ等を考慮した場合、アンテナエレメント直線部120aは、内部の筐体部分301や電池320等よりも外側に形成されており、地板210は、内部の筐体部分301や電池320等よりも内側に形成されていることが好ましい。
【0044】
(アンテナ装置の特性)
次に、実施の形態1におけるアンテナ装置100及びメモリカード250のVSWR特性について説明する。尚、デジタルカメラにメモリカードを装着した場合や、デジタルカメラの種類によって、VSWRの値が低くなる周波数が変化しないことが好ましい。
【0045】
ところで、
図12に示すように、アンテナ装置100のみ(ケースなし)の場合(ケースなし)と、アンテナ装置100を第1のケース260と第2のケース270により覆いメモリカード250(ケース入り)とした場合では、VSWR特性が変化し、VSWRの値が低くなる周波数が低周波側にシフトする。これは、第1のケース260及び第2のケース270を形成する材料の影響によるものと考えられる。このため、メモリカード250を作製する場合には、低周波側への周波数のシフト量を考慮してアンテナ装置100を作製する。
図12に示すシミュレーション結果は、アンテナエレメント120とグランドエレメント130をL字形状にした場合に得たものであるが、逆F形状にしても同様の傾向があると考えられる。
【0046】
次に、メモリカード単体の場合と、デジタルカメラ300にメモリカードを装着した場合におけるVSWR特性について説明する。
図13は、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが0.5mmである実施の形態1におけるメモリカード250の場合であり、デジタルカメラに入れる前(メモリカード単体)と、2種類のデジタルカメラA及びデジタルカメラBにメモリカード250を入れた場合のVSWR特性を示す。
図14は、アンテナエレメント直線部の幅Aが1mmであるメモリカードの場合であり、デジタルカメラに入れる前(メモリカード単体)と、2種類のデジタルカメラA及びデジタルカメラBにメモリカードを入れた場合のVSWR特性を示す。
図15は、従来からあるアンテナ付きのメモリカードの場合であり、デジタルカメラに入れる前(メモリカード単体)と、2種類のデジタルカメラA及びデジタルカメラBにメモリカードを入れた場合のVSWR特性を示す。
【0047】
図14や
図15に示されるように、メモリカードをデジタルカメラに入れた場合や、異なる種類のデジタルカメラに入れた場合では、VSWRの値が低くなる周波数が変化してしまうが、
図13に示されるように、実施の形態1におけるメモリカードでは、メモリカードをデジタルカメラに入れた場合や、異なる種類のデジタルカメラに入れた場合においても、VSWRの値が低くなる周波数が殆ど変化することはない。
【0048】
(アンテナ装置及び回路基板の製造方法)
次に、実施の形態1におけるアンテナ装置及び回路基板の製造方法について説明する。
【0049】
実施の形態1における回路基板は、
図16に示すように、プリント基板110の両面にアンテナエレメント120とグランドエレメント130が形成されたアンテナ装置100を地板210の形成されているプリント基板211の所定の位置に貼り付け、グランドエレメント130と地板210とを接続することにより形成することができる。
【0050】
また、実施の形態1における回路基板は、
図17に示すように、プリント基板211の地板210が形成される面に、地板210と接続されるグランドエレメント部230を地板210とともに形成し、一方の面にアンテナエレメント120が形成されているプリント基板110の他方の面をプリント基板211のグランドエレメント部230が形成されている部分に貼り付けることにより形成することができる。
【0051】
また、実施の形態1における回路基板は、
図18に示すように、プリント基板211の一方の面にアンテナエレメント部220及び地板210Aを形成し、他方の面にグランドエレメント部230及び地板210Bを形成したものであってもよい。このような場合、プリント基板211、アンテナエレメント部220、地板210A、グランドエレメント部230、及びグランドエレメント部230は、アンテナ装置200を構成する。地板210A、210Bには、回路が形成され、メモリ等の素子が実装される。
【0052】
