特許第6077386号(P6077386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6077386-圧電振動子の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077386
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】圧電振動子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20170130BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   H03H3/02 B
   H01L23/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-106794(P2013-106794)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-230015(P2014-230015A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松井 元
(72)【発明者】
【氏名】藤並 康暁
(72)【発明者】
【氏名】重田 栄治
(72)【発明者】
【氏名】木内 隆俊
(72)【発明者】
【氏名】相良 俊介
【審査官】 鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−253493(JP,A)
【文献】 特開2009−207068(JP,A)
【文献】 特開2007−088966(JP,A)
【文献】 特開2009−232327(JP,A)
【文献】 特開2002−050710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/02
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合材料として機能する接合層を備える金属蓋と、圧電振動片を収容する収容凹部を備え、該収容凹部の開口端部に前記金属蓋との接合用金属膜を備えるケースとからなるパッケージに、圧電振動片を気密に封止する圧電振動子の製造方法において、
前記ケースに前記金属蓋を仮配置する蓋搭載工程と、
前記金属蓋の一辺の両端部を仮止めする仮止め工程と、
前記仮止めした後、真空雰囲気で熱処理し、脱ガスする熱処理工程と、
前記仮止め工程で両端部を仮止めした一辺と、該一辺と対向する辺とをシーム溶接する第一接合工程と、
前記仮止め工程で仮止めした両端部から、前記第一接合工程で接合されていない前記金属蓋の対向する辺を、シーム溶接する第二接合工程と、
を備えることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項2】
前記パッケージは矩形であり、前記仮止め工程で仮止めする前記金属蓋の一辺が、前記金属蓋の長辺部であることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子の製造方法。
【請求項3】
前記金属蓋の少なくとも一主面には、厚さが12μm以下のクラッド層で前記接合層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ内に圧電振動片を封止した圧電振動子の製造方法に関するものである。より詳しくは、圧電振動子のパッケージ内から、容易かつ良好に、脱ガスを行なう封止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧電振動片は、セラミックパッケージなどの密封容器に収容され、セラミック製のケースと金属製の蓋とを接合する封止工程には、さまざまな工夫が行なわれている。
【0003】
セラミック製のケースと金属製の蓋との接合方法として、特許文献1や特許文献2に示されるようなシーム溶接や、陽極接合など、さまざまな接合方法が用いられている。
【0004】
従来、シーム溶接では、シームリングを介して、ケースと蓋とを接合していたが、パッケージの低背化や、低コスト化が求められる中で、シームリングを用いないで、蓋の接合面に接合層として機能するクラッド材を配置し、ケースの接合部に設けられた金属層と接合させるダイレクトシームが用いられるようになった。
【0005】
また、パッケージ内に圧電振動片を封止した圧電振動子において、パッケージ内に残留したガスが、圧電振動片の安定動作に悪影響を及ぼすことも、広く知られており、多様な接合方法が用いられる中でも、パッケージ内の脱ガスという課題は共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−114710号公報
【特許文献2】特開2007−88966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、蓋の長辺や短辺をスポット溶接して、蓋を仮止めするもの(図3)は、蓋の変形や、変形に伴う接合後の残留応力を低減させることは考慮されているが、パッケージ内部の脱ガスに関しては、最適化されていない。
【0008】
さらに、パッケージの小型化・薄型化が進む中で、クラッド層も、薄く形成されるようになり、12μm以下のクラッド層を備えた金属蓋が用いられるようになると、ケースに金属蓋を仮止めする際、蓋の長辺や短辺でスポット溶接すると、ケースと金属蓋との間隙が狭くなり、仮止めした圧電振動子を熱処理しても、脱ガスが十分に行なわれず、封止後のパッケージ内部のガスの影響で、圧電振動子の特性が変化してしまうという不具合が生じる。また、この現象はパッケージの小型化も関連しており、封止距離が短くなることも不利な方向になっている。
