特許第6077248号(P6077248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6077248表面処理アルミニウム材及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077248
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】表面処理アルミニウム材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/56 20060101AFI20170130BHJP
   C23C 22/78 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   C23C22/56
   C23C22/78
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-208423(P2012-208423)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-62299(P2014-62299A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高砂 志朗
【審査官】 宮本 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1997/035716(WO,A1)
【文献】 特開平11−323572(JP,A)
【文献】 特開2004−277784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00 − 22/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部が形成されているとともに、厚さ56nm以上1000nm以下のアルミニウム水和酸化物層で覆われた表面を備え、
前記複数の凹部の面積が、前記表面の面積の15%以上であり、
前記アルミニウム水和酸化物層は、以下の条件1〜3を満たすことを特徴とする表面処理アルミニウム材。
条件1:前記アルミニウム水和酸化物層の厚み方向における水素濃度のプロファイルは、表面付近にピークを有する。
条件2:前記アルミニウム水和酸化物層の厚み方向におけるアルミニウム濃度のプロファイルは、極小値を有する。
条件3:前記アルミニウム水和酸化物層の厚み方向における酸素濃度のプロファイルは、極大値を有する。
【請求項2】
請求項1に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法であって、
アルミニウム材の表面に複数の凹部を形成する凹部形成工程と、
前記表面に厚さ56nm以上1000nm以下のアルミニウム水和酸化物層を設けるアルミニウム水和酸化物層形成工程と、
を有し、
前記凹部形成工程において形成された前記複数の凹部の面積が、前記表面の面積の15%以上であることを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法。
【請求項3】
前記アルミニウム水和酸化物層形成工程は、60℃以上の温水、沸騰水、及び水蒸気のうちのいずれかと、前記アルミニウム材とを接触させる工程であることを特徴とする請求項に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。
【請求項4】
前記アルミニウム水和酸化物層形成工程よりも前に、デスマット工程を行うことを特徴とする請求項又はに記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理アルミニウム材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウム材の表面を樹脂で被覆する技術が知られている。この技術において、アルミニウム材と、その表面を被覆する樹脂(以下、被覆樹脂とする)との密着性を向上させる必要があり、種々の方法が提案されている。例えば、エッチングでアルミニウム材の表面に凹凸を付ける方法(特許文献1)、アルミニウム材の表面にベーマイトを形成する方法(特許文献2、3)、アルミニウム材の表面に微細な凹凸をつけ、反応性官能基を存在させる方法(特許文献4)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−120002号公報
【特許文献2】特開平5−25574号公報
【特許文献3】WO1997/035716号公報
【特許文献4】特開2003−170531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜4記載の方法では、アルミニウム材の表面処理後、時間が経過してから樹脂被覆を行った場合は、アルミニウム材と被覆樹脂との密着性が不十分となる。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、製造後、時間が経過してから樹脂被覆を行った場合でも、被覆樹脂との密着性が高い表面処理アルミニウム材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表面処理アルミニウム材は、複数の凹部が形成されているとともに、厚さ5nm以上1000nm以下のアルミニウム水和酸化物層で覆われた表面を備え、前記複数の凹部の面積が、前記表面の面積の15%以上であることを特徴とする。