図18に示すように、プリント基板211の表面には、アンテナエレメント220と地板210Aが形成されている。アンテナエレメント220の端部221は、地板210Aに接続されている。また、アンテナエレメント220は、給電部222において給電される。
【0053】
プリント基板211の裏面には、グランドエレメント230と地板210Bが形成されている。グランドエレメント230の端部231は地板210Bに接続され、端部232は開放されている。
【0054】
これにより、プリント基板を1枚にすることができ、より低コストでアンテナ装置の形成された回路基板を得ることができる。
【0055】
尚、機能的には、アンテナエレメント部220は、アンテナエレメント120に相当するものであり、グランドエレメント部230は、グランドエレメント130に相当するものである。
【0056】
次に、
図19を用いて、
図18に示すアンテナ装置200のVSWR特性とゲインのシミュレーション結果について説明する。
【0057】
図19には、
図18に示すアンテナ装置200と、比較用にアンテナ装置200からグランドエレメント230及び地板210Bを取り除いたアンテナ装置のVSWR特性を示す。すなわち、比較用のアンテナ装置は、プリント基板211、アンテナエレメント220、及び地板210Aを含む。
【0058】
シミュレーションは、プリント基板211の幅(X軸方向の長さ)を30mm、プリント基板211の長さ(Y軸方向の長さ)を35mm、プリント基板211の表面のうち、地板210Aが形成されていない部分のY軸方向の長さを5mm、アンテナエレメント220及びグランドエレメント230の線幅を1mm、アンテナエレメント220及びグランドエレメント230の直線部220a、230aの(X軸方向の)長さを24mmに設定して行った。
【0059】
図19に示すように、比較用のアンテナ装置に比べて、アンテナ装置200は、VSRW特性の2.45GHz近辺にある極小値が低下し、VSWR特性が改善されていることが分かる。なお、アンテナ装置200と、比較用のアンテナ装置のゲインの最大値は、ともに+2.3dBiである。
【0060】
以上より、アンテナ装置200によれば、グランドエレメント230及び地板210Bを形成することにより、VSWR特性が改善されることが分かった。
【0061】
次に、
図20及び
図21を用いて、アンテナ装置200に抵抗器を挿入した場合のシミュレーション結果について説明する。
【0062】
図20(A)〜(C)では、プリント基板211を省略する。
図20(A)は、アンテナエレメント220及び地板210Aを示す。
図20(B)及び
図20(C)は、グランドエレメント230及び地板210Bを示す。
【0063】
図20(B)では、端部231の部分において、グランドエレメント230に抵抗器280が挿入されている。
図20(C)では、端部232の部分において、グランドエレメント230に抵抗器280が挿入されている。
図20(C)では、端部232は、地板210Bに接続されている。
【0064】
なお、
図20(D)に示すように、プリント基板211の幅(X軸方向の長さ)を30mm、プリント基板211の長さ(Y軸方向の長さ)を35mm、プリント基板211の表面のうち、地板210Aが形成されていない部分のY軸方向の長さを5mm、アンテナエレメント220及びグランドエレメント230の線幅を1mm、アンテナエレメント220及びグランドエレメント230の直線部220a、230aの(X軸方向の)長さを24mmに設定してシミュレーションを行った。
【0065】
プリント基板211の表面側に
図20(A)に示すようにアンテナエレメント220及び地板210Aを形成し、かつ、プリント基板211の裏面に
図20(B)に示すように、グランドエレメント230、及び地板210Bを形成するとともに、抵抗器280を挿入した場合を
図21に(A)+(B)の特性として示す。
【0066】
また、プリント基板211の表面側に
図20(A)に示すようにアンテナエレメント220及び地板210Aを形成し、かつ、プリント基板211の裏面に
図20(C)に示すように、グランドエレメント230、及び地板210Bを形成するとともに、抵抗器280を挿入した場合を
図21に(A)+(C)の特性として示す。
【0067】
(A)+(B)の場合と、(A)+(C)の場合を(A)だけの場合と比べたところ、
