特許第6077251号(P6077251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077251
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20170130BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20170130BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   H01L29/78 652K
   H01L29/78 653C
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 652S
   H01L29/78 652F
   H01L29/58 G
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-217985(P2012-217985)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-72412(P2014-72412A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 直人
【審査官】 恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06031265(US,A)
【文献】 特開2002−373988(JP,A)
【文献】 特開2008−085278(JP,A)
【文献】 特開2006−202837(JP,A)
【文献】 特開2006−120952(JP,A)
【文献】 特開平11−040802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/423
H01L 29/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられたボディ層と、
前記ボディ層の表層部の周囲にソース領域が配置された複数のセル領域と、
前記複数のセル領域を互いに分離している一定の幅を有し、格子状に配置された第1のトレンチと、
前記複数のセル領域の最外周に設けられた第2のトレンチと、
前記第1および第2のトレンチの内壁を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜で覆われた前記第1および第2のトレンチの内部を充填しているゲート電極と、
前記第2のトレンチの外側を取り囲んで設けられたセル外周領域と、
前記複数のセル領域、前記第1のトレンチおよび前記第2のトレンチの上に設けられた層間絶縁膜と、
前記格子状に配置された第1のトレンチの交点の上において前記層間絶縁膜に設けられたゲートコンタクト孔と、
前記ゲートコンタクト孔を介して前記ゲート電極と接続されたゲート配線と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられたボディ層と、
前記ボディ層の表層部の周囲にソース領域が配置された複数のセル領域と、
前記複数のセル領域を互いに分離している一定の幅を有し、段違い格子状に配置された第1のトレンチと、
前記複数のセル領域の最外周に設けられた第2のトレンチと、
前記第1および第2のトレンチの内壁を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜で覆われた前記第1および第2のトレンチの内部を充填しているゲート電極と、
前記第2のトレンチの外側を取り囲んで設けられたセル外周領域と、
前記複数のセル領域、前記第1のトレンチおよび前記第2のトレンチの上に設けられた層間絶縁膜と、
前記段違い格子状に配置された第1のトレンチの交点の上において前記層間絶縁膜に設けられたゲートコンタクト孔と、
前記ゲートコンタクト孔を介して前記ゲート電極と接続されたゲート配線と、
を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に、トレンチゲート構造を有するMOS型半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトレンチゲート構造を有する縦型MOSFET(以降トレンチMOSFETと表記)の例を図6、7に示す。図6はトレンチMOSFETの外周付近の概略平面図、図7図6のC−C´間における概略断面図である。
【0003】
図6、7に示すように、半導体基板1の表層部に、P型ウェル層2とP型ボディ層3が、それぞれセル外周領域16とセル領域15に形成され、P型ボディ層3の表層部にN型ソース領域9が形成されている。ソース領域9およびボディ層3を貫通する深さにトレンチ4が形成されている。そして、このトレンチ4の内壁に二酸化シリコン等のゲート絶縁膜5と、ポリシリコン等のゲート電極6とが順に形成され、これらからなるトレンチゲートが構成されている。トレンチゲートの最外周では、ポリシリコン等のゲート引き出し配線7が、ゲート電極6の上から、P型ウェル層2の表層部に形成された二酸化シリコン等のフィールド絶縁膜13の上まで形成され、ゲート電極6と電気的に接続されている。ここで、最外周のトレンチ4の幅は、ゲート電極6とゲート引き出し電極7を電気的に接続するため、他のトレンチ幅よりも広く形成されている。さらに、ゲート引き出し配線7は、ゲート引き出し配線7の上に形成された層間絶縁膜14を貫通して、フィールド絶縁膜13の上に設けられたゲートコンタクト孔8によって、アルミニウム等のゲート配線10と電気的に接続されている。また、セル部15の周辺は、トレンチゲートの上を覆うように層間絶縁膜14が形成され、その上にアルミニウム等のソース配線11が形成され、ソース領域9とソース配線11が電気的に接続されている。さらにドレイン電極12が基板1の裏面に形成され、縦型の素子構造が構成されている。
