特許第6077215号(P6077215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6077215積層鉄心、静止誘導機器用脚鉄心及び静止誘導機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077215
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】積層鉄心、静止誘導機器用脚鉄心及び静止誘導機器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/24 20060101AFI20170130BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20170130BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20170130BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20170130BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   H01F27/24 E
   H01F27/24 A
   H01F27/26 K
   H01F30/10 A
   H01F37/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-59215(P2012-59215)
(22)【出願日】2012年3月15日
(65)【公開番号】特開2013-197112(P2013-197112A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 深
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−087109(JP,A)
【文献】 特開昭57−152113(JP,A)
【文献】 実開平05−069923(JP,U)
【文献】 特開昭59−004006(JP,A)
【文献】 特開昭61−259512(JP,A)
【文献】 特開昭61−074313(JP,A)
【文献】 特開昭51−039406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/24
H01F 27/26
H01F 30/10
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略矩形平板状をなす複数の電磁鋼板を、平面視における外形が概略円形状となるように積層して形成される積層鉄心であり、
前記積層鉄心の中心から径方向に延びる少なくとも3つ以上の分割面によって分割された平面視における外形が概略扇形状をなす3つ以上の分割鉄心要素を備え、
前記分割鉄心要素が、同一幅を有する複数の電磁鋼板からなる群を電磁鋼板群として、幅の異なる複数種類の電磁鋼板群が積層されることにより、平面視における外形が概略扇形状とされており、
互いに隣接する分割鉄心要素の間それぞれに軸方向両端に開口する空間が形成されており、
互いに隣接する分割鉄心要素の間において、径方向中央部に最も大きい空間が形成されるものである積層鉄心。
【請求項2】
前記各分割鉄心要素が略同一形状をなすものである請求項記載の積層鉄心。
【請求項3】
請求項1又は2記載の積層鉄心を用いた静止誘導機器用脚鉄心。
【請求項4】
複数の脚鉄心と、当該複数の脚鉄心の上面同士及び下面同士を連結して閉磁路を形成する複数の継鉄心とを備えた静止誘導機器であって、
前記脚鉄心が、概略矩形平板状をなす複数の電磁鋼板を、平面視における外形が概略円形状となるように、幅方向にずらして積層して形成される積層鉄心であり、
前記積層鉄心の中心から径方向に延びる少なくとも3つ以上の分割面によって分割された平面視における外形が概略扇形状をなす3つ以上の分割鉄心要素を備え、
前記分割鉄心要素が、同一幅を有する複数の電磁鋼板からなる群を電磁鋼板群として、当該電磁鋼板群を構成する電磁鋼板の幅が異なる複数種類の電磁鋼板群が積層されることにより、平面視における外形が概略扇形状とされており、
互いに隣接する分割鉄心要素の間それぞれに形成された軸方向両端に開口する空間に、前記継鉄心を前記脚鉄心に固定するための固定軸部材が通されており、前記各脚鉄心と前記継鉄心とが複数の固定軸部材を介して固定されている静止誘導機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば変圧器やリアクトルといった静止誘導機器に用いられる積層鉄心に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばリアクトル等の静止誘導機器としては、特許文献1に示すように、複数のブロック鉄心をギャップを介して組み付けられる脚鉄心と、各脚鉄心の端部を連結する継鉄心とにより構成されている。
【0003】
そして、上記脚鉄心は、幅の異なる複数の電磁鋼板を幅寸法別に積層してなる複数のブロック要素を重ね合わせて、外周が段形状を有する概略円筒形状となるように構成されている。また、このように構成された脚鉄心は、各ブロック要素を固定するために脚鉄心の外周に例えばガラステープ等の絶縁テープが巻回されてワニス含侵される。
