特許第6077223号(P6077223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077223
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】排水膜濾過装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20170130BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   C02F1/44 A
   B01D65/02 520
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-113233(P2012-113233)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-237029(P2013-237029A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】500312894
【氏名又は名称】サンスイエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】亀田 英世
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−028463(JP,A)
【文献】 特開2010−125367(JP,A)
【文献】 特開2006−255707(JP,A)
【文献】 特開2009−142751(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0006003(US,A1)
【文献】 特開2009−066469(JP,A)
【文献】 特開2003−225541(JP,A)
【文献】 特表2007−534481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 65/02
C02F 3/00
C02F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水中の懸濁物質を濾過膜によって濾過するための装置であって、
濾過対象の排水を貯留する濾過槽と、
前記濾過槽内に設置されて、多数の多孔質の濾過膜によって前記排水を濾過する濾過膜モジュールと、
前記濾過槽内に設置されて、前記濾過膜モジュールの濾過膜の濾過表面を洗浄するための空気を供給するディフューザと、
を備え、
前記ディフューザが、外部からの空気の導入空間を形成するディフューザ本体と、このディフューザ本体の鉛直方向下方を向く平面上に突設されて、前記導入空間に導入された空気を前記濾過槽内に噴出する円筒形状のノズルとを有しており、
前記ノズルの空気を噴出する噴出口が下方を向くように、前記濾過槽内に設置されており、かつ、隣接する前記濾過膜モジュール間に配置されており、
前記濾過膜モジュールの濾過膜は、その最下端の鉛直方向位置が、前記ノズルの噴出口と前記ディフューザ本体の鉛直方向下方を向く平面との間となるように配置されている、排水膜濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場排水のような懸濁物質を含む排水の処理に使用される、濾過膜を用いた排水膜濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場排水のような懸濁物質を含む排水を浄化するための排水処理設備において、曝気槽の下流に、濾過膜を利用する膜濾過槽を設置して、曝気槽で発生した汚泥を濾過することが行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような濾過膜モジュールを用いた排水膜濾過装置では、濾過膜の目詰まりによって排水処理能力が低下するのを防ぐために、膜濾過槽内に濾過膜洗浄用の空気を供給するディフューザを設置して、濾過膜モジュールの下方から空気を供給することにより、濾過膜の表面の洗浄が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−094086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、膜濾過槽の下方に配置されるディフューザに、上向きに設けられた空気の噴出口には、排水に含まれる汚泥が付着し易く、汚泥塊として成長した場合には噴出口を詰まらせる。