【0007】
本発明の表面処理アルミニウム材は、複数の凹部やアルミニウム水和酸化物層を形成した後(すなわち表面処理アルミニウム材を製造した後)、時間が経過してから樹脂被覆を行った場合でも、被覆樹脂との密着性が高い。そのため、樹脂被覆の工程を、必ずしも、表面処理アルミニウム材の製造工程の直後に行わなくてもよいので、工程の自由度が高くなる。
【0008】
本発明の表面処理アルミニウム材において、前記アルミニウム水和酸化物層は、以下の条件1〜3を満たすことが好ましい。この場合、表面処理アルミニウム材と被覆樹脂との密着性が一層向上する。
【0009】
条件1:前記アルミニウム水和酸化物層の厚み方向における水素濃度のプロファイルは、表面付近にピークを有する。
条件2:前記アルミニウム水和酸化物層の厚み方向におけるアルミニウム濃度のプロファイルは、極小値を有する。
【0010】
条件3:前記アルミニウム水和酸化物層の厚み方向における酸素濃度のプロファイルは、極大値を有する。
本発明の表面処理アルミニウム材の製造方法は、アルミニウム材の表面に複数の凹部を形成する凹部形成工程と、前記表面に厚さ5nm以上1000nm以下のアルミニウム水和酸化物層を設けるアルミニウム水和酸化物層形成工程と、を有し、前記凹部形成工程において形成された前記複数の凹部の面積が、前記表面の面積の15%以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明により製造した表面処理アルミニウム材は、製造後、時間が経過してから樹脂被覆を行った場合でも、被覆樹脂との密着性が高い。そのため、樹脂被覆の工程を、必ずしも、表面処理アルミニウム材の製造の直後に行わなくてもよいので、工程の自由度が高くなる。
【0012】
前記アルミニウム水和酸化物層形成工程は、例えば、60℃以上の温水、沸騰水、及び水蒸気のうちのいずれかと、前記アルミニウム材とを接触させる工程とすることができる。この場合、製造した表面処理アルミニウム材と被覆樹脂との密着性が一層向上する。
【0013】
本発明の表面処理アルミニウム材の製造方法において、前記アルミニウム水和酸化物層形成工程よりも前に、デスマット工程を行うことが好ましい。この場合、アルミニウム水和酸化物層が、上記条件1〜3を満たすものになり易く、製造した表面処理アルミニウム材と被覆樹脂との密着性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】凹部(ピット)1においてマーキングする領域7を表す断面図である。
図2】表面処理アルミニウム材の表面を撮像した、倍率250倍のSEM像であり、Aは水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間が0秒の場合であり、Bは水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間が60秒の場合であり、Cは水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間が120秒の場合であり、Dは水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間が300秒の場合である。
図3】GD−OES(グロー放電発光表面分析)により取得した、膜厚方向におけるアルミニウム濃度、水素濃度、及び酸素濃度のプロファイルを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を説明する。複数の凹部は、例えば、エッチング処理により形成することができる。エッチング処理としては、例えば、アルミニウム材(アルミニウム水和酸化物層を形成する前のアルミニウム基材)と、アルカリ性溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液)とを接触させる(例えばアルミニウム材をアルカリ性溶液中に浸漬する)処理が挙げられる。凹部は、例えば、断面形状が円形の孔(ピット)とすることができる。
【0016】
複数の凹部の面積は、全表面の面積(表面処理アルミニウム材の表面が平坦であると仮定した場合の面積)の15%以上である。15%以上であることにより、表面処理アルミニウム材と被覆樹脂との密着性が向上する。複数の凹部の面積が大きいほど、表面処理アルミニウム材と被覆樹脂との密着性が向上する。複数の凹部の面積は、例えば、全表面の面積の20%以上、30%以上、又は40%以上とすることができる。
【0017】
複数の凹部の面積は、以下の(i)〜(iii)の手順で算出することができる。
(i) 表面処理アルミニウム材の表面を撮像した、倍率250倍のSEM像を取得する。
(ii)上記のSEM像において、直径5μm以上の凹部(ピット)を抽出し、マーキング(塗りつぶし)を行う。
(iii)画像処理ソフト(株式会社ニレコ製のLUZEX AP)を用いて、上記のようにマーキングした面積を算出する。
【0018】
