(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の態様に係る流量計測装置は、流体が流れ込む流入口と該流体が流出する流出口との間において並列に設けられ、順序が設定された複数の計測流路と、前記複数の計測流路のそれぞれに対応して設けられ、当該計測流路を流通する流体の流量である個別流量を計測する個別流量計測部と、前記個別流量計測部によって求められた個別流量に基づき、前記流入口から前記流出口を流通する流体の流量を求める総流量演算部と、を備え、複数の前記個別流量計測部には互いに識別するための識別情報が付与されており、前記総流量演算部は、前記個別流量計測部の識別情報を、当該個別流量計測部が設けられた前記計測流路の設定順序に従って登録し、かつ、前記個別流量計測部の識別情報と、当該個別流量計測部が設けられた前記計測流路の設定順序と、を対応付けて記憶するように構成されている。
【0010】
この構成によれば、個別流量計測部の識別情報は、当該個別流量計測部が設けられた計測流路の設定順序に従って登録される。このため、計測流路の設定順序は、識別情報を登録する順序(登録番号)に相当する。これにより、個別流量計測部は、計測した個別流量と合わせて自己の識別情報または登録番号を総流量演算部へ送信すると、この識別情報または登録番号を介して計測流路の設定順序と計測流路の個別流量とが対応付けられる。よって、個別流量と、この個別流量を計測する計測流路の位置(設定順序)とを簡単に管理することができる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る流量計測装置は、本発明の第1の態様の構成において、前記総流量演算部は、前記計測流路の設定順序と、当該計測流路の配置情報とを対応付けて予め記憶する記憶部を有し、前記総流量演算部は、前記個別流量計測部の識別情報と、当該個別流量計測部が設けられた前記計測流路の設定順序と、当該計測流路の配置情報とを対応付けて前記記憶部に記憶するように構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、総流量演算部において、計測流路の設定順序と、計測流路の配置情報とが対応付けて予め記憶されている。これにより、個別流量計測部の識別情報、登録番号および計測流路の個別流量が対応付けられたら、識別情報または登録番号を介して計測流路の個別流量と計測流路の配置情報とが対応付けられる。よって、個別流量と、この個別流量を計測する計測流路の位置(配置情報)とを簡単に管理することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る流量計測装置は、本発明の第1または2の態様の構成において、前記総流量演算部は、対応付けて記憶した前記個別流量計測部の識別情報と前記計測流路の設定順序とを送信し、当該識別情報に一致する前記個別流量計測部は前記計測流路の設定順序を受信して記憶するように構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、個別流量計測部は、当該個別流量計測部が設けられた前記計測流路の設定順序を記憶する。そして、個別流量計測部は、個別流量などの情報の送信の際に、自己を識別する情報として登録番号を送信する。この登録番号が識別情報より情報量が小さい場合、送信される情報量の全体が小さくなり、通信時間や処理時間などが低減される。
【0015】
本発明の第4の態様に係る流量計測装置は、本発明の第1〜3のいずれか1つの態様の構成において、前記総流量演算部および前記個別流量計測部のそれぞれと接続し、前記個別流量計測部の識別情報を伝送する第1配線と、前記個別流量計測部を前記計測流路の設定順序に従って直列に接続し、前記総流量演算部と前記個別流量計測部のうちの端に接続される第1個別流量計測部とを接続し、タイミング信号を伝送する複数の第2配線と、をさらに備え、前記総流量演算部は前記第1個別流量計測部へ前記タイミング信号を前記第2配線を介して出力し、前記第1個別流量計測部が前記総流量演算部へ当該第1個別流量計測部の識別情報を前記第1配線を介して送信した後、前記各個別流量計測部は後続する前記個別流量計測部へ前記タイミング信号を前記第2配線を介して出力し、後続する前記個別流量計測部が前記総流量演算部へ当該個別流量計測部の識別情報を前記第1配線を介して送信するように構成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、個別流量計測部の識別情報が順次送信される。このため、これらが同時に送信された場合に懸念される通信情報の衝突が防止され、識別情報を確実に登録することができる。
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その構成、作用おおび効果の説明については省略する。