【0004】
図6図7に示すように、特許文献1では、トレンチMOSFETの最外周のトレンチゲートを環状に形成し、その電極6上に一端をオーバーラップ接続し、セル外周領域16に向かって延在するゲート引き出し配線7を形成することにより、ゲート抵抗を下げる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−188294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7において、ゲート引き出し配線7は、トレンチ4の側面と基板1の表面からなる角部にも形成される。ゲート酸化膜5をシリコンの熱酸化によって形成した場合、角部のゲート酸化膜5の膜厚は薄くなり易いため、ゲート電極6とP型ウェル層2との間のゲートリーク電流の増大や、ゲート絶縁耐圧の低下が問題となる。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、ゲート酸化膜の信頼性に優れ、かつゲート抵抗の低いトレンチゲート構造を有するMOS型半導体装置を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、半導体基板表面に形成されたトレンチと、前記トレンチの内壁面に設けられた第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜を介して前記トレンチ内に充填された第1の導電層と、から成るトレンチゲートを備えるトランジスタと、前記トランジスタの上に形成された第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜の一部が除去されることで形成されたゲートコンタクト孔と、前記ゲートコンタクト孔の中、及び前記第2の絶縁膜の上の一部に形成された第2の導電層と、を有し、前記ゲートコンタクト孔が、前記トレンチの上に形成されていること、を特徴とする半導体装置とした。
【0009】
また、前記トレンチゲートが格子状に形成され、前記トレンチゲートに囲まれたソース領域を複数備えるトランジスタであって、前記ゲートコンタクト孔が、前記トレンチゲートの交差部に形成されていること、を特徴とする半導体装置とした。
【0010】
あるいは、前記トレンチゲートが阿弥陀くじ状に形成され、前記トレンチゲートに囲まれたソース領域を複数備えるトランジスタであって、前記ゲートコンタクト孔が、前記トレンチゲートの交点部に形成されていること、を特徴とする半導体装置とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ゲート酸化膜の信頼性に優れ、かつゲート抵抗の低いトレンチゲート構造を有するMOS型半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、トレンチMOSFETの一部平面図
図2図1のA−A´における概略断面図
図3】本発明の第2の実施形態に係る、トレンチMOSFETの一部平面図
図4図3(a)のB−B´における概略断面図
図5】本発明の他の実施形態に係る、トレンチMOSFETの一部平面図
図6】従来における、トレンチMOSFETの一部平面図
図7】従来における、図6のC−C´における概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係る半導体装置を実施例に即して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るトレンチMOSFETを有する半導体装置の一部平面図であり、図2図1のA−A´における概略断面図である。
【0014】
図1、2に示すように、半導体基板1の表層部には、P型ウェル層2とP型ボディ層3が、それぞれセル外周領域16と縦横に整列した複数のセル領域15に形成され、複数のセル領域15のP型ボディ層3の表層部の周囲にはN型ソース領域9が形成されている。セル外周領域16は整列した複数のセル領域の外側を取り囲んでいる。2つの向き合ったセル領域の間にはソース領域9およびボディ層3を貫通する深さにトレンチ4が形成されている。そして、このトレンチ4の内壁を覆う二酸化シリコン等からなるゲート絶縁膜5と、ゲート絶縁膜5が形成されたトレンチ内部を充填するポリシリコン等からなるゲート電極6とが順に形成され、これらからなるトレンチゲートが構成されている。さらに、基板上に形成された層間絶縁膜14を貫通して、最外周のゲート電極6上に形成されたゲートコンタクト孔8によって、アルミニウム等のゲート配線10と電気的に接続されている。