(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077348
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】異径ホース継手
(51)【国際特許分類】
F16L 39/02 20060101AFI20170130BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
F16L39/02
F16L33/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-56040(P2013-56040)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-181740(P2014-181740A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390024877
【氏名又は名称】リビングエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰英
(72)【発明者】
【氏名】三上 康之
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭49−019457(JP,Y1)
【文献】
米国特許第06428054(US,B1)
【文献】
米国特許第04886305(US,A)
【文献】
特開平08−105080(JP,A)
【文献】
実開昭59−131690(JP,U)
【文献】
特開2010−043738(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0032471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 39/02
F16L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の異径のホースを繋ぐ、中空と該中空に連通する2つの端部開口(第1の端部開口と第2の端部開口)を有する異径ホース継手であって、
前記異径ホース継手は、
第1の端部開口から中空へ挿入される異径の第1のホースと第2のホースのそれぞれの端部が固定される第1の固定部と第2の固定部を備えており、
第2の端部開口から中空へ挿入される第3のホースの端部が固定される第3の固定部を第1の固定部および第2の固定部とは異なる位置に備えており、
前記第1の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第1の環状の凹溝を備え、該第1の環状の凹溝が第1の固定部となっており、
前記第2の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第2の環状の凹溝を備えており、
第1の環状の凹溝からなる第1の固定部に第2のホースよりも大径の第1のホースの端部が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第2の固定部に第2のホースの端部が固定されるようになっており、
第2の環状の凹溝に環状の断熱材が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第3の固定部に第3のホースの端部が固定されるようになっており、
第1のホースと第2のホースのそれぞれの端部が重ね合わされて第1の端部開口側にて異径ホースからなる二重構造が形成され、
環状の断熱材と第3のホースの端部が重ね合わされて第2の端部開口側にて断熱材とホースからなる二重構造が形成される、異径ホース継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる径のホースもしくは配管を接続する異径ホース継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば寒冷地などでは給湯機や暖房機が室内に載置されており、家屋の壁にウォールトップ(登録商標)を埋設しておき、ウォールトップと給湯機や暖房機を二系統のホース(配管)で繋ぎ、屋外からウォールトップを介して外気を取り込み、一系統のホースを介して給湯機に供給するとともに、給湯機から排気された排ガスを他系統の配管を介し、ウォールトップを介して屋外に排気する給湯システムや暖房システムが用いられているケースが多い。壁に埋設されたウォールトップを介して外気の流入や排ガスの排気を実現したことで、風とともに屋内に吹き込み得る雨水の屋内への侵入を阻止することが可能となる。
【0003】
