(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
減圧空間からのガスを吸入するための吸入部及び吸入したガスを吐出空間に吐出するための吐出部を有する吸引圧縮装置と、前記吸引圧縮装置を駆動するための圧縮用ガスエンジンと、パージ装置の制御系に電力を供給するための発電装置とを具備しており、
前記発電装置は、電力を発電する発電機と、前記発電機を駆動するための発電用ガスエンジンとを備えており、
前記吸引圧縮装置に関連して、更に、この吸引圧縮装置にて漏れたガスを回収するガス回収手段が設けられており、
前記吸引圧縮装置の吐出ライン又は吸入ラインを流れるガスを利用して前記圧縮用ガスエンジン及び前記発電用ガスエンジンが運転されるとともに、前記ガス回収手段にて回収されたガスが前記圧縮用ガスエンジン及び/又は前記発電用ガスエンジンに供給されることを特徴とする車載型パージ装置。
前記吸引圧縮装置の前記吐出ライン又は前記吸入ラインは第1ガス送給ラインを介して前記発電用ガスエンジンに接続され、前記第1ガス送給ラインに第1ガバナ装置が配設され、また前記ガス回収手段は第2ガス送給ラインを介して前記発電用ガスエンジンに接続され、前記第2ガス送給ラインに第2ガバナ装置が配設され、前記第1ガバナ装置にて設定される第1ガバナ圧が前記第2ガバナ装置にて設定される第2ガバナ圧よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の車載型パージ装置。
前記第1ガス送給ラインには、前記吐出ライン又は前記吸入ラインに向けてガスが逆流するのを防止する第1逆止弁が配設され、前記第2ガス送給ラインには、前記ガス回収手段に向けてガスが逆流するのを防止する第2逆止弁が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の車載型パージ装置。
【背景技術】
【0002】
例えば、都市ガスなどのガスを送給する導管などの工事を行う際、導管の工事部位の上流側及び下流側に開閉弁を設けて(又は既設の開閉弁を利用して)この工事部位へのガスの侵入を阻止し、この工事部位のガスをその上流側(又はその下流側)に排出して工事部位のガスを少なくし、このような状態で工事部位の保守作業などを行っている。そして、このようなガスをその上流側(又はその下流側)に排出するための装置としてパージ装置が利用され、工事現場への運搬が容易なように車載型のパージ装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この車載型のパージ装置は、車両本体のフレームに搭載された装置ハウジングを備え、この装置ハウジング内が第1、第2及び第3空間に仕切られている。第1空間には、吸引圧縮装置、圧縮されたガスを冷却するための第1熱交換器、駆動源としての内燃機関、内燃機関の冷却水を冷却するためのラジエターなどが配設され、またその第2空間には、吸入口の内側に第1熱交換器を通して循環される循環媒体を冷却するための第2熱交換器が配設され、第3空間には、装置ハウジング内の空気を排出するための排出口が設けられ、この排出口に開閉扉が開閉自在に配設されている。
【0004】
このような車載型パージ装置では、内燃機関はガスエンジンから構成され、導管内のガス(具体的には、吐出対象空間内のガス)を利用してガスエンジンが作動される。また、この車載型パージ装置では、パージ装置の電源として専用の発電装置が搭載され、この発電装置は、ガソリンエンジン及び発電機から構成され、ガソリンエンジンにより発電機が回転されて発電が行われ、その発電電力がパージ装置の制御系などに用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この車載型パージ装置では、駆動用エンジンはガスエンジンから構成されているので、導管内を流れるガスを利用して運転することができ、それ故に、補給用燃料としてのガスをボンベなどに充填して車両に載せて運ぶ必要はないが、発電用エンジンはガソリンエンジンから構成されるために、補給用燃料としてのガソリンを容器などに入れて車両に載せて運ぶ必要があり、容器などの管理、ガソリンエンジンへのガソリンの補給などが煩雑となり、またその取扱いに注意を要する。
【0007】