複数のセル領域15の間にあり、それぞれのセル領域を分離しているトレンチ4の幅は電流が均一に流れるように一定である。一方、ゲートコンタクト孔8がソース領域9やP型ウェル層2と接続されないようにするため、トレンチ4のうち最外周にあるトレンチの幅は、ゲートコンタクト孔8の幅よりも広く形成されており、幅広のトレンチとなっている。さらに、セル領域15の間にあるトレンチ4の幅よりも広くなっている。前述のセル外周領域16は最外周のトレンチの外側に設けられている。セル領域15およびセル領域15の周辺には、トレンチゲートの上を覆うように層間絶縁膜14が形成され、その上にアルミニウム等のソース配線11が形成され、ソース領域9とソース配線11が電気的に接続されている。さらにドレイン電極12が基板1の裏面に形成され、縦型の素子構造が構成されている。
【0015】
図1、2に示すように、ゲートコンタクト孔8をゲート電極6の上に形成することにより、ゲート引き出し配線分の抵抗が無くなるため、ゲート抵抗を下げることができる。また、ゲート引き出し配線を用いていないため、トレンチ4上部の角部でゲート酸化膜5の薄膜化が起きても、ゲートリーク電流の増大や、ゲート絶縁耐圧の低下は起こらない。
【0016】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第1の実施形態では、最外周のゲート電極6上にゲートコンタクト孔8が形成されていたが、本実施形態では、格子状に形成されたトレンチ4の交点にゲートコンタクト孔8が形成されていることが特徴となっている。
【0017】
図3(a)は本実施形態に係る半導体装置の一部平面図であり、図4図3(a)のB−B´における概略断面図である。これらの図に示されるように、ゲートコンタクト孔8が格子状に形成されたトレンチ4の交点に形成されており、トレンチ4のうち最外周のトレンチ上には設けていない。そのためトレンチ4のうち最外周のトレンチの幅は、それ以外の場所にあるトレンチの幅と等しくなっている。
【0018】
格子状に形成されたトレンチ4の交点において、セル領域15間の距離がトレンチ4の幅の√2倍となるため、トレンチ4の幅を広げることなく、コンタクト孔8とセル領域15間の距離を広げることができる。また、コンタクト孔8がセル領域15に接近して形成されているため、コンタクト孔8を外周に形成した場合と比べてゲート抵抗を下げることができる。さらに、最外周のゲート電極6上にゲートコンタクト孔8を配置しないことにより、最外周のトレンチ4の幅を自由に設定することができる。
【0019】
なお、本実施形態では、ゲート配線10をソース配線11aに挟まれるように形成する必要があるため、アルミニウム等の配線を2層としている。具体的には、ゲート配線10を覆うように第2の層間絶縁膜14bが形成され、その上にアルミニウム等のソース配線11bが形成され、ソース配線11a、11bが電気的に接続されている。
【0020】
トレンチMOSFET、およびそのゲート絶縁膜を保護するためのダイオードのみを備えた、いわゆるディスクリートの半導体装置では、製造コストの面からアルミニウム等の配線は1層であることが望ましい。しかし、1つの基板に横型の相補型MOSFETとトレンチMOSFETを集積した半導体集積回路装置では、相補型MOSFET部で2層以上の配線が求められることがしばしばあるため、本実施形態は半導体集積回路装置において、製造コストの面で効果的である。
【0021】
図3(b)、(c)、(d)は、第2の実施形態の変形例であり、それぞれセル領域15の平面が、八角形、角丸四角形、円形となっている。これらのように、セル領域15の角を取ることにより、トレンチ4の交点におけるセル領域15間の距離が広がるため、例えば、トレンチ4の幅とゲートコンタクト孔8の幅が同じであっても、トレンチ4の幅を広げることなくゲートコンタクト孔8をゲート電極6上に形成することができる。
【0022】
(その他の変形例)
第2の実施形態においては、トレンチ4が正方の格子状に配置されていたが、図5(a)、(b)、(c)のように、セル領域15を千鳥状に配置して、トレンチ4を1列ごとにずれている段違いのある格子状(段違い格子状)に形成してもよい。トレンチ4が格子状に形成されている場合と比べ、トレンチ4の交点におけるセル領域15間の距離は短くなるが、トレンチ4が格子状に形成されている場合と同様の効果が得られる。
【0023】
また、図3(b)、(c)では、全てのセル領域15の角が取られているが、ゲートコンタクト孔8が形成されたトレンチ4の交点に隣接するセル領域15の角が取られていればよい。
【0024】
以上に説明したものは本発明の一実施の形態に過ぎないものであり、本発明の趣旨を逸脱することなく、この他にも種々の変形した実施の形態が考えられることは勿論のことである。
【符号の説明】
【0025】
1 半導体基板
2 P型ウェル領域
3 P型ボディ領域
4 トレンチ
5 ゲート絶縁膜
6 ゲート電極
7 ゲート引き出し配線
8 ゲートコンタクト孔
9 ソース領域
10 ゲート配線
11、11a、11b ソース配線
12 ドレイン電極
13 フィールド絶縁膜
14、14a、14b 層間絶縁膜
15 セル領域
16 セル外周領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7