その結果、空気による濾過膜の洗浄が妨害されて、濾過膜にも目詰まりが発生し、継続して排水処理を行うことが困難になるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、濾過膜の洗浄用空気を供給するディフューザの噴出口が詰まることを防止することにより、安定的に排水処理を継続することが可能な排水膜濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明に係る排水膜濾過装置は、排水中の懸濁物質を濾過膜によって濾過するための装置であって、濾過対象の排水を貯留する濾過槽と、前記濾過槽内に設置されて、多数の多孔質の濾過膜によって前記排水を濾過する濾過膜モジュールと、前記濾過槽内の、前記濾過膜モジュールよりも下方に設置されて、前記濾過膜モジュールの濾過膜の濾過表面を洗浄する空気を供給するディフューザとを備え、前記ディフューザが、外部からの空気の導入空間を形成するディフューザ本体と、このディフューザ本体に突設されて、前記導入空間に導入された空気を前記濾過槽内に噴出する円筒形状のノズルとを有している。
【0008】
この構成によれば、濾過膜洗浄用の空気が、ディフューザ本体から直接ではなく、ディフューザ本体に突設されたノズルを介して濾過槽内に噴出されるので、ノズルの噴出口に汚泥が付着しても、ノズル内の狭い通路を通過してきた空気の圧力により、汚泥が容易に除去することができる。したがって、ディフューザの噴出口の詰まりが効果的に防止され、排水膜濾過装置を安定的に継続運転することができる。
【0009】
本発明の一実施形態に係る排水膜濾過装置において、前記ディフューザが、前記ノズルの空気を噴出する噴出口が下方を向くように、前記濾過槽内に設置されていることが好ましい。この構成によれば、ノズルの噴出口が下方を向いているため、噴出口に汚泥が堆積することが抑制され、一層効果的にディフューザの噴出口の詰まりが防止される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る排水膜濾過装置において、前記ディフューザが、隣接する前記濾過膜モジュール間に配置されており、前記ノズルが、前記ディフューザ本体の下方を向く平面上に突設されていることが好ましい。この構成によれば、ノズルから噴出された洗浄用空気が濾過槽内を上昇するときに、ディフューザ本体の下方を向く平面が空気を偏向させる偏向板として機能し、空気が効率的に濾過膜モジュールの濾過膜の表面に接触しながら上昇するので、濾過膜の洗浄を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係る排水膜濾過装置によれば、濾過膜の洗浄用空気を供給するディフューザの噴出口が詰まることが防止され、安定的に排水処理を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る排水膜濾過装置の構成を示す概略図であり、(a)が側面図、(b)が正面図である。
図2図1の排水膜濾過装置適用される排水処理設備の一例を示すブロック図である。
図3図1の排水膜濾過装置の濾過槽の構造を示す斜視図である。
図4図3の濾過槽の要部を示す平面図である。
図5図1の排水膜濾過装置の内部の構造を示す正面図である。
図6図1の排水膜濾過装置の内部の構造を示す側面図である。
図7図1の排水膜濾過装置のディフューザの取付構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る排水膜濾過装置1の構成を示す概略図である。この排水膜濾過装置1は、主に工場から排出される排水Wを浄化処理する排水処理設備で使用され、排水W中の汚泥のような懸濁物質を濾過膜によって濾過する装置であり、例えば、図2に示すように、この排水膜濾過装置1の上流側に配置された曝気槽3で処理された排水Wを濾過し、この濾過された処理水Fを下流側に配置された処理水槽5へ排出する。
【0015】
図1に示すように、排水膜濾過装置1は、濾過対象の排水Wを貯留する濾過槽11と、濾過槽11内に設置されて排水Wを濾過する複数の濾過膜モジュール13とを備えている。濾過槽11の後方(図1(a)の右側)の下方には、曝気槽3(図2)からの排水Wを濾過槽11内に導入する導入管15が接続されている。導入管15は、濾過槽11内の底部で、濾過槽11の長手方向に直交する幅方向Yに延設されており、導入された排水Wを後方底部の壁面に向けて噴射する噴射口を有している。
【0016】
