(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の着せ替え人形では、人形に衣装を着せるにはある程度の手先の器用さが必要となり、年齢の低い幼児が遊ぶには困難が生じる場合があった。なお、引用文献1記載の着せ替え人形は、衣装を脱がせることは容易であるものの、衣装を着せることまで容易とするものではなく、年齢の低い幼児が遊ぶには困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、年齢の低い幼児であっても人形本体に衣服部品を容易に着脱することができる玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の玩具は、頭部と胴体部とを備えた人形本体と、前記人形本体を着脱自在な衣服部品と、を備えた玩具であって、前記衣服部品は、外殻部材と、前記外殻部材から突出可能な腕部材と、前記外殻部材から突出可能な脚部材と、を備え、前記脚部材および前記腕部材は、付勢部材によって反突出方向に付勢されて前記外殻部材の内部に格納されており、前記衣服部品の上部に形成された挿入孔から前記人形本体の胴体部を差し込むことで、前記付勢部材の付勢力に抗して前記腕部材および前記脚部材が前記衣服部品の外部に突出することを特徴とする。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、前記人形本体は、ラックギアを備え、前記衣服部品は、前記脚部材に回転可能に軸支されるピニオンギアと、前記外殻部材に形成されたラックギア部と、を備えるとともに、前記ピニオンギアと前記ラックギア部とは噛合しており、前記衣服部品の挿入孔から前記人形本体の胴体部を差し込んだときに、前記ラックギアが前記ピニオンギアを回転させ、この前記ピニオンギアの回転力が前記ラックギア部に伝達され、前記外殻部材と前記脚部材とが相対的に移動することを特徴とする。
【0012】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記人形本体の前記胴体部は、前記頭部に対して進退可能に形成されるとともに、胴体付勢手段によって前記頭部から突出する方向に付勢されており、前記胴体付勢手段の付勢力に抗して前記胴体部を前記頭部へ押し込んだときに、前記胴体部の内部に格納された前記ラックギアが
前記胴体部の外部へ突出することを特徴とする。
【0014】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項2又は3記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記外殻部材には、前記腕部材と係合可能な揺動部材が揺動可能に支持されており、前記外殻部材と前記脚部材とが相対的に移動したときに、前記脚部材が前記揺動部材を揺動させ、揺動した前記揺動部材が前記腕部材を外方に突出させることを特徴とする。
【0016】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項2〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、前記ラックギアの先端に係合部を設けるとともに、前記脚部材の内側に被係合部を設け、前記係合部が前記被係合部に係合することで、前記人形本体が前記衣服部品に装着された状態を維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、頭部と胴体部とを備えた人形本体と、前記人形本体を着脱自在な衣服部品と、を備え、前記衣服部品の上部に形成された挿入孔から前記人形本体の胴体部を差し込むことで、付勢部材の付勢力に抗して腕部材および脚部材が前記衣服部品の外部に突出するため、年齢の低い幼児であってもワンタッチで容易に衣服の着脱をすることができる。また、人形本体の挿抜に合わせて腕部材および脚部材が衣服部品の内外に出没するため、人形が衣服を着たり脱いだりする様子を新規な印象で表現することができる。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記衣服部品の挿入孔から前記人形本体の胴体部を差し込んだときに、人形本体のラックギアが脚部材のピニオンギアを回転させ、このピニオンギアの回転力が外殻部材のラックギア部に伝達され、外殻部材と脚部材とが相対的に移動する。