図21に示すように、(A)だけの場合に比べて、(A)+(B)の場合と、(A)+(C)の場合は、VSWR特性が改善された。(A)+(B)の場合と、(A)+(C)の場合とでは、(A)+(B)の場合の方がVSWR特性の極小値が低かった。
【0068】
(A)+(B)の場合は、
図19に示すアンテナ装置200よりもさらにVSWR特性が改善されている。
【0069】
以上より、抵抗器280を挿入することで、VSWR特性が改善された。
【0070】
次に、
図22及び
図23を用いて、4層基板にした場合のシミュレーション結果について説明する。
【0071】
図22(A)に示すように、表面に地板310Aを形成したプリント基板311Aと、表面にアンテナエレメント220及び地板210Aを形成したプリント基板211と、表面にグランドエレメント230及び地板210Bを形成したプリント基板311Bとを積層し、プリント基板311Bの裏面に地板310Bを形成した。これをアンテナ装置300とする。アンテナ装置300は、4層の導電層を有する4層基板である。なお、プリント基板311A、211、311Bは、プリプレグ又はコア層で構成される。
【0072】
図22(B)は、4層の導電層と3層のプリント基板の位置関係を平面視で示す図である。プリント基板311A、211、311Bは位置あわせが行われた状態で積層される。
【0073】
アンテナ装置300は、
図18に示すアンテナ装置200の上下にプリント基板311A及びプリント基板311Bを貼り合わせ、プリント基板311Aの表面に地板310Aを形成し、プリント基板311Bの裏面に地板310Bを形成した構成を有する。
【0074】
図23には、アンテナ装置300のVSWR特性を比較用のアンテナ装置のVSWR特性とともに示す。比較用のアンテナ装置は、プリント基板211の表面にアンテナエレメント220と地板210Aを形成したアンテナ装置である。
【0075】
図23に示すように、アンテナ装置300のVSWR特性は、比較用のアンテナ装置に比べて改善された。
【0076】
また、ゲインの最大値は、比較用のアンテナ装置で+2.3dBi、アンテナ装置300で+1.7dBi、
図20に示した(A)+(B)の場合で+0.9dBi、(A)+(C)の場合で−0.5dBiであった。
【0077】
以上より、実施の形態1の変形例によるアンテナ装置200、300によれば、比較用のアンテナ装置と同等のゲインの最大値を確保しつつ、VSWR特性を改善できるとともに、広帯域化を図ることができることが分かった。
【0078】
尚、実施の形態1においては、プリント基板211には電子回路等が形成されている場合があるが、図面においては、この電子回路等は省略されている。具体的には、プリント基板211において地板210の形成されていない領域に、電子回路等が形成されている場合や、プリント基板211が多層基板であって、この多層基板の内部に電子回路等が形成されている場合がある。
【0079】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2におけるアンテナ装置は、アンテナエレメント等が形成される面積を広げることなく、インダクタンスを大きくして、周波数帯域を低くすることにより、所定の周波数帯域となるように形成したものである。
【0080】
実施の形態2におけるアンテナ装置の構造を
図24に示す。このアンテナ装置では、多層配線のプリント基板116が用いられており、多層に形成されたアンテナエレメント126とグランドエレメント136を有している。アンテナエレメント126は、プリント基板116の内部に形成された第1のアンテナエレメント126aとプリント基板116の一方の面の表面に形成された第2のアンテナエレメント126bを有しており、第1のアンテナエレメント126aと第2のアンテナエレメント126bは、これらを接続するためのスルーホール内に形成されたアンテナエレメント接続部126cにより接続されている。
【0081】
また、グランドエレメント136は、プリント基板116の内部に形成された第1のグランドエレメント136aとプリント基板116の他方の面の表面に形成された第2のグランドエレメント136bを有しており、第1のグランドエレメント136aと第2のグランドエレメント136bは、これらを接続するためのスルーホール内に形成されたグランドエレメント接続部136cにより接続されている。