本発明の目的は、導管内を流れるガスを利用して運転することができる車載型パージ装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、吸引圧縮装置から漏れるガスを燃料として利用することができる車載型パージ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の車載型パージ装置は、減圧空間からのガスを吸入するための吸入部及び吸入したガスを吐出空間に吐出するための吐出部を有する吸引圧縮装置と、前記吸引圧縮装置を駆動するための圧縮用ガスエンジンと、パージ装置の制御系に電力を供給するための発電装置とを
具備しており、
前記発電装置は、電力を発電する発電機と、前記発電機を駆動するための発電用ガスエンジンとを
備えており、
前記吸引圧縮装置に関連して、更に、この吸引圧縮装置にて漏れたガスを回収するガス回収手段が設けられており、
前記吸引圧縮装置の吐出ライン又は吸入ラインを流れるガスを利用して前記圧縮用ガスエンジン及び前記発電用ガスエンジンが運転される
とともに、前記ガス回収手段にて回収されたガスが前記圧縮用ガスエンジン及び/又は前記発電用ガスエンジンに供給されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項
2に記載の車載型パージ装置では、前記吸引圧縮装置の前記吐出ライン又は前記吸入ラインは第1ガス送給ラインを介して前記発電用ガスエンジンに接続され、前記第1ガス送給ラインに第1ガバナ装置が配設され、また前記ガス回収手段は第2ガス送給ラインを介して前記発電用ガスエンジンに接続され、前記第2ガス送給ラインに第2ガバナ装置が配設され、前記第1ガバナ装置にて設定される第1ガバナ圧が前記第2ガバナ装置にて設定される第2ガバナ圧よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の請求項
3に記載の車載型パージ装置では、前記第1ガス送給ラインには、前記吐出ライン又は前記吸入ラインに向けてガスが逆流するのを防止する第1逆止弁が配設され、前記第2ガス送給ラインには、前記ガス回収手段に向けてガスが逆流するのを防止する第2逆止弁が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の車載型パージ装置によれば、吸引圧縮装置を駆動するためのエンジンとして圧縮用ガスエンジンが用いられ、また発電装置の駆動源として発電用ガスエンジンが用いられているので、吸引圧縮装置の吐出ライン(又は吸入ライン)を流れるガスを利用して圧縮用ガスエンジン及び発電用ガスエンジンを運転することができ、導管の保守作業などの工事現場のガスを燃料として車載型パージ装置を稼働させることができる。
また、吸引圧縮装置にて漏れたガスを回収するガス回収手段が設けられ、このガス回収手段にて回収されたガスが圧縮用ガスエンジン及び/又は発電用ガスエンジンに供給されるので、吸引圧縮装置にて漏れたガスを圧縮用ガスエンジン及び/又は発電用ガスエンジンの燃料として利用することができる。
【0015】
また、本発明の請求項
2に記載の車載型パージ装置によれば、吸引圧縮装置の吐出ライン(又は吸入ライン)と発電用ガスエンジンとを接続する第1ガス送給ラインに第1ガバナ装置が配設され、ガス回収手段と発電用ガスとを接続する第2ガス送給ラインに第2ガバナ装置が配設され、第1ガバナ装置の第1ガバナ圧が第2ガバナ装置の第2ガバナ圧よりも小さく設定されているので、ガス回収手段からのガスが優先的に発電用ガスエンジンに送給され、吸引圧縮装置にて漏れたガスを優先的に燃料として消費することができる。
【0016】
更に、本発明の請求項
3に記載の車載型パージ装置によれば、第1ガス送給ラインに第1逆止弁が設けられているので、吐出ライン(又は吸入ライン)に向けてガスが逆流するのを防止することができ、また第2ガス送給ラインに第2逆止弁が設けられているので、ガス回収手段に向けてガスが逆流するのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1〜
図6を参照して、本発明に従う車載型パージ装置の一実施形態について説明する。
図1〜
図5において、図示の車載型パージ装置2は、車輌本体4のフレーム6の荷台部に搭載され、車輌本体4が走行することによって所望の工事現場に運搬して使用することができる。
【0019】
このパージ装置2はフレーム6に設置固定された装置ハウジング8を備え、全体として略直方体形状の装置ハウジング8内が第1〜第3空間10,12,14の三つの空間に区画されている。第1空間10は装置ハウジング8内の大部分を占め、この第1空間10の上側に第2空間12が配設され、第1及び第2空間10,12の前側(