このため、人形本体の挿入によって外殻部材が脚部材に対してせり上がるように形成することができ、接地した衣服部品の上から人形本体を挿入した場合でも、外殻部材が脚部材に対してせり上がることで脚部材を衣服部品の外部に突出させることができる。例えば、地面に置いた衣服部品に対して、幼児が片手で持った人形本体を挿入して上から押し付けるような操作をした場合でも、人形本体を衣服部品に装着することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記人形本体の胴体部を頭部へ押し込んだときに、胴体部の内部に格納されたラックギアが
前記胴体部の外部へ突出するようになっている。このため、衣服部品に取り付けていない状態では人形本体のラックギアが露出しないようにすることができ、ラックギアが露出することによって外観が不自然になるといった問題がない。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記外殻部材と前記脚部材とが相対的に移動したときに、前記脚部材が揺動部材を揺動させ、揺動した前記揺動部材が前記腕部材を外方に突出させるため、脚部材の動きに連動させて腕部材を作動させることができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記ラックギアの先端に係合部を設けるとともに、前記脚部材の内側に被係合部を設け、前記係合部が前記被係合部に係合することで、前記人形本体が前記衣服部品に装着された状態を維持するので、ラックギアが所定の位置まで挿し込まれた状態(すなわち外殻部材と脚部材とが所定の位置まで相対的に移動した状態)で固定することができる。また、このように固定した人形本体と衣服部品とを分離する際には、脚部材を外殻部材の方向に押し込むことで係合部と被係合部との係合を解除すればよく、容易に人形本体と衣服部品とを分離することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、
図1〜6を参照しながら説明する。
【0025】
本実施形態に係る玩具10は、人形本体11と、この人形本体11を着脱自在な衣服部品40と、を備えている。
【0026】
人形本体11は、
図1に示すように、略球状の頭部12と、この頭部12の下部に連続する略四角柱状の胴体部20とを備えている。
【0027】
頭部12は、
図4に示すように、前頭部13と後頭部14とが前後に接合して構成されており、胴体部20の上端部を挟み込むことで胴体部20と一体的に結合されている。
【0028】
胴体部20は、
図4に示すように、前胴部21と後胴部22とが前後に接合して構成されている。この胴体部20は、平面視で頭部12に隠れる大きさとなっており、言い換えると、衣服部品40への挿入方向に投影したときに胴体部20の投影領域が頭部12の投影領域内に収まるようになっている。
【0029】
胴体部20の内部には、係合部材25が格納されており、この係合部材25の端部が胴体部20の側部から突出して係合部25aを形成している。この係合部材25は、前胴部21と後胴部22とに挟みこんで保持されることで、胴体部20の内部に固定されている。
【0030】
一方、衣服部品40は、
図2に示すように、外殻部材41と、この外殻部材41から突出可能な腕部材50及び脚部材60と、を備えている。
【0031】
外殻部材41は、衣服の形状を模した部材であり、本実施形態では袖のあるワンピースの形状となっている。この外殻部材41は、
図4に示すように、前殻部材42と後殻部材43とが前後に接合して構成されたものであり、上部には上部開口41aが開口し、下部には下部開口41bが開口している。この上部開口41aと下部開口41bとは上下に連続しており、衣服部品40を上下に貫通する挿入孔40aを形成している。また、外殻部材41の両側部には、側部開口41cが開口している。この側部開口41cは、外殻部材41において、衣服の袖の先端部分に当たる位置に開口している。
【0032】