【0004】
しかしながら、上記構成の脚鉄心では、外周がブロック要素からなる段形状を有することから、絶縁テープが各ブロック要素のエッジにより破断されてしまうという問題がある。このため、各ブロック要素のエッジに絶縁テープ破断防止の対策(例えば保護部材を設ける等)が必要になってしまう。また、エッジよる破断を考慮して、絶縁テープ本来の強度で締め付けを行うことができないため、鉄心の剛性を向上させることが難しいという問題がある。
【0005】
また、脚鉄心外周とコイル内周の間に放熱空間を必要とし、スペーサを装着する必要があるところ、上記の通り、脚鉄心の外周が段形状を有することから、スペーサを安定して装着することが難しく、段形状に合った複数種類のスペーサを用いる必要がある。
【0006】
ここで、脚鉄心を構成する電磁鋼板として、種々の幅を有する電磁鋼板を用意することで、脚鉄心の外形を近似的に円形とすることも考えられるが、そうすると、用意する電磁鋼板の種類が膨大となってしまうだけでなく、その積層作業も煩雑になってしまうという問題がある。
【0007】
さらに、高電圧用途では、脚鉄心における各ブロック要素にエッジがあることで、電荷の集中が起こり、絶縁破壊に繋がる。これを防止するためには絶縁距離を確保しなければならず、必要以上に大きいスペーサを設置しなければならない。このため、コイルの外形寸法が大きくなってしまう。
【0008】
その上、従来の脚鉄心は概略円筒形状をなし、その中心に形成された貫通孔に固定ボルトが挿入されて、脚鉄心に継鉄心を締め付けることによって固定する構成である。このため、脚鉄心と継鉄心との締め付け力が、脚鉄心の径方向外側に行くに従って弱くなってしまい、脚鉄心と継鉄心との締め付けが不十分となり、騒音発生等の問題が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−92652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、積層鉄心を構成する電磁鋼板の種類をできるだけ少なくしながらも、積層鉄心の外形を近似的に円形状にすることができるとともに、その積層作業を容易にするだけでなく、当該積層鉄心と他の鉄心との締め付けを十分に行うことができるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本発明に係る積層鉄心は、概略矩形平板状をなす複数の電磁鋼板を、平面視における外形が概略円形状となるように積層して形成される積層鉄心であり、前記積層鉄心の中心から径方向に延びる少なくとも3つ以上の分割面によって分割された平面視における外形が概略扇形状をなす3つ以上の分割鉄心要素を備え、前記分割鉄心要素が、同一幅を有する複数の電磁鋼板からなる群を電磁鋼板群として、幅の異なる複数種類の電磁鋼板群が積層されることにより、平面視における外形が概略扇形状とされており、互いに隣接する分割鉄心要素の間それぞれに軸方向両端に開口する空間が形成されていることを特徴とする。
【0012】
このようなものであれば、積層鉄心を3つ以上の分割鉄心要素に分割し、当該分割鉄心要素が幅の異なる複数種類の電磁鋼板群を積層することによって概略扇形状として、これら3つ以上の分割鉄心要素を組み合わせるように構成しているので、積層鉄心を構成する電磁鋼板の種類をできるだけ少なくしながらも、積層鉄心を近似的に円形状とすることができ、絶縁テープの破断を防止するとともに、当該絶縁テープにより十分な締め付けを確保することができる。また、互いに隣接する分割鉄心要素の間それぞれに軸方向両端に開口する空間が形成されているので、当該空間に他の鉄心を締め付けるための固定軸部材を通すことによって、積層鉄心と他の鉄心とを複数の固定軸部材を用いて固定することができ、積層鉄心と他の鉄心との締め付けを当該接触面全体において均一且つ十分に行うことができる。
【0013】
互いに隣接する分割鉄心要素の間において、径方向中央部に最も大きい空間が形成されるものであることが望ましい。これならば、積層鉄心及び他の鉄心との締め付けを接触面全体で均一化することができる。
【0014】
前記各分割鉄心要素が略同一形状をなすものであることが望ましい。これならば、積層鉄心を構成する分割鉄心要素を共通化して、電磁鋼板の種類をより一層低減することができる。また、各分割鉄心要素を略同一形状とすることによって、積層鉄心をその中心に対して対称形状とすることができるので、固定軸部材が通される空間も中心に対して対称位置に形成されることになり積層鉄心と他の鉄心との締め付けを当該接触面全体においてより均一にすることができる。
【0015】
また本発明に係る静止誘導機器は、複数の脚鉄心と、当該複数の脚鉄心の上面同士及び下面同士を連結して閉磁路を形成する複数の継鉄心とを備えた静止誘導機器であって、前記脚鉄心が、概略矩形平板状をなす複数の電磁鋼板を、平面視における外形が概略円形状となるように、幅方向にずらして積層して形成される積層鉄心であり、前記積層鉄心の中心から径方向に延びる少なくとも3つ以上の分割面によって分割された平面視における外形が概略扇形状をなす3つ以上の分割鉄心要素を備え、前記分割鉄心要素が、同一幅を有する複数の電磁鋼板からなる群を電磁鋼板群として、当該電磁鋼板群を構成する電磁鋼板の幅が異なる複数種類の電磁鋼板群が積層されることにより、平面視における外形が概略扇形状とされており、互いに隣接する分割鉄心要素の間それぞれに形成された軸方向両端に開口する空間に、前記継鉄心を前記脚鉄心に固定するための固定軸部材が通されており、前記各脚鉄心と前記継鉄心とが複数の固定軸部材を介して固定されていることを特徴とする。