このウォールトップと給気用のホースや排気用の配管との継手態様は、ウォールトップの本体から突出する管が、給気用の樹脂製のホースと継手を介して接続され、排気用の金属製の配管とビス留めやリベット留め、もしくはロック機構にて接続される態様でおこなわれる。
【0004】
ところで、ホースとしては二重構造(二重管構造)のものが使用されることがあり、二重管を適用することで内側に新鮮な外気を流通させるとともに外管と内管の間に形成された保温層で結露防止を図ることができる。なお、配管を構成する内管に給湯機からの排ガスを流通させ、内管と外管の間に新鮮な外気を流通させる使用態様もある。
【0005】
このようにホースを二重構造としたことでホース自身の結露は防止できる一方で、ホースと継手の接続部やウォールトップの管と継手の接続部にはこのような対策が講じられていないことから、ウォールトップとホースを繋ぐ継手における結露の発生が解決すべき課題となっている。
【0006】
特に、継手はその一端で二重構造のホースを接続するとともに、その他端でウォールトップの一重の管を接続するものであることから、一重の継手部分の結露を有効に防止できる異径ホース継手の開発が急務の課題となっている。
【0007】
ここで、特許文献1には、2つの異径のホースをそれぞれに固有の2つの異径の継手管に形成した螺旋溝に螺入し、各継手管の外周にそれぞれ隆起した環状隆起部を形成し、内周両側を鈍角状に開成したバンドによって2つの環状隆起部同士の突き合わせ部を外周から着脱自在に被嵌してなる異径ホース継手が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、継手の内周面に、一方の基端側管体に挿脱可能に装着したブッシング部材を介してこの基端側管体を係止可能とした係止突部と、他方の電線保護用管体を接続する差込継手体のテーパー状の係止部を係止可能としたカットリング状の抜け止め部材を備えた継手が開示されている。ここで開示されるブッシング部材は、一端開口縁を外方に向けて略U字状に折り返して成るフランジ部を備えており、また、差込継手体は、後部で電線保護用管体を接続可能にし、差込方向前部のテーパー状の係止部によって、継手の本体内における抜け止め部材を拡径して差込継手体自体を進入させ、縮径した抜け止め部材を係止溝に係止可能となっている。
【0009】
また、特許文献3には、小口径管の接続端部に形成したフランジ部と大口径管の接続端部との間に、フランジ部に当接するパッキン材と、大口径管の接続端部の内部に収納されてパッキン材をフランジ部側に押圧する受用継手を介在させ、小口径管の接続端部に嵌め込まれてフランジ部にて抜け止めされた袋ナットを大口径管の接続端部の外ねじに螺着させてなる配管の接続構造が開示されている。
【0010】
さらに、特許文献4には、ジョイント本体と、第1および第2ナットと、第1および第2フェラールと、第1および第2シールリングにて構成し、第1および第2ナットの締め込みで第1および第2シールリングによって第1管および第2管を抜け落ちないように保持するとともに、第1および第2ナットを緩めて第1管および第2管をジョイントから抜き出すことを可能にした管継手が開示されている。
【0011】
上記特許文献1〜4で開示の継手はいずれも、2つの管もしくはホースと直接繋がれる2つの部材を別途の部材で繋いだ構成を適用していることから、部材点数の増加やこれに起因して継手にてホースを繋ぐ際の組み付け手間がかかり、改善の余地のある技術であることは否めない。
【0012】
さらに、上記する従来技術の有する課題、すなわち、結露を有効に防止できる異径ホース継手を提供するものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実用新案登録第2544039号公報
【特許文献2】実用新案登録第3151387号公報
【特許文献3】実開平6−14673号公報
【特許文献4】実開平6−1971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、少ない部品点数で結露を有効に防止しながら異径のホースを繋ぐことのできる異径ホース継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成すべく、本発明による異径ホース継手は、2以上の異径のホースを繋ぐ、中空と該中空に連通する2つの端部開口(第1の端部開口と第2の端部開口)を有する異径ホース継手であって、前記異径ホース継手は、第1の端部開口から中空へ挿入される異径の第1のホースと第2のホースのそれぞれの端部が固定される第1の固定部と第2の固定部を備えており、第2の端部開口から中空へ挿入される第3のホースの端部が固定される第3の固定部を第1の固定部および第2の固定部とは異なる位置に備えているものである。