なお、上記(ii)において、マーキングする部分は、図1に示すように、凹部1の周囲において、アルミニウム材の平均的な表面3に比べて落ち込み始めた点5を境界とする領域7である。
【0019】
アルミニウム水和酸化物(ベーマイト)層は、例えば、60℃以上の温水、沸騰水、及び水蒸気のうちのいずれかと、アルミニウム材とを接触させることにより形成することができる。アルミニウム水和酸化物層の膜厚は、5nm以上1000nm以下であり、20nm以上200nm以下であることが好ましい。水和酸化皮膜の膜厚が5nm以上であることにより、アルミニウム材の表面をアルミニウム水和酸化物層で均一に覆うことができる。その結果、表面処理アルミニウム材と被覆樹脂との密着性が向上する。また、アルミニウム水和酸化物層の膜厚が20nm以上である場合、アルミニウム材の表面をアルミニウム水和酸化物層で一層均一に覆うことができ、表面処理アルミニウム材と被覆樹脂との密着性における部分的なばらつきが減少する。
【0020】
アルミニウム水和酸化物層の膜厚は1000nmより厚くても密着性の点では問題はないが、1000nm以下とすることで、アルミニウム水和酸化物層の形成に要する時間及びエネルギーを低減できる。また、アルミニウム水和酸化物層の膜厚が200nm以下であれば、アルミニウム水和酸化物層を形成する処理の時間に応じてアルミニウム水和酸化物層の膜厚がリニアに増加するので、より好ましい。
【0021】
アルミニウム水和酸化物層の膜厚は、以下のようにして測定できる。すなわち、アルミニウム水和酸化物層を形成した後の表面処理アルミニウム材において、GD−OES(グロー放電発光表面分析)により、膜厚方向におけるアルミニウム濃度のプロファイルを取得し、そのプロファイルにおいて、十分に深い場所でのアルミニウム濃度に比べてアルミニウム濃度が1/2となる点から、最表面までの距離をアルミニウム水和酸化物層の膜厚とする。GD−OESに用いる装置は、RIGAKU製のGDA750とすることができる。また、GD−OESの測定条件は、以下のようにすることができる。
【0022】
電力:25W
Arガス圧:3.5hpa
アノード径:2.5mmΦ
アルミニウム水和酸化物層としては、例えば、上記条件1〜3を満たすものが好ましい。この条件1〜3を満たすアルミニウム水和酸化物層は、例えば、アルミニウム材から遠い側から、水素/アルミニウム比が0.7以上である層(第1層)、酸素/アルミニウム比が0.4以上0.8以下である結晶性の高い疑似ベーマイト層(第2層)、及び酸素/アルミニウム比が0.8以上2以下である結晶性の低い疑似ベーマイト層(第3層)の3層構造を有する。上記条件1〜3を満たすアルミニウム水和酸化物層は、アルミニウム水和酸化物層形成工程よりも前に、デスマット工程を行うことにより得ることができる。
【0023】
上記条件1〜3における水素濃度のプロファイル、アルミニウム濃度のプロファイル、及び酸素濃度のプロファイルは、GD−OES(グロー放電発光表面分析)によって得ることができる。GD−OESに用いる装置は、RIGAKU製のGDA750とすることができる。また、測定条件は、以下のようにすることができる。
【0024】
電力:25W
Arガス圧:3.5hpa
アノード径:2.5mmΦ
デスマット工程は、例えばアルカリエッチング後の溶解残分を除去する工程である。デスマット工程としては、例えば、酸活性を有する溶液(例えば硝酸等)と、アルミニウム材とを接触させる方法が挙げられる。デスマット工程を行うことにより、上記条件1〜3を満たすアルミニウム水和酸化物層を得ることができる。
【0025】
表面処理アルミニウム材において、アルミニウム材とアルミニウム水和酸化物層との間には、陽極酸化皮膜が存在していてもよいし、存在しなくてもよい。
【実施例】
【0026】
1.表面処理アルミニウム材の製造
アルミニウム材として、JIS−A6063を用いた。このアルミニウム材を、弱アルカリ性脱脂液にて脱脂した後、50℃、5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してエッチングピット(複数の凹部)を形成した。なお、この水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する工程は、凹部形成工程の一実施形態である。
【0027】
次に、アルミニウム材を水洗し、常温で10%硝酸に浸漬した。なお、この硝酸に浸漬する処理は、デスマット処理の一実施形態である。
次に、アルミニウム材を再度水洗した後、85℃の純水に浸漬して、アルミニウム水和酸化物層を形成した。なお、85℃の純水に浸漬する工程は、アルミニウム水和酸化物層形成工程の一実施形態である。
【0028】
以上の工程により、表面処理アルミニウム材が製造される。この製造方法において、アルミニウム材を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する時間と、85℃の純水に浸漬する時間とを種々に変更して、S1〜S7の7種類の表面処理アルミニウム材を製造した。S1〜S7の処理条件を表1に示す。
【0029】
【表1】
2.表面処理アルミニウム材の評価
(1)ピット面積の測定
S1〜S7のそれぞれについて、以下の(i)〜(iii)の方法により、表面処理アルミニウム材の表面においてピットが占める面積を測定した