また、濾過槽11の一側面(図1(a)の例では手前側)には、濾過膜モジュール13で濾過された処理水Fを濾過槽11の外方へ導出する複数の導出管17と、この導出管17を介して導出された処理水Fを集水する集水ヘッダ19と、集水ヘッダ19に集められた処理水Fを処理水槽5(図2)へ排出する排出管21とが設けられている。濾過槽11の前面の上方には、未処理の排水Wを曝気槽3へ返送する返送管23が接続されている。さらに、濾過槽11の、前方(図1(a)の左側)、つまり前記導入管15が接続されている側と反対側の下方には、排水膜濾過装置1を停止して濾過槽11内の洗浄を行うときに濾過槽11内の排水を外部へ排出する排水管24が接続されている。
【0017】
濾過槽11の後面、つまり返送管23が接続されている面の反対側の面には、開閉扉25が設けられている。つまり、濾過槽11の本体27の後面は開口部27aとして形成されており、図3に示すように、この開口部27aが開閉扉25によって開閉可能に覆われている。開閉扉25は、ヒンジ機構29を介して、濾過槽本体27に回動可能に連結されている。
【0018】
開閉扉25と濾過槽本体27との間の密閉性を確保するために、濾過槽本体27の開口部27aの周縁の枠部27bには、弾性材料からなるシール部材31が取り付けられている。さらに、濾過槽本体27の枠部27bには複数のボルト孔33が設けられており、開閉扉25の、ボルト孔33に対応する各部分にはボルト挿通孔35が設けられている。開閉扉25を閉じた状態で、図4に示すように、ボルト37を外側から開閉扉25のボルト挿通孔35に挿通し、濾過槽本体27のボルト孔33に螺合させることにより、開閉扉25を濾過槽本体27に密着させた状態で、開口部27aを塞ぐことができる。
【0019】
また、開閉扉25と濾過槽本体27との間の密閉性を一層高めるために、ヒンジ機構29は、回動可能であるのみならず、開閉扉25を閉じた状態で、開閉扉25を濾過槽本体27に対して濾過槽11の長手方向Xに平行に位置調整することが可能な構造を有している。具体的には、ヒンジ機構29は、開閉扉25の連結部25aに取り付けられた回動軸39と、濾過槽本体27の連結部分に設けられた、回動軸39を回転可能に支持する回動支持部材41とで構成されており、回動支持部材41の回動軸39を挿通させる挿通孔41aが、濾過槽11の長手方向Xに延びる長孔として形成されている。
【0020】
図5に示す濾過膜モジュール13は、濾過膜として中空糸膜51を使用している。具体的には、濾過膜モジュール13は、多数の中空糸膜51を結束して形成した中空糸膜束53を、幅方向Yに直線状に並べたものである。本実施形態で使用する濾過膜モジュール13は、外圧クロスフロー式、すなわち、排水Wを各中空糸膜51の外側から内側へ通過させて、中空糸膜51の外表面で排水を濾過する構成としている。
【0021】
中空糸膜51は、閉塞端51aと開口端51bを有しており、多数の中空糸膜51のこれら両端51a、51bがそれぞれ結束されて中空糸膜束53が形成される。中空糸膜束53の閉塞端51a側が、濾過槽11内の鉛直方向Zのほぼ中央に配置された円筒状の支持固定管55に接続、かつ固定され、開口端51b側が、濾過槽11内の鉛直方向Zの下方に配置された円筒状の集水固定管57に接続、かつ固定されている。複数の中空糸膜束53が、両固定管55,57の軸心方向、つまり濾過槽11の幅方向Yに沿って順次上記のように接続されて、濾過膜モジュール13が形成されている。濾過槽11内には、複数(本実施形態では30)の濾過膜モジュール13が、濾過槽11の長手方向Xに複数並べて配置されている。
【0022】
なお、中空糸膜51を形成する素材としては、一般的に用いられている材料、例えばポリフッ化ビニリデン樹脂、テフロン(登録商標)、ポリスルホン樹脂、セラミック、多孔質ガラス、金属などを使用することができる。また、中空糸膜51の孔径は、排水の種類や除去すべき懸濁物質の種類によって適宜選択してよいが、例えば0.0001〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。
【0023】
濾過層11内の下方の、濾過膜モジュール13の集水固定管57の近傍には、濾過膜モジュール13の中空糸膜51の外表面を洗浄するための空気Aを供給するディフューザ61が設けられている。ディフューザ61は、濾過槽11の幅方向Yを長手方向とする直方体形状のディフューザ本体61aと、ディフューザ本体61aに突設されて、空気Aを濾過槽11内に噴出する円筒状のノズル61bとを有している。ノズル61bは、ディフューザ本体61aの長手方向に沿って複数配設されている。外部のブロワB(図2)から送給された空気Aは、ディフューザ本体61a内に形成された導入空間62に導入される。
【0024】