【0018】
(流量計測装置の構成)
図1は、本実施の形態1に係る流量計測装置100の構成を概略的に示す平面図である。
図2は、流量計測装置100における計測流路28a〜28lを概略的に示す斜視図である。
図3は、流量計測装置100における総流量演算部36および個別流量計測部34を示すブロック図である。
【0019】
流量計測装置100は、
図1に示すように、たとえば、ガスなどの流体が流れる配管10の途中に設置されて、この流体が配管10を流れる流量を計測するメータである。流量計測装置100は、流入口12、流出口14、遮断弁15、流路ユニット16、電池18、表示部20および電子回路基板22を備える。
【0020】
流入口12は、ガス配管10から流量計測装置100へガスが流れ込む入り口であって、ガス供給側のガス配管10に接続されている。流出口14は、流量計測装置100からガス配管10へガスが流れ出る出口であって、ガス消費側のガス配管10に接続されている。遮断弁15は、流路ユニット16の流路を塞ぎ、ガスの流れを遮断するものである。表示部20は、流路ユニット16で計測されたガスの流量を表示する表示器であって、たとえば、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイなどが用いられる。電池18は、電子回路基板22に接続され、流量計測装置100内の各部に駆動電力を供給する。流路ユニット16は、入口バッファ26、複数の計測流路28、出口バッファ30およびセンサ32を備えている。
【0021】
計測流路28は、流量計測装置100を流通するガスの流量を計測するための流路である。計測流路28の数は、ガス配管10を流れるガスの流量に応じて選択される。この実施の形態1では、たとえば、
図2に示すように、12本の第1〜第12計測流路28a〜28lが計測流路28として流路ユニット16に設けられている。この12本の第1〜第12計測流路28a〜28lには順序が設定されている。この設定順序には、たとえば、
図2の点線の矢印で示すように、隣接する計測流路28を繋ぐように並べた順序が用いられる。
【0022】
計測流路28は、
図1に示すように、その上流側の入口バッファ26およびその下流側の出口バッファ30とそれぞれ連通し、これらの間に並列に配置されている。従って、流入口12から流入したガスは、複数の計測流路28に分かれて流れる。この流れるガスの流量を測定するためのセンサ32が各計測流路28のそれぞれに設けられる。このセンサ32には、ガスの流量を測定する方法に応じて、超音波センサ、電子的な検出原理を利用したフローセンサ、あるいはフルイディクセンサなどが用いられる。このセンサ32として超音波センサを用いる場合は、各計測流路28に、2つの超音波センサ32がペアにして設けられる。即ち、互いに対向するように、一方の上流側超音波センサ32aは計測流路28の上流側側壁に、他方の下流側超音波センサ32bは計測流路28の下流側側壁に設けられる。各センサ32は、電子回路基板22における後述する個別流量計測部34に接続され、検出信号を個別流量計測部34へ出力する。
【0023】
電子回路基板22は、
図3に示すように、総流量演算部36の機能を実現する制御装置と第1接続端子42とが搭載されている電子回路基板、および、個別流量計測部34の機能を実現する制御装置と入力側接続端子44aと出力側接続端子44bとが搭載されている電子回路基板を含む。各制御装置は、演算処理機能を備えるものであればよく、たとえば、マイクロコントローラ、CPU、MPU、論理回路、PLC(Programmable Logic Controller)等が例示される。総流量演算部36および複数の個別流量計測部34のそれぞれは、第1配線38および第2配線40により接続されている。
【0024】
ここで、複数の個別流量計測部34は、この実施の形態1では、計測流路28の数と同じ、12個の第1〜第12個別流量計測部34が設けられている。第1〜第12個別流量計測部34が、第1〜第12計測流路28a〜28lの設定順序に従って、第2配線40により互いに直列的に接続されている。このため、第1〜第12計測流路28の設定順序と、第1〜第12個別流量計測部34の直列接続の並ぶ順とが一致している。
【0025】
第1個別流量計測部34は、第1〜第12個別流量計測部34のうちで唯一、第2配線40によって総流量演算部36に直接接続される個別流量計測部34である。また、第n個別流量計測部34に後続する個別流量計測部34は、第2配線40によって第n個別流量計測部34に直接接続される第n+1個別流量計測部34である。
【0026】
第1配線38は、総流量演算部36および複数の個別流量計測部34のそれぞれが個別流量計測部34の識別情報などの通信情報をそれぞれ伝送するための回線である。