【0016】
このようなものであれば、脚鉄心を3つ以上の分割鉄心要素に分割し、当該分割鉄心要素が幅の異なる複数種類の電磁鋼板群を積層することによって概略扇形状として、これら3つ以上の分割鉄心要素を組み合わせるように構成しているので、脚鉄心を構成する電磁鋼板の種類をできるだけ少なくしながらも、脚鉄心を近似的に円形状とすることができ、絶縁テープの破断を防止するとともに、当該絶縁テープにより十分な締め付けを確保することができる。また、互いに隣接する分割鉄心要素の間それぞれに軸方向両端に開口する空間が形成されているので、当該空間に継鉄心を締め付けるための固定軸部材を通すことによって、脚鉄心と継鉄心とを複数の固定軸部材を用いて固定することができ、脚鉄心と脚鉄心との締め付けを当該接触面全体において均一且つ十分に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、積層鉄心を構成する電磁鋼板の種類をできるだけ少なくしながらも、積層鉄心の外形を近似的に円形状にすることができるとともに、その積層作業を容易にするだけでなく、当該積層鉄心と他の鉄心との締め付けを十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の静止誘導機器を示す図。
図2】同実施形態の脚鉄心の斜視図。
図3】同実施形態の脚鉄心の平面図。
図4】同実施形態の脚鉄心の分割鉄心要素の拡大平面図。
図5】同実施形態の隣接する分割鉄心要素及び電磁鋼板群を示す拡大図。
図6】同実施形態の脚鉄心の正面図。
図7】同実施形態の脚鉄心の背面図。
図8】同実施形態の脚鉄心の右側面図。
図9】同実施形態のA−A部分拡大図。
図10】同実施形態のB−B部分拡大図。
図11】同実施形態のC−C部分拡大図。
図12】変形実施形態の脚鉄心の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る積層鉄心を用いた静止誘導機器の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る静止誘導機器100は、例えば変圧器やリアクトルであり、図1に示すように、複数の脚鉄心2と、当該複数の脚鉄心2の上端面同士を連結する上部継鉄心3と、前記複数の脚鉄心2の下端面同士を連結する下部継鉄心4とを備えている。そして、脚鉄心2には、一次巻線5又は二次巻線6が適宜巻回されている。
【0021】
そして、脚鉄心2は、図2に示すように、概略矩形平板状をなす複数の電磁鋼板200を、平面視における外形が概略円形状となるように、幅方向にずらして積層して形成される積層鉄心である。なお、電磁鋼板200は、例えば表面に絶縁皮膜が施された方向性電磁鋼板(珪素鋼板)により形成されており、その板厚が例えば約0.3mmの長尺形状をなすものである。
【0022】
具体的に脚鉄心2は、図2図11に示すように、脚鉄心2の中心O(図3参照)から径方向に延びる少なくとも3つの分割面X1〜X3によって分割された平面視における外形が概略扇形状をなす3つの分割鉄心要素21a、21b、21cを備えている。
【0023】
各分割鉄心要素21a、21b、21cは、特に図3及び図4に示すように、平面視において同一形状をなすものであり、幅の異なる複数種類の電磁鋼板群211を積層することによって、平面視における外形が概略扇形状とされている。なお、本実施形態では、概略円形状をなす脚鉄心2を3分割して分割鉄心要素21a、21b、21cを形成しているので、各分割鉄心要素21a、21b、21cの扇形状の中心角度は、120度である。
【0024】
より詳細には、特に図4に示すように、各分割鉄心要素21a、21b、21cにおいて、中心部にある電磁鋼板群211が最も大きな幅を有する電磁鋼板群211であり、その両側に外側に行くに従って徐々に幅の小さい電磁鋼板群211が配置されることによって平面視における外形が概略扇形状となるように構成されている。なお、各分割鉄心要素21a、21b、21cは、中心にある電磁鋼板群211に対して左右対称形状となるように幅の小さい電磁鋼板群211が配置される。
【0025】
そして、この各分割鉄心要素21a、21b、21cの外側面は、概略円弧状となるように構成されている。つまり、各電磁鋼板群211を幅方向のずらすことによって、電磁鋼板群211を構成する電磁鋼板200の外側端部が同一円上に位置するように構成されている。このとき、各電磁鋼板群211を構成する電磁鋼板200の内側端部は同一円上に位置することになる。
【0026】
このように構成された3つの分割鉄心要素21a、21b、21cを組み合わせて、平面視における外形が概略円形状となる脚鉄心2が形成される。このとき、互いに隣接する分割鉄心要素(21a及び21b、21b及び21c、21c及び21a)の間には、軸方向両端に開口する軸方向に沿って延びる複数の空間Sが形成される。
【0027】