図6に示すように、複数のディフューザ61は、それぞれが、隣接する濾過膜モジュール13,13間に配置される。各ディフューザ61は、ノズル61bの噴出口63が下向きとなるように濾過槽11内に設置される。すなわち、各ディフューザ61において、ノズル61bは、ディフューザ本体61aの4つの側面のうちの一側面61aa上に、この側面61aaにほぼ垂直に突設されており、ディフューザ本体61aのノズル61bが設けられた平面である側面61aaが鉛直方向Zの下方を向くように、ディフューザ61が濾過槽11に取り付けられる。
【0025】
また、ディフューザ61が濾過槽11に取り付けられた状態で、ディフューザ61のノズル61bの噴出口63は、隣接する濾過膜モジュール13の集水固定管57の上面、つまり、中空糸膜51の、濾過槽内11に露出する部分の最下端(以下、単に「最下端」という。)51aよりも下方に位置している。さらに、上記側面61aaは、中空糸膜51の最下端51aよりも上方に位置している。すなわち、中空糸膜51の最下端51aは、その鉛直方向Zの位置が、ノズル61bの最下端である噴出口63と、ノズル61bの最上端である上記側面61aaとの間となるように配置されている。
【0026】
さらに、ディフューザ61が濾過槽11に取り付けられた状態で、ディフューザ本体61aが隣接する濾過膜モジュール13に近接していることが好ましい。具体的には、ディフューザ本体61aの幅方向寸法(濾過槽11の長手方向Xの寸法)をDとした場合、濾過膜モジュール13の集水固定管57の幅方向端との長手方向Xの距離が、0以上かつD/2以下の範囲にあることが好ましい。
【0027】
ディフューザ本体61aに噴出口を直接形成した場合は、噴出口からディフューザ本体61a内に汚泥が流入しやすく、またディフューザ本体61a内で汚泥が乾燥して汚泥塊が容易に成長する。これに対して、本実施形態のように、ノズル61bを設けて、ノズル61bの先端に噴出口63を形成した場合、ブロワBの運転中に、ノズル61bの先端に汚泥が付着しても、汚泥塊がある程度成長すると、細い円筒状のノズル61b内を通過する空気流の圧力によって容易にノズル61bから剥離する。また、ブロワBの停止中であっても、排水Wは細い円筒状のノズル61bの内部でとどまり、容易にはディフューザ本体61a内まで流入しない。すなわち、ディフューザ61の噴出口63を、ディフューザ本体61aに直接設けるのではなく、ディフューザ本体61aから突設したノズル61bの先端に設けたことにより、ディフューザ61の噴出口63の汚泥による詰まりが抑制される。
【0028】
さらに、各ディフューザ61において、ノズル61bを、ディフューザ本体61aの4つの側面のうちの一側面61aa上に、この側面61aaに垂直に突設し、ノズル61bの先端の噴出口63が鉛直方向の下方を向くように、ディフューザ61を濾過槽11に取り付けたことにより、噴出口63から濾過槽11内の水中に噴出された洗浄用の空気Aが、上昇時に、ノズル61bが突設されている側面61aaに衝突して長手方向Xに、つまり近接する濾過膜モジュール13に向かう方向に偏向される。すなわち、ディフューザ本体61aの下向きの側面61aaが、洗浄用空気Aを偏向させる偏向板として機能し、空気Aが効率的に濾過膜モジュール13の各中空糸膜51の外表面に接触しながら上昇するので、中空糸膜51の洗浄を効率的に行うことができる。
【0029】
なお、本実施形態では、ディフューザ本体61aが直方体形状を有する例について説明したが、ディフューザ本体61aの形状はこれに限られない。少なくとも、ディフューザ本体61aの、ノズル61bが突設される部分が平面状に形成されており、この面が下向きに配置されていれば、上記の洗浄用空気Aを偏向させる効果が得られる。
【0030】
図5に示すように、ディフューザ本体61aの一端面には、空気Aの導入口となる円筒状の導入ポート71が設けられており、ディフューザ本体61aの他端面には、扁平状の係合突起73が設けられている。濾過槽11内の一方の側面には、外部から空気Aを導入する空気導入路75が長手方向Xに延設されており、空気導入路75から濾過槽11の幅方向内側に向かって、円筒状の空気導入管77が突設されている。濾過槽11内の他方の側面には、図7に示すように、ディフューザ本体61aの突起73を受ける係合凹部79を有する支持ソケット81が設けられている。支持ソケット81は、樹脂のような弾性材料で形成されている。
【0031】
係合突起73は、その断面が、細長い長円形状を有している。一方、支持ソケット81の係合凹部79は、係合突起73の断面の長円形状における両直線部分73a,73aの一方に当接する基部79aと、この基部79aから突設された、係合突起73の断面の長円形状における両端部の円弧状部73b,73bに対応する2つの突片79b、79bとを有している。