図3の二重線で示すように、第1配線38は、総流量演算部36の第1接続端子42と後続する第1個別流量計測部34の入力側接続端子44aとの間、第n個別流量計測部34内の入力側接続端子44aと出力側接続端子44bとの間、及び、第n個別流量計測部34の出力側接続端子44bと後続する第n+1個別流量計測部34の入力側接続端子44aとの間をそれぞれ接続している。また、第1配線38は、第1接続端子42と総流量演算部36との間、及び、入力側および出力側接続端子44a、44bと個別流量計測部34との間を接続している。このように、第1配線38は、総流量演算部36および複数の個別流量計測部34のそれぞれをバス配線形式に接続する。
【0027】
第2配線40は、総流量演算部36および複数の個別流量計測部34のそれぞれが、タイミング信号を後続する個別流量計測部34へ伝送するための回線である。
図3の破線で示すように、第2配線40は、総流量演算部36とその第1接続端子42との間、総流量演算部36の第1接続端子42と第1個別流量計測部34の入力側接続端子44aとの間、及び、この入力側接続端子44aと第1個別流量計測部34との間を接続する。また、第2配線40は、第n個別流量計測部34とその出力側接続端子44bとの間、この出力側接続端子44bと第n+1個別流量計測部34の入力側接続端子44aとの間、及び、この入力側接続端子44aと第n+1個別流量計測部34との間をそれぞれ接続している。このように、複数(この実施の形態1では、12本)の第2配線40は、個別流量計測部34を計測流路28の設定順序に直列に接続し、また、複数の個別流量計測部34のうち最初に並ぶ第1個別流量計測部34と総流量演算部36とを接続する。
【0028】
総流量演算部36は、複数の個別流量計測部34によって求められた個別流量に基づき、流入口12から流出口14を流通する流体の流量を求める。総流量演算部36は、始動部46、カウント部48、第1送受信部50、第1出力部52、第1制御部54および第1記憶部56を有する。
【0029】
始動部46は、後述する登録動作を開始させる指示情報を取得する。たとえば、作業員がスイッチ(図示せず)を押したり通信電文を伝送したりすることにより、そのスイッチまたは通信電文に応じた動作開始の指示情報を始動部46は取得してこれを第1制御部54へ出力する。カウント部48は、登録動作が開始されてからの経過時間を計測し、第1制御部54からの信号に応じて経過時間を第1制御部54へ出力する。第1送受信部50は、第1配線38により第1接続端子42と接続し、各個別流量計測部34からの情報を受信したり、各個別流量計測部34へ情報を送信したりする。第1出力部52は、登録動作の際に、第2配線40により後続する第1個別流量計測部34へタイミング信号を送信する。第1制御部54は、総流量演算部36における各部を制御する。
【0030】
第1記憶部56は、たとえば、第1制御部54がアクセス可能なRAMまたはROMなどの記憶装置である。第1記憶部56は、第1配線38により総流量演算部36に接続されている個別流量計測部34の数(設定数、この実施の形態では12台)を予め記憶している。また、第1記憶部56は、
図4に示すように、複数の計測流路28のそれぞれの配置情報と、登録番号とを対応付けて予め記憶している。
【0031】
この各計測流路28の配置情報は、各計測流路28の位置を特定する位置情報である。たとえば、計測流路28の配置情報としては、
図2に示すように、たとえば、12本の計測流路28が縦方向に4段並び、横方向に3列並ぶ流路ユニット16において、縦方向の上からの位置を「段目」で表し、横方向の左からの位置を「列目」で表している。また、登録番号は、個別流量計測部34の識別情報が登録する順序である。この登録は、後述するように、計測流路28の設定順序に従って行われる。このため、登録番号は、計測流路28の設定順序に相当する。つまり、登録番号:nは、第n個別流量計測部34の識別情報が登録される順:「n」番目と、この第n個別流量計測部34により計測される第n計測流路28の設定順序:「n」番目とを表す。たとえば、
図2の紙面において左上に位置する第1計測流路28については、
図4に示すように、その配置が「1段目1列目」であって、第1計測流路28の設定順序および登録番号が「1」である。第1計測流路28の隣に位置する第2計測流路28については、
図4に示すように、その配置が「1段目2列目」であって、計測流路28が2番目に並べられていて、かつ識別情報が2番目に登録されるため、その登録番号は「2」である。
【0032】
複数の個別流量計測部34は、複数の計測流路28のそれぞれを流通する流体の流量である個別流量を計測する。個別流量計測部34は、計測部58、第2送受信部60、入力部62、第2出力部64、第2制御部66および第2記憶部68を有する。