【0082】
実施の形態2では、プリント基板116において、アンテナエレメント126等が形成される領域を広げることなく、アンテナエレメント126及びグランドエレメント136におけるインダクタンスをより大きくすることができる。
【0083】
図25は、
図24に示すアンテナ装置のアンテナエレメント126とグランドエレメント136の断面における配置を概念的に示すものである。第1のアンテナエレメント126a、第2のアンテナエレメント126b、第1のグランドエレメント136a及び第2のグランドエレメント136bは、プリント基板116の厚さ方向において、各々の領域が全て重なるように形成されている。これにより、アンテナエレメント126に高周波を印加した場合、より一層プリント基板116の厚さ方向に揃った状態で励振させることができる。
【0084】
また、
図26に示すように、第1のアンテナエレメント126aと第2のアンテナエレメント126bとの位置及び第1のグランドエレメント136aと第2のグランドエレメント136bとの位置がずれており、重複しない領域を有するように形成してもよい。この場合、ずれた領域より漏れ電界が生じて電磁波が発生する。尚、
図27は、
図26に示すアンテナ装置のアンテナエレメント126とグランドエレメント136の断面の配置を概念的に示すものである。
【0085】
尚、上記以外の内容については、実施の形態1と同様である。
【0086】
<実施の形態3>
実施の形態3は、金属層を含むラベルがメモリカードに貼付される場合において、アンテナ装置の放射特性を最適化することを目的とする。
【0087】
図28は、実施の形態3のメモリカードを示す分解図である。
図28は、
図4に示すメモリカードを天地逆にして分解した状態を示す。
【0088】
図28に示すメモリカード500は、
図4に示すメモリカードの第2のケース270の表面(
図28における下側の面)に、ラベル510を貼付したものである。
【0089】
ラベル510は、例えば、メモリカードの商品名やメモリ容量等が記載されている。ラベル510は、樹脂フィルム511の一方の面(第2のケース270に貼り付けられる側の面)に、アルミ層512を形成したものである。
【0090】
樹脂フィルムは、例えば、透明なフィルムである。樹脂フィルム511にアルミ層512を形成する前に、樹脂フィルム511に文字等を印刷しておき、文字等を印刷した上からアルミ層512を形成している。アルミ層512は、例えば、蒸着法によって形成される。
【0091】
このようなラベル510をメモリカード500に貼付すると、ラベル510がアルミ層512を有するため、メモリカード500に内蔵されるアンテナ装置100の放射特性が変化する。
【0092】
図29は、ラベルに形成するアルミ層のパターンを示す図である。
図29(A)に示すアルミ層512Aは、切り欠き513Aを有する。
図29(B)に示すアルミ層512Bは、スロット513Bを有する。
図29(C)に示すアルミ層512Cは、ミアンダ状のスロット513Cを有する。
図29(D)に示すアルミ層512Dは、複数の円形のスロット513Dを有する。スロット513Dは、ドット状に配設されている。
【0093】
なお、アルミ層512A〜512Dは、縦25mm、幅20mmとした。また、スロット513Bの長さは26mm、スロット513Cの長さは60mm、スロット513Dの直径は1.5mmとした。なお、スロット513Cの長さは60mmは、周波数が2.45GHzの場合の波長λの半波長(λ/2)の長さに相当する。
【0094】
スロット513Bを形成したラベル510をメモリカード500に貼り付けたところ、ゲインの最大値は0.37dBiであった。スロット513Cを形成したラベル510をメモリカード500に貼り付けたところ、ゲインの最大値は0.38dBiであった。スロット513Dを形成したラベル510をメモリカード500に貼り付けたところ、ゲインの最大値は0.34dBiであった。なお、切り欠き513Aを形成しないラベル510をメモリカード500に貼り付けたところ、ゲインの最大値は0.34dBiであった。
【0095】
これより、スロット513B〜513Dを形成することにより、ゲインの最大値は向上する傾向があることが分かった。
【0096】
ここで、