【0016】
本発明の異径ホース継手は、1つの継手本体で2以上の異径のホースを繋ぐものであり、したがって、部品点数を最小としながら、全てのホースを繋ぐ際の組み付け手間のかからない異径ホース継手である。ここで、以下、「ホース」とは、樹脂製のホースのほか、金属製の配管も含むものとする。
【0017】
この異径ホース継手は、その継手本体がたとえば筒状を呈しており、継手本体の2つの端部開口の一方からたとえば二重構造のホースを構成する内側ホースと外側ホースが継手本体に設けられた2つの固定部(第1、第2の固定部)にそれぞれ固定されるようになっている。なお、この固定態様は、勘合による固定や継手本体と各ホースのそれぞれにネジ溝が形成されていて螺合による固定などを挙げることができる。
【0018】
また、二重構造のホースとは異なる別途のホース、たとえばウォールトップの一部をなす管が継手本体の2つの端部開口の他方から挿入され、第1、第2の固定部とは異なる別途の第3の固定部にて固定されるようになっている。
【0019】
上記する第1、第2、第3の固定部はそれぞれ、本体の中空壁面に形成されたり、継手本体の肉厚にたとえば環状の凹溝として形成されることで各種のホースと勘合もしくは螺合されるようになっている。
【0020】
いずれの形態にせよ、1つの継手本体の3つの異なる固定部に異径の3つのホースが繋がれることになる。
【0021】
また、本発明による異径ホース継手の他の実施の形態として、前記異径ホース継手は、前記第1の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第1の環状の凹溝を備え、該第1の環状の凹溝が第1の固定部となっており、前記第2の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第2の環状の凹溝を備えており、第1の環状の凹溝からなる第1の固定部に第2のホースよりも大径の第1のホースの端部が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第2の固定部に第2のホースの端部が固定されるようになっており、第2の環状の凹溝に環状の断熱材が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第3の固定部に第3のホースの端部が固定されるようになっており、第1のホースと第2のホースのそれぞれの端部が重ね合わされて第1の端部開口側にて異径ホースからなる二重構造が形成され、環状の断熱材と第3のホースの端部が重ね合わされて第2の端部開口側にて断熱材とホースからなる二重構造が形成される形態を挙げることができる。
【0022】
本実施の形態の異径ホース継手は、第1の端部開口の構成として、端部の環状の肉厚内に第1の環状の凹溝を有し、この第1の環状の凹溝が第1の固定部となっており、その内側の中空の壁面に第2の固定部が形成され、第1の環状の凹溝からなる第1の固定部に第2のホースよりも大径の第1のホースの端部が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第2の固定部に第2のホースの端部が固定され、第1のホースと第2のホースのそれぞれの端部が重ね合わされて第1の端部開口側にて異径ホースからなる二重構造が形成され、この二重構造によって第1の端部開口側にて結露防止が図られるものである。なお、本明細書において、「重ね合わされて」とは、たとえば2つの異径のホースが直接重ね合わされるというよりは、間隔を置いて重ね合わされる形態を意味している。
【0023】
一方、第2の端部開口の構成として、端部の環状の肉厚内に第2の環状の凹溝を有し、第2の環状の凹溝に環状の断熱材が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第3の固定部に第3のホースの端部が固定され、環状の断熱材と第3のホースの端部が重ね合わされて第2の端部開口側にて断熱材とホースからなる二重構造が形成され、この二重構造によって第2の端部開口側にて結露防止が図られるものである。なお、ここでいう第3のホースとしては、たとえばウォールトップの一部をなす金属製の配管を挙げることができる。
【0024】
このように、本実施の形態の異径ホース継手によれば、筒状の継手本体の2つの端部開口のそれぞれに二重構造の結露防止措置が施されていることから、既述するように1つの部材で2以上の異径のホースを繋ぐことで部品点数を最小としながら、結露を効果的に防止することが可能となる。
【0025】