【0033】
計測部58は、計測流路28に設けられたセンサ32に接続され、センサ32による検出された値に基づいて個別流量を計測する。このセンサ32に、たとえば、2つの超音波センサ32a、32bが用いられた場合、計測部58が制御信号を出力すると、2つの超音波センサ32a、32bのそれぞれが超音波を出力する。そして、下流側超音波センサ32bは、上流側超音波センサ32aから出力された超音波を検知すると、検知信号を計測部58へ出力する。同様に、上流側超音波センサ32aは、下流側超音波センサ32bから出力された超音波を検知すると、検知信号を計測部58へ出力する。計測部58は、それぞれの超音波の到達時間を計測し、到達時間の差から計測流路28を流れるガスの流速を求める。そして、計測部58は、流速に計測流路28の断面積をかけあわせて流量を求め、この流量を個別流量として第2制御部66へ出力する。第2制御部66は、当該個別流量計測部34における各部を制御する。
【0034】
第2送受信部60は、入力側接続端子44aおよび出力側接続端子44bに繋がる第1配線38に接続し、総流量演算部36からの情報を受信したり、総流量演算部36へ情報を送信したりする。第1個別流量計測部34の入力部62は、登録動作の際に、第2配線40により接続されている総流量演算部36の第1出力部52からのタイミング信号を受信し、第2出力部64から次の第2個別流量計測部34へタイミング信号を送信する。また、第n(ここでは、nは2以上の整数)個別流量計測部34の入力部62は、登録動作の際に、第2配線40により接続されている第n−1個別流量計測部34の第2出力部64からのタイミング信号を受信する。そして、第n個別流量計測部34の第2出力部64は、登録動作の際に、第2配線40により次に接続される第n+1個別流量計測部34へタイミング信号を送信する。
【0035】
第2記憶部68は、第2制御部66がアクセス可能な記憶装置であって、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリが用いられる。第2記憶部68は、当該個別流量計測部34の識別情報を予め記憶している。この識別情報は、個別流量計測部34を識別するために予め定められている情報であって、たとえば、電子回路基板22や制御装置などの製品のシリアル番号が用いられる。また、登録動作により、第2記憶部68は、個別流路計測部58の識別情報と対応付けて、当該個別流路計測部58により個別流量が計測される計測流路28の登録番号を記憶する。
【0036】
(流量計測装置における登録動作)
図5は、流量計測装置100における総流量演算部36の登録動作に関する制御の一例を示すフローチャートである。
図6は、流量計測装置100の登録処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
流量計測装置100が初めて構成された場合や故障などの原因で新たな個別流路計測部58が流量計測装置100に搭載された場合、計測流路28の位置と個別流路計測部58とを対応付ける必要がある。このため、総流量演算部36において、始動部46は、登録動作を開始する指示情報を受けて第1制御部54へ出力する。これに応じて、第1制御部54は、
図5に示すように、登録動作の開始からの経過時間の計測をカウント部48に開始させる(ステップS1)。これに伴い、
図6に示す登録処理を開始する(ステップS2)。
【0038】
図6に示す登録処理では、まず、総流量演算部36の第1制御部54が登録動作のタイミング信号を第1出力部52から出力させる(ステップS11)。このタイミング信号は第2配線40を通じて第1個別流量計測部34の入力部62へ入力される。
【0039】
第1個別流量計測部34では、入力部62が登録動作のタイミング信号を受けて第2制御部66へ出力する。これに応じて、第2制御部66は、第2記憶部68から第1個別流量計測部34の識別情報「SN123456」を取得し、これを第2送受信部60から第1配線38を通じて総流量演算部36へ送信する(ステップS12)。総流量演算部36において、第1送受信部50がこの識別情報を受けると、第1制御部54は受信した識別情報を登録番号と対応付けて第1記憶部56に記憶する(ステップS13)。この場合、1番目の登録であるため、登録番号は「1」となる。即ち、ステップS13において総流量演算部36は、最初に受信した個別流量計測部34の識別番号を、未登録の登録番号のうち最も小さいものと対応付けて第1記憶部56に記憶する。第1記憶部56では、
図4に示すように、登録番号「1」は、計測流路28の配置情報「1段目1列目」と予め対応付けられている。これにより、識別情報「SN123456」は、登録番号「1」を介して計測流路28の配置情報「1段目1列目」と対応付けられて登録される。