図1及び
図2において左側)に第3空間14が配設されている。第1空間10と第2空間12とは第1仕切壁16により仕切られ、この第1仕切壁16に第1連通開口18が設けられている(
図1参照)。また、第1及び第2空間10,12と第3空間14とは第2仕切壁20により仕切られ、この第2仕切壁20に第2連通開口22が設けられている(
図1参照)。
【0020】
第1空間10には、減圧対象空間に存在するガス、例えば都市ガスを吸引圧縮するための吸引圧縮装置24と、この吸引圧縮装置24を駆動させるための圧縮用ガスエンジン26と、圧縮用ガスエンジン26を冷却するためのラジエター28とが配設されている。ラジエター28は、圧縮用ガスエンジン26からの冷却水が循環されるラジエター本体30と、ラジエター本体30を冷却するための冷却ファン32を備えている。圧縮用ガスエンジン26及びラジエター28は、装置ハウジング8の第1空間10の右部(
図1において奥側、
図2において上側、
図3において右側)に配置され、吸引圧縮装置24は、この第1空間10の左側(
図1において手前側、
図2において下側、
図3において左側)に配設されている。尚、圧縮用ガスエンジン26が空冷のものである場合には、このラジエター28は省略することができる。
【0021】
この圧縮用ガスエンジン26の出力部34と吸引圧縮装置24の入力部36とは、駆動連結機構38(
図2参照)を介して駆動連結されている。図示の駆動連結機構38は、圧縮用ガスエンジン26の出力部34に取り付けられた出力プーリ40と、吸引圧縮装置24の入力部36に取り付けられた入力プーリ42と、出力プーリ40及び入力プーリ42を駆動連結する駆動ベルト44とを含み、圧縮用ガスエンジン26からの駆動力が駆動連結機構38(即ち、出力プーリ40、駆動ベルト44及び入力プーリ42)を介して吸引圧縮装置24に伝達される。
【0022】
この吸引圧縮装置24には、ガスを吸い込むための吸入部46と、圧縮したガスを吐出するための吐出部48とが設けられ、吸入部46は吸入ライン50を介して吸引圧縮装置24の吸入側に接続され、吐出部48は吐出ライン52を介して吸引圧縮装置24の吐出側に接続されている。従って、吸引圧縮装置24が作動すると、吸入部46から吸引されたガス(例えば、都市ガス)が吸引圧縮装置24にて圧縮され、圧縮されたガスが吐出部48から吐出される。
【0023】
また、第2空間12には、吸引圧縮装置24の吐出ライン52を流れるガスを冷却するための第1熱交換器54が配設されている。この実施形態では、第2空間12の両側に吸入口56が設けられ、これら吸入口56の内側にそれぞれ第1熱交換器54が配設されている。また、吸引圧縮装置24の吐出ライン52には第2熱交換器58が配設され、第1熱交換器54と第2熱交換器58とが循環ライン60を介して接続され、この循環ライン60に循環ポンプ62が配設されている。この循環ライン60には循環媒体としての例えば水が充填され、循環ポンプ62が作動すると、第1熱交換器54、第2熱交換器58及び循環ライン60を通して循環媒体が循環される。
【0024】
このように構成されているので、第1熱交換器54においては、循環ライン60を流れる循環媒体(例えば、水)と第2空間12を流れる空気との間で熱交換が行われ、循環ライン60を流れる循環媒体が冷却される。また、第2熱交換器58においては、循環ライン60を流れる循環媒体と吸引圧縮装置24の吐出ライン52を流れるガスとの間で熱交換が行われ、吐出ライン52を流れるガスが冷却される。
【0025】
第3空間14の車両本体4の前面側(
図1及び
図2において左側)の上部には排出口64(
図3参照)が設けられ、この実施形態では左右に一対設けられており、各排出口64には開閉扉66(
図1参照)が開閉自在に配設されている。この開閉扉66は自動でもって開閉することができる自動開閉扉から構成されているが、手動でもって開閉することができる手動開閉扉から構成するようにしてもよい。パージ装置2を工事現場などに運搬するときには、開閉扉66は
図1に実線で示す閉状態に保たれる。この閉状態においては、開閉扉66は排出口64を閉塞し、車両の走行中において前面側からの空気が排出口64を通して第3空間14内に流入するのを防止する。また、パージ装置2を用いて後述するようにガス(例えば、都市ガス)をパージするときには、開閉扉66は