また、本発明による異径ホース継手のさらに他の実施の形態は、前記異径ホース継手は、第2の端部開口から中空へ挿入される第3のホースとは別途の第4のホースの端部が固定される第4の固定部を、第1の固定部、第2の固定部および第3の固定部とは異なる位置に備えており、前記第1の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第1の環状の凹溝を備え、該第1の環状の凹溝が第1の固定部となっており、前記第2の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第2の環状の凹溝を備え、該第2の環状の凹溝が第4の固定部となっており、第1の環状の凹溝からなる第1の固定部に第2のホースよりも大径の第1のホースの端部が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第2の固定部に第2のホースの端部が固定されるようになっており、第2の環状の凹溝からなる第4の固定部に第3のホースよりも大径の第4のホースの端部が固定され、その内側の中空の壁面に形成された第3の固定部に第3のホースの端部が固定されるようになっており、第1のホースと第2のホースのそれぞれの端部が重ね合わされて第1の端部開口側にて異径ホースからなる二重構造が形成され、第3のホースと第4のホースのそれぞれの端部が重ね合わされて第2の端部開口側にて異径ホースからなる二重構造が形成されるものである。
【0026】
本実施の形態の異径ホース継手は、ウォールトップと給湯機を繋いで新鮮な外気を給湯機に提供するためのホースを二重構造とすることに加えて、ウォールトップから突出して異径ホース継手に繋がれる管も二重構造とし、これら二種の二重構造のホース(もしくは管)を1つの異径ホース継手の2つの端部開口のそれぞれに繋ぐ際に適用されるものである。
【0027】
第1の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第1の環状の凹溝を備えてこの第1の環状の凹溝を第1の固定部とし、第2の端部開口を形成する端部の環状の肉厚内に第2の環状の凹溝を備えてこの第2の環状の凹溝が第4の固定部とする。
【0028】
そして、第1の環状の凹溝からなる第1の固定部の内側の中空の壁面に第2の固定部を形成しておき、第1のホースと第2のホースをそれぞれ第1、第2の固定部に固定して二重構造を形成する。
【0029】
さらに、第2の環状の凹溝からなる第4の固定部の内側の中空の壁面に第3の固定部を形成しておき、第3のホースと第4のホースをそれぞれ第3、第4の固定部に固定して二重構造を形成する。
【0030】
このように、本実施の形態の異径ホース継手によっても、筒状の継手本体の2つの端部開口のそれぞれに二重構造の結露防止措置が施されていることから、既述するように1つの部材で2以上の異径のホースを繋ぐことで部品点数を最小としながら、結露を効果的に防止することが可能となる。
【0031】
また、本発明による異径ホース継手のさらに他の実施の形態において、前記異径ホース継手は、中空の壁面において、第1の端部開口側から順に、第1の固定部、第2の固定部、第3の固定部が形成されており、第1のホースと第2のホースのそれぞれの端部が重ね合わされて第1の端部開口側にて異径ホースからなる二重構造が形成されるものである。
【0032】
本実施の形態では、第1、第2、第3の固定部が筒状の継手本体の中空内に並んだ態様で形成されている。ただし、第1、第2のホースが重ね合わされた態様で第1、第2の固定部に固定される関係上、継手本体は拡径部を有していてこの拡径部の中空に第1の固定部が形成され、この拡径部に連続する縮径部の中空に第2の固定部とさらに第3の固定部が形成された構成となっている。
【発明の効果】
【0033】
以上の説明から理解できるように、本発明の異径ホース継手によれば、1つの継手本体で2以上の異径のホースを繋ぐ構成としたことによって、部品点数を最小としながら、全てのホースを繋ぐ際に組み付け手間のかからない異径ホース継手を提供することができる。また、2つの端部開口を有する異径ホース継手の少なくとも一方の端部開口には異径のホースが重ね合わされた態様で繋がれた二重構造を形成していることで、異径ホース継手にて生じ得る結露を効果的に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】家屋の壁に埋設されたウォールトップと給湯機を異径ホース継手を介して繋いでなる給湯システムの模式図である。
【
図2】異径ホース継手の実施の形態1と異径ホースの分解縦断面図である。
【
図3】異径ホース継手の実施の形態1と異径ホースの組み付け縦断面図である。
【
図4】(a)は
図3のIVa−IVa矢視図であり、(b)は
図3のIVb−IVb矢視図である。