【0032】
図5のディフューザ本体61aの導入ポート71を空気導入管77に嵌合させた状態で、ディフューザ本体61aの突起73を、図7に示す支持ソケット81の係合凹部79に係合させることにより、ディフューザ61が濾過槽11内に支持される。ディフューザ本体61aの突起73を支持ソケット81の係合凹部79に係合させる際には、同図に示すように、突起73の一方の円弧状部73bを係合凹部79の一方の突片79bの内側面に当接させ、この突片79bを弾性変形させた状態で、突起73の他方の円弧状部73bを係合凹部79の他方の突片79bの内側面に嵌め込む。このようにして、追加のボルトのような連結部材を用いることなく、容易に、かつ確実にディフューザ61を濾過槽11内に取り付けることができる。また、上記とは逆の手順によりディフューザ61を濾過槽11内から取り外せるので、ディフューザ61の交換作業を容易に行うことができる。
【0033】
図1に示すように、各濾過膜モジュール13で濾過された処理水Fは、導出管17を介して集水ヘッダ19へ導出される。導出管17は、複数の濾過膜モジュール13のそれぞれに対して1つ設けられている。各導出管17としては、透明または半透明のチューブが用いられる。さらに、各導出管17には、開閉弁85が設けられている。
【0034】
各濾過膜モジュール13に対して、透明または半透明のチューブからなる導出管17を1つ設けているので、中空糸膜51が破損して排水Wのリークが発生した場合、リークを目視で容易に発見することができる。さらに、各導出管17に開閉弁85を設けているので、リークが発生した場合、その濾過膜モジュール13に対応する開閉弁85のみを閉じて、残りの濾過膜モジュール13によって排水処理を一定期間継続することが可能となる。本実施形態に係る排水膜濾過装置1では、濾過膜モジュール13を多数(30組)使用しているので、そのうちの1つの濾過膜モジュール13による処理を停止しても、残りの濾過膜モジュール13における処理圧にほとんど影響を及ぼさない。
【0035】
集水ヘッダ19へ導出された処理水Fは、排出管21を介して処理水槽5へ排出される。排出管21の、集水ヘッダ19との接続部分である接続管部21aは、複数(本実施形態では2つ)に分岐した分岐管として形成されている。
【0036】
このように、排出管21の集水ヘッダ19との接続管部21aを複数に分岐させることにより、配水管19の下流に配置された吸引ポンプPによる吸引圧力の、集水ヘッダ19内における分布が均一化される。各濾過膜モジュール13にかかる吸引圧力に偏りが生じ、特定の濾過膜モジュール13に吸引圧力が集中すると、その濾過膜モジュール13が目詰まりを起こし易くなり、さらに、これに隣接する濾過膜モジュール13に高い吸引圧力がかかって目詰まりを起こすという目詰まりの連鎖が発生しやすくなる。しかし、本実施形態では、各濾過膜モジュール13に係る吸引圧力が均一化されるので、全体として長期に渡って目詰まりを起こさずに継続運転することが可能となる。なお、隣接する分岐管間の間隔S、および長手方向Xにおける最端部に位置する分岐管と、集水ヘッダ19の端部との長手方向Xに沿った間隔Pの値は、分岐管の数や管径などの条件を考慮して、集水ヘッダ19内に作用する吸引圧力が均一化されるように適宜設定してよい。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る排水膜濾過装置1によれば、濾過膜洗浄用の空気Aが、ディフューザ本体61aから直接ではなく、ディフューザ本体61aに突設されたノズル61bを介して濾過槽11内に噴出されるので、ノズル61bの噴出口63に汚泥が付着しても、ノズル61b内の狭い通路を通過してきた空気Aの圧力により、汚泥が容易に除去することができる。したがって、ディフューザ61の噴出口63の詰まりが効果的に防止され、排水膜濾過装置1を安定的に継続運転することができる。
【0038】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 排水膜濾過装置
3 被処理液導入装置
5 混合器
7 濾過装置
9 ガス量調整装置
11 濾過槽
13 濾過膜モジュール
51 中空糸膜(濾過膜)
61 ディフューザ
61a ディフューザ本体
61b ノズル
62 導入空間
63 噴出口
A 空気
W 排水
F 処理水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7