図1に一点鎖線で示す開状態に保持される。この開状態においては、開閉扉66は排出口64を開放し、装置ハウジング8の吸入口56から吸い込まれて第2空間12,第1空間10及び第3空間14を流れた空気が排出口64から外部に排出される。
【0026】
このパージ装置2は、更に、パージ装置2で使用する電力を発電するための発電装置68(
図1参照)を備えている。車両本体4のフレーム6の後端部には支持フレーム70が取り付けられ、この支持フレーム70に発電装置68が搭載されている。発電装置68は、例えば手動で起動する形態のものでよく、発電を行う発電機72と、発電機72を駆動するための発電用ガスエンジン74とから構成され(
図4参照)、発電用ガスエンジン74の出力部が発電機72に駆動連結されている。従って、発電用ガスエンジン74が運転されると、発電機72が作動して発電が行われ、発電電力はパージ装置2の制御系に供給されて消費される。
【0027】
このパージ装置2では、圧縮用ガスエンジン26及び発電用ガスエンジン74の燃料として、工事現場における導管76(例えば、埋設導管)を流れる都市ガスが利用される。主として
図4を参照して、吸引圧縮装置24の吐出部48は、導管76における後述の吐出対象空間78(吐出空間)に接続され、吸引圧縮装置24から吐出部48に延びる吐出ライン52にガス送給ライン80が接続され、このガス送給ライン80から分岐する第1分岐ガス送給ライン82(第1ガス送給ラインを構成する)が発電装置68の発電用ガスエンジン74に接続されている。また、ガス送給ライン80から分岐する第2分岐ガス送給ライン84が圧縮用ガスエンジン26に接続されている。
【0028】
尚、この実施形態では、吐出ライン52を流れる都市ガスを圧縮用ガスエンジン26及び発電用ガスエンジン74に送給しているが、このような構成に代えて、吸入ライン50を流れる都市ガスを送給するようにしてもよく、この場合、吸引圧縮装置24から吸入部46に延びる吸入ライン50にガス送給ライン80が接続される。
【0029】
吸引圧縮装置24の吐出ライン52には第1開閉弁86が設けられ、その吸入ライン50には第2開閉弁88が配設されている。また、ガス送給ライン80に第3開閉弁90が配設され、更に、吸入ライン50の所定部位(第2開閉弁88と吸入部46との間の部位)から分岐する大気開放ライン92に第4開閉弁94が設けられている。第1〜第4開閉弁86,88,90,94は、例えば手動操作開閉弁から構成される。尚、この形態では、第1及び第2分岐ガス送給ライン82,84が共通のガス送給ライン80を介して吐出ライン52に接続されているが、このような構成に代えて、第1及び第2分岐ガス送給ライン82,84を直接的に吐出ライン52に接続するようにしてもよく、この場合、第1及び第2分岐ガス送給ライン82,84にそれぞれ第3開閉弁90が設けられる。
【0030】
この実施形態では、吸入圧縮装置24にて漏れたガス(例えば、都市ガス)を発電用ガスエンジン74の燃料として使用するように構成されている。更に説明すると、吸入圧縮装置24は、吸入ライン50を通して吸入されたガスを圧縮して吐出ライン52を通して吐出するが、この圧縮によりガスの圧力が高くなるために、吸入圧縮装置24のシール部(図示せず)を通して漏れるおそれがあり、この漏れたガスは、ガス回収手段96に回収される。図示のガス回収手段96は、ガスを回収する回収タンク98と、吸入圧縮装置24にて漏れたガスを回収タンク98に導く回収ライン100から構成され、この回収ライン100にガス回収送給ライン102(第2ガス送給ラインを構成する)が接続され、その他端側は第1分岐ガス送給ライン82に接続されている。
【0031】
この形態では、第1分岐ガス送給ライン82(具体的には、ガス回収送給ライン102の接続部位よりも上流側)に第1ガバナ装置104が配設され、この第1ガバナ装置104は第1分岐ガス送給ライン82を通して発電用ガスエンジン74に送給される流体の圧力を第1所定圧力(第1ガバナ圧であって、例えば2.0kPa)に設定する。またガス回収送給ライン102に第2ガバナ装置106が配設され、この第2ガバナ装置106は、ガス回収送給ライン102を通して発電用ガスエンジン74に送給される流体の圧力を第2所定圧力(第2ガバナ圧であって、例えば、2.5kPa)に設定する。このように第2ガバナ装置106の第2ガバナ圧を第1ガバナ装置104の第1ガバナ圧よりも大きくすることによって、ガス回収送給ライン102からのガス(例えば、都市ガス)が優先的に発電用ガスエンジン74に送給されるようになり、これによって、吸引圧縮装置24から漏れたガスを燃料として優先的に消費することができる。