【0040】
そして、第1制御部54は、登録番号および識別情報を第1送受信部50から送信する(ステップS14)。これらの情報は第1配線38により全ての個別流量計測部34へ送信されるが、識別情報の一致する個別流量計測部34のみがこれらの情報を取得する。このため、第1個別流量計測部34は第1送受信部50を介して受信した上記の情報により、この情報に含まれる登録番号「1」と識別情報「SN123456」とを対応付けて第2記憶部68へ記憶する(ステップS15)。このように、第1個別流量計測部34において登録番号の設定が完了すると、第2制御部66は、設定完了を示す情報を第1送受信部50から第1配線38を通じて総流量演算部36へ送信する(ステップS16)。
【0041】
この
図6におけるステップS11からステップS16までの登録処理を、第2配線40により直列に接続された設定順序に個別流量計測部34は繰り返す。このため、第n個別流量計測部34の登録処理が終了すると、これに対して第2配線40により直接接続される第n+1個別流量計測部34が登録処理を実行する。具体的には、第n個別流量計測部34の第2制御部66は、タイミング信号を第2出力部64から出力する(ステップS17)。これにより、第n+1個別流量計測部34において、入力部62がタイミング信号を第2配線40を介して受け、第2制御部66は、第2記憶部68から識別情報を取得して第2送受信部60から送信する(ステップS18)。総流量演算部36において、第1送受信部50が識別情報を受けると、第1制御部54は識別情報を登録番号と対応付けて第1記憶部56に記憶する(ステップS19)。この場合、「n」までの登録番号に対応付けて識別情報が第1記憶部56に記憶されているため、次の登録番号「n+1」に対応させて第n+1個別流量計測部34の識別情報が記憶される。これにより、
図4に示すように、個別流量計測部34の識別情報が計測流路28の配置情報と対応して登録番号を介して記憶され登録される。次に、この登録番号および識別情報が第1送受信部50から送信される(ステップS20)。そして、この識別情報の一致する第n+1個別流量計測部34がこれらの情報を取得し、識別情報と対応付けて登録番号「n+1」を第2記憶部68へ記憶する(ステップS21)。これにより、設定完了を示す情報が第1送受信部50から総流量演算部36へ送信される(ステップS22)。これにより、第n+1個別流量計測部34についての登録処理が完了する。
【0042】
また、このような
図6に示す登録処理の実行と共に、
図5に示すように、総流量演算部36では、第1制御部54は登録動作の経過時間が所定時間に達しているか否かをカウント部48の情報に基づいて判定する(ステップS3)。この経過時間が所定時間に達していない間は(ステップS3:NO)、
図6の登録処理を最後の個別流量計測部34の登録が完了するまで継続する。一方、経過時間が所定時間に達すると(ステップS3:YES)、第1制御部54は、登録処理を終了し(ステップS4)、その登録処理が終了している個別流量計測部34の数が、第1記憶部56に予め記憶されている個別流量計測部34の設定数と一致するか否かを判定する(ステップS5)。これらの数が一致していれば(ステップS5:YES)、全ての個別流量計測部34の識別情報が登録番号および計測流路28の配置情報と対応付けて登録されたとして、登録動作を終了する。一方、これらの数が一致していなければ(ステップS5:NO)、第1制御部54は登録動作を再試行する。このため、第1制御部54は、第1記憶部56に記憶されている識別情報を削除し、かつ、個別流量計測部34の第2記憶部68に記憶されている登録番号を削除した上でステップ1の処理に戻る。この再試行は、所定の回数行われる。
【0043】
登録番号を削除する場合、総流量演算部36は、登録番号を削除する指示情報を第1配線38を通じて各個別流量計測部34へ送信する。この指示情報を受け、各個別流量計測部34は、記憶している登録番号を第2記憶部68から削除する。また、総流量演算部36も、第1記憶部56に記憶している個別流量計測部34の識別情報を削除する。
【0044】
このような登録動作後、総流量演算部36は個別流量計測部34に計測開始指示を送信し、個別流量計測部34はこれを受けて個別流量を求めて個別流量および登録番号で総流量演算部36へ応答する。この総流量演算部36による計測開始指示の送信および個別流量計測部34による個別流量および登録番号の応答を順次繰り返す。そして、総流量演算部36は全ての個別流量計測部34から個別流量を取得すると、これらに基づいて流量計測装置100の総流量を求める。
【0045】
(作用、効果)