【0009】
本発明は、パッケージ内の脱ガスを良好に行なうことを可能とし、品質の安定した圧電振動子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
接合材料として機能する接合層を備える金属蓋と、圧電振動片を収容する収容凹部を備え、収容凹部の開口端部に金属蓋との接合用金属膜を備えるケースとからなるパッケージに、圧電振動片を気密に封止する圧電振動子の製造方法において、ケースに金属蓋を仮配置する蓋搭載工程と、金属蓋の一辺の両端部を仮止めする仮止め工程と、仮止めした後、真空雰囲気で熱処理し、脱ガスする熱処理工程と、仮止め工程で両端部を仮止めした一辺と、両端部を仮止めした一辺と対向する辺とをシーム溶接する第一接合工程と、仮止め工程で仮止めした両端部から、第一接合工程で接合されていない金属蓋の対向する辺を、シーム溶接する第二接合工程と、を備える圧電振動子の製造方法とする。
【0011】
さらに、パッケージは矩形であり、仮止め工程で仮止めする前記金属蓋の一辺が、金属蓋の長辺である圧電振動子の製造方法とする。
【0012】
また、金属蓋の少なくとも一主面には、厚さが12μm以下のクラッド層で接合層が形成されている圧電振動子の製造方法とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、パッケージ内の脱ガスを良好に行なうことが可能となり、品質の安定した圧電振動子を製造することが可能となった。
【0014】
本発明の圧電振動子の製造方法
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における封止プロセスを説明する図
図2】本発明における仮止め状態を説明する図
図3】従来の仮止め状態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を、音叉型水晶振動片をセラミック製のケースと金属蓋とからなるパッケージに封止する工程を例に、図を用いて説明する。図1は、本発明における封止プロセスを説明する図である。図2は、本発明における仮止め状態を説明する図である。
【0017】
セラミック製のケース3は、音叉型水晶振動片1を収容する収容凹部を備え、収容凹部底面には、音叉型水晶振動片1を電気的・機械的に接続固定する実装端子を備えており、収容凹部を形成する側壁の上面には、金属蓋を接合するための接合用金属膜6、例えば、下地にNi層、上層にAu層が形成されている。ケース3の外側底面には、回路基板に実装するための外部端子を備えており、収容凹部の実装端子と電気的に接続されている。
【0018】
金属蓋2は、コバールを基材として、ケースとの接合面側に、約20μmのCu層を設け、Cu層上に、接合層5として、8μm±4μmのAg−Cu−Sn合金のクラッド層を形成している。
【0019】
図1(a)に示すように、セラミック製のケース3の収容凹部底面の実装端子に、ディスペンサーで導電性接着剤を塗布し、音叉型水晶振動片1を搭載する。
【0020】
音叉型水晶振動片1を搭載したケース3の収容凹部を覆うように、金属蓋2を搭載する(蓋搭載工程)。金属蓋2の搭載には、既知の画像認識や機械的な位置決め手段を用いて行なう。
【0021】
図1(b)に示すように、金属蓋2の一つの長辺の両端部を仮止めする。仮止めには、シーム用の電極ローラーを、一つの長辺の両端部に点接させ、接合層5を溶融させる。実際には、長辺の両端部のみではなく、その周辺である短辺の一部や、長辺の内側の接合層5も溶融し、接合する。金属蓋2の一辺の両端部で仮止めするので、仮止め位置7から金属蓋2そのものが大きく変形することも無く、また、クラッド層で形成された接合層5は、メッキ等で形成された従来の接合層と比較して、非常に薄いため。接合層5の溶融での変形量も抑えられ、仮止めしていない金属蓋2の長辺とケースとの間に適度な間隙が得られる(図2)。なお、仮止めは、レーザーを用いても良く、その際は、位置決め手段で、金属蓋2の仮止めする長辺を押圧する。
【0022】
ケース3に金属蓋2を仮止めしたのち、真空雰囲気下で、熱処理を行い、ケース内部の脱ガスを行なう。脱ガス工程は、ダイレクトシーム装置に組み込み、真空雰囲気下で連続して行なうことが望ましい。
【0023】
次いで、図1(c)に示すように、第一接合工程で、金属蓋2の対向する長辺に、電極ローラー9を転接させて、対向する長辺を接合する。第一接合工程においても、音叉型水晶振動子10は、高温になるため、ケース内部にガスが発生したとしても、ケース3と金属蓋2の短辺との間隙から、排出される。
【0024】
次いで、図1(d)に示すように、第二接合工程で、金属蓋2の対向する短辺に、電極ローラー9を転接させて、対向する短辺を接合する。先に述べたとおり、金属蓋2の変形は非常に少ないが、始点と終点が接合されている第二接合工程では、金属蓋2の変形量がより少ない短辺を接合することが望ましい。
【0025】
音叉型水晶振動片1をパッケージ内に気密封止した音叉型水晶振動子10は、ダイレクトシーム装置から搬出される(図1(e))。
【0026】
本実施例では、矩形のパッケージを例示したが、正方形のパッケージの場合は、4辺のいずれか一辺の両端を仮止めし、仮止めした一辺と、仮止めした一辺に対向する辺とを第一接合工程で接合し、第二接合工程では、残りの二辺を接合すればよい。
【0027】
また、本発明は、音叉型水晶振動子に限定するものではなく、厚みすべり振動子を用いた発振器など、気密封止パッケージに適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 音叉型水晶振動片
2 金属蓋
3 ケース
5 接合層
6 接合用金属膜
7 仮止め位置
9 電極ローラー
10 音叉型水晶振動子
図1
図2
図3