【0032】
この形態では、更に、発電用ガスエンジン74に送給されるガス(例えば、都市ガス)が逆流するのを防止するために、第1分岐ガス送給ライン82(具体的には、第1ガバナ装置104とガス回収送給ライン102の接続部位との間の部位)に第1逆止弁108が配設され、またガス回収送給ライン102(第2ガバナ装置106より下流側の部位)に第2逆止弁110が配設されている。第1逆止弁108は、ガスが吐出ライン52に向けて逆流するのを防止し、また第2逆止弁110は、ガスがガス回収手段96に向けて逆流するのを防止する。
【0033】
上述した車載型パージ装置2を用いたガスのパージは、例えば、次の通りにして行われる。主として
図1、
図3及び
図4とともに
図5及び
図6を参照して、例えば、埋設管の如き導管76の特定部位112に支管(図示せず)などを接続する工事を行うときには、この特定部位112の両端側に設けられている第1及び第2流路開閉弁114,116を閉状態にし、この特定部位112を導管76の他の部位から切り離す(第1及び第2流路開閉弁114,116間の特定部位112の空間が減圧対象空間120(減圧空間)となる)。そして、この特定部位112内に存在するガス(例えば、都市ガス)を導管76の隣接部位118内(例えば、第2流路開閉弁116の上流側)(この隣接部位118の空間が吐出対象空間78となる)に吐出して導管76の特定部位112内を減圧するようになる。
【0034】
導管76の特定部位112内からガスをパージするときには、導管76の特定部位112側の開閉弁122(この場合、吸入側開閉弁として機能する)に吸入部46を接続するとともに、その隣接部位118側の開閉弁126(この場合、吐出側開閉弁として機能する)に吐出部48を接続する(吸引圧縮装置24の導管76への接続:S1)。導管76内の流路を開閉するために取り付けられる第1及び第2流路開閉弁114,116などでは、
図4及び
図5に示すように、例えば、第2流路開閉弁116に関連して、その片側に減圧対象空間120に連通する接続短管部124(この場合、吸入短管部124として機能する)及び開閉弁122(例えば、吸入側開閉弁122)が設けられ、またその他側に吐出対象空間78に連通する接続短管部128(この場合、吐出短管部128として機能する)及び開閉弁126(吐出側開閉弁126)が設けられており(尚、理解を容易にするために、第1流路開閉弁114に関連して設けられる開閉弁などは省略している)、これら接続短管部124,128(例えば、吸入短管部124,吐出短管部128)を利用して上述した接続が行われる。尚、このとき、吸入側開閉弁122及び吐出側開閉弁126は閉状態に保持されている。
【0035】
かく接続すると、吸引圧縮装置24の吸入ライン50が吸入側開閉弁122を介して導管76の減圧対象空間120(減圧空間)に接続され、またその吐出ライン52が吐出側開閉弁126を介してその吐出対象空間78(吐出空間)に接続される。このように接続した後に、パージ装置2を次のようにして運転させて特定部位112内のガスを隣接部位118内に吐出させて減圧する。
【0036】
パージ装置2を稼働させるには、まず、吐出側開閉弁126を開操作してこれを開状態にし(吐出側開閉弁126の開操作:S2)、また第1開閉弁86を開操作してこれを開状態にし(第1開閉弁86の開操作:S3)、更に第3開閉弁90を開操作してこれを開状態にする(第3開閉弁90の開操作:S4)。このように開操作すると、導管76の吐出対象空間78内のガス(例えば、都市ガス)が吐出ライン52を通してガス送給ライン80に流れ、このガス送給ライン80から第1分岐ガス送給ライン82を通して発電装置68の発電用ガスエンジン74に送給されるとともに、第2分岐ガス送給ライン84を通して圧縮用ガスエンジン26に送給される。
【0037】
その後、発電用ガスエンジン74を手動で作動させる(発電用エンジン74の稼働:S5)。かく作動させると、第1分岐ガス送給ライン82を通して送給されたガス(例えば、都市ガス)が発電用ガスエンジン74に供給される。このガスエンジン74にはゼロガバナ装置130が設けられ、発電用ガスエンジン74に供給されるガスの圧力がほぼ大気圧に維持され、このように圧力調整されたガスが供給されて発電用ガスエンジン74が運転される。発電用ガスエンジン74が稼働すると、発電機72が作動して発電が行われ、発電された電力がパージ装置2の制御系などに供給され、この発電電力を利用してパージ装置2の運転制御が行われる。