なお、上部開口41aの大きさは、人形本体11の胴体部20が通過できる程度に大きく、人形本体11の頭部12が通過できない程度に小さく設定されている。
【0033】
また、下部開口41bの大きさは、後述する脚部材60の脚部61が通過できる程度に大きく、脚部材60の支持板部63が通過できない程度に小さく設定されている。
【0034】
また、側部開口41cの大きさは、腕部材50の先端が通過できる程度の大きさに設定されている。
【0035】
腕部材50は、
図4に示すように、左右に2つ(右腕部材51及び左腕部材52)設けられており、外殻部材41の内部(衣服の袖の内側に当たる位置)に形成されたガイド溝41dに摺動可能に格納される。この腕部材50の基部付近には軸孔50aが設けられている。この軸孔50aは支持軸55を保持するためのものである。軸孔50aに支持された支持軸55は、後述する脚部材60のガイド孔62aを貫通し、ガイド孔62aに沿って摺動可能となっている。
【0036】
脚部材60は、
図4に示すように、人形の脚を模した脚部61と、脚部61の上端に一体的に設けられた支持板部63と、支持板部63の上方に立設する腕支持部62と、を備えている。この脚部材60は、挿入孔40aの内周面に沿って上下に摺動可能となっている。
【0037】
脚部61は、平面視で支持板部63に隠れる大きさとなっており、言い換えると、人形本体11の挿入方向に投影したときに脚部61の投影領域が支持板部63の投影領域内に収まるようになっている。
【0038】
支持板部63の上面は、人形本体11の挿入方向に対して垂直な接面60aを形成している。また、接面60aの裏面の両側部にはバネ受部60hが形成されている。このバネ受部60hは、付勢部材としての圧縮バネ67の付勢力を受けるための部位である。なお、この圧縮バネ67は、一端がバネ受部60hに固定されるとともに、他端は外殻部材41に固定される。これにより、脚部材60は、外殻部材41に対して反突出方向(上方向)に常時付勢されている。
【0039】
腕支持部62は、支持板部63上に立設する棒状部であり、先端にガイド孔62aを備えている。ガイド孔62aは人形本体11の挿入方向に対して斜めに形成された長孔であり、上述した支持軸55を貫通させて摺動可能となっている。
【0040】
上記した衣服部品40の脚部材60および腕部材50は、人形本体11が取り付けられる前においては、
図2及び
図3(a)に示すように圧縮バネ67によって反突出方向に付勢されて外殻部材41の内部に格納されている。
【0041】
詳しくは、圧縮バネ67が脚部材60のバネ受部60hを上方に付勢することで、脚部材60が外殻部材41の内部に格納される方向に押し上げられている。このとき、脚部材60が押し上げられていることでガイド孔62aを貫通する支持軸55も押し上げられており、支持軸55を保持する腕部材50も上方に押し上げられている。これにより、腕部材50も外殻部材41の内部に格納される方向に押し上げられている。
【0042】
一方、衣服部品40の上部に開口する挿入孔40aから人形本体11の胴体部20を差し込むと、
図3(b)に示すように、圧縮バネ67の付勢力に抗して腕部材50および脚部材60が衣服部品40の外部に突出する。
【0043】
詳しくは、
図5及び
図6に示すように、人形本体11が衣服部品40に挿入されることで、人形本体11の胴体部20の底面が脚部材60の接面60aを押し下げる。これにより、脚部材60の脚部61が外殻部材41の下部開口41bから突出する。また、脚部材60が下方に移動することにより、ガイド孔62aを貫通する支持軸55も押し下げられ、支持軸55を保持する腕部材50も下方に押し下げられる。これにより、腕部材50の先端が外殻部材41の側部開口41cから外部に突出する。
【0044】
なお、腕部材50は外殻部材41の内部に形成されたガイド溝41dに沿って斜めに摺動するため、脚部材60の移動距離と腕部材50の移動距離との間に差異が生じるが、ガイド孔62aが斜めに形成されていることでこの差異を吸収できるようになっている。
【0045】
ここで、