【
図5】異径ホース継手の実施の形態2と異径ホースの組み付け縦断面図である。
【
図6】異径ホース継手の実施の形態3と異径ホースの組み付け縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の異径ホース継手の実施の形態1,2,3を説明する。なお、図示例は異径ホース継手が給湯システムに適用される形態を示したものであるが、本発明の異径ホース継手が給湯システム以外の様々なシステムに適用できるものであることは勿論のことであり、異径ホース同士を繋ぐ多様な用途に適用可能である。
【0036】
(給湯システムの概要と異径ホース継手の実施の形態1)
図1は家屋の壁に埋設されたウォールトップと給湯機を異径ホース継手を介して繋いでなる給湯システムの模式図である。また、
図2は異径ホース継手の実施の形態1と異径ホースの分解縦断面図であり、
図3は異径ホース継手の実施の形態1と異径ホースの組み付け縦断面図であり、
図4aは
図3のIVa−IVa矢視図であり、
図4bは
図3のIVb−IVb矢視図である。
【0037】
まず、本発明の異径ホース継手を含む給湯システムの概要を説明すると、
図1で示す給湯システムは、家屋の壁Wに埋設されたウォールトップTの家屋内で突出する2つの管H3、H4のうち、一方の管H3に異径ホース継手10が繋がれ、この異径ホース継手10には二重構造のホースH1,H2が繋がれており、他方の管H4には金属管S1が繋がれ、この金属管S1には金属管S2(エルボ)がさらに繋がれ、これら二重構造のホースH1,H2や金属管S2が不図示の1基の家屋内に載置された給湯機に繋がれてその全体が大略構成されている。なお、管H4と給湯機の接続形態は図示例以外にも、2以上の金属管S1と2以上の金属管S2が繋ぐ形態や金属管S1のみが繋ぐ形態など、多様な接続形態が存在する。
【0038】
ウォールトップTは中央の排気管とその外側の環状の給気管が二重構造になっており、環状の給気管が外部に流体連通する箇所に環状開口Taが設けられ、この環状開口Taを介して新鮮な外気が導入され(X1方向)、ウォールトップTを介し、管H3を介し、異径ホース継手10を介し、二重構造のホースH1,H2を介して不図示の給湯機に提供されるようになっている(X2方向)。
【0039】
一方、不図示の給湯機から排気された排ガスは、相互に接続された一重の金属管S2,S1を介し(X3方向)、ウォールトップTの管H4を介し、ウォールトップTの中央の排気管を介して屋外へ排気されるようになっている(X4方向)。
【0040】
ウォールトップTはステンレス(たとえばSUS304)から形成され、異径ホース継手10は樹脂から形成され、ホースH1,H2は樹脂から形成され、金属管S1,S2はステンレス(たとえばSUS304)から形成される。
【0041】
次に、
図2〜4を参照して異径ホース継手10の構成を説明する。
【0042】
図2で示すように、異径ホース継手10は筒状の継手本体1から構成され、同図にて右側にある第1の端部開口1a側には肉厚内に第1の環状の凹溝2を備え、この第1の環状の凹溝2にはネジ溝が形成されていて第1の固定部を形成している。
【0043】
また、第1の環状の凹溝2の内側にある継手本体1の中空壁面にもネジ溝が形成されており、第2の固定部3を形成している。
【0044】
そして、第1の固定部2に相対的に大径の第1のホースH1が螺合され(Y1方向)、第2の固定部3に相対的に小径の第2のホースH2が螺合されるようになっている(Y1方向)。たとえば、第1のホースH1がφ100mm、第2のホースH2がφ80mmの外径をそれぞれ有した形態とこれらを螺合自在な第1、第2の固定部2,3の形態を一例として挙げることができる。
【0045】
一方、
図2の左側にある継手本体1の第2の端部開口1b側にも肉厚内に第2の環状の凹溝4を備え、第2の環状の凹溝4の内側にある継手本体1の中空壁面はテーパー面となっており、第3の固定部5を形成している。
【0046】
第2の環状の凹溝4には環状の断熱材20が挿入されるようになっており(Y2方向)、この環状の断熱材20よりも小径でテーパー面を具備する第3のホースH3が第3の固定部5に勘合されるようなっている(Y2方向)。
【0047】
図3は、異径ホース継手10を構成する第1、第2の固定部2,3に第1、第2のホースH1,H2がそれぞれ螺合され、第3の固定部5に第3のホースH3が勘合され、第2の環状の凹溝4に環状の断熱材20が挿入されて組み付けが完了した状態を示している。なお、第1の固定部2に第1のホースH1が螺合された状態において、第2の固定部3と第1のホースH1の間には空気層が形成される。
【0048】