【0038】
次いで、第2開閉弁88を開操作して開状態にし(第2開閉弁88の開操作:S6)、更に第4開閉弁94を開操作して開状態にする(第4開閉弁94の開操作:S7)。かく操作すると、導管76の吐出対象空間78から吐出ライン52に流れたガス(例えば、都市ガス)が吸引圧縮装置24、吸入ライン50及び大気開放ライン92を通して流れ、これにより、吐出ライン52、吸引圧縮装置24、吸入ライン50に存在する空気が大気開放ライン92を通して大気中に排出される。
【0039】
このようにして空気が排出された後に、第4開閉弁94を閉操作して閉状態にし(第4開閉弁94の閉操作:S8)、吐出対象空間78からのガスがこの大気開放ライン92を通して大気中に放出されるのを防止する。
【0040】
しかる後、吸入側開閉弁122を開操作して開状態にする(吸入側開閉弁122の開操作:S9)。そして、圧縮用ガスエンジン26を作動させる(圧縮用ガスエンジン26の稼働:S10)。かく作動させると、第2分岐ガス送給ライン84を通して送給されたガス(例えば、都市ガス)が圧縮用ガスエンジン26に供給される。このガスエンジン26には、上述したと同様に、ゼロガバナ装置132が設けられ、圧縮用ガスエンジン26に供給されるガスの圧力がほぼ大気圧に維持され、このように圧力調整されたガスが供給されて圧縮用ガスエンジン26が運転される。圧縮用ガスエンジン26が稼働すると、圧縮用ガスエンジン26からの駆動力が駆動連結機構38を介して吸引圧縮装置24に伝達され、この吸引圧縮装置24が作動してパージ装置2のパージ運転が行われる(パージ運転:S11)。
【0041】
パージ運転においては、導管76の減圧対象空間120(減圧空間)内のガス(例えば、都市ガス)が吸入ライン50を通して吸引され、かく吸引されたガスは吸引圧縮装置24によって圧縮され、圧縮されたガスは吐出ライン52を通して導管76の吐出対象空間78(突出空間)に吐出され、このようにして減圧対象空間120内のガスが吐出対象空間78に吐出されて減圧され、このパージ運転状態においては、減圧対象空間120から吸引圧縮装置24を通して吐出ライン52を流れるガスの一部がガス送給ライン80に流れ、ガス送給ライン80から第1分岐ガス送給ライン82を通して発電用ガスエンジン74に送給されるとともに、第2分岐ガス送給ライン84を通して圧縮用ガスエンジン26に送給される。
【0042】
このパージ運転においては、また、循環ポンプ62が作動され、第1及び第2熱交換器54,58並びに循環ライン60を通して循環媒体が循環され、吐出ライン52を流れるガス(例えば、都市ガス)が第2熱交換器58にて循環媒体との間で熱交換され、熱交換により冷却されたガスが吐出ライン52を通して吐出対象空間78に吐出される。
【0043】
また、吸引圧縮装置24にて漏れたガス(例えば、都市ガス)は、回収ライン100を通して回収タンク98に回収され、かく回収されたガスは、ガス回収送給ライン102を通して第1分岐ガス送給ライン82に送給される。このとき、第1ガバナ装置104の第1ガバナ圧が第2ガバナ装置106の第2ガバナ圧よりも小さいので、ガス回収送給ライン102からのガスが優先的に第1分岐ガス送給ライン82を通して発電用ガスエンジン74に送給され、吸引圧縮装置24で漏れたガスが発電用ガスエンジン74の燃料として消費される。
【0044】
以上、本発明に従う車載型パージ装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0045】
例えば、上述した実施形態では、吸入圧縮装置24にて漏れたガス(例えば、都市ガス)を発電用ガスエンジン74の燃料として使用するようにしているが、このような構成に代えて、或いはこのような構成に加えて、この漏れたガスを圧縮用ガスエンジン26の燃料として使用するようにすることもできる。
【0046】
また、例えば、上述した実施形態では、ガス回収手段96を回収タンク98及び回収ライン100から構成しているが、この回収タンク98を省略するようにしてもよく、この場合、回収ライン100を通して回収されたガス(例えば、都市ガス)がそのままガス回収送給ライン102を通して第1分岐ガス送給ライン82に送給される。