各空間Sは、図5に示すように、互いに隣接する分割鉄心要素それぞれにおいて、1つの電磁鋼板群Aを構成する電磁鋼板200の内側端面と、当該電磁鋼板群Aに隣接する幅の大きい電磁鋼板群Bにおいて、前記電磁鋼板群Aに接触する電磁鋼板200の側面とから形成される凹部21Mによって形成される。
【0028】
そして、互いに隣接する分割鉄心要素の間に形成された複数の空間Sのうち所定の1つが、脚鉄心2に継鉄心3、4を締め付けて固定するための固定軸部材7が挿入される挿入空間Saとされる。本実施形態では、この挿入空間Saは、互いに隣接する分割鉄心要素(21a及び21b、21b及び21c、21c及び21a)の間において、径方向中央部に形成されて、最も大きい空間Sである。このように所定の1つの空間Sを最も大きくするための構成としては、当該空間Sを電磁鋼板200の内側端面により形成する電磁鋼板群211の枚数を、他の電磁鋼板群211よりも多くすることによって挿入空間Saを大きくすることができる。
【0029】
次にこのように構成した脚鉄心2の製造方法について簡単に説明する。まず、幅の異なる複数種類の電磁鋼板200を多数準備する。そして、幅が同一の電磁鋼板200を所定枚数積層して電磁鋼板群211を構成する。このように準備した幅の異なる複数種類の電磁鋼板群211を積層した後、円弧形状を有する型に電磁極板群211の幅方向一端側を押し当てることにより、電磁極板群211の幅方向一端部が円弧状となり分割鉄心要素21a、21b、21cが形成される。このとき、分割鉄心要素21a、21b、21cを構成する電磁鋼板200を溶接等により一体化する。このように構成した分割鉄心要素21a、21b、21cを組み合わせることによって脚鉄心2が構成される。ここで、各分割鉄心要素21a、21b、21cを固定するために脚鉄心2の外周に絶縁テープ(例えばガラステープ)を巻回して、ワニス含侵する。
【0030】
そして、この脚鉄心2の上端面及び下端面に継鉄心3、4を接触させた後、継鉄心3、4に形成された固定用貫通孔及び脚鉄心2に形成された挿入空間Saに固定軸部材7を挿入するとともに、当該固定軸部材7の両端部に設けられた雄ねじ部にナット部材8を螺合させることによって、継鉄心3、4を脚鉄心2に締め付けて固定する(図1参照)。
【0031】
このように構成した本実施形態に係る静止誘導機器100によれば、脚鉄心2を3つの分割鉄心要素21a、21b、21cに分割し、当該分割鉄心要素21a、21b、21cが幅の異なる複数種類の電磁鋼板群211を積層することによって概略扇形状として、これら3つの分割鉄心要素21a、21b、21cを組み合わせるように構成しているので、脚鉄心2を構成する電磁鋼板200の種類をできるだけ少なくしながらも、脚鉄心2を近似的に円形状とすることができ、絶縁テープの破断を防止するとともに、当該絶縁テープにより十分な締め付けを確保することができる。また、互いに隣接する分割鉄心要素21a、21b、21cの間それぞれに軸方向両端に開口する空間Sが形成されているので、当該空間Sに継鉄心3、4を締め付けるための固定軸部材7を通すことによって、脚鉄心2と継鉄心3、4とを3本の固定軸部材7及びナット部材8を用いて固定することができるので、脚鉄心2と継鉄心3、4との締め付けを当該接触面全体において均一且つ十分に行うことができる。
【0032】
また、各分割鉄心要素21a、21b、21cが同一構成、同一形状をなすものであることから、部品点数を削減することができるとともに、積層作業を容易にすることができる。さらに分割鉄心要素21a、21b、21cが同一形状であることから、固定軸部材7を挿入する挿入空間Saが脚鉄心2の中心に対して対称位置に形成されることになり、脚鉄心2に継鉄心3、4を締め付け固定した場合に、脚鉄心2に対する継鉄心3、4の締め付け力を均一化することができる。
【0033】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0034】
例えば、前記実施形態では、脚鉄心2を3分割した場合について説明したが、4つ以上に分割したものであっても良い。図12に脚鉄心2を4等分割した場合について示す。このとき当該脚鉄心は、脚鉄心2の中心Oから径方向に延びる4つの分割面X1〜X4によって分割された平面視における外形が概略扇形状をなす4つの分割鉄心要素21a〜21dを有する。
【0035】
このように脚鉄心2を4分割することができるが、分割数を増やすほど部品点数が増えてしまうこと及び鉄心の占積率が低下してしまうことから、前記実施形態の3つが最も好ましい。なお、2分割した場合には、挿入空間Saが脚鉄心2の中心Oに対して対向した2箇所に形成されることから、当該2箇所により継鉄心3、4を締め付け固定した場合に、当該2箇所から90度回転した位置の締め付けが弱くなってしまう。
【0036】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
100・・・静止誘導機器
200・・・電磁鋼板
X1〜X3・・・分割面
2・・・脚鉄心(積層鉄心)
21a、21b、21c・・・分割鉄心要素
211・・・電磁鋼板群
S・・・空間
Sa・・・挿入空間
3、4・・・継鉄心
7・・・固定軸部材
8・・・ナット部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12