図30を用いて、ラベルの有無、切り欠き513Aの有無、及び、切り欠き513AのサイズによるVSWR特性のシミュレーション結果について説明する。
【0097】
切り欠き513Aのサイズは、縦8mm×横8mm(8×8)、縦5mm×横8mm(5×8)の2種類を準備した。
【0098】
図30に示すように、ラベル510を貼付しない「ラベル無し」の場合には、VSWR特性の極小値は約1.4であり、周波数は約2.42GHzであった。ラベル510を貼付けた「ラベル有り」(切り欠き513A無し)の場合には、VSWR特性の極小値は約2.2であり、周波数は約2.48GHzであった。ラベル510を貼付け、切り欠き513Aを縦5mm×横8mmとした「切り欠き(5×8)」の場合には、VSWR特性の極小値は約1.7であり、周波数は約2.36GHzであった。ラベル510を貼付け、切り欠き513Aを縦8mm×横8mmとした「切り欠き(8×8)」の場合には、VSWR特性の極小値は約1.8であり、周波数は約2.25GHzであった。
【0099】
このように、ラベル510を貼り付けることにより、メモリカード500に内蔵されるアンテナ装置100の特性が変化することが分かった。そして、ラベル510のアルミ層512Aの切り欠き513Aを設けることにより、VSWR特性が改善されることが分かった。なお、VSWR特性の極小値を与える周波数は、例えば、アンテナ装置100のアンテナエレメント120に、キャパシタ、インダクタ、又は抵抗器を挿入することによって調整できるため、ラベル510の切り欠き513Aの形状及びサイズ等との関係で、所望の周波数(例えば、2.45GHz)において、極小値が得られるように調整すればよい。
【0100】
また、切り欠き513Aの代わりに、スロット513B、513C、又はスロット513D(
図29(B)〜(D)参照)を形成してもよい。
【0101】
次に、
図31を用いて、実施の形態3の変形例について説明する。
【0102】
実施の形態3の変形例のメモリカード500Aは、第1のケース260の下面に凸部261を有する。凸部261は、第1のケース260の第2のケース270と張り合わされる側の面(
図31中の下面)に形成されており、アンテナエレメント120に当接するように突出している部分である。突出部261は、アンテナエレメント120と同等の長さにわたって(紙面を貫通する方向に)形成されている。なお、
図31では図示を省くが回路基板200にはアンテナ装置100が実装されている。
【0103】
突出部261は、第1のケース260と一体的に形成されているが、突出部261は、第1のケース261とは別体であって第1のケース260に貼り付けられていてもよい。
【0104】
このような突出部261を有する第1のケース260と第2のケース270との間の空間に回路基板200を組み込んだ状態で第1のケース260と第2のケース270とを封じると、突出部261は、アンテナエレメント120に当接する。
【0105】
突出部261は、第1のケース260と同様にプラスチック等の樹脂材料により形成されており、誘電率は約3.0程度である。突出部261を有しない場合には、アンテナエレメント120の上面は、第1のケース260との間に空間がある。
【0106】
従って、第1のケース260が突出部261を有することにより、突出部261を有しない場合に比べて、アンテナエレメント120の上面側の誘電率を高くすることができる。このため、アンテナエレメント120の上面側で波長が短縮される効果を得ることができ、この結果、アンテナエレメント120の長さを短くすることができる。
【0107】
以上、実施の形態3の変形例によれば、アンテナエレメント120を短くすることにより、より小型のメモリカード500Aに対応することができる。
【0108】
なお、以上では、ラベル510の樹脂フィルム511にアルミ層512、512A〜512Dが形成される形態について説明したが、アルミ層512、512A〜512Dの代わりに、他の金属材料で構成される金属層を形成してもよい。金属材料によってアンテナ装置100の放射特性も変わるため、所望の放射特性を得るために金属材料を選択してもよい。
【0109】
以上、本発明の例示的な実施の形態のメモリカードについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。