図6に示すように、挿入孔40aの内側には被係合部41hが切欠き形成されており、この被係合部41hに人形本体11の係合部25aが係合することで、人形本体11が衣服部品40に装着された状態を維持できるようになっている。具体的には、人形本体11の胴体部20が完全に挿入孔40aの内部に挿入されたときに、係合部25aと被係合部41hとが係合し、人形本体11が衣服部品40から抜け落ちないようになっている。このため、人形本体11を衣服部品40に挿入した後に手を離しても、人形本体11と衣服部品40とが結合した状態を維持できるようになっている。
【0046】
なお、人形本体11と衣服部品40とを分離したい場合には、外殻部材41から突出している脚部61を軽く押し込めばよい。これにより、係合部25aと被係合部41hとの係合が解除され、圧縮バネ67の付勢力によって人形本体11が押し出されるとともに、腕部材50及び脚部材60が外殻部材41の内部へと格納される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、頭部12と胴体部20とを備えた人形本体11と、人形本体11を着脱自在な衣服部品40と、を備え、衣服部品40の上部に形成された挿入孔40aから人形本体11の胴体部20を差し込むことで、圧縮バネ67の付勢力に抗して腕部材50および脚部材60が衣服部品40の外部に突出するため、年齢の低い幼児であってもワンタッチで容易に衣服の着脱をすることができる。また、人形本体11の挿抜に合わせて腕部材50および脚部材60が衣服部品40の内外に出没するため、人形が衣服を着たり脱いだりする様子を新規な印象で表現することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、
図7〜18を参照しながら説明する。
【0049】
本実施形態に係る玩具10は、人形本体11と、この人形本体11を着脱自在な衣服部品40と、を備えている。
【0050】
人形本体11は、
図7に示すように、略球状の頭部12と、この頭部12の下部に連続する略四角柱状の胴体部20と、頭部12及び胴体部20の内部に格納されたラックギア30と、を備えている。
【0051】
頭部12は、
図10に示すように、前頭部13と後頭部14とを前後に接合し、接合した前頭部13及び後頭部14の上から頭髪部15を被せるようにして固定したものである。
【0052】
この頭部12は、ラックギア30の上端部を挟み込むことでラックギア30を保持している。詳しくは、頭部12の内部には固定突起12bが突出形成されており、この固定突起12bが、ラックギア30の上端部に貫通形成された固定孔30bを貫通することで、ラックギア30を保持している。また、この固定突起12b付近にはバネ受部12aが形成されており、バネを用いた胴体付勢手段35の上端を固定できるようになっている。
【0053】
前頭部13及び後頭部14の内部は中空となっており、空洞部12cを形成している。この空洞部12cは、後述するように胴体部20が頭部12に対して進退するためのスペースとして使用される。
【0054】
胴体部20は、
図10に示すように、前胴部21と後胴部22とが前後に接合して構成されている。この胴体部20は、平面視で頭部12に隠れる大きさとなっており、言い換えると、衣服部品40への挿入方向に投影したときに胴体部20の投影領域が頭部12の投影領域内に収まるようになっている。
【0055】
胴体部20の内部には、ラック挿通路20dが形成されている。このラック挿通路20dには、頭部12に固定されたラックギア30が貫通している。この胴体部20は、頭部12に進退可能に保持されており、ラック挿通路20dを貫通するラックギア30によって進退動作をガイドされている。
【0056】
胴体部20の上部には、バネ受部20bが設けられており、このバネ受部20bには胴体付勢手段35の下端が固定される。これにより、胴体部20は、胴体付勢手段35によって頭部12から突出する方向(下方向)に常時付勢されることとなる。これにより、衣服部品40に装着されていないときには、胴体部20が下方に突出することで、ラックギア30が完全に胴体部20の内部に収容された状態となっている。
【0057】
なお、胴体付勢手段35の付勢力に抗して胴体部20を頭部12の空洞部12cへ押し込むと、胴体部20が上方に摺動することで、胴体部20の内部に格納されたラックギア30が露出する。すなわち、胴体部20の下部にはラックギア30を外部に露出させるためのラック孔20cが開口しており、胴体部20を摺動させることでラックギア30がラック孔20cから外部に突出するように形成されている。