同図で示すように、第1のホースH1と第2のホースH2のそれぞれの端部が重ね合わされて第1の端部開口1a側にて異径ホースからなる二重構造D1が形成され、この二重構造D1によって第1の端部開口1a側にて結露防止が図られる。なお、
図4aはこの二重構造D1を直交方向で見た縦断面図である。
【0049】
一方、環状の断熱材20と第3のホースH3の端部が重ね合わされて第2の端部開口1b側にて断熱材20とホースH3からなる二重構造D2が形成され、この二重構造D2によって第2の端部開口1b側にて結露防止が図られる。なお、
図4bはこの二重構造D2を直交方向で見た縦断面図である。
【0050】
このように、図示する異径ホース継手10によれば、1つの継手本体1のみによって3つの異径ホースH1,H2,H3を簡易に繋ぐことができ、しかも、継手本体1の両端においてそれぞれ固有の二重構造D1,D2を形成して結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0051】
なお、
図3で示す異径ホース継手10において、継手本体1と環状の断熱材20、および第3のホースH3をより一層強固に固定するべく、継手本体1の第2の環状の凹溝4の外周に不図示のバンドを取り付けた構成としてもよい。
【0052】
(異径ホース継手の実施の形態2)
図5は異径ホース継手の実施の形態2と異径ホースの組み付け縦断面図である。
【0053】
図5で示すように、異径ホース継手10Aは筒状の継手本体1Aから構成され、この継手本体1Aは、その中央位置を線対称として左右に同じ構成を備えている。
【0054】
より具体的には、第1の端部開口1aを形成する端部の環状の肉厚内に第1の環状の凹溝2を備え、この第1の環状の凹溝2が第1の固定部となっており、第2の端部開口1bを形成する端部の環状の肉厚内に第2の環状の凹溝2Aを備え、この第2の環状の凹溝2Aが第4の固定部となっている。
【0055】
第1の環状の凹溝からなる第1の固定部2に相対的に大径の第1のホースH1の端部が螺合され、その内側の中空の壁面に形成された第2の固定部3に第2のホースH2の端部が螺合される。一方、第2の環状の凹溝からなる第4の固定部2Aに相対的に大径の第4のホースH5の端部が螺合され、その内側の中空の壁面に形成された第3の固定部3Aに第3のホースH4の端部が螺合される。
【0056】
そして、第1のホースH1と第2のホースH2のそれぞれの端部が重ね合わされて第1の端部開口1a側にて異径ホースからなる二重構造D1が形成され、第3のホースH4と第4のホースH5のそれぞれの端部が重ね合わされて第2の端部開口1b側にて異径ホースからなる二重構造D3が形成される。
【0057】
このように、図示する異径ホース継手10Aによっても、1つの継手本体1Aのみによって4つの異径ホースH1,H2,H3、H4を簡易に繋ぐことができ、しかも、継手本体1Aの両端においてそれぞれ固有の二重構造D1,D3を形成して結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0058】
(異径ホース継手の実施の形態3)
図6は異径ホース継手の実施の形態3と異径ホースの組み付け縦断面図である。
【0059】
図6で示すように、異径ホース継手10Bは筒状の継手本体1Bから構成され、この継手本体1Bでは、ネジ溝を有する第1の固定部2および第2の固定部3B、テーパー面からなる第3の固定部5Aが継手本体1Bの中空内に並んだ態様で形成されている。さらに、第1、第2のホースH1,H2が重ね合わされた態様で第1の固定部2と第2の固定部3Bにそれぞれ固定される関係上、継手本体1Bは拡径部を有していてこの拡径部の中空に第1の固定部2が形成され、この拡径部に連続する縮径部の中空に第2の固定部3Bと第3の固定部5Aが形成されている。
【0060】
第1の端部開口1a側では、異径ホースである第1、第2のホースH1,H2からなる二重構造D1が形成されている。
【0061】
このように、図示する異径ホース継手10Bによっても、1つの継手本体1Bのみによって3つの異径ホースH1,H2,H3を簡易に繋ぐことができ、しかも、継手本体1Bの一端において二重構造D1を形成して結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B…継手本体、1a…第1の端部開口、1b…第2の端部開口、2…第1の固定部(第1の環状の凹溝)、2A…第4の固定部(第2の環状の凹溝)、3…第2の固定部、4…第2の環状の凹溝、3A,5…第3の固定部、10,10A,10B…異径ホース継手、20…断熱材、H1…第1のホース、H2…第2のホース、H3,H4…第3のホース、H5…第4のホース、D1,D2,D3…二重構造、T…ウォールトップ、W…壁