(i) 表面処理アルミニウム材の表面を撮像した、倍率250倍のSEM像を取得する。なお、図2A〜Dに、それぞれ、S4(水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間0秒)、S3(水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間60秒)、S1(水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間120秒)、S2(水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間300秒)についてのSEM像を示す。S3、S1、S2においては、表面処理アルミニウム材の表面に、複数のピットが形成されていた。また、水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間が長くなるほど、ピットの大きさ及び数が増加していた。
(ii)上記(i)のSEM像において、直径5μm以上のピットを抽出し、マーキング(塗りつぶし)を行う。
(iii)画像処理ソフト(株式会社ニレコ製のLUZEX AP)を用いて、上記(ii)のようにマーキングした面積を算出する。この面積が、表面処理アルミニウム材の表面においてピットが占める面積である。
【0030】
そして、S1〜S7のそれぞれについて、表面処理アルミニウム材の全表面積に対する、ピットが占める面積の比率(以下、ピット面積比とする)を算出した。算出結果を上記表1に示す。
【0031】
(2)アルミニウム水和酸化物層の膜厚測定
S1〜S7のそれぞれについて、GD−OES(グロー放電発光表面分析)により、膜厚方向におけるアルミニウム濃度、水素濃度、及び酸素濃度のプロファイルを取得した。なお、GD−OESに用いる装置は、RIGAKU製のGDA750である。また、GD−OESの測定条件は、以下のとおりとした。
【0032】
電力:25W
Arガス圧:3.5hpa
アノード径:2.5mmΦ
S1についてのプロファイルを図3に示す。表面処理アルミニウム材の十分に深い場所(アルミニウム水和酸化物層が形成されていない場所)におけるアルミニウム濃度に比べてアルミニウムの濃度が1/2となる点から、最表面までの距離をアルミニウム水和酸化物層の膜厚とした。S1〜S7におけるアルミニウム水和酸化物層の膜厚を上記表1に示す。
【0033】
(3)アルミニウム水和酸化物層における元素の分布
図3において、アルミニウム水和酸化物層の厚み方向における水素濃度のプロファイルは、表面付近にピークを有していた。また、アルミニウム水和酸化物層の厚み方向におけるアルミニウム濃度のプロファイルは、極小値を有していた。また、アルミニウム水和酸化物層の厚み方向における酸素濃度のプロファイルは、極大値を有していた。なお、S2〜6におけるGD−OESのプロファイルも同様の傾向を有していた。一方、S7については、上記の傾向は見られなかった。
【0034】
(4)密着性の測定
表面処理アルミニウム材の製造直後、製造から15日間放置後、製造から30日間放置後、及び製造から100日間放置後において、それぞれ、表面処理アルミニウム材とエチレンアクリル酸共重合体(EAA)樹脂との密着性試験を行った。密着性試験は、S1〜S7のそれぞれについて行った。ここで、放置は、倉庫を模擬した室内環境で行った。また、密着性試験の方法は、以下のとおりとした。
<密着性試験の方法>
粒状のEAA樹脂を、常法に従って、130℃、98MPaで溶融成形し、厚さ:0.5mm、幅10mm、長さ20mmの矩形EAA材を作成した。
【0035】
次いで、第1の表面処理アルミニウム材(20mm×100mm)を、80℃に加熱されたホットプレート上で150秒加熱するとともに、第2の表面処理アルミニウム材(20mm×100mm)上に矩形EAA材を置き、その第2の表面処理アルミニウム材を170℃に加熱されたホットプレート上で加熱して矩形EAA材を加熱溶融した。
【0036】
次いで、80℃で加熱された第1の表面処理アルミニウム材に、第2の表面処理アルミニウム材を、矩形EAA材を両者で挟むように載せて重ね合わせ、1kgfの荷重をかけて15秒間保持した後、ホットプレート上から取り出し、放冷することで密着試験片を作成した。
【0037】
その後、この密着試験片について、JIS−K6854−3(1999)に従い、T形はく離試験を行った。引張速度は、50mm/分とした。最大強度を測定すると共に、はく離形態を観察した。はく離形態が、EAA樹脂の凝集はく離である場合を合格とした。試験結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
表2に示されているように、S1、2、6、7においては、表面処理アルミニウム材の製造から長時間経過後においても、表面処理アルミニウム材と樹脂との密着性が高かった。
【0039】
それに対し、S3〜5では、表面処理アルミニウム材の製造から長時間経過した場合、表面処理アルミニウム材と樹脂との密着性が低かった。
【符号の説明】
【0040】
1・・・凹部、3・・・表面、5・・・点、7・・・領域
図1
図2
図3