【0058】
ラックギア30は、下部側面にラック歯30cを備えた部材であり、上記したように、上端の固定孔30bを介して頭部12に固定される。このラックギア30の下端部付近には、わずかな段差によって係合部30aが設けられており、後述する被係合部60gと係合可能となっている。
【0059】
一方、衣服部品40は、
図8及び
図10に示すように、外殻部材41と、この外殻部材41から突出可能な腕部材50及び脚部材60と、腕部材50と係合可能な揺動部材70と、を備えている。
【0060】
外殻部材41は、衣服の形状を模した部材であり、本実施形態では袖のあるワンピースの形状となっている。この外殻部材41は、
図10に示すように、前殻部材42と後殻部材43とが前後に接合して構成されたものであり、上部には上部開口41aが開口し、下部には下部開口41bが開口している。この上部開口41aと下部開口41bとは上下に連続しており、衣服部品40を上下に貫通する挿入孔40aを形成している。そして、この挿入孔40aの内周面の一部には、挿入方向に沿って鋸状のラックギア部41eが形成されている。また、外殻部材41の両側部には、側部開口41cが開口している。この側部開口41cは、外殻部材41の側部に縦長のスリット状に開口している。
【0061】
なお、上部開口41aの大きさは、人形本体11の胴体部20が通過できる程度に大きく、人形本体11の頭部12が通過できない程度に小さく設定されている。
【0062】
また、下部開口41bの大きさは、後述する脚部材60の先端が通過できる程度の大きさに設定されている。
【0063】
また、側部開口41cの大きさは、腕部材50の先端が通過できる程度の大きさに設定されている。
【0064】
腕部材50は、
図10に示すように、左右に2つ(右腕部材51及び左腕部材52)設けられており、外殻部材41の内部(衣服の袖の内側に当たる位置)に揺動可能に軸支されている。この腕部材50の基部付近には軸孔50aが設けられている。この軸孔50aは支持軸55を貫通させるためのものである。軸孔50aを貫通する支持軸55は、外殻部材41に設けられた腕支持孔41gに保持され、これにより、腕部材50は支持軸55を中心に揺動可能となっている。
【0065】
この2つの腕部材50は、外側に揺動することで、外殻部材41の側部開口41cから外部に突出可能である。しかしながら、この2つの腕部材50は、それぞれ付勢部材としての捩りコイルバネ68によって反突出方向(内側)に付勢されており、人形本体11が取り付けられる前においては、
図8及び
図9(a)に示すように外殻部材41の内部に格納されている。
【0066】
脚部材60は、人形の脚を模した部材であり、
図10に示すように、前脚部材75と後脚部材76とが前後に接合して構成されている。この脚部材60は、挿入孔40aの内周面に沿って上下に摺動可能となっている。
【0067】
脚部材60の上端面は、人形本体11の挿入方向に対して垂直な接面60aを形成しており、この接面60aの中央付近にはラック挿入口60bが開口している。ラック挿入口60bの奥には、ラックギア30が上下に挿通可能なラック通路60cが形成されている。ラック通路60cの側部には、ピニオンギア65を軸支するためのピニオン軸孔60dが穿設されている。ピニオン軸孔60dにはピニオン軸66が固定され、このピニオン軸66でピニオンギア65が回転可能に支持される。ピニオン軸66で支持されたピニオンギア65は、ラック通路60cの側面に切欠き形成されたピニオン露出口60eを介して、ラック通路60cに臨むようになっている。また、このピニオンギア65は、ラック通路60cとは逆側において外殻部材41に形成されたラックギア部41eと噛合している。これにより、ラック通路60cにラックギア30が挿通されたときに、ラックギア30のラック歯30cがピニオンギア65と噛合してピニオンギア65を回転させ、このピニオンギア65の回転力が外殻部材41に形成されたラックギア部41eに伝達されるようになっている。
【0068】
