(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077212
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】一体化エアーバッグの蓋の適正な開放を確保する車両のダッシュボード上の美観ライニングを遮蔽する装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/215 20110101AFI20170130BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20170130BHJP
B60R 21/205 20110101ALI20170130BHJP
【FI】
B60R21/215
B60K37/00 B
B60K37/00 G
B60R21/205
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-532775(P2011-532775)
(86)(22)【出願日】2009年10月22日
(65)【公表番号】特表2012-506341(P2012-506341A)
(43)【公表日】2012年3月15日
(86)【国際出願番号】IT2009000475
(87)【国際公開番号】WO2010046942
(87)【国際公開日】20100429
【審査請求日】2012年10月19日
【審判番号】不服2014-23937(P2014-23937/J1)
【審判請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】RM2008A000570
(32)【優先日】2008年10月24日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】501404697
【氏名又は名称】マセラティ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】MASERATI SPA
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セサレッティ、アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】パチアレッリ、ピエルルイジ
(72)【発明者】
【氏名】ランベルティ、ロベルト
【合議体】
【審判長】
氏原 康宏
【審判官】
和田 雄二
【審判官】
島田 信一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−517574(JP,A)
【文献】
特開平10−095298(JP,A)
【文献】
特表2001−501150(JP,A)
【文献】
特開平02−145310(JP,A)
【文献】
特開平10−119683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化されているエアーバッグの蓋の適正な開放を確保するダッシュボードの美観ライニングを遮蔽する装置であって、エアーバッグを備えている前記蓋を開放するための溝に同面の縁を備え、前記縁は、前記ダッシュボードのライニングの外側表面に配置され、且つ前記ライニングに入り込む少なくとも1つの歯を備えており、それによりエアーバッグの対称的な開放を確保するようになされていて、
前記蓋と前記ライニングとの間にスポンジ状の材料からなる層が設けられており、前記溝は、前記スポンジ状の材料の一部と前記蓋との間に配置され、前記縁の1つの面が、前記溝の1つの面と同面であり、前記縁の前記面が前記歯を含むことを特徴とするダッシュボードの美観ライニングを遮蔽する装置。
【請求項2】
前記縁に内ねじが結合されている、ことを特徴とする請求項1に記載のダッシュボードの美観ライニングを遮蔽する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体化エアーバッグの蓋の適正な開放を確保する車両のダッシュボード上の美観ライニングを遮蔽する装置に関する。
【0002】
更に特定すると、本発明は、スポンジ状の基材と合成又は天然の表面層とを有している一体化されたエアーバッグの蓋の適正な開放を可能にする上記の種類の装置に関する。
【0003】
本発明による解決方法は、一体化されている(見えていない)エアーバッグを備え且つスポンジ状の基材と合成又は天然の表面層とによって覆われている内装部材(ダッシュボード及びパネル)に適用することができる。
【背景技術】
【0004】
現在のところ、全ての中級−高級車両には、助手席サイドエアーバッグが設けられており、該エアーバッグの開放蓋はダッシュボードの外板内に一体化されている。
【0005】
斯かる蓋の適正な開放を可能にするために、通常は一連の微細孔が形成される。該微細孔は、レーザーによって形成され、その深さ及びピッチの機能によってエアーバッグによって蓋を開放するのに必要な負荷を幾分大きくしている。
【0006】
前記の方法は、特に、一体化エアーバッグの蓋を備えたダッシュボードに適用され、その主たる利点は、該装置を種々の用途のために使用することができる点である。
【0007】
比較的低級製品のために現在採用され且つ“移動台付きの”ダッシュボード又はパネルを備えている他の解決方法は、堅牢な支持部材を貫通している穴を隠すために脆弱な繊維による美観飾り縫いを使用してドアの適正な開放を確保することからなる。
【0008】
しかしながら、特に、上記した第一の技術的方法は、美観ライニングとしてスポンジ状の材料が採用されている場合に、美観上の問題によって特徴付けられ、実際には、微細孔は、貫通しておらず且つ発泡セルの破壊を生じ、このような発泡セルの破壊は局部的な窪みのために外から観察することができる。
【0009】
更に前記の脆弱化による方法は、例えば商品名Benova(登録商標)によって知られているライニングのような合成被覆材料が採用されている場合には十分なものではない。
【0010】
これに類似の美観上の問題点が非発泡型ダッシュボードに対して存在する。
【0011】
更に、別の問題点は、レーザー加工プロセスのための高い工業化コスト(レーザー加工機及びダッシュボード−パネルを位置決めするための特別な装置)であり、これは特定市場用途又は少量生産製品に対してはコストがかかる。
【0012】
上記に鑑み且つ上記の問題点を解決するために、出願人は、上記の欠点の全てを解決することを可能にするプラスチック又は金属の縁によって構成される装置を実現した。
【発明の概要】
【0013】
従って、本発明の特定の目的は、エアーバッグの蓋の適正な開放を確保するダッシュボードの美観ライニングを遮蔽して一体化されている装置であり、ダッシュボードのライニングの外側にエアーバッグを備えている蓋を開放するための溝
と同面の縁を備え且つ前記ライニング内に入り込んでいる少なくとも1つの歯を設けて、エアーバッグの対称的な開放を確保することを特徴としている装置を提供することである。
【0014】
本発明によると、前記蓋と前記ライニングとの間にスポンジ状の材料からなる層が設けられ、前記縁は、前記スポンジ状の層を破るための溝と同面であるのが好ましい。
【0015】
更に、本発明に従って、前記縁は複数の歯を提供している。
【0016】
本発明においては、全ての場合に、前記縁には内ねじが結合されている。
【0017】
更に、本発明に従って、前記縁は複数個設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、本発明を、例示的であり且つ限定的でなく、好ましい実施例によって特に添付図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、本発明による装置を備えたダッシュボードの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明による装置の第一の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明による装置の第二の断面図である。
【実施例】
【0019】
添付図面を参照すると、全体が参照符号1によって示されているダッシュボード上にライニングが設けてられており且つ該ライニング上に縁2が付けられている本発明による装置の一つの実施例(
図1)を見ることができる。縁2を以下において更に詳細に説明する。
【0020】
図2及び
図3の断面図を参照すると、ダッシュボード1のライニング4を“掴み込んでいる”歯3が設けられている縁2を見ることができる。前記
縁2は蓋5
を開放する溝8と同面に取り付けられている。
【0021】
更に、
図2及び3においては、スポンジ状の材料の厚み6、エアーバッグのガイド用ブラケット7、前記スポンジ状の材料をフライス加工することによって得られる溝8を見ることができる。
【0022】
前記の縁(
図3)は、ねじ9によってダッシュボード上に固定されている。既に説明したように、縁2は、蓋5
を開放する溝8と同面に配置され且つ接触線に沿って歯3を備えている。歯3は、ライニング材料4に局部的な脆弱化部分を形成しており、これはライニング(天然又は人口の表皮)の迅速な切断を可能にするために必要である。
【0023】
上記の説明により、エアーバッグが膨張し且つ蓋5にその圧力をかけ始めたときに、外側ライニング4の完全な破れが生じて蓋5の非対称な開放が防止され且つ該エアーバッグの性能に影響を及ぼすエアーバッグの圧力の増大(非対称な展開及びより展開時間が長くなること)が防止されることがわかる。
【0024】
以上、本発明を、限定目的ではなく例示を目的として好ましい実施例によって説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲に規定されている範囲から逸脱することなく、改造及び/又は変更を加えることができることが理解できるはずである。