総流量演算部36は個別流路計測部34の識別情報を計測流路28の設定順序に従って登録している。この計測流路28の設定順序は識別情報を登録する順序(登録番号)に等しくなる。よって、総流量演算部36は、個別流路計測部34の識別情報と計測流路28の配置情報とが登録番号を介して対応付けられる。これにより、総流量演算部36が個別流量計測部34の登録番号と共に個別流量を受信すると、登録番号に基づいて計測流路28の配置情報(位置)と計測流路28の個別流量とが対応付けられる。
【0046】
また、複数の個別流量計測部34は、流量計測装置100において計測流路28の設定順序に従って第2配線40により直列に接続されている。この接続されている順にタイミング信号が出力され、各個別流量計測部34はタイミング信号に応じて識別情報を送信する。このため、総流量演算部36は識別情報を計測流路28の設定順序に従って受信して登録する。このように、個別流路計測部34は流量計測装置100に設置された後に、登録番号が付与される。したがって、個別流路計測部34を流量計測装置100に設置する前に、各計測流路28に対して専用の個別流路計測部34を用意しておく必要がない。よって、計測流路28毎に専用の個別流路計測部34の在庫を管理する手間が省ける。さらに、個別流量計測部34を交換した場合などでも、最初の設定時と同じ登録動作を実行することにより、各個別流量計測部34に新たな登録番号を自動的に付与することができる。
【0047】
さらに、登録動作の経過時間が所定時間に達した時点で、個別流量計測部34の登録数が予め設定されている個別流量計測部34の数と一致するか否かが確認される。これにより、これらが一致しない場合には、流量計測装置100における電子回路基板22や接続端子や配線などの部品の異常を早期に発見することができる。特に、識別情報が登録されていない個別流量計測部34に異常があることがわかるため、異常位置の発見が容易にわかる。
【0048】
また、各個別流量計測部34は、タイミング信号に応じて各個別流量計測部34の識別情報を総流量演算部36へ順次送信している。このため、第1配線38上で識別情報の衝突が発生することがなく、総流量演算部36は全ての個別流量計測部34の識別情報を確実に取得することができる。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態1では、総流量演算部36の第1記憶部56は、
図4に示すように、複数の計測流路28のそれぞれの配置情報と、登録番号とを対応付けて予め記憶していた。これに対し、実施の形態2では、総流量演算部36の第1記憶部56は、
図7に示すように、登録番号を予め記憶している。
図7は、実施の形態2に係る流量計測装置における総流量演算部36に記憶されているデータベースである。
【0050】
第1記憶部56に記憶されている登録番号は、個別流量計測部34の識別番号を登録する順を示すと共に、計測流路28の設定順序を示す。この計測流路28の設定順序に基づいて各計測流路28の位置を特定することができるため、登録番号は、計測流路28の設定順序だけでなく、計測流路28の位置情報も表している。この登録番号は、計測流路28の設定順序に従って第1記憶部56において並べられている。
【0051】
この場合、
図6に示す登録処理では、ステップS13およびS19の処理において、総流量演算部36は、個別流量計測部34からその識別情報を受け、識別情報と登録番号と対応付けて第1記憶部56に記憶する(ステップS13、S19)。この場合、総流量演算部36は、
図7に示すように、受信した個別流量計測部34の識別番号を、未登録の登録番号のうち最も小さいものと対応付けて第1記憶部56に記憶する。この登録番号は、計測流路28の設定順序および位置情報に相当するため、計測流路28の位置情報と、この計測流路28の個別流量を計測する個別識別情報とが対応付けられて登録される。
【0052】
(作用、効果)
個別流量計測部34の登録番号および個別流量が対応付けられており、この登録番号は計測流路28の設定順序および位置情報に相当する。このため、登録番号に基づいて、計測流路28の個別流量と位置情報とを対応付けて簡単に管理することができる。
【0053】
(その他の変形例)
なお、上記全実施の形態では、ガス使用量を計測する流量計測装置100を例に挙げて説明したが、計測対象はガスに限定されるものではなく、流体であればよい。
【0054】
また、上記全実施の形態では、登録動作において、その動作の開始からの開始時間が所定時間を達すると、動作が終了した。これに代えて、各動作を実施した個別流量計測部34の数が設定数に達すると、動作を終了してもよい。
【0055】
さらに、上記全実施の形態では、計測流路28が列をなすように並べた順序に従って計測流路28に順序が設定された。ただし、計測流路28の順序の設定の仕方はこれに限らない。
【0056】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。