なお、ラック通路60cの内側面には、被係合部60gが形成されている。この被係合部60gは、上述したラックギア30の係合部30aと係合させるための突出部である。
【0069】
また、脚部材60の外側面には、係合突起60fが突出形成されている。この係合突起60fは、後述する揺動部材70を揺動させるための突起である。
【0070】
この脚部材60は、下方向に摺動することで、外殻部材41の下部開口41bから外部に突出可能である。しかしながら、この脚部材60は、付勢部材としての圧縮バネ67によって付勢されており、人形本体11が取り付けられる前においては、
図8及び
図9(a)に示すように圧縮バネ67によって反突出方向(上方向)に付勢されて外殻部材41の内部に格納されている。
【0071】
揺動部材70は、
図10に示すように、2つの腕部材50に対応するように左右に2つ設けられており、外殻部材41の内部に揺動可能に軸支されている。この揺動部材70は、中央の揺動軸70aを挟んで、内側突出部70bと外側突出部70cとが設けられた略L字形の部材である。揺動軸70aは、外殻部材41に設けられた揺動軸孔41fに回動可能に保持され、これにより、揺動軸70aは揺動軸70aを中心に揺動可能となっている。
【0072】
なお、内側突出部70bは、上述した脚部材60の係合突起60fと係合可能な位置に配置され、外側突出部70cは、腕部材50の先端付近と接触可能な位置に配置されている。
【0073】
ところで、上記したように、衣服部品40の脚部材60および腕部材50は、人形本体11が取り付けられる前においては、
図8及び
図9(a)に示すように圧縮バネ67及び捩りコイルバネ68によって反突出方向に付勢されて外殻部材41の内部に格納されている。
【0074】
この状態において、衣服部品40の上部に開口する挿入孔40aから人形本体11の胴体部20を差し込むと、
図9(b)に示すように、圧縮バネ67及び捩りコイルバネ68の付勢力に抗して腕部材50および脚部材60が衣服部品40の外部に突出する。以下、この作動について詳述する。
【0075】
図11〜13は、脚部材60の突出に係る内部機構を説明する図である。
【0076】
人形本体11を衣装部品40に取り付ける前においては、
図11に示すように、圧縮バネ67が脚部材60を押し上げている。
【0077】
この状態で人形本体11の胴体部20を差し込むと、
図12に示すように、脚部材60の接面60aと胴体部20の底部20aとが接触し、胴体部20が頭部12の内方へと押し込まれる。これにより、胴体部20の内部に格納されたラックギア30が露出する。ラックギア30は人形本体11の頭部12に固定されているため、胴体部20の動きとは無関係に下方へと押し込まれ、脚部材60のラック挿入口60bを通ってラック通路60cに挿通される。
【0078】
このようにラックギア30が挿通されるに従い、ラックギア30のラック歯30cがラック通路60cに臨むピニオンギア65を回転させ、このピニオンギア65の回転力は外殻部材41のラックギア部41eに伝達される。ピニオンギア65の回転力がラックギア部41eに伝達されると、外殻部材41は脚部材60に対して相対的に持ち上がる方向に移動する。
【0079】
そして、人形本体11の胴体部20が完全に挿入孔40aの内部に挿入されると、
図13に示すように、人形としてバランス良く脚部材60が外殻部材41から突出した状態となる。
【0080】
次に、
図14〜16は、腕部材50の突出に係る内部機構を説明する図である。
【0081】
人形本体11を衣装部品40に取り付ける前においては、
図14に示すように、捩りコイルバネ68が腕部材50を内側に付勢している。
【0082】
この状態で人形本体11の胴体部20を差し込むと、上述したように、ピニオンギア65の回転力がラックギア部41eに伝達されることで外殻部材41が脚部材60に対して相対的に持ち上がる方向に移動する。これにより、
図15に示すように、脚部材60の側部に設けられた係合突起60fが、外殻部材41から見て下方に移動する。
【0083】
更に外殻部材41が脚部材60に対して相対的に持ち上がる方向に移動すると、
図16に示すように、係合突起60fが揺動部材70の内側突出部70bを押し下げ、揺動部材70を揺動させる。揺動部材70が揺動することで、揺動部材70の外側突出部70cが腕部材50を外側に押し出す。これにより、外側突出部70cに押し出された腕部材50が捩りコイルバネ68の付勢力に抗して揺動し、外殻部材41の側部開口41cから外部に突出する。
【0084】
図17及び
図18は、係合部30aと被係合部60gとの係合に係る内部機構を説明する図である。
【0085】
この
図17及び
図18が示すように、ラック通路60cの内側に形成された被係合部60gにラックギア30の係合部30aが係合することで、人形本体11が衣服部品40に装着された状態を維持できるようになっている。具体的には、人形本体11の胴体部20が完全に挿入孔40aの内部に挿入されたときに、係合部30aと被係合部60gとが係合し、人形本体11が衣服部品40から抜け落ちないようになっている。このため、人形本体11を衣服部品40に挿入した後に手を離しても、人形本体11と衣服部品40とが結合した状態を維持できるようになっている。
【0086】
なお、人形本体11と衣服部品40とを分離したい場合には、外殻部材41から突出している脚部61を軽く押し込めばよい。これにより、係合部30aと被係合部60gとの係合が解除され、圧縮バネ67の付勢力によって人形本体11が押し出されるとともに、脚部材60が外殻部材41の内部へと格納され、捩りコイルバネ68の付勢力によって腕部材50が外殻部材41の内部へと格納される。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、頭部12と胴体部20とを備えた人形本体11と、人形本体11を着脱自在な衣服部品40と、を備え、衣服部品40の上部に形成された挿入孔40aから人形本体11の胴体部20を差し込むことで、圧縮バネ67及び捩りコイルバネ68の付勢力に抗して腕部材50および脚部材60が衣服部品40の外部に突出するため、年齢の低い幼児であってもワンタッチで容易に衣服の着脱をすることができる。また、人形本体11の挿抜に合わせて腕部材50および脚部材60が衣服部品40の内外に出没するため、人形が衣服を着たり脱いだりする様子を新規な印象で表現することができる。
【0088】
また、衣服部品40の挿入孔40aから人形本体11の胴体部20を差し込んだときに、人形本体11のラックギア30が脚部材60のピニオンギア65を回転させ、このピニオンギア65の回転力が外殻部材41のラックギア部41eに伝達され、外殻部材41と脚部材60とが相対的に移動する。このため、人形本体11の挿入によって外殻部材41が脚部材60に対してせり上がるように形成することができ、接地した衣服部品40の上から人形本体11を挿入した場合でも、外殻部材41が脚部材60に対してせり上がることで脚部材60を衣服部品40の外部に突出させることができる。例えば、地面に置いた衣服部品40に対して、幼児が片手で持った人形本体11を挿入して上から押し付けるような操作をした場合でも、人形本体11を衣服部品40に装着することができる。
【0089】
また、人形本体11の胴体部20を頭部12へ押し込んだときに、胴体部20の内部に格納されたラックギア30が露出するようになっている。このため、衣服部品40に取り付けていない状態では人形本体11のラックギア30が露出しないようにすることができ、ラックギア30が露出することによって外観が不自然になるといった問題がない。
【0090】
また、外殻部材41と脚部材60とが相対的に移動したときに、脚部材60が揺動部材70を揺動させ、揺動した揺動部材70が腕部材50を外方に突出させるため、脚部材60の動きに連動させて腕部材50を作動させることができる。
【0091】
また、ラックギア30の先端に係合部30aを設けるとともに、脚部材60の内側に被係合部60gを設け、係合部30が被係合部60gに係合することで、人形本体11が衣服部品40に装着された状態を維持するので、ラックギア30が所定の位置まで挿し込まれた状態(すなわち外殻部材41と脚部材60とが所定の位置まで相対的に移動した状態)で固定することができる。また、このように固定した人形本体11と衣服部品40とを分離する際には、脚部材60を外殻部材41の方向に押し込むことで係合部30と被係合部60gとの係合を解除すればよく、容易に人形本体11と衣服部品40とを分離することができる。